説明

車両用ドアロック装置

【課題】
ホイールギヤ等のトルク伝達部材の作動によりアクティブレバーに掛かる衝撃を緩衝するドアロック装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
ホイールギヤ(31)は、アクティブレバー(32)を作動させる第一突部(31c)と、アクティブレバー(32)に当接する第二突部(31d)と、アクティブレバー(32)と第一突部(31c)との当接による衝撃を緩衝する長穴(33)とをそれぞれ具備するようにしたことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力されるトルクを伝達するトルク伝達部材を備え、ドアの施解錠状態を構成する車両用ドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用ドアロック装置としては、後述の特許文献1に記載のものが公知となっている。
【0003】
従来の車両用ドアロック装置は、図1に示すように回動軸310aにて回動可能にハウジングに支持された円形状のホイールギヤ310を備えている。ホイールギヤ310は、回動軸310aとは偏心した位置に2つの凸部310b,310cが形成されている。ここで、ホイールギヤ310にトルクが入力されると、ホイールギヤ310は回動し、それに伴い凸部310b,310cも回動軸310aの周りを公転する。公転した凸部310cは、アクティブレバー320に設けられた凹部320cに係合し、凸部310cが凹部320cの係合面320gを押圧することにより、ドアロック装置をロック位置とアンロック位置に位置決めさせるように構成されている。
【特許文献1】特開2004−218425号公報(6頁、図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のような車両用ドアロック装置のように構成すると、凸部310cによりアクティブレバー320は回動軸320eを中心に図示時計回り方向に回動させられる。その後凸部310cが、凹部320cとの係合を解除され、凸部310bがアクティブレバー320の当接面320dに当接することによりホイールギヤ310の回動は終了する。この当接により、アクティブレバー320の回動軸320eには、当接面から回動軸320e方向への荷重が掛かるため、従来技術のようなドアロック装置を長期間使用するとアクティブレバー320に荷重が掛かる。更に、凸部310bとアクティブレバー320の当接面320dとの当接により、当接音が発生してしまう。そのため、例えば、アクティブレバー320に掛かる荷重を緩衝しなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は、ホイールギヤ等のトルク伝達部材の作動によりアクティブレバーに掛かる衝撃を緩衝するドアロック装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明にて講じた第1の技術的手段は、車両のドアを施解錠可能なドアロック機構と、第一位置と第二位置を往復動することにより前記ドアロック機構を作動させるアクティブレバーと、駆動源からのトルクを前記アクティブレバーに伝達するトルク伝達部材とを備えた車両用ドアロック装置であって、前記トルク伝達部材は、前記アクティブレバーを作動させる作動部と、前記アクティブレバーに当接するストッパ部と、前記アクティブレバーと前記ストッパ部との当接の衝撃を緩衝する緩衝手段とを有することである。
【0007】
また、上記課題を解決するために本発明にて講じた第2の技術的手段は、車両のドアを施解錠可能なドアロック機構と、第一位置と第二位置を往復動することにより前記ドアロック機構を作動させるアクティブレバーと、駆動源からのトルクを前記アクティブレバーに伝達するトルク伝達部材と、を備えた車両用ドアロック装置であって、前記アクティブレバーは第一回動軸に対して揺動自在に支持され、前記ストッパ部と前記作動部との当接により前記アクティブレバーは前記第一回動軸に対して相対的に移動させる緩衝手段を有することである。
【0008】
また、上記課題を解決するために本発明にて講じた第3の技術的手段は、第1または2の技術的手段に加えて、前記緩衝手段は、長穴部を有していることである。
【0009】
また、上記課題を解決するために本発明にて講じた第4の技術的手段は、第3の技術的手段に加えて、前記長穴部は、一方向に向かって拡径していることである。
【0010】
また、上記課題を解決するために本発明にて講じた第5の技術的手段は、第1または2の技術的手段に加えて、前記アクティブレバーは、前記第一位置または前記第二位置のいずれかに位置するように付勢されつつ、前記ストッパ部から及ぼされる衝撃の方向と反対方向に付勢されていることである。
【0011】
また、上記課題を解決するために本発明にて講じた第6の技術的手段は、第5の技術的手段に加えて、前記弾性手段は、前記アクティブレバーに設けられていることである。
【0012】
また、上記課題を解決するために本発明にて講じた第7の技術的手段は、第2乃至6の技術的手段に加えて、前記駆動源はモータであり、前記トルク伝達手段は、外周に前記モータに噛合する歯車機構を有し、前記ストッパ部と前記作動部を一体的に形成した第二回動軸を中心に回動するホイールギヤであり、前記アクティブレバーは、前記第一回動軸を中心とする円弧上に配置された当接面と、前記作動部が嵌入し、前記アクティブレバーを回動させる凹部とを有することである。
【0013】
また、上記課題を解決するために本発明にて講じた第8の技術的手段は、第7の技術的手段に加えて、前記凹部は、前記当接面の一部に配設されていることである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アクティブレバーとトルク伝達部材に設けたストッパ部との当接による衝撃を緩衝する緩衝手段を備えたので、耐久性の向上を図りつつ、当接により発生する衝撃音を抑制化することができる車両用ドアロック装置を提供することができる。
【0015】
さらに、トルク伝達部材のストッパ部とアクティブレバーの当接により、アクティブレバーは第一回動軸に対して相対的に移動させられるような緩衝手段をアクティブレバーに備えたので、耐久性の向上を図りつつ、当接により発生する衝撃音を抑制化することができる車両用ドアロック装置を提供することができる。
【0016】
望ましくは、緩衝手段を長穴部で構成すれば、アクティブレバーとストッパ部の当接の衝撃により、第一軸部に掛かる荷重を緩衝させることができる。従って、更に耐久性を向上させつつ、当接により発生する衝撃音を抑制化することができる車両ドアロック装置を提供することができる。
【0017】
望ましくは、アクティブレバーを第一位置もしくは第二位置のいずれかに位置するように付勢させつつ、アクティブレバーとストッパ部との当接の衝撃によりアクティブレバーに掛かる荷重の方向と反対方向に付勢させるようにすれば、更に好適にアクティブレバーが受ける衝撃を緩衝させることができる。従って、耐久性の向上を図りつつ、動作性の高いドアロック装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を基に本発明の実施の形態を説明する。図2は、本実施例のドアロック装置1の斜視図を示す。図2に示すように、本実施例のドアロック装置1は、図9に示す車両100に設けられたドア110の閉鎖状態を保持するドアロック機構10を備えている。ドアロック機構10は、図2,3に示すラッチ機構10aとロック機構10bとから構成されている。そして、それらを図2の右側からカバー10cが図3の左側からハウジング10dにて覆う構成となっている。
【0019】
まず、図3を基に、ラッチ機構10aの部分を説明する。なお、ラッチ機構10aは、従来のラッチ機構10aと同等の構成であるため詳細には説明しないが、ラッチ機構10aは、ラッチ11及びポール12を備えている。ラッチ11は、ラッチ軸14に対して回動可能に支持されている。ラッチ11は、スプリング(不図示)により時計回り方向へ付勢されている。ラッチ11は、係合溝11aを備えており、係合溝11aは、車両ボデー(不図示)に取り付けられたストライカ13を、その内部に係合保持することができる。一方、ポール12はポール軸15に対して回動可能に支持されている。また、ポール12は、当接部12aを有しており、当接部12aはラッチ11の回動に伴いラッチ11の被当接部11bと当接し、ラッチ11の図3における時計回り方向への回動を規制する。
【0020】
ここで、ラッチ機構10aの作動を簡単に説明する。図3は、ドア110が車両ボデーに対して閉鎖状態にて保持されたラッチ状態である。ラッチ状態からポール12がポール軸15を中心として時計回り方向へ所定角度分回動した場合には、ポール12の当接部12aが、ラッチ11の被当接部11bから外れる。その結果、ラッチ11が、スプリングの付勢力によって図3において時計回り方向に回動し、係合溝11aが、ベース16に形成された切欠部16aと沿う状態となる。この状態では、ラッチ11の係合溝11a内部に係合保持されたストライカ13が係合溝11aから図3において左方向に離脱することができ、ドア110が車両ボデーに対して開作動可能なアンロック状態となる。
【0021】
続いて図3を基にして、ロック機構10bの部分の説明をする。ここで、図4は、ドアロック装置1を図3の左側から見た図である。
【0022】
ロック機構10bについても従来のロック機構と同等の構成であるため詳細には説明しないが、車両100のボデーに閉鎖保持されたドア110を開作動可能にするためのオープン系操作部材と、車両100のボデーに閉鎖保持されたドアを開作動不能にするロック系操作部材とから構成されている。オープン系操作部材は、図9に示すドア110の車両100外側に配設される公知な構成のアウトサイドハンドル90や車両100室内側に配設される公知な構成のインサイドハンドル(不図示)の操作に基づいて、ラッチ11を作動させて、ドア110を車両ボデーから開作動させる部材である。ロック系操作部材は、アウトサイドハンドル90やインサイドハンドル等の操作によってラッチ11の作動が可能なアンロック状態と作動が不可能なロック状態とを切替える部材である。
【0023】
ロック機構10bのロック系部材は、図4に示すようにモータ30(駆動源)、ホイールギヤ31(トルク伝達部材)、アクティブレバー32等から構成されている。
【0024】
モータ30は、ハウジング10d内に固定されており、外部からのコネクタ(不図示)等を介して通電されることにより駆動して出力軸30aに配設されるウォームギヤ30bを出力軸30a回りに回動させる。
【0025】
ホイールギヤ31は、円形状であり、回動軸31a(第二回動軸)にて回動可能にハウジング10dに支持されている。ホイールギヤ31は、その外周に、ウォームギヤ30bに噛合うギヤ歯31b(歯車機構)が形成されており、モータ30からトルクが入力されることにより、図4において時計回り方向と反時計回り方向の両方向に回動可能となっている。更に、ホイールギヤ31上には、回動軸31aと同心軸円となるような位置に、第一突部31c(ストッパ部)、第二突部31d(作動部)が、図4の奥行側から手前側へ突出する様に一体形成されている。つまり、第一突部31c及び第二突部31dは、ホイールギヤ31が回動した場合に、回動軸31aの周りを公転するものとなっている。
【0026】
次に、アクティブレバー32について図4を基に説明する。アクティブレバー32は、ハウジング10dに形成されたピン10da(第一回動軸)に回動可能に配置されている。また、アクティブレバー32は、外方に向かって拡開する長穴33が設けられ、ピン10daは、長穴33に挿通されている。
【0027】
ピン10daは、図9に示すアウターパネル120に略直交する方向に配置されている。アクティブレバー32は、ピン10daに対して斜め左下方に延設される第一アーム32aと、ピン10daに対して斜め右下方に延設される第二アーム32bと、ピン10daに対して第一および第二アーム32a,32bとほぼ反対方向に延設される第三アーム32cを有している。
【0028】
第一アーム32aの先端部に形成された連結穴32aaには、ドア110の内側に設けたロックノブ(不図示)が図5に示すケーブル40を介して連結される。ロックノブがロック操作された場合、アクティブレバー32は反時計回りに回動され、ロックノブがロック解除操作された場合、アクティブレバー32は時計回りに回動される。
【0029】
第二アーム32bの先端部には、当接部32baが形成されている。当接部32baは、車両100のアウターパネル120に設けられたキーシリンダ80の操作によって回動するキーレバー50に設けた一対の当接壁50a,50bに挿入され、当接壁50a,50bに離脱可能に当接する。キーシリンダ80がロック操作された場合、キーレバー50が時計回りに回動されてアクティブレバー32は反時計回りに回動され、逆に、キーシリンダ80がロック解除操作された場合、キーレバー50が反時計回りに回動されてアクティブレバー32は時計回りに回動される。
【0030】
第三アーム32cの一側には、第三アーム32cの略半径方向に延在する長穴32caが形成されている。長穴部32ceには、後述するオープンリンク34の係合ピン34aが摺動可能に係合されている。また、第三アーム32cには、フランジ部32ca,32cbが設けられ、フランジ部32caは、ハウジング10dに形成された停止部35に当接してアクティブレバー32の時計回りの回動を規制し、フランジ部32cbは、停止部35に当接してアクティブレバー32の反時計回りの回動を規制する。なお、停止部35は、ゴム等の弾性を有した部材で形成されているため、停止部35とフランジ部32ca,32cbとの当接による当接音を抑えられるように構成されている。
【0031】
アクティブレバー32は、ハウジング10dとアクティブレバー32との間に配設されたトーションスプリング25によって、時計回りあるいは反時計回りに付勢されている。アクティブレバー32が図4に示すアンロック位置にある場合には、アクティブレバー32はトーションスプリング25により時計回りに付勢され、フランジ部32caが停止部35に当接する位置に位置決め保持されている。アクティブレバー32がロック位置にある場合には、トーションスプリング25により反時計回りに付勢され、フランジ部32cbが停止部35に当接するロック位置に位置決め保持されている。同時にトーションスプリング25は、アクティブレバー32を長穴33に挿通されたピン10daに対して相対的に上方へ移動されるように付勢している。
【0032】
図4に示すように、オープンリンク34は、オープンレバー35とアクティブレバー32とで2点支持されている。オープンリンク34の下端には、係合穴35aが形成され、係合穴35aにオープンレバー35の係合突起35bが係合している。オープンリンク34の上端には、係合ピン34aが形成され、係合ピン34aはアクティブレバー32の長穴部32ceに摺動可能に係合している。オープンリンク34は、アクティブレバー32が図4に示すアンロック位置に位置している場合には、起立状態に保持され、アクティブレバー32が反時計回りに回動されてロック位置に位置されると、係合ピン34aと長穴部32ceとの係合によってオープンリンク34は、傾倒状態に保持される。
【0033】
オープンリンク34の上端には、当接部34bが形成されている。当接部34bは、オープンリンク34が起立状態にあるとき、オープンリンク34の上方への移動により、リフトレバー51の当接部51aに当接して当接部51aを押し上げ、リフトレバー51を回動させる。当接部51aは、オープンリンク34が傾倒状態にあるとき、上方に移動されてもリフトレバー51の当接部51aに当接しないようになっている。
【0034】
リフトレバー51は、ポール12の回動軸であるポール軸15と同軸上に配置されている。このため、当接部12aがラッチ11に係合していれば係脱されて、ストライカ13とラッチ11が掛止する掛止状態が解除可能となる。
【0035】
アクティブレバー32の第三アーム32cは扇状に形成されており、外周はピン10daを中心とする円弧状に形成されている。第三アーム32cの外周には、凹部32dが形成され、この凹部32dに、モータ30によって正逆転されるホイールギヤ31の第二突部31dが係合される。ホイールギヤ31上には、第一および第二突部31c,31dが突設され、第一,第二突部31c,31dは、ホイールギヤ31の回動中心を通る同一直線上に回動中心を挟んで所定間隔をおいて配置されている。第一突部31cは第三アーム32cの当接部32cbに当接し、第二突部32dはアクティブレバー32の凹部32dに臨んでいる。
【0036】
ここで、図5から図8を基にして、ホイールギヤ31の回動に基づくアクティブレバー32の作動について説明する。なお、図5〜8は、図4において奥行側からアクティブレバー32及びホイールギヤ31等を見た図である。
【0037】
図5は、アンロック状態でのアクティブレバー32を示している。この状態からモータ30が一方向に駆動してウォームギヤ30bを介してホイールギヤ31にトルクが入力されると、ホイールギヤ31は反時計回り方向へ回動する。そして、図6に示すように第二突部31dの当接部31d1が、凹部32dの係合面32gに当接する。
【0038】
図6に示す状態から、更にホイールギヤ31が図6において反時計回り方向へ回動すると、当接部31d1が係合面32gを押圧する。これによりアクティブレバー32はピン10daを中心に半時計回り方向に回動させられる。更にホイールギヤ31が回動させられると、図7に示すように第二突部31dは、凹部32dより離脱し、この時点でアクティブレバー32はロック状態となる。
【0039】
図7に示す状態から、更にホイールギヤ31が半時計回り方向に回動すると、図8に示すように第一突部32cは、アクティブレバー32の当接面32cbに当接する。ここで、第二突部32dがアクティブレバー32の当接面32cbに当接すると、アクティブレバー32は、図8に示すように第一突部32cと当接面32cbとの当接部位32ccからその回動軸であるピン10daへの方向である矢印Aへの衝撃を受ける。衝撃を受けたアクティブレバー32は、アクティブレバー32に設けた長穴33により、その衝撃方向である矢印Aの方向へ移動する(実線で示される部分)。続いて、矢印A方向へ移動したアクティブレバー32は、アクティブレバー32に設けられたトーションスプリング25により矢印B方向へ移動し、第一突部32cに当接して停止する(点線で示される部分)。
【0040】
続いて、アクティブレバー32をロック状態からアンロック状態へ移行させる作動について説明する。
【0041】
図8に示すロック状態からモータ30が他方向に駆動してウォームギヤ30bを介してホイールギヤ31にトルクが入力されると、ホイールギヤ31は時計回り方向へ回動する。
【0042】
そして、ホイールギヤ31の回動により第一突起31cは、図7に示す当接面32cbを離れる状態を経て図6に示すように第二突部31dの当接部31d2が、凹部32dの係合面32hに当接し、係合面32hを押圧する。
【0043】
図7に示す状態から、更にホイールギヤ31が時計回り方向へ回動して、当接部31eが係合面32hを押圧し続けると、アクティブレバー32はピン10daを中心に時計回り方向に回動させられる。更にホイールギヤ31が回動させられると、図5に示すように第一突部31cは、凹部32dより離脱し、この時点でアクティブレバー32はアンロック状態となる。更にホイールギヤ31を時計回り方向に回動させると第一突部31cは、アクティブレバー32の当接面32cdに当接する。ここで、第二突部31dがアクティブレバー32の当接面31cdに当接すると、アクティブレバー32は、第二突部32dと当接面31cdとの当接部位31ceからその回動軸であるピン10daへ矢印C方向への衝撃を受ける。衝撃を受けたアクティブレバー32は、アクティブレバー32に設けた長穴33により、その衝撃方向である矢印Cの方向へ移動する。続いて、矢印C方向へ移動したアクティブレバー32は、アクティブレバー32に設けられたトーションスプリング25により矢印D方向へ移動し、第二突部32dに当接して停止する。
【0044】
以上説明した様に、本発明に係る実施例の態様によれば、ホイールギヤ32の第二突部32dとアクティブレバー32との当接により、アクティブレバー32はピン10daに対して相対的に移動させられるような長穴33をアクティブレバーに備えたので、耐久性の高い車両用ドアロック装置1を提供することができる。
【0045】
望ましくは、アクティブレバー32をロック状態もしくはアンロック状態のいずれかに位置するように付勢させつつ、第二突部32dとアクティブレバー32の当接の衝撃によりアクティブレバー32に掛かる荷重の方向と反対方向に付勢させるようにすれば、アクティブレバー32が受ける衝撃を好適に緩衝させることができる。従って、耐久性の向上を図りつつ、動作性の高いドアロック装置1を提供することができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、アクティブレバー32に長穴33を形成し、第二突部32dとアクティブレバー32との衝撃を緩衝する例を説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、ハウジング10dに長穴33に相当する穴部を形成し、アクティブレバー32の回動軸であるピン10daを穴部に挿通し、第二突部31dとアクティブレバー32とが当接した時に、アクティブレバー32及びピン10daがハウジング10dに対して相対的に衝撃方向へ移動するような構成しても良い。
【0047】
また、実施例のドアロック装置1には、外方に向かって拡開している扇形状の長穴33を設けたことを説明したが、本発明はこれに限らず例えば、アクティブレバー32が第一突部31cから受ける荷重を受ける当接面32cbからピン10daを結ぶ直線方向成分と当接面32cdからピン10daを結ぶ直線方向成分の分力方向に長穴部を形成する等しても良い。または、両成分方向に長穴部を形成し、2つの長穴部が交わる部位にピン10daが常に付勢させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の車両用ドアロック装置に係る従来技術を示す。
【図2】本発明に係る車両用ドアロック装置の斜視図を示す。
【図3】図2を右側から見た正面図を示す。
【図4】本発明に係る車両用ドアロック装置の主要部の正面図を示す。
【図5】本発明に係る車両用ドアロック装置の動作説明図を示す(アンロック状態)。
【図6】本発明に係る車両用ドアロック装置の動作説明図を示す(アンロック状態→ロック状態移行途中)。
【図7】本発明に係る車両用ドアロック装置の動作説明図を示す(アンロック状態)。
【図8】本発明に係る車両用ドアロック装置の動作説明図を示す(ホイールギヤオーバーストローク)。
【図9】本発明に係る車両用ドアロック装置を搭載した車両の側面図を示す。
【符号の説明】
【0049】
1 ドアロック装置
10 ドアロック機構
10da ピン(第一回動軸)
30 モータ(駆動源)
30a 回動軸(第二回動軸)
31 ホイールギヤ(トルク伝達部材)
31b ギヤ歯(歯車機構)
31c 第一突部(ストッパ部)
31d 第二突部(作動部)
32 アクティブレバー
32d 凹部
32cb,32cd 当接面
33 長穴(長穴部)
100 車両
110 ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアを施解錠可能なドアロック機構と、第一位置と第二位置を往復動することにより前記ドアロック機構を作動させるアクティブレバーと、駆動源からのトルクを前記アクティブレバーに伝達するトルク伝達部材とを備えた車両用ドアロック装置であって、前記トルク伝達部材は、前記アクティブレバーを作動させる作動部と、前記アクティブレバーに当接するストッパ部と、前記アクティブレバーと前記ストッパ部との当接の衝撃を緩衝する緩衝手段とを有する車両用ドアロック装置。
【請求項2】
車両のドアを施解錠可能なドアロック機構と、第一位置と第二位置を往復動することにより前記ドアロック機構を作動させるアクティブレバーと、駆動源からのトルクを前記アクティブレバーに伝達するトルク伝達部材とを備えた車両用ドアロック装置であって、前記アクティブレバーは第一回動軸に対して揺動自在に支持されており、前記ストッパ部と前記作動部との当接により前記第一回動軸に対して相対的に移動する緩衝手段が備えられた車両用ドアロック装置。
【請求項3】
前記緩衝手段は、長穴部を有する請求項1または2に記載の車両用ドアロック装置。
【請求項4】
前記長穴部は、一方向に向かって拡径している請求項3に記載の車両用ドアロック装置。
【請求項5】
前記アクティブレバーは、前記第一位置または前記第二位置のいずれかに位置するように付勢されつつ、前記ストッパ部から及ぼされる衝撃の方向と反対方向に付勢されるような弾性手段を備えた請求項1または2に記載の車両用ドアロック装置。
【請求項6】
前記弾性手段は、前記アクティブレバーに設けられている請求項5に記載の車両用ドアロック装置。
【請求項7】
前記駆動源はモータであり、前記トルク伝達手段は、外周に前記モータに噛合する歯車機構を有し、前記ストッパ部と前記作動部を一体的に形成した第二回動軸を中心に回動するホイールギヤであり、前記アクティブレバーは、前記第一回動軸を中心とする円弧上に配置された当接面と、前記作動部が嵌入し、前記アクティブレバーを回動させる凹部と、を有する請求項2乃至6に記載の車両用ドアロック装置。
【請求項8】
前記凹部は、前記当接面の一部に配設されている請求項7に記載の車両用ドアロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−248591(P2008−248591A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92016(P2007−92016)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)
【Fターム(参考)】