説明

超音波アクチュエータ

【課題】小型でありながら強い発生力を有し、動作効率の良く、安定した駆動ができ、かつ設計の自由度が多いリニア型の超音波アクチュエータを提供すること。
【解決手段】厚み方向に分極された第1圧電体、第1圧電体と対向するように配置され、厚み方向に分極された第2圧電体、及び、第1圧電体と第2圧電体を挟持する第1弾性体と第2弾性体を有し、第1弾性体と第2弾性体による挟持方向に伸縮する駆動部と、駆動部に対して移動可能に配置された移動体と、駆動部に結合され、移動体に対する把持力を調整可能に構成された伝達部と、駆動部の伸縮と伝達部の把持力調整を連動させる制御部と、を備え、伝達部は、移動体を挿通するための貫通孔を有し、駆動部の駆動中心方向軸と、移動体の移動方向中心軸とが略一致するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波アクチュエータとして、特許文献1に記載の超音波モータがある。この超音波モータにおいては、2つのランジュバン振動子を互いに直交するように配置した駆動子を、ロータの外周面に押圧し、振動子の駆動によってロータに回転力を発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−152671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の超音波モータでは、所望の振動を得るには、2つのランジュバン振動子の角度、位置、振幅、周波数等をそろえる調整が必要である。また、2つのランジュバン振動子を互いに直交するように配置するため、駆動子全体の体積が大きくなるという欠点がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型でありながら強い発生力を有し、動作効率の良く、安定した駆動ができ、かつ設計の自由度が多いリニア型の超音波アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る超音波アクチュエータは、厚み方向に分極された第1圧電体、前記第1圧電体と対向するように配置され、厚み方向に分極された第2圧電体、及び、前記第1圧電体と前記第2圧電体を挟持する第1弾性体と第2弾性体を有し、前記第1弾性体と前記第2弾性体による挟持方向に伸縮する駆動部と、
前記駆動部に対して移動可能に配置された移動体と、
前記駆動部に結合され、前記移動体に対する把持力を調整可能に構成された伝達部と、
前記駆動部の伸縮と前記伝達部の把持力調整を連動させる制御部と、
を備え、
前記伝達部は、前記移動体を挿通するための貫通孔を有し、
前記駆動部の駆動中心方向軸と、前記移動体の移動方向中心軸とが略一致するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、小型でありながら強い発生力を有し、動作効率の良く、安定した駆動ができ、かつ設計の自由度が多いリニア型の超音波アクチュエータを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【図3】(a)は第1実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す側面図である。(b)は、その断面構成図である。
【図4】第1実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す正面図である。
【図5】第1実施形態における制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】第1実施形態における支持部を2枚の支持板で固定した状態を示す斜視図である。
【図7】第1実施形態における支持部と2枚の支持板との関係を示す斜視図である。
【図8】第1実施形態における駆動部の伸縮と伝達部による移動体の把持力の変化を側面から経時的に示す図である。
【図9】第1実施形態における駆動部の伸縮と伝達部による移動体の把持力の変化を正面から経時的に示す図である。
【図10】第1実施形態の第1変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図11】第1実施形態の第1変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【図12】第1実施形態の第2変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図13】第1実施形態の第2変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態の超音波アクチュエータの構成による作用効果を説明する。なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えても、本発明の範囲を超えない。従って、以下で説明する本発明の例示的な実施形態は、権利請求された発明に対して、一般性を失わせることなく、また、何ら限定をすることもなく、述べられたものである。
【0010】
本発明の超音波アクチュエータは、超音波モータとして移動体を移動する推力を大きくするために、ボルト締めランジュバン振動子の発生力を利用している。また、伝達部における移動体の把持力の調整のために圧電素子を用いている。移動体は、ランジュバン振動子での力の発生と、伝達部によって移動体を把持する力の調整と、を連動させることによって移動させている。このような構成において、駆動用のランジュバン振動子と移動体を把持するランジュバン振動子とを独立して制御しているため、これらの駆動周波数をそろえる必要がない等設計の自由度がある。
【0011】
さらに、駆動用のランジュバン振動子の先端をホーン形状にすることによって、移動体が移動する移動量をより大きくできるとともに、ホーン形状の先端が細くなることからスペースに限りがある空間でも配置しやすくなる。
【0012】
また、移動体の把持のためにランジュバン振動子を用いる構成としたため、大きな圧力によって移動体を把持することが可能となり、これにより強い移動力を持った超音波アクチュエータが得られる。
【0013】
さらに、小型でありながら強い発生力を有し、動作効率の良く、安定した駆動ができ、かつ設計の自由度が多いリニア型の超音波アクチュエータを得られる。
【0014】
(第1実施形態)
図1〜図5は、第1実施形態に係る超音波アクチュエータ100の構成を示す図であって、図1は斜視図、図2は分解斜視図、図3は側面図、図4は正面図、図5は、第1実施形態における制御部150の構成を示すブロック図である。
【0015】
超音波アクチュエータ100は、駆動部110と、弾性連結部113と、移動体120と、伝達部130と、支持部113eと、制御部150(図5参照)と、を備える。
駆動部110は、第1圧電体としての第1圧電素子111と、第2圧電体としての第2圧電素子112と、第1弾性体及び連結部としての弾性連結部113と、第2弾性体としての埋め込みナット部114と、を備える。
【0016】
第1圧電素子111及び第2圧電素子112は、それぞれ厚み方向に分極された略円板状をなしており、厚み方向において分極方向が互いに対向するように配置されている。駆動部110は、弾性連結部113から延出するボルト部113cを、第1圧電素子111及び第2圧電素子112に貫通させ、さらにナット部114の内面のネジに嵌め合わせる。
【0017】
これにより、第1圧電素子111及び第2圧電素子112を共締めして挟持する。この構成により駆動部110は、ランジュバン振動子を構成する。駆動部110は、第1圧電素子111と第2圧電素子112に通電させることにより、弾性連結部113とナット部114が第1圧電素子111と第2圧電素子112を挟持する方向A(図2)に沿って、伸縮する。
【0018】
弾性連結部113は、第1圧電素子111、第2圧電素子112及びナット部114と、伝達部130と、を機械的及び音響的に互いに連結する。
ここで、弾性連結部113と、第1圧電素子111、第2圧電素子112及びナット部114と、により駆動部110を構成する。
【0019】
これにより、駆動部110で発生した振動を伝達部130に効率良く伝達できる。弾性連結部113は、第1圧電素子111と第2圧電素子112が挟持される方向Aに沿って、同心状に順に配置された、先端部113b、ホーン部113a、及びボルト部113cを備える。先端部113bには、先端から前記挟持方向Aに沿って延びるネジ部113dが形成され、ボルト部113cは、外面にネジが形成されている。
【0020】
ホーン部113aは、ボルト部113c側から先端部113b側へ向かって外径が小さくなる形状を備える。別言すると、ホーン部113aは、第1圧電素子111と第2圧電素子112が挟持される方向Aに沿った断面径が、駆動部110側から伝達部130側へ向かうほど小さくなるホーン形状を備える。この断面のホーン形状は、指数関数的に変化することが好ましい。しかしながら、これに限れず、駆動部110側から伝達部130側へ向かうほど小さくなっていれば、これ以外の形状であってもよい。
【0021】
伝達部130は、前記挟持方向Aと垂直な方向B(図2)に沿って順に、押圧ボルト135、本体部133、第3圧電素子131(第3圧電体)、第4圧電素子132(第4圧電体)、及び埋め込みボルト134を備える。伝達部130は、駆動部110と別体であって、弾性連結部113のネジ部113dを本体部133にねじ込むことによって駆動部110と結合される。
【0022】
第3圧電素子131及び第4圧電素子132は、それぞれ厚み方向に分極された略円板状をなしており、厚み方向において分極方向が互いに対向するように配置されている。伝達部130は、埋め込みボルト134のボルト部134aを、第3圧電素子131及び第4圧電素子132に貫通させ、さらに本体部133の内面のネジに嵌め合わせることにより、第3圧電素子131及び第4圧電素子132を共締めする。これにより、第3圧電素子131及び第4圧電素子132は、前記挟持方向Aと垂直な挟持方向Bに沿って、本体部133及び埋め込みボルト134により挟持される。
【0023】
伝達部130は、移動体120を挿通するための貫通孔136を有している。
【0024】
図3(a)は、本実施形態の側面構成を示している。図3(b)は、本実施形態の断面構成を示している。
伝達部130の下部には、図3(a)に示すように、その端部に貫通孔136とは異なる円筒空間137が形成されている。
円筒空間137内には押圧ブロック138が配置されている。伝達部130の下面から押圧ボルト135を螺合することにより、押圧ボルト135を円筒空間137にねじ込むことができる。
【0025】
図2の斜視構成図に示すように、駆動部113の先端部113bのネジ部113dには、開口部113fが形成されている。
そして、図3(b)の断面構成図に示すように、駆動部110は、中空部113gを有している。棒形状の移動体120は、開口部113fから駆動部110内の中空部113gに挿通可能である。
そして、駆動部110の駆動中心方向軸AX1と、移動体120の移動方向中心軸AX2とが略一致するように構成されている。図4は、超音波アクチュエータの構成を示す正面図である。
ここで、「略一致」とは、駆動部110の駆動中心方向軸AX1と、移動体120の移動方向中心軸AX2とが完全に一致する構成に限られず、要求されるスペックにより許容される範囲内で、両軸AX1、AX2が相互にシフトしている構成も含まれることをいう。
【0026】
ここで、押圧ボルト135の端部には、押圧ブロック138が配置されている。このため、押圧ボルト135を伝達部130へねじ込むことで、押圧ブロック138を介して、貫通孔136に挿通されている移動体120を押圧できる。
なお、押圧ブロック138の移動体120が当接する面を、V溝形状とすることが望ましい。これにより、円筒形状(棒状)を有する移動体120の位置決め精度、当て付け精度の向上を図ることができる。
【0027】
伝達部130は、第3圧電素子131及び第4圧電素子132に通電することにより伸縮する。伝達部130に共振振動を起こすように通電すると、伝達部130には振動の節と腹が生ずることとなる。この振動の節位置では節位置を境として振動の振動方向は逆方向になっている。したがって、通電による振動中は、節位置を基準にすると力が離れる方向と近づく方向が繰り返されることになる。このため、節位置に挟まれた移動体120は超音波領域の高速振動で掴む、離すが繰り返される。この結果、通電時は移動体120を把持する力が弱くなる。
【0028】
また、第3圧電素子131及び第4圧電素子132に通電していない初期状態においては、伝達部130は、本体部133と押圧ブロック138を介して押圧ボルト135によって移動体120を強く把持している。これにより移動体120は伝達部130に固定されている。
このように、通電と非通電とを制御することにより、伝達部130が移動体120を把持する力を増減できる。
【0029】
図5に示すように、制御部150は、第1信号発生器151、第1電力増幅部152、遅延回路153、第2信号発生器154、及び第2電力増幅部155を備える。第1信号発生器151で発生した信号は第1電力増幅部152で増幅されて駆動部110(第1圧電素子111、第2圧電素子112)へ出力される。第2信号発生器154で発生した信号は第2電力増幅部155で増幅されて伝達部130(第3圧電素子131、第4圧電素子132)へ出力される。
【0030】
駆動部110と伝達部130へ出力する信号は、遅延回路153を介することにより、所定の遅延時間をおいて互いに時間的に同期している。なお、駆動部110と伝達部130へ出力する信号の位相は同期する必要はない。
【0031】
制御部150から駆動部110と伝達部130へそれぞれ出力する2系統の信号は、駆動部110の第1圧電素子111及び第2圧電素子112と、伝達部130の第3圧電素子131及び第4圧電素子132と、にそれぞれ印加される。これにより、駆動部110の伸縮と、伝達部130の伸縮による移動体120の把持力の調整が連動し、これを繰返すことにより移動体120を所定の方向にリニアに駆動することができる。
【0032】
図6、図7に示すように、支持部113eは、第1圧電素子111、第2圧電素子112を駆動源とする駆動部110の略節近傍に配置されており、弾性連結部113と一体に構成された板形状をした部材である。支持部113eは、第1圧電素子111、第2圧電素子112を駆動源とする駆動部110の略節近傍に配置されており、駆動部110のうちの第1圧電素子111、第2圧電素子112による振動の略節位置に配置され、2枚の支持板161、162で挟持される。これにより、超音波アクチュエータ100は、駆動部110のうちの第1圧電素子111、第2圧電素子112による振動の略節位置で支持されるとともに、外部の部材に対して取り付け可能となる。ここで、図6は、2枚の支持板161、162で支持部113eを固定した状態を示す斜視図である。図7は、支持部113eと2枚の支持板161、162との関係を示す斜視図である。
【0033】
次に、駆動部110の伸縮と伝達部130の把持力調整を連動させることによって、移動体120を移動させる工程について、図8(a)〜(d)、図9(a)〜(d)を例に挙げて説明する。図8(a)〜(d)は、駆動部110の伸縮と伝達部130による移動体120の把持力の変化を側面から経時的に示す図である。図9(a)〜(d)は、駆動部110の伸縮と伝達部130による移動体120の把持力の変化を正面から経時的に示す図である。図9(a)〜(d)は、図8(a)〜(d)にそれぞれ対応する。
【0034】
図8(a)及び図9(a)は、初期状態を示している。初期状態においては、第1圧電素子111及び第2圧電素子112には電圧が印加されていないため、駆動部110は伸縮しない。また、初期状態においては、第3圧電素子131及び第4圧電素子132には電圧が印加されておらず、移動体120は、本体部133と押圧ボルト135に当接している押圧ブロック138とによって強く把持されることとなり、これにより移動体120は伝達部130に対して固定されている。
【0035】
図8(b)及び図9(b)は、第3圧電素子131及び第4圧電素子132には電圧を印加しない状態を維持し、第1電力増幅部152から第1圧電素子111及び第2圧電素子112へ所定の電圧を印加した状態を示す。駆動部110の第1圧電素子111、第2圧電素子112に所定の電圧が印加されることによって、駆動部110が伸張する。このため、伝達部130と移動体120は一体となって左へ移動する。
【0036】
図8(c)及び図9(c)は、図8(b)及び図9(b)の状態から第1圧電素子111及び第2圧電素子112への電圧の印加を継続しつつ、第2電力増幅部155から第3圧電素子131及び第4圧電素子132へ所定の電圧を印加した状態を示す。図8(b)及び図9(b)に示すタイミングと図8(c)及び図9(c)に示すタイミングの差は、遅延回路153が定める遅延時間に対応する。図8(c)及び図9(c)の状態では、第3圧電素子131、第4圧電素子132の伸縮により、本体部133と押圧ボルト135に当接している押圧ブロック138との間において、節近傍に配置された移動体120を把持する力が低下しており、移動体120は伝達部130に対して移動可能となっている。
【0037】
図8(d)及び図9(d)は、第3圧電素子131及び第4圧電素子132へ電圧を印加した状態を維持しつつ、第1圧電素子111及び第2圧電素子112への電圧の印加を停止した状態を示す。図8(d)及び図9(d)の状態では、駆動部110は、図8(a)及び図9(a)に示す初期状態まで縮退する。一方、伝達部130による移動体120を把持する力が低下しているため、移動体120は伝達部130の縮退に拘わらずに、図8(c)及び図9(c)に示す位置にとどまる。
【0038】
以上の動作により、移動体120は、図8(a)及び図9(a)に示す状態よりも左側に移動し、これを繰り返すことにより移動体120を所望の位置まで移動させることができる。
【0039】
これに対して、図8(a)〜(d)及び図9(a)〜(d)に示す動作と逆の動作を行うことによって、移動体120を右側へ移動させることもできる。
より具体的には、伝達部130による移動体120の把持力を低下させた状態で移動体120の位置を維持しつつ駆動部110を伸張させる動作と、伝達部130による移動体120の把持力を高めた状態で駆動部110を縮退することにより移動体120を右側へ移動させる動作と、を順に行うことによって移動体120を右側へ移動させる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態では、駆動部110の駆動中心方向軸AX1と、前記移動体の移動方向中心軸とが略一致するように構成されている。
このように、駆動部110の中心に移動体120を持ってくることにより、動作点と作用点とを同一にできる。この結果、駆動時に回転モーメントがかからないので、安定した駆動ができる。
【0041】
次に変形例について説明する。
図10は、第1実施形態の第1変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。図11は、第1実施形態の第1変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。図10、図11において、駆動部110は第1実施形態と同じ部材であるため、同じ参照符号を使用し、その詳細な説明は省略する。
【0042】
図10、図11に示すように、第1変形例に係る超音波アクチュエータにおいては、第1実施形態の移動体120に代えて長板状の移動体170を使用している。移動体170の先端には2つの孔171、172が設けられており外部の部材と接合可能になっている。
【0043】
伝達部180は、第1実施形態の伝達部130と同様に、弾性連結部113とナット部114が第1圧電素子111と第2圧電素子112を挟持する方向Aと垂直な方向B(図11)に沿って順に、押圧ボルト185、本体部183、第3圧電素子181(第3圧電体)、第4圧電素子182(第4圧電体)、及び埋め込みボルト184を備える。また、伝達部180は、弾性連結部113のネジ部113dを本体部183にねじ込むことによって駆動部110と結合される。
【0044】
第3圧電素子181及び第4圧電素子182は、第1実施形態の第3圧電素子131及び第4圧電素子132と同様の構成であり、前記挟持方向Aと垂直な挟持方向Bに沿って、本体部183及び埋め込みボルト184により挟持される。
【0045】
移動体170は、貫通孔186内において前記挟持方向Aに沿って延びるように板状の移動体170が配置されている。
押圧ボルト185は、前記挟持方向Bに沿って、第1実施例の図3で示す円筒空間137に対して本体部183の下面から螺合する。押圧ボルト185の移動体170側には、押圧ブロック188が配置されている。さらに、本体部183と押圧ボルト185の間には、押圧ブロック188を介在して、挟持方向Aに沿って延びるように移動体170が配置されている。移動体170は、本体部183の下面と押圧ボルト185端部に配置されている押圧ブロック188の上面によって挟持される。ここで、本体部183の下面と押圧ボルト185の端部に配置されている押圧ブロック188の上面は、互いに対向する平面である。移動体170は、本体部183と押圧ボルト185端部に配置されている押圧ブロック188の上面との間に保持される。
【0046】
伝達部180は、第3圧電素子181及び第4圧電素子182に通電することにより伸縮し、これにより本体部183と押圧ボルト185端部に配置されている押圧ブロック188の上面が移動体170を把持する力が増減する。
具体的には、第3圧電素子181及び第4圧電素子182に通電していない初期状態においては、伝達部180は、本体部183と押圧ボルト185端部に配置されている押圧ブロック188の上面によって移動体170を強く把持している。これにより移動体170は伝達部180に固定されている。したがって、移動体170は、本体部183と押圧ボルト185端部に配置されている押圧ブロック188の上面によって機械的に挟持されている。一方、第3圧電素子181及び第4圧電素子182に通電すると、移動体170を把持する力が低下し、移動体170は前記把持方向Aに沿って移動可能となる。
【0047】
図12は、第1実施形態の第2変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。図13は、第1実施形態の第2変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。図12、図13において、駆動部110は第1実施形態と同じ部材であるため、同じ参照符号を使用し、その詳細な説明は省略する。
【0048】
図12、図13に示すように、第2変形例に係る超音波アクチュエータにおいては、第1実施形態の円筒状(棒状)の移動体120に代えて長板状の移動体190を使用している。移動体190の先端には2つの孔191、192が設けられており外部の部材と接合可能になっている。また、移動体190は、厚み方向に貫通する長孔部193を備える。この長孔部193は、移動体190の長手方向に沿って延びるように設けられている。
本変形例は、移動体190の中心部に長孔部193を形成して、移動体190が移動したときに、本体部203から外れない構成である点が、上記第1の変形例と異なる。
【0049】
伝達部200は、第1実施形態の伝達部130と同様に、弾性連結部113とナット部114が第1圧電素子111と第2圧電素子112を挟持する方向Aと垂直な方向B(図13)に沿って順に、押圧ボルト195、本体部203、第3圧電素子201(第3圧電体)、第4圧電素子202(第4圧電体)、及び埋め込みボルト204を備えている。
【0050】
第3圧電素子201及び第4圧電素子202は、第1実施形態の第3圧電素子131及び第4圧電素子132と同様の構成であり、前記挟持方向Aと垂直な挟持方向Bに沿って、本体部203及び埋め込みボルト204により挟持される。
【0051】
押圧ボルト195は、前記挟持方向Bに沿って、第1実施例の図3で示すような円筒空間137に対して本体部203の下面から螺合する。押圧ボルト195の移動体190側には、押圧ブロック198が配置されている。押圧ブロック198の上面には、ピン198aと、押圧面198bが形成されている。ピン198aは、移動体190の長孔部193と係合する。押圧面198bは、移動体190を押圧する。これにより、移動体190は、本体部203に固定されている。
板状の移動体190は、貫通孔196内において前記挟持方向Aに沿って延びるように配置されている。移動体190は、本体部203の下面と押圧ボルト195端部に配置されている押圧ブロック198の押圧面198bの上面によって挟持される。ここで、本体部203の下面と押圧ボルト195の端部に配置されている押圧ブロック198の押圧面198bの上面は、互いに対向する平面である。さらに、移動体190は、長孔部193内にピン198aが挿通されている。これにより、移動体190は、本体部203と押圧ボルト195の端部に配置されている押圧ブロック198の間に保持される。ここで、ピン198aは、移動体190の長孔部193と係合する。
【0052】
伝達部200は、第3圧電素子201及び第4圧電素子202に通電することにより伸縮し、これにより本体部203と押圧ボルト195端部に配置されている押圧ブロック198の押圧面198bが移動体190を把持する力が増減する。
【0053】
具体的には、第3圧電素子201及び第4圧電素子202に通電していない初期状態においては、伝達部200は、本体部203と押圧ボルト195端部に配置されている押圧ブロック198の押圧面198bによって移動体190を強く把持しており、これにより移動体190は伝達部200に固定されている。したがって、移動体190は、本体部203と押圧ボルト195端部に配置されている押圧ブロック198の押圧面198bによって機械的に挟持されている。
【0054】
一方、第3圧電素子201及び第4圧電素子202に通電すると、伝達部200の振動の節近傍に存在する移動体190に対する把持力が低下し、移動体190は前記把持方向Aに沿って移動可能となる。
また、移動体190の長孔部193と、押圧ブロック198のピン198aとが係合することで、移動体190が本体部203から脱落することを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明に係る超音波アクチュエータは、ランジュバン振動子を含む複数の振動子を用いた小型のアクチュエータに有用である。
【符号の説明】
【0056】
100 超音波アクチュエータ
110 駆動部
111 第1圧電素子(第1圧電体)
112 第2圧電素子(第2圧電体)
113 弾性連結部(第1弾性体、連結部)
113a ホーン部
113b 先端部
113c ボルト部
113d ネジ部
113e 支持部
113f 開口部
114 ナット部(第2弾性体)
120 移動体
130 伝達部
131 第3圧電素子(第3圧電体)
132 第4圧電素子(第4圧電体)
133 本体部
133a 溝部
134 埋め込みボルト
134a ボルト部
135、185、195 押圧ボルト
136、186、196 貫通孔
137 円筒空間
138、188、198 押圧ブロック
150 制御部
151 第1信号発生器
152 第1電力増幅部
153 遅延回路
154 第2信号発生器
155 第2電力増幅部
161、162 支持板
170 移動体
171、172 孔
180 伝達部
181 第3圧電素子(第3圧電体)
182 第4圧電素子(第4圧電体)
183 本体部
184 埋め込みボルト
190 移動体
191、192 孔
193 長孔部
198a ピン
198b 押圧面
200 伝達部
201 第3圧電素子(第3圧電体)
202 第4圧電素子(第4圧電体)
203 本体部
204 埋め込みボルト
AX1 駆動中心方向軸
AX2 移動方向中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に分極された第1圧電体、前記第1圧電体と対向するように配置され、厚み方向に分極された第2圧電体、及び、前記第1圧電体と前記第2圧電体を挟持する第1弾性体と第2弾性体を有し、前記第1弾性体と前記第2弾性体による挟持方向に伸縮する駆動部と、
前記駆動部に対して移動可能に配置された移動体と、
前記駆動部に結合され、前記移動体に対する把持力を調整可能に構成された伝達部と、
前記駆動部の伸縮と前記伝達部の把持力調整を連動させる制御部と、
を備え、
前記伝達部は、前記移動体を挿通するための貫通孔を有し、
前記駆動部の駆動中心方向軸と、前記移動体の移動方向中心軸とが略一致するように構成されていることを特徴とする超音波アクチュエータ。
【請求項2】
前記駆動部は、中空部を有し、
前記移動体は、前記中空部に挿通されることを特徴とする請求項1に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項3】
前記伝達部は、ランジュバン振動子であることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項4】
前記移動体は、棒状又は板状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波アクチュエータ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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