説明

視覚センサ装置

【課題】 車両のフロントバンパーに配設することが好適であり、商品性が高い視覚センサ装置を提供する。
【解決手段】 光学部材21は、透光性材料からなり、所定視野範囲Sの周囲光Lが入射する入射面26aを有する。反射部材25は、光学部材21と一体的に設けられ、周囲光Lを反射させる。撮像手段23は、反射部材25で反射された周囲光Lを撮像する。発光素子30は、所定視野範囲S外に配設される。蓋体32は、透光性材料からなり、発光素子30を覆う。光学部材21の入射面26aには誘電体膜29が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広範囲の周囲光を反射部材で反射させ、CCD(Charge
Coupled Device)等の撮像手段によって撮像する視覚センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、全方位視覚センサが種々提案されており、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。斯かる全方位視覚センサ1は、双曲面形状の反射ミラー2で周囲光を反射させ、CCD等の撮像素子3によって周囲の様子を撮像するものである(図4参照)。
【0003】
撮像素子3は回路基板4上に搭載されており、撮像素子3が搭載された回路基板4はケース体5の底壁部5aに配置されている。ケース体5の側壁部5bには、透光性材料からなる円筒状の筒体6が設けられており、この筒体6の内部に反射ミラー2が配置されている。筒体6の上部開口6aには蓋体7が配設されており、この蓋体7に反射ミラー2が固定されている。反射ミラー2は、双曲面形状になっており、前記双曲面形状の頂点を下向きにして、蓋体7から垂下するように配置されている。
【0004】
しかし、全方位視覚センサ1は、部品数が多いため、安価に提供することができないという問題を有していた。つまり、透光性材料からなる筒体6は、光学的には何ら作用を有しないのであるから、この筒体6を無くすことができれば、部品数を低減できる。そこで、本願出願人は、部品数が少なく安価に製造することが可能な視覚センサ10を提案した(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平10−160463号公報
【特許文献2】特開2000−128031号公報
【特許文献3】特開2005−109786号公報
【0005】
斯かる視覚センサ10は、光学部材11と、ケース体12と、撮像素子13と、回路基板14と、反射層15とから構成されるものである(図5参照)。周囲光Lは、入射面16aから入光部16の内部に入射し、反射層15で反射され、導光部17によって撮像素子13に導かれる。反射層15で下方に反射された周囲光Lは、出射面17bから出て、撮像素子13によって撮像される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した視覚センサを更に改良し、商品性が高い視覚センサ装置を提供するものであり、特に、車両のフロントバンパーに配設することが好適な視覚センサを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1に記載したように、所定視野範囲Sの周囲光Lが入射する入射面26aを有する透光性材料からなる光学部材21と、前記光学部材21と一体的に設けられ前記周囲光Lを反射させる反射部材25と、前記反射部材25で反射された前記周囲光Lを撮像する撮像手段23と、前記所定視野範囲S外に配設された発光素子30と、を有するものである。
【0008】
また、本発明は、請求項2に記載したように、透光性材料からなり前記発光素子30を覆う蓋体32を有するものである。
【0009】
また、本発明は、請求項3に記載したように、前記光学部材21の前記入射面26aに誘電体膜29が形成されているものである。
【発明の効果】
【0010】
視覚センサ装置に発光素子を設けたことにより商品性が向上し、且つ、前記発光素子を所定視野範囲外に配置したことにより、前記発光素子が発した光が撮像手段に入射する虞がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付の図面に基づいて、本発明の一実施形態について説明する。視覚センサ装置20は、光学部材21と、ケース体22と、撮像素子23(撮像手段)と、回路基板24と、反射層25(反射部材)とを備えている。
光学部材21は、中実な透光性樹脂(例えばポリカーボネート)からなるものであり、入光部26及び導光部27を有している。光学部材21の入光部26は、周囲光Lが入射する入射面26aと、双曲面形状の凹部26bとを有している。
【0012】
光学部材21の入射面26aには、誘電体膜29が形成されている。誘電体膜29は、波長選択性を有するものであり、赤外線を透過させずに、可視光線だけを透過させるものである。光学部材21の凹部26bには、アルミニウム(Al)からなる反射層25が形成されている。反射層25は、蒸着等の方法によって凹部26bにコーティングされてなるものである。
【0013】
光学部材21の導光部27は、反射層25で反射された周囲光Lを撮像素子23に導くものであり、略円柱形状になっている。導光部27は、円筒形状の外周面27aと、撮像素子23に対向する出射面27bとを有している。視覚センサ装置20は視野範囲Sを有しており、前記視野範囲Sの周囲光Lは、入射面26aから入光部26の内部に入射し、反射層25で反射され、導光部27によって撮像素子23に導かれる。
【0014】
ケース体22は、底壁部22aと、円筒状の側壁部22bとからなり、側壁部22bに光学部材21が固定されている。撮像素子23は回路基板24上に実装され、ケース体22の底壁部22bに固定されている。
光学部材21の上面には、発光ダイオード30(発光素子)が搭載された回路基板31が配設されており、発光ダイオード30及び回路基板31は、蓋体32に覆われている。蓋体32は透光性樹脂(例えばポリカーボネート)からなるものであり、発光ダイオード30が発した光が透過する。
【0015】
視覚センサ装置20は、支持部材33を介して、車両Vのフロントバンパー34に取付けられ、車両の周囲にある障害物の認識等に利用される(図3参照)。発光ダイオード30が発した光は、車両Vのフロントバンパー34の位置を示す指標になる。
【0016】
本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能であり、例えば、誘電体膜29は、入射面26aでなく、出射面27bに形成しても良い。また、反射部材は凹部26bにコーティングされた反射層25であったが、金属薄板からなる反射部材を光学部材21にインサート成形しても良い。また、反射層25は、双曲面形状に限定されるものではなく、例えば円錐形状であっても良い。また、撮像手段はCCD等の撮像素子23であったが、例えばCMOSカメラであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態を示す断面図。
【図2】同上実施形態を示す断面図。
【図3】同上実施形態を示す概観図。
【図4】従来例を示す断面図。
【図5】他の従来例を示す断面図。
【符号の説明】
【0018】
21 光学部材
23 撮像素子(撮像手段)
25 反射層(反射部材)
26a 入射面
29 誘電体膜
30 発光ダイオード(発光素子)
32 蓋体
S 視野範囲
L 周囲光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定視野範囲の周囲光が入射する入射面を有する透光性材料からなる光学部材と、前記光学部材と一体的に設けられ前記周囲光を反射させる反射部材と、前記反射部材で反射された前記周囲光を撮像する撮像手段と、前記所定視野範囲外に配設された発光素子と、を有することを特徴とする視覚センサ装置。
【請求項2】
透光性材料からなり前記発光素子を覆う蓋体を有することを特徴とする請求項1に記載の視覚センサ装置。
【請求項3】
前記光学部材の前記入射面に誘電体膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の視覚センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−135894(P2008−135894A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319401(P2006−319401)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】