車両用前照灯装置
【課題】構成を簡易にし、コストを低減した車両用前照灯装置を提供する。
【解決手段】車両用前照灯装置は、複数のLEDチップがマトリックス状に配列されており、車両前方へ光を照射可能な光源と、光源に含まれる複数のLEDチップの点消灯を制御する制御部と、を備える。複数のLEDチップは、車両前方の照射領域に含まれる第1の区画へ向かう光を出射する複数の高輝度LEDチップ12dと、照射領域に含まれる、第1の区画とは異なる第2の区画へ向かう光を出射する複数の中輝度LEDチップ12eと、を含む。制御部は、高輝度LEDチップ12dの数よりも少ない数のグループに分けられた複数の高輝度LEDチップを、グループ毎に駆動する第1駆動部と、中輝度LEDチップ12eの数よりも少ない数のグループに分けられた複数の中輝度LEDチップを、グループ毎に駆動する第2駆動部と、を有する。
【解決手段】車両用前照灯装置は、複数のLEDチップがマトリックス状に配列されており、車両前方へ光を照射可能な光源と、光源に含まれる複数のLEDチップの点消灯を制御する制御部と、を備える。複数のLEDチップは、車両前方の照射領域に含まれる第1の区画へ向かう光を出射する複数の高輝度LEDチップ12dと、照射領域に含まれる、第1の区画とは異なる第2の区画へ向かう光を出射する複数の中輝度LEDチップ12eと、を含む。制御部は、高輝度LEDチップ12dの数よりも少ない数のグループに分けられた複数の高輝度LEDチップを、グループ毎に駆動する第1駆動部と、中輝度LEDチップ12eの数よりも少ない数のグループに分けられた複数の中輝度LEDチップを、グループ毎に駆動する第2駆動部と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マトリックス状に上下左右に隣接配置された複数の発光ダイオードを備えた光源によって、異なる照度分布を生成可能な照明装置が考案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−40528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マトリックス状に配列されている発光ダイオード一つ一つが所定の明るさとなるように、発光ダイオード毎に投入電流を監視し、所定電流となるように制御する場合、駆動回路が発光ダイオード毎に必要となる。そのため、装置全体のコストが増大する。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、構成を簡易にし、コストを低減した車両用前照灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用前照灯装置は、複数の半導体発光素子がマトリックス状に配列されており、車両前方へ光を照射可能な光源と、光源に含まれる複数の半導体発光素子の点消灯を制御する制御部と、を備える。複数の半導体発光素子は、車両前方の照射領域に含まれる第1の区画へ向かう光を出射する複数の第1半導体発光素子と、照射領域に含まれる、第1の区画とは異なる第2の区画へ向かう光を出射し、第1半導体発光素子とは異なる特性を有する複数の第2半導体発光素子と、を含む。制御部は、第1半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた複数の第1半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第1駆動部と、第2半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた複数の第2半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第2駆動部と、を有する。
【0007】
この態様によると、駆動するグループの数が半導体発光素子の数より少なくなるため、駆動部の構成を簡略化できる。また、照射領域に含まれる各区画に対応した適切な特性の半導体発光素子を選択することで、光源のコストを低減できる。
【0008】
第1半導体発光素子は、第2半導体発光素子と比較して、同じ電流を流したときの輝度が異なる素子で構成されていてもよい。これにより、照射領域に含まれる各区画によって明るさを変えることが容易となる。
【0009】
第1半導体発光素子は、第2半導体発光素子と比較して、順電流の最大定格が異なる素子で構成されていてもよい。これにより、照射領域に含まれる各区画によって明るさを変えることが容易となる。
【0010】
第1半導体発光素子は、第1の区画が照射領域の中央部を含むように配置されており、制御部は、第1半導体発光素子の輝度が第2半導体発光素子の輝度よりも高くなるように該第1半導体発光素子および該第2半導体発光素子の点消灯を制御してもよい。これにより、照射領域の中央部をより明るくすることができる。
【0011】
複数の半導体発光素子は、その発光面が車両前方を向くように配置されていてもよい。これにより、リフレクタなどの反射部材が必要なくなる。
【0012】
複数の半導体発光素子は、その発光面が矩形であり、該発光面の辺が車幅方向に対して斜めになるように配置されていてもよい。これにより、斜めのカットオフラインを形成しやすくなる。また、水平方向のカットオフラインをぼかすことができる。
【0013】
本発明の別の態様もまた、車両用前照灯装置である。この装置は、複数の半導体発光素子がマトリックス状に配列されており、車両前方へ光を照射可能な光源と、光源に含まれる複数の半導体発光素子の点消灯を制御する制御部と、を備える。複数の半導体発光素子は、半導体発光素子がマトリックス状に配列されている領域の第1のブロックに配置されている複数の第1半導体発光素子と、半導体発光素子がマトリックス状に配列されている領域の、第1のブロックとは異なる第2のブロックに配置され、第1半導体発光素子とは異なる特性を有する複数の第2半導体発光素子と、を含む。制御部は、第1半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた複数の第1半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第1駆動部と、第2半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた複数の第2半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第2駆動部と、を有する。
【0014】
この態様によると、駆動するグループの数が半導体発光素子の数より少なくなるため、駆動部の構成を簡略化できる。また、半導体発光素子がマトリックス状に配列されている領域に含まれる各ブロックに対応した適切な特性の半導体発光素子を選択することで、光源のコストを低減できる。
【0015】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、構成を簡易にし、コストを低減した車両用前照灯装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係る車両用前照灯装置を側方から見た概略構成図である。
【図2】図1に示す複数のLEDチップをマトリックス配置した光源の一例を示す模式図である。
【図3】図1に示す複数のLEDチップをマトリックス配置した光源の他の例を示す模式図である。
【図4】本実施の形態に係るマトリックスLEDにおける各種LEDチップの配置を説明するための図である。
【図5】ヘッドライトシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図6】ドライバ回路装置とチャンネル回路(群)の概要を示す模式図である。
【図7】マトリックスLED内における各チャンネルのLEDチップの接続例を示した模式図である。
【図8】図8(a)〜図8(c)は、チェンネル回路と複数のLEDチップとを並列に接続した状態を示す回路図である。
【図9】図9(a)〜図9(c)は、チェンネル回路と複数のLEDチップとを直列に接続した状態を示す回路図である。
【図10】図10(a)は、ハイビームを形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図10(b)は、図10(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。
【図11】図11(a)は、ベーシックビーム(BL)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図11(b)は、図11(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。
【図12】図12(a)は、タウンビーム(TL)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図12(b)は、図12(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。
【図13】図13(a)は、モータウェイビーム(ML)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図13(b)は、図13(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。
【図14】図14(a)は、ウェットビーム(WL)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図14(b)は、図14(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。
【図15】図15(a)は、ADBを形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図15(b)は、図15(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。
【図16】図16(a)は、DRLの配光パターンを示す図、図16(b)は、通常のハイビーム配光パターンを示す図、図16(c)は、DRLを共用した場合に必要なハイビーム配光パターンを示す図である。
【図17】図17(a)は、FOGランプの配光パターンを示す図、図17(b)は、通常のロービーム配光パターンを示す図、図17(c)は、FOGランプを共用した場合に必要なロービーム配光パターンを示す図である。
【図18】本実施の形態に係るヘッドライトシステムにおける制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0019】
(車両用前照灯装置)
図1は、本実施の形態に係る車両用前照灯装置を側方から見た概略構成図である。車両用前照灯装置10は、複数の半導体発光素子であるLEDチップ12が互いに間隔をもって配置されている光源14と、光源14から出射した光を車両前方に光源像として投影する投影レンズ16と、を備える。光源14は、LED回路基板18およびヒートシンク20を有する。ここで、Fは焦点、Hは投影レンズの主点、fは焦点距離、fbはバックフォーカスを示している。なお、複数のLEDチップ12は、その発光面が車両前方を向くように配置されている。これにより、リフレクタなどの反射部材が必要なくなる。
【0020】
図2は、図1に示す複数のLEDチップをマトリックス配置した光源の一例を示す模式図である。図3は、図1に示す複数のLEDチップをマトリックス配置した光源の他の例を示す模式図である。このようにマトリックス配置した複数のLEDチップ(以下、「マトリックスLED」と称する。)からなる光源を車両前方に向け、その前方に投影レンズを配置した光学系は、焦点Fを含む平面上のLEDチップの輝度分布が前方に投射される。
【0021】
図2に示すマトリックスLEDでは、発光面が矩形のLEDチップ12の各辺が、水平方向(H−H線)と平行になるように各LEDチップ12が配置されている。
【0022】
また、図3に示すマトリックスLEDでは、発光面が矩形のLEDチップ12の各辺が水平方向(車幅方向)に対して斜め(水平に対して45度)になるように各LEDチップ12が配置されている。このようなマトリックスLEDの場合、点線で囲まれている領域R1のLEDチップを点灯させ、それ以外のLEDチップを消灯すると、点灯しているLEDチップ12a〜12cによって、明瞭な45度の斜めカットオフラインが形成される。また、点灯しているLEDチップの領域R1の上縁は、ノコギリ歯形状となっているため、水平方向のカットオフラインをぼかすことができる。
【0023】
ところで、マトリックスLEDを使用したヘッドライトでは、所定の配光パターンを形成するためには、個々のLEDチップ毎に投入電流を監視し、所定電流となるように制御することが考えられる。この場合、駆動回路(ドライバ)のチャンネル数はLEDチップと同じ数を必要とする。したがって、コストの観点からは改善の余地がある。
【0024】
また、配光パターンにおいて、手前路面や路肩が明るすぎると、運転者にとってはかえって走行しづらいという現象もある。したがって、車両前方の、H−H線とV−Vとが交差する領域(HV領域)近傍は明るくする必要があるが、周辺はそれに比べて光量を落とすことが好ましい。しかしながら、従来のマトリックスLEDは、すべて高性能で高価な同一仕様のLEDチップを配置しており、コストの上昇を招くことにもなる。
【0025】
そこで、本発明者は、マトリックスLEDを用いた光源のコストを低減すべく鋭意検討し、以下の構成に想到した。
【0026】
(1)ゾーン分割と性能レベルの異なるLEDチップ使用によるコスト低減
マトリックスLEDを複数のゾーンに分割し、その各ゾーンに所定性能レベルのチップを配置する。配光の高光度に対応するゾーンには高輝度(高電流仕様:高価)のLEDチップを配置し、低光度に対応するゾーンには低輝度(低電流仕様:安価)のLEDチップを配置し、全体としてコストの低減を図る。
【0027】
(2)チャンネル数の低減によるコスト低減
各ゾーン内における複数のLEDチップを同時に制御(ドライバ1チャンネルで複数のLEDチップの制御)することでコストの低減を図る。
【0028】
(3)他機能ランプとの共用(配光の合成)によるコスト低減
HV領域近傍の視線より上下4度より外側、左右10度より外側の周辺視野部は適度な明るさで十分である。そこで、DRL(Daytime running lamp)、FOGランプ、照明光度をアップさせたクリアランスランプ等の配光と、マトリックスLEDの配光とを重畳することで所望の配光を達成することが可能である。このような構成により、LEDチップの数、特に周辺視野部の低輝度LEDチップの数を低減できる可能性がある。これにより、マトリックスLEDとそのドライバ回路のコスト低減が可能となる。
【0029】
図4は、本実施の形態に係るマトリックスLEDにおける各種LEDチップの配置を説明するための図である。
【0030】
図4に示す光源14におけるマトリックスLEDにおいて、車両前方の中心視野に対応するブロックB1には、高輝度LEDチップ(レベルI)が配置され、車両前方のスクリーン上で上下2度×左右5度程度の範囲を照射する。また、車両前方の有効視野に対応するブロックB2には、中輝度LEDチップ(レベルII)が配置され、車両前方のスクリーン上で上下4度×左右10度程度の範囲を照射する。また、車両前方の周辺視野に対応するブロックB3には、低輝度LEDチップ(レベルIII)が配置され、車両前方のスクリーン上で上下10度×左右30度程度の範囲を照射する。
【0031】
つまり、レベルIの高輝度LEDチップは、HV領域近傍の中心視野ブロックB1に、レベルIIの中輝度LEDチップは、その外側の有効視野ブロックB2に、レベルIIIの低輝度LEDチップはその更に外側の周辺視野ブロックB3に配置されている。
【0032】
次に、本実施の形態に係るマトリックスLEDが分割されている3つのゾーンについて説明する。
【0033】
ゾーンZ1は、中心視野ブロックB1と、その側方であって有効視野ブロックB2の一部とを含む範囲であり、レベルIの高輝度LEDチップとレベルIIの中輝度LEDチップが含まれている。ゾーンZ1に含まれている各LEDチップは、AFS(Adaptive Front-Lighting System)配光のBL(ベーシックビーム)、ML(モータウェイビーム)、AL(ウェットビーム)などの45度のZカット(明暗境界線)やその位置の変更、ハイビームやBL、ML、ALなどの配光変更に伴う光量(光度)調整、ADB(Adaptive Driving Beam)など照射領域の部分マスキングとその位置の変更、など多くの配光制御に関与する。
【0034】
ゾーンZ1に含まれるLEDチップは、単純に点消灯されたり、調光されたりする。なお、この部分に対応したドライバのチャンネル数は、その配光制御種類+αの最小チャンネル数で達成できるようにすることが好ましい。これを達成するドライバの個別チャンネルの回路構成の詳細については後述するが、同一レベルのLEDチップを複数同時に調光するように構成されている。
【0035】
ゾーンZ1の上側の領域であるゾーンZ2に含まれるLEDチップは、ハイビームやADB作動状態で単純に点消灯される。ゾーンZ2では、同一レベルのLEDチップを複数個まとめて一つのチャンネルで所定の電流値で点消灯する。例えば一つのチャンネルで5個のLEDチップを点灯すればチャンネル数は1/5に低減できる。
【0036】
ゾーンZ1の下側の領域であるゾーンZ3に含まれるLEDチップは、手前路面を照射する。ゾーンZ3は、中央部にゾーンZ3’を有している。ゾーンZ3’に配置されているLEDチップは、雨天時に照明が路面で鏡面反射し対向車へグレアを与えるのを抑制するために、条件によって消灯される部分であり、AFSのAL配光命令により単純に消灯されたり、減光されたりする。ゾーンZ3においても、同一レベルのLEDチップを複数個まとめて一つのチャンネルで所定の電流値で点消灯する。このような回路構成にすることによりドライバのチャンネル数を低減することができる。
【0037】
(制御システム構成)
次に、ヘッドライトの制御システムの構成について説明する。図5は、ヘッドライトシステムの概略構成を示すブロック図である。図6は、ドライバ回路装置とチャンネル回路(群)の概要を示す模式図である。
【0038】
ヘッドライトシステム100は、左右それぞれの車両用前照灯装置10、配光制御ECU102、前方監視ECU104等を備えている。車両用前照灯装置10は、前述のようにマトリックスLEDからなる光源14と、投影レンズ16と、それらを収容する灯体とを有する。また、各車両用前照灯装置10には、マトリックスLEDや灯体をスイブルするアクチュエータ(不図示)が接続されている。
【0039】
前方監視ECU104は、車載カメラ108、レーダ110、車速センサ112などの各種センサが接続されている。前方監視ECU104は、センサから取得した撮像データを画像処理し、前方車両(対向車や先行車)やその他の路上光輝物体、そして区画線(レーンマーク)を検出し、それらの属性や位置、走路の形状や路面の湿潤状況など配光制御に必要なデータを算出する。算出されたデータは、車内LANなどを介して配光制御ECU102や各種車載機器に発信される。
【0040】
配光制御ECU102は、車速センサ112、舵角センサ114、GPSナビゲーション116、ヘッドランプスイッチ(HL−SW)118などが接続されている。配光制御ECU102は、前方監視ECU104から送出されてくる路面の状況、路上光輝物体の属性(対向車、先行車、反射器、道路照明)、その位置(前方、側方)と車速などの情報に基づいて、その走行場面に対応した配光パターンを決定する。また、配光制御ECU102は、舵角センサ114やGPSナビゲーション116から取得したデータに基づいて算出された走路形状や車線、交通量データなどの情報を加味して、その走行場面に対応した配光パターンを決定してもよい。また、配光制御ECU102は、ヘッドランプスイッチ118の情報を加味して、その走行場面に対応した配光パターンを決定してもよい。
【0041】
このように、配光制御ECU102は、前述の各種情報を基にAFSによる所定のビーム選定や、その走行場面に対応したADB配光を決定する。そして、配光制御ECU102は、その配光パターンを実現するために必要な共用ランプ106の点灯制御や配光可変ヘッドランプの制御量を決定する。ここで、制御量は、例えば、マトリックスLEDの点灯すべきLEDチップおよび通電チャンネルの選定、上下・左右ビーム移動量、マスキング部分(遮光領域)の位置と範囲、投入電力などである。
【0042】
ドライバ回路装置120は、配光制御ECU102からの配光制御内容を基に制御すべきチャンネル(マトリックスLED内のLEDチップ)を選定するとともにそれらの制御量(通電量など)を決定する。
【0043】
チャンネル回路(群)122は、マトリックスLED内の点灯制御すべきLEDチップを選定した回路群であり、1チャンネル内には同一性能レベルの複数のチップが接続されている。
【0044】
共用ランプ106は、DRLやFOGランプなどである。共用ランプ106は、マトリックスLEDを使用した投影型ヘッドライトを補助するビームの一部を構成し、ヘッドライトと共同してAFSの種々の配光やハイビームなどを形成する。この補助ビームによりマトリックスLEDに要求される配光性能を抑えることが可能となり、回路やLEDチップのコストダウンが図られる。
【0045】
次に、各チェンネル接続される複数のLEDチップについて説明する。図7は、マトリックスLED内における各チャンネルのLEDチップの接続例を示した模式図である。なお、図の符号CLが指す点線は、配光パターンのカットオフラインに対応する。
【0046】
ブロックB1に配置されている高輝度LEDチップ12dは、2個一組で点灯制御できるように構成されている。また、組み合わせるLEDチップは、45度カットオフ形状に合わせられるように、互いに斜め左上または斜め右下に隣接するLEDチップ同士である。そして、このような2個一組の高輝度LEDチップ12dの照射によりハイビームの中心の高光度部が形成される。また、2個一組のLEDチップの点滅を水平方向に移動することで、ADBのマスキング制御にも対応できる。
【0047】
ブロックB2に配置されている中輝度LEDチップのうち、H線近傍のLEDチップ12e1は、2個一組で点灯制御され、ADB制御にも対応できるように構成されている。また、中輝度LEDチップのうち、LEDチップ12e1の上側または下側に配置されているLEDチップ12e2は、3個一組で点灯制御されている。そして、このような2個または3個一組の中輝度LEDチップ12e1,12e2の照射により有効視野に必要な配光が形成される。
【0048】
ブロックB3に配置されている低輝度LEDチップ12fは、一部(AFSにおけるALの路面遮光ゾーンZ3’)を除き、4個一組で点灯制御できるように構成されている。
【0049】
各種輝度のLEDチップを図7に示すように配置することで、ADB配光はもとよりAFSによるすべての配光を実現できる。
【0050】
次に、チャンネル回路とマトリックスLED内のLEDチップとの回路接続例を説明する。図8(a)〜図8(c)は、チェンネル回路と複数のLEDチップとを並列に接続した状態を示す回路図である。図9(a)〜図9(c)は、チェンネル回路と複数のLEDチップとを直列に接続した状態を示す回路図である。
【0051】
図8(a)〜図8(c)、図9(a)〜図9(c)に示すように、接続回路は並列回路と直列回路が考えられる。その中のドライバ回路装置120a,120b,120cは、通常、電源、スイッチ、抵抗などの回路群を含んでいる。チャンネル回路は、ドライバ回路装置120a,120b,120cとマトリックスLED内の各LEDチップを接続する。チャンネル回路群は通常回路線群となっている。
【0052】
チャンネル回路内に接続するLEDチップの個数は、低輝度LEDチップ12fの方が高輝度LEDチップ12dより多くしてある。本実施の形態では、低輝度LEDチップは配光の周辺部分(周辺視野)に対応するように設置されている。この周辺配光部分は、配光値の許容範囲が広い。一般に低輝度LEDチップは安価であり、そのため性能バラツキも大きい。そこで、マトリックスLEDの各ブロックに配置されている各LEDチップを、図8(a)〜図8(c)、図9(a)〜図9(c)に示すような回路構成とすることにより、チャンネル数が低減され、回路のコストダウンが達成されるとともに、マトリックスLEDのコストダウンも図られる。
【0053】
以上のように、本実施の形態に係る車両用前照灯装置10は、図1や図5に示すように、複数の半導体発光素子としてLEDチップ12がマトリックス状に配列されており、車両前方へ光を照射可能な光源14と、光源14に含まれる複数のLEDチップ12の点消灯を制御する制御部と、を備える。制御部は、配光制御ECU102、ドライバ回路装置120、チャンネル回路(群)122などで構成されている。
【0054】
複数のLEDチップ12は、車両前方の照射領域に含まれる第1の区画(例えば、中心視野)へ向かう光を出射する複数の高輝度LEDチップ12dと、照射領域に含まれる、第1の区画とは異なる第2の区画(例えば、有効視野や周辺視野)へ向かう光を出射し、高輝度LEDチップ12dとは異なる特性を有する複数の中輝度LEDチップ12e1,12e2や低輝度LEDチップ12fと、を含む。
【0055】
前述のように、高輝度LEDチップ12dは、2個一組で点灯制御されるため、マトリックスLEDに含まれている高輝度LEDチップの数よりも少ない数のグループに分けられている。そして、グループ毎にドライバ回路装置120aで駆動される(図8(a)または図9(a)参照)。また、中輝度LEDチップ12e1,12e2は、2個または3個一組で制御されるため、中輝度LEDチップの数よりも少ない数のグループに分けられている。そして、グループ毎にドライバ回路装置120bで駆動される(図8(b)または図9(b)参照)。また、低輝度LEDチップ12fは、4個一組で制御されるため、低輝度LEDチップの数よりも少ない数のグループに分けられている。そして、グループ毎にドライバ回路装置120cで駆動される(図8(c)または図9(c)参照)。
【0056】
このように、車両用前照灯装置10においては、駆動するグループの数がLEDチップの数より少なくなるため、ドライバ回路装置120やチェンネル回路(群)122の構成を簡略化できる。また、照射領域に含まれる各区画(中心視野、有効視野、周辺視野)に対応した適切な特性のLEDチップを選択することで、光源のコストを低減できる。
【0057】
また、本実施の形態では、高輝度LEDチップは、中輝度LEDチップや低輝度LEDチップと比較して、同じ電流を流したときの輝度が高い。また、高輝度LEDチップは、中輝度LEDチップや低輝度LEDチップと比較して、順電流の最大定格が大きい。これにより、照射領域に含まれる各区画によって明るさを変えることが容易となる。
【0058】
また、高輝度LEDチップは、その照射領域が、配光パターンの中央部である中心視野を含むように配置されている。そして、制御部は、高輝度LEDチップの輝度が中輝度LEDチップや低輝度LEDチップの輝度よりも高くなるように、高輝度LEDチップ、中輝度LEDチップ、低輝度LEDチップの点消灯を制御する。これにより、照射領域の中央部をより明るくすることができる。
【0059】
なお、各LEDチップは、その発光面が矩形であり、発光面の辺が車幅方向に対して斜め(本実施の形態では45°)になるように配置されている。これにより、斜めのカットオフラインを形成しやすくなる。また、水平方向のカットオフラインをぼかすことができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る車両用前照灯装置は、換言すれば以下の構成である。車両用前照灯装置10において、図4に示すように、マトリックスLEDは、ブロックB1に配置されている複数の高輝度LEDチップ12dと、ブロックB2に配置されている複数の中輝度LEDチップ12eと、ブロックB3に配置されている複数の低輝度LEDチップ12fと、を含む。
【0061】
そして、前述のように、高輝度LEDチップ12dはグループ毎にドライバ回路装置120aにより駆動され、中輝度LEDチップ12eはグループ毎にドライバ回路装置120bにより駆動され、低輝度LEDチップ12fはグループ毎にドライバ回路装置120cにより駆動される。
【0062】
このように、車両用前照灯装置10においては、駆動するグループの数がLEDチップの数より少なくなるため、ドライバ回路装置120やチェンネル回路(群)122の構成を簡略化できる。また、マトリックスLEDに含まれる各ブロックに対応した適切な特性のLEDチップを選択することで、光源のコストを低減できる。
【0063】
(各種配光パターン)
図4に示すマトリックスLEDを活用したAFSやADB配光ヘッドライトの配光例を示す。なお、以下の配光パターンを示す各図においては、1マス0.5°で示した。また、マトリックスLEDのブロックの分割や配置は、配光パターンとの対応が分かりやすいように同じ向きで示したが、実際はレンズ系で上下左右反転して結像されるので、マトリックスLEDのブロックの実際の分割や配置は、図に示した状態に対して上下左右反転したものとなる。
【0064】
図10(a)は、ハイビームを形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図10(b)は、図10(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。この場合、高輝度LEDチップ12d、中輝度LEDチップ12e、低輝度LEDチップ12fをすべて点灯させる。遠方の道路線形や視対象を見やすくするために、HV領域近傍には高輝度LEDチップ12dを配置し、最大出力で点灯させている。
【0065】
図11(a)は、ベーシックビーム(BL)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図11(b)は、図11(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。図11(b)に示す配光パターンは、AFSにおけるベーシックビームであり、現状のロービームとほぼ同等の配光性能を有する。また、明瞭な明暗境界線を形成するためにH線上方に対応するLEDチップは消灯する。また、遠方路面の視認性を確保するために、HV領域近傍、H線下の高輝度LEDチップ12dを高出力で点灯させている。
【0066】
図12(a)は、タウンビーム(TL)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図12(b)は、図12(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。図12(b)に示す配光パターンは、AFSのタウンビームであり、道路照明のある明るい市街地で使用される。グレア防止のため、ベーシックビームのH線上方光度が抑制されている。また、照明光度を低くするため、ベーシックビームでは高輝度LEDチップや中輝度LEDチップとして機能していたH線下方のLEDチップ12d’やLEDチップ12e’を減光して点灯させている。
【0067】
図13(a)は、モータウェイビーム(ML)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図13(b)は、図13(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。図13(b)に示す配光パターンは、AFSのモータウェイビームであり、防眩柵などのある高速道路での走行時に使用される。遠方の視認性を確保するために、ハイビーム同様HV領域近傍の高輝度LEDチップ12dを最大出力で点灯する。また、ベーシックビームと比較して遠方の視認性を改善するために、先行車側・対向車側の明暗境界線が0.5°程度上がっている。また、マトリックスLEDにおいて、ベーシックビームの場合と比較して1段上のLEDチップまで点灯されている。
【0068】
図14(a)は、ウェットビーム(WL)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図14(b)は、図14(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。図14(b)に示す配光パターンは、AFSのウェットビームであり、雨天走行時に使用される。図13(b)に示すモータウェイビームとほぼ同レベルの配光性能を有するが、手前路面部分を暗くしている。これにより路面で鏡面反射し、対向車のグレアとなる光束の発生が抑制される。そのため、マトリックスLEDにおいて下方の中央部の領域R2に配置されているLEDチップ12は減光若しくは消灯されている。
【0069】
図15(a)は、ADBを形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図15(b)は、図15(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。ADBの基本配光は、ハイビームと同様の性能であり、対向車や先行車などが存在する状況下でグレアを与えないようにするために、対向車や先行車などの位置をマスキングするビームである。図15(b)に示すように対向車や先行車はH線近傍の水平方向に移動する。その上下方向のグレアゾーンはH線の0.5°下から2.0°下の範囲である。したがって、高輝度LEDチップ12dの一部を消灯することで、図15(b)に示すように、車両位置に応じて非照射領域R3が形成され、対向車や先行車などへのグレアがほぼ抑制される。
【0070】
(多機能ランプとの合成配光パターン)
次に、本実施の形態に係る車両用前照灯装置と、DRLやFOGランプとを共用した際の配光パターンについて説明する。
【0071】
図16(a)は、DRLの配光パターンを示す図、図16(b)は、通常のハイビーム配光パターンを示す図、図16(c)は、DRLを共用した場合に必要なハイビーム配光パターンを示す図である。
【0072】
DRLは、日中走行時の車両を周囲から認識しやすくするためのランプである。その配光規格ECEでは、光度はHV領域で400cd以上、その他の範囲は1200cd以下とされている。図16(a)に示すように、DRLの配光パターンP1は低光度でワイドな配光である。これは、ハイビームやロービームの周辺視野部の配光要件に適する。したがって、DRLの配光を図16(a)に示すようなワイドな配光とし、DRLを夜間のハイビームを補助(共用)するランプとして使用すれば、ハイビームの配光は図16(c)に示すような周辺視野部(図4に示すゾーンZ2,Z3)の光度を低減させた配光とすることができる。これは、マトリックスLEDの周辺視野ブロックB3のLEDチップの個数を低減できることを意味する。なお、図16(a)に示すDRLの配光は夜間のロービームと共用することも可能である。
【0073】
図17(a)は、FOGランプの配光パターンを示す図、図17(b)は、通常のロービーム配光パターンを示す図、図17(c)は、FOGランプを共用した場合に必要なロービーム配光パターンを示す図である。
【0074】
FOGランプは、H線下方路面を照射するビームを形成するものであり、図17(a)に示すようにその拡散範囲はロービームより広い。したがって、FOGランプと共用すれば、ロービームの配光は図17(c)に示すような周辺視野部(図4に示すゾーンZ3)の光度を低減させた配光とすることができる。つまり、マトリックスLEDの周辺視野部(ゾーンZ3)に対応するLEDチップの個数を削減することができる。
【0075】
(制御フローチャート)
図18は、本実施の形態に係るヘッドライトシステムにおける制御の一例を示すフローチャートである。
【0076】
図18に示す処理は、ヘッドランプスイッチなどにより選択された場合や、各種センサの情報に基づいて所定の状況(夜間走行やトンネル内走行)が認識された場合に、所定の間隔で繰り返し実行される。
【0077】
はじめに、配光制御ECU102や前方監視ECU104は、カメラや各種センサ、スイッチなどから必要なデータを取得する(S10)。データは、例えば、車両前方の画像、車速、車間距離、走路の形状、ハンドルの舵角、ヘッドランプスイッチにより選択されている配光パターンなどのデータである。
【0078】
前方監視ECU104は、取得したデータに基づいてデータ処理1を行う(S12)。データ処理1により、車両前方の光輝物体の属性(信号灯、照明灯、デリニエータなど)や、車両の属性(対向車、先行車)、車間距離、輝物体の輝度、道路形状(車線幅、直線路、曲路)などのデータが算出される。
【0079】
次に、配光制御ECU102は、データ処理1で算出されたデータに基づいてデータ処理2を行い(S14)、適切な配光パターンを選択する。選択される制御配光パターンは、例えば、ロービーム用配光パターン、ハイビーム用配光パターン、ADBなどである。また、選択された配光パターンに応じて、LEDチップの点消灯や投入電力の制御量が決定される。
【0080】
なお、ADBが選択された場合(S16のYes)、配光制御ECU102によりデータ処理3が行われる(S18)。データ処理3では、例えば、ADB制御による照明エリアや遮光エリア、照明光量、照射方向が決定される。また、これらの情報に加えてデータ処理1で算出されたデータに基づいてAFS制御も可能である。AFS制御とは、曲路や走行地域(市街地、郊外、高速道路)、天候に応じて配光を制御するものである。なお、ADBが選択されていない場合(S16のNo)、ステップS18はスキップされる。
【0081】
次に、配光制御ECU102は、データ処理4においてドライバ用にデータを変換し(S20)、配光制御素子やアクチュエータ(ACT)を駆動する(S22)ことで、ADB制御やスイブル制御を行う。
【0082】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0083】
10 車両用前照灯装置、 12 LEDチップ、 12d 高輝度LEDチップ、 12e 中輝度LEDチップ、 12f 低輝度LEDチップ、 14 光源、 16 投影レンズ、 100 ヘッドライトシステム、 102 配光制御ECU、 104 前方監視ECU、 106 共用ランプ、 120 ドライバ回路装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マトリックス状に上下左右に隣接配置された複数の発光ダイオードを備えた光源によって、異なる照度分布を生成可能な照明装置が考案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−40528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マトリックス状に配列されている発光ダイオード一つ一つが所定の明るさとなるように、発光ダイオード毎に投入電流を監視し、所定電流となるように制御する場合、駆動回路が発光ダイオード毎に必要となる。そのため、装置全体のコストが増大する。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、構成を簡易にし、コストを低減した車両用前照灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用前照灯装置は、複数の半導体発光素子がマトリックス状に配列されており、車両前方へ光を照射可能な光源と、光源に含まれる複数の半導体発光素子の点消灯を制御する制御部と、を備える。複数の半導体発光素子は、車両前方の照射領域に含まれる第1の区画へ向かう光を出射する複数の第1半導体発光素子と、照射領域に含まれる、第1の区画とは異なる第2の区画へ向かう光を出射し、第1半導体発光素子とは異なる特性を有する複数の第2半導体発光素子と、を含む。制御部は、第1半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた複数の第1半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第1駆動部と、第2半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた複数の第2半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第2駆動部と、を有する。
【0007】
この態様によると、駆動するグループの数が半導体発光素子の数より少なくなるため、駆動部の構成を簡略化できる。また、照射領域に含まれる各区画に対応した適切な特性の半導体発光素子を選択することで、光源のコストを低減できる。
【0008】
第1半導体発光素子は、第2半導体発光素子と比較して、同じ電流を流したときの輝度が異なる素子で構成されていてもよい。これにより、照射領域に含まれる各区画によって明るさを変えることが容易となる。
【0009】
第1半導体発光素子は、第2半導体発光素子と比較して、順電流の最大定格が異なる素子で構成されていてもよい。これにより、照射領域に含まれる各区画によって明るさを変えることが容易となる。
【0010】
第1半導体発光素子は、第1の区画が照射領域の中央部を含むように配置されており、制御部は、第1半導体発光素子の輝度が第2半導体発光素子の輝度よりも高くなるように該第1半導体発光素子および該第2半導体発光素子の点消灯を制御してもよい。これにより、照射領域の中央部をより明るくすることができる。
【0011】
複数の半導体発光素子は、その発光面が車両前方を向くように配置されていてもよい。これにより、リフレクタなどの反射部材が必要なくなる。
【0012】
複数の半導体発光素子は、その発光面が矩形であり、該発光面の辺が車幅方向に対して斜めになるように配置されていてもよい。これにより、斜めのカットオフラインを形成しやすくなる。また、水平方向のカットオフラインをぼかすことができる。
【0013】
本発明の別の態様もまた、車両用前照灯装置である。この装置は、複数の半導体発光素子がマトリックス状に配列されており、車両前方へ光を照射可能な光源と、光源に含まれる複数の半導体発光素子の点消灯を制御する制御部と、を備える。複数の半導体発光素子は、半導体発光素子がマトリックス状に配列されている領域の第1のブロックに配置されている複数の第1半導体発光素子と、半導体発光素子がマトリックス状に配列されている領域の、第1のブロックとは異なる第2のブロックに配置され、第1半導体発光素子とは異なる特性を有する複数の第2半導体発光素子と、を含む。制御部は、第1半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた複数の第1半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第1駆動部と、第2半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた複数の第2半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第2駆動部と、を有する。
【0014】
この態様によると、駆動するグループの数が半導体発光素子の数より少なくなるため、駆動部の構成を簡略化できる。また、半導体発光素子がマトリックス状に配列されている領域に含まれる各ブロックに対応した適切な特性の半導体発光素子を選択することで、光源のコストを低減できる。
【0015】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、構成を簡易にし、コストを低減した車両用前照灯装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係る車両用前照灯装置を側方から見た概略構成図である。
【図2】図1に示す複数のLEDチップをマトリックス配置した光源の一例を示す模式図である。
【図3】図1に示す複数のLEDチップをマトリックス配置した光源の他の例を示す模式図である。
【図4】本実施の形態に係るマトリックスLEDにおける各種LEDチップの配置を説明するための図である。
【図5】ヘッドライトシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図6】ドライバ回路装置とチャンネル回路(群)の概要を示す模式図である。
【図7】マトリックスLED内における各チャンネルのLEDチップの接続例を示した模式図である。
【図8】図8(a)〜図8(c)は、チェンネル回路と複数のLEDチップとを並列に接続した状態を示す回路図である。
【図9】図9(a)〜図9(c)は、チェンネル回路と複数のLEDチップとを直列に接続した状態を示す回路図である。
【図10】図10(a)は、ハイビームを形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図10(b)は、図10(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。
【図11】図11(a)は、ベーシックビーム(BL)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図11(b)は、図11(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。
【図12】図12(a)は、タウンビーム(TL)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図12(b)は、図12(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。
【図13】図13(a)は、モータウェイビーム(ML)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図13(b)は、図13(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。
【図14】図14(a)は、ウェットビーム(WL)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図14(b)は、図14(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。
【図15】図15(a)は、ADBを形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図15(b)は、図15(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。
【図16】図16(a)は、DRLの配光パターンを示す図、図16(b)は、通常のハイビーム配光パターンを示す図、図16(c)は、DRLを共用した場合に必要なハイビーム配光パターンを示す図である。
【図17】図17(a)は、FOGランプの配光パターンを示す図、図17(b)は、通常のロービーム配光パターンを示す図、図17(c)は、FOGランプを共用した場合に必要なロービーム配光パターンを示す図である。
【図18】本実施の形態に係るヘッドライトシステムにおける制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0019】
(車両用前照灯装置)
図1は、本実施の形態に係る車両用前照灯装置を側方から見た概略構成図である。車両用前照灯装置10は、複数の半導体発光素子であるLEDチップ12が互いに間隔をもって配置されている光源14と、光源14から出射した光を車両前方に光源像として投影する投影レンズ16と、を備える。光源14は、LED回路基板18およびヒートシンク20を有する。ここで、Fは焦点、Hは投影レンズの主点、fは焦点距離、fbはバックフォーカスを示している。なお、複数のLEDチップ12は、その発光面が車両前方を向くように配置されている。これにより、リフレクタなどの反射部材が必要なくなる。
【0020】
図2は、図1に示す複数のLEDチップをマトリックス配置した光源の一例を示す模式図である。図3は、図1に示す複数のLEDチップをマトリックス配置した光源の他の例を示す模式図である。このようにマトリックス配置した複数のLEDチップ(以下、「マトリックスLED」と称する。)からなる光源を車両前方に向け、その前方に投影レンズを配置した光学系は、焦点Fを含む平面上のLEDチップの輝度分布が前方に投射される。
【0021】
図2に示すマトリックスLEDでは、発光面が矩形のLEDチップ12の各辺が、水平方向(H−H線)と平行になるように各LEDチップ12が配置されている。
【0022】
また、図3に示すマトリックスLEDでは、発光面が矩形のLEDチップ12の各辺が水平方向(車幅方向)に対して斜め(水平に対して45度)になるように各LEDチップ12が配置されている。このようなマトリックスLEDの場合、点線で囲まれている領域R1のLEDチップを点灯させ、それ以外のLEDチップを消灯すると、点灯しているLEDチップ12a〜12cによって、明瞭な45度の斜めカットオフラインが形成される。また、点灯しているLEDチップの領域R1の上縁は、ノコギリ歯形状となっているため、水平方向のカットオフラインをぼかすことができる。
【0023】
ところで、マトリックスLEDを使用したヘッドライトでは、所定の配光パターンを形成するためには、個々のLEDチップ毎に投入電流を監視し、所定電流となるように制御することが考えられる。この場合、駆動回路(ドライバ)のチャンネル数はLEDチップと同じ数を必要とする。したがって、コストの観点からは改善の余地がある。
【0024】
また、配光パターンにおいて、手前路面や路肩が明るすぎると、運転者にとってはかえって走行しづらいという現象もある。したがって、車両前方の、H−H線とV−Vとが交差する領域(HV領域)近傍は明るくする必要があるが、周辺はそれに比べて光量を落とすことが好ましい。しかしながら、従来のマトリックスLEDは、すべて高性能で高価な同一仕様のLEDチップを配置しており、コストの上昇を招くことにもなる。
【0025】
そこで、本発明者は、マトリックスLEDを用いた光源のコストを低減すべく鋭意検討し、以下の構成に想到した。
【0026】
(1)ゾーン分割と性能レベルの異なるLEDチップ使用によるコスト低減
マトリックスLEDを複数のゾーンに分割し、その各ゾーンに所定性能レベルのチップを配置する。配光の高光度に対応するゾーンには高輝度(高電流仕様:高価)のLEDチップを配置し、低光度に対応するゾーンには低輝度(低電流仕様:安価)のLEDチップを配置し、全体としてコストの低減を図る。
【0027】
(2)チャンネル数の低減によるコスト低減
各ゾーン内における複数のLEDチップを同時に制御(ドライバ1チャンネルで複数のLEDチップの制御)することでコストの低減を図る。
【0028】
(3)他機能ランプとの共用(配光の合成)によるコスト低減
HV領域近傍の視線より上下4度より外側、左右10度より外側の周辺視野部は適度な明るさで十分である。そこで、DRL(Daytime running lamp)、FOGランプ、照明光度をアップさせたクリアランスランプ等の配光と、マトリックスLEDの配光とを重畳することで所望の配光を達成することが可能である。このような構成により、LEDチップの数、特に周辺視野部の低輝度LEDチップの数を低減できる可能性がある。これにより、マトリックスLEDとそのドライバ回路のコスト低減が可能となる。
【0029】
図4は、本実施の形態に係るマトリックスLEDにおける各種LEDチップの配置を説明するための図である。
【0030】
図4に示す光源14におけるマトリックスLEDにおいて、車両前方の中心視野に対応するブロックB1には、高輝度LEDチップ(レベルI)が配置され、車両前方のスクリーン上で上下2度×左右5度程度の範囲を照射する。また、車両前方の有効視野に対応するブロックB2には、中輝度LEDチップ(レベルII)が配置され、車両前方のスクリーン上で上下4度×左右10度程度の範囲を照射する。また、車両前方の周辺視野に対応するブロックB3には、低輝度LEDチップ(レベルIII)が配置され、車両前方のスクリーン上で上下10度×左右30度程度の範囲を照射する。
【0031】
つまり、レベルIの高輝度LEDチップは、HV領域近傍の中心視野ブロックB1に、レベルIIの中輝度LEDチップは、その外側の有効視野ブロックB2に、レベルIIIの低輝度LEDチップはその更に外側の周辺視野ブロックB3に配置されている。
【0032】
次に、本実施の形態に係るマトリックスLEDが分割されている3つのゾーンについて説明する。
【0033】
ゾーンZ1は、中心視野ブロックB1と、その側方であって有効視野ブロックB2の一部とを含む範囲であり、レベルIの高輝度LEDチップとレベルIIの中輝度LEDチップが含まれている。ゾーンZ1に含まれている各LEDチップは、AFS(Adaptive Front-Lighting System)配光のBL(ベーシックビーム)、ML(モータウェイビーム)、AL(ウェットビーム)などの45度のZカット(明暗境界線)やその位置の変更、ハイビームやBL、ML、ALなどの配光変更に伴う光量(光度)調整、ADB(Adaptive Driving Beam)など照射領域の部分マスキングとその位置の変更、など多くの配光制御に関与する。
【0034】
ゾーンZ1に含まれるLEDチップは、単純に点消灯されたり、調光されたりする。なお、この部分に対応したドライバのチャンネル数は、その配光制御種類+αの最小チャンネル数で達成できるようにすることが好ましい。これを達成するドライバの個別チャンネルの回路構成の詳細については後述するが、同一レベルのLEDチップを複数同時に調光するように構成されている。
【0035】
ゾーンZ1の上側の領域であるゾーンZ2に含まれるLEDチップは、ハイビームやADB作動状態で単純に点消灯される。ゾーンZ2では、同一レベルのLEDチップを複数個まとめて一つのチャンネルで所定の電流値で点消灯する。例えば一つのチャンネルで5個のLEDチップを点灯すればチャンネル数は1/5に低減できる。
【0036】
ゾーンZ1の下側の領域であるゾーンZ3に含まれるLEDチップは、手前路面を照射する。ゾーンZ3は、中央部にゾーンZ3’を有している。ゾーンZ3’に配置されているLEDチップは、雨天時に照明が路面で鏡面反射し対向車へグレアを与えるのを抑制するために、条件によって消灯される部分であり、AFSのAL配光命令により単純に消灯されたり、減光されたりする。ゾーンZ3においても、同一レベルのLEDチップを複数個まとめて一つのチャンネルで所定の電流値で点消灯する。このような回路構成にすることによりドライバのチャンネル数を低減することができる。
【0037】
(制御システム構成)
次に、ヘッドライトの制御システムの構成について説明する。図5は、ヘッドライトシステムの概略構成を示すブロック図である。図6は、ドライバ回路装置とチャンネル回路(群)の概要を示す模式図である。
【0038】
ヘッドライトシステム100は、左右それぞれの車両用前照灯装置10、配光制御ECU102、前方監視ECU104等を備えている。車両用前照灯装置10は、前述のようにマトリックスLEDからなる光源14と、投影レンズ16と、それらを収容する灯体とを有する。また、各車両用前照灯装置10には、マトリックスLEDや灯体をスイブルするアクチュエータ(不図示)が接続されている。
【0039】
前方監視ECU104は、車載カメラ108、レーダ110、車速センサ112などの各種センサが接続されている。前方監視ECU104は、センサから取得した撮像データを画像処理し、前方車両(対向車や先行車)やその他の路上光輝物体、そして区画線(レーンマーク)を検出し、それらの属性や位置、走路の形状や路面の湿潤状況など配光制御に必要なデータを算出する。算出されたデータは、車内LANなどを介して配光制御ECU102や各種車載機器に発信される。
【0040】
配光制御ECU102は、車速センサ112、舵角センサ114、GPSナビゲーション116、ヘッドランプスイッチ(HL−SW)118などが接続されている。配光制御ECU102は、前方監視ECU104から送出されてくる路面の状況、路上光輝物体の属性(対向車、先行車、反射器、道路照明)、その位置(前方、側方)と車速などの情報に基づいて、その走行場面に対応した配光パターンを決定する。また、配光制御ECU102は、舵角センサ114やGPSナビゲーション116から取得したデータに基づいて算出された走路形状や車線、交通量データなどの情報を加味して、その走行場面に対応した配光パターンを決定してもよい。また、配光制御ECU102は、ヘッドランプスイッチ118の情報を加味して、その走行場面に対応した配光パターンを決定してもよい。
【0041】
このように、配光制御ECU102は、前述の各種情報を基にAFSによる所定のビーム選定や、その走行場面に対応したADB配光を決定する。そして、配光制御ECU102は、その配光パターンを実現するために必要な共用ランプ106の点灯制御や配光可変ヘッドランプの制御量を決定する。ここで、制御量は、例えば、マトリックスLEDの点灯すべきLEDチップおよび通電チャンネルの選定、上下・左右ビーム移動量、マスキング部分(遮光領域)の位置と範囲、投入電力などである。
【0042】
ドライバ回路装置120は、配光制御ECU102からの配光制御内容を基に制御すべきチャンネル(マトリックスLED内のLEDチップ)を選定するとともにそれらの制御量(通電量など)を決定する。
【0043】
チャンネル回路(群)122は、マトリックスLED内の点灯制御すべきLEDチップを選定した回路群であり、1チャンネル内には同一性能レベルの複数のチップが接続されている。
【0044】
共用ランプ106は、DRLやFOGランプなどである。共用ランプ106は、マトリックスLEDを使用した投影型ヘッドライトを補助するビームの一部を構成し、ヘッドライトと共同してAFSの種々の配光やハイビームなどを形成する。この補助ビームによりマトリックスLEDに要求される配光性能を抑えることが可能となり、回路やLEDチップのコストダウンが図られる。
【0045】
次に、各チェンネル接続される複数のLEDチップについて説明する。図7は、マトリックスLED内における各チャンネルのLEDチップの接続例を示した模式図である。なお、図の符号CLが指す点線は、配光パターンのカットオフラインに対応する。
【0046】
ブロックB1に配置されている高輝度LEDチップ12dは、2個一組で点灯制御できるように構成されている。また、組み合わせるLEDチップは、45度カットオフ形状に合わせられるように、互いに斜め左上または斜め右下に隣接するLEDチップ同士である。そして、このような2個一組の高輝度LEDチップ12dの照射によりハイビームの中心の高光度部が形成される。また、2個一組のLEDチップの点滅を水平方向に移動することで、ADBのマスキング制御にも対応できる。
【0047】
ブロックB2に配置されている中輝度LEDチップのうち、H線近傍のLEDチップ12e1は、2個一組で点灯制御され、ADB制御にも対応できるように構成されている。また、中輝度LEDチップのうち、LEDチップ12e1の上側または下側に配置されているLEDチップ12e2は、3個一組で点灯制御されている。そして、このような2個または3個一組の中輝度LEDチップ12e1,12e2の照射により有効視野に必要な配光が形成される。
【0048】
ブロックB3に配置されている低輝度LEDチップ12fは、一部(AFSにおけるALの路面遮光ゾーンZ3’)を除き、4個一組で点灯制御できるように構成されている。
【0049】
各種輝度のLEDチップを図7に示すように配置することで、ADB配光はもとよりAFSによるすべての配光を実現できる。
【0050】
次に、チャンネル回路とマトリックスLED内のLEDチップとの回路接続例を説明する。図8(a)〜図8(c)は、チェンネル回路と複数のLEDチップとを並列に接続した状態を示す回路図である。図9(a)〜図9(c)は、チェンネル回路と複数のLEDチップとを直列に接続した状態を示す回路図である。
【0051】
図8(a)〜図8(c)、図9(a)〜図9(c)に示すように、接続回路は並列回路と直列回路が考えられる。その中のドライバ回路装置120a,120b,120cは、通常、電源、スイッチ、抵抗などの回路群を含んでいる。チャンネル回路は、ドライバ回路装置120a,120b,120cとマトリックスLED内の各LEDチップを接続する。チャンネル回路群は通常回路線群となっている。
【0052】
チャンネル回路内に接続するLEDチップの個数は、低輝度LEDチップ12fの方が高輝度LEDチップ12dより多くしてある。本実施の形態では、低輝度LEDチップは配光の周辺部分(周辺視野)に対応するように設置されている。この周辺配光部分は、配光値の許容範囲が広い。一般に低輝度LEDチップは安価であり、そのため性能バラツキも大きい。そこで、マトリックスLEDの各ブロックに配置されている各LEDチップを、図8(a)〜図8(c)、図9(a)〜図9(c)に示すような回路構成とすることにより、チャンネル数が低減され、回路のコストダウンが達成されるとともに、マトリックスLEDのコストダウンも図られる。
【0053】
以上のように、本実施の形態に係る車両用前照灯装置10は、図1や図5に示すように、複数の半導体発光素子としてLEDチップ12がマトリックス状に配列されており、車両前方へ光を照射可能な光源14と、光源14に含まれる複数のLEDチップ12の点消灯を制御する制御部と、を備える。制御部は、配光制御ECU102、ドライバ回路装置120、チャンネル回路(群)122などで構成されている。
【0054】
複数のLEDチップ12は、車両前方の照射領域に含まれる第1の区画(例えば、中心視野)へ向かう光を出射する複数の高輝度LEDチップ12dと、照射領域に含まれる、第1の区画とは異なる第2の区画(例えば、有効視野や周辺視野)へ向かう光を出射し、高輝度LEDチップ12dとは異なる特性を有する複数の中輝度LEDチップ12e1,12e2や低輝度LEDチップ12fと、を含む。
【0055】
前述のように、高輝度LEDチップ12dは、2個一組で点灯制御されるため、マトリックスLEDに含まれている高輝度LEDチップの数よりも少ない数のグループに分けられている。そして、グループ毎にドライバ回路装置120aで駆動される(図8(a)または図9(a)参照)。また、中輝度LEDチップ12e1,12e2は、2個または3個一組で制御されるため、中輝度LEDチップの数よりも少ない数のグループに分けられている。そして、グループ毎にドライバ回路装置120bで駆動される(図8(b)または図9(b)参照)。また、低輝度LEDチップ12fは、4個一組で制御されるため、低輝度LEDチップの数よりも少ない数のグループに分けられている。そして、グループ毎にドライバ回路装置120cで駆動される(図8(c)または図9(c)参照)。
【0056】
このように、車両用前照灯装置10においては、駆動するグループの数がLEDチップの数より少なくなるため、ドライバ回路装置120やチェンネル回路(群)122の構成を簡略化できる。また、照射領域に含まれる各区画(中心視野、有効視野、周辺視野)に対応した適切な特性のLEDチップを選択することで、光源のコストを低減できる。
【0057】
また、本実施の形態では、高輝度LEDチップは、中輝度LEDチップや低輝度LEDチップと比較して、同じ電流を流したときの輝度が高い。また、高輝度LEDチップは、中輝度LEDチップや低輝度LEDチップと比較して、順電流の最大定格が大きい。これにより、照射領域に含まれる各区画によって明るさを変えることが容易となる。
【0058】
また、高輝度LEDチップは、その照射領域が、配光パターンの中央部である中心視野を含むように配置されている。そして、制御部は、高輝度LEDチップの輝度が中輝度LEDチップや低輝度LEDチップの輝度よりも高くなるように、高輝度LEDチップ、中輝度LEDチップ、低輝度LEDチップの点消灯を制御する。これにより、照射領域の中央部をより明るくすることができる。
【0059】
なお、各LEDチップは、その発光面が矩形であり、発光面の辺が車幅方向に対して斜め(本実施の形態では45°)になるように配置されている。これにより、斜めのカットオフラインを形成しやすくなる。また、水平方向のカットオフラインをぼかすことができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る車両用前照灯装置は、換言すれば以下の構成である。車両用前照灯装置10において、図4に示すように、マトリックスLEDは、ブロックB1に配置されている複数の高輝度LEDチップ12dと、ブロックB2に配置されている複数の中輝度LEDチップ12eと、ブロックB3に配置されている複数の低輝度LEDチップ12fと、を含む。
【0061】
そして、前述のように、高輝度LEDチップ12dはグループ毎にドライバ回路装置120aにより駆動され、中輝度LEDチップ12eはグループ毎にドライバ回路装置120bにより駆動され、低輝度LEDチップ12fはグループ毎にドライバ回路装置120cにより駆動される。
【0062】
このように、車両用前照灯装置10においては、駆動するグループの数がLEDチップの数より少なくなるため、ドライバ回路装置120やチェンネル回路(群)122の構成を簡略化できる。また、マトリックスLEDに含まれる各ブロックに対応した適切な特性のLEDチップを選択することで、光源のコストを低減できる。
【0063】
(各種配光パターン)
図4に示すマトリックスLEDを活用したAFSやADB配光ヘッドライトの配光例を示す。なお、以下の配光パターンを示す各図においては、1マス0.5°で示した。また、マトリックスLEDのブロックの分割や配置は、配光パターンとの対応が分かりやすいように同じ向きで示したが、実際はレンズ系で上下左右反転して結像されるので、マトリックスLEDのブロックの実際の分割や配置は、図に示した状態に対して上下左右反転したものとなる。
【0064】
図10(a)は、ハイビームを形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図10(b)は、図10(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。この場合、高輝度LEDチップ12d、中輝度LEDチップ12e、低輝度LEDチップ12fをすべて点灯させる。遠方の道路線形や視対象を見やすくするために、HV領域近傍には高輝度LEDチップ12dを配置し、最大出力で点灯させている。
【0065】
図11(a)は、ベーシックビーム(BL)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図11(b)は、図11(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。図11(b)に示す配光パターンは、AFSにおけるベーシックビームであり、現状のロービームとほぼ同等の配光性能を有する。また、明瞭な明暗境界線を形成するためにH線上方に対応するLEDチップは消灯する。また、遠方路面の視認性を確保するために、HV領域近傍、H線下の高輝度LEDチップ12dを高出力で点灯させている。
【0066】
図12(a)は、タウンビーム(TL)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図12(b)は、図12(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。図12(b)に示す配光パターンは、AFSのタウンビームであり、道路照明のある明るい市街地で使用される。グレア防止のため、ベーシックビームのH線上方光度が抑制されている。また、照明光度を低くするため、ベーシックビームでは高輝度LEDチップや中輝度LEDチップとして機能していたH線下方のLEDチップ12d’やLEDチップ12e’を減光して点灯させている。
【0067】
図13(a)は、モータウェイビーム(ML)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図13(b)は、図13(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。図13(b)に示す配光パターンは、AFSのモータウェイビームであり、防眩柵などのある高速道路での走行時に使用される。遠方の視認性を確保するために、ハイビーム同様HV領域近傍の高輝度LEDチップ12dを最大出力で点灯する。また、ベーシックビームと比較して遠方の視認性を改善するために、先行車側・対向車側の明暗境界線が0.5°程度上がっている。また、マトリックスLEDにおいて、ベーシックビームの場合と比較して1段上のLEDチップまで点灯されている。
【0068】
図14(a)は、ウェットビーム(WL)を形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図14(b)は、図14(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。図14(b)に示す配光パターンは、AFSのウェットビームであり、雨天走行時に使用される。図13(b)に示すモータウェイビームとほぼ同レベルの配光性能を有するが、手前路面部分を暗くしている。これにより路面で鏡面反射し、対向車のグレアとなる光束の発生が抑制される。そのため、マトリックスLEDにおいて下方の中央部の領域R2に配置されているLEDチップ12は減光若しくは消灯されている。
【0069】
図15(a)は、ADBを形成する際のマトリックスLEDの点灯状態を示す図、図15(b)は、図15(a)に示す点灯状態のマトリックスLEDにより形成される配光パターンを示す図である。ADBの基本配光は、ハイビームと同様の性能であり、対向車や先行車などが存在する状況下でグレアを与えないようにするために、対向車や先行車などの位置をマスキングするビームである。図15(b)に示すように対向車や先行車はH線近傍の水平方向に移動する。その上下方向のグレアゾーンはH線の0.5°下から2.0°下の範囲である。したがって、高輝度LEDチップ12dの一部を消灯することで、図15(b)に示すように、車両位置に応じて非照射領域R3が形成され、対向車や先行車などへのグレアがほぼ抑制される。
【0070】
(多機能ランプとの合成配光パターン)
次に、本実施の形態に係る車両用前照灯装置と、DRLやFOGランプとを共用した際の配光パターンについて説明する。
【0071】
図16(a)は、DRLの配光パターンを示す図、図16(b)は、通常のハイビーム配光パターンを示す図、図16(c)は、DRLを共用した場合に必要なハイビーム配光パターンを示す図である。
【0072】
DRLは、日中走行時の車両を周囲から認識しやすくするためのランプである。その配光規格ECEでは、光度はHV領域で400cd以上、その他の範囲は1200cd以下とされている。図16(a)に示すように、DRLの配光パターンP1は低光度でワイドな配光である。これは、ハイビームやロービームの周辺視野部の配光要件に適する。したがって、DRLの配光を図16(a)に示すようなワイドな配光とし、DRLを夜間のハイビームを補助(共用)するランプとして使用すれば、ハイビームの配光は図16(c)に示すような周辺視野部(図4に示すゾーンZ2,Z3)の光度を低減させた配光とすることができる。これは、マトリックスLEDの周辺視野ブロックB3のLEDチップの個数を低減できることを意味する。なお、図16(a)に示すDRLの配光は夜間のロービームと共用することも可能である。
【0073】
図17(a)は、FOGランプの配光パターンを示す図、図17(b)は、通常のロービーム配光パターンを示す図、図17(c)は、FOGランプを共用した場合に必要なロービーム配光パターンを示す図である。
【0074】
FOGランプは、H線下方路面を照射するビームを形成するものであり、図17(a)に示すようにその拡散範囲はロービームより広い。したがって、FOGランプと共用すれば、ロービームの配光は図17(c)に示すような周辺視野部(図4に示すゾーンZ3)の光度を低減させた配光とすることができる。つまり、マトリックスLEDの周辺視野部(ゾーンZ3)に対応するLEDチップの個数を削減することができる。
【0075】
(制御フローチャート)
図18は、本実施の形態に係るヘッドライトシステムにおける制御の一例を示すフローチャートである。
【0076】
図18に示す処理は、ヘッドランプスイッチなどにより選択された場合や、各種センサの情報に基づいて所定の状況(夜間走行やトンネル内走行)が認識された場合に、所定の間隔で繰り返し実行される。
【0077】
はじめに、配光制御ECU102や前方監視ECU104は、カメラや各種センサ、スイッチなどから必要なデータを取得する(S10)。データは、例えば、車両前方の画像、車速、車間距離、走路の形状、ハンドルの舵角、ヘッドランプスイッチにより選択されている配光パターンなどのデータである。
【0078】
前方監視ECU104は、取得したデータに基づいてデータ処理1を行う(S12)。データ処理1により、車両前方の光輝物体の属性(信号灯、照明灯、デリニエータなど)や、車両の属性(対向車、先行車)、車間距離、輝物体の輝度、道路形状(車線幅、直線路、曲路)などのデータが算出される。
【0079】
次に、配光制御ECU102は、データ処理1で算出されたデータに基づいてデータ処理2を行い(S14)、適切な配光パターンを選択する。選択される制御配光パターンは、例えば、ロービーム用配光パターン、ハイビーム用配光パターン、ADBなどである。また、選択された配光パターンに応じて、LEDチップの点消灯や投入電力の制御量が決定される。
【0080】
なお、ADBが選択された場合(S16のYes)、配光制御ECU102によりデータ処理3が行われる(S18)。データ処理3では、例えば、ADB制御による照明エリアや遮光エリア、照明光量、照射方向が決定される。また、これらの情報に加えてデータ処理1で算出されたデータに基づいてAFS制御も可能である。AFS制御とは、曲路や走行地域(市街地、郊外、高速道路)、天候に応じて配光を制御するものである。なお、ADBが選択されていない場合(S16のNo)、ステップS18はスキップされる。
【0081】
次に、配光制御ECU102は、データ処理4においてドライバ用にデータを変換し(S20)、配光制御素子やアクチュエータ(ACT)を駆動する(S22)ことで、ADB制御やスイブル制御を行う。
【0082】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0083】
10 車両用前照灯装置、 12 LEDチップ、 12d 高輝度LEDチップ、 12e 中輝度LEDチップ、 12f 低輝度LEDチップ、 14 光源、 16 投影レンズ、 100 ヘッドライトシステム、 102 配光制御ECU、 104 前方監視ECU、 106 共用ランプ、 120 ドライバ回路装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体発光素子がマトリックス状に配列されており、車両前方へ光を照射可能な光源と、
前記光源に含まれる複数の半導体発光素子の点消灯を制御する制御部と、を備え、
前記複数の半導体発光素子は、
車両前方の照射領域に含まれる第1の区画へ向かう光を出射する複数の第1半導体発光素子と、
前記照射領域に含まれる、前記第1の区画とは異なる第2の区画へ向かう光を出射し、前記第1半導体発光素子とは異なる特性を有する複数の第2半導体発光素子と、を含み、
前記制御部は、
第1半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた前記複数の第1半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第1駆動部と、
第2半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた前記複数の第2半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第2駆動部と、
を有することを特徴とする車両用前照灯装置。
【請求項2】
前記第1半導体発光素子は、前記第2半導体発光素子と比較して、同じ電流を流したときの輝度が異なる素子で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯装置。
【請求項3】
前記第1半導体発光素子は、前記第2半導体発光素子と比較して、順電流の最大定格が異なる素子で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯装置。
【請求項4】
前記第1半導体発光素子は、前記第1の区画が前記照射領域の中央部を含むように配置されており、
前記制御部は、前記第1半導体発光素子の輝度が前記第2半導体発光素子の輝度よりも高くなるように該第1半導体発光素子および該第2半導体発光素子の点消灯を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用前照灯装置。
【請求項5】
前記複数の半導体発光素子は、その発光面が車両前方を向くように配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用前照灯装置。
【請求項6】
前記複数の半導体発光素子は、その発光面が矩形であり、該発光面の辺が車幅方向に対して斜めになるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用前照灯装置。
【請求項7】
複数の半導体発光素子がマトリックス状に配列されており、車両前方へ光を照射可能な光源と、
前記光源に含まれる複数の半導体発光素子の点消灯を制御する制御部と、を備え、
前記複数の半導体発光素子は、
半導体発光素子がマトリックス状に配列されている領域の第1のブロックに配置されている複数の第1半導体発光素子と、
半導体発光素子がマトリックス状に配列されている領域の、前記第1のブロックとは異なる第2のブロックに配置され、前記第1半導体発光素子とは異なる特性を有する複数の第2半導体発光素子と、を含み、
前記制御部は、
第1半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた前記複数の第1半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第1駆動部と、
第2半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた前記複数の第2半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第2駆動部と、
を有することを特徴とする車両用前照灯装置。
【請求項1】
複数の半導体発光素子がマトリックス状に配列されており、車両前方へ光を照射可能な光源と、
前記光源に含まれる複数の半導体発光素子の点消灯を制御する制御部と、を備え、
前記複数の半導体発光素子は、
車両前方の照射領域に含まれる第1の区画へ向かう光を出射する複数の第1半導体発光素子と、
前記照射領域に含まれる、前記第1の区画とは異なる第2の区画へ向かう光を出射し、前記第1半導体発光素子とは異なる特性を有する複数の第2半導体発光素子と、を含み、
前記制御部は、
第1半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた前記複数の第1半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第1駆動部と、
第2半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた前記複数の第2半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第2駆動部と、
を有することを特徴とする車両用前照灯装置。
【請求項2】
前記第1半導体発光素子は、前記第2半導体発光素子と比較して、同じ電流を流したときの輝度が異なる素子で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯装置。
【請求項3】
前記第1半導体発光素子は、前記第2半導体発光素子と比較して、順電流の最大定格が異なる素子で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯装置。
【請求項4】
前記第1半導体発光素子は、前記第1の区画が前記照射領域の中央部を含むように配置されており、
前記制御部は、前記第1半導体発光素子の輝度が前記第2半導体発光素子の輝度よりも高くなるように該第1半導体発光素子および該第2半導体発光素子の点消灯を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用前照灯装置。
【請求項5】
前記複数の半導体発光素子は、その発光面が車両前方を向くように配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用前照灯装置。
【請求項6】
前記複数の半導体発光素子は、その発光面が矩形であり、該発光面の辺が車幅方向に対して斜めになるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用前照灯装置。
【請求項7】
複数の半導体発光素子がマトリックス状に配列されており、車両前方へ光を照射可能な光源と、
前記光源に含まれる複数の半導体発光素子の点消灯を制御する制御部と、を備え、
前記複数の半導体発光素子は、
半導体発光素子がマトリックス状に配列されている領域の第1のブロックに配置されている複数の第1半導体発光素子と、
半導体発光素子がマトリックス状に配列されている領域の、前記第1のブロックとは異なる第2のブロックに配置され、前記第1半導体発光素子とは異なる特性を有する複数の第2半導体発光素子と、を含み、
前記制御部は、
第1半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた前記複数の第1半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第1駆動部と、
第2半導体発光素子の数よりも少ない数のグループに分けられた前記複数の第2半導体発光素子を、グループ毎に駆動する第2駆動部と、
を有することを特徴とする車両用前照灯装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−54956(P2013−54956A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193014(P2011−193014)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】
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