説明

記録装置及び記録方法

【課題】複数の記録媒体に対して同時に記録された画像データを消去する際に、一方の記録媒体から簡単に消去することができるようにする。
【解決手段】 複数の記録媒体に同じ動画を同時に記録する同時記録モードにおいて、複数の記録媒体に同時に記録した同一の画像データに対して、最終クリップの消去指示があった場合、決められた条件に基づいて一方の記録媒体を自動的に選択し、選択した記録媒体から最終クリップを消去するようにして、各記録媒体から同時に記録された画像データを探した後、消去する手間を不要にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置及び記録方法に関し、特に、複数の記録媒体に同じ動画を同時に記録する記録装置に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像信号や音声信号を記録媒体に記録する記録装置が知られている。また、複数の記録媒体に対して同一の画像を同時に記録する機能を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。この様に、複数の記録媒体に同じ画像を記録しておくことにより、一部の記録媒体に記録された画像が正しく再生されない場合、他の記録媒体から同じ画像を再生することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−231420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の記録媒体に対して同時に記録された画像を消去する場合、ユーザは、各記録媒体から同時に記録された画像を探した後、それぞれ消去する必要があり、大変手間がかかる問題点がある。
【0005】
また、二つの記録媒体に対して同時に記録した画像のうち、一方の記録媒体から消去し、他方を消去せずに残しておきたい場合がある。この場合にも、ユーザは、消去したい画像が記録された記録媒体から画像を再生して同時に記録された画像を探した後、消去する必要があった。
本発明は前述の問題点に鑑み、複数の記録媒体に対して同時に記録された画像データを消去する際に、一方の記録媒体から簡単に消去することができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の記録装置は、動画データを入力する入力手段と、前記入力手段により入力された動画データを複数の記録媒体に記録するとともに、前記複数の記録媒体に記録された動画データを消去する記録媒体制御手段と、同時記録モードにおいて、前記入力手段により入力された動画データを前記複数の記録媒体に対して同時に記録するように前記記録媒体制御手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記複数の記録媒体それぞれに記録された複数のクリップの動画データのうち、最後に記録された最終クリップが前記同時記録モードで記録されていた場合、所定の条件に基づいて前記複数の記録媒体の一つを選択し、前記選択した記録媒体から前記最終クリップの動画データを消去するように前記記録媒体制御手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の記録媒体に対して同時に記録された画像を、一方の記録媒体から簡単に消去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る記録装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の最終クリップ消去処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施形態の最終クリップ消去処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】第3の実施形態の最終クリップ消去処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】第4の実施形態の最終クリップ消去処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る記録装置100の構成例を示すブロック図である。
図1において、入力部101は、動画データや音声データを取得して出力する。本実施形態では、入力部101は記録装置100の外部から供給された動画データや音声データを入力するが、入力部101を撮像部やマイクロフォンを含む構成とし、撮影された動画やマイクにより音声データを取得する構成としてもよい。
【0010】
制御部102は、ユーザインターフェース(UI)103からの入力に応じて記録装置100の動作全体を制御する。制御部102はマイクロコンピュータやメモリ等を含み、不図示のメモリに記憶されたプログラムに従って記録装置100を制御する。また、制御部102は、記録媒体制御部106との間でデータやコマンドを通信するための記録媒体インターフェイスを内蔵している。
【0011】
UI103は、ユーザにより操作可能な各種のスイッチを含む。そして、UI103は、ユーザによる各種の指示などを受理して制御部102へ通知する。また、UI103は、電源スイッチや記録の開始、停止を指示するためのスイッチ、記録装置100のモードを切り替えるためのスイッチ等を含む。
【0012】
信号処理部104は、記録時においては、入力部101により入力された動画データや音声データをMPEG等の公知の符号化形式に従って符号化して、その情報量を圧縮する。また、動画データや音声データを記録するために必要な処理を施す。また、信号処理部104は、再生時においては、再生された動画データや音声データを復号し、その情報量を伸張する。また、信号処理部104は、記録時において、符号化された動画データや音声データの符号量(データ量)の情報を制御部102に出力する。
【0013】
メモリ105は、動画データや音声データを記憶する。記録装置100の各ブロックは、メモリ105に対してアクセスすることにより、必要な動画データや音声データを処理する。また、メモリ105は、動画データや音声データの他に、ファイルシステムの情報や、管理情報など、各種の情報を記憶し、更に、制御部102による制御のためのワークメモリ等の役割を果たす。
【0014】
記録媒体制御部106は、記録媒体108、109に対し、動画データや音声データ、或いは、各種の情報を記録し、再生する。記録媒体制御部106は、記録時においては、メモリ105に蓄積された動画データや音声データを記録媒体108や109に記録する。また、記録媒体制御部106は、再生時においては、記録媒体108や記録媒体109から動画データや音声データを再生し、メモリ105に記憶する。本実施形態では、記録媒体108、109は互いに独立した、別の記録媒体として構成され、ハードディスク(HDD)、フラッシュメモリカード等、ランダムアクセスの記録媒体である。
【0015】
また、記録媒体制御部106は、記録媒体108、109に記録する動画、音声データや、各種の情報を、FAT(File Allocation Table)等のファイルシステムに従い、ファイルとして管理する。また、記録媒体制御部106は、ATA(AT Attachment)等の公知のインターフェイス(IF)を有し、制御部102における記録媒体IFとの間でデータや各種のコマンドを通信する。また、記録媒体制御部106は、各記録媒体108、109が装着されているか否かを検出し、制御部102に知らせる。また、不図示の装着、排出機構により、記録装置100に対して記録媒体108、109を容易に装着、排出することができるように構成するが、記録装置100に各記録媒体108、109或いは何れか一方が内蔵される構成でもよい。
【0016】
制御部102は、記録媒体108、109に対して動画ファイルの書き込み、読み出しを行う場合、記録媒体制御部106を制御して、記録媒体108、109から、ファイルシステムデータ(管理データ)を再生してメモリ105に記憶する。このファイルシステムデータは、記録媒体108、109に記録されたデータのファイル名やファイルのサイズ、データの記録アドレスなどを示すデータであり、ファイルを管理するための管理情報である。
【0017】
そして、制御部102は、読み出したファイルシステムデータに従ってファイルの書き込み、読み出しを制御する。制御部102は、記録媒体108、109へのファイルの書き込みに応じて、メモリ105に記憶されたファイルシステムデータを更新する。そして、更新したファイルシステムデータを、記録媒体制御部106により記録媒体108、109に記録する。また、制御部102は、記録媒体108、109に記録された各動画ファイルに関する管理ファイルを生成する。管理ファイルは、各動画ファイルのサイズ(情報量)や、後述の同時記録モードで記録されたことを識別するためのモード情報、或いは、UUIDなどの情報を含む。
【0018】
本実施形態では、記録媒体108、109に対して記録する動画ファイルに対し、汎用一意識別子(UUID:Universal Unique IDentifier)を生成する。UUIDは各動画ファイルを一意に識別するための識別情報であり、制御部102は、新たに動画ファイルを作成する度に、異なる値のUUIDを生成する。そして、UUIDの情報を各動画ファイルに対応づけて管理ファイルに格納し、各記録媒体108、109に記録する。そのため、記録媒体108、109に記録されたUUIDの値を確認すれば、各動画ファイルを容易に識別することができる。
【0019】
また、ユーザは、UI103を操作することにより、記録装置100の動作モードの切り替え、あるいは、動画データの記録開始、停止などを指示することができる。また、本実施形態では、二つの記録媒体108、109が装着されている場合、ユーザは、UI103を操作して、一方の記録媒体を任意に選択し、この選択した方の記録媒体に対して動画データを記録する。更に、本実施形態では、二つの記録媒体108、109が装着されている場合には、これら二つの記録媒体108、109に対して同時に入力された動画データを記録するように指示することも可能である。
【0020】
また、出力部107は、再生された動画データや音声データを記録装置100の外部の表示装置などに出力する。表示制御部110は、制御部102からの指示により動画や各種の情報を生成し、液晶パネル等の表示部111に出力する。データバス112は、記録装置100の各部の間でデータや各種の制御コマンドなどを送受信するために用いられる。
【0021】
次に、本実施形態の記録装置100における記録動作について説明する。
まず、UI103から動画データの記録モードへ移行する指示を受けると、制御部102は記録装置100を記録待機状態へ遷移し、記録開始の指示を待つ。また、電源投入時、或いは、記録待機状態において、記録媒体制御部106より記録媒体108、109が装着されたことが知らされると、記録媒体制御部106に対し、マウント処理を実行する様に指示する。
【0022】
記録媒体制御部106は、マウント処理の指示を受けると、記録媒体108、109のコントローラと通信を行い、ファイルシステムデータを読み出し、その内容を確認することで、記録媒体108、109に対して正常に記録再生が可能であることを確認する。このとき、記録媒体108、109の残量などの情報も確認する。また、記録媒体制御部106は、マウント処理において、記録媒体108、109より、各記録媒体の書き込み速度に関する情報を読み出し、メモリ105に記憶する。
【0023】
また、ファイルシステムデータによる確認処理が完了すると、記録媒体制御部106は、各記録媒体108、109より管理ファイルを読み出して、メモリ105に送る。また、記録媒体108、109が記録装置100より排出されると、記録媒体制御部106はその旨を制御部102に知らせる。制御部102は、排出された記録媒体に関するファイルシステムデータと管理ファイルをメモリ105より消去し、無効とする。
【0024】
この様に記録媒体108、109のマウント処理が完了した後、記録待機状態において、入力部101から入力された動画データに係る動画を表示部111に表示する。UI103から記録開始の指示が入力されると、信号処理部104は、入力部101により入力されてメモリ105に記憶された動画データと音声データを読み出して、動画データと音声データの符号化を開始する。そして、信号処理部104により、符号化されたデータをメモリ105に記憶する。
【0025】
本実施形態では、信号処理部104により符号化されたデータのデータレートは、記録媒体108、109に対して記録可能なデータレートよりも低い。そのため、本実施形態では、符号化データを一旦メモリ105に記憶する。そして、メモリ105に記憶された符号化データのデータ量が第1の所定量に達する毎に、記録媒体制御部106は、メモリ105から符号化データを読み出して、記録媒体108、109のうち、ユーザに選択された方の記録媒体に記録する。
【0026】
そして、メモリ105に記憶された符号化データが第1の所定量よりも少ない第2の所定量まで減少した時点でメモリ105からの符号化データの読み出しを一時停止し、記録媒体108、109に対する記録処理を中断する。このようにして処理を繰り返す。このとき、ファイルを開いていない場合は、新規に符号化データを記録するファイルを作成して開き、符号化データを動画ファイルとして記録する。
【0027】
そして、制御部102は、記録媒体に対する1回の書き込みが完了する度に、今回書き込まれた符号化データの記録位置などに基づいて、メモリ105に記憶されたファイルシステムデータ(管理情報)を更新する。そして、制御部102は、記録媒体制御部106を制御して、更新されたファイルシステムデータをメモリ105から読み出して、記録媒体に記録する。
【0028】
また、制御部102は、記録装置100の固体番号や、記録日時、予め用意された乱数などを組み合わせ、公知の方法で所定ビット長の数値を持つUUIDを生成し、メモリ105に記憶された管理ファイルに格納する。制御部102は、記録開始の指示を受けて、新たに動画ファイルを作成する度に異なる値のUUIDを生成する。また、後述の様に、二つの記録媒体108、109に対し、同時に同じデータを記録する場合、各動画ファイルに対して同じ値を持つUUIDを付加する。また、制御部102は、記録開始の指示を受けて、新たに動画ファイルを作成する度に、この動画ファイルのファイル名、或いはファイル番号の情報を、最後に記録された最終クリップ情報としてメモリ105に記憶する。
【0029】
動画の記録中に、UI103から記録停止の指示を受けた場合は、制御部102は信号処理部104による動画データの符号化を停止し、記録媒体制御部106により記録中のファイルを閉じる。そして、今回、記録開始の指示から記録停止の指示までの間に記録した複数の動画ファイルを、記録した順に再生するように管理ファイル(制御情報)による再生順序を変更し、記録媒体に記録するよう、記録媒体制御部106に指示する。本実施形態では、符号化データを複数のファイルに分割して記録した場合に、記録開始の指示から記録停止の指示までの間に記録した一連の動画を記録した複数のファイルを一つのクリップ(シーン)として管理する。このように、二つの記録媒体108、109のうち、選択された記録媒体に対する動画データの記録が行われる。
【0030】
次に、再生時の処理を説明する。
UI103により再生モードの切り替え指示があると、制御部102は、記録媒体制御部106に対し、記録媒体108、109のうち、選択された方の記録媒体に記録された複数のシーンを検出する。そして、各シーンの先頭の動画ファイルを再生し、その先頭の一画面を信号処理部104により復号して、メモリ105に記憶する。そして、信号処理部104により、復号された先頭画面の画像信号を縮小し、各シーンの代表画像を生成する。そして、複数のシーンの代表画像からなるインデックス画面を生成し、表示部111に表示する。
【0031】
ユーザは、UI103を操作して、インデックス画面に表示された代表画像から所望の代表画像を選択し、再生を指示する。制御部102は、再生指示があると、選択された代表画像に対応するシーンの1以上の動画ファイルを再生するように、記録媒体制御部106を制御する。記録媒体制御部106は、指定されたシーンの動画ファイルを記録媒体から再生する。信号処理部104は、再生された動画ファイルを復号し、表示制御部110に出力すると共に、出力部107より外部に出力する。
【0032】
次に、同時記録について説明する。
本実施形態では記録媒体108、109の一方を選択し、選択された記録媒体に対して動画ファイルを記録する通常記録モードに加え、同時記録モードを有する。同時記録モードにおいては、二つの記録媒体108、109に対して、入力部101より入力された動画データと音声データとを同時に記録する。この場合、各記録媒体108、109に対して同じ符号化データを記録するため、各記録媒体でファイル分割されるタイミングは同一となる。従って、記録されるファイルも同一のものとなる。
【0033】
記録待機状態において、ユーザがUI103を操作して、同時記録モードを設定すると、制御部102は、二つの記録媒体108、109を共に記録先の記録媒体として指定する。この状態でユーザがUI103を操作して、記録開始の指示を入力すると、制御部102は信号処理部104を制御し、入力部101により入力されてメモリ105に記憶された動画データと音声データを読み出して、動画データや音声データの符号化を開始する。
【0034】
信号処理部104は、符号化されたデータをメモリ105に記憶する。次に、制御部102は、各記録媒体に対して新規に動画ファイルを作成し、各記録媒体に生成した動画ファイルに符号化データを書き込むよう記録媒体制御部106に指示する。また、制御部102は、UUIDを生成し、メモリ105の管理ファイルに格納する。記録媒体制御部106は、マウント処理の際に各記録媒体から読み出した管理ファイルをそれぞれメモリ105に記憶する。
【0035】
そして、同時記録の際には、各記録媒体108、109の管理ファイルに対してそれぞれUUIDの情報を格納する。更に、制御部102は、同時記録モードで記録された動画ファイルであることを識別するためのモード情報を生成し、各記録媒体108、109の管理ファイルに対し、それぞれモード情報を記録中の動画ファイルに対応づけて格納する。
【0036】
この様にして各記録媒体108、109に対して動画ファイルの記録が行われる。制御部102は、動画ファイルの記録中にUI103より記録停止の指示があると、信号処理部104による動画と音声の符号化を停止すると共に、記録媒体制御部106に対して記録停止を指示する。
【0037】
記録媒体制御部106は、記録停止の指示に応じて、各記録媒体108、109に記録中のファイルを閉じて、記録を停止する。そして、制御部102は、メモリ105に記憶された管理ファイルに格納された再生順序の情報を変更する。そして、制御部102は、前述の様に、UUIDとモード情報を含む管理ファイルを各記録媒体108、109に記録するよう、記録媒体制御部106に指示する。記録媒体制御部106は、メモリ105より管理ファイルを読み出し、記録媒体108、109に記録する。
【0038】
また、制御部102は、同時記録モードにおいても、記録開始の指示を受けて、新たに動画ファイルを作成すると、各記録媒体108、109に作成した動画ファイルのファイル名、或いはファイル番号の情報を検出する。そして、この動画ファイルのファイル名、或いはファイル番号の情報を、各記録媒体108、109の最終クリップ情報としてメモリ105に記憶する。
【0039】
なお、本実施形態では、制御部102は、記録モード(通常記録モードと同時記録モードを含む)から再生モードへの切り替え指示、或いは、電源オフの指示に応じて、メモリ105に記憶された最終クリップ情報を消去し、無効としている。また、制御部102は、記録媒体108、109が記録装置100より排出された場合も、排出された記録媒体に関する最終クリップ情報をメモリ105より消去する。
【0040】
また、本実施形態では、記録待機状態、或いは、再生モードの何れかにおいて、ユーザがUI103を操作し、記録媒体108、109に記録された動画ファイルのうち所望の動画ファイルに対してマークを付加することができる。マーク付加が指示された場合、制御部102は、ユーザが選択した動画ファイルのファイル名、或いはファイル番号と、マーク情報とを画像データに対応づけてメモリ105の管理ファイルに格納する。そして、所定のタイミングでこの管理ファイルを記録媒体108、109に記録するように記録媒体制御部106に指示する。
【0041】
再生時には、制御部102により、管理ファイルに格納されたマーク情報に基づいて、ユーザが指定したファイルを簡単に検索して、ファイル名の情報などを表示部111に表示させることができる。
【0042】
次に、本実施形態における最終クリップの消去処理について説明する。
図2は、最終クリップの消去処理を示すフローチャートである。なお、図2の処理は制御部102が各部を制御することにより実行される。
撮影待機状態において、UI103より最終クリップ消去の指示があると、図2の処理が開始される。
【0043】
まず、制御部102は、メモリ105に各記録媒体108、109に対応した最終クリップ情報が記憶されているかどうかを検出する(S201)。両方の記録媒体に対応した最終クリップ情報がメモリ105に記憶されていた場合、制御部102は、各記録媒体の最終クリップが同時記録モードで記録されたか否かを判別する(S202)。この判別は、メモリ105に記憶された最終クリップ情報と各記録媒体の管理ファイルのモード情報とに基づいて行う。
【0044】
各記録媒体の最終クリップが同時記録モードで記録されていた場合、各記録媒体の最終クリップは同時に記録された動画ファイルである。そして、制御部102は、メモリ105に記憶された管理ファイルに基づいて、何れかの記録媒体の最終クリップの動画ファイルの情報を検出する(S203)。
【0045】
そして、制御部102は、この最終クリップの動画ファイルの情報からこの動画ファイルのサイズを検出し、各記録媒体から最終クリップの動画ファイルを消去した後の記録可能時間をそれぞれ算出する(S204)。例えば、制御部102は、各記録媒体の記録残量に最終クリップの動画ファイルのサイズを加え、これを動画データと音声データのデータレートで割ることにより、記録可能時間を算出する。
【0046】
そして、制御部102は、各記録媒体の間で、記録可能時間の差が所定値以上であるか否かを判別する(S205)。記録可能時間の差が所定値以上であった場合、制御部102は、二つの記録媒体108、109のうち、記録可能時間が長い方を選択する(S206)。そして、制御部102は、記録媒体制御部106に対し、選択した方の記録媒体から、最終クリップの動画ファイルを消去する様に指示する(S207)。
【0047】
記録媒体制御部106は、指定された最終クリップの動画ファイルを選択された方の記録媒体から消去する。消去が完了すると、制御部102は、表示制御部110に対し、消去完了を示す画面を表示部111に表示する様に指示する(S208)。そして、制御部102は、選択した記録媒体に対応した最終クリップ情報をメモリ105から消去する(S209)。
【0048】
また、S201で、何れか一方の記録媒体に対応した最終クリップ情報しか記録されていない場合、制御部102は、この最終クリップ情報に対応する記録媒体を選択する(S210)。ここで、一方の記録媒体だけが装着されて動画ファイルが記録された場合、電源投入後、或いは、記録媒体の装着後、一方の記録媒体に対して動画ファイルが記録された場合などは、一方の記録媒体の最終クリップ情報しかメモリ105に記憶されていない。そのため、制御部102は、S207に進み、S210で選択した記録媒体から最終クリップの動画ファイルを消去する。
【0049】
また、S202で、各記録媒体の最終クリップのうち、少なくとも一方の動画ファイルが同時記録モードで記録されていなかった場合、記録媒体108、109のうち、現在、記録先として選択されている記録媒体を選択する(S211)。ここで、同時記録モードで動画ファイルを記録した後、一方の記録媒体を記録先として選択し、通常記録モードで記録した場合は、一方の記録媒体の最終クリップの動画ファイルが通常記録モードとなっている。
【0050】
また、一方の記録媒体を記録先として選択し、通常記録モードで記録した後、他方の記録媒体に記録先を変更して通常記録モードで記録した場合、各記録媒体の最終クリップの動画ファイルはそれぞれ通常記録モードとなっている。そのため、この場合には、現在、記録先として指定されている方の記録媒体を選択し、S207に進んで、その最終クリップの動画ファイルを消去する。
【0051】
また、S205で、各記録媒体の記録可能時間の差が所定値よりも小さかった場合、制御部102は、二つの記録媒体108、109のうち、所定の記録媒体を選択し(S212)、選択した方の記録媒体から最終クリップの動画ファイルを消去する。なお、本実施形態では、S212においては、記録媒体108を選択するが、記録媒体109を選択する様にしてもよい。
【0052】
この様に、本実施形態では、同時記録モードで二つの記録媒体108、109に対して同時に動画ファイルを記録した後、最終クリップの消去指示があった場合、ユーザの指示を受けること無く、自動的に一方の記録媒体を選択する。そして、選択した方の記録媒体から最終クリップの動画ファイルを消去する。
そのため、ユーザは、同時記録モードで動画を記録した後、簡単な操作で一方の記録媒体から最終クリップの動画ファイルを消去することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態においても、記録装置100の構成、及び記録モード、再生モードの処理は第1の実施形態と同様である。第2の実施形態では、最終クリップの消去処理が第1の実施形態と異なるので、最終クリップの消去処理について説明する。
【0054】
図3は、最終クリップの消去処理を示すフローチャートである。なお、図2の処理は制御部102が各部を制御することにより実行される。図3において、図2と同じ処理については同じ番号を付加し、詳細な説明は省略する。
【0055】
図3において、S202で、各記録媒体108、109の最終クリップの動画ファイルが同時記録モードで記録されていた場合、制御部102は、マウント処理時にメモリ105に記憶されていた書き込み速度の情報に基づいて書き込み速度を検出する(S301)。
【0056】
そして、制御部102は、各記録媒体の間の書き込み速度の差が所定値以上であるか否かを判別する(S302)。書き込み速度の差が所定値以上であった場合、制御部102は、二つの記録媒体108、109のうち、書き込み速度が速い方を選択する(S303)。そして、制御部102は、記録媒体制御部106に対し、選択した方の記録媒体から、最終クリップの動画ファイルを消去する様に指示する(S207)。
【0057】
また、S302で、各記録媒体の書き込み速度の差が所定値よりも小さかった場合、制御部102は、二つの記録媒体108、109のうち、所定の記録媒体を選択し(S212)、選択した方の記録媒体から最終クリップの動画ファイルを消去する。なお、本実施形態では、S212においては、記録媒体108を選択するが、記録媒体109を選択する様にしてもよい。
【0058】
なお、記録媒体108、109としてCFカードを用いた場合、UDMA MODE情報や、VPGなどの情報を用いることで、書き込み速度を検出することが可能である。ここで、UDMA MODE情報は、CFカードに存在するDMAの転送速度を基に規格されたMODE情報である。また、VPGとは、CFカードのSpeedClass書込みを保証する情報である。
【0059】
この様に、本実施形態においても、同時記録モードで二つの記録媒体に対して同時に動画ファイルを記録した後、最終クリップの消去指示があった場合、自動的に一方の記録媒体を選択し、選択した方の記録媒体から最終クリップの動画ファイルを消去する。
そのため、ユーザは、同時記録モードで動画を記録した後、簡単な操作で一方の記録媒体から最終クリップの動画ファイルを消去することができる。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。第3の実施形態においても、記録装置100の構成、及び、記録モード、再生モードの処理は第1の実施形態と同様である。第3の実施形態では、最終クリップの消去処理が第1の実施形態と異なるので、最終クリップの消去処理について説明する。
【0061】
図4は、最終クリップの消去処理を示すフローチャートである。なお、図4の処理は制御部102が各部を制御することにより実行される。図4において、図2と同じ処理については同じ番号を付加し、詳細な説明は省略する。
【0062】
図4において、S202で、各記録媒体108、109の最終クリップの動画ファイルが同時記録モードで記録されていた場合、制御部102は、各記録媒体の動画ファイルのうちマーク情報が付加された動画ファイルの数を検出する(S401)。前述の様に、メモリ105に記憶された各記録媒体の管理ファイルにはマーク情報が動画ファイルに対応づけて格納されている。
【0063】
そのため、制御部102は、このマーク情報に基づいて、マークが付加された動画ファイルの数を検出する。そして、制御部102は、各記録媒体の間で、マークが付加された動画ファイルの総数の差が所定値以上であるか否かを判別する(S402)。マーク数の差が所定値以上であった場合、制御部102は、二つの記録媒体108、109のうち、マークが付加された動画ファイルの数が少ない方の記録媒体を選択する(S403)。そして、制御部102は、記録媒体制御部106に対し、選択した方の記録媒体から、最終クリップの動画ファイルを消去する様に指示する(S207)。
【0064】
また、S402で、各記録媒体のマーク数の差が所定値よりも小さかった場合、制御部102は、二つの記録媒体108、109のうち、所定の記録媒体を選択し(S212)、選択した方の記録媒体から最終クリップの動画ファイルを消去する。なお、本実施形態では、S212においては、記録媒体108を選択するが、記録媒体109を選択する様にしてもよい。
【0065】
この様に、本実施形態においても、同時記録モードで二つの記録媒体に対して同時に動画ファイルを記録した後、最終クリップの消去指示があった場合、自動的に一方の記録媒体を選択し、選択した方の記録媒体から最終クリップの動画ファイルを消去する。
そのため、ユーザは、同時記録モードで動画を記録した後、簡単な操作で一方の記録媒体から最終クリップの動画ファイルを消去することができる。
【0066】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態を説明する。第4の実施形態においても、記録装置100の構成、及び、記録モード、再生モードの処理は第1の実施形態と同様である。第4の実施形態では、最終クリップの消去処理の際、第1〜第3の実施形態で説明した処理をユーザが選択できるようにした。
【0067】
すなわち、本実施形態では、同時記録モードで各記録媒体に記録された最終クリップの動画ファイルのうち、ユーザが選択した条件に従い、最終クリップを消去する記録媒体を選択する。ユーザは、UI103を操作することにより、記録時間、書き込み速度、またはマーク数のいずれかの条件を選択する。制御部102は、選択結果をメモリ105に記憶し、この選択された条件により最終クリップを消去する記録媒体を選択する。
【0068】
図5は、本実施形態における最終クリップ消去処理を示すフローチャートである。なお、図5の処理は制御部102が各部を制御することにより実現される。撮影待機状態において、UI103より最終クリップ消去の指示があると、図5の処理が開始される。
【0069】
まず、制御部102は、ユーザにより設定された条件に基づいて、記録時間優先の条件が設定されているか否かを判別する(S501)。ここで、記録時間優先の条件が設定されていた場合、制御部102は、図2に示す処理を実行する(S502)。
【0070】
また、S501で、記録時間優先の条件でなかった場合、制御部102は、書き込み速度優先の条件が設定されているか否かを判別する(S503)。ここで、書き込み速度優先の条件が設定されていた場合、制御部102は、図3に示す処理を実行する(S504)。また、S503で、書き込み速度優先の条件でなかった場合、制御部102は、図4に示す処理を実行する(S505)。
【0071】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワーク又は各種のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0072】
100 記録装置、101 入力部、102 制御部、103 UI、104 信号処理部、105 メモリ、106 記録媒体制御部、107 出力部、108 記録媒体、109 記録媒体、110 表示制御部、111 表示部、112 データバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画データを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された動画データを複数の記録媒体に記録するとともに、前記複数の記録媒体に記録された動画データを消去する記録媒体制御手段と、
同時記録モードにおいて、前記入力手段により入力された動画データを前記複数の記録媒体に対して同時に記録するように前記記録媒体制御手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記複数の記録媒体それぞれに記録された複数のクリップの動画データのうち、最後に記録された最終クリップが前記同時記録モードで記録されていた場合、所定の条件に基づいて前記複数の記録媒体の一つを選択し、前記選択した記録媒体から前記最終クリップの動画データを消去するように前記記録媒体制御手段を制御することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記複数の記録媒体それぞれの記録可能時間に基づいて、自動的に前記複数の記録媒体の一つを選択することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記複数の記録媒体それぞれの書き込み速度に基づいて、自動的に前記複数の記録媒体の一つを選択することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記記録媒体制御手段は、前記記録媒体に記録された複数の動画データのうち選択された画像データに対応づけて所定のマーク情報を記録し、
前記制御手段は、前記複数の記録媒体それぞれにおいて、前記マーク情報が付加された動画データの数に基づいて、自動的に前記複数の記録媒体の一つを選択することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録媒体制御手段は、複数の前記条件のうちユーザが選択した条件に基づいて前記最終クリップの動画データを消去する記録媒体を選択することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
メモリを備え、
前記制御手段は、前記複数の記録媒体に記録された動画データが前記同時記録モードで記録されたことを識別するためのモード情報と、前記最終クリップの動画データを識別するための最終クリップ情報とを前記メモリに記憶し、前記最終クリップの消去指示があると、前記メモリに記憶された前記モード情報と前記最終クリップ情報とに基づいて、前記複数の記録媒体の最終クリップがそれぞれ前記同時記録モードで記録されているか否かを判別することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項7】
動画データを入力する入力工程と、
前記入力において入力された動画データを複数の記録媒体に記録するとともに、前記複数の記録媒体に記録された動画データを消去する記録媒体制御工程と、
同時記録モードにおいて、前記入力において入力された動画データを前記複数の記録媒体に対して同時に記録するように前記記録媒体制御工程を制御する制御工程とを備え、
前記制御工程は、前記複数の記録媒体それぞれに記録された複数のクリップの動画データのうち、最後に記録された最終クリップが前記同時記録モードで記録されていた場合、所定の条件に基づいて前記複数の記録媒体の一つを選択し、前記選択した記録媒体から前記最終クリップの動画データを消去するように前記記録媒体制御工程を制御することを特徴とする記録方法。
【請求項8】
前記制御工程は、前記複数の記録媒体それぞれの記録可能時間に基づいて、自動的に前記複数の記録媒体の一つを選択することを特徴とする請求項7に記載の記録方法。
【請求項9】
前記制御工程は、前記複数の記録媒体それぞれの書き込み速度に基づいて、自動的に前記複数の記録媒体の一つを選択することを特徴とする請求項7に記載の記録方法。
【請求項10】
前記記録媒体制御工程は、前記記録媒体に記録された複数の動画データのうち選択された画像データに対応づけて所定のマーク情報を記録し、
前記制御工程は、前記複数の記録媒体それぞれにおいて、前記マーク情報が付加された動画データの数に基づいて、自動的に前記複数の記録媒体の一つを選択することを特徴とする請求項7に記載の記録方法。
【請求項11】
前記制御工程は、前記複数の記録媒体に記録された動画データが前記同時記録モードで記録されたことを識別するためのモード情報と、前記最終クリップの動画データを識別するための最終クリップ情報とをメモリに記憶し、前記最終クリップの消去指示があると、前記メモリに記憶された前記モード情報と前記最終クリップ情報とに基づいて、前記複数の記録媒体の最終クリップがそれぞれ前記同時記録モードで記録されているか否かを判別することを特徴とする請求項7に記載の記録方法。
【請求項12】
動画データを入力する入力工程と、
前記入力において入力された動画データを複数の記録媒体に記録するとともに、前記複数の記録媒体に記録された動画データを消去する記録媒体制御工程と、
同時記録モードにおいて、前記入力において入力された動画データを前記複数の記録媒体に対して同時に記録するように前記記録媒体制御工程を制御する制御工程とを備えた記録方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記制御工程は、前記複数の記録媒体それぞれに記録された複数のクリップの動画データのうち、最後に記録された最終クリップが前記同時記録モードで記録されていた場合、所定の条件に基づいて前記複数の記録媒体の一つを選択し、前記選択した記録媒体から前記最終クリップの動画データを消去するように前記記録媒体制御工程を制御することをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−90147(P2013−90147A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229017(P2011−229017)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】