説明

複数のランプユニットを備えた車両用灯具

【課題】 他のランプユニットのレンズを透過した光を阻害することなく、複数のランプユニットをコンパクトに集めて配置できる車両用灯具を提供する。
【解決手段】 前照灯30は、灯具ハウジング1の内側にHLユニット11、FTSTユニット12、DRLユニット13、CLLユニット14を装備している。FTSLユニット12のレンズ123を、鍵形の導光体124によりDRLユニット13のレンズ133の輪郭線に沿って延びるように形成する。導光体124の一端部に光源121を設置し、導光体124とDRLレンズ133との間に不透明層125を設ける。CLLユニット14のレンズ143を、弓形の導光体144によりHLユニット11のレンズ113の輪郭線に沿って延びるように形成する。導光体144の一端部に光源141を設置し、導光体144とHLレンズ113との間に不透明層145を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる機能の光を照射する複数のランプユニットを備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具として、自動車用の前照灯やリアコンビネーションランプが知られている。例えば、図7に示す従来の前照灯70は、灯具ハウジング1の内側にHL(ヘッド・ランプ)ユニット11、FTSL(フロント・ターン・シグナル・ランプ)ユニット12、および、DRL(デイタイム・ランニング・ランプ)ユニット13を装備し、各ランプユニット11,12,13に光源、リフレクタ、レンズが設けられている。
【0003】
図8に示すように、FTSLユニット12とDRLユニット13は、灯室2の上下に配置され、それぞれ異なる照明機能の可視光を光源121,131から出射し、リフレクタ122,132で反射し、レンズ123,133に透過させ、前面カバー3から車両前方に照射する。なお、特許文献1には、HLユニットのレンズの周辺領域(無発光領域)を導光板で覆い、導光板を独自の光源で面発光させる自動車用前照灯が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平04−49763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、車両用灯具の多機能化が促進されている。例えば、HL、FTSL、DRLに加え、CLL(クリアランス・ランプ)、BL(ベンディング・ランプ)、赤外線投光器を装備した前照灯が提案されている。しかし、従来の車両用灯具によると、その正面領域中に各ランプユニットのレンズが別々の面積を占めるため、多機能化に伴って灯具全体が大形化するという問題点があった。また、特許文献1の車両用灯具は、導光板から漏れた光がHLユニットのレンズを透過した光を阻害するという不都合があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、他のランプユニットからの光を阻害することなく、複数のランプユニットをコンパクトに集めて配置できる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は次のような車両用灯具を提供する。
(1)光源とレンズを含む複数のランプユニットを備え、少なくとも一つのランプユニットのレンズが、別のランプユニットにおけるレンズの輪郭線に沿って延びるように形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【0008】
(2)少なくとも一つのランプユニットのレンズが、別のランプユニットにおけるレンズの輪郭線に接する導光体によって細長く形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【0009】
(3)少なくとも一つのランプユニットの光源が、そのランプユニットにおける導光体の端部に配置されていることを特徴とする車両用灯具。
【0010】
(4)ランプユニットの導光体が、光源からの光を灯具前方へ反射する内面反射部を備えていることを特徴とする車両用灯具。
【0011】
(5)複数のランプユニットが、それぞれのレンズから異なる照明機能の可視光を出射することを特徴とする車両用灯具。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両用灯具によれば、ランプユニットのレンズを別のランプユニットのレンズの輪郭線に沿って延びるように形成したので、他のランプユニットが照射した光を阻害することなく、複数のランプユニットを限られた面積の正面領域にコンパクトに集めて配置できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1を示す前照灯の正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の実施例2を示す前照灯の正面図である。
【図4】本発明の実施例3を示す前照灯の正面図である。
【図5】本発明の実施例4を示す前照灯の正面図である。
【図6】本発明の実施例5を示すリアコンビネーションランプの正面図である。
【図7】従来の前照灯を示す正面図である。
【図8】図7のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を前照灯またはリアコンビネーションランプに具体化した幾つかの実施例を図面に基づいて説明する。各図において、同一の符号は同一または類似する部材を示す。
【実施例1】
【0015】
図1、図2に示す実施例1の前照灯10は、灯具ハウジング1の内側にHLユニット11、FTSLユニット12、DRLユニット13、CLL(クリアランス・ランプ)ユニット14を装備している。HLユニット11、FTSLユニット12およびDRLユニット13は従来と同様に構成され、HLユニット11が灯具ハウジング1の左右方向片側に配置され、FTSLユニット12とDRLユニット13が灯室2の上下に配置されている。
【0016】
CLLユニット14は、DRLユニット13の下側に配置され、他のランプユニット11,12,13から独立した光源(例えば、白色LED)141と、DRLユニット13のレンズ133の下縁(下側の輪郭線)に沿って延びるレンズ143とを備えている。レンズ143は、棒状、帯状またはパイプ状の透明な導光体144で細長く形成され、この導光体144が不透明層145を介してDRLレンズ133の下縁に接している。
【0017】
CLLユニット14の光源141は導光体144の一端部に配置され、導光体144の背面に光源141からの光を灯具前方へ反射するステップ、点刻等の内面反射部146が設けられている。そして、CLLユニット14は、他のランプユニット11,12,13と異なる照明機能の光(車幅を示す可視光)を光源141から出射し、内面反射部146で反射し、導光体144によりレンズ143の長手方向に案内し、レンズ143の全長から前面カバー3を通して車両前方に照射するようになっている。
【0018】
従って、実施例1の前照灯10によれば、正面領域が従来と同じ面積(図1、図7参照)の灯具ハウジング1に、従来よりも一つ多い合計4つのランプユニット11,12,13,14をコンパクトに配置することができる。また、CLLユニット14のレンズ143をDRLユニット13のレンズ133の輪郭線に外側から接するように設けたので、CLLレンズ143がDRLレンズ133を透過した光を阻害するおそれがなく、異なる機能の照明光を明確に区別して照射できる利点もある。
【実施例2】
【0019】
図3に示す実施例2の前照灯20では、CLLユニット14がFTSLユニット12とDRLユニット13との間に配置されている。CLLユニット14のレンズ143は、細長い導光体144によりFTSLレンズ123とDRLレンズ133の両方の輪郭線に沿って延びるように形成されている。導光体144は、その上縁および下縁がそれぞれ不透明層145を介してFTSLレンズ123の下縁とDRLレンズ133の上縁とに接している。
【0020】
従って、実施例2の前照灯20によれば、FTSLユニット12とDRLユニット13との間の無発光領域にCLLユニット14を配置し、灯具ハウジング1の正面領域の面積を実施例1よりも縮小することができる。その他の作用効果は実施例1と同じである。
【実施例3】
【0021】
図4に示す実施例3の前照灯30では、CLLユニット14がHLユニット11の周囲に配置され、FTSLユニット12がDRLユニット13の周囲に配置されている。CLLユニット14のレンズ143は、弓形の導光体144によりHLユニット11のレンズ113の輪郭線に沿って延びるように形成されている。そして、導光体144の一端部に光源141が設置され、導光体144の内側縁が不透明層145を介してHLレンズ113の周縁に接している。
【0022】
FTSLユニット12のレンズ123は、鍵形の導光体124によりDRLユニット13のレンズ133の輪郭線に沿って延びるように形成されている。導光体124の一端部には光源121が設置され、導光体124の内側縁が不透明層125を介してDRLレンズ133の下縁と外側縁とに接している。
【0023】
実施例3の前照灯30によれば、CLLユニット14をHLユニット11に添設し、FTSLユニット12をDRLユニット13に添設し、4つのランプユニット11,12,13,14を実質2つに集約してコンパクトに配置することができる。従って、灯具ユニット1の正面領域の面積を実施例2よりも更に縮小できるという利点がある。
【実施例4】
【0024】
実施例4の前照灯40は、図5(a)に示すように、車両側方からの視認性を高めるために、灯具ハウジング1の外端部が車体100の側面に周り込むように湾曲している。図5(b)に示すように、HLユニット11は左右に長いレンズ113を備え、このレンズ113の2箇所にPES(多重楕円反射システム)型のロービームランプ114とハイビームランプ115とが並設されている。
【0025】
HLユニット11の外端にはCLLユニット14が配置され、HLユニット11の上下にFTSLユニット12とDRLユニット13が配置されている。FTSLユニット12のレンズ123は、水平方向に細長い導光体124によりHLレンズ113とCLLレンズ143の上側輪郭線に沿って延びるように形成されている。導光体124の一端部には光源121が設置され、導光体124の下縁が不透明層125を介してHLおよびCLLレンズ113,143の上縁に接している。
【0026】
同様に、DRLユニット13のレンズ133は、HLレンズ113とCLLレンズ143の下側輪郭線に沿って延びる導光体134を備えている。導光体134の一端部には光源131が設置され、導光体134の上縁が不透明層135を介してHLおよびCLLレンズ113,143の下縁に接している。そして、2本の導光体124,134は、灯具ハウジング1と同様に、外端部が車体100の側面に周り込むように湾曲形成されている。
【0027】
従って、実施例4の前照灯40によれば、左右に長い灯具ハウジング1の正面領域に4つのランプユニット11,12,13,14をコンパクトに見栄えよく配置できる。特に、FTSLユニット12のレンズ123とDRLユニット13のレンズ133を導光体124,134で細長く成形したので、その外端部をハウジング形状に合わせて容易に湾曲でき、車両側方からの視認性を向上できるという利点がある。
【実施例5】
【0028】
図6に示す実施例5のリアコンビネーションランプ50は、灯具ハウジング1の内側にSTOPランプユニット51、RTSL(リア・ターン・シグナル・ランプ)ユニット52、TAILランプユニット53を装備している。STOPランプユニット51とRTSLユニット52は灯具ハウジング1の上下に配置され、TAILランプユニット53がSTOPランプユニット51とRTSLユニット52の周囲に配置されている。
【0029】
TAILランプユニット53は、複数の光源(例えば、赤色LED)531とレンズ533を備えている。レンズ533は、「E」字形の導光体534によってSTOPランプユニット51のレンズ513およびRTSLユニット52のレンズ523の輪郭線に沿って延びるように形成されている。導光体534は不透明層535を介してSTOPレンズ513およびRTSLレンズ523の輪郭線に接し、導光体534の背面に内面反射部(図示略)が設けられている。
【0030】
従って、実施例5のリアコンビネーションランプ50によれば、TAILランプユニット53を灯具正面の無発光領域が埋まるように形成したので、灯具ハウジング1の正面領域の面積を縮小し、そこに3つのランプユニット51,52,53をコンパクトに見栄えよく配置できる。また、TAILレンズ533がSTOPレンズ513およびRTSLレンズ523を透過した光を阻害するおそれがなく、異なる機能の照明光をそれぞれ峻別して照射できる利点もある。
【0031】
なお、図6に示すリアコンビネーションランプ50において、細長形状のバックランプユニットをSTOPレンズ513、RTSLレンズ523またはTAILレンズ533の輪郭線に沿って延びるように形成することもできる。また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、ランプユニットごとに発光色を変えたり、レンズの形状を任意に変更したりするなど、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成を適宜変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 灯具ハウジング
10,20,30,40 前照灯
11,12,13,14,51,52,53 ランプユニット
113,123,133,143,513,523,533 レンズ
121,131,141,531 光源
124,134,144,534 導光体
125,135,145,535 不透明層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源とレンズを含む複数のランプユニットを備え、少なくとも一つのランプユニットのレンズが、別のランプユニットにおけるレンズの輪郭線に沿って延びるように形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記少なくとも一つのランプユニットのレンズが、別のランプユニットにおけるレンズの輪郭線に接する細長い導光体で形成されている請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記少なくとも一つのランプユニットの光源が、前記導光体の端部に配置されている請求項2記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記導光体が、光源からの光を灯具前方へ反射する内面反射部を備えている請求項3記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記複数のランプユニットが、それぞれのレンズから異なる照明機能の可視光を照射する請求項1〜4の何れか一項に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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