説明

超音波検査の方法及びシステム

【課題】 繰り返し精度及び再現性の高い、画像中の標示を測定する方法及びシステムを提供する。
【解決手段】 画像中の標示を測定する方法(500)及びシステム(300)が提供される。方法は、潜在標示を含む画像データを収集すること(502)と、標示の特徴が強調されるように、画像データを処理すること(504)と、標示がその他のデータから分離されるように、画像データを閾値処理すること(506)と、標示の大きさを判定すること(508)と、判定された標示の大きさを表示すること(510)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、非破壊試験に関し、特に、複合部品の超音波検査に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波検査技術は、工作物の非破壊評価が必要とされる数多くの用途で使用される。そのような超音波検査の適用用途の1つは、複合繊維補強航空機エンジン用ファンブレードの検査である。ファンブレードは、通常、複数の複合繊維(例えば、グラファイト、ホウ素又はSガラス)の層を積み重ね、それらを接着剤により接合することにより製造される。接着が不完全である又はブレードに空隙が存在するなどの理由により繊維層が剥離すると、ブレードの強度に悪影響が及ぶ。複合繊維補強ブレードにおけるそのような傷を識別し、その場所を特定するために、超音波検査技術を使用できる。更に、複合導管などの複合航空機エンジン部品(ただし、複合導管に限定されない)を検査する場合にも、超音波検査技術を使用できる。
【0003】
複合材料の製造中、複合材料の所期の用途に影響を及ぼすような異常状態が起こる場合がある。異常状態は、多孔構造、積層剥離及び異物を含むが、それらに限定されない。そのような異常状態を検出するために、複合材料は、超音波非破壊試験技術を使用して検査される。異常状態が存在することが超音波試験により示された場合、複合材料の所期の用途に対する異常状態の影響を技術的に評価するために、材料異常の大きさを正確に測定する必要がある。
【0004】
少なくともいくつかの周知の試験方法を使用して、超音波検査担当者は、画像の目視外観に基づく最良の推定を利用して、超音波画像中の材料異常の境界ポイントを判定する。通常、標示の境界の判定を助けるために、経験則が使用される。例えば、画像中の材料異常を取り囲む画素の平均振幅の2倍である全てのポイントなどの経験則が使用される。
【0005】
しかし、そのような方法においては、例えば、測定偏差が相対的に大きいなどの理由により、精度が低下する傾向がある。場合によっては、測定偏差は、材料異常の実際の大きさの約50%にもなる。更に、担当者が測定を実行する際のばらつきがあるため、経験則に基づく方法の繰り返し精度及び再現性は、相対的に低い。
【発明の開示】
【0006】
一実施形態においては、画像中の標示を測定する方法は、潜在標示を含む画像データを収集することと、標示の特徴が強調されるように、画像データを処理することと、標示がその他のデータから分離されるように、画像データを閾値処理することと、標示の大きさを判定することと、判定された標示の大きさを表示することとを含む。
【0007】
別の実施形態においては、超音波検査システムは、パルスエコー変換器と、変換器に動作自在に結合されたプロセッサとを含む。プロセッサは、潜在標示を含む画像データを収集し、標示の特徴が強調されるように、画像データを処理し、標示がその他のデータから分離されるように、画像データを閾値処理し、標示の大きさを判定し、判定された標示の大きさを表示するように構成される。
【0008】
更に別の実施形態においては、超音波検査装置は、パルスエコー変換器と、変換器に動作自在に結合されたプロセッサとを含む。プロセッサは、部品の2D超音波データを処理し、画像を閾値処理し、標示を表現する画素のクラスタに分割するために、形態素演算子を使用して、部品中の標示の大きさ及び数を判定し、標示を含むことができる最小のボックスを含むバウンディングボックスのアルゴリズムを使用して、標示の大きさを測定し、大きさ測定値を画素空間測定値から物理的寸法に変換し、標示及び標示の大きさを表示するように構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、ガスタービンエンジン10の一例を示した概略図である。ガスタービンエンジン10は、低圧圧縮機12、高圧圧縮機14及び燃焼器16を含む回転子11を含む。エンジン10は、高圧タービン18、低圧タービン20、排気フレーム22及びケーシング24を更に含む。第1の軸26は、低圧圧縮機12と低圧タービン20とを結合し、第2の軸28は、高圧圧縮機14と高圧タービン18とを結合する。エンジン10は、エンジン10の上流側34からエンジン10の下流側36に向かって後方へ延出する対称軸32を有する。回転子11はファン38を更に含む。ファン38は、ハブ部材又は円板42に装着された少なくとも1列のエーロフォイル形ファンブレード40を含む。ファンブレード40は、製造上の許容差又は欠陥に起因するいくつかの小さな差異はあるが、他のどのブレード40ともほぼ同一である。ファンブレード40は、互いにほぼ等しい角度で離間する関係で円板42に結合される。一実施形態においては、ガスタービンエンジン10は、オハイオ州シンシナティのGeneral Electric Companyより市販されているGE90エンジンである。
【0010】
動作中、空気は低圧圧縮機12を通って流れ、圧縮された空気は高圧圧縮機14に供給される。高圧に圧縮された空気は燃焼器16へ送り出される。燃焼器16からの燃焼ガス44は、タービン18及び20を推進する。高圧タービン18は、第2の軸28及び高圧圧縮機14を回転させ、低圧タービン20は、第1の軸26及び低圧圧縮機12を対称軸32に関して回転させる。離陸動作中及びエンジン出力が相対的に高い他の動作期間などのいくつかのエンジン動作の間、ファン38は、ブレード40の半径方向外側の部分が超音速に達するように回転する。その結果、超音速で回転しているブレード40の部分は衝撃波を発生し、その衝撃波は騒音として聞こえる場合もある。騒音は、ブレード通過周波数の数倍から円板の回転周波数に至るまで、広い音調範囲にわたり拡散される。
【0011】
図2は、ガスタービンエンジン10と共に使用できる複合ブレード100及びファン回転子円板102の一例を示した展開斜視図である。周囲方向に互いに離間して配置された複数のブレード100は、回転子円板又はドラム102によりダブテール溝穴104を介して支持される。各ブレード100はエーロフォイル106を含む。各ブレード100がダブテール根元部108及びダブテール溝穴104を介して回転子102により支持されるように、エーロフォイル106は、ダブテール根元部108とブレード先端部110との間に延在する。ブレード100は、周囲方向に互いに離間して配置された複数のブレード100の代表例であり、各々がブレード100の測定パラメータに基づいて特定のダブテール溝穴104に位置指定される。本実施形態においては、各ブレード100は、複数の積層複合プライ(図示せず)を含む複合エーロフォイル106を含む。特に、各ブレード100は、第1の複数の構造エーロフォイルプライ及び荷重支持エーロフォイルプライをエーロフォイル106に含むと共に、第2の複数の根元プライを根元部108に含む。
【0012】
図3は、被検体中の異常を解析し測定するために使用できる超音波システム300を示した概略図である。本実施形態においては、システム300はパルスエコー変換器312を含む。変換器312は、プロセッサ316、ディスプレイ318、キーボード320及びマウス322を含む制御装置314に結合される。別の実施形態においては、2変換器型透過変換器システムが使用される。種々の他の実施形態においては、変換器は、フェイズドアレイ変換器、単一素子変換器、又はフェイズドアレイ変換器と単一素子変換器との組み合わせである。本明細書中で使用される用語「プロセッサ」は、当該技術においてプロセッサと呼ばれる集積回路のみに限定されず、広い意味でコンピュータ、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ、アプリケーション別集積回路及び他のプログラマブル回路を表す。制御装置314は、超音波試験データを収集し、解析し、表示するように構成される。本実施形態においては、超音波システム300は、送信器及び受信器の双方として機能する構成要素の一方の側に配置された単一の変換器を使用するパルスエコー(PE)超音波試験装置である。パルスエコー試験を使用するには、試験要素の一方の側にアクセスするだけでよい。種々の実施形態においては、超音波システム300は、試験要素の表面に沿って変換器312を移動するための電気機械装置を含んでもよく、電気機械走査装置は、移動する変換器の位置を監視する1つ以上の位置センサを含んでもよい。
【0013】
使用中、変換器312は、試験対象の部品(図示せず)と音響伝導する状態に配置され、部品の中へ超音波が導入される。一実施形態においては、部品と変換器312との間の超音波の進行を容易にするために、部品と変換器312との間に周知の音響ジェルが配置される。別の実施形態では、液体を通して超音波の進行を容易にするように、部品及び変換器312は、互いに近接する関係で液体中に浸漬される。自動設定で液体を使用する実施形態においては、超音波システム300は、少なくとも1つのコレット又はマンドレル(図示せず)を含む回転自在のテーブル(図示せず)を含む。部品は、コレット又はマンドレルに自動的に吸着され、テーブルは、部品が変換器312とごく近接するように回転される。変換器312は超音波エネルギーを放出し、部品中に境界面(亀裂又は積層剥離)が存在する場合には、超音波エネルギーの少なくとも一部が反射される。本実施形態においては、データを収集するために、二重ガントリシステムが使用される。別の実施形態では、複雑な幾何学形状を有する部品を走査するために、12軸二重ガントリ走査システムが使用される。
【0014】
図4は、被検体の内部に位置する1つ以上の標示を表現する画素のクラスタ400の一例を示した概略図である。本実施形態においては、バウンディングボックス402を使用して測定が実行される。バウンディングボックス402は、画素のクラスタ400を完全に包囲する最小のボックスである。
【0015】
バウンディングボックスを使用して、クラスタの水平方向寸法404及びクラスタの垂直方向寸法406が判定される。それらの寸法は、バウンディングボックスの空間の中におけるクラスタの最大垂直方向寸法及び最大水平方向寸法として計算される。尚、それらの測定値は、垂直及び水平の2方向におけるバウンディングボックスの中心点を使用して求められるのではない。
【0016】
バウンディングボックスの対角線408及び410の各々と平行に、クラスタの測定が実行される。対角線方向の測定は、バウンディングボックスに対して1つの固定位置で実行される。
【0017】
標示の長軸寸法は、最大測定値を有する寸法として定義される。標示の短軸寸法は、長軸寸法に対して垂直な寸法である。従って、短軸寸法が最小の寸法であるとは限らない。
【0018】
長軸寸法及び短軸寸法は、画素からインチ又はミリメータなどの物理的寸法に変換される。測定値は、アップサンプルサイズにより除算され、生画像画素に再変換される。走査指標に画素単位の生測定値を乗算することにより、生画像画素測定値は物理的測定値に変換される。
【0019】
図5は、被検体中の標示の大きさを測定する方法500の一例を示した流れ図である。方法は、検査対象の物体に関して超音波検査データファイルを収集すること(502)を含む。本実施形態においては、このデータファイルは2D画像の形態であり、画像の2つの次元は、被検体における空間位置に関する。画像のコンテンツは、画像中の空間位置の各々における変換器の超音波応答を表現する。本実施形態においては、被検体は、複合材料から製造されたガスタービンエンジンのファンブレードのような部品である。
【0020】
検査担当者は2D画像を解析し、材料異常又は標示を示すデータを含む画像のサブセット(関心領域(ROI))を選択する。検査データの1つのセットの中に、2つ以上のROIが存在する場合もある。いくつかの実現形態においては、ROIは2D画像全体であってもよい。
【0021】
材料異常の特徴を強調するように、ROIにおける画像データを処理する(504)ために、数理アルゴリズムが使用される。材料異常をROIのその他の部分から分離するために、強調されたROI中のデータは閾値処理される(506)。このアルゴリズムを2つのプロセス、すなわち、画像前処理プロセスと、画像閾値処理及び分割プロセスとに分けて説明する。
【0022】
本実施形態においては、画像前処理プロセスは、ノイズ低減、画像アップサンプリング及びエッジ強調の3つのステップを含む。ノイズ低減は、測定プロセスに対する電気的ノイズの影響を低減するために実行される。一実施形態においては、ただ1つのノイズ低減フィルタとして標準中央値フィルタが使用される。中央値フィルタのカーネルは3×3である。
【0023】
標示測定ステップの分解能を向上するために、ノイズ低減後の画像は各方向にアップサンプリングされる。例えば、双線形補間と共に、各方向に係数“4”が使用されてもよい。
【0024】
閾値処理前に標示のエッジを強調するために、エッジ強調フィルタが使用される。本実施形態の検査では、Kirschエッジ強調フィルタが使用される。Kirschカーネルの大きさは5×5である。北向きのKirschカーネルの係数は次の通りである。
【0025】
【数1】

Kirschフィルタの出力は次のように実現される。
【0026】
【数2】

式中、
【0027】
【数3】

は畳み込み演算子であり、||は絶対値演算子である。S、E、Wの表記は、前記定義済カーネルkNの90°回転を表す。
【0028】
本実施形態においては、画像閾値処理及び分割プロセスは、3つのステップ、すなわち、振幅閾値処理、分割及び関連性試験を含む。オペレータは、標示を伴う画像の領域を選択している(画像全体にわたり欠陥自動認識を実行しようとするのではなく)ので、アルゴリズムは変数閾値を含む。
【0029】
振幅閾値は、エッジ検出画像Eに適用される。エッジ検出画像の最大値Emaxが判定される。閾値レベルTlevelは、振幅閾値Tampにエッジ検出画像の最大値を乗算することにより計算される。
Tlevel= Emax * Tamp
2進画像Bは、エッジ検出画像中における対応する画素が閾値レベルより大きい場合、2進画像中の全ての画素を1に設定することにより形成される。
【0030】
【数4】

振幅閾値処理後、分割が実行される前に、2進画像に形態素演算子が適用されてもよい。それらの演算子の目的は、小さな間隙を全て閉鎖し、全ての穴を埋めることである。
【0031】
本実施形態においては、分割が実行される前に、画像に2つの形態素演算子が適用される。第1の演算子は、形態素閉鎖(Close)演算子である。閉鎖演算の構造要素は、所定の直径を有する円板である。本実施形態においては、使用される円板の直径は、間隙及び実行されるアップサンプリングの量に基づく。
【0032】
画像に対して実行される第2の形態素演算は、塗りつぶし(Fill)演算F()である。塗りつぶし演算は、2進画像中にあるオブジェクトの全ての穴を「塗りつぶす」。それを検査するための別の方法は、画像のエッジに結合されていない2進画像中の「0」画素が全て「1」に変換されることである。
【0033】
画像分割は、塗りつぶし演算後、2進画像Bに対して実行される。このステップにおいては、「1」の値を有する全ての画素が隣接画素のクラスタに分割される。各クラスタに独自の番号が割り当てられ、画像中のクラスタの総数が判定される。
【0034】
2進画像中の各クラスタは、形態素処理技術を使用して、検査のための最小解釈可能サイズと比較される。クラスタが最小解釈可能サイズ以下であれば、そのクラスタは2進画像から排除される。
【0035】
本実施形態においては、このステップは、形態素開放(Open)演算子を使用して実行される。この演算の構造要素は、画素単位で最小解釈可能標示と等しい直径を有する円板である。本実施形態においては、この直径は16画素(4画素最小解釈可能×4画素アップサンプリング)である。
【0036】
広範囲にわたる大きさで異常を含む実現形態においては、アルゴリズムのこの部分に変数閾値を使用できる。変数閾値は、振幅閾値を徐々に小さくしながら、画像閾値処理及び分割プロセスの3つのステップを繰り返し実行することにより実現される。初期振幅閾値が指定される。検査の最小解釈可能サイズを超える標示が見出されない場合、この閾値は徐々に低くされる。
【0037】
本実施形態においては、振幅閾値の初期値は50%である。振幅閾値の最小値は10%である。閾値処理及び分割プロセスの後、画像中に標示が見出されない場合には、閾値は、最小値に向かって10%ずつ低下される。
【0038】
クラスタの識別後、数理アルゴリズムは各クラスタの大きさを判定する(508)。この大きさは、1つのエリア又はクラスタを記述する線形寸法群のいずれかであればよい。いずれの場合にも、測定値を複合部品の技術的必要条件と比較できるように、平方インチ又は平方センチメートルのような物理的単位で測定値を求める必要がある。
【0039】
本実施形態においては、標示の測定は2段階で実行される。第1の段階において、残留するクラスタの水平方向測定値、垂直方向測定値及び対角線方向測定値が計算される。2進画像中に2つ以上の明確に識別できるクラスタが残留している場合、それらのクラスタは併合され、測定プロセスに対して1つのクラスタとして扱われる。測定値の計算後、標示の長軸及び短軸が判定され、測定値は画素空間から物理的寸法に変換される。本実施形態においては、測定値がユーザに対して表示される(510)前に、測定値に経験修正係数が加算される。別の実施形態では、自動測定の精度を改善するために必要と判定された場合に限り、経験修正が適用される。
【0040】
本実施形態においては、測定値は、バウンディングボックス方式に基づく。残留するクラスタに対するバウンディングボックスは、残留するクラスタを完全に包囲する最小のボックスである。
【0041】
バウンディングボックスを使用して、クラスタの水平方向寸法及び垂直方向寸法が判定される。それらの寸法は、バウンディングボックスのスペースの中におけるクラスタの最大垂直方向寸法及び最大水平方向寸法として計算される。尚、それらの測定値は、2つの方向におけるバウンディングボックスの中心点を使用して求められるのではない。
【0042】
次に、バウンディングボックスの対角線と平行なクラスタの測定値が求められる。対角線方向の測定は、バウンディングボックスに対して1つの固定位置で実行される。
【0043】
標示の長軸寸法は、最大測定値を有する寸法として定義される。標示の短軸寸法は、長軸に対して垂直な寸法である。(これは、必ずしも最小寸法ではない。)
長軸寸法及び短軸寸法は、画素からインチ又はミリメートルなどの物理的寸法に変換される。実行された全てのアップサンプリングが考慮される。測定値は、アップサンプルサイズで除算され、生画像画素に再変換される。走査指標に画素単位の生測定値を乗算することにより、生画像画素測定値は物理的測定値に変換される。
【0044】
以上、複合エーロフォイルにおける傷又は異常の場所の特定及び数量化を助けるシステム及び方法の実施形態を詳細に説明した。本明細書中で説明されるシステム及び方法の技術的効果は、製造部品中の異常の場所を特定及び測定するために非破壊試験を使用する製造プロセスの品質管理を含む。
【0045】
上述の超音波検査システムは、複合部品の超音波検査に使用できる費用効率に優れ、極めて信頼性の高い方法及びシステムである。方法は、部品中の標示の場所を特定し且つ画像中の標示の大きさを測定するために画像情報を分割し、測定値を画素空間測定値から物理的測定値に変換する。従って、超音波検査システムは、ガスタービンエンジン部品の製造を費用効率に優れ且つ信頼性の高い方法で可能にする。
【0046】
超音波検査システムの構成要素の実施形態を詳細に説明した。構成要素は、本明細書中で説明された特定の実施形態に限定されず、各システムの構成要素は、本明細書中で説明された他の構成要素から独立して別個に利用されてもよい。超音波検査システムの各構成要素は、他の超音波検査システム構成要素と組み合わせても使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】ガスタービンエンジンの一例を示した概略図である。
【図2】図1に示されるガスタービンエンジンと共に使用できるファン回転子及び翼配列構体の例を示した展開斜視図である。
【図3】被検体中の異常を解析し測定するために使用できる超音波システムを示した概略図である。
【図4】被検体の内部に位置する1つ以上の標示を表現する画素のクラスタの一例を示した概略図である。
【図5】被検体中の標示の大きさを測定する方法の一例を示した流れ図である。
【符号の説明】
【0048】
10…ガスタービンエンジン、300…超音波検査システム、312…パルスエコー変換器、316…プロセッサ、400…画素のクラスタ、402…バウンディングボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜在標示を含む画像データを収集すること(502)と;
前記標示の特徴が強調されるように、前記画像データを処理すること(504)と;
前記標示がその他のデータから分離されるように、前記画像データを閾値処理すること(506)と;
前記標示の大きさを判定すること(508)と;
判定された前記標示の大きさを表示すること(510)と
を含む、画像中の標示を測定するコンピュータ実現方法(500)。
【請求項2】
画像データを収集すること(502)は、
2次元画像データを収集することと;
前記画像データの関心領域を選択することとを含む請求項1記載の方法(500)。
【請求項3】
画像データを処理すること(504)は、3×3カーネルを有する中央値フィルタを前記画像データに適用することを含む請求項1記載の方法(500)。
【請求項4】
画像データを処理すること(504)は、各寸法方向に前記画像データをアップサンプリングすることを含む請求項1記載の方法(500)。
【請求項5】
超音波変換器(312)と;
前記変換器に動作自在に結合されたプロセッサ(316)とを具備し、前記プロセッサは、
潜在標示を含む画像データを収集し(502);
前記標示の特徴が強調されるように、前記画像データを処理し(504);
前記標示がその他のデータから分離されるように、前記画像データを閾値処理し(506);
前記標示の大きさを判定し(508);
判定された前記標示の大きさを表示する(510)ように構成される超音波検査システム(300)。
【請求項6】
前記プロセッサ(316)は、
ノイズを低減するために、前記画像データをフィルタリングし;
画像解像度の向上を助けるために、画像をアップサンプリングし;
エッジ強調フィルタを使用して、データ中のエッジ標示を強調するように更に構成される請求項5記載のシステム(300)。
【請求項7】
前記プロセッサ(316)は、
前記強調された画像に振幅閾値を適用し;
画像中の間隙を閉鎖し且つ穴を埋めるために、前記画像に形態素演算子を適用し;
潜在標示に対応する画素のクラスタ(400)を生成するために、前記画像を分割し;
前記クラスタを所定の最小解釈可能サイズと比較し;
前記最小解釈可能サイズより小さいクラスタを前記画像から除去し;
バウンディングボックス(402)のアルゴリズムを使用して、前記クラスタの大きさを測定するように更に構成される請求項6記載のシステム(300)。
【請求項8】
パルスエコー変換器(312)と;
前記変換器に動作自在に結合されたプロセッサ(316)とを具備し、前記プロセッサは、
部品の2D超音波データを処理し;
画像を閾値処理し、前記部品中の標示を表現する画素のクラスタ(400)に分割するために、形態素演算子を使用して、前記部品中の標示の大きさ及び数を判定し;
前記標示を含むことが可能な最小のボックスから成るバウンディングボックス(402)のアルゴリズムを使用して、前記標示の大きさを測定し;
前記大きさの測定値を画素空間測定値から物理的寸法に変換し;
前記標示及び前記標示の大きさを表示するように構成される超音波検査装置(300)。
【請求項9】
前記プロセッサ(316)は、
前記画像が2つ以上のクラスタ(400)を含む場合、前記クラスタが1つのクラスタとして測定されるように、前記クラスタを併合し;
前記クラスタの水平方向測定値(404)、垂直方向測定値(406)及び対角線方向測定値(408)を判定し;
前記クラスタの長軸及び短軸を判定し;
前記測定値を画素空間から物理的寸法に変換し;
前記測定値に経験修正係数を適用するように更に構成される請求項8記載の超音波検査装置(300)。
【請求項10】
前記プロセッサ(316)は、
前記標示の最小解釈可能サイズを判定し;
第1の振幅閾値を使用して、前記画像を閾値処理し且つ分割し;
前記最小解釈可能サイズを超えるクラスタ(400)が見出されない場合、前記第1の振幅閾値より小さい前記標示の第2の振幅閾値を判定し;
所定の数のクラスタのうち少なくとも1つが見出され且つ所定の最小振幅閾値に到達するまで、徐々に小さくなる振幅閾値を使用して、前記画像を繰り返し閾値処理し且つ分割するように更に構成される請求項8又は9に記載の超音波検査装置(300)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−155724(P2007−155724A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−324049(P2006−324049)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】