車両制御装置
【課題】運転者の行動を精度よく予測して適切に車載装置を制御する車両制御装置を提供すること。
【解決手段】車載装置200を制御する車両制御装置100において、車両外における車両のユーザの複数の位置情報を記憶した位置情報記憶手段44と、ユーザの位置情報を受信する受信手段23と、受信手段23が受信した位置情報と、位置情報記憶手段44に記憶された位置情報が略一致するか否かを比較する比較手段42と、比較手段42により略一致すると判定された、位置情報記憶手段44に記憶された位置情報に対応づけられた制御態様に基づき車載装置200を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【解決手段】車載装置200を制御する車両制御装置100において、車両外における車両のユーザの複数の位置情報を記憶した位置情報記憶手段44と、ユーザの位置情報を受信する受信手段23と、受信手段23が受信した位置情報と、位置情報記憶手段44に記憶された位置情報が略一致するか否かを比較する比較手段42と、比較手段42により略一致すると判定された、位置情報記憶手段44に記憶された位置情報に対応づけられた制御態様に基づき車載装置200を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置を制御する車両制御装置に関し、特に、ユーザの位置情報を用いて車載装置を制御する車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の利便性を向上させるべく、車両のユーザの行動履歴を記憶しておき、行動履歴に基づきユーザの行動を予測し、予測した行動に適切な車載装置を制御する車両用予測制御装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、ドア錠の解錠履歴を日時と対応づけて記録しておき、頻繁に解錠される時間帯には短い送信周期でリクエスト信号を送信する制御方法が記載されている。
【特許文献1】特開2006−144365公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の車両用予測制御装置のように、車両における行動のみを曜日や時刻に対応づけて記録すると、記録した曜日や時刻に近い時間帯に行動しないと、車載装置が制御されないという問題がある。すなわち、車両に対する行動と曜日や時刻等を記録したのみでは、運転者の行動を予測するには十分でない。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑み、運転者の行動を精度よく予測して適切に車載装置を制御する車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑み、本発明は、車載装置を制御する車両制御装置において、車両外における車両のユーザの複数の位置情報を記憶した位置情報記憶手段と、ユーザの位置情報を受信する受信手段と、受信手段が受信した位置情報と、位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致するか否かを比較する比較手段と、比較手段により略一致すると判定された、位置情報記憶手段に記憶された位置情報に対応づけられた制御態様に基づき車載装置を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、車両外のユーザの位置により車載装置を制御することができるので、車両に接近する際は自動的にエンジン始動等ができ、車両から離れる際は自動的に施錠等ができるので利便性が向上する。
【0007】
また、本発明の一形態において、比較手段は、受信手段が受信した位置情報Aと位置情報記憶手段に記憶された位置情報とを比較する場合、位置情報Aよりも過去に受信した位置情報Aと異なる位置情報Bが、位置情報記憶手段に記憶された位置情報と略一致する場合であって、かつ、位置情報Aと位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致する場合に、位置情報Aと位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致すると判定する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、過去の位置情報の一致を現在の位置情報の一致条件とするので、運転者の移動の方向に基づき、車載装置を制御することができる。したがって、例えば、ドアをアンロックする場合のセキュリティを向上できる。
【0009】
また、本発明の一形態において、位置情報記憶手段には、降車時に車両から所定地へ移動する際のユーザの位置情報が時系列に記録されており、比較手段は、受信手段が受信した位置情報が、降車時のユーザの移動経路を逆向きに辿る場合に、受信手段が受信した位置情報と、位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致すると判定する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、降車時の移動経路と一致する経路を逆向きに運転者が接近する場合に、車載装置を制御することができ、乗車時に適切な操作環境を運転者に提供できる。
【0011】
また、本発明の一形態において、位置情報記憶手段には、乗車時に車両に向かって移動する際のユーザの位置情報が時系列に記録されており、比較手段は、受信手段が受信した位置情報が、乗車時のユーザの移動経路を逆向きに辿る場合に、受信手段が受信した位置情報と、位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致すると判定する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、乗車時の移動経路と一致する経路を逆向きに運転者が移動する場合に、車載装置を制御することができ、降車時に適切な制御を自動で実行できる。
る。
【0013】
また、本発明の一形態において、位置情報に対応づけて位置情報記憶手段に記憶された制御態様は、ドアロック解除若しくは施錠、エンジン始動若しくは停止又はセキュリティオフ若しくはオンの少なくともいずれかである、ことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、車両に接近するか車両から離れるだけで、ドアロックの解錠等が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
運転者の行動を精度よく予測して適切に車載装置を制御する車両制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本実施例の車両制御装置100による制御手順の概略を示す図である。車両制御装置100は、例えば、車両の駐車時に運転者の位置情報を時系列に記憶していく(位置情報を時系列に記録した情報を移動パターンという)。運転者の位置は運転者が携帯する携帯端末14のGPS(Global Positioning System)受信機により検出され車両11に送信される。図1では、車両11の駐車位置から自宅に至る経路上の位置P0〜P7の位置情報が送信され、車両制御装置100に記憶される。
【0018】
また、降車時に車両11は自動又は運転者の操作により所定の手順で車載装置200を制御する。例えば、降車直前の位置P0ではエンジンを停止し、スマートキー(登録商標)の検知エリアを超えた位置P1では施錠され、さらに所定時間が経過した位置P2ではセキュリティ機能がオンとなる。
【0019】
車両制御装置100は、位置P0〜P7の位置情報に車載装置200及びその制御内容(以下、単に制御態様という)を対応づけて記憶する。より詳細に移動パターンを記憶するため、1つの車載装置200が制御されてから次の車載装置200が制御されるまでの相対的な経過時間t1、t2を記憶することが好ましい。例えば、図1では位置P0でエンジン停止してから位置P1で施錠されるまでの経過時間t1、及び、位置P1で施錠されてから位置P2でセキュリティ機能がオンになるまでの経過時間t2、を移動パターンが含むようにして記憶される。
【0020】
そして、乗車時に運転者が自宅から車両11に移動する際、運転者は同じ経路を逆向きに移動するため例えば位置Q0〜Q7で運転者の位置が検出される。位置Q0〜Q7の軌跡は降車時と同じであるため、同じ移動パターンが検出されることになる。本実施例の車両制御装置100は、降車時の移動パターンと同じ移動パターンが乗車時に検出された場合、移動パターンに対応づけられている制御態様で車載装置200を制御する。図1では、位置Q5でセキュリティ機能がオフになり、位置Q6で解錠され、位置Q7でエンジンがスタートされる。なお、記憶された移動パターンが単に一致するだけでなく、経過時間t1及びt2まで一致する場合に車載装置200を制御するようにすれば、制御開始条件を厳格化できる。
【0021】
したがって、本実施例では、運転者の移動パターンが車載装置200の制御コマンドとして作用し、運転者は特別な操作なく又は最低限の操作で車載装置200を制御することができる。図1のQ5〜Q7以外にも乗車時に必要又は好ましい制御態様を位置Q0〜Q7に対応づけておけば、運転者は車両11に接近するだけで、好ましい操作環境で車両11の運転を開始することができる。また、図1の例では移動パターンが一致しなければ解錠等もできないので、第三者がスマートキー(登録商標)を携帯して車両11に接近しても解錠できず車両11のセキュリティを格段に向上できる。
【0022】
図2は、車両制御装置100を用いた車両制御システム50の概略構成図を示す。車両11の車両制御装置100と運転者が携帯する携帯端末14とは、基地局12及びネットワーク15を介して相互に通信する。ネットワーク15は、公衆電話交換網(PSTN)や光ファイバ等の有線、及び、携帯電話網、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN網又はWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線にて構成される。携帯端末14と車両制御装置100間の通信は、PPPプロトコル(Point・to・Point・Protocol)に従うものでありPPPプロトコルによりこれらの間でデータリンクを確立し、上位層であるTCP/IPプロトコル(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、TCP/IPと上位互換であるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)を実現する。すなわち、ネットワーク15はインターネットやWAN(Wide Area Network)を構成して、データ(位置情報)の送受信を可能とするものである。
【0023】
携帯端末14は、携帯電話、PHS、PDA(Personal Data Assistance)、PC(パーソナルコンピュータ)等、通信機能を備えたコンピュータであればよい。携帯端末14は後述する車両11と同様の方法でGPSにより位置情報を検出している。
【0024】
なお、移動パターンを車両11でなくサーバ13に記憶してもよい。この場合、サーバ13は携帯端末14から位置情報を受信し、記憶された移動パターンに一致する移動パターンが検出されると、移動パターンに対応づけられた制御態様の制御コマンドを車両11に送信する。したがって、車両11が移動パターンを記憶する場合と同様に、車両11の車載装置200を制御することができる。
【0025】
図3は、車両制御装置100のブロック図の一例を示す。車両制御装置100は制御部21により制御される。制御部21はCAN(Controller Area Network)等の車内LANを介して車載装置200と接続されている。
【0026】
ボディECU(Electronic Control Unit)24は、車両11のドア25の施錠/解錠、車載されたランプ類26の点灯及びワイパー29等を制御するコンピュータである。例えば、ボディECU24はドアロックモータを正転することで複数あるドア25を個別に施錠し、逆転させることで解錠する。また、ボディECU24は、車両外部及び車室内の種々のランプ類(ヘッドライト、フォグランプ、室内灯等)26の点灯、消灯、光量等を制御する。また、ボディECU24は、フロントガラス又はリアガラスのワイパー29をオン・オフ及び作動速度を制御する。
【0027】
ボディECU24は、ドアウィンドウ28の開閉を制御するウィンドウECU27と接続されている。ウィンドウECU27は、各ドア25に内設された開閉モータを開方向に回転駆動してドアウィンドウ28を開放し、また、閉方向に回転駆動してドアウィンドウ28を閉じる。
【0028】
また、エアコンECU31は、車室内を空調するエアコンを制御するコンピュータであり、外気温等を検出して車室内を所定温度及び所定湿度に空調する。セキュリティECU32は、種々の車両11の盗難防止装置を制御するコンピュータで、例えば、駐車中の振動、ドア25の開放、車室内への侵入者等を検出した場合に、警報音を吹鳴したりエンジン始動を禁止したり警備会社に通知したりする。バッテリ管理ECU33はバッテリ残量を検出しバッテリの残量が所定範囲に収まるよう発電又は充電する。例えば、エンジンを始動してもよいし、プラグインハイブリッドや電気自動車であればプラグから充電を許可し、燃料電池車であれば例えばエタノール等から水素を取り出し発電する。また、エンジンECU34は、エンジンをオン・オフし、ターボタイマと同様にエンジン停止後もエンジンオイルや冷却水を循環させて、ターボタイマなしでも適切な冷却制御を実行する。
【0029】
車両制御装置100について説明する。車両制御装置100が有するGPS受信機22は、地球の周りを周回するGPS衛星を補足してGPS衛星からの電波の到達時間に基づき車両11の位置を検出する。GPS測位には単独測位や差動測位などいくつかの種類がある。単独測位及び差動測位のいずれでも、緯度・経度を検出する2D測位、緯度・経度・高度を検出する3D測位が可能であるが、位置の知られている基準局が発信するFM放送の電波を利用してGPS測位の誤差を修正する差動測位では、より高精度に位置を検出できる。他にも測定の種類があるが本実施形態ではどのような方法で測位してもよい。
【0030】
また、通信装置23は、基地局12や無線LANのアクセスポイントに接続し携帯端末14から送信された位置情報を受信する。
【0031】
制御部21は、プログラムを実行するCPU、プログラムを記憶したメモリ、プログラム実行の作業領域となるRAM及びデータを入出力する入出力装置がバスを介して接続されたコンピュータとして構成される。制御部21のCPUがプログラムを実行することで、移動パターン登録部41、パターン比較部42、車両制御部43が実現される。
【0032】
また、制御部21は移動パターンを記憶する移動パターン記憶部44を有する。移動パターン記憶部44は、運転者の時系列の位置情報に制御態様を対応づけて記憶している。
図4は、移動パターン記憶部44に記憶された移動パターン情報の一例を示す。図4では、車両11の駐車位置と共に移動パターンを構成する複数の位置P0〜P7の位置情報が登録されている。また、車載装置200が制御された位置にはその制御態様が登録されていると共に、エンジン停止されてから施錠されるまでの経過時間t1、施錠されてからセキュリティオンされるまでの経過時間t2が登録されている。
【0033】
図3の移動パターン登録部41は図4に示す移動パターンを登録する。例えば、車両11がイグニッションオフされると、移動パターン登録部41はGPS受信機22が検出する位置情報を取得し移動パターン記憶部44に記憶する。移動パターン登録部41は、イグニッションオフから予め定められた所定時間、通信装置23が受信する携帯端末14の位置情報を時系列に取得すると共に、並行して車載装置200の制御を検出する。そして、車載装置200の制御態様を、車載装置200の制御が検出された時刻に最も近い時刻に検出された(受信時刻でもよい)位置情報に対応づけて移動パターン記憶部44に記憶する。経過時間t1,t2は位置情報の検出時刻の差分から算出される。なお、GPS受信機22の検出する位置情報は誤差を含むものであるので、所定数の位置情報を積算平均して1つの位置情報とする。
【0034】
また、自動的に登録するのでなく、運転者が登録開始の操作をした場合に登録終了の操作をするまで移動パターンを登録してもよい。この場合、運転者は所望の駐車位置等でのみ移動パターンを登録することができる。
【0035】
携帯端末14の位置情報を時系列に取得する所定時間は、運転者の移動パターンを取得するために充分な時間、かつ、降車時に車載装置200が制御される時間の少なくとも一部を含む時間である。例えば、セキュリティがオンになるまでを所定時間とすると30秒〜60秒程度であり、30秒〜60秒程度あれば二桁以上の位置情報を取得できる。
【0036】
パターン比較部42は、乗車時の運転者の移動パターンと移動パターン記憶部44に記憶された移動パターンを比較し、乗車時の運転者の移動パターンに一致する移動パターンを移動パターン記憶部44から検索する。車両11の駐車位置は変わっていないので、パターン比較部42はGPS受信機22が検出する駐車位置と一致する駐車位置であって、運転者が車両11に接近してきた際の移動パターンに一致する移動パターンを検索する。一致の程度は、携帯端末14の位置検出精度に起因する程度の誤差が考慮される。
【0037】
そして、車両制御部43は、検索された移動パターンに対応づけられた制御態様で車載装置200を制御する。車両制御部43は位置P2と同程度の位置まで運転者が接近したらセキュリティをオフにし、位置P1と同程度の位置まで運転者が接近したら解錠し、位置P0と同程度の位置まで運転者が接近したらエンジンをスタートする。逆に、位置P2までは接近したが、それ以上車両11に接近しなかった場合、位置P1、P0に対応づけられた制御態様の制御は行わない。したがって、不要な制御を回避できる。なお、最終的に車両11に乗車しなかった場合、それまでに行った車両制御は元に戻る。
【0038】
以上の処理により、運転者は車両11に接近するだけで乗車時に必要な車載装置200が制御される。GPS受信機22は多くの車両11に標準で装備されているし、携帯端末14も位置検出が可能な場合が多いので、本実施例の車両制御装置100はハードウェアの追加を最小限にして実現できる。
【0039】
〔車載装置の制御態様の設定〕
上述したように、移動パターンと車載装置200の制御態様は自動的に移動パターン記憶部44に登録されるが、これにさらに好ましい制御態様を移動パターン登録部41が登録することが好ましい。
【0040】
例えば、車内の気温が所定範囲に入っていない場合、運転者はエアコンを作動させると考えられるので、車内の気温に応じて運転者の接近に伴い自動的にエアコンが作動したら便利である。また、気温が零下以下に下がっていてフロントガラスに霜が降りている場合、運転者はデフォッガをオンにすると考えられるので、気温に応じて運転者の接近に伴い自動的にデフォッガがオンになったら便利である。
【0041】
また、雨天時にはワイパー29を作動させるため、乗車前にワイパー29を作動しておけば乗車時には雨滴が拭われているため視界が確保できワイパー29を作動させる必要もない。また、夜間の場合、運転者はランプ類26を点灯すると考えられるので、運転者の接近に伴い自動的にランプ類26が点灯したら便利である。
【0042】
また、車両11がハイブリッドカー(プラグインハイブリッドカーを含む)、電気自動車若しくは燃料電池車の場合、発進時に充分なバッテリ残量がないとモータ走行ができずエンジンが始動したり充分な加速が得られないなど、快適な運転が困難になるので、運転者の接近に伴い自動的に充電が開始されたら便利である。
【0043】
また、ガソリンや軽油などの燃料の残量が不十分である場合、運転者はいずれガソリンスタンドで給油すると考えられるが乗車時に運転者が燃料メータを確認するとは限らない。このため、予め運転者に燃料の残量が不十分であることや給油時期が近づいていることを知らせておけば、運転者は給油する時間的な余裕をもって乗車できるため便利である。各種オイルの交換時期、タイヤ空気圧、タイヤ交換時期、及び、車検時期に関しても同様である(以下、これらを車両メンテナンス情報という)。
【0044】
移動パターン登録部41は、このような運転者に好ましい車載装置200の制御態様を自動的に移動パターン記憶部44に登録する。制御態様を登録する位置は、それぞれの車載装置200の機能を考慮して予め定められている。例えば、バッテリの充電の場合、充電時間を長く確保すべきであるし、ランプ類26の点灯は車両11に接近してからで充分であると考えられる。したがって、例えば図1の位置Q0〜Q7を例にすれば次のように車載装置200の制御態様を移動パターン記憶部44に登録する。
位置Q3:エアコン作動
位置Q6;ワイパー作動
位置Q0:充電開始、車両メンテナンス情報の送信
位置Q7:ランプ類26の点灯
【0045】
〔運転者による車載装置の制御態様の設定〕
自動的に車載装置200の制御態様が設定されても、運転者が嗜好に合わせ車載装置200の制御態様を設定したい場合がある。例えば、運転者によっては所定のラジオ番組を聞きたい場合があるし、ウィンドウを空けた状態で車両11を運転したい場合があるし、電動ルーフを備えた車両11ではルーフを開いた状態で走行したい場合がある。
【0046】
運転者はこのような嗜好性の高い車載装置200の制御態様を、ナビゲーション装置のディスプレイや携帯端末14から設定できる。図5は、携帯端末14の表示部に表示された制御態様設定画面の一例を示す図である。図5の画面は、運転者が所定のアプリケーションを起動するか、例えばサーバ13に接続して受信したHTMLファイルをブラウザで解釈することで表示される。
【0047】
運転者は制御態様選択ボタン51のいずれかを選択し、その制御態様を車両11に対しどの位置で実行するかを相対距離バー52で選択する。相対距離バー52は8段階にメモリが設けられており、指示部55をポインティングデバイス54で移動できるようになっている。1つの制御態様について指示部55を調整した後、送信ボタン53をポインティングデバイス54で操作することで制御態様を1つずつ車両11に送信することができる。
【0048】
車両11の移動パターン登録部41は、携帯端末14から送信された制御態様を受信し、現在の駐車位置における移動パターンが含む位置情報に対応づけて制御態様を登録する。また、次回以降の駐車時には、運転者が携帯端末14により設定しなくても自動的に移動パターンに登録する。
【0049】
なお、図5と同様の制御態様設定画面から運転者は移動パターン記憶部44に登録された車載装置200の制御態様を削除することもできる。この場合、運転者は移動パターン記憶部44に登録されている車載装置200の制御態様を受信して、制御を所望しない制御態様を削除すればよい。
【0050】
図6は、自動及び運転者の操作により設定され移動パターン記憶部44に記憶された移動パターン情報の一例を示す。運転者により又は自動的に登録された結果、位置P0にはエンジン始動及びルーフオープンの制御態様が、位置P1には解錠及びウィンドウオープンの制御態様が、位置P2にはセキュリティオフの制御態様が、位置P3にはエアコン始動の制御態様が、位置P5にはメンテナンス情報送信の制御態様が、位置P6には充電開始の制御態様が、それぞれ登録される。
【0051】
〔降車時の移動パターンの登録〕
図7は、降車時に移動パターン登録部41が移動パターンを登録する手順を示すフローチャート図である。図7のフローチャート図は例えば運転者が移動パターンの登録開始の操作をするとスタートする。
【0052】
イグニッションがオフになると(S10のYes)、移動パターン登録部41は運転者の行動に基づき操作される車載装置200の制御態様の記憶を開始する(S20)。エンジン停止、施錠及びセキュリティオンが順に検出された場合、これを時系列にして記憶していく。
【0053】
そして、移動パターン登録部41は、携帯端末14から位置情報が受信されるか否かを判定し(S30)、車載装置200が作動した時に受信した位置情報にその制御態様を対応づけて移動パターン記憶部44に記憶する(S40)。したがって、移動パターン記憶部44には時系列に位置情報及び制御態様が記憶される。
【0054】
移動パターン登録部41は所定時間が経過するまでステップS30、S40を繰り返す(S50)。そして、所定時間が経過すると、自動的に登録すべき移動パターンにより移動パターン記憶部44に記憶された移動パターンを編集する(S60)。以上により、図4又は図6のような移動パターン情報を記憶することができる。
【0055】
〔乗車時の車載装置の制御〕
図8は、乗車時に移動パターン情報に基づき車両制御部43が車載装置200を制御する手順を示すフローチャート図である。図8のフローチャート図は例えば運転者が携帯端末14を操作して、車載装置200の制御を開始するコマンドを車両11に送信するとスタートする。これにより、車両11に乗車する予定はないのに車両11に接近した場合に車載装置200が制御されることを防止できる。
【0056】
なお、毎朝の通勤など車両11に乗車することが明らかな時間帯に車両11に接近する場合や、毎日のように駐車している駐車位置に駐車している車両11に接近する場合等では、運転者が携帯端末14を操作することなく車載装置200の制御を開始してもよい。車両制御部43は運転者の行動を学習し、車載装置200に学習結果を反映さえる。
【0057】
駐車中、車両11の通信装置23はサイクル時間毎に携帯端末14から位置情報を受信する(S110)。そして、制御部21は位置情報に基づき運転者が接近しているか否かを判定する(S120)。接近しているか否かは、例えば移動パターン情報に登録された最も遠い位置と同程度の位置まで接近したかにより判定する。
【0058】
運転者が接近したと判定された場合(S120のYes)、パターン比較部42は移動パターン情報に登録された位置に運転者が存在する否かを判定する(S130)。移動パターン情報に登録された位置と同程度の位置に存在することに加えて、移動の経路が一致する場合に、移動パターン情報に登録された位置に接近したと判定する。これにより、車両11のセキュリティが向上する。
【0059】
移動パターン記憶部44に記憶された位置に運転者が存在すると判定された場合(S130のYes)、車両制御部43は当該位置に登録された車載装置200を制御する(S140)。なお、ランプ類26等は夜間でなければ点灯されないし、ワイパー29は雨滴検出センサにより降雨が検出されなければ作動されない。
【0060】
車両制御部43は、移動パターン記憶部44に記憶された全ての位置情報に対応づけられた制御態様が終了するまでステップS130、S140の処理を繰り返す。
【0061】
以上のように、本実施例の車両制御装置100によれば、運転者は車両11に接近する際の移動パターンを制御コマンドにして乗車時に必要な車載装置200を制御することができる。携帯端末14を第三者が携帯して車両11に接近しても移動パターンが一致しないと乗車できないのでセキュリティを向上させることができる。
【実施例2】
【0062】
実施例1では乗車時の車両制御について説明したが、同様の車両制御を降車時にも実行することができる。
【0063】
図9は、本実施例の車両制御装置100による制御手順の概略を示す図である。降車時に車載装置200を制御する場合、車両制御装置100は実施例1とは逆に乗車時の移動パターンを記憶する。例えば、自宅から駐車場の車両11に向かう場合、自宅から駐車位置に至る経路上の位置P0〜P7で運転者の位置が検出される。そして、車両11に乗車する位置P7で運転者は解錠しまたこれに伴いセキュリティをオフにする。また、車両11に乗車した場合エンジンをスタートする。車両制御装置100は、位置P7の位置情報にこれらの制御態様を対応づけて記憶する。なお、運転者が携帯端末14から車載装置200をリモート制御する場合は、リモート制御した位置の位置情報に制御態様を対応づけて記憶することができる。
【0064】
そして、降車時に運転者が車両11から自宅に移動する際、運転者は同じ経路を逆向きに移動するため位置Q0〜Q7で運転者の位置が検出される。すなわち、同じ移動パターンが検出されることになる。本実施例の車両制御装置100は、乗車時と同じ移動パターンが降車時に検出された場合、移動パターンが含む制御態様で車載装置200を制御する。
【0065】
ところで、リモート制御を除き乗車時の行動は車両11に到達した位置P7で実行される場合が多いので、乗車時の移動パターンと逆向きの時系列で車載装置200を制御すると位置Q0で全ての制御態様を実行することになる。このため、降車時の車載装置200の制御は、位置P7における車両11の制御を位置P0〜P7の移動パターンに分散して登録することが好ましい。例えば図9では、運転者が位置Q0に至るとエンジン停止、位置Q1に至ると施錠され、位置Q2に至るとセキュリティがオンされる。
【0066】
このように本実施例では、降車時の運転者の移動パターンが車載装置200の制御コマンドとして作用し、運転者は特別な操作なく又は最低限の操作で車載装置200を制御することができる。
【0067】
また、実施例1と同様に、移動パターン登録部41が自動的に車載装置200の制御態様を設定することができるし、運転者が所望の車載装置200の制御態様を移動パターン記憶部44に記憶させることができる。
【0068】
例えば、車両11が停止した直後はエンジン等が高温であるため、しばらく冷却水やエンジンオイルを循環させてエンジンを冷却することが好ましいが、エンジンを停止すると循環ポンプも停止してしまう。このため、車両11によってはターボタイマを備え、エンジン停止後も所定時間循環ポンプが作動するようになっている。本実施例の車両制御装置100では、降車時の移動パターンに循環ポンプの作動を登録しておくことで、ターボタイマが装備されていない車両11でも、エンジン停止後にエンジンを冷却することができるようになる。
【0069】
図10は、移動パターン記憶部44に記憶された移動パターンの一例を示す。車両11の駐車位置と共に移動パターンを構成する複数の位置P7〜P0の位置情報が登録されている。また、車載装置200が制御された位置又は適切に分散された位置に制御態様が登録されている。位置P7にはエンジン停止及びランプ類26のオフの制御態様が、位置P6には解錠の制御態様が、位置P5にはセキュリティオンの制御態様が、位置P0には循環ポンプオフ及び充電停止の制御態様が、それぞれ登録されている。
【0070】
パターン比較部42は、降車時の運転者の移動パターンに一致する移動パターンを移動パターン記憶部44から検索する。本実施例では、駐車位置が一致しなければその後の移動パターンも一致しないので、まず駐車位置が一致する移動パターンを検索すればよい。駐車位置が一致する場合、運転者が車両11から降車する際の移動パターンに一致する移動パターンを検索する。一致の程度は、携帯端末14の位置検出精度に起因する程度の誤差が考慮される。
【0071】
そして、車両制御部43は、検索された移動パターンが含む制御態様で車載装置200を制御する。例えば、車両制御部43は運転者が位置Q0で検出されたらエンジンを停止しまたライトをオフにし、位置Q1では施錠し、位置Q2ではセキュリティをオフにし、位置Q7では循環ポンプをオフにしまた充電を停止する。なお、移動パターンが途中で一致しなくなったら以降の制御は実行しないが、バッテリ上がりなどを防止する観点から、以降は各車載装置200の制御終了判定基準に従い車載装置200が独自に停止する。
【0072】
以上の処理により、運転者が車両11から離れるだけで降車時に車載装置200を適切に制御することができる。
【0073】
〔乗車時の移動パターンの登録〕
図11は、乗車時に移動パターン登録部41が移動パターンを登録する手順を示すフローチャート図である。図11のフローチャート図は例えば運転者が移動パターンの登録開始操作を携帯端末14から送信するとスタートする。
【0074】
車両制御装置100は所定のサイクル時間毎に運転者の位置情報を受信し(S210)、移動パターン登録部41は運転者が車両11に到達したか否かを判定する(S220)。運転者が車両11に到達する前後で、運転者は解錠したりセキュリティをオフにするので、移動パターン登録部41は到達前後の所定時間に操作された車載装置200の操作を記憶する(S230)。所定時間は、例えば移動が検出されてから車速が所定以上になるまでの時間である。
【0075】
ついで、移動パターン登録部41は、車載装置200の操作が検出された時刻に最も近い時刻に受信した位置情報に対応づけて、その制御態様を移動パターン記憶部44に記憶する(S240)。なお、上述したように適切に位置を分散して制御態様を登録する。したがって、移動パターン記憶部44には時系列に位置情報及び制御態様が記憶される。
【0076】
〔降車時の車載装置の制御〕
図12は、降車時に移動パターン情報に基づき車両制御部43が車載装置200を制御する手順を示すフローチャート図である。図12のフローチャート図は例えば車両11が停止してハンドブレーキが操作されるとスタートする。運転者が車両11に設けられた所定の操作ボタンを操作することでスタートしてもよい。
【0077】
パターン比較部42は、車両11の現在の駐車位置が移動パターン情報に登録された駐車位置と一致するか否かを判定する(S111)。駐車位置が一致しない場合(S111のYes)、そのまま図12の処理は終了する。
【0078】
駐車位置が一致する場合(S111のNo)、サイクル時間毎に携帯端末14から受信する位置情報に基づき(S112)、パターン比較部42は運転者が移動パターン情報に登録された位置にいるか否かを判定する(S130)。なお、車両11の車室内や周辺ではネットワーク15を介さずにブルートゥースなどにより直接通信することができる。移動パターン情報に登録された位置と同程度の位置に存在することに加えて、移動の経路が一致する場合に、移動パターン情報に登録された位置に接近したと判定する。
【0079】
移動パターン情報に登録された位置に運転者が接近したと判定された場合(S130のYes)、車両制御部43は当該位置に登録された制御態様で車載装置200を制御する(S140)。車両制御部43は、移動パターン情報に登録された全ての位置情報に対応づけられた制御態様が終了するまでステップS130、S140の処理を繰り返す。
【0080】
以上のように、本実施例の車両制御装置100によれば、運転者は車両11から離れる際の移動パターンを制御コマンドにして降車時に適切な制御態様で車載装置200を制御することができる。
【実施例3】
【0081】
実施例1のように降車時に移動パターンを登録すると、実施例2のように降車時に車載装置200を制御することは困難になり、実施例2のように乗車時に移動パターンを登録すると、実施例1のように乗車時に車載装置200を制御することは困難になる。しかしながら、毎日の通勤などでは移動パターンや車載装置200の制御態様はそれほど大きく変更しなくてもよい。
【0082】
したがって、いったん、乗車時の移動パターン情報及び降車時の移動パターン情報を登録しておけば、乗車時及び降車時のいずれの場合も、乗車時及び降車時の移動パターンに従い車載装置200を制御することができる。これにより、運転者は車両11に接近する際の移動パターンを制御コマンドにして乗車時に適切な制御態様で車載装置200を制御することができ、かつ、車両11から離れる際の移動パターンを制御コマンドにして降車時に適切な制御態様で車載装置200を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】車両制御装置による制御手順の概略を示す図である。
【図2】車両制御装置を用いた車両制御システムの概略構成図の一例である。
【図3】車両制御装置のブロック図の一例である。
【図4】移動パターン記憶部に記憶された移動パターン情報の一例を示す図である。
【図5】携帯端末の表示部に表示された制御態様設定画面の一例を示す図である。
【図6】自動及び運転者の操作により設定され移動パターン記憶部に記憶された移動パターン情報の一例を示す図である。
【図7】降車時に移動パターン登録部が移動パターンを登録する手順を示すフローチャート図である。
【図8】乗車時に移動パターン情報に基づき車両制御部が車載装置を制御する手順を示すフローチャート図である。
【図9】車両制御装置による制御手順の概略を示す図である(実施例2)。
【図10】移動パターン記憶部に記憶された移動パターン情報の一例を示す図である(実施例2)。
【図11】乗車時に移動パターン登録部が移動パターンを登録する手順を示すフローチャート図である。
【図12】降車時に移動パターン情報に基づき車両制御部が車載装置を制御する手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0084】
11 車両
13 サーバ
14 携帯端末
21 制御部
41 移動パターン登録部
42 パターン比較部
43 車両制御部
44 移動パターン記憶部
100 車両制御装置
200 車載装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置を制御する車両制御装置に関し、特に、ユーザの位置情報を用いて車載装置を制御する車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の利便性を向上させるべく、車両のユーザの行動履歴を記憶しておき、行動履歴に基づきユーザの行動を予測し、予測した行動に適切な車載装置を制御する車両用予測制御装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、ドア錠の解錠履歴を日時と対応づけて記録しておき、頻繁に解錠される時間帯には短い送信周期でリクエスト信号を送信する制御方法が記載されている。
【特許文献1】特開2006−144365公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の車両用予測制御装置のように、車両における行動のみを曜日や時刻に対応づけて記録すると、記録した曜日や時刻に近い時間帯に行動しないと、車載装置が制御されないという問題がある。すなわち、車両に対する行動と曜日や時刻等を記録したのみでは、運転者の行動を予測するには十分でない。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑み、運転者の行動を精度よく予測して適切に車載装置を制御する車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑み、本発明は、車載装置を制御する車両制御装置において、車両外における車両のユーザの複数の位置情報を記憶した位置情報記憶手段と、ユーザの位置情報を受信する受信手段と、受信手段が受信した位置情報と、位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致するか否かを比較する比較手段と、比較手段により略一致すると判定された、位置情報記憶手段に記憶された位置情報に対応づけられた制御態様に基づき車載装置を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、車両外のユーザの位置により車載装置を制御することができるので、車両に接近する際は自動的にエンジン始動等ができ、車両から離れる際は自動的に施錠等ができるので利便性が向上する。
【0007】
また、本発明の一形態において、比較手段は、受信手段が受信した位置情報Aと位置情報記憶手段に記憶された位置情報とを比較する場合、位置情報Aよりも過去に受信した位置情報Aと異なる位置情報Bが、位置情報記憶手段に記憶された位置情報と略一致する場合であって、かつ、位置情報Aと位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致する場合に、位置情報Aと位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致すると判定する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、過去の位置情報の一致を現在の位置情報の一致条件とするので、運転者の移動の方向に基づき、車載装置を制御することができる。したがって、例えば、ドアをアンロックする場合のセキュリティを向上できる。
【0009】
また、本発明の一形態において、位置情報記憶手段には、降車時に車両から所定地へ移動する際のユーザの位置情報が時系列に記録されており、比較手段は、受信手段が受信した位置情報が、降車時のユーザの移動経路を逆向きに辿る場合に、受信手段が受信した位置情報と、位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致すると判定する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、降車時の移動経路と一致する経路を逆向きに運転者が接近する場合に、車載装置を制御することができ、乗車時に適切な操作環境を運転者に提供できる。
【0011】
また、本発明の一形態において、位置情報記憶手段には、乗車時に車両に向かって移動する際のユーザの位置情報が時系列に記録されており、比較手段は、受信手段が受信した位置情報が、乗車時のユーザの移動経路を逆向きに辿る場合に、受信手段が受信した位置情報と、位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致すると判定する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、乗車時の移動経路と一致する経路を逆向きに運転者が移動する場合に、車載装置を制御することができ、降車時に適切な制御を自動で実行できる。
る。
【0013】
また、本発明の一形態において、位置情報に対応づけて位置情報記憶手段に記憶された制御態様は、ドアロック解除若しくは施錠、エンジン始動若しくは停止又はセキュリティオフ若しくはオンの少なくともいずれかである、ことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、車両に接近するか車両から離れるだけで、ドアロックの解錠等が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
運転者の行動を精度よく予測して適切に車載装置を制御する車両制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本実施例の車両制御装置100による制御手順の概略を示す図である。車両制御装置100は、例えば、車両の駐車時に運転者の位置情報を時系列に記憶していく(位置情報を時系列に記録した情報を移動パターンという)。運転者の位置は運転者が携帯する携帯端末14のGPS(Global Positioning System)受信機により検出され車両11に送信される。図1では、車両11の駐車位置から自宅に至る経路上の位置P0〜P7の位置情報が送信され、車両制御装置100に記憶される。
【0018】
また、降車時に車両11は自動又は運転者の操作により所定の手順で車載装置200を制御する。例えば、降車直前の位置P0ではエンジンを停止し、スマートキー(登録商標)の検知エリアを超えた位置P1では施錠され、さらに所定時間が経過した位置P2ではセキュリティ機能がオンとなる。
【0019】
車両制御装置100は、位置P0〜P7の位置情報に車載装置200及びその制御内容(以下、単に制御態様という)を対応づけて記憶する。より詳細に移動パターンを記憶するため、1つの車載装置200が制御されてから次の車載装置200が制御されるまでの相対的な経過時間t1、t2を記憶することが好ましい。例えば、図1では位置P0でエンジン停止してから位置P1で施錠されるまでの経過時間t1、及び、位置P1で施錠されてから位置P2でセキュリティ機能がオンになるまでの経過時間t2、を移動パターンが含むようにして記憶される。
【0020】
そして、乗車時に運転者が自宅から車両11に移動する際、運転者は同じ経路を逆向きに移動するため例えば位置Q0〜Q7で運転者の位置が検出される。位置Q0〜Q7の軌跡は降車時と同じであるため、同じ移動パターンが検出されることになる。本実施例の車両制御装置100は、降車時の移動パターンと同じ移動パターンが乗車時に検出された場合、移動パターンに対応づけられている制御態様で車載装置200を制御する。図1では、位置Q5でセキュリティ機能がオフになり、位置Q6で解錠され、位置Q7でエンジンがスタートされる。なお、記憶された移動パターンが単に一致するだけでなく、経過時間t1及びt2まで一致する場合に車載装置200を制御するようにすれば、制御開始条件を厳格化できる。
【0021】
したがって、本実施例では、運転者の移動パターンが車載装置200の制御コマンドとして作用し、運転者は特別な操作なく又は最低限の操作で車載装置200を制御することができる。図1のQ5〜Q7以外にも乗車時に必要又は好ましい制御態様を位置Q0〜Q7に対応づけておけば、運転者は車両11に接近するだけで、好ましい操作環境で車両11の運転を開始することができる。また、図1の例では移動パターンが一致しなければ解錠等もできないので、第三者がスマートキー(登録商標)を携帯して車両11に接近しても解錠できず車両11のセキュリティを格段に向上できる。
【0022】
図2は、車両制御装置100を用いた車両制御システム50の概略構成図を示す。車両11の車両制御装置100と運転者が携帯する携帯端末14とは、基地局12及びネットワーク15を介して相互に通信する。ネットワーク15は、公衆電話交換網(PSTN)や光ファイバ等の有線、及び、携帯電話網、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN網又はWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線にて構成される。携帯端末14と車両制御装置100間の通信は、PPPプロトコル(Point・to・Point・Protocol)に従うものでありPPPプロトコルによりこれらの間でデータリンクを確立し、上位層であるTCP/IPプロトコル(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、TCP/IPと上位互換であるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)を実現する。すなわち、ネットワーク15はインターネットやWAN(Wide Area Network)を構成して、データ(位置情報)の送受信を可能とするものである。
【0023】
携帯端末14は、携帯電話、PHS、PDA(Personal Data Assistance)、PC(パーソナルコンピュータ)等、通信機能を備えたコンピュータであればよい。携帯端末14は後述する車両11と同様の方法でGPSにより位置情報を検出している。
【0024】
なお、移動パターンを車両11でなくサーバ13に記憶してもよい。この場合、サーバ13は携帯端末14から位置情報を受信し、記憶された移動パターンに一致する移動パターンが検出されると、移動パターンに対応づけられた制御態様の制御コマンドを車両11に送信する。したがって、車両11が移動パターンを記憶する場合と同様に、車両11の車載装置200を制御することができる。
【0025】
図3は、車両制御装置100のブロック図の一例を示す。車両制御装置100は制御部21により制御される。制御部21はCAN(Controller Area Network)等の車内LANを介して車載装置200と接続されている。
【0026】
ボディECU(Electronic Control Unit)24は、車両11のドア25の施錠/解錠、車載されたランプ類26の点灯及びワイパー29等を制御するコンピュータである。例えば、ボディECU24はドアロックモータを正転することで複数あるドア25を個別に施錠し、逆転させることで解錠する。また、ボディECU24は、車両外部及び車室内の種々のランプ類(ヘッドライト、フォグランプ、室内灯等)26の点灯、消灯、光量等を制御する。また、ボディECU24は、フロントガラス又はリアガラスのワイパー29をオン・オフ及び作動速度を制御する。
【0027】
ボディECU24は、ドアウィンドウ28の開閉を制御するウィンドウECU27と接続されている。ウィンドウECU27は、各ドア25に内設された開閉モータを開方向に回転駆動してドアウィンドウ28を開放し、また、閉方向に回転駆動してドアウィンドウ28を閉じる。
【0028】
また、エアコンECU31は、車室内を空調するエアコンを制御するコンピュータであり、外気温等を検出して車室内を所定温度及び所定湿度に空調する。セキュリティECU32は、種々の車両11の盗難防止装置を制御するコンピュータで、例えば、駐車中の振動、ドア25の開放、車室内への侵入者等を検出した場合に、警報音を吹鳴したりエンジン始動を禁止したり警備会社に通知したりする。バッテリ管理ECU33はバッテリ残量を検出しバッテリの残量が所定範囲に収まるよう発電又は充電する。例えば、エンジンを始動してもよいし、プラグインハイブリッドや電気自動車であればプラグから充電を許可し、燃料電池車であれば例えばエタノール等から水素を取り出し発電する。また、エンジンECU34は、エンジンをオン・オフし、ターボタイマと同様にエンジン停止後もエンジンオイルや冷却水を循環させて、ターボタイマなしでも適切な冷却制御を実行する。
【0029】
車両制御装置100について説明する。車両制御装置100が有するGPS受信機22は、地球の周りを周回するGPS衛星を補足してGPS衛星からの電波の到達時間に基づき車両11の位置を検出する。GPS測位には単独測位や差動測位などいくつかの種類がある。単独測位及び差動測位のいずれでも、緯度・経度を検出する2D測位、緯度・経度・高度を検出する3D測位が可能であるが、位置の知られている基準局が発信するFM放送の電波を利用してGPS測位の誤差を修正する差動測位では、より高精度に位置を検出できる。他にも測定の種類があるが本実施形態ではどのような方法で測位してもよい。
【0030】
また、通信装置23は、基地局12や無線LANのアクセスポイントに接続し携帯端末14から送信された位置情報を受信する。
【0031】
制御部21は、プログラムを実行するCPU、プログラムを記憶したメモリ、プログラム実行の作業領域となるRAM及びデータを入出力する入出力装置がバスを介して接続されたコンピュータとして構成される。制御部21のCPUがプログラムを実行することで、移動パターン登録部41、パターン比較部42、車両制御部43が実現される。
【0032】
また、制御部21は移動パターンを記憶する移動パターン記憶部44を有する。移動パターン記憶部44は、運転者の時系列の位置情報に制御態様を対応づけて記憶している。
図4は、移動パターン記憶部44に記憶された移動パターン情報の一例を示す。図4では、車両11の駐車位置と共に移動パターンを構成する複数の位置P0〜P7の位置情報が登録されている。また、車載装置200が制御された位置にはその制御態様が登録されていると共に、エンジン停止されてから施錠されるまでの経過時間t1、施錠されてからセキュリティオンされるまでの経過時間t2が登録されている。
【0033】
図3の移動パターン登録部41は図4に示す移動パターンを登録する。例えば、車両11がイグニッションオフされると、移動パターン登録部41はGPS受信機22が検出する位置情報を取得し移動パターン記憶部44に記憶する。移動パターン登録部41は、イグニッションオフから予め定められた所定時間、通信装置23が受信する携帯端末14の位置情報を時系列に取得すると共に、並行して車載装置200の制御を検出する。そして、車載装置200の制御態様を、車載装置200の制御が検出された時刻に最も近い時刻に検出された(受信時刻でもよい)位置情報に対応づけて移動パターン記憶部44に記憶する。経過時間t1,t2は位置情報の検出時刻の差分から算出される。なお、GPS受信機22の検出する位置情報は誤差を含むものであるので、所定数の位置情報を積算平均して1つの位置情報とする。
【0034】
また、自動的に登録するのでなく、運転者が登録開始の操作をした場合に登録終了の操作をするまで移動パターンを登録してもよい。この場合、運転者は所望の駐車位置等でのみ移動パターンを登録することができる。
【0035】
携帯端末14の位置情報を時系列に取得する所定時間は、運転者の移動パターンを取得するために充分な時間、かつ、降車時に車載装置200が制御される時間の少なくとも一部を含む時間である。例えば、セキュリティがオンになるまでを所定時間とすると30秒〜60秒程度であり、30秒〜60秒程度あれば二桁以上の位置情報を取得できる。
【0036】
パターン比較部42は、乗車時の運転者の移動パターンと移動パターン記憶部44に記憶された移動パターンを比較し、乗車時の運転者の移動パターンに一致する移動パターンを移動パターン記憶部44から検索する。車両11の駐車位置は変わっていないので、パターン比較部42はGPS受信機22が検出する駐車位置と一致する駐車位置であって、運転者が車両11に接近してきた際の移動パターンに一致する移動パターンを検索する。一致の程度は、携帯端末14の位置検出精度に起因する程度の誤差が考慮される。
【0037】
そして、車両制御部43は、検索された移動パターンに対応づけられた制御態様で車載装置200を制御する。車両制御部43は位置P2と同程度の位置まで運転者が接近したらセキュリティをオフにし、位置P1と同程度の位置まで運転者が接近したら解錠し、位置P0と同程度の位置まで運転者が接近したらエンジンをスタートする。逆に、位置P2までは接近したが、それ以上車両11に接近しなかった場合、位置P1、P0に対応づけられた制御態様の制御は行わない。したがって、不要な制御を回避できる。なお、最終的に車両11に乗車しなかった場合、それまでに行った車両制御は元に戻る。
【0038】
以上の処理により、運転者は車両11に接近するだけで乗車時に必要な車載装置200が制御される。GPS受信機22は多くの車両11に標準で装備されているし、携帯端末14も位置検出が可能な場合が多いので、本実施例の車両制御装置100はハードウェアの追加を最小限にして実現できる。
【0039】
〔車載装置の制御態様の設定〕
上述したように、移動パターンと車載装置200の制御態様は自動的に移動パターン記憶部44に登録されるが、これにさらに好ましい制御態様を移動パターン登録部41が登録することが好ましい。
【0040】
例えば、車内の気温が所定範囲に入っていない場合、運転者はエアコンを作動させると考えられるので、車内の気温に応じて運転者の接近に伴い自動的にエアコンが作動したら便利である。また、気温が零下以下に下がっていてフロントガラスに霜が降りている場合、運転者はデフォッガをオンにすると考えられるので、気温に応じて運転者の接近に伴い自動的にデフォッガがオンになったら便利である。
【0041】
また、雨天時にはワイパー29を作動させるため、乗車前にワイパー29を作動しておけば乗車時には雨滴が拭われているため視界が確保できワイパー29を作動させる必要もない。また、夜間の場合、運転者はランプ類26を点灯すると考えられるので、運転者の接近に伴い自動的にランプ類26が点灯したら便利である。
【0042】
また、車両11がハイブリッドカー(プラグインハイブリッドカーを含む)、電気自動車若しくは燃料電池車の場合、発進時に充分なバッテリ残量がないとモータ走行ができずエンジンが始動したり充分な加速が得られないなど、快適な運転が困難になるので、運転者の接近に伴い自動的に充電が開始されたら便利である。
【0043】
また、ガソリンや軽油などの燃料の残量が不十分である場合、運転者はいずれガソリンスタンドで給油すると考えられるが乗車時に運転者が燃料メータを確認するとは限らない。このため、予め運転者に燃料の残量が不十分であることや給油時期が近づいていることを知らせておけば、運転者は給油する時間的な余裕をもって乗車できるため便利である。各種オイルの交換時期、タイヤ空気圧、タイヤ交換時期、及び、車検時期に関しても同様である(以下、これらを車両メンテナンス情報という)。
【0044】
移動パターン登録部41は、このような運転者に好ましい車載装置200の制御態様を自動的に移動パターン記憶部44に登録する。制御態様を登録する位置は、それぞれの車載装置200の機能を考慮して予め定められている。例えば、バッテリの充電の場合、充電時間を長く確保すべきであるし、ランプ類26の点灯は車両11に接近してからで充分であると考えられる。したがって、例えば図1の位置Q0〜Q7を例にすれば次のように車載装置200の制御態様を移動パターン記憶部44に登録する。
位置Q3:エアコン作動
位置Q6;ワイパー作動
位置Q0:充電開始、車両メンテナンス情報の送信
位置Q7:ランプ類26の点灯
【0045】
〔運転者による車載装置の制御態様の設定〕
自動的に車載装置200の制御態様が設定されても、運転者が嗜好に合わせ車載装置200の制御態様を設定したい場合がある。例えば、運転者によっては所定のラジオ番組を聞きたい場合があるし、ウィンドウを空けた状態で車両11を運転したい場合があるし、電動ルーフを備えた車両11ではルーフを開いた状態で走行したい場合がある。
【0046】
運転者はこのような嗜好性の高い車載装置200の制御態様を、ナビゲーション装置のディスプレイや携帯端末14から設定できる。図5は、携帯端末14の表示部に表示された制御態様設定画面の一例を示す図である。図5の画面は、運転者が所定のアプリケーションを起動するか、例えばサーバ13に接続して受信したHTMLファイルをブラウザで解釈することで表示される。
【0047】
運転者は制御態様選択ボタン51のいずれかを選択し、その制御態様を車両11に対しどの位置で実行するかを相対距離バー52で選択する。相対距離バー52は8段階にメモリが設けられており、指示部55をポインティングデバイス54で移動できるようになっている。1つの制御態様について指示部55を調整した後、送信ボタン53をポインティングデバイス54で操作することで制御態様を1つずつ車両11に送信することができる。
【0048】
車両11の移動パターン登録部41は、携帯端末14から送信された制御態様を受信し、現在の駐車位置における移動パターンが含む位置情報に対応づけて制御態様を登録する。また、次回以降の駐車時には、運転者が携帯端末14により設定しなくても自動的に移動パターンに登録する。
【0049】
なお、図5と同様の制御態様設定画面から運転者は移動パターン記憶部44に登録された車載装置200の制御態様を削除することもできる。この場合、運転者は移動パターン記憶部44に登録されている車載装置200の制御態様を受信して、制御を所望しない制御態様を削除すればよい。
【0050】
図6は、自動及び運転者の操作により設定され移動パターン記憶部44に記憶された移動パターン情報の一例を示す。運転者により又は自動的に登録された結果、位置P0にはエンジン始動及びルーフオープンの制御態様が、位置P1には解錠及びウィンドウオープンの制御態様が、位置P2にはセキュリティオフの制御態様が、位置P3にはエアコン始動の制御態様が、位置P5にはメンテナンス情報送信の制御態様が、位置P6には充電開始の制御態様が、それぞれ登録される。
【0051】
〔降車時の移動パターンの登録〕
図7は、降車時に移動パターン登録部41が移動パターンを登録する手順を示すフローチャート図である。図7のフローチャート図は例えば運転者が移動パターンの登録開始の操作をするとスタートする。
【0052】
イグニッションがオフになると(S10のYes)、移動パターン登録部41は運転者の行動に基づき操作される車載装置200の制御態様の記憶を開始する(S20)。エンジン停止、施錠及びセキュリティオンが順に検出された場合、これを時系列にして記憶していく。
【0053】
そして、移動パターン登録部41は、携帯端末14から位置情報が受信されるか否かを判定し(S30)、車載装置200が作動した時に受信した位置情報にその制御態様を対応づけて移動パターン記憶部44に記憶する(S40)。したがって、移動パターン記憶部44には時系列に位置情報及び制御態様が記憶される。
【0054】
移動パターン登録部41は所定時間が経過するまでステップS30、S40を繰り返す(S50)。そして、所定時間が経過すると、自動的に登録すべき移動パターンにより移動パターン記憶部44に記憶された移動パターンを編集する(S60)。以上により、図4又は図6のような移動パターン情報を記憶することができる。
【0055】
〔乗車時の車載装置の制御〕
図8は、乗車時に移動パターン情報に基づき車両制御部43が車載装置200を制御する手順を示すフローチャート図である。図8のフローチャート図は例えば運転者が携帯端末14を操作して、車載装置200の制御を開始するコマンドを車両11に送信するとスタートする。これにより、車両11に乗車する予定はないのに車両11に接近した場合に車載装置200が制御されることを防止できる。
【0056】
なお、毎朝の通勤など車両11に乗車することが明らかな時間帯に車両11に接近する場合や、毎日のように駐車している駐車位置に駐車している車両11に接近する場合等では、運転者が携帯端末14を操作することなく車載装置200の制御を開始してもよい。車両制御部43は運転者の行動を学習し、車載装置200に学習結果を反映さえる。
【0057】
駐車中、車両11の通信装置23はサイクル時間毎に携帯端末14から位置情報を受信する(S110)。そして、制御部21は位置情報に基づき運転者が接近しているか否かを判定する(S120)。接近しているか否かは、例えば移動パターン情報に登録された最も遠い位置と同程度の位置まで接近したかにより判定する。
【0058】
運転者が接近したと判定された場合(S120のYes)、パターン比較部42は移動パターン情報に登録された位置に運転者が存在する否かを判定する(S130)。移動パターン情報に登録された位置と同程度の位置に存在することに加えて、移動の経路が一致する場合に、移動パターン情報に登録された位置に接近したと判定する。これにより、車両11のセキュリティが向上する。
【0059】
移動パターン記憶部44に記憶された位置に運転者が存在すると判定された場合(S130のYes)、車両制御部43は当該位置に登録された車載装置200を制御する(S140)。なお、ランプ類26等は夜間でなければ点灯されないし、ワイパー29は雨滴検出センサにより降雨が検出されなければ作動されない。
【0060】
車両制御部43は、移動パターン記憶部44に記憶された全ての位置情報に対応づけられた制御態様が終了するまでステップS130、S140の処理を繰り返す。
【0061】
以上のように、本実施例の車両制御装置100によれば、運転者は車両11に接近する際の移動パターンを制御コマンドにして乗車時に必要な車載装置200を制御することができる。携帯端末14を第三者が携帯して車両11に接近しても移動パターンが一致しないと乗車できないのでセキュリティを向上させることができる。
【実施例2】
【0062】
実施例1では乗車時の車両制御について説明したが、同様の車両制御を降車時にも実行することができる。
【0063】
図9は、本実施例の車両制御装置100による制御手順の概略を示す図である。降車時に車載装置200を制御する場合、車両制御装置100は実施例1とは逆に乗車時の移動パターンを記憶する。例えば、自宅から駐車場の車両11に向かう場合、自宅から駐車位置に至る経路上の位置P0〜P7で運転者の位置が検出される。そして、車両11に乗車する位置P7で運転者は解錠しまたこれに伴いセキュリティをオフにする。また、車両11に乗車した場合エンジンをスタートする。車両制御装置100は、位置P7の位置情報にこれらの制御態様を対応づけて記憶する。なお、運転者が携帯端末14から車載装置200をリモート制御する場合は、リモート制御した位置の位置情報に制御態様を対応づけて記憶することができる。
【0064】
そして、降車時に運転者が車両11から自宅に移動する際、運転者は同じ経路を逆向きに移動するため位置Q0〜Q7で運転者の位置が検出される。すなわち、同じ移動パターンが検出されることになる。本実施例の車両制御装置100は、乗車時と同じ移動パターンが降車時に検出された場合、移動パターンが含む制御態様で車載装置200を制御する。
【0065】
ところで、リモート制御を除き乗車時の行動は車両11に到達した位置P7で実行される場合が多いので、乗車時の移動パターンと逆向きの時系列で車載装置200を制御すると位置Q0で全ての制御態様を実行することになる。このため、降車時の車載装置200の制御は、位置P7における車両11の制御を位置P0〜P7の移動パターンに分散して登録することが好ましい。例えば図9では、運転者が位置Q0に至るとエンジン停止、位置Q1に至ると施錠され、位置Q2に至るとセキュリティがオンされる。
【0066】
このように本実施例では、降車時の運転者の移動パターンが車載装置200の制御コマンドとして作用し、運転者は特別な操作なく又は最低限の操作で車載装置200を制御することができる。
【0067】
また、実施例1と同様に、移動パターン登録部41が自動的に車載装置200の制御態様を設定することができるし、運転者が所望の車載装置200の制御態様を移動パターン記憶部44に記憶させることができる。
【0068】
例えば、車両11が停止した直後はエンジン等が高温であるため、しばらく冷却水やエンジンオイルを循環させてエンジンを冷却することが好ましいが、エンジンを停止すると循環ポンプも停止してしまう。このため、車両11によってはターボタイマを備え、エンジン停止後も所定時間循環ポンプが作動するようになっている。本実施例の車両制御装置100では、降車時の移動パターンに循環ポンプの作動を登録しておくことで、ターボタイマが装備されていない車両11でも、エンジン停止後にエンジンを冷却することができるようになる。
【0069】
図10は、移動パターン記憶部44に記憶された移動パターンの一例を示す。車両11の駐車位置と共に移動パターンを構成する複数の位置P7〜P0の位置情報が登録されている。また、車載装置200が制御された位置又は適切に分散された位置に制御態様が登録されている。位置P7にはエンジン停止及びランプ類26のオフの制御態様が、位置P6には解錠の制御態様が、位置P5にはセキュリティオンの制御態様が、位置P0には循環ポンプオフ及び充電停止の制御態様が、それぞれ登録されている。
【0070】
パターン比較部42は、降車時の運転者の移動パターンに一致する移動パターンを移動パターン記憶部44から検索する。本実施例では、駐車位置が一致しなければその後の移動パターンも一致しないので、まず駐車位置が一致する移動パターンを検索すればよい。駐車位置が一致する場合、運転者が車両11から降車する際の移動パターンに一致する移動パターンを検索する。一致の程度は、携帯端末14の位置検出精度に起因する程度の誤差が考慮される。
【0071】
そして、車両制御部43は、検索された移動パターンが含む制御態様で車載装置200を制御する。例えば、車両制御部43は運転者が位置Q0で検出されたらエンジンを停止しまたライトをオフにし、位置Q1では施錠し、位置Q2ではセキュリティをオフにし、位置Q7では循環ポンプをオフにしまた充電を停止する。なお、移動パターンが途中で一致しなくなったら以降の制御は実行しないが、バッテリ上がりなどを防止する観点から、以降は各車載装置200の制御終了判定基準に従い車載装置200が独自に停止する。
【0072】
以上の処理により、運転者が車両11から離れるだけで降車時に車載装置200を適切に制御することができる。
【0073】
〔乗車時の移動パターンの登録〕
図11は、乗車時に移動パターン登録部41が移動パターンを登録する手順を示すフローチャート図である。図11のフローチャート図は例えば運転者が移動パターンの登録開始操作を携帯端末14から送信するとスタートする。
【0074】
車両制御装置100は所定のサイクル時間毎に運転者の位置情報を受信し(S210)、移動パターン登録部41は運転者が車両11に到達したか否かを判定する(S220)。運転者が車両11に到達する前後で、運転者は解錠したりセキュリティをオフにするので、移動パターン登録部41は到達前後の所定時間に操作された車載装置200の操作を記憶する(S230)。所定時間は、例えば移動が検出されてから車速が所定以上になるまでの時間である。
【0075】
ついで、移動パターン登録部41は、車載装置200の操作が検出された時刻に最も近い時刻に受信した位置情報に対応づけて、その制御態様を移動パターン記憶部44に記憶する(S240)。なお、上述したように適切に位置を分散して制御態様を登録する。したがって、移動パターン記憶部44には時系列に位置情報及び制御態様が記憶される。
【0076】
〔降車時の車載装置の制御〕
図12は、降車時に移動パターン情報に基づき車両制御部43が車載装置200を制御する手順を示すフローチャート図である。図12のフローチャート図は例えば車両11が停止してハンドブレーキが操作されるとスタートする。運転者が車両11に設けられた所定の操作ボタンを操作することでスタートしてもよい。
【0077】
パターン比較部42は、車両11の現在の駐車位置が移動パターン情報に登録された駐車位置と一致するか否かを判定する(S111)。駐車位置が一致しない場合(S111のYes)、そのまま図12の処理は終了する。
【0078】
駐車位置が一致する場合(S111のNo)、サイクル時間毎に携帯端末14から受信する位置情報に基づき(S112)、パターン比較部42は運転者が移動パターン情報に登録された位置にいるか否かを判定する(S130)。なお、車両11の車室内や周辺ではネットワーク15を介さずにブルートゥースなどにより直接通信することができる。移動パターン情報に登録された位置と同程度の位置に存在することに加えて、移動の経路が一致する場合に、移動パターン情報に登録された位置に接近したと判定する。
【0079】
移動パターン情報に登録された位置に運転者が接近したと判定された場合(S130のYes)、車両制御部43は当該位置に登録された制御態様で車載装置200を制御する(S140)。車両制御部43は、移動パターン情報に登録された全ての位置情報に対応づけられた制御態様が終了するまでステップS130、S140の処理を繰り返す。
【0080】
以上のように、本実施例の車両制御装置100によれば、運転者は車両11から離れる際の移動パターンを制御コマンドにして降車時に適切な制御態様で車載装置200を制御することができる。
【実施例3】
【0081】
実施例1のように降車時に移動パターンを登録すると、実施例2のように降車時に車載装置200を制御することは困難になり、実施例2のように乗車時に移動パターンを登録すると、実施例1のように乗車時に車載装置200を制御することは困難になる。しかしながら、毎日の通勤などでは移動パターンや車載装置200の制御態様はそれほど大きく変更しなくてもよい。
【0082】
したがって、いったん、乗車時の移動パターン情報及び降車時の移動パターン情報を登録しておけば、乗車時及び降車時のいずれの場合も、乗車時及び降車時の移動パターンに従い車載装置200を制御することができる。これにより、運転者は車両11に接近する際の移動パターンを制御コマンドにして乗車時に適切な制御態様で車載装置200を制御することができ、かつ、車両11から離れる際の移動パターンを制御コマンドにして降車時に適切な制御態様で車載装置200を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】車両制御装置による制御手順の概略を示す図である。
【図2】車両制御装置を用いた車両制御システムの概略構成図の一例である。
【図3】車両制御装置のブロック図の一例である。
【図4】移動パターン記憶部に記憶された移動パターン情報の一例を示す図である。
【図5】携帯端末の表示部に表示された制御態様設定画面の一例を示す図である。
【図6】自動及び運転者の操作により設定され移動パターン記憶部に記憶された移動パターン情報の一例を示す図である。
【図7】降車時に移動パターン登録部が移動パターンを登録する手順を示すフローチャート図である。
【図8】乗車時に移動パターン情報に基づき車両制御部が車載装置を制御する手順を示すフローチャート図である。
【図9】車両制御装置による制御手順の概略を示す図である(実施例2)。
【図10】移動パターン記憶部に記憶された移動パターン情報の一例を示す図である(実施例2)。
【図11】乗車時に移動パターン登録部が移動パターンを登録する手順を示すフローチャート図である。
【図12】降車時に移動パターン情報に基づき車両制御部が車載装置を制御する手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0084】
11 車両
13 サーバ
14 携帯端末
21 制御部
41 移動パターン登録部
42 パターン比較部
43 車両制御部
44 移動パターン記憶部
100 車両制御装置
200 車載装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載装置を制御する車両制御装置において、
車両外における車両のユーザの複数の位置情報と、位置情報の一以上に対応づけて車載装置の制御態様を記憶した位置情報記憶手段と、
前記ユーザの位置情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した位置情報と、前記位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致するか否かを比較する比較手段と、
前記比較手段により略一致すると判定された位置情報に対応づけられた制御態様に基づき車載装置を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記比較手段は、前記受信手段が受信した位置情報Aと前記位置情報記憶手段に記憶されたいずれかの位置情報Nとを比較する場合、
前記位置情報Aよりも過去に受信した前記位置情報Aと異なる位置情報Bが、前記位置情報記憶手段に記憶された前記位置情報Nと異なる位置情報Mと略一致する場合であって、かつ、前記位置情報Aと前記位置情報Nが略一致する場合に、
前記位置情報Aと前記位置情報記憶手段に記憶された前記位置情報Nが略一致すると判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記位置情報記憶手段には、降車時に車両から所定地へ移動する際のユーザの位置情報が時系列に記録されており、
前記比較手段は、前記受信手段が受信した位置情報が、降車時のユーザの移動経路を逆向きに辿る場合に、前記受信手段が受信した位置情報と、前記位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致すると判定する、
ことを特徴とする請求項2記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記位置情報記憶手段には、乗車時に車両に向かって移動する際のユーザの位置情報が時系列に記録されており、
前記比較手段は、前記受信手段が受信した位置情報が、乗車時のユーザの移動経路を逆向きに辿る場合に、前記受信手段が受信した位置情報と、前記位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致すると判定する、
ことを特徴とする請求項2記載の車両制御装置。
【請求項5】
位置情報に対応づけて前記位置情報記憶手段に記憶された前記制御態様は、ドアロック解除、エンジン始動又はセキュリティオフの少なくともいずれかである、
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記受信手段が受信した、車両外における車両のユーザの複数の位置情報を前記位置情報記憶手段に記憶させる位置情報登録手段を有し、
前記位置情報登録手段は、車載装置が作動した時にユーザが存在した位置の位置情報に対応づけて、車載装置の前記制御態様を時系列に前記位置情報記憶手段に登録する、
ことを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記受信手段が受信した位置情報に基づき、車載装置が作動した順番と逆の順番に、車載装置を制御する、
ことを特徴とする請求項5記載の車両制御装置。
【請求項1】
車載装置を制御する車両制御装置において、
車両外における車両のユーザの複数の位置情報と、位置情報の一以上に対応づけて車載装置の制御態様を記憶した位置情報記憶手段と、
前記ユーザの位置情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した位置情報と、前記位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致するか否かを比較する比較手段と、
前記比較手段により略一致すると判定された位置情報に対応づけられた制御態様に基づき車載装置を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記比較手段は、前記受信手段が受信した位置情報Aと前記位置情報記憶手段に記憶されたいずれかの位置情報Nとを比較する場合、
前記位置情報Aよりも過去に受信した前記位置情報Aと異なる位置情報Bが、前記位置情報記憶手段に記憶された前記位置情報Nと異なる位置情報Mと略一致する場合であって、かつ、前記位置情報Aと前記位置情報Nが略一致する場合に、
前記位置情報Aと前記位置情報記憶手段に記憶された前記位置情報Nが略一致すると判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記位置情報記憶手段には、降車時に車両から所定地へ移動する際のユーザの位置情報が時系列に記録されており、
前記比較手段は、前記受信手段が受信した位置情報が、降車時のユーザの移動経路を逆向きに辿る場合に、前記受信手段が受信した位置情報と、前記位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致すると判定する、
ことを特徴とする請求項2記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記位置情報記憶手段には、乗車時に車両に向かって移動する際のユーザの位置情報が時系列に記録されており、
前記比較手段は、前記受信手段が受信した位置情報が、乗車時のユーザの移動経路を逆向きに辿る場合に、前記受信手段が受信した位置情報と、前記位置情報記憶手段に記憶された位置情報が略一致すると判定する、
ことを特徴とする請求項2記載の車両制御装置。
【請求項5】
位置情報に対応づけて前記位置情報記憶手段に記憶された前記制御態様は、ドアロック解除、エンジン始動又はセキュリティオフの少なくともいずれかである、
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記受信手段が受信した、車両外における車両のユーザの複数の位置情報を前記位置情報記憶手段に記憶させる位置情報登録手段を有し、
前記位置情報登録手段は、車載装置が作動した時にユーザが存在した位置の位置情報に対応づけて、車載装置の前記制御態様を時系列に前記位置情報記憶手段に登録する、
ことを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記受信手段が受信した位置情報に基づき、車載装置が作動した順番と逆の順番に、車載装置を制御する、
ことを特徴とする請求項5記載の車両制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−101927(P2009−101927A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276685(P2007−276685)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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