誘導結合電力伝達システム用単相電源
ICPTシステムが、導電経路(13)に給電する単相電源を備えるとともに、導電経路内に交流を単相ユーティリティ電源周波数よりも高い動作周波数で生成するためのインバータ(5)を備える。インバータは、交流の振幅が変化するように、ユーティリティ電源周波数に対して交流の振幅を変調する。ピックアップは、導電経路における交流の変化する振幅に関係なく、負荷(27)への連続的な電力供給を行うエネルギー貯蔵素子(26)を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導結合電力伝達(Inductively Coupled Power Transfer)(ICPT)システムに関し、ICPTシステム用電源を含む。
【背景技術】
【0002】
ICPTは、今日、塵埃を避けなければならないクリーン・ルームなどの状況、あるいは塵埃に許容値を設けることが必要とされる製造プラントなどの状況での電力の伝達に好適に広く使用されている技術である。そのようなシステムは、ユーティリティ(utility)電源または本線(mains)電源から電力を取り出し、典型的には一般にトラックと呼ばれる細長いループである導電経路において、その電力を電流に変換する。トラックに沿ったピックアップ・コイルが、トラックからの磁界の一部を遮る。これらのコイルは、常にコンデンサによって同調または補償され、このようにしてトラックからピックアップ・コイルに伝達される電力を増大させることができる。この電力伝達は、米国特許第5,293,308号に記載の技術を用いて制御することができる(その内容を本明細書に引用している。)。ピックアップ・コイルに伝達された電力は、一定電圧の直流出力を生成するように整流、制御され、当該出力によって他の装置を作動させることができる。あるいは、制御された出力電流も生成できるが、これはあまり好ましい選択肢ではない。
【0003】
公知のICPTシステムでは、トラックにおける電流は、本質的には、通常5〜50kHzの範囲のVLF周波数を有する定電流である。この範囲よりも低い周波数は、電力伝達プロセスがより困難になるので好ましくなく、より高い周波数もまた、周波数が高くなるにつれてトラックのインダクタンスによりトラック電流の発生がより困難となり、また所要の電流を得るのに必要な電圧が増大するので回避される。
【0004】
トラックに定電流を生成するために、従来の方法では、ユーティリティ電源からの3相入力を整流して本質的に一定の直流電圧を生成し、次いで、インバータを使用してトラックに印加可能な高周波の電圧または電流信号を生成している。このように、3相電源を使用することは、入力電流がこの場合に許容できる力率でありかつ出力電圧および電流が要求どおりに本質的に一定であるので、非常に有利である。しかし、この技術は、2つのエネルギー貯蔵素子、すなわち直流コンデンサおよび直流インダクタを必要とし、そのどちらとも比較的高価であり、かつ大型である。また、これらの素子には大きなエネルギーが貯蔵されうるので、、特にスイッチング・オンまたはスイッチング・オフする場合にこのエネルギーを制御する回路が不可欠である。この回路を設けることはコストを増大させ、さらに場所をとることになる。これらの素子はエネルギーを貯蔵しかつ高い電圧および電流で動作するので、超小型化は不可能である。この回路ではまた、そうした公知の電源をオン・オフするのに時間がかかりまた効率が悪いので、それらの素子は給電状態にされる傾向があり、結果として全運転コストを大幅に増大させている。
【0005】
単相電源で作動する共振コンバータが、IEEE Transactions on Power Electronics、Vol.7、No.2、1992年4月で、Schuttenらの「Characteristics of Load Resonant Converters Operated in a High−Power Factor Mode」において提案されている。しかし、この電源はLCCコンバータであり、本質的にICPTシステムでの使用には適さない。また、その電源の制御によって力率を改善できるが、この電源の制御は、電源をより複雑なものにし、ICPTの多くの用途に通常存在するような複数の変化する負荷には適さない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、公知のシステムの欠点のうちの1つまたは複数を克服または改善するICPTシステムまたはICPTシステム用電源を提供することにある。
【0007】
あるいは、本発明の目的は、ICPTシステム用の単相電源を提供することにある。
【0008】
あるいは、本発明の目的は、少なくとも公知のシステムに代わる有用な手段を提供するICPTシステム、またはそのようなシステムを操作する方法、あるいはICPTシステム用電源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、一態様では、本発明は、
導電経路と、
前記導電経路から電力を受け取るように構成されたピックアップと、
前記導電経路に給電するための電源とを備えており
前記電源は、単相電力をユーティリティ電源周波数で受け取るための単相入力部と、前記導電経路内に交流を前記ユーティリティ電源周波数よりも高い動作周波数で生成するためのインバータ手段とを有し、前記コンバータ手段は前記交流の振幅が変化するように当該交流の振幅をユーティリティ電源周波数に対して変調し、
前記ピックアップは、前記導電経路における交流の変化する振幅に関係なく、それによって供給される負荷への連続的な電力供給を行うように構成されたエネルギー貯蔵素子を有する、ICPTシステムにある。
【0010】
好ましい一実施形態では、前記電源は変圧器および容量素子を含み、変圧器の漏れインダクタンス、容量素子の静電容量、および導電経路のインダクタンスが、LCLフィルタを構成する。
【0011】
前記した変圧器の漏れインダクタンス、容量素子の静電容量および導電経路のインダクタンスはそれぞれ、実質的に同じリアクタンスを有するか、または実質的に同じリアクタンスを有するように同調できるようにすることが好ましい。好都合には、電源は、本質的に直流エネルギー貯蔵構成要素を有しない。
【0012】
前記ピックアップは、前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御するためのコントローラを含むことが好ましい。好ましい一実施形態では、このコントローラはスイッチを含み、該エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御するために、スイッチをOFF状態またはON状態に作動させることができる。前記コントローラは、このスイッチを所定の周波数で作動させ、当該スイッチのデューティ比を制御し、前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御しかつ/または前記電源の入力力率を制御することができる。
【0013】
このデューティ比は、導電経路の電圧または電流の振幅に応じて変えることができる。好ましい一実施形態では、デューティ比は、各スイッチ周期におけるスイッチON時間とスイッチOFF時間の比からなり、デューティ比の補数が導電経路内の電圧の振幅に比例するように変化する。
【0014】
ピックアップに貯蔵されるエネルギー(または複数のピックアップに累積的に貯蔵されるエネルギー)は、使用中に電源に貯蔵されるエネルギーを上回ることが好ましい。
【0015】
別の態様では、本発明は、ICPTシステムを使用して電力を負荷に供給する方法であり、この方法は、
導電経路に振幅が変化する交流を供給して給電するステップと、
ピックアップを用いて前記導電経路から当該ピックアップに接続されたエネルギー貯蔵素子に電力を伝達するステップと、
該エネルギー貯蔵素子を用いて前記導電経路における交流の変化する振幅に関係なく、それによって供給される負荷への連続的な電力供給を行うステップと
を含む。
【0016】
この方法は、好ましくは前記導電経路から前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御するステップを含む。
【0017】
好ましい一実施形態では、この方法は、前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御するために、スイッチをOFF状態またはON状態に制御するステップを含む。このスイッチは、前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御しかつ/または電源の入力力率を制御するために、スイッチのデューティ比を制御すべく所定の周波数で作動させることができる。
【0018】
このデューティ比はまた、前記導電経路の電圧または電流の振幅に応じて変化するようにしてもよい。好ましい一実施形態では、このデューティ比は、各スイッチ周期におけるスイッチON時間とスイッチOFF時間の比からなり、デューティ比の補数が導電経路における電圧の振幅に比例するように変化する。
【0019】
別の態様では、本発明は、
単相電力をユーティリティ電源周波数で受け取るための単相入力部と、
ICPTシステムの導電経路に接続するための出力部と、
ユーティリティ電源周波数よりも高い電力伝達周波数で交流を生成し、前記交流の振幅を変化させるように、前記ユーティリティ電源周波数に対して交流の振幅を変調するインバータ手段と、
当該インバータ手段および前記出力部の間に設けられた誘導素子および容量素子と
を含むICPT電源を備えており、
使用中に前記した誘導素子のインダクタンス、容量素子の静電容量、および導電経路のインダクタンスが、LCLフィルタを構成するICPT用電源に関する。
【0020】
前記電源は変圧器を含み、前記誘導素子は当該変圧器の漏れインダクタンスを含むことが好ましい。好ましい一実施形態では、変圧器は絶縁変圧器からなる。
【0021】
前記容量素子は、前記変圧器の出力巻線に並列に設けられることが好ましい。
【0022】
前記電源は、直流エネルギー貯蔵構成要素を本質的に有していないことが好ましい。
【0023】
さらに別の態様では、本発明は、
細長い導電経路と、
当該導電経路から電力を受け取るように構成されたピックアップをそれぞれ含む1つまたは複数のキャリアと、
前記導電経路に給電するための単相電源と
を備えるICPTシステムからなる。
【0024】
好ましくは、前記電源は、単相電力をユーティリティ電源周波数で受け取るための単相入力部と、前記導電経路内に交流をユーティリティ電源周波数よりも高い動作周波数で生成するためのインバータ手段とを有し、該インバータ手段は交流の振幅が変化するように、交流の振幅をユーティリティ電源周波数に対して変調するものであり、
前記ピックアップは、導電経路における交流の変化する振幅に関係なく、それによって供給される負荷への連続的な電力供給を行うように構成されたエネルギー貯蔵素子を有する。
【0025】
好ましくは、前記電源は、前記インバータ手段と前記導電経路との間に設けられた誘導素子および容量素子を含んでおり、使用中、誘導素子のインダクタンス、容量素子の静電容量、および導電経路のインダクタンスが、LCLフィルタを構成する。
【0026】
前記電源は変圧器を含み、前記誘導素子は当該変圧器の漏れインダクタンスを含むことが好ましい。好ましい一実施形態では、変圧器は絶縁変圧器からなる。
【0027】
さらに別の態様では、本発明は、
細長い導電経路と、
それぞれが当該導電経路から電力を受け取るように構成されたピックアップを含む1つまたは複数のキャリアと、
本質的に直流貯蔵構成要素を有しておらず、前記導電経路に給電するための電源と
を備えるICPTシステムからなる。
【0028】
好ましくは、前記電源は、単相電力をユーティリティ電源周波数で受け取るための単相入力部と、前記導電経路内に交流をユーティリティ電源周波数よりも高い動作周波数で生成するためのインバータ手段とを有し、該インバータ手段は、交流の振幅が変化するように、交流の振幅をユーティリティ電源周波数に対して変調するものであり、
ピックアップは、導電経路における交流の変化する振幅に関係なく、それによって供給される負荷への連続的な電力供給を行うようになされたエネルギー貯蔵素子を有する。
【0029】
好ましくは、前記電源は、前記インバータ手段と前記導電経路の間に設けられた誘導素子および容量素子を含み、使用中に誘導素子のインダクタンス、容量素子の静電容量および導電経路のインダクタンスが、LCLフィルタを構成する。
【0030】
前記電源は変圧器を含み、前記誘導素子は変圧器の漏れインダクタンスを含むことが好ましい。好ましい一実施形態では、変圧器は絶縁変圧器からなる。
【0031】
別の態様では、本発明は、広義には、導電経路に接続するためのICPT電源からなり、この電源は、変圧器および容量素子を含み、変圧器の漏れインダクタンス、容量素子の静電容量および導電経路のインダクタンスが、LCLフィルタを構成する。
【0032】
前記電源は、単相電源であることが好ましい。
【0033】
前記電源は、本質的に直流エネルギー貯蔵構成要素を有していないことが好ましい。
【0034】
さらに別の態様では、本発明は、広義には、前記した本発明のうちのいずれか1つに規定する電源を複数含み、個々の電源はICPTシステムのトラックの1つのセクションにそれぞれ給電するICPTシステム用の分散型電源からなる。
【0035】
この分散型電源は、個々の電源の動作を協調させるためのコントローラを含むことが好ましい。
【0036】
個々の電源は、3相入力の本線電源における異なる相で動作させることが好ましい。
【0037】
前記コントローラは、いつ負荷がトラックの1つのセクションに必要であるかまたはそうでないかを検知し、それに応じてトラックの当該セクションに電力を供給する個々の電源を制御することが好ましい。
【0038】
別の態様では、本発明は、広義には、複数のモジュラー・トラックセクションを含むモジュラーICPTトラックからなる。
【0039】
モジュラー・トラックセクションは、本発明の前記記載のうちのいずれか1つによる電源を含むことが好ましい。
【0040】
さらに別の態様では、本発明は、
導電経路と、
当該導電経路から電力を受け取るようになされたピックアップと、
前記導電経路に給電するための電源とを備えており、
前記電源は、単相電力をユーティリティ電源周波数で受け取るための単相入力部と、導電経路内にユーティリティ電源周波数よりも高い動作周波数で交流を生成するためのインバータ手段とを有し、該コンバータ手段は、交流の振幅が変化するように、交流の振幅をユーティリティ電源周波数に対して変調し、
前記ピックアップは、エネルギー貯蔵手段を有し、使用中、ピックアップに貯蔵されるエネルギーが、電源に貯蔵されたエネルギーよりも大きい、ICPTシステムからなる。
【0041】
本発明はまた、新規な特徴または本明細書に記載されている特徴の組合せにあり、そのような特徴または特徴の組合せの均等物を含む。
【0042】
本発明の他の態様は、その新規なすべての態様で考慮されるべきであり、当業者には以下の説明を読んだときに明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
次に、本発明の1つまたは複数の実施形態について、添付図面を参照しながら実施例によって説明する。
図1は、単相ICPT電源の回路図である。
図1Aは、図1に示す電源の整流器の出力の時間(t)に対する電圧(V)を模式的に示すグラフである。
図2は、ICPTシステム・ピックアップの回路図である。
図3は、図1に示すICPT電源の400Wでのトラック電流(上のグラフ)および本線入力電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
図4は、図1に示すプロトタイプICPT電源の400Wでの本線電圧ピークに対するトラック電流(上のグラフ)およびインバータ・ブリッジ出力電圧(下のグラフ)の波形を示す図である。
図5は、図1に示すICPT電源の1.4kWでのトラック電流(上のグラフ)および本線入力電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
図6Aは、力率を改善するためにスイッチングしない場合の入力本線電圧(上のグラフ)、入力本線電流(中央のグラフ)およびピックアップ直流インダクタ(23)電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
図6Bは、力率を改善するためにスイッチング(スイッチ24)した場合の図6Aと同様に電流および電圧の波形を示す図である。
図7Aは、力率を改善するためにスイッチングしない場合の共振タンク電圧(上のグラフ)および導電経路(すなわちトラック)電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
図7Bは、力率を改善するためにスイッチング(スイッチ24)した場合の図7Aのものと同じ波形を示す図である。
図8は、本発明による分散型電源を示す図である。
【0044】
本発明は、単相入力を使用できるが、それでも依然として高い入力力率が達成される電源を提供する。この電源は、直流エネルギー貯蔵素子を本質的に有しておらず、全く一定ではないが振幅が変化する交流正弦波電流をトラック内に生成する。このトラック電流は、ユーティティ電源周波数に対して大きく振幅変調される。したがって、好ましい実施形態では、トラック電流の振幅は、ゼロからユーティリティ電源周波数(通常は100または120Hz)の2倍程度の最大値まで変化する。このことは、本質的に一定した電流が常に必要とされる他のICPTシステムとは異なる。このICPTシステム内で動作するピックアップに設けられるピックアップ・コイルもまた、信号レベルが大きく変動する。しかし、この問題は、ピックアップの設計および制御によって克服される。ピックアップ・コイル・コントローラからの出力電圧は、ピックアップ・コントローラの出力部にある静電容量の大きいコンデンサのように、1つまたは複数の適切なエネルギー貯蔵素子を使用することによって本質的に一定にされ、一定のトラック電流で動作するICPTシステムと同程度に多数の出力負荷を駆動するのに使用できる。
【0045】
本発明による電源の一実施例が、図1に概略的に示されている。電源は単相入力(φ,N)を有し、この単相入力は、図1に示されているように、入力変圧器1に供給され、コンデンサ2によって分割され、全波整流ブリッジ3に供給される。整流ブリッジ3の出力はコンデンサ4に送出される。コンデンサ4は、非常に小さく(電源の1kW定格当たり約3μF)、本線周波数でフィルタリング効果がほとんどない。このことは、全波整流器3の出力電圧波形を示す図1Aから明らかである。コンデンサ4はその静電容量が非常に小さいので、典型的な電源は、本線電源内の固有インダクタンスが十分な電流制限を提供するので、突入電流に関係なくスイッチ・オンおよびスイッチ・オフできる。
【0046】
図1に示されている電源では、整流器3の出力からのフィルタ処理されていない直流が、本線電源周波数よりも著しく高い周波数で動作するインバータ5への入力として使用される。この動作周波数は、代表的には10〜40kHzである。インバータは、適切なスイッチングデバイス6および逆並列ダイオード7(それぞれのスイッチングデバイスの一部を構成しうる)を含む。インバータ5の出力は、小さい静電容量のコンデンサ8および絶縁変圧器9などの変圧器を通過してから、導電経路(トラック13)への電力供給に使用される。コンデンサ10は、変圧器9の二次巻線に並列に接続される。コンデンサ10の静電容量および変圧器9の漏れインダクタンスは、変圧器9、コンデンサ10、およびトラック13のインダクタンスによってLCLフィルタが形成されるに選択される。好ましい実施形態では、3つの無効成分のリアクタンス値が、実質的に同じになるように調整されるか、またはその他の方法で選択される。この構成により、トラック内に電流を適切に供給することができる。この構成には、この種の電源では普通であるはずの大きなフィルタ・コンデンサおよび平滑直流インダクタがないので、特に低コストとなる。またこのように、これらの構成要素がないことにより、電源のサイズおよび重量も大幅に減少する。
【0047】
ICPTシステム、特にいくつかの移動キャリアを備えるシステムに非定電流電源が使用された場合に問題となる。ここでは、図1の電源を備えるICPTシステムが稼働中の場合に、電源内にエネルギー貯蔵素子がないことは、コンデンサ4の両端間の「直流」電圧が、ピーク本線電圧に対応するピーク電圧から、負荷依存性であるが相対的に小さい負荷では実質的にゼロである最小電圧まで広く変化することを意味する。この広く変化する電圧は、トラック電流に同等の変化を引き起こす。我々は、この電源が高い入力力率を有することを見出した。整流器3を構成するダイオード・ブリッジの入力ダイオードの導通角は大きく、本線の電圧が昇降するにつれて、電流もまた昇降して高力率となる。
【0048】
一定した電力が必要な負荷(例えば不連続電源が実行不可能である移動キャリア)を駆動するためには、エネルギー貯蔵が必要である。公知のシステムとは異なり、そのような貯蔵は電源では行われず、今日ではピックアップ回路内で行われる。
【0049】
米国特許明細書第5,293,308号(前記)の図14は、ピックアップ・コントローラ内のエネルギー貯蔵コンデンサを明確に示している。しかし、このピックアップ回路トポロジーおよびコンデンサは、トラックにおける一定の振幅を有する電流に応じて選択されたものである。我々は、同じピックアップ・コントローラ・トポロジーを本発明のシステムに使用できるが、入力信号レベルが大きく変化するピックアップ回路によって駆動される負荷に対し必要に応じてエネルギー貯蔵可能なサイズにされたコンデンサにも使用できることを見いだした。実際には、ピックアップ・コントローラが比較的小さい周波数で動作する場合、コンデンサのサイズを大きくすることができる。ピックアップがより速いスイッチング速度で動作する場合、適したコンデンサを用いることでそれらの性能を向上させ、したがって、この「需要側」エネルギー貯蔵の負担は過剰とならない。
【0050】
図2には、米国特許明細書第5,293,308号に開示されているようなピックアップが示されている。このピックアップは、ピックアップ・コイル20および同調コンデンサ21を含む。同調回路の出力は整流器22に、またそこからインダクタ23に供給される。スイッチング制御されるスイッチ24が導電経路からの電力伝達の制御を行うことにより、ダイオード25を経由してコンデンサ26および負荷27へ選択的に電流を流すことができる。上述のように、コンデンサ26は、エネルギー貯蔵素子として使用して、トラック電流の変化によりトラックから引き出しうる電力よりも大きな電力を負荷が必要とする期間、負荷への実質的に連続的な電力供給を行うことができる。
【0051】
それ故、各ピックアップのエネルギー貯蔵素子は、導電経路における交流の変化する振幅に関係なく、それによって供給される負荷への連続的な電力供給を行うのに適したものとなる。したがって、所定の間隔で負荷によって必要とされる電力を導電経路における交流の変化により導電経路から供給できない場合、コンデンサ26は、導電経路からより多くの電力が得られるまで、負荷に電力を供給する。好ましい実施形態では、ピックアップに接続されたエネルギー貯蔵素子または素子群は、所定のエネルギー貯蔵能力を備えることによって、またはエネルギー貯蔵能力を制御することによって適したものとされる。
【0052】
そのため、前記のICPTシステムは、動作中に、より多くのエネルギーが電源よりもピックアップに貯蔵される。同様に、複数のピックアップがある場合には、より多くのエネルギーが電源よりもピックアップに累積的に貯蔵される。
【0053】
電源がこのように使用され、図2のコントローラが電源からピックアップ負荷への電力の流れを制御するように作動する場合、交流入力側(図1のφおよびN)の力率は良好であるが、さらにこれを改善することができる。コントローラは、スイッチ24をON状態およびOFF状態に操作することによって機能する。これは、より多くの電力が必要とされる場合に、スイッチ24がより瞬時にONとなるように行われる。ピックアップ・コイル20からエネルギー貯蔵コンデンサ26に流れる電力は、ダイオード25を流れる電流にコンデンサ26にかかる一定した電圧を乗じた値に正比例する。したがって、スイッチ24は、一定周波数でスイッチングさせることができ、ピックアップ・コイル20から(したがってトラックから)貯蔵コンデンサ26へ流れる電力は、スイッチ24のデューティ比によって直接制御することができる。
【0054】
デューティ比(すなわち、スイッチング周期におけるスイッチON時間とスイッチOFF時間の比)が一定である場合、図1における入力本線電圧が変化するにつれて、電力は整流された正弦波の形で変化する。スイッチのデューティ比Dが増大するにつれて、スイッチ24はより長い時間ONとなる。スイッチ24はピックアップ共振回路と並列であるので、25を経由して26まで流れる電流が減少し、その結果電力伝達が減少する。
【0055】
しかしながら、スイッチを相対的に高いスイッチング周波数で作動させ、負荷27の需要を満たすように、平均スイッチング・デューティ・サイクルで26に平均電流フローを供給することによって、但し本線電圧が低いときにデューティ・サイクルが高くまたその逆になるように実際のデューティ・サイクルを本線電圧周期によって変化させることによってスイッチ24の制御を増強することができる。我々は、これにより、エネルギー貯蔵コンデンサに伝達される電流がそれぞれの変調サイクルにおけるトラック電圧に直接対応するので、電源の力率が改善されることを見いだした。実際には、インダクタ23における公称直流電流が、整流された本線電圧に正比例しまた本線周期によって変化するので、このことを簡単に行うことができる。したがって、インダクタ23を流れる電流を検知するためにセンサを設けることができ、これにより検知された電流信号は、デューティ比を制御するための制御基準として使用することができる。
【0056】
このように、デューティ比の補数(1−D)は、それぞれの半サイクルにわたりインダクタ23を流れる電流に比例するが、本線の多くのサイクルを通しての(1−D)の平均値は直流出力電圧を一定に保持するように、スイッチ・デューティ比Dを変化させることにより、両方の目標が達成されるとともに、入力力率を改善しながら調整が行われる。実際には、0.96〜0.995の力率を極めて容易に達成することができる。
【0057】
(実際の電源を用いた測定結果)
直流エネルギー貯蔵素子を実質的に有していない単相電源が、図1に示されている電源に基づいて開発されている。この電源は、230V、50Hzの単相交流の本線入力、および本質的に4Ωの純抵抗、1.4kWの出力で試験されている。図3には、本線入力電流(下のグラフ)と400Wの出力で作動しているトラック電流(上のグラフ)の両方の波形が示されており、図4にはインバータ・ブリッジ出力電圧(下のグラフ)とトラック電流(上のグラフ)のディテール(本線電圧ピークに対する)が示されている。
【0058】
1.4kWのフル出力の場合に、図3に示した電流波形と同様の波形を図5に示す。フル出力では、測定された入力力率は0.998であり、効率は、240Vの入力電圧にて93%であり、210ボルトの入力電圧では96%に上昇する。400Wの低出力では、力率は0.97であり、効率は91%である。1.4kWでのトラック電流およびインバータ電圧の波形は、図4に示す400Wにおけるこれらの波形と判別できない。
【0059】
上述のように、ピックアップのスイッチ24は、好都合なことに、コンデンサ26にかかる直流電圧に応じてデューティ比を変化させながら、高いスイッチング周波数(例えば25kHz)で動作することができる。電圧が低い(285ボルト未満)場合、スイッチは、最大電力を伝達するために恒久的にOFFであり、この場合D=0である。電圧が高すぎる(315ボルト超)場合、スイッチは恒久的にONとなり、ピックアップを分離しかつゼロ電力を伝達し、D=1である。これらの両極端の間では、Dは、D=(V−285)/30で与えられ、ゼロ出力とフル出力との間においてDは徐々に変化する。次に、電流を整形しかつ力率を改善するために、Dの計算値は、それぞれの半サイクルにおいてインダクタ23の電流の変化、sin(θ)を含めることによって以下のように修正される。
(1−D)Shaped=(1−D)|sin(θ)|
ゼロ未満のD値または1を上回るD値が、それらの限界値に設定される。このことは、出力のわずかな低下を引き起こすが、力率を大幅に改善する。力率の改善は、図6A、6Bおよび図7A、7Bにおいて認めることができる。
【0060】
図6Aおよび6Bの中央のグラフの波形率の改善により、入力力率は0.85から0.99に改善する。この改善は、図7Aおよび7Bの上のグラフにも示されており、図2の共振コンデンサ21の両端間の電圧は非常に正弦波に近づいている。これらの図の結果は、300VDCの直流電圧を用いた入力本線電源からピックアップへの1.3kWの電力伝達と公称上同じ条件下で得られたものである。このことは、ピックアップにおける波形整形がそれから空間的かつ電気的に分離された電源における力率に影響を及ぼしていることから、驚くべき結果である。
【0061】
本明細書に開示されている電源は、公知の電源よりも低コスト、小型および軽量という利点を有し、本明細書に開示されているICPTシステムは、交流の振幅が大きく変化し、不連続になる点、すなわちゼロまたは実質的にゼロに到達する点に変化する可能性がある導電経路から負荷に連続的に電力供給を行うことができるという利点を有する。
【0062】
本発明の電源はまた、蛍光灯を点灯させるのにも適用できる。この適用例では、リッツ線のような適切な導電材料の細長いループを導電経路とし、電源によって電流を流すことで蛍光灯を点灯させる。コントローラではなく、単純に同調コンデンサ(各ピックアップ・コイルに並列に接続されている)を備えるピックアップ・コイルがループの周囲に配置され、このピックアップ・コイルによりトラックからの磁束を遮ることができる。一つの実施形態では、これらのピックアップ・コイルは、好適には、コイルを巻付けたスロット付きトロイドである。このスロットは、それがループ導体を受け入れ可能に構成され、その結果、トロイドとループ導体との間に良好な磁気結合が生じる(電気的接触ではない)。蛍光管または電球が、同調コンデンサの両端間に並列に接続され、ピックアップ・コイルおよび同調コンデンサを含むピックアップ共振回路から駆動される。リップル電流は、100Hzのレートで高いストライク電圧(strike voltage)を生成する。電源は、本線に良好な力率を提供し、ループ電流を低減することによって、接続されているすべての照明を同時に薄暗くすることができる。約10対1のターンオン比を容易に得ることができる。電源はまた、他のタイプの照明を駆動し、かつ国際特許公開第2005/043775号に開示されているシステムを用いて照明に対する個別の制御を行うためにも使用されうる。
【0063】
本発明はまた、分散型電源をICPTシステム内に実装できるようにし、そうした分散型電源は、いくつかのモジュラー電源ユニット、それにまたモジュラー・トラック部分を含むことができる。
【0064】
単相回路は通常、3相回路の電力処理能力を有していない。そのため、本明細書における原理で構成された新しい電源は、常により低電力で評価されるが、コスト/kWは、従来の電源を用いるよりも上記に開示されている新しい電源を用いた方がさらに低い。
【0065】
このように、新しい単相電源は、単一の集中型電源の代わりに分散型電源を与えるICPTシステムの周囲に有利に分散し、ICPTシステムの全体に同一電力を、しかも依然としてより低い総コストにて供給することができる。移動キャリアの場合、分散型電源の各部は、トラックの短いセクションに給電するだけであり、駆動するキャリアがない場合にセクションごとに電源を落として固定損失を低減することができる。このことは、従来の電源では不可能であるが、本発明の新しい単相電源は瞬時にかつ効率的にオン・オフできるので、可能となる。分散型電源の個々の電源は3相入力の異なる相で駆動し、プラント全体によってかけられる負荷をバランスさせることができる。キャリアが移動するにつれて、負荷はある相から次の相にシフトするが、それは小さい負荷であり、長いトラック上に多数のキャリアが多様に駆動する場合には、システムにかかる負荷は、プラントへの3つの入力相間でほぼバランスする。図8は、いくつかの単相電源30を示しており、それぞれがトラックの1つのセクション32に電力供給し、それらのセクションが一体となって、ある長さのシステム・トラック34が形成されている。各電源32(または別個のセンシング装置(sensing arrangement))は、トラックのそのセクションにおける負荷の存在を検知するためのセンシング手段(図示せず)を含んでいる。コントローラ36は、各電源32と通信し、システムにおけるキャリアの移動に関する情報を必要に応じて受信する。したがって、コントローラは、トラックの対象とするセクションのキャリアが、電源を必要としないかまたはトラックのそのセクションに存在しない場合、電源を消勢するように動作可能である。同様に、負荷が要求される場合、例えば、キャリアが移動する必要があることをコントローラに指示が与えられた場合、またはキャリアが特定のトラック部分上に移動しようとしている場合に、そのトラックのセクションに給電することができる。
【0066】
非技術系の人々または未熟練な人々がICPTシステムを設置する場合、ICPTの構造が複雑であると、しばしば技術的に不適切に設置が行われることになる。ほとんどの場合、それは、トラック・インダクタンスの値が間違って選択されたことによる。前記の分散型電源(またはその代わりにトラックセクション)は、トラック・インダクタンスなどのパラメータが知られているモジュラー・ユニットとして設けることができ、その結果容易かつ迅速に分散型電源を設置することができる。
【0067】
本発明の態様について単に実施例によって説明してきたが、本発明の属する分野の当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく変更または追加が可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】単相ICPT電源の回路図である。
【図1A】図1に示す電源の整流器の出力の時間(t)に対する電圧(V)を模式的に示すグラフである。
【図2】ICPTシステム・ピックアップの回路図である。
【図3】図1に示すICPT電源の400Wでのトラック電流(上のグラフ)および本線入力電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
【図4】図1に示すプロトタイプICPT電源の400Wでの本線電圧ピークに対するトラック電流(上のグラフ)およびインバータ・ブリッジ出力電圧(下のグラフ)の波形を示す図である。
【図5】図1に示すICPT電源の1.4kWでのトラック電流(上のグラフ)および本線入力電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
【図6A】力率を改善するためにスイッチングしない場合の入力本線電圧(上のグラフ)、入力本線電流(中央のグラフ)およびピックアップ直流インダクタ(23)電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
【図6B】力率を改善するためにスイッチング(スイッチ24)した場合の図6Aと同様に電流および電圧の波形を示す図である。
【図7A】力率を改善するためにスイッチングしない場合の共振タンク電圧(上のグラフ)および導電経路(すなわちトラック)電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
【図7B】力率を改善するためにスイッチング(スイッチ24)した場合の図7Aのものと同じ波形を示す図である。
【図8】本発明による分散型電源を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導結合電力伝達(Inductively Coupled Power Transfer)(ICPT)システムに関し、ICPTシステム用電源を含む。
【背景技術】
【0002】
ICPTは、今日、塵埃を避けなければならないクリーン・ルームなどの状況、あるいは塵埃に許容値を設けることが必要とされる製造プラントなどの状況での電力の伝達に好適に広く使用されている技術である。そのようなシステムは、ユーティリティ(utility)電源または本線(mains)電源から電力を取り出し、典型的には一般にトラックと呼ばれる細長いループである導電経路において、その電力を電流に変換する。トラックに沿ったピックアップ・コイルが、トラックからの磁界の一部を遮る。これらのコイルは、常にコンデンサによって同調または補償され、このようにしてトラックからピックアップ・コイルに伝達される電力を増大させることができる。この電力伝達は、米国特許第5,293,308号に記載の技術を用いて制御することができる(その内容を本明細書に引用している。)。ピックアップ・コイルに伝達された電力は、一定電圧の直流出力を生成するように整流、制御され、当該出力によって他の装置を作動させることができる。あるいは、制御された出力電流も生成できるが、これはあまり好ましい選択肢ではない。
【0003】
公知のICPTシステムでは、トラックにおける電流は、本質的には、通常5〜50kHzの範囲のVLF周波数を有する定電流である。この範囲よりも低い周波数は、電力伝達プロセスがより困難になるので好ましくなく、より高い周波数もまた、周波数が高くなるにつれてトラックのインダクタンスによりトラック電流の発生がより困難となり、また所要の電流を得るのに必要な電圧が増大するので回避される。
【0004】
トラックに定電流を生成するために、従来の方法では、ユーティリティ電源からの3相入力を整流して本質的に一定の直流電圧を生成し、次いで、インバータを使用してトラックに印加可能な高周波の電圧または電流信号を生成している。このように、3相電源を使用することは、入力電流がこの場合に許容できる力率でありかつ出力電圧および電流が要求どおりに本質的に一定であるので、非常に有利である。しかし、この技術は、2つのエネルギー貯蔵素子、すなわち直流コンデンサおよび直流インダクタを必要とし、そのどちらとも比較的高価であり、かつ大型である。また、これらの素子には大きなエネルギーが貯蔵されうるので、、特にスイッチング・オンまたはスイッチング・オフする場合にこのエネルギーを制御する回路が不可欠である。この回路を設けることはコストを増大させ、さらに場所をとることになる。これらの素子はエネルギーを貯蔵しかつ高い電圧および電流で動作するので、超小型化は不可能である。この回路ではまた、そうした公知の電源をオン・オフするのに時間がかかりまた効率が悪いので、それらの素子は給電状態にされる傾向があり、結果として全運転コストを大幅に増大させている。
【0005】
単相電源で作動する共振コンバータが、IEEE Transactions on Power Electronics、Vol.7、No.2、1992年4月で、Schuttenらの「Characteristics of Load Resonant Converters Operated in a High−Power Factor Mode」において提案されている。しかし、この電源はLCCコンバータであり、本質的にICPTシステムでの使用には適さない。また、その電源の制御によって力率を改善できるが、この電源の制御は、電源をより複雑なものにし、ICPTの多くの用途に通常存在するような複数の変化する負荷には適さない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、公知のシステムの欠点のうちの1つまたは複数を克服または改善するICPTシステムまたはICPTシステム用電源を提供することにある。
【0007】
あるいは、本発明の目的は、ICPTシステム用の単相電源を提供することにある。
【0008】
あるいは、本発明の目的は、少なくとも公知のシステムに代わる有用な手段を提供するICPTシステム、またはそのようなシステムを操作する方法、あるいはICPTシステム用電源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、一態様では、本発明は、
導電経路と、
前記導電経路から電力を受け取るように構成されたピックアップと、
前記導電経路に給電するための電源とを備えており
前記電源は、単相電力をユーティリティ電源周波数で受け取るための単相入力部と、前記導電経路内に交流を前記ユーティリティ電源周波数よりも高い動作周波数で生成するためのインバータ手段とを有し、前記コンバータ手段は前記交流の振幅が変化するように当該交流の振幅をユーティリティ電源周波数に対して変調し、
前記ピックアップは、前記導電経路における交流の変化する振幅に関係なく、それによって供給される負荷への連続的な電力供給を行うように構成されたエネルギー貯蔵素子を有する、ICPTシステムにある。
【0010】
好ましい一実施形態では、前記電源は変圧器および容量素子を含み、変圧器の漏れインダクタンス、容量素子の静電容量、および導電経路のインダクタンスが、LCLフィルタを構成する。
【0011】
前記した変圧器の漏れインダクタンス、容量素子の静電容量および導電経路のインダクタンスはそれぞれ、実質的に同じリアクタンスを有するか、または実質的に同じリアクタンスを有するように同調できるようにすることが好ましい。好都合には、電源は、本質的に直流エネルギー貯蔵構成要素を有しない。
【0012】
前記ピックアップは、前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御するためのコントローラを含むことが好ましい。好ましい一実施形態では、このコントローラはスイッチを含み、該エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御するために、スイッチをOFF状態またはON状態に作動させることができる。前記コントローラは、このスイッチを所定の周波数で作動させ、当該スイッチのデューティ比を制御し、前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御しかつ/または前記電源の入力力率を制御することができる。
【0013】
このデューティ比は、導電経路の電圧または電流の振幅に応じて変えることができる。好ましい一実施形態では、デューティ比は、各スイッチ周期におけるスイッチON時間とスイッチOFF時間の比からなり、デューティ比の補数が導電経路内の電圧の振幅に比例するように変化する。
【0014】
ピックアップに貯蔵されるエネルギー(または複数のピックアップに累積的に貯蔵されるエネルギー)は、使用中に電源に貯蔵されるエネルギーを上回ることが好ましい。
【0015】
別の態様では、本発明は、ICPTシステムを使用して電力を負荷に供給する方法であり、この方法は、
導電経路に振幅が変化する交流を供給して給電するステップと、
ピックアップを用いて前記導電経路から当該ピックアップに接続されたエネルギー貯蔵素子に電力を伝達するステップと、
該エネルギー貯蔵素子を用いて前記導電経路における交流の変化する振幅に関係なく、それによって供給される負荷への連続的な電力供給を行うステップと
を含む。
【0016】
この方法は、好ましくは前記導電経路から前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御するステップを含む。
【0017】
好ましい一実施形態では、この方法は、前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御するために、スイッチをOFF状態またはON状態に制御するステップを含む。このスイッチは、前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御しかつ/または電源の入力力率を制御するために、スイッチのデューティ比を制御すべく所定の周波数で作動させることができる。
【0018】
このデューティ比はまた、前記導電経路の電圧または電流の振幅に応じて変化するようにしてもよい。好ましい一実施形態では、このデューティ比は、各スイッチ周期におけるスイッチON時間とスイッチOFF時間の比からなり、デューティ比の補数が導電経路における電圧の振幅に比例するように変化する。
【0019】
別の態様では、本発明は、
単相電力をユーティリティ電源周波数で受け取るための単相入力部と、
ICPTシステムの導電経路に接続するための出力部と、
ユーティリティ電源周波数よりも高い電力伝達周波数で交流を生成し、前記交流の振幅を変化させるように、前記ユーティリティ電源周波数に対して交流の振幅を変調するインバータ手段と、
当該インバータ手段および前記出力部の間に設けられた誘導素子および容量素子と
を含むICPT電源を備えており、
使用中に前記した誘導素子のインダクタンス、容量素子の静電容量、および導電経路のインダクタンスが、LCLフィルタを構成するICPT用電源に関する。
【0020】
前記電源は変圧器を含み、前記誘導素子は当該変圧器の漏れインダクタンスを含むことが好ましい。好ましい一実施形態では、変圧器は絶縁変圧器からなる。
【0021】
前記容量素子は、前記変圧器の出力巻線に並列に設けられることが好ましい。
【0022】
前記電源は、直流エネルギー貯蔵構成要素を本質的に有していないことが好ましい。
【0023】
さらに別の態様では、本発明は、
細長い導電経路と、
当該導電経路から電力を受け取るように構成されたピックアップをそれぞれ含む1つまたは複数のキャリアと、
前記導電経路に給電するための単相電源と
を備えるICPTシステムからなる。
【0024】
好ましくは、前記電源は、単相電力をユーティリティ電源周波数で受け取るための単相入力部と、前記導電経路内に交流をユーティリティ電源周波数よりも高い動作周波数で生成するためのインバータ手段とを有し、該インバータ手段は交流の振幅が変化するように、交流の振幅をユーティリティ電源周波数に対して変調するものであり、
前記ピックアップは、導電経路における交流の変化する振幅に関係なく、それによって供給される負荷への連続的な電力供給を行うように構成されたエネルギー貯蔵素子を有する。
【0025】
好ましくは、前記電源は、前記インバータ手段と前記導電経路との間に設けられた誘導素子および容量素子を含んでおり、使用中、誘導素子のインダクタンス、容量素子の静電容量、および導電経路のインダクタンスが、LCLフィルタを構成する。
【0026】
前記電源は変圧器を含み、前記誘導素子は当該変圧器の漏れインダクタンスを含むことが好ましい。好ましい一実施形態では、変圧器は絶縁変圧器からなる。
【0027】
さらに別の態様では、本発明は、
細長い導電経路と、
それぞれが当該導電経路から電力を受け取るように構成されたピックアップを含む1つまたは複数のキャリアと、
本質的に直流貯蔵構成要素を有しておらず、前記導電経路に給電するための電源と
を備えるICPTシステムからなる。
【0028】
好ましくは、前記電源は、単相電力をユーティリティ電源周波数で受け取るための単相入力部と、前記導電経路内に交流をユーティリティ電源周波数よりも高い動作周波数で生成するためのインバータ手段とを有し、該インバータ手段は、交流の振幅が変化するように、交流の振幅をユーティリティ電源周波数に対して変調するものであり、
ピックアップは、導電経路における交流の変化する振幅に関係なく、それによって供給される負荷への連続的な電力供給を行うようになされたエネルギー貯蔵素子を有する。
【0029】
好ましくは、前記電源は、前記インバータ手段と前記導電経路の間に設けられた誘導素子および容量素子を含み、使用中に誘導素子のインダクタンス、容量素子の静電容量および導電経路のインダクタンスが、LCLフィルタを構成する。
【0030】
前記電源は変圧器を含み、前記誘導素子は変圧器の漏れインダクタンスを含むことが好ましい。好ましい一実施形態では、変圧器は絶縁変圧器からなる。
【0031】
別の態様では、本発明は、広義には、導電経路に接続するためのICPT電源からなり、この電源は、変圧器および容量素子を含み、変圧器の漏れインダクタンス、容量素子の静電容量および導電経路のインダクタンスが、LCLフィルタを構成する。
【0032】
前記電源は、単相電源であることが好ましい。
【0033】
前記電源は、本質的に直流エネルギー貯蔵構成要素を有していないことが好ましい。
【0034】
さらに別の態様では、本発明は、広義には、前記した本発明のうちのいずれか1つに規定する電源を複数含み、個々の電源はICPTシステムのトラックの1つのセクションにそれぞれ給電するICPTシステム用の分散型電源からなる。
【0035】
この分散型電源は、個々の電源の動作を協調させるためのコントローラを含むことが好ましい。
【0036】
個々の電源は、3相入力の本線電源における異なる相で動作させることが好ましい。
【0037】
前記コントローラは、いつ負荷がトラックの1つのセクションに必要であるかまたはそうでないかを検知し、それに応じてトラックの当該セクションに電力を供給する個々の電源を制御することが好ましい。
【0038】
別の態様では、本発明は、広義には、複数のモジュラー・トラックセクションを含むモジュラーICPTトラックからなる。
【0039】
モジュラー・トラックセクションは、本発明の前記記載のうちのいずれか1つによる電源を含むことが好ましい。
【0040】
さらに別の態様では、本発明は、
導電経路と、
当該導電経路から電力を受け取るようになされたピックアップと、
前記導電経路に給電するための電源とを備えており、
前記電源は、単相電力をユーティリティ電源周波数で受け取るための単相入力部と、導電経路内にユーティリティ電源周波数よりも高い動作周波数で交流を生成するためのインバータ手段とを有し、該コンバータ手段は、交流の振幅が変化するように、交流の振幅をユーティリティ電源周波数に対して変調し、
前記ピックアップは、エネルギー貯蔵手段を有し、使用中、ピックアップに貯蔵されるエネルギーが、電源に貯蔵されたエネルギーよりも大きい、ICPTシステムからなる。
【0041】
本発明はまた、新規な特徴または本明細書に記載されている特徴の組合せにあり、そのような特徴または特徴の組合せの均等物を含む。
【0042】
本発明の他の態様は、その新規なすべての態様で考慮されるべきであり、当業者には以下の説明を読んだときに明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
次に、本発明の1つまたは複数の実施形態について、添付図面を参照しながら実施例によって説明する。
図1は、単相ICPT電源の回路図である。
図1Aは、図1に示す電源の整流器の出力の時間(t)に対する電圧(V)を模式的に示すグラフである。
図2は、ICPTシステム・ピックアップの回路図である。
図3は、図1に示すICPT電源の400Wでのトラック電流(上のグラフ)および本線入力電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
図4は、図1に示すプロトタイプICPT電源の400Wでの本線電圧ピークに対するトラック電流(上のグラフ)およびインバータ・ブリッジ出力電圧(下のグラフ)の波形を示す図である。
図5は、図1に示すICPT電源の1.4kWでのトラック電流(上のグラフ)および本線入力電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
図6Aは、力率を改善するためにスイッチングしない場合の入力本線電圧(上のグラフ)、入力本線電流(中央のグラフ)およびピックアップ直流インダクタ(23)電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
図6Bは、力率を改善するためにスイッチング(スイッチ24)した場合の図6Aと同様に電流および電圧の波形を示す図である。
図7Aは、力率を改善するためにスイッチングしない場合の共振タンク電圧(上のグラフ)および導電経路(すなわちトラック)電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
図7Bは、力率を改善するためにスイッチング(スイッチ24)した場合の図7Aのものと同じ波形を示す図である。
図8は、本発明による分散型電源を示す図である。
【0044】
本発明は、単相入力を使用できるが、それでも依然として高い入力力率が達成される電源を提供する。この電源は、直流エネルギー貯蔵素子を本質的に有しておらず、全く一定ではないが振幅が変化する交流正弦波電流をトラック内に生成する。このトラック電流は、ユーティティ電源周波数に対して大きく振幅変調される。したがって、好ましい実施形態では、トラック電流の振幅は、ゼロからユーティリティ電源周波数(通常は100または120Hz)の2倍程度の最大値まで変化する。このことは、本質的に一定した電流が常に必要とされる他のICPTシステムとは異なる。このICPTシステム内で動作するピックアップに設けられるピックアップ・コイルもまた、信号レベルが大きく変動する。しかし、この問題は、ピックアップの設計および制御によって克服される。ピックアップ・コイル・コントローラからの出力電圧は、ピックアップ・コントローラの出力部にある静電容量の大きいコンデンサのように、1つまたは複数の適切なエネルギー貯蔵素子を使用することによって本質的に一定にされ、一定のトラック電流で動作するICPTシステムと同程度に多数の出力負荷を駆動するのに使用できる。
【0045】
本発明による電源の一実施例が、図1に概略的に示されている。電源は単相入力(φ,N)を有し、この単相入力は、図1に示されているように、入力変圧器1に供給され、コンデンサ2によって分割され、全波整流ブリッジ3に供給される。整流ブリッジ3の出力はコンデンサ4に送出される。コンデンサ4は、非常に小さく(電源の1kW定格当たり約3μF)、本線周波数でフィルタリング効果がほとんどない。このことは、全波整流器3の出力電圧波形を示す図1Aから明らかである。コンデンサ4はその静電容量が非常に小さいので、典型的な電源は、本線電源内の固有インダクタンスが十分な電流制限を提供するので、突入電流に関係なくスイッチ・オンおよびスイッチ・オフできる。
【0046】
図1に示されている電源では、整流器3の出力からのフィルタ処理されていない直流が、本線電源周波数よりも著しく高い周波数で動作するインバータ5への入力として使用される。この動作周波数は、代表的には10〜40kHzである。インバータは、適切なスイッチングデバイス6および逆並列ダイオード7(それぞれのスイッチングデバイスの一部を構成しうる)を含む。インバータ5の出力は、小さい静電容量のコンデンサ8および絶縁変圧器9などの変圧器を通過してから、導電経路(トラック13)への電力供給に使用される。コンデンサ10は、変圧器9の二次巻線に並列に接続される。コンデンサ10の静電容量および変圧器9の漏れインダクタンスは、変圧器9、コンデンサ10、およびトラック13のインダクタンスによってLCLフィルタが形成されるに選択される。好ましい実施形態では、3つの無効成分のリアクタンス値が、実質的に同じになるように調整されるか、またはその他の方法で選択される。この構成により、トラック内に電流を適切に供給することができる。この構成には、この種の電源では普通であるはずの大きなフィルタ・コンデンサおよび平滑直流インダクタがないので、特に低コストとなる。またこのように、これらの構成要素がないことにより、電源のサイズおよび重量も大幅に減少する。
【0047】
ICPTシステム、特にいくつかの移動キャリアを備えるシステムに非定電流電源が使用された場合に問題となる。ここでは、図1の電源を備えるICPTシステムが稼働中の場合に、電源内にエネルギー貯蔵素子がないことは、コンデンサ4の両端間の「直流」電圧が、ピーク本線電圧に対応するピーク電圧から、負荷依存性であるが相対的に小さい負荷では実質的にゼロである最小電圧まで広く変化することを意味する。この広く変化する電圧は、トラック電流に同等の変化を引き起こす。我々は、この電源が高い入力力率を有することを見出した。整流器3を構成するダイオード・ブリッジの入力ダイオードの導通角は大きく、本線の電圧が昇降するにつれて、電流もまた昇降して高力率となる。
【0048】
一定した電力が必要な負荷(例えば不連続電源が実行不可能である移動キャリア)を駆動するためには、エネルギー貯蔵が必要である。公知のシステムとは異なり、そのような貯蔵は電源では行われず、今日ではピックアップ回路内で行われる。
【0049】
米国特許明細書第5,293,308号(前記)の図14は、ピックアップ・コントローラ内のエネルギー貯蔵コンデンサを明確に示している。しかし、このピックアップ回路トポロジーおよびコンデンサは、トラックにおける一定の振幅を有する電流に応じて選択されたものである。我々は、同じピックアップ・コントローラ・トポロジーを本発明のシステムに使用できるが、入力信号レベルが大きく変化するピックアップ回路によって駆動される負荷に対し必要に応じてエネルギー貯蔵可能なサイズにされたコンデンサにも使用できることを見いだした。実際には、ピックアップ・コントローラが比較的小さい周波数で動作する場合、コンデンサのサイズを大きくすることができる。ピックアップがより速いスイッチング速度で動作する場合、適したコンデンサを用いることでそれらの性能を向上させ、したがって、この「需要側」エネルギー貯蔵の負担は過剰とならない。
【0050】
図2には、米国特許明細書第5,293,308号に開示されているようなピックアップが示されている。このピックアップは、ピックアップ・コイル20および同調コンデンサ21を含む。同調回路の出力は整流器22に、またそこからインダクタ23に供給される。スイッチング制御されるスイッチ24が導電経路からの電力伝達の制御を行うことにより、ダイオード25を経由してコンデンサ26および負荷27へ選択的に電流を流すことができる。上述のように、コンデンサ26は、エネルギー貯蔵素子として使用して、トラック電流の変化によりトラックから引き出しうる電力よりも大きな電力を負荷が必要とする期間、負荷への実質的に連続的な電力供給を行うことができる。
【0051】
それ故、各ピックアップのエネルギー貯蔵素子は、導電経路における交流の変化する振幅に関係なく、それによって供給される負荷への連続的な電力供給を行うのに適したものとなる。したがって、所定の間隔で負荷によって必要とされる電力を導電経路における交流の変化により導電経路から供給できない場合、コンデンサ26は、導電経路からより多くの電力が得られるまで、負荷に電力を供給する。好ましい実施形態では、ピックアップに接続されたエネルギー貯蔵素子または素子群は、所定のエネルギー貯蔵能力を備えることによって、またはエネルギー貯蔵能力を制御することによって適したものとされる。
【0052】
そのため、前記のICPTシステムは、動作中に、より多くのエネルギーが電源よりもピックアップに貯蔵される。同様に、複数のピックアップがある場合には、より多くのエネルギーが電源よりもピックアップに累積的に貯蔵される。
【0053】
電源がこのように使用され、図2のコントローラが電源からピックアップ負荷への電力の流れを制御するように作動する場合、交流入力側(図1のφおよびN)の力率は良好であるが、さらにこれを改善することができる。コントローラは、スイッチ24をON状態およびOFF状態に操作することによって機能する。これは、より多くの電力が必要とされる場合に、スイッチ24がより瞬時にONとなるように行われる。ピックアップ・コイル20からエネルギー貯蔵コンデンサ26に流れる電力は、ダイオード25を流れる電流にコンデンサ26にかかる一定した電圧を乗じた値に正比例する。したがって、スイッチ24は、一定周波数でスイッチングさせることができ、ピックアップ・コイル20から(したがってトラックから)貯蔵コンデンサ26へ流れる電力は、スイッチ24のデューティ比によって直接制御することができる。
【0054】
デューティ比(すなわち、スイッチング周期におけるスイッチON時間とスイッチOFF時間の比)が一定である場合、図1における入力本線電圧が変化するにつれて、電力は整流された正弦波の形で変化する。スイッチのデューティ比Dが増大するにつれて、スイッチ24はより長い時間ONとなる。スイッチ24はピックアップ共振回路と並列であるので、25を経由して26まで流れる電流が減少し、その結果電力伝達が減少する。
【0055】
しかしながら、スイッチを相対的に高いスイッチング周波数で作動させ、負荷27の需要を満たすように、平均スイッチング・デューティ・サイクルで26に平均電流フローを供給することによって、但し本線電圧が低いときにデューティ・サイクルが高くまたその逆になるように実際のデューティ・サイクルを本線電圧周期によって変化させることによってスイッチ24の制御を増強することができる。我々は、これにより、エネルギー貯蔵コンデンサに伝達される電流がそれぞれの変調サイクルにおけるトラック電圧に直接対応するので、電源の力率が改善されることを見いだした。実際には、インダクタ23における公称直流電流が、整流された本線電圧に正比例しまた本線周期によって変化するので、このことを簡単に行うことができる。したがって、インダクタ23を流れる電流を検知するためにセンサを設けることができ、これにより検知された電流信号は、デューティ比を制御するための制御基準として使用することができる。
【0056】
このように、デューティ比の補数(1−D)は、それぞれの半サイクルにわたりインダクタ23を流れる電流に比例するが、本線の多くのサイクルを通しての(1−D)の平均値は直流出力電圧を一定に保持するように、スイッチ・デューティ比Dを変化させることにより、両方の目標が達成されるとともに、入力力率を改善しながら調整が行われる。実際には、0.96〜0.995の力率を極めて容易に達成することができる。
【0057】
(実際の電源を用いた測定結果)
直流エネルギー貯蔵素子を実質的に有していない単相電源が、図1に示されている電源に基づいて開発されている。この電源は、230V、50Hzの単相交流の本線入力、および本質的に4Ωの純抵抗、1.4kWの出力で試験されている。図3には、本線入力電流(下のグラフ)と400Wの出力で作動しているトラック電流(上のグラフ)の両方の波形が示されており、図4にはインバータ・ブリッジ出力電圧(下のグラフ)とトラック電流(上のグラフ)のディテール(本線電圧ピークに対する)が示されている。
【0058】
1.4kWのフル出力の場合に、図3に示した電流波形と同様の波形を図5に示す。フル出力では、測定された入力力率は0.998であり、効率は、240Vの入力電圧にて93%であり、210ボルトの入力電圧では96%に上昇する。400Wの低出力では、力率は0.97であり、効率は91%である。1.4kWでのトラック電流およびインバータ電圧の波形は、図4に示す400Wにおけるこれらの波形と判別できない。
【0059】
上述のように、ピックアップのスイッチ24は、好都合なことに、コンデンサ26にかかる直流電圧に応じてデューティ比を変化させながら、高いスイッチング周波数(例えば25kHz)で動作することができる。電圧が低い(285ボルト未満)場合、スイッチは、最大電力を伝達するために恒久的にOFFであり、この場合D=0である。電圧が高すぎる(315ボルト超)場合、スイッチは恒久的にONとなり、ピックアップを分離しかつゼロ電力を伝達し、D=1である。これらの両極端の間では、Dは、D=(V−285)/30で与えられ、ゼロ出力とフル出力との間においてDは徐々に変化する。次に、電流を整形しかつ力率を改善するために、Dの計算値は、それぞれの半サイクルにおいてインダクタ23の電流の変化、sin(θ)を含めることによって以下のように修正される。
(1−D)Shaped=(1−D)|sin(θ)|
ゼロ未満のD値または1を上回るD値が、それらの限界値に設定される。このことは、出力のわずかな低下を引き起こすが、力率を大幅に改善する。力率の改善は、図6A、6Bおよび図7A、7Bにおいて認めることができる。
【0060】
図6Aおよび6Bの中央のグラフの波形率の改善により、入力力率は0.85から0.99に改善する。この改善は、図7Aおよび7Bの上のグラフにも示されており、図2の共振コンデンサ21の両端間の電圧は非常に正弦波に近づいている。これらの図の結果は、300VDCの直流電圧を用いた入力本線電源からピックアップへの1.3kWの電力伝達と公称上同じ条件下で得られたものである。このことは、ピックアップにおける波形整形がそれから空間的かつ電気的に分離された電源における力率に影響を及ぼしていることから、驚くべき結果である。
【0061】
本明細書に開示されている電源は、公知の電源よりも低コスト、小型および軽量という利点を有し、本明細書に開示されているICPTシステムは、交流の振幅が大きく変化し、不連続になる点、すなわちゼロまたは実質的にゼロに到達する点に変化する可能性がある導電経路から負荷に連続的に電力供給を行うことができるという利点を有する。
【0062】
本発明の電源はまた、蛍光灯を点灯させるのにも適用できる。この適用例では、リッツ線のような適切な導電材料の細長いループを導電経路とし、電源によって電流を流すことで蛍光灯を点灯させる。コントローラではなく、単純に同調コンデンサ(各ピックアップ・コイルに並列に接続されている)を備えるピックアップ・コイルがループの周囲に配置され、このピックアップ・コイルによりトラックからの磁束を遮ることができる。一つの実施形態では、これらのピックアップ・コイルは、好適には、コイルを巻付けたスロット付きトロイドである。このスロットは、それがループ導体を受け入れ可能に構成され、その結果、トロイドとループ導体との間に良好な磁気結合が生じる(電気的接触ではない)。蛍光管または電球が、同調コンデンサの両端間に並列に接続され、ピックアップ・コイルおよび同調コンデンサを含むピックアップ共振回路から駆動される。リップル電流は、100Hzのレートで高いストライク電圧(strike voltage)を生成する。電源は、本線に良好な力率を提供し、ループ電流を低減することによって、接続されているすべての照明を同時に薄暗くすることができる。約10対1のターンオン比を容易に得ることができる。電源はまた、他のタイプの照明を駆動し、かつ国際特許公開第2005/043775号に開示されているシステムを用いて照明に対する個別の制御を行うためにも使用されうる。
【0063】
本発明はまた、分散型電源をICPTシステム内に実装できるようにし、そうした分散型電源は、いくつかのモジュラー電源ユニット、それにまたモジュラー・トラック部分を含むことができる。
【0064】
単相回路は通常、3相回路の電力処理能力を有していない。そのため、本明細書における原理で構成された新しい電源は、常により低電力で評価されるが、コスト/kWは、従来の電源を用いるよりも上記に開示されている新しい電源を用いた方がさらに低い。
【0065】
このように、新しい単相電源は、単一の集中型電源の代わりに分散型電源を与えるICPTシステムの周囲に有利に分散し、ICPTシステムの全体に同一電力を、しかも依然としてより低い総コストにて供給することができる。移動キャリアの場合、分散型電源の各部は、トラックの短いセクションに給電するだけであり、駆動するキャリアがない場合にセクションごとに電源を落として固定損失を低減することができる。このことは、従来の電源では不可能であるが、本発明の新しい単相電源は瞬時にかつ効率的にオン・オフできるので、可能となる。分散型電源の個々の電源は3相入力の異なる相で駆動し、プラント全体によってかけられる負荷をバランスさせることができる。キャリアが移動するにつれて、負荷はある相から次の相にシフトするが、それは小さい負荷であり、長いトラック上に多数のキャリアが多様に駆動する場合には、システムにかかる負荷は、プラントへの3つの入力相間でほぼバランスする。図8は、いくつかの単相電源30を示しており、それぞれがトラックの1つのセクション32に電力供給し、それらのセクションが一体となって、ある長さのシステム・トラック34が形成されている。各電源32(または別個のセンシング装置(sensing arrangement))は、トラックのそのセクションにおける負荷の存在を検知するためのセンシング手段(図示せず)を含んでいる。コントローラ36は、各電源32と通信し、システムにおけるキャリアの移動に関する情報を必要に応じて受信する。したがって、コントローラは、トラックの対象とするセクションのキャリアが、電源を必要としないかまたはトラックのそのセクションに存在しない場合、電源を消勢するように動作可能である。同様に、負荷が要求される場合、例えば、キャリアが移動する必要があることをコントローラに指示が与えられた場合、またはキャリアが特定のトラック部分上に移動しようとしている場合に、そのトラックのセクションに給電することができる。
【0066】
非技術系の人々または未熟練な人々がICPTシステムを設置する場合、ICPTの構造が複雑であると、しばしば技術的に不適切に設置が行われることになる。ほとんどの場合、それは、トラック・インダクタンスの値が間違って選択されたことによる。前記の分散型電源(またはその代わりにトラックセクション)は、トラック・インダクタンスなどのパラメータが知られているモジュラー・ユニットとして設けることができ、その結果容易かつ迅速に分散型電源を設置することができる。
【0067】
本発明の態様について単に実施例によって説明してきたが、本発明の属する分野の当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく変更または追加が可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】単相ICPT電源の回路図である。
【図1A】図1に示す電源の整流器の出力の時間(t)に対する電圧(V)を模式的に示すグラフである。
【図2】ICPTシステム・ピックアップの回路図である。
【図3】図1に示すICPT電源の400Wでのトラック電流(上のグラフ)および本線入力電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
【図4】図1に示すプロトタイプICPT電源の400Wでの本線電圧ピークに対するトラック電流(上のグラフ)およびインバータ・ブリッジ出力電圧(下のグラフ)の波形を示す図である。
【図5】図1に示すICPT電源の1.4kWでのトラック電流(上のグラフ)および本線入力電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
【図6A】力率を改善するためにスイッチングしない場合の入力本線電圧(上のグラフ)、入力本線電流(中央のグラフ)およびピックアップ直流インダクタ(23)電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
【図6B】力率を改善するためにスイッチング(スイッチ24)した場合の図6Aと同様に電流および電圧の波形を示す図である。
【図7A】力率を改善するためにスイッチングしない場合の共振タンク電圧(上のグラフ)および導電経路(すなわちトラック)電流(下のグラフ)の波形を示す図である。
【図7B】力率を改善するためにスイッチング(スイッチ24)した場合の図7Aのものと同じ波形を示す図である。
【図8】本発明による分散型電源を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電経路と、
前記導電経路から電力を受け取るようになされたピックアップと、
前記導電経路に給電するための電源とを備えており、
前記電源は、単相電力をユーティリティ電源周波数で受け取るための単相入力部と、前記導電経路内に前記ユーティリティ電源周波数よりも高い動作周波数で交流を供給するためのコンバータ手段とを有し、前記コンバータ手段は、前記交流の振幅が変化するように、前記交流の振幅を前記ユーティリティ電源周波数に対して変調し、
前記ピックアップは、前記導電経路における前記交流の変化する振幅に関係なく、それによって供給される負荷への連続的な電力供給を行うように構成されたエネルギー貯蔵素子を有する、ICPTシステム。
【請求項2】
前記電源は、変圧器および容量素子を含み、前記変圧器の漏れインダクタンス、前記容量素子の静電容量および前記導電経路のインダクタンスが、LCLフィルタを構成する、請求項1に記載のICPTシステム。
【請求項3】
前記変圧器の漏れインダクタンス、前記容量素子の静電容量、および前記導電経路のインダクタンスがそれぞれ、実質的に同じリアクタンスを有するか、または実質的に同じリアクタンスを有するように同調されるものである、請求項1または請求項2に記載のICPTシステム。
【請求項4】
前記電源は、直流エネルギー貯蔵構成要素を本質的に有していない、前記請求項のいずれか1項に記載のICPTシステム。
【請求項5】
前記電源は、前記交流を振幅が実質的にゼロと最大値の間で変化するように変調する、前記請求項のいずれか1項に記載のICPTシステム。
【請求項6】
前記ピックアップは、前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御するためのコントローラを含む、前記請求項のいずれか1項に記載のICPTシステム。
【請求項7】
前記コントローラはスイッチを含み、前記エネルギー貯蔵素子への前記電力の流れを制御するために、当該スイッチをOFF状態またはON状態に駆動させることが可能とされた、請求項6に記載のICPTシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御するために、前記スイッチを所定の周波数で作動させ、前記スイッチのデューティ比を制御するものである、請求項7に記載のICPTシステム。
【請求項9】
前記デューティ比は、前記導電経路の電圧または電流の振幅に応じて変化する、請求項8に記載のICPTシステム。
【請求項10】
前記スイッチのデューティ比は前記電源の入力力率を改善するように制御される、請求項8または請求項9に記載のICPTシステム。
【請求項11】
前記デューティ比は、スイッチの各サイクルにおけるスイッチON時間とスイッチOFF時間の比からなり、前記デューティ比の補数が前記導電経路内の電圧の振幅に比例するように変化する、請求項8または請求項9に記載のICPTシステム。
【請求項12】
前記電源は、直流エネルギー貯蔵構成要素を本質的に有していない、前記請求項のいずれか1項に記載のICPTシステム。
【請求項13】
使用中には、前記ピックアップに貯蔵されるエネルギーは、前記電源に貯蔵されるエネルギーを上回る、前記請求項のいずれか1項に記載のICPTシステム。
【請求項14】
複数のピックアップが設けられ、使用中には、これらのピックアップに累積的に貯蔵される前記エネルギーが、前記電源に貯蔵されるエネルギーを上回る、前記請求項のいずれか1項に記載のICPTシステム。
【請求項15】
ICPTシステムを使用して負荷に電力を供給する方法であって、
導電経路に振幅が変化する交流を供給して給電するステップと、
ピックアップを用いて前記導電経路から当該ピックアップに接続されたエネルギー貯蔵素子に電力を伝達するステップと、
該エネルギー貯蔵素子を用いて前記導電経路における交流の変化する振幅に関係なく、それによって供給される負荷への連続的な電力供給を行うステップと
を含む、方法。
【請求項16】
振幅が実質的にゼロと最大値との間で変化するように前記交流を変調するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記導電経路から前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御するステップを含む、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記エネルギー貯蔵素子への前記電力の流れを制御するために、スイッチをOFF状態またはON状態に制御するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記エネルギー貯蔵素子への前記電力の流れを制御するために、前記スイッチを所定の周波数で作動させるステップ、および前記スイッチのデューティ比を制御するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記導電経路における電圧または電流の振幅に応じて前記デューティ比を変化させるステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記電源の入力力率を改善するために、前記スイッチのデューティ比を制御するステップを含む、請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記デューティ比は、各スイッチ周期におけるスイッチON時間とスイッチOFF時間の比からなり、前記デューティ比の補数が前記導電経路における電圧の振幅に比例するように、前記デューティ比を制御するステップを含む、請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項23】
単相電力をユーティリティ電源周波数で受け取るための単相入力部と、
ICPTシステムの導電経路に接続するための出力部と、
前記ユーティリティ電源周波数よりも高い電力伝達周波数で交流を生成し、前記交流の振幅を変化させるように、前記ユーティリティ電源周波数に対して前記交流の振幅を変調するコンバータ手段と、
前記コンバータ手段および前記出力部の間に設けられた誘導素子および容量素子と
を含むICPT電源であって、
使用中に前記誘導素子のインダクタンス、前記容量素子の静電容量および前記導電経路のインダクタンスが、LCLフィルタを構成する、ICPT電源。
【請求項24】
変圧器を含み、前記誘導素子は当該変圧器の漏れインダクタンスを含む、請求項23に記載のICPT電源。
【請求項25】
前記変圧器の漏れインダクタンス、前記容量素子の静電容量および前記導電経路のインダクタンスはそれぞれ実質的に同じリアクタンスを有するか、または実質的に同じリアクタンスを有するように同調される、請求項24に記載のICPT電源。
【請求項26】
前記変圧器は絶縁変圧器からなる、請求項24または請求項25に記載のICPT電源。
【請求項27】
前記容量素子は、前記変圧器の出力巻線に並列に設けられる、請求項24から26のいずれか1項に記載のICPT電源。
【請求項28】
前記電源は、直流エネルギー貯蔵構成要素を本質的に有していない、請求項23から27のいずれか1項に記載のICPT電源。
【請求項29】
実質的に、添付図面に示されている実施形態のうちのいずれか1つを参照して本明細書に記載されているICPTシステム。
【請求項30】
実質的に、添付図面に示されている実施形態のうちのいずれか1つを参照して本明細書に記載されているICPTシステムを使用して負荷に電力を供給する方法。
【請求項31】
実質的に、添付図面に示されている実施形態のうちのいずれか1つを参照して本明細書に記載されているICPT電源。
【請求項1】
導電経路と、
前記導電経路から電力を受け取るようになされたピックアップと、
前記導電経路に給電するための電源とを備えており、
前記電源は、単相電力をユーティリティ電源周波数で受け取るための単相入力部と、前記導電経路内に前記ユーティリティ電源周波数よりも高い動作周波数で交流を供給するためのコンバータ手段とを有し、前記コンバータ手段は、前記交流の振幅が変化するように、前記交流の振幅を前記ユーティリティ電源周波数に対して変調し、
前記ピックアップは、前記導電経路における前記交流の変化する振幅に関係なく、それによって供給される負荷への連続的な電力供給を行うように構成されたエネルギー貯蔵素子を有する、ICPTシステム。
【請求項2】
前記電源は、変圧器および容量素子を含み、前記変圧器の漏れインダクタンス、前記容量素子の静電容量および前記導電経路のインダクタンスが、LCLフィルタを構成する、請求項1に記載のICPTシステム。
【請求項3】
前記変圧器の漏れインダクタンス、前記容量素子の静電容量、および前記導電経路のインダクタンスがそれぞれ、実質的に同じリアクタンスを有するか、または実質的に同じリアクタンスを有するように同調されるものである、請求項1または請求項2に記載のICPTシステム。
【請求項4】
前記電源は、直流エネルギー貯蔵構成要素を本質的に有していない、前記請求項のいずれか1項に記載のICPTシステム。
【請求項5】
前記電源は、前記交流を振幅が実質的にゼロと最大値の間で変化するように変調する、前記請求項のいずれか1項に記載のICPTシステム。
【請求項6】
前記ピックアップは、前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御するためのコントローラを含む、前記請求項のいずれか1項に記載のICPTシステム。
【請求項7】
前記コントローラはスイッチを含み、前記エネルギー貯蔵素子への前記電力の流れを制御するために、当該スイッチをOFF状態またはON状態に駆動させることが可能とされた、請求項6に記載のICPTシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御するために、前記スイッチを所定の周波数で作動させ、前記スイッチのデューティ比を制御するものである、請求項7に記載のICPTシステム。
【請求項9】
前記デューティ比は、前記導電経路の電圧または電流の振幅に応じて変化する、請求項8に記載のICPTシステム。
【請求項10】
前記スイッチのデューティ比は前記電源の入力力率を改善するように制御される、請求項8または請求項9に記載のICPTシステム。
【請求項11】
前記デューティ比は、スイッチの各サイクルにおけるスイッチON時間とスイッチOFF時間の比からなり、前記デューティ比の補数が前記導電経路内の電圧の振幅に比例するように変化する、請求項8または請求項9に記載のICPTシステム。
【請求項12】
前記電源は、直流エネルギー貯蔵構成要素を本質的に有していない、前記請求項のいずれか1項に記載のICPTシステム。
【請求項13】
使用中には、前記ピックアップに貯蔵されるエネルギーは、前記電源に貯蔵されるエネルギーを上回る、前記請求項のいずれか1項に記載のICPTシステム。
【請求項14】
複数のピックアップが設けられ、使用中には、これらのピックアップに累積的に貯蔵される前記エネルギーが、前記電源に貯蔵されるエネルギーを上回る、前記請求項のいずれか1項に記載のICPTシステム。
【請求項15】
ICPTシステムを使用して負荷に電力を供給する方法であって、
導電経路に振幅が変化する交流を供給して給電するステップと、
ピックアップを用いて前記導電経路から当該ピックアップに接続されたエネルギー貯蔵素子に電力を伝達するステップと、
該エネルギー貯蔵素子を用いて前記導電経路における交流の変化する振幅に関係なく、それによって供給される負荷への連続的な電力供給を行うステップと
を含む、方法。
【請求項16】
振幅が実質的にゼロと最大値との間で変化するように前記交流を変調するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記導電経路から前記エネルギー貯蔵素子への電力の流れを制御するステップを含む、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記エネルギー貯蔵素子への前記電力の流れを制御するために、スイッチをOFF状態またはON状態に制御するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記エネルギー貯蔵素子への前記電力の流れを制御するために、前記スイッチを所定の周波数で作動させるステップ、および前記スイッチのデューティ比を制御するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記導電経路における電圧または電流の振幅に応じて前記デューティ比を変化させるステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記電源の入力力率を改善するために、前記スイッチのデューティ比を制御するステップを含む、請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記デューティ比は、各スイッチ周期におけるスイッチON時間とスイッチOFF時間の比からなり、前記デューティ比の補数が前記導電経路における電圧の振幅に比例するように、前記デューティ比を制御するステップを含む、請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項23】
単相電力をユーティリティ電源周波数で受け取るための単相入力部と、
ICPTシステムの導電経路に接続するための出力部と、
前記ユーティリティ電源周波数よりも高い電力伝達周波数で交流を生成し、前記交流の振幅を変化させるように、前記ユーティリティ電源周波数に対して前記交流の振幅を変調するコンバータ手段と、
前記コンバータ手段および前記出力部の間に設けられた誘導素子および容量素子と
を含むICPT電源であって、
使用中に前記誘導素子のインダクタンス、前記容量素子の静電容量および前記導電経路のインダクタンスが、LCLフィルタを構成する、ICPT電源。
【請求項24】
変圧器を含み、前記誘導素子は当該変圧器の漏れインダクタンスを含む、請求項23に記載のICPT電源。
【請求項25】
前記変圧器の漏れインダクタンス、前記容量素子の静電容量および前記導電経路のインダクタンスはそれぞれ実質的に同じリアクタンスを有するか、または実質的に同じリアクタンスを有するように同調される、請求項24に記載のICPT電源。
【請求項26】
前記変圧器は絶縁変圧器からなる、請求項24または請求項25に記載のICPT電源。
【請求項27】
前記容量素子は、前記変圧器の出力巻線に並列に設けられる、請求項24から26のいずれか1項に記載のICPT電源。
【請求項28】
前記電源は、直流エネルギー貯蔵構成要素を本質的に有していない、請求項23から27のいずれか1項に記載のICPT電源。
【請求項29】
実質的に、添付図面に示されている実施形態のうちのいずれか1つを参照して本明細書に記載されているICPTシステム。
【請求項30】
実質的に、添付図面に示されている実施形態のうちのいずれか1つを参照して本明細書に記載されているICPTシステムを使用して負荷に電力を供給する方法。
【請求項31】
実質的に、添付図面に示されている実施形態のうちのいずれか1つを参照して本明細書に記載されているICPT電源。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【公表番号】特表2009−528812(P2009−528812A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557230(P2008−557230)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国際出願番号】PCT/NZ2007/000041
【国際公開番号】WO2007/100265
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(504448092)オークランド ユニサービシズ リミテッド (19)
【氏名又は名称原語表記】AUCKLAND UNISERVICES LIMITED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国際出願番号】PCT/NZ2007/000041
【国際公開番号】WO2007/100265
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(504448092)オークランド ユニサービシズ リミテッド (19)
【氏名又は名称原語表記】AUCKLAND UNISERVICES LIMITED
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]