説明

車両用充電システム

【課題】車両用充電システムにおいて、車両の充放電に柔軟に対応することを可能とし、電力会社との契約を上回らないように電力調整をすることを可能にする。
【解決手段】通常は、給電系統電力線322を使って、配電設備303から充電スタンド302およびそれに接続される車両システム301へ、受電設備からの系統電力による充電が行われる。電力制御部である電力監視部315は、充電スタンド302を介して車両システム301からの充電要求を受信した場合に、給電系統電力線322からのそれ以上の給電が不可能であれば、蓄電池からの放電が可能な車両システム301が接続される充電スタンド302に対応する系統切替部308と、充電要求を送信した充電スタンド302に対応する系統切替部308に、放電系統電力線323への切替えを行わせる。これにより、放電が可能な車両システム301が接続される充電スタンド302から充電要求を送信した車両システム301が接続される充電スタンド302への電力供給が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラグインハイブリット車、EV車(エレクトリックビークル:電気自動車)が急速に発展しており(以下「EV車等」または単に「車両」と呼ぶ)、車の充電を行う充電スタンドや家庭用充電器等の充電ステーションの普及が見込まれる。
【0003】
このような車両の利用者は、充電ステーションに設置された充電スタンドに電源ケーブルによって車両を接続して、車両の蓄電池の充電を行う。
ここで、充電ステーションの運営者は、効率的な経営を行うために、充電スタンドを複数台設置する。運営者は、規定容量の電力契約を電力事業者と結んで充電ステーションを運営し、充電スタンドに電力を供給する受電設備には主幹ブレーカが設置される。
【0004】
このようなケースにおいて、複数の車両がそれぞれ充電スタンドに接続されて充電される場合には、各車両の充電における電力使用量の合計が主幹ブレーカに設定された契約電力量を上回らないようにしなければならない。電力使用量の合計が契約電力量を上回ると、充電ステーションの主幹ブレーカが落ちてしまい、利用者や運営者に大きな影響を及ぼす。
【0005】
ここで、電力の使用契約には、ブレーカ契約とデマンド契約があり、大口顧客はデマンド契約が一般的である。この契約は、例えば過去1年間の間の例えば30分単位で積算された電力使用量(単位積算電力量)のうち最も大きい単位積算電力量を基準に契約料を決定する方式である。30分単位で1回でも単位積算電力量が現在の契約に対応する単位積算電力量を上回ると、1キロワットあたり例えば1000円を基準に契約料がアップする。充電ステーションの運営者は、電力の使用契約としてデマンド契約をする場合が多いと想定される。従って、このような契約下では、複数の車両がそれぞれ充電スタンドに接続されて充電される場合に、各車両の充電における単位積算電力量の合計が現在の契約に対応する単位積算電力量を上回らないようにしないと、契約料がアップしてしまうという課題を有していた。
【0006】
複数のバッテリ駆動車両のバッテリを同時に充電する場合に供給可能な電力定格を超える電力供給を可能とする充電システムの従来技術として、DC−DC電力コンバータが、選択されたバッテリを空にして、他のバッテリに充電するために電力を得ることができるようにし、あるいは、制御システム、及び好ましくは分配コントローラが、1の車両から放電された電力を分配するための電力コンバータ及び/又はスイッチを用いることができ、それによって、他の二次的電力ポート及び/又はDCバスに利用できる電力を補うことができるようにした技術が知られている(例えば特許文献1に記載の技術)。この従来技術は、充電容量が利用可能な時に使われていない車両が充電され、容量が必要な時に他の車両を充電するためにより大きな容量を供給するように前記車両が使われるという充電戦略を有利に許すものである。
【0007】
しかし、上述の従来技術は、充電システム全体がどのような状態のときに供給可能な電力定格を超える電力供給をしようとしており、そのときにどのようにして1の車両から放電された電力を他の車両に分配するのかという具体的な技術について言及されていない。すなわち、供給可能な電力定格を超える電力供給を可能とするために、1の車両の放電を他の車両の充電に使用するというアイデアを具体的に実現できるものではないという問題点を有していた。
【0008】
また、従来は、どの車両を放電用に接続しその車両からどの車両へ充電を行うかを意識して、充電ケーブルの接続を繋ぎかえなければならず、充放電の車両構成に応じて充電設備を含めた接続ケーブルの構成を手動で設定しなければならないという問題点を有していた。
【0009】
さらに近年、床に埋め込まれた給電部の上に車両を移動することにより、充電ケーブルを接続することなく、非接触で車両に充電を行うことができるシステムも開発されている。この場合においても、車両の充放電と電力調整の課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−097825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、車両の充放電に柔軟に対応することを可能とし、電力会社との契約を上回らないように電力調整をすることを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、受電設備からの系統電力を配電設備を介して複数の充電スタンドに供給することにより、各充電スタンドに電力線または非接触充電部を介して電気的に接続される車両内の蓄電池の充電を行う車両用充電システムであって、受電設備からの系統電力を充電スタンドに供給する給電系統電力線と、選択された車両から放電される電力を他の選択された車両に供給する放電系統電力線と、充電スタンドごとに設けられ、給電系統電力線と放電系統電力線とを切り替えてその充電スタンドに接続される車両に電力を供給する系統切替部と、充電スタンドからその充電スタンドに接続される車両からの充電要求を受信した場合に、給電系統電力線の電力使用状況を確認することによりその給電系統電力線から充電要求を送信した車両への給電が可能か否かを判定し、給電が可能であれば、充電要求を送信した充電スタンドに対応する系統切替部に給電系統電力線への切替えを行わせて、配電設備から充電要求を送信した充電スタンドへの系統電力の供給を行わせ、給電が不可能であって放電系統電力線が使用可能であれば、蓄電池からの放電が可能な車両を抽出してその車両が接続される充電スタンドに対応する系統切替部と充電要求を送信した充電スタンドに対応する系統切替部に放電系統電力線への切替えを行わせて、放電が可能な車両が接続される充電スタンドから充電要求を送信した車両が接続される充電スタンドへの電力供給を行わせる電力制御部とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両用充電システムによれば、車両の充放電に柔軟に対応することが可能であり、電力会社との契約を上回らないように電力調整をすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態のシステム接続例を示す構成図である。
【図2】複数車両充電に関する一般的に考えられる従来技術と一実施形態の技術の比較説明図である。
【図3】図1の詳細構成を示す第1の実施形態のシステム構成図である。
【図4】本実施形態の動作シーケンス例を示す図である。
【図5】本実施形態における充電スタンドの制御動作を示すフローチャート(その1)である。
【図6】本実施形態における充電スタンドの制御動作を示すフローチャート(その2)である。
【図7】本実施形態における充電スタンドの制御動作を示すフローチャート(その3)である。
【図8】本実施形態における配電設備の制御動作を示すフローチャート(その1)である。
【図9】本実施形態における配電設備の制御動作を示すフローチャート(その2)である。
【図10】図1の詳細構成を示す第2の実施形態のシステム構成図である。
【図11】非接触充電部方式の説明図である。
【図12】図1の詳細構成を示す第3の実施形態のシステム構成図である。
【図13】図1の詳細構成を示す第4の実施形態のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態のシステム接続例を示す構成図である。
本実施形態は、車両用充電システムとして実施される。そして、特には図示しない受電設備からの系統電力が配電設備103内の電力供給部105を介して複数の充電スタンド102に供給されることにより、各充電スタンド102に充電ケーブルによる電力線または非接触充電部を介して電気的に接続される車両101内の蓄電池の充電が行われる。
【0016】
ここで、図3で詳述するが、本実施形態のシステムは、受電設備からの系統電力を充電スタンド102に供給する給電系統電力線と、選択された車両から放電される電力を他の選択された車両に供給する放電系統電力線を備える。ここで、給電系統電力線は、特には図示しない受電設備から供給される系統電力を充電スタンド102に供給する電力線である。また、放電系統電力線は、選択された車両101から放電されその車両101が接続される充電スタンド102からの電力を他の選択された車両101に接続される充電スタンド102に供給するための電力線であり、系統電力からは分離されている。
【0017】
また、充電スタンド102ごとに設けられ、給電系統電力線と放電系統電力線とを切り替えて充電スタンド102に接続される車両101に電力を供給する系統切替部を備える。ここで、図3で後述する実施形態に示されるように、配電設備から各充電スタンド102に給電系統電力線および放電系統電力線が接続され、各充電スタンド102内にその充電スタンド102に対応する系統切替部を備えるように構成することができる。あるいは、図10で後述する実施形態に示されるように、配電設備から各充電スタンド102に系統電力を供給する電力線を接続し、配電設備103内の各充電スタンドに接続される電力線の収容部分にその充電スタンドに対応する系統切替部を備えるように構成することができる。
【0018】
そして、本実施形態は、例えば配電設備103内に以下の構成を有する電力制御部104を備える。
すなわち、電力制御部104は、充電スタンド102からその充電スタンド102に接続される車両101からの充電要求を受信した場合に、給電系統電力線の電力使用状況を確認する。これにより、電力制御部104は、給電系統電力線から充電要求を送信した車両101への給電が可能か否かを判定する。この確認では例えば、給電系統電力線での現在の使用電力量に充電要求された電力量を加えた電力量が予め設定された使用可能電力量Xを超えるか否かが判定され、超えなければ給電可能、超えれば給電不可能であると判定される。
【0019】
そして、電力制御部104は、給電系統電力線から充電要求を送信した車両101への給電が可能であれば、充電要求を送信した充電スタンド102に対応する系統切替部に給電系統電力線への切替えを行わせる。これにより、配電設備103から充電要求を送信した充電スタンド102への系統電力の供給が行われる。
【0020】
また、電力制御部104は、給電系統電力線から充電要求を送信した車両101への給電が不可能であって放電系統電力線が使用可能であれば、蓄電池からの放電が可能な車両101を抽出する。そして、電力制御部104は、その放電が可能な車両101が接続される充電スタンドに対応する系統切替部と充電要求を送信した充電スタンドに対応する系統切替部に放電系統電力線への切替えを行わせる。これにより、放電が可能な車両が接続される充電スタンド102から充電要求を送信した車両が接続される充電スタンド102への電力供給が行われる。
【0021】
図2は、複数車両充電に関する一般的に考えられる従来技術と図1の構成例を有する本実施形態の技術の比較説明図である。
複数の車両がそれぞれ充電スタンドに接続されて充電される場合における電力使用量を制御する一般的な従来技術として、時間制御方式と電流制御方式が知られている。
【0022】
時間制御方式は、複数の充電スタンド全体で使用される電力のピーク値として設定電力量Xを設定し、複数の充電スタンド全体で電力量Xを超える場合に、その時点の車両の充電を他の車両の充電が終了した後の時間等にずらす方式である。例えば図2(a)で、まず車両Aと車両Bが充電中の状態において、時刻t1で車両Cの充電要求が発生し、この場合に、車両A、B、Cの充電電力量を合計すると設定電力量Xを超えてしまうとする。さらに、時刻t2で車両Dの充電要求も発生したとする。この場合、車両Cの充電動作は、例えば車両Aの充電が終了する時刻t3まで待たされ、車両Dはさらに待たされる。このようにして、時間制御方式では、待ち時間を設けて複数の充電スタンド全体のピーク使用電力量が設定電力量Xの範囲内に収まるように早い者勝ち方式、つまり後から充電開始した車両が待たされる方式で制御される。
【0023】
一方、電流制御方式では、複数の充電スタンド全体のピーク使用電力量が設定電力量Xの範囲内に収まるように各充電スタンドでの使用電力量が決定される。そして、各充電スタンドから各々に接続された各車両に、各充電スタンドでの使用電力量に対応する充電電流値が通知されて、各車両がその通知された充電電流値で充電動作を行う。例えば図2(b)で、まず車両Aと車両Bが充電中の状態において、時刻t1で車両Cの充電要求が発生すると、車両A、B、Cに対応する各充電スタンドでの使用電力量の合計値が設定電力量Xを超えないように各充電スタンドでの使用電力量が決定される。そして、各充電スタンドから各々に接続された各車両A、B、Cに、各充電スタンドでの使用電力量に対応する充電電流値が通知されて、各車両A、B、Cがその通知された充電電流値で充電動作を行う。続いて、時刻t2でさらに車両Dの充電要求が発生すると、車両A、B、C、Dに対応する各充電スタンドでの使用電力量の合計値が設定電力量Xを超えないように各充電スタンドでの使用電力量が再設定される。そして、各充電スタンドから各々に接続された各車両A、B、C、Dに、各充電スタンドでの使用電力量に対応する充電電流値が通知されて、各車両A、B、C、Dがその通知された充電電流値で充電動作を行う。このようにして、時間制御方式では、全車両が充電電流を抑制することにより、充電時間は伸びるが全体として設定電力量Xの範囲内に収まるように、全車両で平等に電力量が抑制される。
【0024】
以上の時間制御方式および電流制御方式は、必要に応じて適用することが可能であるが、図1の構成を有する本実施形態ではそれらの制御方式に優先して、図2(c)に例示されるような制御が実施される。
【0025】
図2(c)において、まず、車両Aと車両Bが給電系統電力線を使って系統電力から配電設備103(図1参照)を介して充電中の状態において、時刻t1で例えば車両Aの充電量が例えば満充電量の80%を超えて放電しても差し支えない状態になって充電を終了したとする。この状態で例えば車両Cの充電要求が発生するが、車両B、Cの合計使用電力量が設定電力量Xに達しておらず、車両Bに加えて車両Cが給電系統電力線を使って系統電力からの充電を開始したとする。
【0026】
さらに例えば、ほぼ同時に車両Dの充電要求が発生し、車両B、C、Dの合計使用電力量が設定電力量Xを超えてしまうとする。この場合、放電可能な車両Aが検索されて車両Aから車両Dへの電力供給が可能であると判定される。この結果、車両Aが接続される充電スタンド102(図1参照)に対応する系統切替部と車両Dが接続される充電スタンド102に対応する系統切替部が、ともに放電系統電力線に接続される。この結果、車両Aが接続される充電スタンド102から車両Dが接続される充電スタンド102に車両Aの放電電力が供給され、車両Dの充電が開始される。
【0027】
さらに時刻t1から一定時間が経過した時刻t2において、車両Aから車両Dへの放電系統電力線を使った充電が一旦終了させられる。そして、この時点で、車両Bの充電量が例えば満充電量の80%を超えて放電しても差し支えない状態になって充電を終了していたとする。この場合、放電可能な車両が再検索されて車両Bから車両Dへの電力供給が可能であると判定される。この結果、車両Bが接続される充電スタンド102に対応する系統切替部と車両Dが接続される充電スタンド102に対応する系統切替部が、ともに放電系統電力線に接続される。この結果、車両Bが接続される充電スタンド102から車両Dが接続される充電スタンド102に車両Aの放電電力が供給され、車両Dの充電が再開される。また、車両Aは、給電系統からの充電状態に復帰する。
【0028】
その後、時刻t2から一定時間が経過した時刻t3において、車両Bから車両Dへの放電系統電力線を使った充電が再び終了させられる。そして、この時点で、車両A、Bの充電量が例えば満充電量の80%を超えており充電を終了していたとする。この場合、残った車両C、Dに対応する充電スタンド102での使用電力量の合計が設定電力量Xを超えなくなるとする。この結果、車両Dが接続される充電スタンド102に対応する系統切替部が放電系統電力線から給電系統電力線に切り替えられ、車両Dへの充電が系統電力からの給電になる。
【0029】
以上の例のようにして、図1の構成を有する本実施形態では、複数の充電スタンド102での使用電力の合計値が設定電力量Xを超える場合において、蓄電池からの放電が可能な車両101が充電スタンド102に接続されている場合には、次のように制御される。すなわち、放電可能な車両101と充電要求を発生させた車両101がそれぞれ接続される充電スタンド102に対応する各系統切替部が、放電系統電力線に接続されるように、電力制御部が制御を実施する。この結果、放電系統電力線を使って放電可能な車両101の蓄電池を放電させて充電要求を発生させた車両101の蓄電池への充電を行うことが可能となり、全体の充電時間の増加と充電要求を発生させた車両101を待たすことを最小限に抑えて、複数の車両101に対する充電を実施することが可能となる。
【0030】
図3は、図1の構成を更に詳細に示す第1の実施形態のシステム構成図である。
図3において、車両システム301(A、B、C)は、図1の車両101に対応する。充電スタンド302(A、B、C)は、図1の充電スタンド102に対応する。配電設備303は、図1の配電設備103に対応する。
【0031】
各車両システム301は、蓄電池304、AC−DC変換部305、通信部306、充電制御部307を備える。
蓄電池304は、車両システム301の走行用モータまたは各種電子機器を駆動する1つ以上の電池である。
【0032】
AC−DC変換部305は、電力線317を介して充電スタンド302から供給されるAC(交流)電力をDC(直流)電力に変換して蓄電池304に充電し、逆に蓄電池304から放電されるDC電力をAC電力に変換して充電スタンド302に出力する。
【0033】
通信部306は、例えばそれが含まれる車両システム301が充電スタンド302に接続される電力線317をそのまま通信線316として使用することにより、電力線通信(PLC:Power Line Communication)方式により、充電スタンド302内の通信部309との間で、後述する各種制御情報を通信する。
【0034】
充電制御部307は、通信部306を介して充電スタンド302と制御情報を通信しながら、AC−DC変換部305による蓄電池304に対する充電または放電の動作を制御する。
【0035】
次に、充電スタンド302は、系統切替部308、通信部309、310、電力測定部311、および制御部312を備える。
系統切替部308は、配電設備303に接続される給電系統電力線322および放電系統電力線323を切り替えて車両システム301に接続される電力線317と接続する。なお、系統切替部308は、給電系統電力線322および放電系統323で示される何れも電力線317から切り離す遮断機能も有する。給電系統電力線322および放電系統電力線323は、図1で説明した給電系統電力線および放電系統電力線と同様である。すなわち、給電系統電力線322は、配電設備303内の遮断器313(図1の電力供給部105に対応する)を介して特には図示しない受電設備から供給される系統電力を充電スタンド302に供給する。放電系統電力線323は、選択された車両101から放電されその車両101が接続される充電スタンド102からの電力を他の選択された車両101に接続される充電スタンド102に配電設備303を経由して供給するための電力線であり、系統電力からは分離されている。
【0036】
通信部309は、その充電スタンド302に接続される車両システム301内の通信部306との間で、前述した電力線317を通信線316として使用することにより、PLC方式により制御情報の通信を行う。
【0037】
通信部310は、配電設備303内の電力監視部315との間で、通信線318を介して後述する各種制御情報の通信を行う。また、通信部310は、電力測定部311から通信線321を介して電力測定値を受信し、それを制御部312に引き渡す。
【0038】
電力測定部311は、給電系統電力線322および放電系統電力線323の各使用電力量を測定し、通信線321、通信部310を介して制御部312に送信する。
制御部312は、通信部309を介して車両システム301と通信を行いながら、また、通信部310を介して配電設備303および電力測定部311と通信を行いながら、制御線320を介して系統切替部308を切り替え制御する。
【0039】
続いて、配電設備303は、遮断器313、電力測定部314、および電力監視部315を備える。
遮断器313は、特には図示しない受電設備から供給される系統電力を、必要に応じて遮断制御しながら、各充電スタンド302に接続される給電系統電力線322に供給する。
【0040】
電力測定部314は、給電系統電力線322および放電系統電力線323の各使用電力量を測定し、通信線324を介して電力監視部315に通知する。
電力監視部315は、各充電スタンド302および電力測定部314と後述する各種制御情報を通信しながら、各充電スタンド302に対する電力供給を制御する。
【0041】
上述の電力監視部315と電力測定部314は、図1の電力制御部104に対応する。
以上の構成を有する実施形態の詳細な動作例について、以下に説明する。
図4は、図3の構成を有する実施形態の制御動作のシーケンス例を示す図である。図4において、図3におけるA、B、Cの各車両システム301を、車両システムA、車両システムB、車両システムCと呼ぶ。同様に、A、B、Cの充電スタンド302を、充電スタンドA、充電スタンドB、充電スタンドCと呼ぶ。また、図4においては、充電スタンドCに接続される車両Cにおいて、給電系統電力線322、充電スタンドCの系統切替部308、および電力線317を介して、系統電力からの充電が継続的に行われているとする。
【0042】
この状態で、まず、車両システムAにおいて、充電スタンドAに接続されて充電操作がなされる(シーケンスS401)。
これにより、車両システムAの充電制御部307から通信部306、通信線316を介して、充電スタンドAの通信部309から制御部312に、充電準備信号が受信される(シーケンスS402)。
【0043】
これを受けて、充電スタンドAの制御部312は、通信部310、通信線318を介して、配電設備303内の電力監視部315に、給電準備信号を送信する(シーケンスS403)。
【0044】
これを受けて、電力監視部315は、電力測定部314を介して、給電系統電力線322での車両システムC+車両システムAの使用電力量が設定電力量Xを超えていないか否かの電力監視を行う(シーケンスS404)。
【0045】
この結果、電力監視部315は例えば、給電系統電力線322での車両システムAの利用が使用可と判定すると、給電系統利用可能信号を、通信線318および通信部310を介して、充電スタンドAの制御部312に通知する(シーケンスS405)。
【0046】
充電スタンドAの制御部312は、給電系統利用可能信号を受信すると、制御線320を介して系統切替部308を制御し、給電系統電力線322を車両システムAが接続される電力線317に接続させる(シーケンスS406)。
【0047】
続いて、充電スタンドAの制御部312は、通信部309、通信線316、通信部306を介して、車両システムA内の充電制御部307に、給電すべき電流値を通知する(シーケンスS407)。より具体的には、通信部309は通信部306に、PLC方式または無線方式により、給電電流値を通知する。
【0048】
車両システムAの充電制御部307は、通信部306、通信線316、通信部309を介して充電スタンドAの制御部312に、充電通知信号を通知する(シーケンスS408)。
【0049】
その後、車両システムAでは、充電制御部307がAC−DC変換部305を制御することにより、通知された給電電流値に対応する電流量で充電スタンドAから電力線317、AC−DC変換部305を介して、系統電力による蓄電池304への充電が開始される(シーケンスS409)。
【0050】
充電スタンドAの制御部312は、車両システムAから充電通知信号を受信すると、通信部310および通信線318を介して配電設備303内の電力監視部315に、充電中信号を通知する(シーケンスS410)。
【0051】
その後、車両システムBにおいて、充電スタンドBに接続されて充電操作がなされる(シーケンスS411)。
これにより、車両システムBの充電制御部307から通信部306、通信線316を介して、充電スタンドBの通信部309から制御部312に、充電準備信号が受信される(シーケンスS412)。
【0052】
これを受けて、充電スタンドBの制御部312は、制御部310、通信線318を介して、配電設備303内の電力監視部315に、給電準備信号を送信する(シーケンスS413)。
【0053】
これを受けて、電力監視部315は、電力測定部314を介して、給電系統電力線322での車両システムC+車両システムA+車両システムBの使用電力量が設定電力量Xを超えていないか否かの電力監視を行う(シーケンスS414)。
【0054】
この結果、電力監視部315は例えば、給電系統電力線322での車両システムBの利用が使用不可と判定すると、給電系統利用不可信号を、通信線318および通信部310を介して、充電スタンドBの制御部312に通知する(シーケンスS415)。
【0055】
充電スタンドBの制御部312は、通信部309、通信線316、通信部306を介して、車両システムBの充電制御部307に、充電待機信号を通知する(シーケンスS416)。この結果、車両システムBは、充電待機状態となる。
【0056】
配電設備303の電力監視部315は、給電系統利用不可信号を通知した後、放電系統電力線323が未使用状態で使用可能か否か、および蓄電池304の充電状態が十分で放電可能な車両システム301が存在するか否かを判定する。充電状態が十分か否かは、各充電スタンド302での充電経過時間または充電状態により判定する。この結果例えば、電力監視部315が、充電スタンドAの車両システムAの蓄電池304が放電可能であると判定すると、通信線318および通信部310を介して充電スタンドAの制御部312に、放電開始要求信号を通知する(シーケンスS417)。
【0057】
充電スタンドAの制御部312は、放電開始要求信号を受信すると、通信部309,通信線316、通信部306を介して、車両システムAの充電制御部307に、充電停止要求信号を通知する(シーケンスS418)。
【0058】
車両システムAの充電制御部307は、充電停止要求信号を受信すると、通信部306、通信線316、通信部309を介して、充電スタンドAの制御部312に、充電停止通知信号を通知し(シーケンスS419)、充電動作を停止する(シーケンスS420)。
【0059】
充電スタンドAの制御部312は、配電設備303から放電開始要求信号を受信し車両システムAに充電停止要求信号を通知した後に車両システムAから上記充電停止通知信号を受信すると、制御線320を介して系統切替部308を制御する(シーケンスS421)。これにより、車両Aに接続される電力線317への接続が、給電系統電力線322から放電系統電力線323に切り替わる。
【0060】
続いて、充電スタンドAの制御部312は、通信部309、通信線316、および通信部306を介して車両Aの充電制御部307に、放電開始要求信号を通知する(シーケンス422)。
【0061】
車両Aの充電制御部307は、放電開始要求信号を受信すると、通信部306、通信線316、および通信部309を介して充電スタンドAの制御部312に、放電通知信号を通知する(シーケンスS423)。
【0062】
その後、車両Aの充電制御部307は、AC−DC変換部305を制御し、蓄電池304からAC−DC変換部305および電力線317を介して充電スタンドAへの電力の放電を開始させる(シーケンスS424)。これにより、充電スタンドAは、車両Aの蓄電池304からの放電電力を受信可能な状態になる。
【0063】
充電スタンドAの制御部312は、車両Aから放電通知信号を受信すると、通信部310および通信線318を介して配電設備303の電力監視部315に、放電中信号を通知する(シーケンスS425)。
【0064】
電力監視部315は、充電スタンドAから放電中信号を受信すると、電力測定部314を介して放電系統電力線323に電力が上がってきているか否かを監視する(シーケンスS426)。
【0065】
電力監視部315は、放電系統電力線323に電力が上がってきたと判定したら、放電系統利用可能信号を、通信線318および通信部310を介して、充電スタンドBの制御部312に通知する(シーケンスS427)。
【0066】
充電スタンドBの制御部312は、制御線320を介して系統切替部308を制御し、放電系統電力線323を車両システムBが接続される電力線317に接続させる(シーケンスS428)。
【0067】
続いて、充電スタンドBの制御部312は、通信部309、通信線316、通信部306を介して、車両システムB内の充電制御部307に、PLC方式または無線方式を使って、給電すべき電流値を通知する(シーケンスS429)。
【0068】
車両システムBの充電制御部307は、通信部306、通信線316、通信部309を介して充電スタンドBの制御部312に、充電通知信号を通知する(シーケンスS430)。
【0069】
その後、車両システムBでは、充電制御部307がAC−DC変換部305を制御することにより、通知された給電電流値に対応する電流量で充電スタンドBから電力線317、AC−DC変換部305を介して、車両Aからの放電電力による蓄電池304への充電が開始される(シーケンスS431)。
【0070】
充電スタンドBの制御部312は、車両システムBから充電通知信号を受信すると、通信部310および通信線318を介して配電設備303内の電力監視部315に、充電中信号を通知する(シーケンスS432)。
【0071】
電力監視部315は、充電スタンドBに放電系統利用可能信号を送信した後に同じ充電スタンドBから充電中信号を受信すると、タイマを起動して放電による充電を開始した充電スタンドBに関して一定時間待機状態となる(シーケンスS433)。
【0072】
タイマによる一定時間のタイムアップ後、電力監視部315は、通信線318および通信部310を介して充電スタンドBの制御部312に、充電停止要求信号を通知する(シーケンスS434)。
【0073】
一定時間後に、放電による充電の停止要求を発行するのは、あまり長い時間充電が継続することにより、放電元の車両Aの蓄電池304の充電容量が低下しすぎないようにするためである。
【0074】
充電スタンドBの制御部312は、充電動作中に充電停止要求信号を受信すると、通信部309,通信線316、通信部306を介して、車両システムBの充電制御部307に、充電停止要求信号を通知する(シーケンスS435)。
【0075】
車両システムBの充電制御部307は、充電停止要求信号を受信すると、通信部306、通信線316、通信部309を介して、充電スタンドBの制御部312に、充電停止通知信号を通知し(シーケンスS436)、充電動作を停止する(シーケンスS437)。なお、車両システムBは、すでに自身が充電動作を終了していた場合も、充電停止要求信号を受信すると、充電停止通知信号を充電スタンドBに通知する。
【0076】
充電スタンドBの制御部312は、配電設備303から充電停止要求信号を受信し車両システムBに充電停止要求信号を通知した後に車両システムBから上記充電停止通知信号を受信すると、通信部310および通信線318を介して電力監視部315へ、充電終了信号を通知する(シーケンスS438)。
【0077】
電力監視部315は、放電による充電を行っていた充電スタンドBから充電終了信号を受信すると、通信線318および通信部310を介して放電元の充電スタンドAの制御部312に、放電停止要求信号を通知する(シーケンスS439)。
【0078】
充電スタンドAの制御部312は、放電停止要求信号を受信すると、通信部309、通信線316、通信部306を介して、車両Aの充電制御部307に、放電停止要求信号を通知する(ステップS440)。
【0079】
車両Aの充電制御部307は、放電停止要求信号を受信すると、通信部306,通信線316,通信部309を介して、充電スタンドAの制御部312に、放電停止通知信号を通知する(ステップS441)。
【0080】
その後、車両Aの充電制御部307は、AC−DC変換部305を制御して、蓄電池304からの放電動作を停止する(ステップS442)。
充電スタンドAの制御部312は、放電停止信号を受信すると、制御線320を介して系統切替部308を制御し、給電系統電力線322を車両システムAが接続される電力線317に接続させる(シーケンスS444)。
【0081】
続いて、充電スタンドAの制御部312は、通信部309、通信線316、通信部306を介して、車両システムA内の充電制御部307に、PLC方式または無線方式を使って、給電すべき電流値を通知する(シーケンスS445)。
【0082】
車両システムAの充電制御部307は、通信部306、通信線316、通信部309を介して充電スタンドAの制御部312に、充電通知信号を通知する(シーケンスS446)。
【0083】
その後、車両システムAでは、充電制御部307がAC−DC変換部305を制御することにより、通知された給電電流値に対応する電流量で充電スタンドAから電力線317、AC−DC変換部305を介して、系統電力による蓄電池304への充電が開始される(シーケンスS447)。
【0084】
充電スタンドAの制御部312は、車両システムAから充電通知信号を受信すると、通信部310および通信線318を介して配電設備303内の電力監視部315に、充電中信号を通知する(シーケンスS448)。
【0085】
以上の制御の後、例えば車両Bの蓄電池304への充電が不十分であるときには、車両Bから充電スタンドBに、再び充電準備信号が通知される。これにより、放電可能な車両が新たに検索されて、上記シーケンスS413以降と同様の制御動作が実行される。
【0086】
以上のようにして、図3に示される実施形態では、電力監視部315は、充電スタンド302からその充電スタンド302に接続される車両システム301からの充電要求である充電準備信号を受信した場合に、給電系統電力線322の電力使用状況を確認する。これにより、電力監視部315は、給電系統電力線322から充電準備信号を送信した車両システム301への給電が可能か否かを判定する。
【0087】
そして、電力監視部315は、給電系統電力線322から充電要求を送信した車両システム301への給電が可能であれば、充電準備信号を送信した充電スタンド302に対応する系統切替部308に給電系統電力線322への切替えを行わせる。これにより、配電設備103から充電準備信号を送信した充電スタンド302への系統電力の供給が行われる。
【0088】
また、電力監視部315は、給電系統電力線322から充電準備信号を送信した車両システム301への給電が不可能であって放電系統電力線323が使用可能であれば、蓄電池304からの放電が可能な車両システム301を抽出する。そして、電力監視部315は、その放電が可能な車両システム301が接続される充電スタンド302に対応する系統切替部308と充電準備信号を送信した充電スタンド302に対応する系統切替部308に放電系統電力線323への切替えを行わせる。これにより、放電が可能な車両システム301が接続される充電スタンド302から充電準備信号を送信した車両システム301が接続される充電スタンド302への電力供給を行うことが可能となる。
【0089】
図5、図6、および図7は、本実施形態における充電スタンドの制御動作を示すフローチャートである。このフローチャートの制御動作は、図3の充電スタンド302の制御部312内の特には図示しないCPU(中央演算処理装置)が特には図示しないメモリに記憶された制御プログラムを実行する制御動作として実現される。
【0090】
以下、図5、図6、および図7の各ステップの処理について、図4の動作シーケンス例と対比させながら説明する。また、以下の説明では、随時図3に示される実施形態のシステム構成図を参照するものとする。
【0091】
まず、制御部312は、充電スタンド302に対応する車両システム301の充電制御部307から通信部306、通信線316を介して、充電準備信号が受信されたか否かを判定する(図5のステップS501)。
【0092】
ステップS501の判定がNOならば、制御部312は、ステップS501の判定処理を繰り返し実行する。
ステップS501の判定がYESならば、制御部312は、通信部310、通信線318を介して、配電設備303内の電力監視部315に、給電準備信号を送信する(シーケンスS502)。この処理は、図4のシーケンスS402およびS403の動作に対応する。
【0093】
次に、制御部312は、配電設備303内の電力監視部315から、通信線318および通信部310を介して給電系統利用可能信号が受信されたか否かを判定する(ステップS503)。
【0094】
給電系統利用可能信号が受信されステップS503の判定がYESになると、制御部312は、制御線320を介して系統切替部308を制御し、給電系統電力線322を車両システム301が接続される電力線317に接続させる系統切替えを実施する(ステップS506)。この処理は、図4のシーケンスS405およびS406の動作に対応する。
【0095】
給電系統利用可能信号が受信されずステップS503の判定がNOならば、制御部312は、配電設備303内の電力監視部315から通信線318および通信部310を介して、放電系統利用可能信号が受信されたか否かを判定する(ステップS504)。
【0096】
放電系統利用可能信号が受信されてステップS504の判定がYESになると、制御部312は、制御線320を介して系統切替部308を制御し、放電系統電力線323を車両システム301が接続される電力線317に接続させる(ステップS507)。この処理は、図4のシーケンスS427およびS428の動作に対応する。
【0097】
放電系統利用可能信号ではなくて放電系統利用不可信号が受信されてステップS504の判定がNOならば、制御部312は、通信部309、通信線316、通信部306を介して、車両システム301の充電制御部307に、充電待機信号を通知する(ステップS505)。この処理は、図4のシーケンスS415およびS416の動作に対応する。
【0098】
その後、制御部312は、ステップS503の処理に戻り、ステップS503→S504→S505→S503の処理群を繰り返し実行する状態になる。
ステップS506またはS507の処理の後、制御部312は、通信部309、通信線316、通信部306を介して、車両システム301内の充電制御部307に、給電すべき電流値を通知する(ステップS508)。この処理は、図4のシーケンスS407、S429、またはS445の動作に対応する。
【0099】
次に、制御部312は、車両システム301の充電制御部307から、通信部306、通信線316、通信部309を介して、一定時間内に、充電通知信号を受信したか否かを判定する(ステップS509)。この処理は、図4のシーケンスS408、S430、またはS446の動作に対応する。
【0100】
制御部312は、一定時間内に充電通知信号を受信できずステップS509の判定がNOの場合には、ステップS501の処理に戻って、車両システム301からの充電準備信号の受信待ち状態に戻る。
【0101】
制御部312は、一定時間内に充電通知信号を受信できてステップS509の判定がYESとなった場合には、通信部310および通信線318を介して配電設備303内の電力監視部315に、充電中信号を通知する(ステップS510)。この処理は、図4のシーケンスS410、S432、またはS448の動作に対応する。
【0102】
上述のようにして自身が充電中の状態になった後、制御部312は、電力測定部311を介して給電系統電力線322または放電系統電力線323の充電電流を監視する(図6のステップS511)。これにより、制御部312は、充電動作が完了したか否かを監視する(ステップS512)。充電動作が完了しておらずステップS511の判定がNOならば、配電設備303内の電力監視部315から通信線318および通信部310を介して、充電停止要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS513)。充電停止要求信号を受信しておらずステップS512の判定もNOならば、配電設備303内の電力監視部315から通信線318および通信部310を介して、放電開始要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS517)。そして、放電開始要求信号も受信しておらずステップS513の判定がNOならば、制御部312は、ステップS511の処理に戻る。このようにして、制御部312は、自身が充電中の状態になった後、充電完了、配電設備303からの充電停止要求信号の受信、配電設備303からの放電開始要求信号の受信のいずれかが発生したか否かを繰り返し監視する。
【0103】
ステップS511からS514の繰返し監視処理において、電力測定部311での給電系統電力線322または放電系統電力線323の充電電流の監視の結果、充電動作が完了してステップS512の判定がYESになると、制御部312は、特には図示しないが、配電設備303の電力監視部315に給電停止(充電終了)信号を送信した後、図5のステップS501の処理に戻り、車両システム301からの充電準備信号の受信待ちの状態に戻る。
【0104】
また、ステップS511からS514の繰返し監視処理において、配電設備303から充電停止要求信号が受信されステップS513の判定がYESになると、制御部312は、通信部309,通信線316、通信部306を介して、車両システム301の充電制御部307に、充電停止要求信号を送信する(ステップS515)。この処理は、図4のシーケンスS434、S435の動作に対応する。
【0105】
ステップS514の処理の後、制御部312は、車両システム301の充電制御部307から通信部306、通信線316、通信部309を介して、一定時間内に、充電停止通知信号を受信したか否かを判定する(ステップS516)。
【0106】
車両システム301から一定時間内に充電停止通知信号が受信できずステップS515の判定がNOならば、制御部312は、ステップS511からS514の繰返し監視処理に戻る。
【0107】
制御部312は、車両システム301から一定時間内に充電停止通知信号が受信できてステップS515の判定がYESになると、制御部312は、通信部310および通信線318を介して配電設備303内の電力監視部315へ、充電終了信号を送信する(ステップS517)。この処理は、図4のシーケンスS436およびS438の動作に対応する。
【0108】
ステップS517の処理の後、制御部312は、図5のステップS501の処理に戻り、車両システム301からの充電準備信号の受信待ちの状態に戻る。
さらに、ステップS511からS514の繰返し監視処理において、配電設備303から放電開始要求信号が受信されステップS514の判定がYESになると、制御部312は、通信部309,通信線316、通信部306を介して車両システム301の充電制御部307に、充電停止要求信号を送信する(ステップS518)。この処理は、図4のシーケンスS418の動作に対応する。
【0109】
ステップS518の処理の後、制御部312は、車両システム301の充電制御部307から通信部306、通信線316、通信部309を介して、一定時間内に、充電停止通知信号を受信したか否かを判定する(ステップS519)。
【0110】
車両システム301から一定時間内に充電停止通知信号を受信できずステップS519の判定がNOならば、制御部312は、通信部310、通信線318を介して配電設備303内の電力監視部315に、放電不可信号を送信する(ステップS520)。その後、制御部312は、ステップS511からS514の繰返し監視処理に戻る。
【0111】
車両システム301から一定時間内に充電停止通知信号を受信できてステップS519の判定がYESになると、制御部312は、制御線320を介して系統切替部308を制御し、放電系統電力線323を車両システム301が接続される電力線317に接続させる系統切替えを実施する(ステップS521)。この処理は、図4のシーケンスS419およびS421の動作に対応する。
【0112】
ステップS521の処理の後、制御部312は、通信部309、通信線316、および通信部306を介して車両Aの充電制御部307に、放電開始要求信号を送信する(ステップS522)。この処理は、図4のシーケンスS422の動作に対応する。
【0113】
続いて、制御部312は、車両システム301の充電制御部307から通信部306、通信線316、および通信部309を介して、一定時間内に、放電通知信号を受信したか否かを判定する(ステップS523)。
【0114】
制御部312は、一定時間内に放電通知信号を受信できずステップS523の判定がNOの場合には、通信部310および通信線318を介して配電設備303内の電力監視部315に、放電不可信号を送信する(ステップS525)。その後、制御部312は、ステップS501の処理に戻って、車両システム301からの充電準備信号の受信待ち状態に戻る。
【0115】
制御部312は、一定時間内に放電通知信号を受信できてステップS523の判定がYESとなった場合には、通信部310および通信線318を介して配電設備303内の電力監視部315に、放電中信号を通知する(ステップS524)。この処理は、図4のシーケンスS423、S425の動作に対応する。
【0116】
上述のようにして自身が放電中の状態になった後、制御部312は、電力測定部311を介して放電系統電力線323の放電電流を監視する(図7のステップS526)。これにより、制御部312は、充放電動作が完了したか否かを監視する(ステップS527)。充放電動作が完了しておらずステップS527の判定がNOならば、配電設備303内の電力監視部315から通信線318および通信部310を介して、放電停止要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS528)。放電停止要求信号を受信しておらずステップS528の判定もNOならば、制御部312は、ステップS526の処理に戻る。このようにして、制御部312は、自身が放電中の状態になった後、充放電完了、配電設備303からの放電停止要求信号の受信のいずれかが発生したか否かを繰り返し監視する。
【0117】
ステップS526からS528の繰返し監視処理において、電力測定部311での放電系統電力線323の放電電流の監視の結果、充放電動作が完了してステップS527の判定がYESになると、制御部312は、図5のステップS501の処理に戻り、車両システム301からの充電準備信号の受信待ちの状態に戻る。
【0118】
また、ステップS526からS528の繰返し監視処理において、配電設備303から放電停止要求信号が受信されステップS528の判定がYESになると、制御部312は、通信部309,通信線316、通信部306を介して、車両システム301の充電制御部307に、放電停止要求信号を送信する(ステップS529)。この処理は、図4のシーケンスS439、S440の動作に対応する。
【0119】
ステップS529の処理の後、制御部312は、車両システム301の充電制御部307から通信部306、通信線316、通信部309を介して、一定時間内に、放電停止通知信号を受信したか否かを判定する(ステップS530)。
【0120】
車両システム301から一定時間内に放電停止通知信号が受信できずステップS530の判定がNOならば、制御部312は、ステップS526からS528の繰返し監視処理に戻る。
【0121】
制御部312は、車両システム301から一定時間内に放電停止通知信号が受信できてステップS530の判定がYESになると、制御部312は、通信部310および通信線318を介して配電設備303内の電力監視部315へ、放電停止信号を送信する(ステップS532)。この処理は、図4のシーケンスS441およびS443の動作に対応する。
【0122】
その後、制御部312は、電力測定部311を介して放電系統電力線323の電圧を確認し(ステップS532)、放電系統電力線323から給電系統電力線322への系統の切替えが可能であるか否かを判定する(ステップS533)。そして、制御部312は、切替えが可能でありステップS533の判定がYESならば、系統切替部308を制御して放電系統電力線323から給電系統電力線322への切替えを行う(ステップS534)。
【0123】
制御部312は、ステップS533の判定がNOの場合またはステップS534の処理の後、図5のステップS501の処理に戻り、車両システム301からの充電準備信号の受信待ちの状態に戻る。
【0124】
図8および図9は、本実施形態における配電設備303の制御動作を示すフローチャートである。このフローチャートの制御動作は、図3の配電設備303の電力監視部315内の特には図示しないCPUが特には図示しないメモリに記憶された制御プログラムを実行する制御動作として実現される。
【0125】
以下、図8および図9の各ステップの処理について、図4の動作シーケンス例と対比させながら説明する。また、以下の説明では、随時図3に示される実施形態のシステム構成図を参照するものとする。
【0126】
まず、電力監視部315は、稼働開始時に、設定電力量である給電可能電力Xを内部の特には図示しないメモリに登録する(ステップS801)。
次に、電力監視部315は、充電スタンド302の制御部312から通信部310、通信線318を介して、給電準備信号を受信したか否かを判定する(ステップS802)。
【0127】
給電準備信号を受信しておらずステップS802の判定がNOならば、電力監視部315は、充電スタンド302の制御部312から通信部310、通信線318を介して、給電停止(充電終了)信号を受信したか否かを判定する(ステップS803)。
【0128】
給電停止(充電終了)信号も受信しておらずステップS803の判定がNOならば、電力監視部315は、ステップS802の処理に戻り、このようにして、ステップS802とS803の監視処理を繰り返し実行する。
【0129】
ステップS802とS803の繰返し監視処理において、給電停止(充電終了)信号を受信しステップS803の判定がYESになると、1つの車両システム301に対する充電が終了してその車両システム301の分の電力量Cが不要となる。このため、電力監視部315は、メモリ上の給電可能電力Xの値を、X=X+C としてCだけ増加させる(ステップS804)。その後、電力監視部315は、ステップS802とS803の繰返し監視処理に戻る。
【0130】
ステップS802とS803の繰返し監視処理において、給電準備信号を受信しステップS802の判定がYESになると、電力監視部315は、給電準備信号によって充電要求が発生した車両システム301に対して車両最大電力Bを特には図示しないメモリに登録する(ステップS805)。この処理は、図4のシーケンスS403の動作に対応する。
【0131】
次に、電力監視部315は、給電系統電力線322の使用電力、すなわち給電可能電力Xをメモリから取得する(ステップS806)。そして、電力監視部315は、給電可能電力Xが車両最大電力Bよりも多いか否か、すなわち、X−B>0 であるか否かを判定する(ステップS807)。この処理は、図4のシーケンスS404またはS414の動作に対応する。
【0132】
給電可能電力Xが車両最大電力Bよりも余力がありステップS807の判定がYESならば、電力監視部315は、通信線318および通信部310を介して充電スタンド302の制御部312に、給電系統利用可能信号を送信する(ステップS808)。この処理は、図4のシーケンスS405の動作に対応する。
【0133】
続いて、電力監視部315は、充電スタンド302の制御部312から通信部310および通信線318を介して、一定時間内に、充電中信号を受信したか否かを判定する(ステップS809)。
【0134】
充電中信号を一定時間内に受信できずステップS809の判定がNOならば、電力監視部315は、ステップS802およびS803の繰返し監視処理に戻る。
充電中信号を一定時間内に受信できステップS809の判定がYESになると、1つの車両システム301に対する充電が新たに開始されてその車両システム301の分の電力量Bが必要となる。このため、電力監視部315は、メモリ上の給電可能電力Xの値を、X=X−B としてBだけ減少させる(ステップS810)。その後、電力監視部315は、ステップS802とS803の繰返し監視処理に戻る。この処理は、図4のシーケンスS410の動作に対応する。
【0135】
給電可能電力Xが車両最大電力Bに対して余力がなくステップS807の判定がNOになると、電力監視部315は、通信線318および通信部310を介して充電スタンド302の制御部312に、給電系統利用不可信号を送信する(ステップS811)。この処理は、図4のシーケンスS415の動作に対応する。
【0136】
電力監視部315は、給電系統利用不可信号を送信した後、放電系統電力線323の電圧をチェックする(ステップS812)。これにより、電力監視部315は、放電系統電力線323が未使用状態で使用可能か否かを判定する(ステップS813)。
【0137】
電力監視部315は、放電系統電力線323が使用状態でステップS813の判定がNOの場合には、ステップS802およびS803の繰返し監視処理に戻る。
電力監視部315は、放電系統電力線323が未使用状態でステップS813の判定がYESの場合には、蓄電池304の充電状態が十分で放電対象とすることのできる車両システム301を選定する(ステップS814)。この選定は例えば、各充電スタンド302での充電経過時間に基づいて行う。
【0138】
ステップS814で車両システム301を選定できると、電力監視部315は、選定した車両システム301が接続されている充電スタンド302に対応する通信線318および通信部310を介してその制御部312に、放電開始要求信号を送信する(図9のステップS815)。この処理は、図4のシーケンスS417の動作に対応する。
【0139】
その後、電力監視部315は、選定した車両システム301が接続されている充電スタンド302に対応する通信部310および通信線318を介してその制御部312から、一定時間内に、放電中信号を受信したか否かを判定する(ステップS816)。
【0140】
一定時間内に放電中信号を受信できずステップS816の判定がNOならば、電力監視部315は、後述するステップS826の処理に進む。
一定時間内に放電中信号を受信できステップS816の判定がYESになると、電力監視部315は、電力測定部314を介して放電系統電力線323の電圧をチェックし(ステップS817)、さらに一定時間内に、放電系統電力線323に電圧が上がってきたか否かを判定する(ステップS818)。この処理は、図4のシーケンスS425およびS426の動作に対応する。
【0141】
一定時間内に放電系統電力線323に電圧が発生せずステップS818の判定がNOならば、電力監視部315は、ステップS826の処理に進む。ステップS826については後述する。
【0142】
一定時間内に放電系統電力線323に電圧が上がってきてステップS818の判定がYESになると、放電系統電力線323の使用によって車両最大電力Aの分だけ余力が生まれるため、電力監視部315は、メモリ上の給電可能電力Xの値を、X=X+Aとして、車両最大電力Aの分だけ増加させる(ステップS819)。
【0143】
その後、電力監視部315は、図8のステップS807でNOと判定したときの充電スタンド302に対応する通信線318および通信部310を介してその制御部312に、放電系統利用可能信号を送信する(ステップS820)。この処理は、図4のシーケンスS427の動作に対応する。
【0144】
その後、電力監視部315は、ステップS820で放電系統利用可能信号を送信した充電スタンド302に対応する通信部310および通信線318を介してその制御部312から、一定時間内に、充電中信号を受信したか否かを判定する(ステップS821)。
【0145】
一定時間内に充電中信号を受信できずステップS821の判定がNOならば、電力監視部315は、後述するステップS826の処理に進む。
一定時間内に充電中信号を受信できステップS821の判定がYESになると、電力監視部315は、その充電中信号を受信し放電系統電力線323を使用して充電を開始した充電スタンド302について、一定の充電時間を計時するためのタイマをスタートさせる(ステップS822)。この処理は、図4のシーケンスS432およびS433の動作に対応する。
【0146】
その後、電力監視部315は、上記タイマの終了を監視する(ステップS823)。
電力監視部315は、上記タイマが終了してステップS823の判定がYESになると、そのタイマが計時された充電スタンド105に対応する通信部310および通信線318を介してその制御部312から、充電終了信号を受信しているか否かを判定する(ステップS824)。タイマの終了前に上記充電スタンド302が充電を終了していれば、充電終了信号が届いている(図6のステップS512の処理による)。逆に、タイマの終了前に上記充電スタンド302が充電を終了していなければ、充電終了信号は届いていない。あまり長い時間放電による充電動作を継続すると、放電元の車両システム301の蓄電池304の充電容量が低下してしまう。
【0147】
そこで、タイマ終了時に充電終了信号が届いておらずステップS824の判定がNOならば、電力監視部315は、放電による充電動作を実行中の充電スタンド302に接続されている車両システム301の充電を停止させるために、上記タイマが計時された充電スタンド105に対応する通信線318および通信部310を介してその制御部312に、充電停止要求信号を送信する(ステップS825)。この処理は、図4のシーケンスS434の動作に対応する。
【0148】
その後、電力監視部315は、該当する充電スタンド302から充電終了信号が受信されるまで、ステップS824とS825の処理を繰り返し実行する。
上記タイマが計時された充電スタンド105から充電終了信号が受信してステップS824の判定がYESになると、電力監視部315は、ステップS826の処理に進む。この処理は、図4のシーケンスS438の動作に対応する。
【0149】
ステップS826の処理は、上記ステップS824の判定がYESとなる場合のほか、前述したステップS816、S818、S821の判定がそれぞれNOの場合にも実行される。ステップS826とそれに続くS827の処理は、放電による充電動作が終了した場合、または放電による充電動作に入ったが実際には開始できなかった場合に、放電元の車両システム301および充電スタンド302に対して放電を停止させるために実行される。
【0150】
まず、電力監視部315は、図8のステップS814で放電元として選定した車両システム301に対応する充電スタンド302に、それに対応する通信線318および通信部310を介してその制御部312に、放電停止要求信号を送信する(ステップS826)。この処理は、図4のシーケンスS439の動作に対応する。
【0151】
そして、電力監視部315は、上記充電スタンド302の制御部312から、それに対応する通信部310および通信線318を介して放電停止信号が受信したか否かを判定し(ステップS827)、受信されなければ再度ステップS826とS827を繰り返し実行する。
【0152】
電力監視部315は、放電停止信号を受信してステップS827の判定がYESになると、ステップS802の給電準備信号の受信監視とステップS803の給電停止(充電終了)信号の受信監視の繰返し処理に戻る。この処理は、図4のシーケンスS443の動作に対応する。
【0153】
図10は、図1の構成を更に詳細に示す第2の実施形態のシステム構成図である。
図10の構成において、図3の第1の実施形態の場合と同じ機能を有する部分には同じ番号を付してある。
【0154】
図3では、給電系統電力線322と放電系統電力線323が各充電スタンド302に接続され、それらを切り替える系統切替部308が各充電スタンド302内に設置されている。これに対して、図10では、各充電スタンド302には、それぞれ1本の電力線1003が接続されて、各充電スタンド302は遮断部1001のみを備える。そして、配電設備303内には各電力線1003を収容する各部分に、系統切替部1002が設置される。
【0155】
図3の実施形態では、配電設備303内の電力監視部315は、各充電スタンド302と通信をしながら各充電スタンド302内の系統切替部308を切り替える制御を行う。これに対して、図10の実施形態では、配電設備303内の電力監視部315は、自設備内の各系統切替部1002を直接制御して、給電系統電力線322と放電系統電力線323の切替えを行う。
【0156】
図10の構成では、配電設備303内の電力監視部315と各充電スタンド302内の各制御部312との制御情報を簡略化させることが可能となる。
上述の各実施形態は、充電ケーブルを車両に機械的に接続して充電を行う充電システムに具体化したが、充電ケーブルを使用せずに、車両と充電部(地上側設備)を電気的に接続して充電を行う非接触式の充電システムに具体化してもよい。図11に示されるように、非接触式の充電システムでは、車両10側に取り付けられた受電側コイル35と、充電ステーションの床に埋設された地上側設備36の送電側コイル37と、を整合させるようにして車両10を停車させる。このとき、受電側コイル35と送電側コイル37は、離間して非接触の状態とされる。そして、非接触式の充電システムでは、送電側コイル37からの電力を受電側コイル35で受電することにより、車両10の蓄電池に充電が行われる。このような非接触式の充電システムの方式には、共鳴方式や電磁誘導方式がある。また、非接触式の充電システムでは、車両10に搭載される車両側コントローラ38と、地上側設備36に設置される電源側コントローラ39とが、無線にて通信できるようになっている。すなわち、充電開始/停止信号など、充電に必要な信号の送受信が、車両側コントローラ38と電源側コントローラ39との間で無線通信で行われる。
【0157】
図12は、図1の構成を更に詳細に示す第3の実施形態のシステム構成図である。
図12の第3の実施形態の構成は図3の第1の実施形態の構成をベースにしている。図12の構成において、図3の第1の実施形態の場合と同じ機能を有する部分には同じ番号を付してある。
【0158】
図12の構成が図3の構成と異なる点は、充電スタンド302と車両システム301の間の充電および通信が、充電ケーブルを用いた電力線317および通信線316によるケーブル接続ではなく、図11で説明したような非接触充電部および無線通信によるものである点である。図12において、図11に示される地上側設備36が充電スタンド302に対応する。また、受電側コイル35と送電側コイル37はそれぞれ、図12の非接触充電部1201および1202に接続される。そして、非接触式の充電システムの場合、車両10の受電側コイル35と地上側設備36の送電側コイル37が整合配置されたことを充電状態であると判定してもよい。また、整合配置されることは、送電可能な状態であるとも言える。
【0159】
図12の構成では、図3の車両システム301内のAC−DC変換部305が非接触充電部1201に置き換えられている。また、これに対応して、充電スタンド302内に、非接触充電部1202が新設されている。非接触充電部1201は、AC−DC変換部305と同様に電力線317を介して充電スタンド302から供給されるAC電力をDC電力に変換して蓄電池304に充電し、逆に蓄電池304から放電されるDC電力をAC電力に変換して充電スタンド302に出力する機能を有する。また、非接触充電部1201および1202は、図11の受電側コイル35と送電側コイル37を用いて、電磁誘導原理等による非接触充電を制御する機能を有する。
【0160】
また、図12の構成では、図3の車両システム301内の通信部306および充電スタンド302内の通信部309がそれぞれ、無線通信部306′および309′に置き換えられている。無線通信部306′および309′は、図11の車両側コントローラ38および電源側コントローラ39のそれぞれ一部を構成している。無線通信部306′および309′は、車両システム301と充電スタンド302の間で、例えばWiFi(Wireless Fidelity)方式による無線通信の機能を提供する。WiFi方式は、IEEE 802.11シリーズ通信規格に準拠した無線機器に対して米国に本拠を置く業界団体であるWi−Fi Allianceによって認定される無線通信方式である。ここで通信される情報は、図3の通信部306および309の場合と同じである。
【0161】
図12の構成のその他の制御動作については、図3の場合と同様である。
図13は、図1の構成を更に詳細に示す第4の実施形態のシステム構成図である。
図13の第4の実施形態の構成は図10の第2の実施形態の構成をベースにしている。図13の構成において、図10の第2の実施形態の場合と同じ機能を有する部分には同じ番号を付してある。
【0162】
図13の構成が図10の構成と異なる点は、充電スタンド302と車両システム301の間の充電および通信が、充電ケーブルを用いた電力線317および通信線316によるケーブル接続ではなく、図11で説明したような非接触充電・通信によるものである点である。非接触充電方式の原理は、図12の第3の実施形態の場合と同様で、図11に示される地上側設備36が充電スタンド302に対応する。また、受電側コイル35と送電側コイル37はそれぞれ、図13の通信付非接触充電部1301および1302に接続される。この場合、第4の実施形態では、充電制御のための制御情報の通信が、第3の実施形態のように無線通信によるものではなく、非接触充電電力信号に重畳された通信方式による。
【0163】
図13の構成では、図3の車両システム301内のAC−DC変換部305および通信部306が通信付非接触充電部1301に置き換えられている。また、これに対応して、充電スタンド302では、図10の遮断部1001および通信部309が通信付非接触充電部1302に置き換えられている。通信付非接触充電部1301は、AC−DC変換部305と同様に電力線317を介して充電スタンド302から供給されるAC電力をDC電力に変換して蓄電池304に充電し、逆に蓄電池304から放電されるDC電力をAC電力に変換して充電スタンド302に出力する機能を有する。また、通信付非接触充電部1301および1302は、電磁誘導原理等による非接触充電を制御する機能を有する。さらに、通信付非接触充電部1301および1302は、充電制御情報を非接触充電電力信号に重畳して送受信する機能を有する。ここで通信される情報は、図10の通信部306および309の場合と同じである。
【0164】
図13の構成のその他の制御動作については、図10の場合と同様である。
以上説明した各実施形態により、契約電力に応じて設定した電力量を超えないように充電量制御を行う際に、車両への充電実績に応じて車両への放電指示及び放電電力を他車両へ充電指示することで同時充電を想定した受電設備の最適化が行なわれる。これにより、第1または第2の実施形態では、車両と充電設備との接続ケーブルを変更することなく車両の充放電に対応することが可能となる。さらに、第3または第4の実施形態では、非接触充電方式において、車両の充放電に対応することが可能となる。これにより、電力会社との契約を上回らないように電力調整をすることが可能となり、ランニングコスト低減に貢献できる。
【0165】
また、既に十分な充電がなされている車両から新たに充電を開始する車両への充電ができることにより、本システムに接続されている車両の充電量を平準化でき、複数台充電中でも短時間で実用的に走行可能な充電量にすることが可能となる。
【符号の説明】
【0166】
101 車両
102、302 充電スタンド
103、303 配電設備
104 電力制御部
105 電力供給部
301 車両システム
304 蓄電池
305 AC−DC変換部
306、309、310 通信部
307 充電制御部
308、1002 系統切替部
311、314 電力測定部
312 制御部
313 遮断器
315 電力監視部
316、318、321、324 通信線
317、1003 電力線
320 制御線
322 給電系統電力線
323 放電系統電力線
1001 遮断部
1201、1202 非接触充電部
1301、1302 通信付非接触充電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電設備からの系統電力を配電設備を介して複数の充電スタンドに供給することにより、前記各充電スタンドに電力線または非接触充電部を介して電気的に接続される車両内の蓄電池の充電を行う車両用充電システムであって、
前記受電設備からの系統電力を前記充電スタンドに供給する給電系統電力線と、
選択された車両から放電される電力を他の選択された車両に供給する放電系統電力線と
前記充電スタンドごとに設けられ、前記給電系統電力線と前記放電系統電力線とを切り替えて該充電スタンドに接続される車両に電力を供給する系統切替部と、
前記充電スタンドから該充電スタンドに接続される車両からの充電要求を受信した場合に、前記給電系統電力線の電力使用状況を確認することにより該給電系統電力線から前記充電要求を送信した車両への給電が可能か否かを判定し、該給電が可能であれば、前記充電要求を送信した充電スタンドに対応する前記系統切替部に前記給電系統電力線への切替えを行わせて、前記配電設備から前記充電要求を送信した充電スタンドへの前記系統電力の供給を行わせ、前記給電が不可能であって前記放電系統電力線が使用可能であれば、前記蓄電池からの放電が可能な車両を抽出して該車両が接続される充電スタンドに対応する前記系統切替部と前記充電要求を送信した充電スタンドに対応する前記系統切替部に前記放電系統電力線への切替えを行わせて、前記放電が可能な車両が接続される充電スタンドから前記充電要求を送信した車両が接続される充電スタンドへの電力供給を行わせる電力制御部と、
を備えることを特徴とする車両用充電システム。
【請求項2】
前記配電設備から前記各充電スタンドに前記給電系統電力線および前記放電系統電力線を接続し、前記各充電スタンド内に該各充電スタンドに対応する前記系統切替部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用充電システム。
【請求項3】
前記配電設備から前記各充電スタンドに前記系統電力を供給する電力線を接続し、前記配電設備内の前記各充電スタンドに接続される電力線の収容部分に該各充電スタンドに対応する前記系統切替部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用充電システム。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−66363(P2013−66363A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−46654(P2012−46654)
【出願日】平成24年3月2日(2012.3.2)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】