説明

表示装置

【課題】指針の回動範囲を考慮した表示装置の配置が可能な表示装置を提供する。
【解決手段】
指針3と、この指針3が指示する指標部41とこの指標部41の背景となる背景部42bとを設けた表示板4と、をそれぞれ有する第1の表示部及び第2の表示部20を備え、第1の表示部10と第2の表示部20との間に配置される液晶表示部30を備えた表示装置において、第1及び第2の表示部10,20はそれぞれ第1及び第2の装飾部材44a、44bによって囲まれ、第2の装飾部材44bの内側に、第2の表示部20と液晶表示部30とが部分的に重なって視認される第3の表示部20Sを備え、第1の表示部10は、液晶表示部30の正面視で右側に配置され、第2の表示部20は、液晶表示部30の正面視で左側に配置され、液晶表示部の中心点Bが、表示装置の中心点Aよりも液晶表示部30の正面視で左側に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示部とメータ表示部とが隣接配置された表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示部とメータ表示部とが隣接配置された表示装置としては、例えば下記特許文献1がある。この表示装置は、二つのメータ表示部の間に液晶表示部が配置されている。液晶表示部とメータ表示部とは、メータ表示部を前記指針が回動する形状(円形)に合わせて形成し、メータ表示部と重なる液晶表示部は液晶を封止することで、各表示領域を区分させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010―127832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の液晶を用いた表示装置においては、より広い表示エリアの確保が要求されており、特許文献1のような、液晶表示部の表示エリアを狭めてしまう配置は好ましくない傾向にある。
そこで、液晶表示部とメータ表示部との一部が重なるように配置して、液晶表示部をより広く確保することも考えられるが、通常指針の回転は時計回りに動くことが要求されるため、指針の回動始点(例えば、スピードメータの正面左下側の0km/hを示す指標部)が、他の表示部材(例えば液晶ディスプレイ)などによって遮られてしまう場合、時計回りに回動する指針は、遮られた分だけ該始点の位置を移動するなどして、その回動範囲が狭められてしまう。
また、指針を反時計回りに回動する方法も考えられるが、指針が時計回りに回動することに慣れている観察者に違和感を与えてしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、指針と、この指針が指示する指標部とこの指標部の背景となる背景部とを設けた表示板と、をそれぞれ有する第1の表示部及び第2の表示部を備え、前記第1の表示部と前記第2の表示部との間に配置される液晶表示部を備えた表示装置において、
前記第1及び第2の表示部はそれぞれ第1及び第2の装飾部材によって囲まれ、前記第2の装飾部材の内側に、前記第2の表示部と前記液晶表示部とが部分的に重なって視認される第3の表示部を備え、
前記第1の表示部は、前記液晶表示部の正面視で右側に配置され、
前記第2の表示部は、前記液晶表示部の正面視で左側に配置され、
前記液晶表示部の中心点が、前記表示装置の中心点よりも前記液晶表示部の正面視で左側に位置することを特徴とするものである。
【0006】
このように構成することによって、表示装置を正面から見たときに、前記液晶表示部が中心から左側にずれるように配置し、液晶表示部と第2の表示部の一部が重なった第3の表示部が設けられていることで、前記液晶表示部を縮小することなく、また、前記第1の表示部の指針の回動範囲を縮小することなく、前記液晶表示部の配置が可能な表示装置を提供することができる。
【0007】
また本発明は、前記第2の表示部と前記第3の表示部とが、同一もしくは類似した背景部を有しているものである。
このように構成することによって、前記第2の表示部と前記第3の表示部との境界線を目立たなくし違和感を少なくした表示装置を提供することができる。
【0008】
また本発明は、前記液晶表示部は、第3の装飾部材によってその表示範囲が囲まれた第4の表示部を有し、前記第4の表示部以外の前記液晶表示部が、前記背景部と同一もしくは類似した背景画を有しているものである。
このように構成することによって、前記第2,3の表示部と前記第4の表示部との境界線を目立たなくし違和感を少なくした表示装置を提供することができる。
【0009】
また本発明は、前記第3の装飾部材が前記液晶表示部を通過した光によって照明されるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、指針の回動範囲を考慮した表示装置の配置が可能な表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態を示す液晶表示装置の正面図。
【図2】同液晶表示装置のX−X断面図。
【図3】本発明の第2実施形態を示す液晶表示装置の正面図。
【図4】同液晶表示装置のY−Y断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置を添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
本発明の表示装置は、透明な上ケース1と、黒色の合成樹脂からなる見返し部材2と、指針3と、表示板4と、駆動源5と、回路基板6と、光源7と、回路基板6と表示板4との間に配置される中ケース8と、回路基板6が配置される下ケース9とを有し、図1中、表示装置の右側に位置する第1の表示部10と、左側に位置する第2の表示部20と、第1の表示部10と第2の表示部20との間に配置された液晶表示部30とによって水平方向に一列に構成される。
【0014】
指針3は、駆動源5から延出する指針軸51の先端に装着される基部31と、表示板4に設けられる指標部41a、41bを指示する指示部32とから構成され、第1の表示部10を指示する第1の指針3aと、第2の表示部20を指示する第2の指針3bとを有している。また、指針3は、指針軸51の左下側に設けられる始点となる指標部から、計測値の増加にともなって時計回りに回動して、所望の指標部を指示するように作動される。
【0015】
表示板4は、透明な合成樹脂パネルからなる基材にインクジェットあるいはCMYK印刷などの手法により、所定の色の目盛,文字,マーク等が形成された透光性の指標部41a、41bと、この指標部41a、41bの周囲を囲むように目盛,文字,マーク等の背景となる背景部42a、42bとを備えた第1、第2の表示部10、20と、観察者から液晶表示器30が透視可能なように設けられた透視窓43を有している。
【0016】
表示板4には第1、第2の表示部10,20の外周に、例えば金属調の塗装が施された合成樹脂からなる第1、第2の装飾リング44a、44bが配置されている。
【0017】
第2の表示部20は、第2の装飾リング44bによって囲まれ、尚かつ液晶表示部30が透視窓43を通して視認される第3の表示部20Sを有している。
【0018】
回路基板6は、硬質の基板からなり、図示しないが回路パターン等が印刷されている。回路基板6は、背面側にステッピングモータなどの駆動源5を有し、駆動源5から延出する指針軸51が貫通するための貫通孔(図示せず)が設けられ、その前面側に指針3と表示板4を照明するための光源7が複数実装されている。なお、駆動源5は、それぞれ第1、第2の指針3a、3bを駆動する第1、第2の駆動源5a、5bからなる。
【0019】
液晶表示器30は、2枚のガラス基板間に液晶分子を封入し、各々のガラス基板に例えばスモーク調の偏光膜を貼り合わせた矩形の液晶表示パネル311と、この液晶表示パネル311の裏面側に配置され光透過性を有する図示しない拡散板と、液晶表示パネル311および拡散板が支持されるホルダー32と、液晶表示パネル311の表面側周縁を抑える枠状の縁部を有する図示しないパネル抑えと、回路基板6上に実装され液晶表示パネル311を背後から照明する液晶用光源33とから主に構成される。
【0020】
また、液晶表示器30は、第1の表示部10の指針軸51と、第2の表示部10の指針軸との間に設けることができ、液晶表示部30の中心点Bが、表示装置の中心点Aよりも左側に位置するように配置される。
【0021】
なお、これら各部品は液晶表示器30としてユニット化され、表示板4と回路基板6との間であって、観察者が透視窓43から液晶表示パネル311を視認できるように配置されている。また本実施形態では、表示装置として液晶表示器30を適用したが、電気信号に応じて情報を表示するものでれば液晶表示器30に限らず任意の表示素子を適用でき、例えば有機EL素子を用いたELパネルであってもよい。
【0022】
図1に示すように、第1の表示部10は、第1の指針3aが第1の指標部41aを指示しながら指針回動範囲をほぼ360度時計回りに回動できるように、表示装置の右端に設けられている。第2の表示部20は、指針軸51の左下側に設けられる指標部(最小値)を始点として第2の指針3bが第2の指標部41bを指示しながら指針回動範囲をほぼ180度時計回りに回動できるように、表示装置の左端に設けられている。第2の表示部20の第2の装飾リング44b内であって液晶表示パネル311と重なる箇所には、例えば警告マークなどの車両情報が表示される。液晶表示器30の表示範囲内であって、第2の表示部20と重ならない箇所は、例えばナビゲーションシステムなどの車両情報が表示される。
【0023】
このように、指針3と、この指針3が指示する指標部41とこの指標部41の背景となる背景部42bとを設けた表示板4と、をそれぞれ有する第1の表示部及び第2の表示部20を備え、第1の表示部10と第2の表示部20との間に配置される液晶表示部30を備えた表示装置において、
第1及び第2の表示部10,20はそれぞれ第1及び第2の装飾部材44a、44bによって囲まれ、第2の装飾部材44bの内側に、第2の表示部20と液晶表示部30とが部分的に重なって視認される第3の表示部20Sを備え、
第1の表示部10は、液晶表示部30の正面視で右側に配置され、
第2の表示部20は、液晶表示部30の正面視で左側に配置され、
液晶表示部の中心点Bが、表示装置の中心点Aよりも液晶表示部30の正面視で左側に位置することで、液晶表示部30を縮小することなく、また、第1の指針3aの回動範囲を縮小することなく、液晶表示部30の効率のよい配置が可能な表示装置を提供することができる。
【0024】
また、本発明は、第2の表示部20と第3の表示部30とが、同一もしくは類似した背景部を有していることによって、第2の表示部20と液晶表示部30との境界線を目立たなくし違和感を少なくした表示装置を提供することができる。
【0025】
次に、図3,4に示した第2の実施形態を説明するが、第1の実施形態と同一部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0026】
表示板4は、液晶表示エリアTを囲むように第3の装飾リング44cを有し、第3の装飾リング44cに囲まれた第4の表示部30Sにおいて、例えばナビゲーション情報などを表示する。
【0027】
また、液晶表示部30であって第2の表示部20と第4の表示部30Sとを除いた箇所に、第2の表示部の背景部42bと、第3の表示部20Sの背景部と同じもしくは類似した背景画像を表示している。
【0028】
このように、液晶表示部30は、第3の装飾リング44cによってその表示範囲が囲まれた第4の表示部30Sを有し、第4の表示部30S以外の液晶表示部30が、背景部42bと同一もしくは類似した背景画を有していることによって、前記第2,3の表示部と前記第4の表示部との境界線を目立たなくし違和感を少なくした表示装置を提供することができる。
【0029】
また、第3の装飾リング44cは、液晶表示部30を通過する液晶用光源33の光によって照明されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 上ケース
2 見返し板
3 指針
4 表示板
5 駆動源
6 回路基板
7 光源
8 中ケース
9 下ケース
10 第1の表示部
20 第2の表示部
20S 第3の表示部
30 液晶表示部
30S 第4の表示部
33 液晶用光源
41 指標部
42b 背景部
43 透視窓
44a 第1の装飾リング
44b 第2の装飾リング
44c 第3の装飾リング
311 液晶表示パネル
A 表示装置の中心点
B 液晶表示部の中心点
T 液晶表示エリア


【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針と、この指針が指示する指標部とこの指標部の背景となる背景部とを設けた表示板と、をそれぞれ有する第1の表示部及び第2の表示部を備え、前記第1の表示部と前記第2の表示部との間に配置される液晶表示部を備えた表示装置において、
前記第1及び第2の表示部はそれぞれ第1及び第2の装飾部材によって囲まれ、前記第2の装飾部材の内側に、前記第2の表示部と前記液晶表示部とが部分的に重なって視認される第3の表示部を備え、
前記第1の表示部は、前記液晶表示部の正面視で右側に配置され、
前記第2の表示部は、前記液晶表示部の正面視で左側に配置され、
前記液晶表示部の中心点が、前記表示装置の中心点よりも前記液晶表示部の正面視で左側に位置することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第2の表示部と前記第3の表示部とが、同一もしくは類似した背景部を有していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記液晶表示部は、第3の装飾部材によってその表示範囲が囲まれた第4の表示部を有し、前記第4の表示部以外の前記液晶表示部が、前記背景部と同一もしくは類似した背景画を有していることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第3の装飾部材が前記液晶表示部を通過した光によって照明されることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−194138(P2012−194138A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60108(P2011−60108)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】