車両の制御装置
【課題】車両の制御装置において、バッテリの充電を行うことが困難な場合にバッテリの放電を抑制可能とする。
【解決手段】エンジン11にクラッチ12を介して多段変速機13を駆動連結すると共に、モータジェネレータ14にクラッチ15を介して多段変速機13を駆動連結し、多段変速機13に最終減速装置16を介して駆動輪17を駆動連結し、モータジェネレータ14にインバータ23を介してバッテリ27を接続し、ハイブリッドECU100は、クラッチセンサ62の検出結果に基づいてクラッチ15の故障を検出したときに、バッテリECU103は、このバッテリ27の放電量を低減する。
【解決手段】エンジン11にクラッチ12を介して多段変速機13を駆動連結すると共に、モータジェネレータ14にクラッチ15を介して多段変速機13を駆動連結し、多段変速機13に最終減速装置16を介して駆動輪17を駆動連結し、モータジェネレータ14にインバータ23を介してバッテリ27を接続し、ハイブリッドECU100は、クラッチセンサ62の検出結果に基づいてクラッチ15の故障を検出したときに、バッテリECU103は、このバッテリ27の放電量を低減する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関と歯車式有段変速機と電動機を駆動連結したハイブリッド車両が提案されている。例えば、下記特許文献1の記載されたハイブリッド車両用動力伝達装置では、内燃機関に歯車式有段変速機を連結すると共に、この歯車式有段変速機に電動機を連結することで、内燃機関の駆動力や電動機の駆動力を駆動輪に出力可能としている。従って、車両の走行時に、内燃機関または電動機の駆動力を歯車式有段変速機により駆動輪に伝達することで、変速時の空走感や脱力感を低減することができる。また、内燃機関の駆動力を電動機に伝達し、この電動機を発電機として作用させることで、生成した電気をバッテリに蓄積することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−107626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のハイブリッド車両用動力伝達装置にあっては、歯車式有段変速機により内燃機関と駆動輪との駆動伝達を遮断することで、車両の停止時であっても、内燃機関の駆動力を電動機に伝達して発電することで、生成した電気をバッテリに蓄積することができる。ところが、歯車式有段変速機に障害が発生した場合、内燃機関と歯車式有段変速機と電動機と駆動輪との駆動伝達を解除することができず、渋滞道路で、車両が走行できないときには、内燃機関の駆動力により電動機だけを駆動することができず、バッテリの充電量が低下し、バッテリへの電力供給が困難となり、バッテリの充電量が低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、バッテリの充電を行うことが困難な場合にバッテリの放電を抑制可能とする車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両の制御装置は、内燃機関と、電気モータと、前記内燃機関の動力を前記モータに伝達可能であると共に前記内燃機関の動力と前記電気モータの動力を駆動輪に伝達可能な動力伝達装置と、前記電気モータに電力を供給可能であると共に該電気モータが発電した電力を蓄電可能なバッテリと、前記内燃機関と前記電気モータとの間で動力を伝達可能な接続状態と動力を遮断可能な切断状態とに切替可能な動力伝達切替装置と、を備える車両に用いられる制御装置であって、該制御装置は、前記伝達切替装置の故障を検出する故障検出部と、前記バッテリの充電状態及び放電状態を制御すると共に前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときに前記バッテリの放電量を低減するバッテリ制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記車両の制御装置にて、前記バッテリ制御部は、予め設定された充放電マップに基づいて前記バッテリの充電量及び放電量を制御可能であり、前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときには、前記充放電マップにおける充電状態量に対する放電量を低下させることが好ましい。
【0008】
上記車両の制御装置にて、前記バッテリ制御部は、予め設定された充放電マップに基づいて前記バッテリの充電量及び放電量を制御可能であり、前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときには、前記充放電マップにおける充電要求電力の充電と放電との切替点を充電状態量が増加する側に移行することが好ましい。
【0009】
上記車両の制御装置にて、前記バッテリ制御部は、前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときには、前記バッテリの充電が必要となる充電状態量下限値を増加する側に移行することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車両の制御装置は、内燃機関と電気モータとの間で動力を伝達可能な動力伝達切替装置の故障を検出したときに、バッテリの放電量を低減するので、バッテリの充電を行うことが困難な場合にバッテリの放電を抑制可能とするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る車両の制御装置を表す概略構成図である。
【図2】図2は、本実施形態の車両の制御装置におけるバッテリ制御の処理を表すフローチャートである。
【図3】図3は、バッテリ充電状態量(SOC)に対する放電領域及び充電領域を表すグラフである。
【図4】図4は、バッテリ温度に対するバッテリ充電状態量(SOC)を表すグラフである。
【図5】図5は、バッテリ充電状態量(SOC)の変化を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る車両の制御装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
〔実施形態〕
図1は、本発明の一実施形態に係る車両の制御装置を表す概略構成図、図2は、本実施形態の車両の制御装置におけるバッテリ制御の処理を表すフローチャート、図3は、バッテリ充電状態量(SOC)に対する放電領域及び充電領域を表すグラフ、図4は、バッテリ温度に対するバッテリ充電状態量(SOC)を表すグラフ、図5は、バッテリ充電状態量(SOC)の変化を表すグラフである。
【0014】
本実施形態のハイブリッド車両は、図1に示すように、動力源としてエンジン(内燃機関)11と、手動式のクラッチ12と、手動式の多段変速機(動力伝達装置)13と、モータジェネレータ(電気モータ)14と、電動式または油圧式のクラッチ(動力伝達切替装置)15と、最終減速装置(動力伝達装置)16と、駆動輪17とを有している。
【0015】
エンジン11としては、燃焼室内で燃料を燃焼させ、これにより発生した熱エネルギを機械的エネルギに変換する熱機関たる内燃機関であって、ガソリンを燃料とし、ピストンの往復運動によって出力軸(クランクシャフト)21から機械的な動力を出力可能となっている。このエンジン11は、燃料噴射装置及び点火装置を有しており、この燃料噴射装置及び点火装置は、動作がエンジン用の電子制御装置(以下、エンジンECUと称する。)101により制御される。このエンジンECU101は、燃料噴射装置の燃料噴射量や燃料噴射時期等を制御すると共に、点火装置の点火時期を制御して、エンジン11の出力軸21から出力される機械的な動力(エンジン出力トルク)の大きさを調整することができる。
【0016】
このエンジンECU101は、CPU(中央演算処理装置)、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM(Read Only Memory)、そのCPUの演算結果を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、予め用意された情報等を記憶するバックアップRAM等で構成されている。
【0017】
モータジェネレータ14は、供給された電力を機械的な動力(モータ出力トルク)に変換して出力軸22から出力するモータ(電動機)としての機能と、出力軸22に入力された機械的な動力を電力に変換して回収するジェネレータ(発電機)としての機能とを兼ね備えている。このモータジェネレータ14は、例えば、永久磁石型交流同期電動機として構成されており、インバータ23から三相の交流電力が供給されて回転磁界を形成するステータ24と、その回転磁界に引き付けられて回転する回転子としてのロータ25とを有している。そのロータ25は、出力軸22と一体になって回転する。また、このモータジェネレータ14は、ロータ25の回転角位置を検出する回転センサ(レゾルバ)が設けられており、その回転センサが検出信号をモータジェネレータ用の電子制御装置(以下、モータECUと称する。)102に送信する。このモータECU102は、CPU、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM、そのCPUの演算結果を一時記憶するRAM、予め用意された情報等を記憶するバックアップRAM等で構成されている。
【0018】
また、モータジェネレータ14は、出力軸22が歯車対(動力伝達装置)26を介して多段変速機13の入力軸36に連結されており、モータとして機能するときには、モータ出力トルクを多段変速機13に伝達する一方、ジェネレータとして機能するときには、多段変速機13からの機械的な動力が出力軸22に入力される。
【0019】
この歯車対26は、互いに噛み合い状態にある第1ギア26aと第2ギア26bとで構成される。第1ギア26aは、ロータ25と一体になって回転できるようにモータジェネレータ14の出力軸22に固定される。一方、第2ギア26bは、第1ギア26aよりも大径に成形され、多段変速機13の出力軸37と一体になって回転できるように固定される。この場合、歯車対26は、ロータ25側から回転トルクが入力されることによって減速機構として機能する一方、多段変速機13の出力軸37側から回転トルクが入力されることによって増速機構として機能する。
【0020】
モータジェネレータ14は、インバータ23を介してバッテリ(二次電池)27が接続されている。このバッテリ27からの直流電力は、インバータ23で交流電力に変換されてモータジェネレータ14に供給される。この交流電力が供給されたモータジェネレータ14は、モータとして作動して、出力軸22からモータ出力トルクを出力する。一方、このモータジェネレータ14をジェネレータとして作動させたときは、このモータジェネレータ14からの交流電力をインバータ23で直流電力に変換してバッテリ27に回収、または、電力の回生を行いながら駆動輪17に制動力(回生制動)を加えることができる。この場合、このモータジェネレータ14は、多段変速機13から出力された機械的な動力(出力トルク)が出力軸22を介してロータ25に入力され、この入力トルクを交流電力に変換する。このインバータ23の動作は、モータECU102によって制御される。
【0021】
バッテリ27は、その充電状態(SOC:State of Charge)などを管理するバッテリ用の電子制御装置(以下、バッテリECUと称する。)103が接続されている。このバッテリECU103は、SOCセンサ61が検出したバッテリ27の充電状態に応じた信号として、充電状態量(SOC量)に関する信号をバッテリECU103に送信する。そのバッテリECU103は、この信号に基づいてバッテリ27の充電状態の判定を行い、充電及び放電の要否を判定する。
【0022】
多段変速機13は、エンジン11やモータジェネレータ14の動力(エンジン出力トルクやモータ出力トルク)を駆動力とし、最終減速装置16を介して左右の駆動輪17に伝達するものである。
【0023】
この手動式の多段変速機13は、前進4段、後退1段の変速段を有するものであって、前進用の変速段として第1速ギア段31、第2速ギア段32、第3速ギア段33、第4速ギア段34を有し、後退用の変速段として後退ギア段35を有している。前進用の変速段は、変速比が第1速ギア段31、第2速ギア段32、第3速ギア段33、第4速ギア段34の順に小さくなるよう構成されている。また、この多段変速機13は、エンジン11のエンジン出力トルクが伝達される入力軸36と、この入力軸36に対して間隔を空けて平行に配置された出力軸37を有している。なお、この多段変速機13は、その構成を簡易的に説明しており、各変速段の数や配置については、図1のものに限るものではない。
【0024】
ここで、第1速ギア段31は、互いに噛み合い状態にある第1速ドライブギア31aと第1速ドリブンギア31bとで構成され、第1速ドライブギア31aは入力軸36上に配置され、第1速ドリブンギア31bは出力軸37上に配置される。第2速ギア段32は、互いに噛み合い状態にある第2速ドライブギア32aと第2速ドリブンギア32bとで構成され、第2速ドライブギア32aは入力軸36上に配置され、第2速ドリブンギア32bは出力軸37上に配置される。第3速ギア段33は、互いに噛み合い状態にある第3速ドライブギア33aと第3速ドリブンギア33bとで構成され、第3速ドライブギア33aは入力軸36上に配置され、第3速ドリブンギア33bは出力軸37上に配置される。第4速ギア段34は、互いに噛み合い状態にある第4速ドライブギア34aと第4速ドリブンギア34bとで構成され、第4速ドライブギア34aは入力軸36上に配置され、第4速ドリブンギア34bは出力軸37上に配置される。
【0025】
後退ギア段35は、後退ドライブギア35aと後退ドリブンギア35bと後退中間ギア35cとで構成される。後退ドライブギア35aは入力軸36上に配置され、後退ドリブンギア35bは出力軸37上に配置され、後退中間ギア35cは、後退ドライブギア35a及び後退ドリブンギア35bと噛み合い状態にあり、回転軸38上に配置される。
【0026】
なお、実際の多段変速機13の構成においては、各変速段のドライブギアのうちの何れかが、入力軸36と一体回転するように配設される一方、残りのドライブギアが入力軸36に対して相対回転するように配設される。また、各変速段のドリブンギアは、そのうちの何れかが出力軸37と一体回転するように配設される一方、残りが出力軸37に対して相対回転するように配設される。
【0027】
また、入力軸36や出力軸37は、運転者による変速操作装置の変速操作により、軸線方向に移動するスリーブを有している。このスリーブは、変速操作装置を運転者が操作したときに軸線方向へ移動し、移動された方向に位置する相対回転可能なドライブギアやドリブンギアを入力軸36や出力軸37と一体回転させる。この手動式の多段変速機13は、スリーブが運転者の変速操作に対応した方向に移動し、変速操作に応じた変速段への切り替えやニュートラル位置への切り替えを行うことができる。
【0028】
クラッチ12は、エンジン11と多段変速機13との間に介装され、このエンジン11と多段変速機13との間で、動力を伝達可能な接続状態と、動力の伝達を遮断可能な切断状態とに切替可能となっている。このクラッチ12は、乾式または湿式の単板クラッチ、多板クラッチであって、円板状の摩擦板を有し、この摩擦板の摩擦力によりエンジン11のエンジン出力トルクを出力軸21から多段変速機13の入力軸36に伝達することができる。クラッチ12は、運転者によるクラッチペダルの踏込み操作により、その作動状態の切替動作(接続状態と切断状態の切替動作)を行うことができる。
【0029】
また、クラッチ15は、多段変速機13とモータジェネレータ14との間に介装され、この多段変速機13とモータジェネレータ14との間で、動力を伝達可能な接続状態と、動力の伝達を遮断可能な切断状態とに切替可能となっている。このクラッチ15は、ドグクラッチであって、モータジェネレータ14の出力軸22と多段変速機13の入力軸36とが同一軸線上に配置された状態で、入力軸36に結合され外歯が形成されたクラッチ部材と、出力軸22に結合されるクラッチハブと、このクラッチハブの外周側に軸方向移動可能で回転不能な内歯が形成されたスリーブとを有し、出力軸22と入力軸36の各回転速度を同期させた後に、外歯と内歯とを噛み合わせることにより出力軸22と入力軸36を接続するものである。このクラッチ15は、アクチュエータ41の作動により、その作動状態の切替動作(接続状態と切断状態の切替動作)を行うことができる。
【0030】
最終減速装置16は、多段変速機13の出力軸37から入力された入力トルクを減速して、左右の駆動軸17に分配するものである。この最終減速装置16は、出力軸37の端部に固定されたピニオンギア51と、このピニオンギア51に噛み合って回転トルクを減速させながら回転方向を直交方向へと変換するリングギア52と、このリングギア52を介して入力された回転トルクを左右の駆動輪17に分配する差動機構53とを有している。
【0031】
更に、このハイブリッド車両は、車両全体の動作を統括的に制御する電子制御装置(以下、ハイブリッドECUと称する。)100が設けられている。このハイブリッドECU100は、CPU、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM、そのCPUの演算結果を一時記憶するRAM、予め用意された情報等を記憶するバックアップRAM等で構成されており、エンジンECU101、モータECU102、バッテリECU103との間で各種センサの検出信号や制御指令等の情報の授受ができる。
【0032】
このハイブリッドECU100は、運転者の駆動要求、バッテリ27の充電状態、車両走行状態などの情報に基づいて、エンジン運転モードとハイブリッド運転モードとモータ運転モードとの切り替えを行うことができる。
【0033】
即ち、ハイブリッドECU100がエンジン運転モードを選択した場合、エンジン11のエンジン出力トルクのみで原則として運転者の駆動要求に応じた要求駆動力を発生させるように、エンジンECU101とモータジェネレータECU102とバッテリECU103に制御指令を送る。エンジンECU101は、そのエンジン出力トルクを発生させるようにエンジン11の燃料噴射量等の制御を行う。一方、モータECU102及びバッテリECU103は、モータジェネレータ14をモータとしてもジェネレータとしても作動させないように、モータジェネレータ14とバッテリ27を制御する。
【0034】
また、ハイブリッドECU100がハイブリッド運転モードを選択した場合、エンジン11のエンジン出力トルクとモータジェネレータ14のモータまたはジェネレータとしての出力で原則として運転者の駆動要求に応じた要求駆動力を発生させるように、エンジンECU101とモータECU102とバッテリECU103に制御指令を送る。エンジンECU101は、所定のエンジン出力トルクを発生させるようにエンジン11の燃料噴射量等の制御を行い、モータECU102は、所定のモータ出力トルクを発生させるようにインバータ23を制御してモータジェネレータ14への給電量を制御する。また、バッテリECU103は、バッテリ27の充電量と放電量を管理する。
【0035】
また、ハイブリッドECU100がモータ運転モードを選択した場合、モータジェネレータ14のモータ出力トルクのみで運転者の駆動要求に応じた要求駆動力を発生させるように、エンジンECU101とモータECU102とバッテリECU103とに制御指令を送る。モータECU102は、そのモータ出力トルクを発生させるようにインバータ23を制御してモータジェネレータ14への給電量を制御する。このとき、エンジンECU101は、燃費性能を向上させるべく、エンジン11の動作を停止させる制御指令が送られる。
【0036】
このように構成された本実施形態の車両の制御装置にて、上述したように、ハイブリッド車両は、ハイブリッドECU100がエンジン運転モード、ハイブリッド運転モード、モータ運転モードのいずれかを選択可能である。この場合、各運転モードでは、アクチュエータ41によりクラッチ15を切断状態とし、エンジン11の動力やモータジェネレータ14の動力を多段変速機13及び最終減速装置16を介して駆動輪17に伝達可能とする。
【0037】
また、バッテリECU103は、SOCセンサ61が検出したバッテリ27の充電状態量(SOC量)に基づいて、バッテリ27の充電または放電を行う。このバッテリ27の充電を行う場合、ハイブリッドECU100は、アクチュエータ41によりクラッチ15を接続状態とし、エンジン11の動力を多段変速機13の入力軸36、クラッチ15、出力軸22を介してモータジェネレータ14に伝達可能とする。そして、モータECU102は、モータジェネレータ14をジェネレータとして作動させ、このモータジェネレータ14が発電した交流電力をインバータ23により直流電力に変換してバッテリ27に蓄電することとなる。このとき、バッテリECU103は、予め設定された充放電マップに基づいてバッテリ27の充電量及び放電量を制御する。
【0038】
ところで、クラッチ15がモータジェネレータ14の出力軸22と多段変速機13の入力軸36とを接続した状態で、フェール(故障)した場合、モータジェネレータ14が多段変速機13、最終減速装置16、駆動輪17と駆動連結された状態であることから、車両が走行しないと、モータジェネレータ14を作動して発電を行うことができない。例えば、この故障した状態で、車両が渋滞道路に遭遇したとき、バッテリ27の充電を行うことが制限され、充電量が低下してしまう。バッテリ27の充電量が低下すると、補機などを駆動するための電力が不足してしまう。
【0039】
そのため、本実施形態では、本発明の伝達切替装置としてのクラッチ15の接続状態または切断状態を検出するクラッチセンサ62を設け、ハイブリッドECU100は、クラッチ15を作動するアクチュエータ41への切替指令と、クラッチセンサ62が検出したクラッチ15の状態(接続状態または切断状態)に基づいてクラッチ15の故障を検出する。即ち、ハイブリッドECU100は、アクチュエータ41へクラッチ15の切断指令(接続指令)を出力しても、クラッチセンサ62がクラッチ15の接続状態(切断状態)を検出したときに、クラッチ15の故障を判定する。本実施形態では、ハイブリッドECU100とクラッチセンサ62が本発明の故障検出部として機能する。そして、ハイブリッドECU100は、クラッチ15の故障を判定したときには、バッテリ制御部としてのバッテリECU103に指令を出力し、バッテリECU103は、バッテリ27の放電量を低減する。
【0040】
具体的に、バッテリECU103は、予め設定された充放電マップに基づいてバッテリ27の充電量及び放電量を制御可能であり、ハイブリッドECU100がクラッチ15の故障を検出したときには、この充放電マップにおける充電状態量に対する放電量を低下させる。
【0041】
また、バッテリECU103は、ハイブリッドECU100がクラッチ15の故障を検出したときには、充放電マップにおける充電要求電力の充電と放電との切替点を充電状態量が増加する側に移行する。
【0042】
また、バッテリECU103は、ハイブリッドECU100がクラッチ15の故障を検出したときには、バッテリ27の充電が必要となる充電状態量下限値を増加する側に移行する。
【0043】
ここで、本実施形態の車両の制御装置におけるバッテリ制御の処理を図2のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0044】
本実施形態の車両の制御装置におけるバッテリ制御において、図2に示すように、ステップS11にて、クラッチ(ドグクラッチ)15がフェール(故障)状態にあるかどうかを判定する。この場合、ハイブリッドECU100は、クラッチ15への作動指令と、クラッチセンサ62の検出結果に基づいてクラッチ15のフェール状態の判定を行う。ここで、クラッチ15がフェール状態にあると判定(Yes)されたら、ステップS12にて、クラッチ(ドグクラッチ)15が接続状態にあるかどうかを判定する。この場合、ハイブリッドECU100は、クラッチセンサ62が検出したクラッチ15の検出結果に基づいてクラッチ15の接続状態の判定を行う。
【0045】
ステップS11にて、クラッチ15がフェール状態にないと判定(No)されたり、ステップS12にて、クラッチ15が接続状態にないと判定(No)されたりしたら、何もしないでこのルーチンを抜ける。
【0046】
一方、ステップS11にて、クラッチ15がフェール状態にあると判定(Yes)され、且つ、ステップS12にて、クラッチ15が接続状態にあると判定(Yes)されたら、ステップS13にて、バッテリECU103は、予め設定された充放電マップにおける充電状態量に対する放電量を低下させると共に、この充放電マップにおける充電要求電力の充電と放電との切替点を充電状態量が増加する側に移行する。
【0047】
即ち、図3に示すように、バッテリECU103は、充電状態量SOCに対する充電要求電力Pcharge、つまり、放電領域及び充電領域を表す充放電マップを有している。この充放電マップでは、充電状態量SOCの低領域では、バッテリ27の充電量が不十分であることから、バッテリ27への充電が適正に行われるように充電要求電力Pchargeが設定される。一方、充放電マップにて、充電状態量SOCの高領域では、バッテリ27の充電量が十分であることから、バッテリ27からの放電が適正に行われるように充電要求電力Pchargeが設定される。この場合、充電状態量SOCの低領域における充電要求電力Pchargeは、+(プラス)であり、充電状態量SOCの高領域における充電要求電力Pchargeは、−(マイナス)である。
【0048】
そして、充放電マップにて、充電状態量SOCの低領域側における充電要求電力Pcharge(+)は所定の位置で増加し、充電状態量SOCの高領域側における充電要求電力Pcharge(−)は所定の位置で減少し、充電要求電力Pchargeが0となる切替点A(A1,A2)、つまり、充電状態量SOCの中心点で接続されている。
【0049】
上述したステップS13では、バッテリECU103は、図3に表す充放電マップにて、実線で表す切替点A1を通る充電状態量SOCに対する充電要求電力Pchargeを、一点差線で表す切替点A2を通る充電状態量SOCに対する充電要求電力Pchargeに変更する。つまり、充電状態量SOCの高領域の放電量を低下させると共に、充電要求電力Pchargeの充電と放電との切替点A1を充電状態量SOCが増加する切替点A2に移行する。
【0050】
なお、バッテリ27の充電状態量SOCは、バッテリ27の温度にも依存するものであり、図4に示すように、バッテリ温度に対するバッテリ充電状態量SOCを表すテーブルが設定されている。本実施形態では、このテーブルにて、A1に表す領域から、A2に表す領域に変更することを意味している。
【0051】
そのため、バッテリECU103は、バッテリ27の充電状態量SOCが十分であっても、バッテリ27の放電量が減少することとなり、正味の充電要求電力Pchargeが減少し、バッテリ27の充電状態量SOCが低下しにくくなる。
【0052】
図2に戻り、ステップS14にて、バッテリECU103は、続いて、バッテリ27の充電が必要となる充電状態量下限値を増加する側に移行する。即ち、図5に示すように、ハイブリッド車両の走行や補機の使用により、バッテリ27の充電状態量SOCは、時間の経過と共に変動する。バッテリ27の充電状態量SOCが変動するとき、バッテリECU103は、バッテリ27の充電が必要となる充電状態量下限値と、バッテリ27の放電が必要となる充電状態量上限値が設定されている。
【0053】
上述したステップS14では、バッテリECU103は、図5に実線で表す充電状態量下限値を、図5に一点鎖線で表す充電状態量下限値に変更する。つまり、バッテリ27の充電状態量下限値を増加する側に移行している。
【0054】
そのため、バッテリECU103は、バッテリ27の充電状態量SOCが0%に近い位置まで低下しなくても、バッテリ27の充電が開始されることとなり、バッテリ27への充電タイミングが早くなり、バッテリ27の充電状態量SOCの平均値が増加する。
【0055】
このように本実施形態の車両の制御装置にあっては、エンジン11にクラッチ12を介して多段変速機13を駆動連結すると共に、モータジェネレータ14にクラッチ15を介して多段変速機13を駆動連結し、多段変速機13に最終減速装置16を介して駆動輪17を駆動連結し、モータジェネレータ14にインバータ23を介してバッテリ27を接続し、ハイブリッドECU100は、クラッチセンサ62の検出結果に基づいてクラッチ15の故障を検出したときに、バッテリECU103は、このバッテリ27の放電量を低減するようにしている。
【0056】
従って、クラッチ15によりモータジェネレータ14と多段変速機13が駆動連結した状態、つまり、ハイブリッド車両が走行できずに、バッテリ27の充電を行うことが困難な状況では、バッテリ27の放電を抑制することが可能となり、バッテリ27の充電状態量SOCが低下しにくくなり、バッテリ27を保護して補機などを駆動する電力を確保することができる。
【0057】
また、本実施形態の車両の制御装置では、バッテリECU103は、予め設定された充放電マップに基づいてバッテリ27の充電量及び放電量を制御可能であり、ハイブリッドECU100がクラッチ15の故障を検出したときには、充放電マップにおける充電状態量に対する放電量を低下させる。従って、バッテリECU103は、バッテリ27の充電状態量SOCが十分であっても、バッテリ27の放電量が減少することとなり、正味の充電要求電力Pchargeが減少し、バッテリ27の充電状態量SOCの低下を抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態の車両の制御装置では、バッテリECU103は、ハイブリッドECU100がクラッチ15の故障を検出したときには、充放電マップにおける充電要求電力の充電と放電との切替点を充電状態量が増加する側に移行する。従って、バッテリECU103は、バッテリ27の充電状態量SOCが十分であっても、バッテリ27の放電量が減少することとなり、正味の充電要求電力Pchargeが減少し、バッテリ27の充電状態量SOCの低下を抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態の車両の制御装置では、バッテリECU103は、ハイブリッドECU100がクラッチ15の故障を検出したときには、バッテリ27の充電が必要となる充電状態量下限値を増加する側に移行する。従って、バッテリECU103は、バッテリ27の充電を早期に開始することとなり、バッテリ27の充電状態量SOCの低下を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明に係る車両の制御装置は、伝達切替装置が故障したときにはバッテリの放電量を低減することで、バッテリの充電を行うことが困難な場合にバッテリの放電を抑制可能とするものであり、いずれの車両を制御する装置にも有用である。
【符号の説明】
【0061】
11 エンジン(内燃機関)
12 クラッチ
13 多段変速機(動力伝達装置)
14 モータジェネレータ(電気モータ)
15 クラッチ(動力伝達切替装置)
16 最終減速装置(動力伝達装置)
17 駆動輪
26 歯車対(動力伝達装置)
61 SOCセンサ
62 クラッチセンサ(故障検出部)
100 ハイブリッドECU(故障検出部)
101 エンジンECU
102 モータECU
103 バッテリECU(バッテリ制御部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関と歯車式有段変速機と電動機を駆動連結したハイブリッド車両が提案されている。例えば、下記特許文献1の記載されたハイブリッド車両用動力伝達装置では、内燃機関に歯車式有段変速機を連結すると共に、この歯車式有段変速機に電動機を連結することで、内燃機関の駆動力や電動機の駆動力を駆動輪に出力可能としている。従って、車両の走行時に、内燃機関または電動機の駆動力を歯車式有段変速機により駆動輪に伝達することで、変速時の空走感や脱力感を低減することができる。また、内燃機関の駆動力を電動機に伝達し、この電動機を発電機として作用させることで、生成した電気をバッテリに蓄積することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−107626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のハイブリッド車両用動力伝達装置にあっては、歯車式有段変速機により内燃機関と駆動輪との駆動伝達を遮断することで、車両の停止時であっても、内燃機関の駆動力を電動機に伝達して発電することで、生成した電気をバッテリに蓄積することができる。ところが、歯車式有段変速機に障害が発生した場合、内燃機関と歯車式有段変速機と電動機と駆動輪との駆動伝達を解除することができず、渋滞道路で、車両が走行できないときには、内燃機関の駆動力により電動機だけを駆動することができず、バッテリの充電量が低下し、バッテリへの電力供給が困難となり、バッテリの充電量が低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、バッテリの充電を行うことが困難な場合にバッテリの放電を抑制可能とする車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両の制御装置は、内燃機関と、電気モータと、前記内燃機関の動力を前記モータに伝達可能であると共に前記内燃機関の動力と前記電気モータの動力を駆動輪に伝達可能な動力伝達装置と、前記電気モータに電力を供給可能であると共に該電気モータが発電した電力を蓄電可能なバッテリと、前記内燃機関と前記電気モータとの間で動力を伝達可能な接続状態と動力を遮断可能な切断状態とに切替可能な動力伝達切替装置と、を備える車両に用いられる制御装置であって、該制御装置は、前記伝達切替装置の故障を検出する故障検出部と、前記バッテリの充電状態及び放電状態を制御すると共に前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときに前記バッテリの放電量を低減するバッテリ制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記車両の制御装置にて、前記バッテリ制御部は、予め設定された充放電マップに基づいて前記バッテリの充電量及び放電量を制御可能であり、前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときには、前記充放電マップにおける充電状態量に対する放電量を低下させることが好ましい。
【0008】
上記車両の制御装置にて、前記バッテリ制御部は、予め設定された充放電マップに基づいて前記バッテリの充電量及び放電量を制御可能であり、前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときには、前記充放電マップにおける充電要求電力の充電と放電との切替点を充電状態量が増加する側に移行することが好ましい。
【0009】
上記車両の制御装置にて、前記バッテリ制御部は、前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときには、前記バッテリの充電が必要となる充電状態量下限値を増加する側に移行することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車両の制御装置は、内燃機関と電気モータとの間で動力を伝達可能な動力伝達切替装置の故障を検出したときに、バッテリの放電量を低減するので、バッテリの充電を行うことが困難な場合にバッテリの放電を抑制可能とするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る車両の制御装置を表す概略構成図である。
【図2】図2は、本実施形態の車両の制御装置におけるバッテリ制御の処理を表すフローチャートである。
【図3】図3は、バッテリ充電状態量(SOC)に対する放電領域及び充電領域を表すグラフである。
【図4】図4は、バッテリ温度に対するバッテリ充電状態量(SOC)を表すグラフである。
【図5】図5は、バッテリ充電状態量(SOC)の変化を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る車両の制御装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
〔実施形態〕
図1は、本発明の一実施形態に係る車両の制御装置を表す概略構成図、図2は、本実施形態の車両の制御装置におけるバッテリ制御の処理を表すフローチャート、図3は、バッテリ充電状態量(SOC)に対する放電領域及び充電領域を表すグラフ、図4は、バッテリ温度に対するバッテリ充電状態量(SOC)を表すグラフ、図5は、バッテリ充電状態量(SOC)の変化を表すグラフである。
【0014】
本実施形態のハイブリッド車両は、図1に示すように、動力源としてエンジン(内燃機関)11と、手動式のクラッチ12と、手動式の多段変速機(動力伝達装置)13と、モータジェネレータ(電気モータ)14と、電動式または油圧式のクラッチ(動力伝達切替装置)15と、最終減速装置(動力伝達装置)16と、駆動輪17とを有している。
【0015】
エンジン11としては、燃焼室内で燃料を燃焼させ、これにより発生した熱エネルギを機械的エネルギに変換する熱機関たる内燃機関であって、ガソリンを燃料とし、ピストンの往復運動によって出力軸(クランクシャフト)21から機械的な動力を出力可能となっている。このエンジン11は、燃料噴射装置及び点火装置を有しており、この燃料噴射装置及び点火装置は、動作がエンジン用の電子制御装置(以下、エンジンECUと称する。)101により制御される。このエンジンECU101は、燃料噴射装置の燃料噴射量や燃料噴射時期等を制御すると共に、点火装置の点火時期を制御して、エンジン11の出力軸21から出力される機械的な動力(エンジン出力トルク)の大きさを調整することができる。
【0016】
このエンジンECU101は、CPU(中央演算処理装置)、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM(Read Only Memory)、そのCPUの演算結果を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、予め用意された情報等を記憶するバックアップRAM等で構成されている。
【0017】
モータジェネレータ14は、供給された電力を機械的な動力(モータ出力トルク)に変換して出力軸22から出力するモータ(電動機)としての機能と、出力軸22に入力された機械的な動力を電力に変換して回収するジェネレータ(発電機)としての機能とを兼ね備えている。このモータジェネレータ14は、例えば、永久磁石型交流同期電動機として構成されており、インバータ23から三相の交流電力が供給されて回転磁界を形成するステータ24と、その回転磁界に引き付けられて回転する回転子としてのロータ25とを有している。そのロータ25は、出力軸22と一体になって回転する。また、このモータジェネレータ14は、ロータ25の回転角位置を検出する回転センサ(レゾルバ)が設けられており、その回転センサが検出信号をモータジェネレータ用の電子制御装置(以下、モータECUと称する。)102に送信する。このモータECU102は、CPU、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM、そのCPUの演算結果を一時記憶するRAM、予め用意された情報等を記憶するバックアップRAM等で構成されている。
【0018】
また、モータジェネレータ14は、出力軸22が歯車対(動力伝達装置)26を介して多段変速機13の入力軸36に連結されており、モータとして機能するときには、モータ出力トルクを多段変速機13に伝達する一方、ジェネレータとして機能するときには、多段変速機13からの機械的な動力が出力軸22に入力される。
【0019】
この歯車対26は、互いに噛み合い状態にある第1ギア26aと第2ギア26bとで構成される。第1ギア26aは、ロータ25と一体になって回転できるようにモータジェネレータ14の出力軸22に固定される。一方、第2ギア26bは、第1ギア26aよりも大径に成形され、多段変速機13の出力軸37と一体になって回転できるように固定される。この場合、歯車対26は、ロータ25側から回転トルクが入力されることによって減速機構として機能する一方、多段変速機13の出力軸37側から回転トルクが入力されることによって増速機構として機能する。
【0020】
モータジェネレータ14は、インバータ23を介してバッテリ(二次電池)27が接続されている。このバッテリ27からの直流電力は、インバータ23で交流電力に変換されてモータジェネレータ14に供給される。この交流電力が供給されたモータジェネレータ14は、モータとして作動して、出力軸22からモータ出力トルクを出力する。一方、このモータジェネレータ14をジェネレータとして作動させたときは、このモータジェネレータ14からの交流電力をインバータ23で直流電力に変換してバッテリ27に回収、または、電力の回生を行いながら駆動輪17に制動力(回生制動)を加えることができる。この場合、このモータジェネレータ14は、多段変速機13から出力された機械的な動力(出力トルク)が出力軸22を介してロータ25に入力され、この入力トルクを交流電力に変換する。このインバータ23の動作は、モータECU102によって制御される。
【0021】
バッテリ27は、その充電状態(SOC:State of Charge)などを管理するバッテリ用の電子制御装置(以下、バッテリECUと称する。)103が接続されている。このバッテリECU103は、SOCセンサ61が検出したバッテリ27の充電状態に応じた信号として、充電状態量(SOC量)に関する信号をバッテリECU103に送信する。そのバッテリECU103は、この信号に基づいてバッテリ27の充電状態の判定を行い、充電及び放電の要否を判定する。
【0022】
多段変速機13は、エンジン11やモータジェネレータ14の動力(エンジン出力トルクやモータ出力トルク)を駆動力とし、最終減速装置16を介して左右の駆動輪17に伝達するものである。
【0023】
この手動式の多段変速機13は、前進4段、後退1段の変速段を有するものであって、前進用の変速段として第1速ギア段31、第2速ギア段32、第3速ギア段33、第4速ギア段34を有し、後退用の変速段として後退ギア段35を有している。前進用の変速段は、変速比が第1速ギア段31、第2速ギア段32、第3速ギア段33、第4速ギア段34の順に小さくなるよう構成されている。また、この多段変速機13は、エンジン11のエンジン出力トルクが伝達される入力軸36と、この入力軸36に対して間隔を空けて平行に配置された出力軸37を有している。なお、この多段変速機13は、その構成を簡易的に説明しており、各変速段の数や配置については、図1のものに限るものではない。
【0024】
ここで、第1速ギア段31は、互いに噛み合い状態にある第1速ドライブギア31aと第1速ドリブンギア31bとで構成され、第1速ドライブギア31aは入力軸36上に配置され、第1速ドリブンギア31bは出力軸37上に配置される。第2速ギア段32は、互いに噛み合い状態にある第2速ドライブギア32aと第2速ドリブンギア32bとで構成され、第2速ドライブギア32aは入力軸36上に配置され、第2速ドリブンギア32bは出力軸37上に配置される。第3速ギア段33は、互いに噛み合い状態にある第3速ドライブギア33aと第3速ドリブンギア33bとで構成され、第3速ドライブギア33aは入力軸36上に配置され、第3速ドリブンギア33bは出力軸37上に配置される。第4速ギア段34は、互いに噛み合い状態にある第4速ドライブギア34aと第4速ドリブンギア34bとで構成され、第4速ドライブギア34aは入力軸36上に配置され、第4速ドリブンギア34bは出力軸37上に配置される。
【0025】
後退ギア段35は、後退ドライブギア35aと後退ドリブンギア35bと後退中間ギア35cとで構成される。後退ドライブギア35aは入力軸36上に配置され、後退ドリブンギア35bは出力軸37上に配置され、後退中間ギア35cは、後退ドライブギア35a及び後退ドリブンギア35bと噛み合い状態にあり、回転軸38上に配置される。
【0026】
なお、実際の多段変速機13の構成においては、各変速段のドライブギアのうちの何れかが、入力軸36と一体回転するように配設される一方、残りのドライブギアが入力軸36に対して相対回転するように配設される。また、各変速段のドリブンギアは、そのうちの何れかが出力軸37と一体回転するように配設される一方、残りが出力軸37に対して相対回転するように配設される。
【0027】
また、入力軸36や出力軸37は、運転者による変速操作装置の変速操作により、軸線方向に移動するスリーブを有している。このスリーブは、変速操作装置を運転者が操作したときに軸線方向へ移動し、移動された方向に位置する相対回転可能なドライブギアやドリブンギアを入力軸36や出力軸37と一体回転させる。この手動式の多段変速機13は、スリーブが運転者の変速操作に対応した方向に移動し、変速操作に応じた変速段への切り替えやニュートラル位置への切り替えを行うことができる。
【0028】
クラッチ12は、エンジン11と多段変速機13との間に介装され、このエンジン11と多段変速機13との間で、動力を伝達可能な接続状態と、動力の伝達を遮断可能な切断状態とに切替可能となっている。このクラッチ12は、乾式または湿式の単板クラッチ、多板クラッチであって、円板状の摩擦板を有し、この摩擦板の摩擦力によりエンジン11のエンジン出力トルクを出力軸21から多段変速機13の入力軸36に伝達することができる。クラッチ12は、運転者によるクラッチペダルの踏込み操作により、その作動状態の切替動作(接続状態と切断状態の切替動作)を行うことができる。
【0029】
また、クラッチ15は、多段変速機13とモータジェネレータ14との間に介装され、この多段変速機13とモータジェネレータ14との間で、動力を伝達可能な接続状態と、動力の伝達を遮断可能な切断状態とに切替可能となっている。このクラッチ15は、ドグクラッチであって、モータジェネレータ14の出力軸22と多段変速機13の入力軸36とが同一軸線上に配置された状態で、入力軸36に結合され外歯が形成されたクラッチ部材と、出力軸22に結合されるクラッチハブと、このクラッチハブの外周側に軸方向移動可能で回転不能な内歯が形成されたスリーブとを有し、出力軸22と入力軸36の各回転速度を同期させた後に、外歯と内歯とを噛み合わせることにより出力軸22と入力軸36を接続するものである。このクラッチ15は、アクチュエータ41の作動により、その作動状態の切替動作(接続状態と切断状態の切替動作)を行うことができる。
【0030】
最終減速装置16は、多段変速機13の出力軸37から入力された入力トルクを減速して、左右の駆動軸17に分配するものである。この最終減速装置16は、出力軸37の端部に固定されたピニオンギア51と、このピニオンギア51に噛み合って回転トルクを減速させながら回転方向を直交方向へと変換するリングギア52と、このリングギア52を介して入力された回転トルクを左右の駆動輪17に分配する差動機構53とを有している。
【0031】
更に、このハイブリッド車両は、車両全体の動作を統括的に制御する電子制御装置(以下、ハイブリッドECUと称する。)100が設けられている。このハイブリッドECU100は、CPU、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM、そのCPUの演算結果を一時記憶するRAM、予め用意された情報等を記憶するバックアップRAM等で構成されており、エンジンECU101、モータECU102、バッテリECU103との間で各種センサの検出信号や制御指令等の情報の授受ができる。
【0032】
このハイブリッドECU100は、運転者の駆動要求、バッテリ27の充電状態、車両走行状態などの情報に基づいて、エンジン運転モードとハイブリッド運転モードとモータ運転モードとの切り替えを行うことができる。
【0033】
即ち、ハイブリッドECU100がエンジン運転モードを選択した場合、エンジン11のエンジン出力トルクのみで原則として運転者の駆動要求に応じた要求駆動力を発生させるように、エンジンECU101とモータジェネレータECU102とバッテリECU103に制御指令を送る。エンジンECU101は、そのエンジン出力トルクを発生させるようにエンジン11の燃料噴射量等の制御を行う。一方、モータECU102及びバッテリECU103は、モータジェネレータ14をモータとしてもジェネレータとしても作動させないように、モータジェネレータ14とバッテリ27を制御する。
【0034】
また、ハイブリッドECU100がハイブリッド運転モードを選択した場合、エンジン11のエンジン出力トルクとモータジェネレータ14のモータまたはジェネレータとしての出力で原則として運転者の駆動要求に応じた要求駆動力を発生させるように、エンジンECU101とモータECU102とバッテリECU103に制御指令を送る。エンジンECU101は、所定のエンジン出力トルクを発生させるようにエンジン11の燃料噴射量等の制御を行い、モータECU102は、所定のモータ出力トルクを発生させるようにインバータ23を制御してモータジェネレータ14への給電量を制御する。また、バッテリECU103は、バッテリ27の充電量と放電量を管理する。
【0035】
また、ハイブリッドECU100がモータ運転モードを選択した場合、モータジェネレータ14のモータ出力トルクのみで運転者の駆動要求に応じた要求駆動力を発生させるように、エンジンECU101とモータECU102とバッテリECU103とに制御指令を送る。モータECU102は、そのモータ出力トルクを発生させるようにインバータ23を制御してモータジェネレータ14への給電量を制御する。このとき、エンジンECU101は、燃費性能を向上させるべく、エンジン11の動作を停止させる制御指令が送られる。
【0036】
このように構成された本実施形態の車両の制御装置にて、上述したように、ハイブリッド車両は、ハイブリッドECU100がエンジン運転モード、ハイブリッド運転モード、モータ運転モードのいずれかを選択可能である。この場合、各運転モードでは、アクチュエータ41によりクラッチ15を切断状態とし、エンジン11の動力やモータジェネレータ14の動力を多段変速機13及び最終減速装置16を介して駆動輪17に伝達可能とする。
【0037】
また、バッテリECU103は、SOCセンサ61が検出したバッテリ27の充電状態量(SOC量)に基づいて、バッテリ27の充電または放電を行う。このバッテリ27の充電を行う場合、ハイブリッドECU100は、アクチュエータ41によりクラッチ15を接続状態とし、エンジン11の動力を多段変速機13の入力軸36、クラッチ15、出力軸22を介してモータジェネレータ14に伝達可能とする。そして、モータECU102は、モータジェネレータ14をジェネレータとして作動させ、このモータジェネレータ14が発電した交流電力をインバータ23により直流電力に変換してバッテリ27に蓄電することとなる。このとき、バッテリECU103は、予め設定された充放電マップに基づいてバッテリ27の充電量及び放電量を制御する。
【0038】
ところで、クラッチ15がモータジェネレータ14の出力軸22と多段変速機13の入力軸36とを接続した状態で、フェール(故障)した場合、モータジェネレータ14が多段変速機13、最終減速装置16、駆動輪17と駆動連結された状態であることから、車両が走行しないと、モータジェネレータ14を作動して発電を行うことができない。例えば、この故障した状態で、車両が渋滞道路に遭遇したとき、バッテリ27の充電を行うことが制限され、充電量が低下してしまう。バッテリ27の充電量が低下すると、補機などを駆動するための電力が不足してしまう。
【0039】
そのため、本実施形態では、本発明の伝達切替装置としてのクラッチ15の接続状態または切断状態を検出するクラッチセンサ62を設け、ハイブリッドECU100は、クラッチ15を作動するアクチュエータ41への切替指令と、クラッチセンサ62が検出したクラッチ15の状態(接続状態または切断状態)に基づいてクラッチ15の故障を検出する。即ち、ハイブリッドECU100は、アクチュエータ41へクラッチ15の切断指令(接続指令)を出力しても、クラッチセンサ62がクラッチ15の接続状態(切断状態)を検出したときに、クラッチ15の故障を判定する。本実施形態では、ハイブリッドECU100とクラッチセンサ62が本発明の故障検出部として機能する。そして、ハイブリッドECU100は、クラッチ15の故障を判定したときには、バッテリ制御部としてのバッテリECU103に指令を出力し、バッテリECU103は、バッテリ27の放電量を低減する。
【0040】
具体的に、バッテリECU103は、予め設定された充放電マップに基づいてバッテリ27の充電量及び放電量を制御可能であり、ハイブリッドECU100がクラッチ15の故障を検出したときには、この充放電マップにおける充電状態量に対する放電量を低下させる。
【0041】
また、バッテリECU103は、ハイブリッドECU100がクラッチ15の故障を検出したときには、充放電マップにおける充電要求電力の充電と放電との切替点を充電状態量が増加する側に移行する。
【0042】
また、バッテリECU103は、ハイブリッドECU100がクラッチ15の故障を検出したときには、バッテリ27の充電が必要となる充電状態量下限値を増加する側に移行する。
【0043】
ここで、本実施形態の車両の制御装置におけるバッテリ制御の処理を図2のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0044】
本実施形態の車両の制御装置におけるバッテリ制御において、図2に示すように、ステップS11にて、クラッチ(ドグクラッチ)15がフェール(故障)状態にあるかどうかを判定する。この場合、ハイブリッドECU100は、クラッチ15への作動指令と、クラッチセンサ62の検出結果に基づいてクラッチ15のフェール状態の判定を行う。ここで、クラッチ15がフェール状態にあると判定(Yes)されたら、ステップS12にて、クラッチ(ドグクラッチ)15が接続状態にあるかどうかを判定する。この場合、ハイブリッドECU100は、クラッチセンサ62が検出したクラッチ15の検出結果に基づいてクラッチ15の接続状態の判定を行う。
【0045】
ステップS11にて、クラッチ15がフェール状態にないと判定(No)されたり、ステップS12にて、クラッチ15が接続状態にないと判定(No)されたりしたら、何もしないでこのルーチンを抜ける。
【0046】
一方、ステップS11にて、クラッチ15がフェール状態にあると判定(Yes)され、且つ、ステップS12にて、クラッチ15が接続状態にあると判定(Yes)されたら、ステップS13にて、バッテリECU103は、予め設定された充放電マップにおける充電状態量に対する放電量を低下させると共に、この充放電マップにおける充電要求電力の充電と放電との切替点を充電状態量が増加する側に移行する。
【0047】
即ち、図3に示すように、バッテリECU103は、充電状態量SOCに対する充電要求電力Pcharge、つまり、放電領域及び充電領域を表す充放電マップを有している。この充放電マップでは、充電状態量SOCの低領域では、バッテリ27の充電量が不十分であることから、バッテリ27への充電が適正に行われるように充電要求電力Pchargeが設定される。一方、充放電マップにて、充電状態量SOCの高領域では、バッテリ27の充電量が十分であることから、バッテリ27からの放電が適正に行われるように充電要求電力Pchargeが設定される。この場合、充電状態量SOCの低領域における充電要求電力Pchargeは、+(プラス)であり、充電状態量SOCの高領域における充電要求電力Pchargeは、−(マイナス)である。
【0048】
そして、充放電マップにて、充電状態量SOCの低領域側における充電要求電力Pcharge(+)は所定の位置で増加し、充電状態量SOCの高領域側における充電要求電力Pcharge(−)は所定の位置で減少し、充電要求電力Pchargeが0となる切替点A(A1,A2)、つまり、充電状態量SOCの中心点で接続されている。
【0049】
上述したステップS13では、バッテリECU103は、図3に表す充放電マップにて、実線で表す切替点A1を通る充電状態量SOCに対する充電要求電力Pchargeを、一点差線で表す切替点A2を通る充電状態量SOCに対する充電要求電力Pchargeに変更する。つまり、充電状態量SOCの高領域の放電量を低下させると共に、充電要求電力Pchargeの充電と放電との切替点A1を充電状態量SOCが増加する切替点A2に移行する。
【0050】
なお、バッテリ27の充電状態量SOCは、バッテリ27の温度にも依存するものであり、図4に示すように、バッテリ温度に対するバッテリ充電状態量SOCを表すテーブルが設定されている。本実施形態では、このテーブルにて、A1に表す領域から、A2に表す領域に変更することを意味している。
【0051】
そのため、バッテリECU103は、バッテリ27の充電状態量SOCが十分であっても、バッテリ27の放電量が減少することとなり、正味の充電要求電力Pchargeが減少し、バッテリ27の充電状態量SOCが低下しにくくなる。
【0052】
図2に戻り、ステップS14にて、バッテリECU103は、続いて、バッテリ27の充電が必要となる充電状態量下限値を増加する側に移行する。即ち、図5に示すように、ハイブリッド車両の走行や補機の使用により、バッテリ27の充電状態量SOCは、時間の経過と共に変動する。バッテリ27の充電状態量SOCが変動するとき、バッテリECU103は、バッテリ27の充電が必要となる充電状態量下限値と、バッテリ27の放電が必要となる充電状態量上限値が設定されている。
【0053】
上述したステップS14では、バッテリECU103は、図5に実線で表す充電状態量下限値を、図5に一点鎖線で表す充電状態量下限値に変更する。つまり、バッテリ27の充電状態量下限値を増加する側に移行している。
【0054】
そのため、バッテリECU103は、バッテリ27の充電状態量SOCが0%に近い位置まで低下しなくても、バッテリ27の充電が開始されることとなり、バッテリ27への充電タイミングが早くなり、バッテリ27の充電状態量SOCの平均値が増加する。
【0055】
このように本実施形態の車両の制御装置にあっては、エンジン11にクラッチ12を介して多段変速機13を駆動連結すると共に、モータジェネレータ14にクラッチ15を介して多段変速機13を駆動連結し、多段変速機13に最終減速装置16を介して駆動輪17を駆動連結し、モータジェネレータ14にインバータ23を介してバッテリ27を接続し、ハイブリッドECU100は、クラッチセンサ62の検出結果に基づいてクラッチ15の故障を検出したときに、バッテリECU103は、このバッテリ27の放電量を低減するようにしている。
【0056】
従って、クラッチ15によりモータジェネレータ14と多段変速機13が駆動連結した状態、つまり、ハイブリッド車両が走行できずに、バッテリ27の充電を行うことが困難な状況では、バッテリ27の放電を抑制することが可能となり、バッテリ27の充電状態量SOCが低下しにくくなり、バッテリ27を保護して補機などを駆動する電力を確保することができる。
【0057】
また、本実施形態の車両の制御装置では、バッテリECU103は、予め設定された充放電マップに基づいてバッテリ27の充電量及び放電量を制御可能であり、ハイブリッドECU100がクラッチ15の故障を検出したときには、充放電マップにおける充電状態量に対する放電量を低下させる。従って、バッテリECU103は、バッテリ27の充電状態量SOCが十分であっても、バッテリ27の放電量が減少することとなり、正味の充電要求電力Pchargeが減少し、バッテリ27の充電状態量SOCの低下を抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態の車両の制御装置では、バッテリECU103は、ハイブリッドECU100がクラッチ15の故障を検出したときには、充放電マップにおける充電要求電力の充電と放電との切替点を充電状態量が増加する側に移行する。従って、バッテリECU103は、バッテリ27の充電状態量SOCが十分であっても、バッテリ27の放電量が減少することとなり、正味の充電要求電力Pchargeが減少し、バッテリ27の充電状態量SOCの低下を抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態の車両の制御装置では、バッテリECU103は、ハイブリッドECU100がクラッチ15の故障を検出したときには、バッテリ27の充電が必要となる充電状態量下限値を増加する側に移行する。従って、バッテリECU103は、バッテリ27の充電を早期に開始することとなり、バッテリ27の充電状態量SOCの低下を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明に係る車両の制御装置は、伝達切替装置が故障したときにはバッテリの放電量を低減することで、バッテリの充電を行うことが困難な場合にバッテリの放電を抑制可能とするものであり、いずれの車両を制御する装置にも有用である。
【符号の説明】
【0061】
11 エンジン(内燃機関)
12 クラッチ
13 多段変速機(動力伝達装置)
14 モータジェネレータ(電気モータ)
15 クラッチ(動力伝達切替装置)
16 最終減速装置(動力伝達装置)
17 駆動輪
26 歯車対(動力伝達装置)
61 SOCセンサ
62 クラッチセンサ(故障検出部)
100 ハイブリッドECU(故障検出部)
101 エンジンECU
102 モータECU
103 バッテリECU(バッテリ制御部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
電気モータと、
前記内燃機関の動力を前記電気モータに伝達可能であると共に前記内燃機関の動力と前記モータの動力を駆動輪に伝達可能な動力伝達装置と、
前記電気モータに電力を供給可能であると共に該電気モータが発電した電力を蓄電可能なバッテリと、
前記内燃機関と前記電気モータとの間で動力を伝達可能な接続状態と動力を遮断可能な切断状態とに切替可能な動力伝達切替装置と、
を備える車両に用いられる制御装置であって、
該制御装置は、
前記伝達切替装置の故障を検出する故障検出部と、
前記バッテリの充電状態及び放電状態を制御すると共に前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときに前記バッテリの放電量を低減するバッテリ制御部と、
を備えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記バッテリ制御部は、予め設定された充放電マップに基づいて前記バッテリの充電量及び放電量を制御可能であり、前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときには、前記充放電マップにおける充電状態量に対する放電量を低下させることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記バッテリ制御部は、予め設定された充放電マップに基づいて前記バッテリの充電量及び放電量を制御可能であり、前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときには、前記充放電マップにおける充電要求電力の充電と放電との切替点を充電状態量が増加する側に移行することを特徴とする請求項1または2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記バッテリ制御部は、前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときには、前記バッテリの充電が必要となる充電状態量下限値を増加する側に移行することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の車両の制御装置。
【請求項1】
内燃機関と、
電気モータと、
前記内燃機関の動力を前記電気モータに伝達可能であると共に前記内燃機関の動力と前記モータの動力を駆動輪に伝達可能な動力伝達装置と、
前記電気モータに電力を供給可能であると共に該電気モータが発電した電力を蓄電可能なバッテリと、
前記内燃機関と前記電気モータとの間で動力を伝達可能な接続状態と動力を遮断可能な切断状態とに切替可能な動力伝達切替装置と、
を備える車両に用いられる制御装置であって、
該制御装置は、
前記伝達切替装置の故障を検出する故障検出部と、
前記バッテリの充電状態及び放電状態を制御すると共に前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときに前記バッテリの放電量を低減するバッテリ制御部と、
を備えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記バッテリ制御部は、予め設定された充放電マップに基づいて前記バッテリの充電量及び放電量を制御可能であり、前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときには、前記充放電マップにおける充電状態量に対する放電量を低下させることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記バッテリ制御部は、予め設定された充放電マップに基づいて前記バッテリの充電量及び放電量を制御可能であり、前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときには、前記充放電マップにおける充電要求電力の充電と放電との切替点を充電状態量が増加する側に移行することを特徴とする請求項1または2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記バッテリ制御部は、前記故障検出部が前記動力伝達切替装置の故障を検出したときには、前記バッテリの充電が必要となる充電状態量下限値を増加する側に移行することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の車両の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2011−230706(P2011−230706A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104335(P2010−104335)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(592058315)アイシン・エーアイ株式会社 (490)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(592058315)アイシン・エーアイ株式会社 (490)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]