説明

複合プライ切断の適応制御

複合材料を切断するのに使用される超音波ナイフの送り速度は適応制御を使用して最適化される。例えば超音波動力又はナイフの側面負荷等の一又は複数のパラメータが検出され、フィードバック制御信号を生成するのに使用される。フィードバック制御信号は、ナイフの設定送り速度を最適化するのに使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して自動制御の工作機械に関し、さらに具体的には材料、特に複合材料の複数のプライを切断するのに使われる超音波ナイフの送り速度を自動的に制御するシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波変換器によって駆動されるナイフを使用して薄板及び他の材料を切断するのに、超音波カッターが現在使用されている。超音波カッターのある応用形態は、積層体を形成している未硬化の複合材料の複数のレイヤ又はプライを超音波駆動式のナイフを使用して同時に所望の形に切断できる複合材料分野に含むことができる。ある場合には、超音波カッターを、複合テープの複数の重なった層を寝かせて切断することができる自動テープレイングヘッドを含むCNC(コンピュータ数値制御)制御工作機械に取り付けることができる。
【0003】
複合材料の切断プロセスは、テープを適用できる速度に比べて比較的遅い。切断プロセスの速度は一つには、材料を貫くナイフの最大送り速度と切断深さによって決定することができる。厚い部分は材料の全てのプライが完全に切断されるように何度も通す必要があり、通すたびにカッターが前よりもさらに深く入る。現在、開ループプライ切断プロセスが使用され、これには持続的なオペレータによる監視と、送り速度オーバーライドダイアルの手動調節が必要であり、この結果、準最適切断速度を含む準最適切断操作になる可能性がある。ナイフの送り速度は、超音波動力メータにおいて見られる変動に基づいて、切断中にオペレータによって手動で調節が行われる。「安全」と認識される動力レベルは、プログラミングされた送り速度をオーバーライドさせることによって維持され、この結果切断回数は最適切断回数よりも少なくなる可能性がある。さらに、オペレータは過度の又はピークの負荷状態を検出して、可能なナイフの誤動作が起こる前に十分迅速に反応して送り速度を緩めることができないかもしれない。ある場合には、過度の送り速度の結果、準最適なカッター操作となる可能性もある。
【0004】
従来技術は、ワークピースの加工作業中に切断機械に作用する負荷を検出する負荷検出器を有する適用制御装置を含む。上記適用制御技術はしかしながら、複合材料の複数のプライを切断するのに使用されるCNC超音波カッターに適用されてこなかった。
【0005】
したがって、送り速度を最適化する、及び/又はナイフの損傷及び切断エラーを減らすために、適用制御を用いるCNC制御超音波カッターを使用する複合材料のプライを切断する方法及びシステムが必要である。
【発明の概要】
【0006】
開示された実施形態によると、送り速度を最適化するために自動制御の超音波カッター及び適用制御を使用して複合プライを切断する方法及びシステムが提供されている。送り速度は、生産性を最大化するために、ナイフの状態に基づいて最適レベルに調節される。例えばナイフ負荷等の切断に関連するパラメータが測定され、人間の介入なしに送り速度を調節するのに使用されるフィードバック信号を作成するのに使用される。送り速度は、例えばナイフの鋭さ、プライの数、切断深さ、プライの繊維方向に対する切断角度、プライの厚さ、材料の粘着性、成層中に使用される圧縮力、及びプライの強靭性、又はナイフの破損等の予測しない事象の発生等のナイフ及び/又はプライ材料の状態の変化時に、速やかに調節される。送り速度の自動調節は生産性を最大化する高い平均送り速度につながり、その一方でオペレータがナイフ負荷を持続的に監視し、手動で送り速度をオーバーライドさせる必要を取り除く。最終的には、比較的高い一定送り速度をプログラミングして実際の切断状態に順応的に調節可能であるため、カッターを制御するために必要なプログラミング量を削減することができる。
【0007】
開示されたある実施形態によれば、複合プライを切断する方法が提供され、この方法は:プライを貫いて超音波ナイフを送り;ナイフがプライを切断する時にナイフ操作に関連するパラメータを測定し;測定パラメータに基づいてナイフの送り速度を最適化する送り速度信号を生成することを含む。測定パラメータは、ナイフを駆動するのに使用される超音波変換器に供給される動力負荷、ナイフの逸れ、及び/又はナイフの温度のうちの一つを含むことができる。本方法はさらに、測定したパラメータをコントローラにフィードバックし、コントローラを使用して送り速度信号を生成することを含むことができる。本方法はまた、測定したパラメータの値を事前に選択した値と比較し、比較の結果に基づいて送り速度信号を生成することを含むことができる。
【0008】
別の開示の実施形態によれば、超音波カッターの操作を制御する方法が提供されており、この方法は:超音波ナイフが材料を切断するために送られる送り速度を選択し;ナイフが材料を切断する時に、ナイフの操作に関連する少なくとも1つのパラメータを測定し;測定したパラメータの値を事前に選択した値と比較し;そして、比較の結果に基づいて選択した送り速度を調節するかどうかを決定することを含む。送り速度を調節するかどうかの決定は、自動コントローラによって行うことができ、本方法はさらに、測定したパラメータをコントローラにフィードバックすることを含むことができる。パラメータの測定はナイフが使用する動力負荷を測定する、及び/又はナイフの逸れ又はナイフの温度のいずれかを検出することを含むことができる。本方法はさらに、第1コントローラを使用してナイフの動きを制御することを含むことができ、第2コントローラによって、測定したパラメータの事前に選択した値との比較及び送り速度の調節が行われる。
【0009】
更なる実施形態によれば、複合材料を切断するシステムが提供され、このシステムは:材料を切断するための超音波駆動式ナイフ;ナイフが複合材料を貫いて送られる速度を制御するための制御手段:ナイフの操作に関連する少なくとも1つのパラメータを検出するための検出手段;及び、検出したパラメータに基づいてナイフの送り速度を最適化するための制御手段によって使用される一連のプログラミングされた命令を含む。検出手段は、ナイフにかかる側面負荷を測定したパラメータを表す電子信号に変換するための変換器を含むことができる。検出手段はまた、ナイフに供給された超音波動力を検出するためのセンサも含むことができる。制御手段は、検出されたナイフにかかる側面負荷とナイフに供給された超音波動力負荷に基づいて設定送り速度制御信号を生成するためのコントローラを含むことができる。制御手段は、ナイフの動きを制御するための第1コントローラと、ナイフの送り速度を最適化するために第1コントローラによって使用される制御信号を生成するための第2コントローラを含むことができる。
【0010】
別の実施形態によれば、複合材料を切断するシステムが提供されており、このシステムは:材料を切断するための超音波駆動式ナイフ;複合材料を貫いてナイフを送るための手段;ナイフに供給される超音波動力負荷に関連する第1信号を作成するための手段;複合材料によってナイフにかかる側面負荷に関連する第2信号を作成するための手段;第1及び第2信号を使用してフィードバック制御信号を生成するための手段;及び、フィードバック信号に基づいて複合材料を貫いてナイフを送る速度を最適化するための送り手段と連結した制御手段を含む。第1信号を作成するための手段は、ナイフを駆動するのに使用された超音波動力を検出するためのセンサを含むことができる。フィードバック制御信号を生成するための手段は、第1及び第2信号を結合させるための信号調節器を含むことができ、フィードバック信号を生成させるための手段は適応制御アルゴリズムを実行するコントローラを含むことができる。本システムはさらに、フィードバック制御信号を生成させるための手段によって使用される一連のプログラミングされた命令と設定値を含むことができる。
【0011】
開示の実施形態により、適応制御を使用して送り速度を最適化し、機械の休止時間を短縮し、オペレータの介入と見落としを最小限に抑える、複合プライを切断する方法及びシステムの必要が満たされる。
【0012】
開示の実施形態の他の特徴、利点及び効果は、付属の図面及び添付の請求項にしたがって読むときに、下記の実施形態の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は複合プライを切断するシステムのブロック及び図表を結合させた図である。
【図2】図2は超音波カッターの側面図である。
【図3】図3は複合プライを切断する方法のステップを大雑把に説明するブロック図である。
【図4】図4は適応制御を使用して複合プライを切断する方法を表すさらに詳細なフロー図である。
【図5】図5は航空機の製造及び就航手順のフロー図である。
【図6】図6は航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
最初に、番号12で大まかに示す自動制御の超音波カッターを使用して複合材料の複数のプライ14を切断するシステム10を示す図1を参照する。複合材料の複数のプライ14は開示の実施形態に関連させて示されているが、当然ながら、複合材料以外の材料だけでなく、複合材料の単一のプライを切断することができる。カッター12が、構造物の最初の加工中に積層体を形成するのに使用されるプライの形に切断するのに使用されるプライは未硬化であってよい。しかしながら、開示の実施形態はまた、アセンブリ/サブアセンブリの部分を切り出さなければならない航空機の複合アセンブリ又はサブアセンブリを修繕中等、構造が加工された後で、部分的に又は全体的に硬化されたプライを切断するのにも使用可能である。
【0015】
超音波カッター12は、プライ14を貫く事前にプログラミングされた切断経路を進むために、複数の機械軸17に沿って移動可能であるツールヘッド16に取り付けられる。ここで図2も参照すると、超音波カッター12はツールヘッド16に取り付けられた超音波変換器18によって駆動される切断ナイフ22を含む。ナイフ22は、超音波周波数で矢印23の方向に往復運動する。ナイフ22の前方切断縁25は、ナイフ22の平面がプライ14の平面に対しておおむね垂直に維持されるように、数字31によって示す送り速度Fカレントで送り方向27にプライ14の中へ送られる。ナイフ22は、解除式接続部50(図2)によって、ナイフ22への超音波エネルギーの焦点を合わせ、ナイフ22の往復運動を引き起こす先端部20に取り付けることができる。変換器18には、超音波動力発生機24から接続部21を通して電圧が印加される。変換器18は次に、エネルギーを非常に低い振幅の振動に変換する。振動の振幅は先端部20及びナイフ22に供給される前にブースター19によって増幅することができる。閉ループ制御は、変換器18に更に動力を供給することによって振幅を維持する。過剰に高い動力レベルにより、切断装置12が自動的に終了する可能性がある。
【0016】
超音波カッター12の動き(送り)及び操作は、例えば限定しないが、NC(数値制御)プログラム28を用いるCNC(コンピュータ数値制御)コントローラを備えることができる自動コントローラ26によって制御されている。自動コントローラ26は、自動コントローラ26によって超音波カッター12に発信される設定送り速度信号30によって表される所定の送り速度31で、複数のプライ14を貫く経路において超音波カッター12の動きを制御するようにプログラミングされている。
【0017】
設定送り速度信号30の値、したがってカッター12の実際の送り速度31は、NCプログラム28によって設定されプログラミングされた送り速度と「送り速度オーバーライド」の値の積である。例えば、プログラミングされた送り速度が毎分10インチであり、送り速度オーバーライド値が80%である場合、カッター12の実際の送り速度31は10×80%=毎分8インチとなる。下にさらに詳しく説明するように、本発明の実施形態では、フィードバック信号を利用してカッター12の実際の送り速度31を最適化して送り速度オーバーライド値を調節する。本明細書で使用されるように、送り速度を「最適化する」及び送り速度の「最適化」という用語は、送り速度の増加又は減少、又はナイフが壊れた又は壊れそうな時にナイフの送りを停止することを含むことができる。
【0018】
超音波動力量、すなわち超音波動力発生機24によって変換器18に供給される動力負荷は、自動コントローラ26によって監視される。通常、プライの切断を順調に行うために変換器18を駆動するのに必要な超音波動力負荷は、プライ14の切断によってナイフ22に印加される負荷に比例し;プライ14数がより多くなると、ナイフ22にかかる負荷が高くなり、変換器18を駆動させるのにより高い動力レベルが要求される。前述したように、ナイフ22及び/又は材料の状態もまた、動力負荷レベルに大幅に影響し得る。
【0019】
開示の実施形態によれば、プライ14を貫いて超音波カッター12が送られる速度は、設定送り速度30を調節するために自動コントローラ26によって使用されるフィードバック信号42を使用して調節し最適化することができる。フィードバック信号42はナイフ22の操作に関連する一又は複数の測定パラメータを使用して生成される。下に説明するように、ナイフ22にかかる側面負荷だけでなく、動力発生機24によって変換器18に供給される超音波動力負荷を測定パラメータとして使用して、フィードバック信号42を生成することができる。しかしながら、例えば非限定的に、ナイフ22の温度及び/又はナイフ22の逸れ等の、他のパラメータをフィードバック信号として使用することも可能であり得る。
【0020】
複数のプライ14が切断される時に、複数のプライ14によってナイフ22に印加される側面負荷は、例えば非限定的に、信号調節器40に供給されるセンサ信号34に測定側面負荷を結合させる歪み計又は同様の歪み又は力測定装置を備えることができるセンサ32によって測定される。変換器18に供給される電力負荷に比例する超音波動力信号38もまた、信号調節器40に送られる。信号調節器40は、例えば非限定的に、信号が適用制御コンピュータ44によって処理可能になるように信号34、38を調節する機能をもつ増幅器(図示せず)及び光アイソレーター(図示せず)を含む、様々な公知の回路のうちのいずれかを含むことができる。
【0021】
フィードバック信号42はコンピュータ44によって結合され処理される。コンピュータ44はまた自動コントローラ26と交信して、I/O(入力/出力)インターフェース43を介して現在の送り速度オーバーライド設定値41を取得する。コンピュータ44の保存された設定パラメータ46は、コンピュータ44がフィードバック信号42の値に基づいて現在の送り速度31オーバーライド設定値41を調節する特定の処理を制御するために、ユーザーインターフェース48を介して確立することができる。設定パラメータ46、実行されたNCプログラム28からの命令47、自動コントローラ26から取得した現在の送り速度オーバーライド設定値41及びフィードバック信号42に基づいて、コンピュータ44は最適化された送り速度オーバーライド信号45を自動コントローラ26に発信し、その結果、設定送り速度30が調節されて、超音波カッター12の送り速度31が最適化される。
【0022】
ある応用形態では、ナイフ22が切断プロセス中に、特にナイフ22の、側面負荷に対抗する剛性が比較的低いところにおいて「逸れる」ことはよくあり得ることである。ナイフの逸れは、ナイフ22にかかる側面負荷を増加させる、及び/又は結果的にカッター12の電力消費を増加させる可能性がある。同様に、ナイフ22が切れなくなる、及び/又は材料のプライ14がより厚くなる又はより多くなると、変換器18によって消費される電力がそれに応じて増加する。開示の実施形態によれば、この電力消費が増加すると、適応制御コンピュータ44は所定の電力消費レベルを維持するために送り速度オーバーライド値を減らす。
【0023】
上述したように、開示の実施形態では、生産性を最大化するためにナイフ22の状態に基づいて超音波カッター12の送り速度31を調節する。ナイフに印加された側面負荷が測定され、送り速度31が必要に応じて人間の介入を要さずに調節される。例えばナイフ22の切断負荷の突然の増加等の予期しない事象が起きた場合には、実施形態の適応制御方法は、切断プロセスをすぐに終了させて、ナイフ22の破損及び/又はパーツへの損傷の可能性を減らすことができる。
【0024】
ここで、ある方法の実施形態の全体的なステップを大まかに図示する図3に注目する。ステップ50から開始し、NC制御プログラム28(図1)の一部を形成することができる初期送り速度Fカレント31が選択される。次に、ステップ52において、ナイフ22が複数のプライ14を貫いて初期送り速度Fカレント31で自動的に送られる。プライ14が切断されると、ナイフ22の操作に関連する一又は複数のパラメータがステップ54で測定される。前述したように、図示した実施形態では、測定パラメータはナイフ22を駆動するのに使用される動力Piと、プライ14によって生じる抵抗から生じるナイフ22の側面負荷Biを含む。最後に56において、初期送り速度31は測定パラメータに基づいて新しい送り速度Fnewに変更される。
【0025】
別の方法の実施形態の詳細が図4に図示されている。60において、動力及び側面負荷の設定パラメータが設定パラメータファイル58から読み出され、メモリ(図示せず)に読み取られる。64において、現在の切断シーケンスにおけるナイフ22の制御要件は、NCプログラム28から生成される。60においてメモリに保存された設定パラメータと、64において生成された現在の切断シーケンスの要件を使用して、ステップ66に示すように現在の切断シーケンスの動力限界(Pmi)とラジアル荷重限界(Bmi)がそれぞれ計算される。側面負荷センサ信号と超音波動力信号34、38はそれぞれ68において受信される。ステップ70において、PiがPmiより大きいのか、あるいはBiがBmiより大きいのかのいずれであるかが決定される。計算された限界値Pi、Biのいずれかが、対応する測定値Pmi,Bmiを超える場合、次にステップ80において、最大負荷比Rmiが2つの比Pi/Pmi及びBi/Bmiの間の最高値によって決定される。したがって、Rmiは下記のように表すことができる:
Rmi = Max(Pi/Pmi : Bi/Bmi)
【0026】
Pi及びBiのいずれもステップ70において計算された限界値を超えていないと決定された場合、次にプロセスはステップ72に移り、ここでは現在の送り速度Fiよりも大きい新しい送り速度オーバーライド値FROV Fiを受け入れるかどうかが決定される。72における決定が否である場合、次にステップ74において新しい送り速度オーバーライド値FROV Fjは現在の送り速度オーバーライドFiと等しく設定され、得られた値は加算点84に供給される。しかしながら、72において新しい送り速度オーバーライドFiが現在の送り速度Fiを超え得ると決定された場合、次にプロセスはステップ80に進み、ここで最大負荷比Rmiが前述したように計算される。ステップ82において、新しい送り速度オーバーライド値Fjは下記のように計算される:
Fj = Fi / Rmi
【0027】
74及び82において使用されるFiの値は、自動コントローラ26の一部を形成する位置にあり、78において現在の送り速度オーバーライド値Fiをロードする、送り速度オーバーライドスイッチ76から受信される。ステップ74又はステップ82のいずれかで取得された新しい送り速度オーバーライドFjは加算点84に供給される。新しい送り速度オーバーライドFjが確立されたところで、その値はステップ88において示すように自動コントローラ26へ送られ、86において次の一連のセンサ入力が読み取られる。
【0028】
開示の実施形態は、様々な可能性のある応用形態、特に例えば航空宇宙、海洋及び自動車への応用を含む運送業において有用であり得る。したがって、ここで図5及び図6を参照すると、開示の実施形態は図5に示す航空機の製造及び就航方法90、及び図6に示す航空機92において使用することができる。開示の実施形態の航空機の応用は、例えば非限定的に、機体外板、翼外板、操縦翼面、ハッチ、床板、ドアパネル、アクセスパネル及び尾翼等の複合補強部材を含むことができるが、これはごく一部に過ぎない。試作段階において、例示の方法90は、航空機92の規格及び設計94と、材料調達96を含むことができる。製造段階においては、航空機92の構成要素及びサブアセンブリの製造98と、システム統合100が行われる。その後、航空機92は検査及び納入102を経て就航104されることができる。顧客によって就航されている間、航空機92には、(変更、再構成、改装等も含むことができる)所定の保守及び点検106が予定される。
【0029】
方法90の各プロセスは、システム・インテグレーター、第三者、及び/又はオペレータ(例:顧客)によって行われる又は実施されることが可能である。この説明の目的のために、システム・インテグレーターは、非限定的に、任意の数の航空機メーカー及び主要なシステム下請業者を含むことができ、第三者は、非限定的に、任意の数の供給メーカー、下請業者及びサプライヤを含むことができ、オペレータは、航空機、リース会社、軍部、サービス組織等であってよい。
【0030】
図6に示すように、例示の方法90によって製造された航空機92は、複数のシステム110及び内部装飾112を有する機体108を含むことができる。高レベルシステム110の実施例は、一又は複数の推進システム114、電気システム116、油圧システム118、及び環境システム120を含む。任意の数の他のシステムを含むことができる。航空宇宙における実施例を示したが、本開示の原理を海洋及び自動車産業等の他の業界に応用することができる。
【0031】
本明細書に具現化されたシステム及び方法は、製造及び就航方法90の一又は複数のいずれかの段階において採用することができる。例えば、製造プロセス90に対応する構成要素又はサブアセンブリは、航空機92が就航している間に製造される構成要素又はサブアセンブリと同じ方法で加工又は製造することができる。また、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせを、例えば、航空機92を実質的に組立てしやすくする、又は航空機92にかかる費用を削減することによって、製造段階98及び100において用いることが可能である。同様に、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、またはこれらの組み合わせを、航空機92が就航している間に、例えば非限定的に、保守及び点検106に用いることができる。
【0032】
本発明の実施形態を特定の実例となる実施形態に関連させて説明してきたが、当然ながら特定の実施形態は説明のためであり、限定するものではなく、当業者が他の変形例を発想することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合プライを切断する方法であって:
プライを貫いて超音波ナイフを送り;
ナイフがプライを切断する時にナイフの操作に関連する少なくとも1つのパラメータを測定し;
測定したパラメータに基づいてナイフの送り速度を最適化するための送り速度信号を生成する
ことを含む方法。
【請求項2】
ナイフを送ることが、自動コントローラを使用してナイフの動きを制御することを含み、
送り速度信号の生成が、自動コントローラを使用して行われる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パラメータの測定が:
ナイフを駆動するのに使用される超音波変換器にかかる動力負荷と、
ナイフの逸れと、
ナイフの温度
のうちの少なくとも1つを検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
測定したパラメータをコントローラへフィードバックすることを更に含み、
送り速度信号の生成がコントローラによって行われる、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
測定したパラメータの値を事前に選択した値と比較することを更に含み、
送り速度信号の生成が比較の結果に基づくものである
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法によって切断される、航空機のサブアセンブリ用複合プライ。
【請求項7】
超音波カッターの操作を制御する方法であって:
超音波ナイフが材料を切断するために送られる送り速度を選択し;
ナイフが材料を切断する時に、ナイフの操作に関連する少なくとも1つのパラメータを測定し;
測定したパラメータの値を事前に選択した値と比較し;
比較の結果に基づいて選択した送り速度を変更するかどうかを決定する
ことを含む方法。
【請求項8】
比較の結果に基づいて送り速度が変更されるべきであると決定された時に、送り速度を変更することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
送り速度の変更が自動コントローラによって行われ、
測定したパラメータを自動コントローラにフィードバックする
ことをさらに含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法によって制御される超音波カッターによって切断される複合プライから形成される航空機のサブアセンブリ。
【請求項11】
パラメータの測定が、
ナイフにかかる超音波動力負荷と、
ナイフの逸れと、
ナイフの温度
のうちの少なくとも1つを検出することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
第1コントローラを使用してナイフの動きを制御することをさらに含み、
測定したパラメータを事前に選択された値と比較して送り速度を変更することが、第2コントローラによって行われる、
請求項7に記載の方法。
【請求項13】
ナイフが材料を切断する時に、ナイフの操作に関連する第2パラメータを測定することをさらに含み、
選択された送り速度を変更するかどうかの決定が、第1及び第2測定パラメータを使用して、送り速度制御信号を生成することを含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項14】
第1パラメータの測定が、ナイフを材料の中に送ることから生じるナイフにかかる側面負荷を検出することを含み、
第2パラメータの測定が、ナイフを駆動するのに使用される超音波動力を検出することを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
材料を切断するシステムであって:
材料を切断する超音波駆動式ナイフ;
材料を貫いてナイフが送られる速度を制御する制御手段;
ナイフの操作に関連する少なくとも1つのパラメータを検出する検出手段;及び、
検出したパラメータに基づいてナイフの送り速度を最適化する制御手段によって使用される一連のプログラミングされた命令
を含むシステム。
【請求項16】
検出手段が:
ナイフに供給される超音波動力負荷を検出する第1センサと、
ナイフにかかる側面負荷を検出する第2センサ
を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
制御手段が、ナイフにかかる検出された側面負荷とナイフに供給される超音波動力に基づいて、設定された送り速度制御信号を生成するためのコントローラを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
制御手段が:
ナイフの動きを制御するための第1コントローラと、
ナイフの送り速度を最適化するために、第1コントローラによって使用される制御信号を生成するための第2コントローラ
を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
複合材料のプライを切断するシステムであって:
材料を切断する超音波駆動式ナイフ;
複合材料を貫いてナイフを自動的に送る手段;
ナイフに供給される超音波動力負荷に関連する第1フィードバック信号を作成する手段;
複合材料によってナイフに印加される側面負荷に関連する第2フィードバック信号を作成する手段;
第1及び第2フィードバック信号を調節する手段;及び、
第1及び第2フィードバック信号に基づいて、複合材料を貫いてナイフが送られる速度を最適化する送り手段に連結した制御手段
を備えるシステム。
【請求項20】
第1フィードバック信号を作成する手段が、ナイフに供給される超音波動力負荷を検出するためのセンサを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
制御手段が、適応制御アルゴリズムを実行するプログラミングされた命令によって操作されるコンピュータを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
自動送り手段が、ナイフ送り手段及び制御手段と連結したCNCコントローラを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
ナイフの送り速度を最適化するために制御手段によって使用される設定値をユーザーが入力できるようにするユーザーインターフェースをさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
複合材料のプライを切断するシステムであって:
プライを切断する超音波駆動式ナイフ;
プライを貫いてプログラミングされた経路に沿ってナイフを送る工作機械;
工作機械の操作及びナイフの操作を制御するNCコントローラ;
ナイフに供給される動力負荷を検出する第1センサ;
複合材料によってナイフに印加される側面負荷を検出する第2センサ;
第1及び第2センサによって作成される信号を調節する信号調節器;及び、
検出されたナイフに供給される動力と、検出されたナイフにかかる側面負荷に基づいて、ナイフの送り速度を最適化するのに使用される送り速度調節信号を生成するNCコントローラ及び信号調節器に連結されたコンピュータ
を備えるシステム。
【請求項25】
複合材料のプライを切断するのに使用される超音波カッターの操作を制御する方法であって:
ナイフが送られる経路と、プライを貫いてナイフが送られる速度を含む、プライを切断するのに使用される超音波ナイフの操作を制御するための一連のプログラミングされた命令を生成し;
プログラミングされた命令によって決定される送り速度で、経路に沿ってプライを貫いてナイフを送り;
ナイフがプライを切断する時に、プライによってナイフに印加される側面負荷を測定し;
プライを切断するためにナイフが必要とする動力負荷を測定し;
測定された側面負荷と測定された動力負荷を基準値と比較し;
基準値との比較結果に基づいて、送り速度信号を生成し;
送り速度信号を使用して、ナイフの送り速度を最適化する
ことを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−510831(P2011−510831A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545939(P2010−545939)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/032730
【国際公開番号】WO2009/099969
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】