説明

複数光源による同時照明を使用したマルチプロジェクタシステム

【課題】 より効率的でより費用のかからない方式でデジタル画像を形成する。
【解決手段】 カラー画像形成装置は、各々が、それぞれ、第1、第2または第3の波長域の連続照明を光マルチプレクサ25に提供できる第1、第2および第3の照明源14r,14g,14bを備える。光マルチプレクサ25は、それら照明源の内の各1つから受光した光を、第1、第2および第3のプロジェクタ・チャンネルの内の各1つに、反復順序で、周期的に切り換えられる。第1のプロジェクタ・チャンネルは第1のプロジェクタ11aに接続され、第2のチャンネルは第2のプロジェクタ11bに接続され、第3のチャンネルは第3のプロジェクタ11cに接続される。プロジェクタ装置の各々は、光マルチプレクサ25から各自のプロジェクタ・チャンネルに周期的に切り換えられる第1、第2または第3の波長域の光から画像を形成するように動作可能な光変調器12を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、エレクトロニック・カラーイメージングに関し、より詳しくは、複数のデジタルプロジェクタの中でカラー照明を共有するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルプロジェクタなどのエレクトロニック・イメージング装置において、3以上のスペクトルバンド、従来の赤、緑および青(RGB)の各々からの光は変調され、変調光の出力が、カラー画像を提供するために前面または背面投影スクリーンもしくは他のディスプレイの表面上で重ね合わされる。初期のエレクトロニック・イメージング装置では、各カラーチャンネルにおいて着色光を提供するために広帯域のランプおよび他の多色照明源を用いていた。より最近のシステムでは、照明源として、狭帯域の固体光源、特に、発光ダイオード(LED)およびレーザを使用している。これらのタイプの固体光源を使用することにより、色混合構成要素のサイズと費用をある程度減少させること、並びに色域を改良すること、光学的効率を増加させること、およびイメージング・デバイス全体の性能を向上させることが可能になる。
【0003】
デジタルプロジェクション装置は、シリコン上液晶(LCoS)デバイスなどのデバイスまたはテキサス州、ダラス所在のテキサス・インスツルメンツ社(Texas Instruments, Inc.)からのデジタル・ライト・プロセッサ(DLP)などのマイクロミラー・アレイを含む空間光モジュレータ(SLM)上にカラー照明を方向付けることによって画像を形成する。他のタイプのSLMとしては、カリフォルニア州、サニーベール所在のシリコン・ライト・マシーンズ社(Silicon Light Machines, Inc.)からの回折格子ライトバルブ(GLV)などの走査型線形モジュレータが挙げられる。形成されたカラー画像は、個別に変調された赤、緑および青の画像の合成物である;各カラー画像は、3チャンネル系統の一部として特定の赤、緑、または青のカラーチャンネル専用のSLM、もしくはカラー・シーケンシャル・イメージング・シーケンスまたはフィールド・シーケンシャル・イメージングとも知られているものにおける3つのカラーチャンネル間で時分割された単一のSLMのいずれかで、別々に変調される。
【0004】
デジタルプロジェクタ設計に関する費用/性能の折り合いにおける要因には、輝度、画質および色域、並びに構成要素の数がある。予想されるように、それぞれが独自の照明源およびSLMを有する、別々のカラーチャンネルを備えたより費用のかかる設計を使用することにより、画質と輝度を最適化できる。1つしかSLMを持たず、色合成構成要素の必要がないカラー・シーケンシャル・プロジェクタは、価格がより手頃に製造できるが、3チャンネル系統で可能な輝度のごくわずかしか提供できない。
【0005】
代わりのプロジェクタ設計に加え、複数のデジタルプロジェクタを用いた応用例を含む、数多くの異なるプロジェクタ構成が当該技術分野において知られている。興味深い応用例の1つは、各プロジェクタが別個の画像を形成し、次いで、別々に形成された画像が合成されまたは一緒にステッチされてより大きな画像を形成している、いわゆるステッチ・イメージ・プロジェクション・システム(stitched image projection system)がある。このイメージング技法は、大規模な高解像度画像の形成を可能にし、シングル・プロジェクタ・システムにまさって、増加した輝度および増加した解像度の利点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、数個の別々のプロジェクタには、各プロジェクタ毎に別個の光源を備える必要があるので、ステッチ・イメージ・プロジェクション・システムはまだ高価になり得る。減少した費用で改善された性能を提供し、照明構成要素をより効率的に使用したステッチ・イメージ・プロジェクション・システムには利益があるであろうことが分かる。
【0007】
本発明の課題は、デジタル・イメージ・プロジェクションの技術を進歩させることにある。関連する課題は、イメージ・ステッチング・システムおよび複数のプロジェクタを使用した他のタイプのイメージング・システムにおいてデジタル画像を提供するためのより効率的でより費用のかからない方式を提供することにある。本発明の装置および方法により、画像の輝度を向上させることができ、部品数の少ないマルチプロジェクタシステムを提供することが都合よい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの課題は、例示の実施例によってのみ与えられ、そのような課題は、本発明の1つ以上の実施の形態の例示であろう。開示された本発明によって固有に達成される他の望ましい課題および利点は、当業者に想起されるかまたは明らかであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲により定義される。
【0009】
本発明のある態様によれば、カラー画像を形成するための装置であって、
各々が、それぞれ、第1、第2、または第3の波長域の連続照明を光マルチプレクサに提供するように動作可能な、少なくとも第1、第2、および第3の照明源を備え、
前記光マルチプレクサが、少なくとも第1、第2、および第3の照明源の内の各1つから受光した光を、次には、少なくとも第1、第2、および第3のプロジェクタ・チャンネルの内の各1つに、反復順序で、周期的に切り換えるように作動可能であり、
第1のプロジェクタ・チャンネルが第1のプロジェクタ装置に接続され、第2のプロジェクタ・チャンネルが第2のプロジェクタ装置に接続され、第3のプロジェクタ・チャンネルが第3プロジェクタ装置に接続され、
各プロジェクタ装置が、光マルチプレクサから各自のプロジェクタ・チャンネルに周期的に切り換えられる第1、第2、または第3の波長域の光から画像を形成するように動作可能な光変調器を備えている装置が提供される。
【0010】
本発明のこれらのと他の態様、課題、特徴および利点は、添付の図面を参照して、好ましい実施の形態の以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲の検討からより明白に理解され認識されるであろう。
【0011】
本明細書は、本発明の主題を具体的に指摘し、個別に主張する請求項で断定されるが、本発明は、添付の図面と共に解釈したときに、以下の説明からよりよく理解されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ステッチ・イメージ・プロジェクション・システムを示す概略図
【図2】3チャンネル・プロジェクタ装置を使用した従来のステッチ・イメージ・プロジェクション・システムを示す概略図
【図3】カラー・シーケンシャル・イメージング・プロジェクタ装置を使用した従来のステッチ・イメージ・プロジェクション・システムを示す概略図
【図4】本発明のある実施の形態によるマルチプロジェクション装置を使用したステッチ・イメージ・プロジェクション・システムを示す概略図
【図5】図4の実施の形態に関する、赤のカラーチャンネルにおけるマルチプレクサによる照明経路およびタイミングを示す概略図
【図6】図3に示されたカラー・シーケンシャル・イメージング・プロジェクタ装置を使用した従来のステッチ・イメージ・プロジェクション・システムに関する動作順序を示すタイミング図
【図7】図4に示された本発明のある実施の形態によるカラー・シーケンシャル・イメージング・プロジェクタ装置を使用したステッチ・イメージ・プロジェクション・システムに関する動作順序を示すタイミング図
【図8】図4に示された本発明のある実施の形態によるカラー・シーケンシャル・イメージング・プロジェクタ装置を使用したステッチ・イメージ・プロジェクション・システムに関する制御論理配線を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0013】
具体的に示されていないまたは記載されていない要素は、当業者によく知られた様々な形態をとってよい。図示され、ここに記載された図面は、本発明の代表的な実施の形態による動作および構成要素の関係並びにタイミングの基本原理を例示するために与えられ、実際のサイズまたは規模を示す目的で描かれたものではない。基本的な構造関係または動作原理を強調するために、ある程度の誇張が必要であるかもしれない。例えば、様々なタイプの支援する光学成分などの、記載された実施の形態の実施に必要とされるある従来の構成要素は、本発明の自体の説明を簡単にするために、図面には示されていない。図面および以下の本文において、同様の構成要素には同様の参照番号がふられており、既に記載された構成要素と配置または構成要素の相互作用に関する同様の記載は省略されるであろう。
【0014】
「第1」、「第2」などの用語が使用されている場合、それらは、必ずしも順序または優先の関係を意味するものではなく、ある要素または時間間隔を別のものからより明らかに区別するために使用されるであろう。
【0015】
「色またはカラー」および「波長域」という用語は、本発明に関して使用されているように、一般に同義である。例えば、レーザまたは他の固体光源が、その波長域(630〜640nmなどの)または公称ピーク波長(635nmなどの)によるよりもむしろ、赤などの一般色によって称される。文字R、G、およびBが、エレクトロニック・イメージング装置におけるカラー画像の合成に従来使用される赤、緑、および青の波長域を表示するために本文および図面に用いられる。小文字のr、g、およびbは、説明を助け、3つの色の経路とそれらの関連する構成要素をより明らかに区別するために、図面と本文の部品番号に付けられている。
【0016】
図1の概略図は、マルチプロジェクション装置を使用したステッチ・イメージ・プロジェクション・システム40を示している。3つのプロジェクタ10a,10b,および10cが、投影スクリーン32上に、隣接する画像20a,20b,および20cを形成する。画像の内の1つ20cについて、画像20cの側に示されているように、次に、各画像20a,20b,および20cは、赤成分22r、緑成分画像22g、および青成分画像22bの3つの単色成分画像から合成画像として形成される。
【0017】
図2の概略図は、3チャンネルシステムタイプのプロジェクタ10a,10b,および10cを使用した従来のステッチ・イメージ・プロジェクション・システム40を示している。各プロジェクタ10a,10b,および10cは、それぞれ、赤、緑、および青の光変調に関する画像を形成するように動作可能な対応する光変調器12r,12g,および12bを各々が備えた別々のカラーチャンネルを有する。各カラーチャンネルは、それぞれ、赤、緑、および青の照明を提供するように動作可能な、対応する照明源14r,14g,および14bを有する。代わりの実施の形態において、これらの別々のカラー照明源は、例えば、広帯域アークランプなどの単一照明源からの光を3以上のスペクトル成分に濾波することによって生成しても差し支えない。一般に3チャンネル・プロジェクタに当てはまるように、成分画像からの変調光を合成カラー画像として投影するために光軸上で合成するために、プロジェクタ10a,10b,および10cの各々に、色合成要素16が必要である。色合成要素16は、X−cube、フィリップスプリズム、Vプリズム、または各カラーチャンネルからの変調光を向け直すためのダイクロイック表面の組合せを使用した他の構造であって差し支えない。明瞭さのためと、本発明の説明を簡単にするために、プロジェクタ10a,10b,および10cの各々の構成が、この図面と以後の図面において詳しく示されていない。例えば、この図面または以後の図面において明白に示されていないものには、投影光学素子、ディスプレイ表面、より均一な照明ビームを提供するための光集積コンポーネント(light integrator component)、線形光変調器のためのスキャナ要素、および投影画像を形成するために必要な様々な他の要素などの、変調画像を形成し、投影するために必要な数多くの追加の要素がある。そのような必要とされる要素は、デジタル・イメージ・プロジェクションの技術分野における当業者に馴染みがあり、使用されるSLMおよび照明源のタイプに応じて様々である。
【0018】
デジタルプロジェクションに馴染みのあるものには認識されるように、図2の3チャンネルの実施の形態は著しく費用がかかり得る。何故ならば、それには、3つのプロジェクタの各々において、各プロジェクタ内の各カラーチャンネルからの光を変調し、合成するための必要な支援要素と共に、3つのSLMおよび3つの照明源が必要であるからである。
【0019】
比べると、プロジェクタ10a,10b,および10cにカラー・シーケンシャル・イメージングを使用した、図3に図示したステッチ・イメージ・プロジェクション・システム40の構成は、図2に示された並列配置よりも、費用がかからず、複雑ではない。各プロジェクタにはSLM12が1つしか必要なく、図2の3チャンネル・プロジェクタのようには、色合成要素16は必要ない。しかしながら、この費用の節約は、輝度の著しい減少、およびプロジェクタ10a,10b,および10cの各々からのいくぶん低減した全体性能を意味する。図3の構成において、各プロジェクタ10a,10b,および10cにはまだ、空間光変調器12に照明を向けるための独自の一連の照明源14r,14g,および14bが必要である。
【0020】
図4は、本発明のある実施の形態によるマルチプロジェクション装置を使用したステッチ・イメージ・プロジェクション・システム50を示す概略図である。この構成において、一組の照明源14r,14g,および14bが提供されているが、プロジェクタ内に収容されておらず、図示されたプロジェクタ11a,11b,および11c全ての外部にある。照明源14r,14g,および14bは、各々、光マルチプレクサMUX25に向けられており、この光マルチプレクサ25は、外部供給された照明のカラーチャンネルとして、赤、緑、および青の照明源14r,14g,および14bの各々からの照明を順々にプロジェクタ11a,11b,および11cに周期的に切り換えるように作動可能である。各プロジェクタ11a,11b,および11cは、カラー・シーケンシャル・タイプのものであり、それぞれ、52a,52b,および52cと付けられた1つのプロジェクタ・チャンネルにわたり一度に一色の照明を受光する。各プロジェクタ11a,11b,および11cは、対応するカラーチャンネルに、すなわち、それぞれ、プロジェクタ・チャンネル52a,52b,および52cに提供された照明を使用して、外部源から受光した照明を、受光された光から画像を形成するように動作可能な1つの空間光変調器12に向ける。
【0021】
後に図示され、より詳しく記載されるように、赤、緑、および青の照明源14r,14g,および14bが、図2におけるような3つの独立した色変調チャンネル、または図3におけるような1つの光変調チャンネルと3つの光源のいずれかを備えたプロジェクタを使用する、従来のプロジェクタ装置に関するよりも、図4の構成によってより効率的に使用される。カラー・シーケンシャル・プロジェクションに関して、図4の構成では、光マルチプレクサ25の使用により、光スループットが著しく増加する。マルチモード光ファイバ、液体ライトガイド、または他の有能な低損失の光方向付け要素などの、光導波路18が、マルチプレクサ25により順序付けられるように、切り換えられたカラーチャンネルの光を適切なプロジェクタ11a,11b,および11cの入力ポート36の内の1つに方向付けるために必要とされる光学連続性を提供する。
【0022】
光マルチプレクサ25が、各カラー照明ビームを切り換えるように作動されるときに実現することを説明するために、図5の概略図は、図4のステッチ・イメージ・プロジェクション・システム50の実施の形態に関する赤のカラーチャンネルにおける照明経路およびタイミングを示している。マルチプレクサ25内で、エネルギーの印加された赤の照明源14rの照明が、3つの位置に回転可能な反射表面として図5に表されている、切換え要素34に向けられる。タイミングチャートがこの図の右側に示されており、時間t1,t2,t3,およびt4が等間隔で設けられている。時間t1で、切換え要素34は、赤の照明をプロジェクタのチャンネル(図4のチャンネル52a)に沿ってプロジェクタ11aに向ける。時間t2で、切換え要素34は、ある変化量だけ回転して、赤の照明を対応するプロジェクタのチャンネル52bに沿ってプロジェクタ11bに向ける。時間t3で、切換え要素34は、回転して、赤の照明を対応するプロジェクタのチャンネル52cに沿ってプロジェクタ11cに向ける。この切換え順序を使用して、照明源14rは、オン・オフで切り換えられずに、プロジェクション・システムの動作中に連続してエネルギーが印加されてオンのままであり、どの時点においても、プロジェクタのチャンネルの内の1つに独占的に向けられる。このことにより、そうでなければ、図3に関して先に説明したカラー・シーケンシャル構成に必要とされるような、照明源14rを繰り返しオン・オフに切り換える場合に生じるであろう、非効率、安定化時間、および構成要素の劣化が避けられる。
【0023】
また図5を参照すると、切換え要素34により行われる機能は、光マルチプレクサ25内で数多くの様式で行うことができる。光路間で光を切り換えるために使用できる様々な切換え技術としては、デジタル・マイクロミラー・アレイまたは光格子アレイを使用した構成要素などの、微小電気機械システム(MEMS)デバイスが挙げられる。あるいは、光マルチプレクサ25内で、音響光学変調器(AOM)および電気光学変調器(EOM)を使用しても差し支えない。
【0024】
先に述べたように、同じ光源14rを異なるプロジェクタに切り換えるためにMUX25を使用する上の利点の1つは、光源自体が、繰り返しオン・オフで切り換えられず、プロジェクタの動作中に連続してオンのままであることである。固体または他の光源の繰り返しのオン/オフの切換えは、構成要素の寿命を短くしてしまう。その上、あるタイプの放射デバイスについて、そのデバイスをオンにする度に、波長安定性などの、初期整定時間が必要となるであろう。この整定時間の必要性は、図4および5に関して記載したように、光源をエネルギーの印加された状態に維持し、光源を異なるプロジェクタに順々に切り換えることによって、なくなる。
【0025】
別の重大な利点は、カラー・シーケンシャル・イメージング・タイプのプロジェクタを使用しながら達成できる効率ともたらされる輝度に関する。このことは、図3の従来のマルチプロジェクタ・システムの照明タイミングを図4の本発明の実施の形態と比較することによって容易に示される。図6のタイミング図は、図3に示されたようなカラー・シーケンシャル・イメージング・プロジェクタ装置を使用した従来のステッチ・イメージ・プロジェクション・システムの動作の順序を示す。ここでは、プロジェクタ10aの照射源14rを考えると、赤の照明は時間の1/3しか必要なく、この照明源から利用が見込まれる光の残りの2/3は使用できない。それゆえ、照明周期で必要ないときに、照射源14rをオフにするか、もしくはその光を別の位置に向け直して「消して(damped)」、その光の吸収を必要とし、それにより生成された熱によるエネルギーを無駄使いする。図6に示されるようなプロジェクタ10a,10b,および10cの各々に関する照明のタイミングを考えると、プロジェクタ10a,10b,および10cの各々における照明源14r,14g,および14bの各々に関して、この問題に遭遇する。それゆえ、図3のステッチ・イメージ・プロジェクション・システムの従来の鋼製には、著しい効率の悪さと潜在的な輝度の損失がある。
【0026】
図7のタイミング図を参照すると、先に図4に示されたような、本発明のある実施の形態のカラー・シーケンシャル・イメージング・プロジェクタ11a,11b,および11cを使用したステッチ・イメージ・プロジェクション・システムに関する動作の順序が示されている。最初に赤の照明源14rを考えると、その照明は、プロジェクタ11a,11b,および11cの各々の間で多重化されまたは共有され、異なる時間間隔中に各プロジェクタのチャンネルに別々に提供されるのが分かる。時間t1とt2との間の時間間隔中に、赤の照明はプロジェクタ11aに切り換えられる。時間t2とt3との間の時間間隔中に、赤の照明はプロジェクタ11cに切り換えられる。時間t3とt4との間の時間間隔中に、赤の照明はプロジェクタ11bに切り換えられる。次いで、この切換え周期が繰り返され、よって、任意の時間間隔に亘り、1つの照明源からの赤の照明が、プロジェクタ11a,11b,および11cの内の1つにおける変調のための光を提供するのに使用される。この同じ周期パターンが、照明源14gおよび14bからの照明ビームについても繰り返されるのが図7から分かる。それゆえ、照明源14r,14g,および14bのいずれも、イメージング中にオフにしてはならず、これらの照明源からの出力光の実質的に全てが使用される。構成要素の寿命は、オン/オフの切換えの繰返しによって損なわれない。
【0027】
図7のタイミングの実施例において、図1を参照して先に説明された単色成分画像を思い起こすと、プロジェクタ11aから投影された合成画像の第1のフレームは、一連のR,G,およびBの成分画像により形成される。プロジェクタ11bから投影された合成画像の第1のフレームは、一連のG,B,およびRの成分画像により形成される。プロジェクタ11cから投影された合成画像の第1のフレームは、一連のB,R,およびGの成分画像により形成される。あるいは、成分画像は、例えば、毎秒30回より速いなどの、人の目の検出可能な応答を超える順序で形成され、投影されるので、それぞれのプロジェクタ11a,11b,および11cに関する合成画像10a,20b,および20cの各々を、R−G−B配列の合成画像の順序で形成することができる。このタイミングが使用される場合、合成画像は時間がずらされる。この交互のタイミング構成に関して、図7の実施例のタイミングを使用すると、プロジェクタ11aからの合成画像を形成する全3成分のカラーフレームが、t1からt4の期間に亘り生成され、投影されるであろう。一方で、プロジェクタ11cからの合成画像の全3成分のカラーフレームは、t2からt5の期間に亘り形成されるであろう。G−R−B、またはB−R−Gなどの代わりの順序を同様に使用して差し支えないことが認識されるであろう。
【0028】
図6および7に示されたタイミング順序では、各照明カラーについて等しい1/3の負荷周期を使用している。実際には、赤、緑および青の色について異なる持続期間の代わりの負荷周期を使用しても差し支えない。しかしながら、もたらされる効率は、それぞれのカラーチャンネルに使用される最長と最短の時間分の間の時間差などの要因により制限されるであろう。本発明の装置および方法を使用して、負荷周期を変動させる必要が低減するまたはなくなることが都合よい。3つの照明カラーのいずれに異なる時間間隔を提供することは、いくつかの従来のカラー・シーケンシャル・プロジェクタについて弱い光のチャンネルからの加えられた効果的な出力のために以前に使用された方策であった。しかしながら、各波について1つだけの照明源がプロジェクタ間で共有されるので、本発明の実施の形態については、より強力な照明源を使用することができ、負荷周期を変動させる必要性がなくなるかまたは最小になる。
【0029】
ステッチ・イメージを表すための図7のタイミング順序を実施するために、制御論理および同期化タイミングが必要である。図8は、図4に示されるような本発明の実施の形態のカラー・シーケンシャル・イメージング・プロジェクタ装置を使用したステッチ・イメージ・プロジェクション・システムに関する制御論理の配線を示す概略図である。図8の実施の形態において、プロジェクタ11a,11b,および11cの各々は、そのプロジェクタ・チャンネルとして働く単一入力チャンネルを有する。これは、MUX25によってある時に対応するプロジェクタに切り換えられる1つの赤、青、または緑のカラーチャンネルに対応する。あるいは、プロジェクタ11a,11b,および11cのいずれが、別々の赤、緑、および青の入力を有しても差し支えない。この代わりの構成では、ある場合には、既存のカラー・シーケンシャル・エレクトロニック・プロジェクタ設計を使用することができる。
【0030】
コンピュータ、マイクロプロセッサ、または他の専用の画像プロセッサなどの、ことによると1つ以上のネットワーク化されたプロセッサを含む制御処理装置28が、画像データがプロジェクタ11a,11b,および11cの各々に提供されるタイミングおよび光マルチプレクサ25によって行われるカラーチャンネルの切換えの対応するタイミングを制御する。画像投影を調整し、画像が、隣接するところで互いにどのようにステッチされるかを制御するためのステッチ画像アルゴリズムも、制御処理装置28により実行される。
【0031】
本発明の装置および方法により、ステッチ・イメージおよび他のタイプのプロジェクタ・システムの部品数、パッケージングの複雑さ、要求されるサイズ、およびプロジェクタの設計費用を著しく減少させることができる。これは主に、本発明のステッチ・イメージ・プロジェクション・システム50(図4)におけるプロジェクタ11a,11b,および11cには、カラー・シーケンシャル・プロジェクタに関する従来の図3の構成に要求されるような、別々の照明源が必要ないからである。代わりに、プロジェクタ11a,11b,および11cの各々は、同じ外部の赤、緑、および青の照明源からの照明を受光するように適合されている。これにより得られる追加の利点の1つは、プロジェクタ内の発熱に関する。この発熱は、どのタイプの固体または他の光源を他の構成要素と共にパッケージングするときにも問題となり得る。本発明の方法および装置では、プロジェクタの筐体内からこの潜在的な発熱源が取り除かれる。周囲の構成要素および例えば、投影光学素子における熱を補償する問題も簡単になる。例えば、レーザを使用する場合、レーザ・コンポーネントのみを収容するための別個の囲いまたは筐体を使用することができ、熱管理および冷却コンポーネントは、プロジェクタの筐体から離れたある位置に適切に設けられる。
【0032】
本発明の装置および方法は、LEDおよびレーザなどの固体光源を含む数多くのタイプの照明源に使用することができる。レーザ照明の使用には、広帯域光源よりまさる、高効率と高輝度および改善された色域を含む特別な利点があり得る。あるいは、ガス、調整可能な染料、またはファイバレーザなどの他の非固体タイプのレーザを使用しても差し支えない。
【0033】
先に与えられた説明は、隣接した表示される3以上の別々に形成された画像からより大きな画像またはパノラマ式の画像を提供するステッチ・イメージ・プロジェクション・システムに焦点を当てているが、プロジェクタ間で照明源を切り換えるためのこの同じ装置と方法を、前面または背面投影によりカラー画像を形成する他のタイプのマルチプロジェクタの会場のために使用して差し支えない。異なるプロジェクタから投影される画像は、例えば、隣接していても、重畳されていても、または互いから離れていても差し支えない。
【0034】
使用される照明色の数とシステムにおけるプロジェクタの数とが1:1で対応する場合、イメージ・プロジェクション・システムには、効率および輝度の改善が最も明白である。本発明の装置および方法は、3つ以上のプロジェクタが設けられる場合、例えば、赤色、緑色、青色、および黄色の光を使用したものなどの四色プロジェクション・システムに使用しても差し支えない。5色以上のプロジェクタ装置を使用しても差し支えない。色の数は、改善された輝度および効率から恩恵を受けるために、プロジェクタの数と少なくとも等しいかまたはそれを超えなければならない。
【0035】
本発明を、現在好ましい実施の形態を特に参照して詳しく説明してきたが、本発明の精神および範囲内で改変および変更を行えることが理解されよう。したがって、ここに開示された実施の形態は、全ての点で、例証であって、制限ではないと考えられる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により表され、その同等物の意味および範囲内に入る全ての変更が、その中に包含されることが意図されている。
【0036】
それゆえ、提供されているものは、固体光源を使用したイメージング・システムにおいて複数光源により同時照明するための装置および方法である。
【符号の説明】
【0037】
10a,10b,10c,11a,11b,11c プロジェクタ
12,12r,12g,12b 光変調器
14r,14g,14b 照明源
16 色合成要素
18 光導波路
20a,20b,20c 画像
25 光マルチプレクサ
28 制御処理装置
32 投影スクリーン
34 切換え要素
40,50 ステッチ・イメージ・プロジェクション・システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像を形成するための装置であって、
各々が、それぞれ、第1、第2、または第3の波長域の連続照明を光マルチプレクサに提供するように作動可能な、少なくとも第1、第2、および第3の照明源を備え、
前記光マルチプレクサが、前記少なくとも第1、第2、および第3の照明源の内の各1つから受光した光を、次には、少なくとも第1、第2、および第3のプロジェクタ・チャンネルの内の各1つに、反復順序で、周期的に切り換えるように作動可能であり、
前記第1のプロジェクタ・チャンネルが第1のプロジェクタ装置に接続され、前記第2のプロジェクタ・チャンネルが第2のプロジェクタ装置に接続され、前記第3のプロジェクタ・チャンネルが第3プロジェクタ装置に接続され、
前記プロジェクタ装置の各々が、前記光マルチプレクサから各自のプロジェクタ・チャンネルに周期的に切り換えられる前記第1、第2、または第3の波長域の光から画像を形成するように動作可能な光変調器を備えていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも第1、第2、および第3の照明源の内の少なくとも1つが固体光源であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも第1、第2、および第3の照明源の内の少なくとも1つがレーザであることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも第1、第2、および第3の照明源の内の少なくとも1つが、ランプから濾波された光を使用することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記光変調器が、デジタル・マイクロミラー・アレイ、液晶デバイスおよび、走査型回折格子からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも第1、第2、および第3のプロジェクタ・チャンネルの内の少なくとも1つが光導波路を含み、該光導波路が、光ファイバ導波路および液体光導波路からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記光マルチプレクサが、前記受光した光を前記少なくとも第1、第2、および第3のプロジェクタ・チャンネルの各々に切り換えるための微小電気機械要素を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記光マルチプレクサが、前記受光した光を前記少なくとも第1、第2、および第3のプロジェクタ・チャンネルの各々に切り換えるための電気光学または音響光学要素を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
カラー画像を形成するための装置において、
各々が、それぞれ、第1、第2、または第3の波長域の連続照明を提供するように作動可能な、少なくとも第1、第2、および第3の照明源を備え、
各々が前記少なくとも第1、第2、および第3の照明源から提供された照明を受光するように適合された少なくとも第1、第2、および第3のプロジェクタ装置であって、各々が、前記第1、第2、および第3の波長域の第1、第2、および第3の成分画像からなる合成カラー画像を形成するように動作可能な1つの光変調器を備えたプロジェクタ装置、および
前記第1、第2、および第3の照明源の各々から光を受光するように配置され、前記受光した光を前記少なくとも第1、第2、および第3のプロジェクタ装置の各々に反復順序で周期的に切り換えるように作動可能な光マルチプレクサ、
を備えた装置。
【請求項10】
前記少なくとも第1、第2、および第3の照明源の内の少なくとも1つが固体光源であることを特徴とする請求項9記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−171295(P2011−171295A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−12627(P2011−12627)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【復代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
【Fターム(参考)】