説明

車両および走行用パワーの表示方法

【課題】 変速機の変速の際でも運転者に違和感を生じさせることなく走行用パワーを表示する。
【解決手段】 走行に要求される要求パワーPr*と最大パワーPmaxと最大走行パワーPdrvとから設定された演算用パワーPtmpと前回の表示用パワーPdspとのパワー差ΔPが値0未満でアクセル開度Accが閾値Aref以上のときには(S260,S270)、表示用パワーPdspを設定する際に用いるなまし処理の時定数Tに通常時の値T1より大きな値T2を設定する(S290)。これにより、運転者が加速しようとしているときに変速機の変速段の変速により要求トルクTr*が一時的に小さくなっても、パワーメータ表示器に表示出力されるパワーが小さな変化しかしないようにすることができる。この結果、運転者に違和感を与えるのを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両および走行用パワーの表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両としては、動力を車軸側に出力可能な内燃機関と変速機を介して動力を車軸側に出力する電動機とを搭載する車両において、変速機を変速する際に電動機から出力するトルクを補正するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、変速機を変速する際に電動機から出力するトルクを補正することにより、変速機を変速する際に生じ得る変速ショックを低減している。
【特許文献1】特開2004−203218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ハイブリッド自動車や電気自動車では、運転者や乗員に車両の走行状態を知らせるために、走行用に用いられている走行用パワーを計算して乗員室に表示することが考えられている。こうした走行用パワーの表示を上述の電動機からの動力を変速機を介して車軸側に出力する車両で適用すると、変速機の変速の際には、電動機から出力されるトルクの補正に対しても走行用パワーが演算されて表示されるため、運転者の予期しない走行用パワーの変動が表示されてしまい、運転者に違和感を感じさせる。
【0004】
本発明の車両および走行用パワーの表示方法は、変速機の変速の際でも運転者に違和感を生じさせることなく走行用パワーを表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車両および走行用パワーの表示方法は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の車両は、
内燃機関と、
車両のいずれかの車軸である第1車軸と前記内燃機関の出力軸とに接続されて電力と動力の入出力を伴って前記第1車軸および前記出力軸に動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、
動力を入出力可能な電動機と、
前記第1車軸または該第1車軸とは異なる車軸のいずれかである第2車軸と前記電動機の回転軸とに接続される複数の変速段を有する変速手段と、
前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記変速手段の変速段の変速を伴って前記設定された要求駆動力に基づく駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機と前記変速手段とを制御する駆動制御手段と、
前記変速手段の変速段の所定の変速状態ではないときには第1の変化程度をもって前記駆動制御手段による制御に基づいて走行用に用いられている走行用パワーを演算し、前記所定の変速状態のときには前記第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって前記駆動制御手段による制御に基づいて前記走行用パワーを演算する走行用パワー演算手段と、
前記演算された走行用パワーを乗員室の乗員に視認可能に表示する走行用パワー表示手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の車両では、変速手段の変速段の変速を伴って走行に要求される要求駆動力に基づく駆動力によって走行するよう内燃機関と電力動力入出力手段と電動機と変速手段とを制御し、変速手段の変速段の所定の変速状態ではないときには第1の変化程度をもって駆動制御手段による制御に基づいて走行用に用いられている走行用パワーを演算すると共に演算した走行用パワーを乗員室の乗員に視認可能に表示し、所定の変速状態のときには第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって駆動制御手段による制御に基づいて走行用パワーを演算すると共に演算した走行用パワーを乗員室の乗員に視認可能に表示する。即ち、所定の変速状態であるか否かにより走行用パワーを演算する際の変化程度を変更するのである。これにより、所定の変速状態にあるか否かに拘わらず、運転者や乗員に違和感を感じさせないように走行用パワーを演算して表示することができる。
【0008】
こうした本発明の車両において、前記所定の変速状態は、アクセルオンの状態におけるアップシフトの状態であるものとすることもできる。こうすれば、アップシフトの際に電動機からのトルクを減少補正しても、その減少補正に伴って演算される走行用パワーの減少の程度を小さくすることができ、運転者にとって予期しない走行用パワーの表示における落ち込みを抑制することができる。この場合、前記所定の変速状態は、前記演算される走行用パワーが減少する状態であるものとすることもできる。
【0009】
また、本発明の車両において、前記走行用パワー演算手段は、前記設定された要求駆動力に基づいて演算される第1パワーと、前記内燃機関の最大出力と前記蓄電手段の出力制限とに基づいて演算される第2パワーとのうち小さいパワーを前記走行用パワーとして演算する手段であるものとすることもできる。この場合、前記走行用パワー演算手段は、前記演算される第1パワーと前記演算される第2パワーと前記電動機の最大駆動力に基づいて演算される第3パワーとのうち最も小さいパワーを前記走行用パワーとして演算する手段であるものとすることもできる。これらのようにすれば、より適正な走行用パワーを演算して表示することができる。
【0010】
さらに、本発明の車両において、前記電力動力入出力手段は、前記第1車軸と前記内燃機関の出力軸と回転可能な第3軸の3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3軸に動力を入出力可能な発電機と、を備える手段であるものとすることもできる。
【0011】
本発明の走行用パワーの表示方法は、
内燃機関と、車両のいずれかの車軸である第1車軸と前記内燃機関の出力軸とに接続されて電力と動力の入出力を伴って前記第1車軸および前記出力軸に動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、動力を入出力可能な電動機と、前記第1車軸または該第1車軸とは異なる車軸のいずれかである第2車軸と前記電動機の回転軸とに接続される複数の変速段を有する変速手段と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、前記変速手段の変速段の変速を伴って前記設定された要求駆動力に基づく駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機と前記変速手段とを制御する駆動制御手段と、を備える車両における走行用パワーを表示する表示方法であって、
(a)前記変速手段の変速段の所定の変速状態ではないときには、第1の変化程度をもって前記駆動制御手段による制御に基づいて走行用に用いられている走行用パワーを演算し、該演算した走行用パワーを乗員室に視認可能に表示し、
(b)前記所定の変速状態のときには、前記第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって前記駆動制御手段による制御に基づいて前記走行用パワーを演算し、該演算した走行用パワーを乗員室に視認可能に表示する、
ことを要旨とする。
【0012】
この本発明の走行用パワーの表示方法では、変速手段の変速段の所定の変速状態ではないときには、第1の変化程度をもって駆動制御手段による制御に基づいて走行用に用いられている走行用パワーを演算し、この演算した走行用パワーを乗員室に視認可能に表示する。また、所定の変速状態のときには、第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって駆動制御手段による制御に基づいて走行用パワーを演算し、この演算した走行用パワーを乗員室に視認可能に表示する。これにより、所定の変速状態にあるか否かに拘わらず、運転者や乗員に違和感を感じさせないように走行用パワーを演算して表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の一実施例としての駆動装置や動力出力装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、変速機60を介して動力分配統合機構30に接続されたモータMG2と、車両の駆動系全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0015】
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0016】
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32には変速機60を介してモータMG2がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32に出力する。リングギヤ32は、ギヤ機構37およびデファレンシャルギヤ38を介して車両前輪の駆動輪39a,39bに機械的に接続されている。したがって、リングギヤ32に出力された動力は、ギヤ機構37およびデファレンシャルギヤ38を介して駆動輪39a,39bに出力されることになる。なお、駆動系として見たときの動力分配統合機構30に接続される3軸は、キャリア34に接続されたエンジン22の出力軸であるクランクシャフト26,サンギヤ31に接続されモータMG1の回転軸となるサンギヤ軸31aおよびリングギヤ32に接続されると共に駆動輪39a,39bに機械的に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aとなる。
【0017】
モータMG1およびモータMG2は、共に発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2の一方で発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。モータMG1,MG2は、共にモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44から入力した信号に基づいて図示しない回転数算出ルーチンによりモータMG1,MG2の回転子の回転数Nm1,Nm2を計算している。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0018】
変速機60は、モータMG2の回転軸48とリングギヤ軸32aとの接続および接続の解除を行なうと共に両軸の接続をモータMG2の回転軸48の回転数を2段に減速してリングギヤ軸32aに伝達するよう構成されている。変速機60の構成の一例を図2に示す。この図2に示す変速機60は、ダブルピニオンの遊星歯車機構60aとシングルピニオンの遊星歯車機構60bと二つのブレーキB1,B2とにより構成されている。ダブルピニオンの遊星歯車機構60aは、外歯歯車のサンギヤ61と、このサンギヤ61と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ62と、サンギヤ61に噛合する複数の第1ピニオンギヤ63aと、この第1ピニオンギヤ63aに噛合すると共にリングギヤ62に噛合する複数の第2ピニオンギヤ63bと、複数の第1ピニオンギヤ63aおよび複数の第2ピニオンギヤ63bを連結して自転かつ公転自在に保持するキャリア64とを備えており、サンギヤ61はブレーキB1のオンオフによりその回転を自由にまたは停止できるようになっている。シングルピニオンの遊星歯車機構60bは、外歯歯車のサンギヤ65と、このサンギヤ65と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ66と、サンギヤ65に噛合すると共にリングギヤ66に噛合する複数のピニオンギヤ67と、複数のピニオンギヤ67を自転かつ公転自在に保持するキャリア68とを備えており、サンギヤ65はモータMG2の回転軸48に、キャリア68はリングギヤ軸32aにそれぞれ連結されていると共にリングギヤ66はブレーキB2のオンオフによりその回転が自由にまたは停止できるようになっている。ダブルピニオンの遊星歯車機構60aとシングルピニオンの遊星歯車機構60bとは、リングギヤ62とリングギヤ66、キャリア64とキャリア68とによりそれぞれ連結されている。変速機60は、ブレーキB1,B2を共にオフとすることによりモータMG2の回転軸48をリングギヤ軸32aから切り離すことができ、ブレーキB1をオフとすると共にブレーキB2をオンとしてモータMG2の回転軸48の回転を比較的大きな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達し(以下、この状態をLoギヤの状態という)、ブレーキB1をオンとすると共にブレーキB2をオフ状態としてモータMG2の回転軸48の回転を比較的小さな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達する(以下、この状態をHiギヤの状態という)。なお、ブレーキB1,B2を共にオンとする状態は回転軸48やリングギヤ軸32aの回転を禁止するものとなる。
【0019】
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度などが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
【0020】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量に対応したアクセル開度Accを検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、変速機60のブレーキB1,B2の図示しないアクチュエータへの駆動信号や運転席前方のインストールパネルに組み込まれたパワーメータ表示器89への表示信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0021】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を計算し、この要求トルクTr*に対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。要求トルクTr*を設定するための要求トルク設定用マップの一例を図3に示す。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。ここで、トルク変換運転モードはバッテリ50の従放電が行なわれないときの充放電運転モードであると考えることができるから、運転モードとしては充放電運転モードとモータ運転モードとを切り替えることとなる。充放電運転モードにより走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図4に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2に変速機60のギヤ比Grを乗じたリングギヤ32の回転数Nrを示す。R軸上の2つの太線矢印は、エンジン22を目標回転数Ne*および目標トルクTe*の運転ポイントで定常運転したときにエンジン22から出力されるトルクTe*がリングギヤ軸32aに伝達されるトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2*が変速機60を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。なお、モータ運転モードでは、エンジン22を停止するかアイドリング運転し、モータMG1から値0の出力トルクを出力し、要求トルクTr*のすべてもモータMG2から出力することになる。
【0022】
実施例のハイブリッド自動車20では、こうして充放電運転モードとモータ運転モードとを切り替えて走行している最中に変速機60の変速段の変速も行なわれる。変速機60の変速段の変速は、車速Vと要求トルクTr*とに基づいて変速機60をLoギヤの状態からHiギヤの状態に変更するLo−Hi変速を行なうか否かの判定や車速Vと要求トルクとに基づいて変速機60をHiギヤの状態からLoギヤの状態に変更するHi−Lo変速を行なうか否かの判定によりいずれかの変速を行なうと判定されたときに、行なわれる。変速機60の変速段の変速を行なうための変速マップの一例を図5に示す。図5の例では、変速機60がLoギヤの状態で車速VがLo−Hi変速線Vhiを越えて大きくなったときに変速機60をLoギヤの状態からHiギヤの状態に変更し、変速機60がHiギヤの状態で車速VがHi−Lo変速線Vloを越えて小さくなったときに変速機60をHiギヤの状態からLoギヤの状態に変更する。変速機60がLoギヤの状態で車速VがLo−Hi変速線Vhiを越えて大きくなったときには、Lo−Hi変速を行なうと判定し、変速機60の図示しない油圧駆動のアクチュエータに対してLo−Hi変速用の油圧シーケンスを実行して変速機60のブレーキB1をオンとすると共にブレーキB2をオフとしてHiギヤの状態とし、変速機60がHiギヤの状態で車速VがHi−Lo変速線Vloを越えて小さくなったときには、Hi−Lo変速を行なうと判定し、変速機60の油圧駆動のアクチュエータに対してHi−Lo変速用の油圧シーケンスを実行して変速機60のブレーキB1をオフとすると共にブレーキB2をオンとしてHiギヤの状態とする。Lo−Hi変速およびHi−Lo変速の際の変速機60の共線図の一例を図6に示す。図中、S1軸はダブルピニオンの遊星歯車機構60aのサンギヤ61の回転数を示し、R1,R2軸はダブルピニオンの遊星歯車機構60aおよびシングルピニオンの遊星歯車機構60bのリングギヤ62,66の回転数を示し、C1,C2軸はリングギヤ軸32aの回転数であるダブルピニオンの遊星歯車機構60aおよびシングルピニオンの遊星歯車機構60bのキャリア64,68の回転数を示し、S2軸はモータMG2の回転数であるシングルピニオンの遊星歯車機構60bのサンギヤ65の回転数を示す。
【0023】
実施例では、変速機60の変速段の変速のうちのアクセルオンを伴ったLo−Hi変速では、Lo−Hi変速をスムーズに行なうために要求トルクTr*の減少補正が行なわれる。この減少補正は図7に例示する要求トルク設定処理ルーチンにより行なわれる。このルーチンでは、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accと車速センサ88からの車速Vとを入力し(ステップS100)、入力したアクセル開度Accと車速Vと上述した図3の要求トルク設定用マップとを用いて要求トルクTr*を設定する(ステップS110)。そして、変速機60の変速段の変速要求があるか否かを判定し(ステップS120)、変速要求があるときには設定した要求トルクTr*を補正値Tsetを用いて減少補正する(ステップS130)。ここで、補正値Tsetは種々の値を用いることができるが、実施例では、変速要求がなされてから徐々に大きくなり、変速が終了したときに徐々に小さくなるものとした。なお、変速要求は、車速Vが上述した図5の変速マップにおけるLo−Hi変速線Vhiを越えて大きくなったときやHi−Lo変速線Vloを越えて小さくなったときに行なわれる。
【0024】
次に、実施例のハイブリッド自動車20において、変速機60の変速段の変速を伴って走行している最中にパワーメータ表示器89にパワー表示を行なう際の動作について説明する。図8は、実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される表示処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
【0025】
表示処理ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、要求トルクTr*や車速センサ88からの車速V,アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,バッテリ50の出力制限Wout,前回設定された表示用パワーPdspなど表示処理に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS200)。ここで、実施例では、要求トルクTr*は、図7の要求トルク設定処理ルーチンにより設定されたものを入力するものとした。また、バッテリ50の出力制限Woutは、バッテリ50の温度や残容量(SOC)に基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。前回設定された表示用パワーPdspは、前回このルーチンが実行されたときに設定されRAM76の所定領域に書き込まれたものを読み込むことにより入力するものとした。
【0026】
こうしてデータを入力すると、要求トルクTr*と駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrとの積として要求パワーPr*を計算すると共に(ステップS210)、エンジン22の最大パワーPemaxにバッテリ50の出力制限Woutを加えて最大パワーPmaxを計算し(ステップS220)、さらに、車速VとモータMG2の最大定格トルクTm2maxとに基づいて最大走行パワーPdrvを計算し(ステップS230)、計算した要求パワーPr*と最大パワーPmaxと最大走行パワーPdrvとのうち最も小さいものを演算用パワーPtmpとして設定する(ステップS240)。ここで、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、例えば車速Vに換算係数kを乗じることにより計算することもできるし、モータMG2の回転数Nm2を変速機60のギヤ比Grで割ることにより計算することもできる。また、最大走行パワーPdrvは、車速Vに対応するモータMG2の最大定格トルクに変速機60のギヤ比Grを乗じて得られるトルクとエンジン22側からリングギヤ軸32aに出力可能な最大トルクとの和のトルクにリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じることにより得ることができる。なお、要求パワーPr*と最大パワーPmaxと最大走行パワーPdrvとのうち最も小さいものを演算用パワーPtmpとして設定するのは、駆動制御では、要求パワーPr*を出力して走行しようとするが、バッテリ50の出力制限Woutによる制限やモータMG2の定格値による制限がなされるときには要求パワーPr*は最大パワーPmaxや最大走行パワーPdrvに制限され、この制限されたパワーにより走行することになるからである。
【0027】
こうして演算用パワーPtmpを設定すると、計算した演算用パワーPtmpから前回設定された表示用パワーPdspを減じて前回からのパワー差ΔPを計算し(ステップS250)、計算したパワー差ΔPが値0未満であるか否か、即ち演算用パワーPtmpが前回の表示用パワーPdspより小さいか否かを判定すると共に(ステップS260)、アクセル開度Accが閾値Aref以上であるか否かを判定する(ステップS270)。ここで、閾値Arefは、車両が加速状態にあるか否かを判定するものであり、例えば、アクセル開度Accとして30%や40%,50%,60%など種々の値を用いることができる。パワー差ΔPが値0以上、即ち演算用パワーPtmpが前回の表示用パワーPdspより大きいときや、パワー差ΔPが値0未満であってもアクセル開度Accが閾値Aref未満のときには、表示用パワーPdspを設定する際に用いるなまし処理の時定数Tに通常の値T1を設定し(ステップS280)、パワー差ΔPが値0未満で且つアクセル開度Accが閾値Aref以上のときには時定数Tに通常の値T1より大きな値T2を設定する(ステップS290)。そして、前回の表示用パワーPdspから計算した演算用パワーPtmpに移行する際のなまし処理に設定した時定数Tを用いて処理して表示用パワーPdspを設定し(ステップS300)、設定した表示用パワーPdspをパワーメータ表示器89に表示出力して(ステップS310)、本ルーチンを終了する。このように、パワー差ΔPが値0未満でアクセル開度Accが閾値Aref以上のときに表示用パワーPdspを設定する際に用いるなまし処理の時定数Tに大きな値T2を設定するのは、運転者が加速しようとしているときに変速機60の変速段の変速により要求トルクTr*が一時的に小さくなって要求パワーPr*が小さくなり、これにより演算用パワーPtmpが小さくなっても、パワーメータ表示器89に表示出力されるパワーが小さな変化しかしないようにするためである。即ち、運転者がアクセルペダル83を踏み込んで加速しようとしているときに運転者の意志に反してパワーメータ表示器89に表示されるパワーが減少することにより運転者に与える違和感を抑制するためである。
【0028】
図9は、要求パワーPr*と表示用パワーPdspとの時間変化の一例を示す説明図である。図中、実線は表示用パワーPdspを示し、破線は要求パワーPr*を示す。図示するように、運転者のアクセルペダル83の踏み込みにより要求パワーPr*が増加するのに伴って表示用パワーPdspも増加する。変速機60の変速段の変速が行なわれると、要求トルクTr*が減少補正されることにより要求パワーPr*は減少するが、表示用パワーPdspを設定する際のなまし処理の時定数Tに大きな値が設定されるから、表示用パワーPdspの減少は小さいものとなる。
【0029】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、要求パワーPr*と最大パワーPmaxと最大走行パワーPdrvとからの設定された演算用パワーPtmpと前回の表示用パワーPdspとのパワー差ΔPが値0未満でアクセル開度Accが閾値Aref以上のときには、表示用パワーPdspを設定する際に用いるなまし処理の時定数Tを大きくするから、運転者が加速しようとしているときに変速機60の変速段の変速により要求トルクTr*が一時的に小さくなっても、パワーメータ表示器89に表示出力されるパワーが小さな変化しかしないようにすることができる。この結果、運転者がアクセルペダル83を踏み込んで加速しようとしているときに運転者の意志に反してパワーメータ表示器89に表示されるパワーが減少することにより運転者に違和感を与えるのを抑制することができる。
【0030】
実施例のハイブリッド自動車20では、変速機60の変速段の変速のうちのアクセルオンを伴ったLo−Hi変速のときには、Lo−Hi変速をスムーズに行なうために要求トルクTr*の減少補正を行なうものとしたが、変速機60の変速段の変速のうちのアクセルオンを伴ったLo−Hi変速のときでも要求トルクTr*の減少補正を行なわず、変速処理で実際に出力されるトルクを減少するものとしてもよい。この場合、演算用パワーPtmpを設定する際に要求パワーPr*に代えて実際に出力される実出力パワーを用いればよい。ここで、実出力パワーは、モータMG1からトルク出力することによりリングギヤ軸32aに作用するトルクとモータMG2からトルク出力することによりリングギヤ軸32aに作用するトルクにリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じることにより、求めることができる。
【0031】
実施例のハイブリッド自動車20では、要求パワーPr*と最大パワーPmaxと最大走行パワーPdrvとから演算用パワーPtmpを設定するものとしたが、要求パワーPr*と最大パワーPmaxとから演算用パワーPtmpを設定するものとしたり、要求パワーPr*と最大走行パワーPdrvとから演算用パワーPtmpを設定するものとしてもよい。また、上述した実出力パワーと最大パワーPmaxとから演算用パワーPtmpを設定するものとしたり、実出力パワーと最大走行パワーPdrvとから演算用パワーPtmpを設定するものとしてもよい。また、実出力パワーをそのまま演算用パワーPtmpとして設定するものとしてもよい。
【0032】
実施例のハイブリッド自動車20では、演算用パワーPtmpと前回の表示用パワーPdspとのパワー差ΔPが値0未満でアクセル開度Accが閾値Aref以上のときに、表示用パワーPdspを設定する際に用いるなまし処理の時定数Tを大きくするものとしたが、演算用パワーPtmpと前回の表示用パワーPdspとのパワー差ΔPが値0未満であればアクセル開度Accに拘わらず表示用パワーPdspを設定する際に用いるなまし処理の時定数Tを大きくするものとしてもよい。
【0033】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を変速機60により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図10の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力を変速機60により変速してリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図10における車輪39c,39dに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
【0034】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図11の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪39a,39bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
【0035】
実施例では、ハイブリッド自動車20として説明したが、エンジン22や動力分配統合機構30,モータMG1,MG2,バッテリ50,ハイブリッド用電子制御ユニット70などを備えるハイブリッド自動車以外の車両の形態としてもよいし、こうした車両における表示用パワーの表示方法の形態としてもよい。
【0036】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例としての駆動装置や動力出力装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】変速機60の構成の一例を示す説明図である。
【図3】要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図4】充放電運転モードの際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。
【図5】変速マップの一例を示す説明図である。
【図6】Lo−Hi変速およびHi−Lo変速の際の変速機60の共線図の一例を示す説明図である。
【図7】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される要求トルク設定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図8】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される表示処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図9】要求パワーPr*と表示用パワーPdspとの時間変化の一例を示す説明図である。
【図10】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図11】変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
【0039】
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、31a サンギヤ軸、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、37 ギヤ機構、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b,39c,39d 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、48 回転軸、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 変速機、60a ダブルピニオンの遊星歯車機構、60b シングルピニオンの遊星歯車機構、61,65 サンギヤ、62,66 リングギヤ、63a 第1ピニオンギヤ、63b 第2ピニオンギヤ、64,68 キャリア、67 ピニオンギヤ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ、B1,B2 ブレーキ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
車両のいずれかの車軸である第1車軸と前記内燃機関の出力軸とに接続されて電力と動力の入出力を伴って前記第1車軸および前記出力軸に動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、
動力を入出力可能な電動機と、
前記第1車軸または該第1車軸とは異なる車軸のいずれかである第2車軸と前記電動機の回転軸とに接続される複数の変速段を有する変速手段と、
前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記変速手段の変速段の変速を伴って前記設定された要求駆動力に基づく駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機と前記変速手段とを制御する駆動制御手段と、
前記変速手段の変速段の所定の変速状態ではないときには第1の変化程度をもって前記駆動制御手段による制御に基づいて走行用に用いられている走行用パワーを演算し、前記所定の変速状態のときには前記第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって前記駆動制御手段による制御に基づいて前記走行用パワーを演算する走行用パワー演算手段と、
前記演算された走行用パワーを乗員室の乗員に視認可能に表示する走行用パワー表示手段と、
を備える車両。
【請求項2】
前記所定の変速状態は、アクセルオンの状態におけるアップシフトの状態である請求項1記載の車両。
【請求項3】
前記所定の変速状態は、前記演算される走行用パワーが減少する状態である請求項2記載の車両。
【請求項4】
前記走行用パワー演算手段は、前記設定された要求駆動力に基づいて演算される第1パワーと、前記内燃機関の最大出力と前記蓄電手段の出力制限とに基づいて演算される第2パワーとのうち小さいパワーを前記走行用パワーとして演算する手段である請求項1ないし3いずれか記載の車両。
【請求項5】
前記走行用パワー演算手段は、前記演算される第1パワーと前記演算される第2パワーと前記電動機の最大駆動力に基づいて演算される第3パワーとのうち最も小さいパワーを前記走行用パワーとして演算する手段である請求項4記載の車両。
【請求項6】
前記電力動力入出力手段は、前記第1車軸と前記内燃機関の出力軸と回転可能な第3軸の3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3軸に動力を入出力可能な発電機と、を備える手段である請求項1ないし5いずれか記載の車両。
【請求項7】
内燃機関と、車両のいずれかの車軸である第1車軸と前記内燃機関の出力軸とに接続されて電力と動力の入出力を伴って前記第1車軸および前記出力軸に動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、動力を入出力可能な電動機と、前記第1車軸または該第1車軸とは異なる車軸のいずれかである第2車軸と前記電動機の回転軸とに接続される複数の変速段を有する変速手段と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、前記変速手段の変速段の変速を伴って前記設定された要求駆動力に基づく駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機と前記変速手段とを制御する駆動制御手段と、を備える車両における走行用パワーを表示する表示方法であって、
(a)前記変速手段の変速段の所定の変速状態ではないときには、第1の変化程度をもって前記駆動制御手段による制御に基づいて走行用に用いられている走行用パワーを演算し、該演算した走行用パワーを乗員室に視認可能に表示し、
(b)前記所定の変速状態のときには、前記第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって前記駆動制御手段による制御に基づいて前記走行用パワーを演算し、該演算した走行用パワーを乗員室に視認可能に表示する、
走行用パワーの表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−99087(P2007−99087A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291739(P2005−291739)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】