説明

車両用ドアフレームのシール構造

【課題】部品点数及び製造工数を増大することなく、車両ドアの上部開口部を形成するドアフレーム及び該上部開口部を二分する区画フレームの結合部のシール性をより向上することができる車両用ドアフレームのシール構造を提供する。
【解決手段】シール部材30は、ガラスガイドレール6よりも上側で連結ドアフレーム部13の下面に液密的に接触する上側シール部31と、上側シール部31から下方に延出して連結フレーム部18の上端部に液密的に接触する下側シール部32と、上側シール部31及び下側シール部32間に亘ってアウタドアフレーム部11の内面及びアウタフレーム部16の外面に液密的に接触するアウタシール部33と、上側シール部31及び下側シール部32間に亘ってインナドアフレーム部12の内面及びインナフレーム部17の外面に液密的に接触するインナシール部34とを一体的に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアフレームのシール構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ドアフレームのシール構造としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この構造では、ドアフレーム(ドアサッシュ)の形成する車両ドアの上部開口部が、区画フレーム(ドアパーティションサッシュ)によって二分されている。そして、区画フレームの上端には、合成樹脂製のエンドキャップが装着されており、区画フレームの上端とドアフレームの下面との直接的な接触が回避されている。また、エンドキャップの上端には、ドアフレームの下面等に液密的に接触するシート状のシール部材が貼着されており、ドアフレームの下面及び区画フレームの上端の結合部のシール性の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−34659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の車両用ドアフレームのシール構造では、エンドキャップ及びシール部材の二つの部材を要することから、部品点数及び製造工数の増大を余儀なくされてしまう。
【0005】
本発明の目的は、部品点数及び製造工数を増大することなく、車両ドアの上部開口部を形成するドアフレーム及び該上部開口部を二分する区画フレームの結合部のシール性をより向上することができる車両用ドアフレームのシール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両外側に配置されるアウタドアフレーム部と、車室側に配置されるインナドアフレーム部と、これらアウタドアフレーム部及びインナドアフレーム部間を連結する連結ドアフレーム部とを有し、車両ドアの上部開口部を形成するドアフレームと、車両外側及び車室側にそれぞれ配置され上端部が前記アウタドアフレーム部及び前記インナドアフレーム部間に配置されるアウタフレーム部及びインナドアフレーム部と、これらアウタフレーム部及びインナフレーム部間を連結する連結フレーム部とを有し、前記ドアフレームに結合されて前記上部開口部を二分して一側及び他側に第1開口部及びドアウインドガラスの枠となる第2開口部をそれぞれ形成する区画フレームと、前記区画フレームの上端部及び前記ドアフレーム間に介在されるシール部材と、前記区画フレーム及び前記シール部材とともに前記第1開口部を車両外側から覆うガーニッシュとを備える車両用ドアフレームのシール構造において、前記シール部材は、前記区画フレームよりも上側で前記連結ドアフレーム部の下面に液密的に接触する上側シール部と、前記上側シール部から下方に延出して前記連結フレーム部の前記第2開口部に臨む対向面の上端部に液密的に接触する下側シール部と、前記上側シール部及び前記下側シール部間に亘って前記アウタドアフレーム部の内面及び前記アウタフレーム部の外面に液密的に接触するアウタシール部と、前記上側シール部及び前記下側シール部間に亘って前記インナドアフレーム部の内面及び前記インナフレーム部の外面に液密的に接触するインナシール部とを一体的に備えたことを要旨とする。
【0007】
同構成によれば、前記ドアフレーム及び前記区画フレームの結合部は、前記上側シール部、前記下側シール部、前記アウタシール部及び前記インナシール部を一体的に備える前記シール部材によって、前記第1及び第2開口部間を液密的に分離するように被覆される。そして、例えば前記区画フレームの上方で前記第2開口部に浸入した雨水等の水が前記ドアフレームに流れても、該水は、前記第1開口部に浸入することなく、前記シール部材を介して前記区画フレームへと導かれる。従って、一部品である前記シール部材によって、前記第2開口部に浸入した雨水等の水が前記第1開口部に浸入して車室内に漏れたりすることを抑制できる。また、前記ガーニッシュにより、前記区画フレーム及び前記シール部材とともに前記第1開口部が車両外側から覆われ隠されることで、前記シール部材等の露出によって外観が損なわれることを抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ドアフレームのシール構造において、前記シール部材は、前記下側シール部において、前記アウタシール部の前記インナシール部に対向する側及び前記インナシール部の前記アウタシール部に対向する側にそれぞれ並設された一対の突壁を有することを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、前記一対の突壁は、前記下側シール部において、前記アウタシール部及び前記インナシール部間の幅よりも縮幅された溝形状の排水流路を形成する。従って、例えば前記第2開口部において前記アウタシール部及び前記インナシール部間に浸入した雨水等の水を、この排水流路を利用して前記下側シール部の下方(区画フレーム)へと円滑に排出することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、部品点数及び製造工数を増大することなく、車両ドアの上部開口部を形成するドアフレーム及び該上部開口部を二分する区画フレームの結合部のシール性をより向上することができる車両用ドアフレームのシール構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)(b)(c)は、本発明の一実施形態を示す立面図。
【図2】同実施形態を示す縦断面図。
【図3】同実施形態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図3は、本実施形態に係る車両用ドアフレームのシール構造が適用される車両ドアの上部構造を車両幅方向外側から見た側面図である。
【0013】
同図に示されるように、車両ドア1は、その下部を構成するドア本体2を備える。このドア本体2は、ドア外板を構成するドアアウタパネル及びドア内板を構成するドアインナパネル(図示略)が結合されてなる袋状の構造体であって、上向きの開口部から出没可能なドアウインドガラスDW等が設置されている。
【0014】
また、車両ドア1は、ドア本体2の上端部に取着されて車両ドア1の上部開口部3を形成するドアフレーム5を備える。このドアフレーム5は、下向きに開放された矩形状に成形されており、ドア本体2(例えばドアインナパネル)の前部及び後部で下端部がそれぞれ固着されて車両高さ方向に延在する前側フレーム部5a及び後側フレーム部5bと、これら前側フレーム部5a及び後側フレーム部5bの上端間を橋渡しするようにこれらに両端が、例えば溶接にて固着された上側フレーム部5cとを有する。前側フレーム部5a、後側フレーム部5b及び上側フレーム部5cは、例えば金属板をロール成形することで断面略一定に成形されている。
【0015】
さらに、車両ドア1は、後側フレーム部5bの前側でドア本体2に下端部が固着される区画フレームとしてのガラスガイドレール6を備える。このガラスガイドレール6は、例えば金属板をロール成形することで断面略一定に成形されており、ドア本体2の上端としてのベルトラインBLよりも上方に延出する上端部において、後側フレーム部5bに結合されている。従って、ガラスガイドレール6は、上部開口部3を二分して一側及び他側(後側及び前側)に第1開口部3a及び第2開口部3bをそれぞれ形成する。第2開口部3bは、窓枠(即ちドアウインドガラスDWの枠)を構成する。
【0016】
なお、本実施形態の車両ドア1は、フロントドアの後側に配置されるリアドアであって、前側フレーム部5a及び後側フレーム部5bは、車両ボディのBピラー及びCピラーに対応して配置されている。そして、前側フレーム部5aには、これを車両幅方向外側から被覆する合成樹脂製の板材からなるガーニッシュ7が取着されている。また、後側フレーム部5bには、これを車両幅方向外側から被覆する合成樹脂製の板材からなるガーニッシュ8が取着されている。このガーニッシュ8は、後側フレーム部5b及びガラスガイドレール6ともども第1開口部3aを車両幅方向外側(車両外側)から覆っている。
【0017】
図1(a)(b)(c)は、ガラスガイドレール6の上端部を車両幅方向内側(車室側)、第1開口部3a側(後側フレーム部5b側)及び第2開口部3b側からそれぞれ見た立面図である。また、図2は、後側フレーム部5b及びガラスガイドレール6の結合部を示す縦断面図である。
【0018】
図1(a)に示されるように、後側フレーム部5bは、上側が前傾するように若干斜めに設置されており、車両幅方向外側(車両外側)に配置されるアウタドアフレーム部11と、車両幅方向内側(車室側)に配置されるインナドアフレーム部12と、これらアウタドアフレーム部11及びインナドアフレーム部12間を車両幅方向で連結する連結ドアフレーム部13とを有している。従って、後側フレーム部5bは、連結ドアフレーム部13において上部開口部3に対向している。
【0019】
ガラスガイドレール6は、上側が後傾するように若干斜めに設置されており、車両幅方向外側(車両外側)に配置されるアウタフレーム部16と、車両幅方向内側(車室側)に配置されるインナフレーム部17と、これらアウタフレーム部16及びインナフレーム部17間を車両幅方向で連結する連結フレーム部18とを有している。従って、ガラスガイドレール6は、連結フレーム部18において実質的に第1開口部3a及び第2開口部3bを区画している。なお、アウタフレーム部16及びインナフレーム部17の両外面(車両幅方向で互いに相反する外側面)間の離隔距離は、後側フレーム部5bのアウタドアフレーム部11及びインナドアフレーム部12の両内面(車両幅方向で互いに対向する内側面)間の離隔距離よりも短くなるように設定されており、ガラスガイドレール6の上端部は、車両幅方向でアウタドアフレーム部11及びインナドアフレーム部12間に挟まれるように配置される。
【0020】
図2に示されるように、連結フレーム部18の上端部には、金属板を曲げ加工してなる取付部材としてのブラケット20が、例えば溶接にて固着されている。このブラケット20は、連結ドアフレーム部13の下面(上部開口部3に対向する前側面)に臨む先端部が該連結ドアフレーム部13から離隔するように台状に膨出して取付部20aを形成するとともに、該取付部20aの中央部を貫通するねじ孔20bを形成する。なお、ブラケット20は、ねじ孔20bを挟んだその上下で連結ドアフレーム部13に当接しており、該連結ドアフレーム部13は、ねじ孔20bと同心で開口する挿通孔13aを有するとともに、該挿通孔13aの周縁部にすり鉢状の座ぐり13bを有する。
【0021】
そして、挿通孔13aには、締結ボルト21のねじ部がねじ孔20bに向かって挿通されている。ブラケット20は、挿通孔13aに挿通された締結ボルト21のねじ部がねじ孔20bに締め付けられることで連結ドアフレーム部13(後側フレーム部5b)に締結される。つまり、ガラスガイドレール6は、連結フレーム部18の上端部に固着されたブラケット20が締結ボルト21により連結ドアフレーム部13に締結されることで後側フレーム部5bに結合されており、該後側フレーム部5bとの直接的な干渉が抑えられている。このとき、締結ボルト21の頭部は座ぐり13aに収まることで、連結ドアフレーム部13の上面(上部開口部3の反対側となる後側面)側に不要な突出部が発生することが回避されている。
【0022】
ガラスガイドレール6の上端部及び後側フレーム部5b間には、略三角箱状のシール部材30が介在されている。このシール部材30は、ガラスガイドレール6(連結フレーム部18)よりも上側で連結ドアフレーム部13の下面に液密的(弾性的)に接触する上側シール部31を有する。この上側シール部31は、ガラスガイドレール6の上端部及び後側フレーム部5bのなす鋭角を有する三角ブロック状に成形されている。そして、シール部材30は、上側シール部31からその第2開口部3bに臨む対向面(前側面)に沿って下方に延出する下側シール部32を有する。この下側シール部32は、連結フレーム部18の上面(第2開口部3bに対向する前側面)の上端部に液密的に接触する。
【0023】
また、図1に示されるように、シール部材30は、アウタドアフレーム部11の内面及びアウタフレーム部16の外面に液密的に接触するアウタシール部33を有するとともに、インナドアフレーム部12の内面及びインナフレーム部17の外面に液密的に接触するインナシール部34を有する。これらアウタシール部33及びインナシール部34は、上側シール部31から下側シール部32を超えてその下側までそれぞれ延出しており、上側シール部31及び下側シール部32の全長に亘ってそれらの縁部にそれぞれ接続されている。そして、アウタシール部33及びインナシール部34は、ガラスガイドレール6の上端部が後側フレーム部5bとの間に形成する鋭角の間隙全体を車両幅方向外側及び内側からそれぞれ覆っている。
【0024】
従って、ガラスガイドレール6が、アウタフレーム部16、インナフレーム部17及び連結フレーム部18によって第2開口部3b側(前側)に形成する溝形状は、上側シール部31、下側シール部32、アウタシール部33及びインナシール部34によって、第1開口部3aから液密的に分離されている。これにより、例えばガラスガイドレール6の上方で第2開口部3bに浸入した雨水等の水が後側フレーム部5bに流れても、該水は、ガラスガイドレール6上方の後側フレーム部5bから第1開口部3aに浸入することなく、シール部材30(上側シール部31等)を介してガラスガイドレール6へと導かれる。
【0025】
なお、図1(c)に示されるように、シール部材30は、下側シール部32において、アウタシール部33のインナシール部34に対向する側及びインナシール部34のアウタシール部33に対向する側にそれぞれ並設された一対の突壁35を有する。これら突壁35は、アウタシール部33及びインナシール部34間の幅よりも縮幅された溝形状の排水流路36を形成する。従って、例えば第2開口部3bにおいてアウタシール部33及びインナシール部34間に導かれた雨水等の水は、この排水流路36を利用することで下側シール部32の下方(ガラスガイドレール6)へと円滑に排出される。
【0026】
さらに、図1(a)(b)に示されるように、シール部材30は、上側シール部31の下側で、アウタシール部33及びインナシール部34の連結ドアフレーム部13に液密的に接触する先端間を橋渡しする複数の直線状のリブ37を有する。図2に示されるように、シール部材30は、最下部のリブ37及びこれに隣り合うリブ37を基端に連結フレーム部18側に台形状に膨出して該連結フレーム部18の下面に当接する支持壁38を有する。この支持壁38は、車両幅方向外側及び内側でアウタシール部33及びインナシール部34にそれぞれ接続されており、これらアウタシール部33及びインナシール部34を補強する。そして、最上部を含む上側の隣り合うリブ37は、支持壁38の基端から連結ドアフレーム部13に沿って上方に延出する延出壁38aにて一体に接続されている。これらリブ37は、上側シール部31、アウタシール部33及びインナシール部34とともに、ブラケット20(取付部20a)及び連結ドアフレーム部13の締結部を囲んだ状態で連結ドアフレーム部13の下面と液密的に接触する。そして、リブ37等は、締結ボルト21の締結力によって連結ドアフレーム部13に密着する。
【0027】
図1(a)(b)に示されるように、前記ブラケット20は、その下端にインナシール部34側(車両幅方向内側)に突出する嵌合突起20cを有する。一方、インナシール部34は、嵌合突起20cが嵌合する嵌合凹部としての嵌合溝39を有する。この嵌合溝39は、下方に開放された略U字状に成形されており、嵌合突起20cに嵌合することでこれを係止する。従って、シール部材30は、嵌合突起20cに嵌合溝39が嵌合されることでブラケット20(ガラスガイドレール6)に仮組みされるため、その後のブラケット20及び後側フレーム部5bの結合作業の円滑化が図られる。
【0028】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、後側フレーム部5b及びガラスガイドレール6の結合部は、上側シール部31、下側シール部32、アウタシール部33及びインナシール部34を一体的に備えるシール部材30によって、第1及び第2開口部3a,3b間を液密的に分離するように被覆される。そして、例えばガラスガイドレール6の上方で第2開口部3bに浸入した雨水等の水が後側フレーム部5bに流れても、該水は、ガラスガイドレール6上方の後側フレーム部5bから第1開口部3aに浸入することなく、シール部材30を介してガラスガイドレール6へと導かれる。従って、部品点数を増やすことなく、一部品であるシール部材30によって、第2開口部3bに浸入した雨水等の水が第1開口部3aに浸入して車室内に漏れたりすることを抑制できる。また、ガーニッシュ8により、ガラスガイドレール6及びシール部材30とともに第1開口部3aが車両外側から覆われ隠されることで、シール部材30等の露出によって外観が損なわれることを抑制することができる。
【0029】
また、後側フレーム部5b及びガーニッシュ8によって縁取りされる第2開口部3bは、これを開閉するドアウインドガラスDWの外形と一致することで窓枠としての一体感を増すことができ、意匠性をより向上することができる。
【0030】
(2)本実施形態では、下側シール部32において、一対の突壁35によりアウタシール部33及び突壁35間の幅よりも縮幅された溝形状の排水流路36が形成される。従って、例えば第2開口部3bにおいてアウタシール部33及びインナシール部34間に浸入した雨水等の水を、この排水流路36を利用して下側シール部32の下方(ガラスガイドレール6)へと円滑に排出することができる。
【0031】
(3)本実施形態では、連結ドアフレーム部13と液密的に接触するリブ37は、締結ボルト21の締結力によって連結ドアフレーム部13に密着することになり、リブ37等に囲まれるブラケット20及び連結ドアフレーム部13の締結部の防水性を向上することができる。また、ガラスガイドレール6の上端部は、後側フレーム部5bに直結されるわけでなく、ブラケット20を介して結合されるため、これらガラスガイドレール6及び後側フレーム部5bの直接的な干渉を抑えることができる。そして、例えばガラスガイドレール6及び後側フレーム部5bが接触して異音を発生したりすることを抑制することができる。
【0032】
(4)本実施形態では、シール部材30は、嵌合溝39が嵌合突起20cに嵌合することで、ブラケット20に仮組みされる。従って、シール部材30を概略支持した状態で、ブラケット20(ガラスガイドレール6)を後側フレーム部5bに円滑に結合することができる。
【0033】
(5)本実施形態では、連結ドアフレーム部13は、締結ボルト21の頭部を収める座ぐり13bを有することで、例えば連結ドアフレーム部13の上面側に不要な突出部が発生することを回避することができる。これにより、連結ドアフレーム部13の上面(第1開口部3a)に別部材(固定パネル等)を円滑に配設することができる。
【0034】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、アウタシール部33の外面に、アウタドアフレーム部11の内面との液密的な接触を集中させるリブを配設してもよい。
【0035】
・本発明は、車両ドアとしてのフロントドアに適用してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)請求項1又は2に記載の車両用ドアフレームのシール構造において、
前記区画フレームは、前記連結フレーム部の上端部に固着された取付部材が締結部材により前記連結ドアフレーム部に締結されて、前記ドアフレームに結合されており、
前記シール部材は、前記取付部材及び前記連結ドアフレーム部の締結部を前記上側シール部、前記アウタシール部及び前記インナシール部とともに囲んだ状態で前記連結ドアフレーム部と液密的に接触するリブを有することを特徴とする車両用ドアフレームのシール構造。同構成によれば、前記連結ドアフレーム部と液密的に接触する前記リブは、締結部材の締結力によって前記連結ドアフレーム部に密着することになり、前記リブ等に囲まれる前記取付部材及び前記連結ドアフレーム部の締結部の防水性を向上することができる。また、前記区画フレームの上端部は、前記ドアフレームに直結されるわけでなく、前記取付部材を介して結合されるため、これら区画フレーム及びドアフレームの直接的な干渉を抑えることができる。そして、例えば前記区画フレーム及び前記ドアフレームが接触して異音を発生したりすることを抑制することができる。
【0036】
(ロ)上記(イ)に記載の車両用ドアフレームのシール構造において、
前記取付部材は、前記インナシール部側に突出する嵌合突起を有しており、
前記インナシール部は、前記嵌合突起に嵌合する嵌合凹部を有することを特徴とする車両用ドアフレームのシール構造。同構成によれば、前記シール部材は、前記嵌合凹部が前記嵌合突起に嵌合することで、前記取付部材に仮組みされる。従って、前記シール部材を概略支持した状態で、前記取付部材(区画フレーム)を前記ドアフレームに円滑に結合することができる。
【0037】
(ハ)上記(イ)又は(ロ)に記載の車両用ドアフレームのシール構造において、
前記連結フレーム部は、前記締結部材の挿通孔の周縁部に、前記締結部材の頭部を収める座ぐりを有することを特徴とする車両用ドアフレームのシール構造。同構成によれば、前記連結ドアフレーム部は、前記締結部材の頭部を収める座ぐりを有することで、例えば前記連結ドアフレーム部の上面側に不要な突出部が発生することを回避することができる。
【符号の説明】
【0038】
DW…ドアウインドガラス、1…車両ドア、3…上部開口部、3a…第1開口部、3b…第2開口部、5…ドアフレーム、5b…後側フレーム部、6…ガラスガイドレール(区画フレーム)、8…ガーニッシュ、11…アウタドアフレーム部、12…インナドアフレーム部、13…連結ドアフレーム部、16…アウタフレーム部、17…インナフレーム部、18…連結フレーム部、30…シール部材、31…上側シール部、32…下側シール部、33…アウタシール部、34…インナシール部、35…突壁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外側に配置されるアウタドアフレーム部と、車室側に配置されるインナドアフレーム部と、これらアウタドアフレーム部及びインナドアフレーム部間を連結する連結ドアフレーム部とを有し、車両ドアの上部開口部を形成するドアフレームと、
車両外側及び車室側にそれぞれ配置され上端部が前記アウタドアフレーム部及び前記インナドアフレーム部間に配置されるアウタフレーム部及びインナドアフレーム部と、これらアウタフレーム部及びインナフレーム部間を連結する連結フレーム部とを有し、前記ドアフレームに結合されて前記上部開口部を二分して一側及び他側に第1開口部及びドアウインドガラスの枠となる第2開口部をそれぞれ形成する区画フレームと、
前記区画フレームの上端部及び前記ドアフレーム間に介在されるシール部材と、
前記区画フレーム及び前記シール部材とともに前記第1開口部を車両外側から覆うガーニッシュとを備える車両用ドアフレームのシール構造において、
前記シール部材は、
前記区画フレームよりも上側で前記連結ドアフレーム部の下面に液密的に接触する上側シール部と、
前記上側シール部から下方に延出して前記連結フレーム部の前記第2開口部に臨む対向面の上端部に液密的に接触する下側シール部と、
前記上側シール部及び前記下側シール部間に亘って前記アウタドアフレーム部の内面及び前記アウタフレーム部の外面に液密的に接触するアウタシール部と、
前記上側シール部及び前記下側シール部間に亘って前記インナドアフレーム部の内面及び前記インナフレーム部の外面に液密的に接触するインナシール部とを一体的に備えたことを特徴とする車両用ドアフレームのシール構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアフレームのシール構造において、
前記シール部材は、前記下側シール部において、前記アウタシール部の前記インナシール部に対向する側及び前記インナシール部の前記アウタシール部に対向する側にそれぞれ並設された一対の突壁を有することを特徴とする車両用ドアフレームのシール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−195105(P2010−195105A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39873(P2009−39873)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(598059675)株式会社ヴイテック (14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】