説明

車両用前照灯

【課題】従来の車両用前照灯は、ホットゾーンがある配光パターンとホットゾーンがない配光パターンとに切り替える場合、シェードを大きく上下に切り替える必要がある。
【解決手段】可動シェード11および固定シェード13と、可動シェード11の位置を上下に切り替えるシェード切替装置28と、を備える。可動シェード11と固定シェード13とには、斜めエッジ14、22がそれぞれ設けられている。可動シェード11の斜めエッジ14の位置と固定シェード11の斜めエッジ22の位置とが水平方向に異なっている。この結果、ホットゾーンがある配光パターンとホットゾーンがない配光パターンとに切り替える場合、シェードを大きく上下に切り替える必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヘッドランプやフォグランプなどであって、それぞれ少なくとも斜めカットオフラインを有する複数の配光パターン、たとえば、すれ違い用配光パターンと高速道路用配光パターンや濡路用配光パターン( 悪天候用配光パターン)とが得られるプロジェクタタイプの車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のプロジェクタタイプの車両用前照灯は、従来からある(たとえば、特許文献1参照)。以下、従来の車両用前照灯について説明する。従来の車両用前照灯は、光源と、その光源からの光を反射させるリフレクタと、そのリフレクタからの反射光を前方に投影する投影レンズと、リフレクタから投影レンズに向かう反射光の一部を遮蔽して配光パターンを形成するシェードと、シェードの位置を上下に切り替えて配光パターンを複数の配光パターンに切り替えるシェード切替装置と、を備えるものである。シェードには、複数の配光パターンの斜めカットオフラインを形成する斜めエッジが設けられている。このために、複数の配光パターンは、それぞれ少なくとも斜めカットオフラインを有する。
【0003】
以下、従来の車両用前照灯の作用について説明する。光源を点灯すると、光源からの光がリフレクタでシェードおよび投影レンズ側に反射し、その反射光の一部がシェードで遮蔽され、残りの反射光が投影レンズから車両の前方に少なくとも斜めカットオフラインを有する配光パターンで照射される。そして、シェード切替装置を駆動させてシェードの位置を上下に切り替えることにより、配光パターンが少なくとも斜めカットオフラインをそれぞれ有する複数の配光パターン、たとえば、図11に示すように、すれ違い用配光パターンLPと高速道路用配光パターンMP(濡路用配光パターンや悪天候用配光パターン)とに切り替わる。これにより、少なくとも斜めカットオフラインをそれぞれ有する複数の配光パターンが得られる。
【0004】
ところが、従来の車両用前照灯は、斜めエッジが設けられているシェードの位置をシェード切替装置で上下に切り替えて、少なくとも斜めカットオフラインをそれぞれ有する複数の配光パターンに切り替えるものである。このために、従来の車両用前照灯は、複数の配光パターンに切り替えても、複数の配光パターンの斜めカットオフラインが上下方向に変わるだけであって、斜めカットオフラインの水平方向の位置が変わらない。たとえば、図11に示すように、すれ違い用配光パターンLPの斜めカットオフラインCL1と下水平カットオフラインCL3との交点、すなわち、エルボー点E1、および、高速道路用配光パターンMPの斜めカットオフラインCL10と下水平カットオフラインCL30との交点、すなわち、エルボー点E2は、スクリーンの上下の垂直線VU−VD上において上下方向に変わるだけであって、エルボー点E1、E2の水平方向の位置は、変わらない。また、従来の車両用前照灯においては、たとえば、図11に示すように、ホットゾーンHZ(ほぼ最大光度帯、ほぼ最大照度帯、ほぼ最大集光位置)がスクリーンの上下の垂直線VU−VDと左右の水平線HL−HRとの交点もしくはその付近にある。この結果、従来の車両用前照灯では、図11に示すように、高速道路用配光パターンMPにおいて、ホットゾーンHZが得られない。そして、従来の車両用前照灯でホットゾーンHZを得るためには、シェードを大きく上下に切り替える必要がある。ここで、シェードを大きく上下に切り替えると、図11中の二点鎖線に示すように、下水平カットオフラインがスクリーン左右の水平線HL−HRよりも上に位置するので、対向車や先行車などにグレアを与えることとなる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−59311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用前照灯では、配光パターンをホットゾーンがある配光パターンとホットゾーンがない配光パターンとに切り替える場合には、シェードを大きく上下に切り替える必要があるという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(請求項1にかかる発明)は、リフレクタから投影レンズに向かう反射光の一部を遮蔽して少なくとも斜めカットオフラインをそれぞれ有する複数の配光パターンを形成する可動シェードおよび固定シェードと、可動シェードの位置を上下に切り替えて複数の配光パターンを切り替えるシェード切替装置と、を備え、可動シェードと固定シェードとには複数の配光パターンの斜めカットオフラインを形成する斜めエッジがそれぞれ設けられており、可動シェードの斜めエッジの位置と固定シェードの斜めエッジの位置とが複数の配光パターンの斜めカットオフラインの位置が水平方向に異なるように、水平方向に異なっている、ことを特徴とする。
【0008】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、複数の配光パターンをほぼ水平方向に移動させるスイブル装置を備える、ことを特徴とする。
【0009】
また、この発明(請求項3にかかる発明)は、複数の配光パターンが斜めカットオフラインを挟んで上水平カットオフラインと下水平カットオフラインとをそれぞれ有し、可動シェードと固定シェードとには複数の配光パターンの上水平カットオフラインおよび下水平カットオフラインを形成する下水平エッジおよび上水平エッジがそれぞれ設けられており、可動シェードの下水平エッジおよび上水平エッジの上下幅と固定シェードの下水平エッジおよび上水平エッジの上下幅とが異なる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、可動シェードの斜めエッジの位置と固定シェードの斜めエッジの位置とが水平方向に異なっているので、可動シェードを上下に切り替えることにより、複数の配光パターンの斜めカットオフラインが上下方向に変わると共に水平方向にも変わる。たとえば、可動シェードによって得られる配光パターンの斜めカットオフライン(図7中の斜めカットオフラインCL1)の位置と固定シェードによって得られる配光パターンの斜めカットオフライン(図10中の斜めカットオフラインCL10)の位置とが上下方向に異なると共に水平方向にも異なる。これにより、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、配光パターンをホットゾーンがある配光パターン(たとえば、図9に示す高速道路用配光パターンMP)とホットゾーンがない配光パターン(たとえば、図6に示すすれ違い用配光パターンLP)とに切り替える場合において、従来の車両用前照灯と比較して、可動シェードを大きく上下に切り替える必要がない。
【0011】
この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、可動シェードを大きく上下に切り替える必要がないので、シェード切替装置を小型化することができ、製造コストを安価にすることができ、かつ、コンパクトにまとめることができる。しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、可動シェードを大きく上下に切り替える必要がないので、下水平カットオフラインがスクリーンの左右の水平線よりも上に位置して対向車や先行車などにグレアを与えるようなことがない。その上、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、可動シェードを大きく上下に切り替える必要がないので、シェード切替装置やその他の装置が故障したときのフェールセーフ対策として、グレアを防止するためにランプユニット全体を下向きにする場合において、ランプユニット全体を下向きにする移動量が小さくてもグレアを確実に防止することができる。
【0012】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、スイブル装置により、複数の配光パターンをほぼ水平方向に移動させることができる。これにより、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、ホットゾーンがある配光パターンをほぼ水平方向に移動させることにより、ホットゾーンの位置を好適な位置に位置させることができる。たとえば、ホットゾーンがある配光パターンを高速道路用配光パターンや濡路用配光パターンとした場合においては、ホットゾーンを車両の中心(たとえば、図10に示すホットゾーンHZ)から走行車線側(たとえば、図9に示すように、左側通行の場合には左側、または、右側通行の場合には右側)に位置させることにより、走行車線側の路肩や道路白線やガードレールなどの視認性が向上されて、道路線形の把握が容易となり、交通安全に貢献することができる。
【0013】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、可動シェードの下水平エッジおよび上水平エッジの上下幅と固定シェードの下水平エッジおよび上水平エッジの上下幅とが異なるので、可動シェードを上下に切り替えることにより、水平カットオフラインの上下位置が異なる複数の配光パターンを簡単に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。図面において、符号「F」は、自動車(車両)の前方向(自動車の前進方向)を示す。符号「B」は、自動車の後方向を示す。符号「U」は、ドライバー側から前方向を見た上方向を示す。符号「D」は、ドライバー側から前方向を見た下方向を示す。符号「L」は、ドライバー側から前方向を見た場合の左方向を示す。符号「R」は、ドライバー側から前方向を見た場合の右方向を示す。符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。符号「Z−Z」および「(Z)−(Z)」は、ランプユニットの光軸(リフレクタの光軸、投影レンズの光軸)を示す。符号「V−V」は、ほぼ垂直なスイブル軸である。
【実施例】
【0015】
以下、この実施例にかかる車両用前照灯の構成について説明する。図1および図3において、符号1は、この実施例にかかる車両用前照灯である。前記車両用前照灯1は、自動車(車両)の前部の左右にそれぞれ装備される、たとえば、プロジェクタタイプのヘッドランプである。また、前記車両用前照灯1は、図1および図3に示すように、光源としての放電灯2と、リフレクタ3と、投影レンズ(集光レンズ)4と、シェード5と、シェード切替装置28と、スイブル装置31と、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズもしくはアウターレンズ(図示せず)と、を備えるものである。
【0016】
前記放電灯2および前記リフレクタ3および前記投影レンズ4および前記シェード5および前記シェード切替装置28および前記スイブル装置31は、ランプユニットを構成する。前記ランプユニットは、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室内に配置されている。また、前記ランプユニットは、初期状態(基準状態)のとき、図3に示すように、光軸Z−Zが正面に向いている。さらに、前記ランプユニットは、前記スイブル装置31によりスイブル軸V−V回りに左右に回転して、前記ランプユニットの光軸Z−Z、(Z)−(Z)は、同じく、スイブル軸V−V回りに左右に回転する。
【0017】
前記車両用前照灯1は、複数の配光パターン、たとえば、図7に示すすれ違い用配光パターンLPと、図9に示す高速道路用配光パターンMP(または、濡路用配光パターンや悪天候用配光パターン。以下、単に「高速道路用配光パターンMP」と称する)と、を照射するものである。前記すれ違い用配光パターンLPは、上縁にカットオフラインCL1、CL2、CL3とエルボー点E5とを有する。また、前記高速道路用配光パターンMPは、上縁にカットオフラインCL10、CL20、CL30とエルボー点E6とを有する。図7に示すすれ違い用配光パターンLPおよび図9に示す高速道路用配光パターンMPは、前記ランプユニットが初期状態のときの初期配光パターン(基準配光パターン)を示すものである。この初期配光パターンにおいて、エルボー点E5、E6は、スクリーンの上下の垂直線VU−VD上に位置する。これは、前記ランプユニットが前記スイブル装置31によりスイブル軸V−V回りに左右に回転する際のグレアの防止である。
【0018】
前記放電灯2は、いわゆる、メタルハライドランプなどの高圧金属蒸気放電灯、高輝度放電灯(HID)などである。前記放電灯2は、前記リフレクタ3にソケット機構6を介して着脱可能に取り付けられている。前記放電灯2の発光部分7は、前記リフレクタ3の第1焦点(図示せず)もしくはその近傍に位置する。なお、光源としては、前記放電灯2以外に、ハロゲン電球、白熱電球でも良い。
【0019】
前記リフレクタ3の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、反射面が形成されている。前記リフレクタ3の反射面は、楕円を基調とした反射面、たとえば、回転楕円面や楕円を基本とした自由曲面(NURBS曲面)などの反射面(図1の垂直断面が楕円面をなし、かつ、図3の水平断面が放物面ないし変形放物面をなす反射面)からなる。このために、前記リフレクタ3の反射面は、第1焦点と、第2焦点(水平断面上の焦線、なお、図示せず)とを有する。前記リフレクタ3は、ホルダなどのフレーム部材8に固定保持されている。なお、前記リフレクタ3の反射面の自由曲面(NURBS曲面)は、「Mathematical Elemennts for Computer Graphics」(Devid F. Rogers、J Alan Adams)に記載されているNURBSの自由曲面(Non-Uniform Rational B-Spline Surface)である。
【0020】
前記投影レンズ4は、非球面レンズの凸レンズである。前記投影レンズ4の前方側は、凸非球面をなし、一方、前記投影レンズ4の後方側は、平非球面をなす。前記投影レンズ4は、前記フレーム部材8に固定保持されている。前記投影レンズ4は、前記リフレクタ3の反射面の第2焦点よりも前側に物空間側の焦点面であるメリジオナル像面(図示せず)を有する。
【0021】
前記シェード5は、製造コストが安価である板構造(この例では、平板の薄鋼板構造)からなる。前記シェード5は、前記リフレクタ3から前記投影レンズ4に向かう反射光(図示せず)の一部を遮蔽して前記すれ違い用配光パターンLPを形成する可動シェード11と、前記高速道路用配光パターンMPを形成する固定シェード13と、から構成されている。
【0022】
前記可動シェード11は、前後2枚の板からなり、側板25により、間に空間を開けて一体に構成されている。一方、前記フレーム部材8には、回動軸26が固定されている。前記可動シェード11は、前記側板25を介して前記回動軸26に回転可能に取り付けられている。前記可動シェード11には、凸部27が前記回動軸26よりも前方に突出して設けられている。
【0023】
図4〜図6に示すように、前記可動シェード11の上縁には、前記すれ違い用配光パターンLPのカットオフラインCL1、CL2、CL3を形成するためのエッジが設けられている。前記エッジは、前記すれ違い用配光パターンLPの斜めカットオフラインCL1を形成する斜めエッジ14と、前記すれ違い用配光パターンLPの上水平カットオフラインCL2を形成する下水平エッジ15と、前記すれ違い用配光パターンLPの下水平カットオフラインCL3を形成する上水平エッジ16と、からなる。
【0024】
前記可動シェード11において、前記斜めエッジ14と前記上水平エッジ16との交点、すなわち、シェードのエルボー点E3は、前記ランプユニットが初期状態のとき(すなわち、前記ランプユニットの光軸Z−Zが正面に向いている状態(図3参照)のとき)において、スクリーンの上下の垂直線VU−VD上であって、左右の水平線HL−HRよりやや上に位置する。前記下水平エッジ15は、前記斜めエッジ14の右側に位置する。前記上水平エッジ16は、前記斜めエッジ14の左側に位置する。
【0025】
前記固定シェード13は、2枚の前記可動シェード11の間に隙間を開けて配置されており、かつ、前記フレーム部材8に固定されている。同じく、図4〜図6に示すように、前記固定シェード13の上縁には、前記高速道路用配光パターンMPの前記カットオフラインCL10、CL20、CL30を形成するためのエッジが設けられている。前記エッジは、前記高速道路用配光パターンMPの斜めカットオフラインCL10を形成する斜めエッジ22と、前記高速道路用配光パターンMPの上水平カットオフラインCL20を形成する下水平エッジ23と、前記高速道路用配光パターンMPの下水平カットオフラインCL30を形成する上水平エッジ24と、からなる。
【0026】
前記固定シェード13において、前記斜めエッジ22と前記上水平エッジ23との交点、すなわち、シェードのエルボー点E4は、前記可動シェード11のエルボー点E3に対して所定寸法T分左側にずれて位置する。また、前記エルボー点E4は、前記ランプユニットの光軸(Z)−(Z)がスイブル軸V−V回りに左側(反時計方向)に所定角度θ°分回転している状態(図3参照)のときにおいて、スクリーンの上下の垂直線VU−VD上であって、左右の水平線HL−HRよりやや上に位置する。前記下水平エッジ23は、前記斜めエッジ22の右側に位置する。前記上水平エッジ24は、前記斜めエッジ22の左側に位置する。
【0027】
前記可動シェード11の斜めエッジ14の位置と前記固定シェード13の斜めエッジ22の位置とは、図4〜図6に示すように、水平方向(左右方向)に異なっている。すなわち、前記可動シェード11の斜めエッジ14は、前記固定シェード13の斜めエッジ22に対して右側に位置する。
【0028】
前記可動シェード11の下水平エッジ15および上水平エッジ16の上下幅W1と固定シェード13の下水平エッジ23および上水平エッジ24の上下幅W2とは、異なる。すなわち、前記可動シェード11の下水平エッジ15および上水平エッジ16の上下幅W1を、固定シェード13の下水平エッジ23および上水平エッジ24の上下幅W2よりも小さくする。
【0029】
前記切替装置28は、前記可動シェード11に設けられている。前記切替装置28は、前記可動シェード11の姿勢を上下に切り替えて、配光パターンを前記可動シェード11により形成される前記すれ違い用配光パターンLPと、前記固定シェード13により形成される前記高速道路配光パターンMPとに切り替えるものである。
【0030】
前記切替装置28は、この例では、ソレノイド29と、スプリング(図示せず)とから構成されている。前記ソレノイド29は、前記フレーム部材8に取り付けられている。前記ソレノイド29のプランジャ30が前記凸部27に当接している。一方、前記スプリングは、前記可動シェード11を常時図2(A)中の矢印方向(反時計方向)に付勢するものである。
【0031】
前記切替装置28の前記ソレノイド29が無通電状態のときは、前記スプリングの力により、図1および図2(A)および図5に示す状態、すなわち、前記可動シェード11が上の位置に切り替えられて位置し、前記可動シェード11の上水平エッジ16と固定シェード13の上水平エッジ24とが上下方向において一致する状態にある。
【0032】
前記フレーム部材8には、回転軸32がほぼ垂直軸、すなわち、ほぼ垂直なスイブル軸V−V方向に一体に設けられている。前記回転軸32には、前記スイブル装置31が設けられている。前記スイブル装置31は、ステッピングモータや通常のモータなどの駆動部33と、前記駆動部33および前記回転軸31に設けられている回転力伝達機構34と、から構成されている。前記スイブル装置31は、前記駆動部33を駆動させることにより、前記回転力伝達機構34を介して、前記ランプユニットを前記スイブル軸V−V回りに左右に回転させて、前記すれ違い用配光パターンLPおよび前記高速道路配光パターンMPを左右に移動させるものである。
【0033】
この実施例にかかる車両用前照灯1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0034】
まず、ランプユニットが初期状態にあるときは、図3に示しように、ランプユニットの光軸Z−Zが正面に向いていて、図5に示すように、可動シェード11のエルボーE3がスクリーンの上下の垂直線VU−VD上であって左右の水平線HL−HRより若干上方に位置する。また、ソレノイド29が無通電状態にあるときは、図1および図2(A)および図5に示すように、スプリングの力により、可動シェード11の下水平エッジ15が固定シェード13の下水平エッジ23よりも若干上方に位置し、また、可動シェード11の上水平エッジ16と固定シェード13の上水平エッジ24とが上下方向において一致している。この状態のときに、放電灯2を点灯する。
【0035】
すると、この放電灯2の発光部分7から光(図示せず)が放射される。この光の一部は、リフレクタ3の反射面でシェード5および投影レンズ4側に反射される。この反射光(図示せず)の一部は、可動シェード11により遮蔽され、残りの反射光は、投影レンズ4側に進む。
【0036】
このとき、可動シェード11により、図7に示すすれ違い用配光パターンLPが形成される。このすれ違い用配光パターンLPには、可動シェード11の斜めエッジ14、下水平エッジ15、上水平エッジ16、エルボー点E3により、斜めカットオフラインCL1、上水平カットオフラインCL2、下水平カットオフラインCL3、エルボー点E5がそれぞれ形成されている。ここで、すれ違い用配光パターンLPの上水平カットオフラインCL2は、スクリーンの左右の水平線HL−HR上に位置する。また、すれ違い用配光パターンLPの下水平カットオフラインCL3は、スクリーンの左右の水平線HL−HRよりも若干下方に位置する。さらに、すれ違い用配光パターンLPのエルボーE5は、スクリーンの上下の垂直線VU−VD上であって、左右の水平線HL−HRより若干下方に位置する。
【0037】
そして、反射光の一部が可動シェード11により遮蔽されて図7に示すすれ違い用配光パターンLPを形成する残りの反射光は、投影レンズ4を経て、図7に示すすれ違い用配光パターンLPとして自動車の前方に投影(放射、照射)される。
【0038】
図7に示すすれ違い用配光パターンLPが照射されているときに、自動車が曲路や交差点などを走行すると、ステアリングハンドルの操舵に基づいて、スイブル装置31が駆動制御して、ランプユニットがスイブル軸V−V回りに左右に回転する。すると、ランプユニットの光軸Z−Zがスイブル軸V−V回りに左右に回転するので、図7に示すすれ違い用配光パターンLPがそのままのパターンで左右(図7中の矢印L方向および矢印R方向)に移動する。このとき、すれ違い用配光パターンLPのエルボー点E5もすれ違い用配光パターンLPの左右移動に伴って、スクリーンの上下の垂直線VU−VDに対して左右に移動する。
【0039】
以下、図7に示すすれ違い用配光パターンLPから図9に示す高速道路用配光パターンMPに切り替える操作について説明する。
【0040】
ここで、図5および図6に示すように、固定シェード13のエルボー点E4が可動シェード11のエルボー点E3に対して所定寸法T分の左側にずれている。このために、ランプユニットが初期状態にあるときに、ソレノイド29に通電して図5に示す上の位置に位置する可動シェード11を図6に示す下の位置に位置させて、配光パターンを図7に示すすれ違い用配光パターンLPから図10に示す高速道路用配光パターンMPに切り替える。すると、図10に示す高速道路用配光パターンMPのエルボー点E6が図7に示すすれ違い用配光パターンLPのエルボー点E5に対して、すなわち、スクリーンの上下の垂直線VU−VDに対して所定寸法T分右側にずれている。この結果、図7に示すすれ違い用配光パターンLPでは、可動シェード11により遮蔽されていたホットゾーンHZが、図10に示す高速道路用配光パターンMPにおいて、スクリーンの上下の垂直線VU−VDと左右の水平線HL−HRとの交点もしくはその近傍に現れる。この状態で、ランプユニットをスイブル装置31でスイブル軸V−V回りに左右に回転させて、図10に示す高速道路用配光パターンMPを左右(図10中の矢印L方向および矢印R方向)に移動させると、グレアを与える場合がある。この結果、固定シェード13のエルボー点E4と可動シェード11のエルボー点E3との間の所定寸法T分のずれを補正して、高速道路用配光パターンMPのエルボー点E6をスクリーンの上下の垂直線VU−VD上に位置させる必要がある。
【0041】
そこで、まず、スイブル装置31によりランプユニットを左側(左側通行の場合には左側、右側通行の場合には右側)に所定角度θ°分(すなわち、可動シェード11のエルボー点E3(図7に示すすれ違い用配光パターンLPのエルボー点E5)と固定シェード13のエルボー点E4(図10に示す高速道路用配光パターンMPのエルボー点E6)との左右方向のずれの所定寸法T分)回転させる。
【0042】
すると、図3に示すように、ランプユニットの光軸が正面に向いている状態Z−Zからスイブル軸V−V回りに左側に所定角度θ°分回転している状態(Z)−(Z)に変わる。これにより、図7に示すすれ違い用配光パターンLPから、前記の所定角度θ°分(すなわち、前記の所定寸法T分)左側に移動した図8に示すすれ違い用配光パターンLPが得られる。この図8に示すすれ違い用配光パターンLPのエルボー点E5は、スクリーンの上下の垂直線VU−VDに対して前記の所定角度θ°分(すなわち、前記の所定寸法T分)左側に移動している。これで、固定シェード13のエルボー点E4と可動シェード11のエルボー点E3との間の所定寸法T分のずれが補正されて、高速道路用配光パターンMPのエルボー点E6がスクリーンの上下の垂直線VU−VD上に位置することとなる。すなわち、高速道路用配光パターンMPにおける基準位置が決定される。
【0043】
つぎに、ソレノイド29に通電する。すると、ソレノイド29の作用により、プランジャ30がスプリングの力に抗して、図2(B)中の矢印に示すように、上昇する。これに伴って、可動シェード11が回動軸26回りに図2(B)中の矢印方向(時計方向)に回転する。
【0044】
これにより、図6に示すように、可動シェード11のエッジ14、15、16およびエルボー点E3が固定シェード13のエッジ22、23、24およびエルボー点E4よりも若干下方に位置する状態となる。このとき、固定シェード13のエルボー点E4は、可動シェード11のエルボー点E3に対して所定寸法T分左側に移動している。この固定シェード13のエルボー点E4と可動シェード11のエルボー点E3との所定寸法T分の差は、前記のランプユニットの所定角度θ°分の回転により、相殺される。この結果、前記の図8に示すすれ違い用配光パターンLPのエルボー点E5がスクリーンの上下の垂直線VU−VDに対して所定角度θ°分左側にずれているのに対して、図9に示す高速道路用配光パターンMPのエルボーE6がスクリーンの上下の垂直線VU−VD上に位置することとなる。
【0045】
このように、リフレクタ3からの反射光の一部が固定シェード13により遮蔽され、残りの反射光が投影レンズ4側に進む。このとき、固定シェード13により、図9に示す高速道路用配光パターンMPが形成される。この高速道路用配光パターンMPには、固定シェード13の斜めエッジ22、下水平エッジ23、上水平エッジ24、エルボー点E4により、斜めカットオフラインCL10、上水平カットオフラインCL20、下水平カットオフラインCL30、エルボー点E6がそれぞれ形成されている。
【0046】
ここで、高速道路用配光パターンMPの上水平カットオフラインCL20は、スクリーンの左右の水平線HL−HRより若干上方に位置する。また、高速道路用配光パターンMPの下水平カットオフラインCL30は、前記のすれ違い用配光パターンLPの下水平カットオフラインCL3とほぼ同様に、スクリーンの左右の水平線HL−HRよりも若干下方に位置する。さらに、高速道路用配光パターンMPのエルボーE6は、前記のすれ違い用配光パターンLPのエルボーE5とほぼ同様に、スクリーンの上下の垂直線VU−VD上であって、左右の水平線HL−HRより若干下方に位置する。さらにまた、高速道路用配光パターンMPのホットゾーンHZは、スクリーンの左右の水平線HL−HR上であって、上下の垂直線VU−VDよりも若干左側の位置、斜めカットオフラインCL10よりも若干左側であって、上水平カットオフラインCL20よりも若干下方の位置に位置する。
【0047】
そして、反射光の一部が固定シェード13により遮蔽されて図9に示す高速道路用配光パターンMPを形成する残りの反射光は、投影レンズ4を経て、図9に示す高速道路用配光パターンMPとして自動車の前方に投影(放射、照射)される。
【0048】
図9に示す高速道路用配光パターンMPが照射されているときに、自動車が曲路や交差点などを走行すると、ステアリングハンドルの操舵に基づいて、スイブル装置31が駆動制御して、ランプユニットがスイブル軸V−V回りに左右に回転する。すると、ランプユニットの光軸(Z)−(Z)がスイブル軸V−V回りに左右に回転するので、図9に示す高速道路用配光パターンMPがそのままのパターンで左右(図9中の矢印L方向および矢印R方向)に移動する。このとき、高速道路用配光パターンMPのエルボー点E6も高速道路用配光パターンMPの左右移動に伴って、スクリーンの上下の垂直線VU−VDに対して左右に移動する。
【0049】
図9に示す高速道路用配光パターンMPから図7に示すすれ違い用配光パターンLPに切り替える場合は、まず、ソレノイド29への通電を遮断する。すると、スプリングの力により、可動シェード11が回動軸26回りに図2(A)中の矢印方向(反時計方向)に回転するとともに、プランジャ30が下降する。すると、可動シェード11のエッジ14、15、16が固定シェード13のエッジ22、23、24よりも上に位置する。これにより、図9に示す高速道路用配光パターンMPから図8に示すすれ違い用配光パターンLPに切り替わる。
【0050】
つぎに、スイブル装置31によりランプユニットを右側に所定角度θ°分回転させて、ランプユニットの光軸を左側に所定角度θ°分回転している状態(Z)−(Z)から正面に向いている状態Z−Zに変える。これにより、図8に示すすれ違い用配光パターンLPから図7に示すすれ違い用配光パターンLPに切り替わる。
【0051】
この実施例にかかる車両用前照灯1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0052】
この実施例にかかる車両用前照灯1は、可動シェード11の斜めエッジ14の位置と固定シェード13の斜めエッジ22の位置とが水平方向に異なっているので、可動シェード11を上下に切り替えることにより、図7に示すすれ違い用配光パターンLPの斜めカットオフラインCL1の位置と図9に示す高速道路用配光パターンMPの斜めカットオフラインCL10の位置とが上下方向に異なると共に水平方向にも異なる。これにより、この実施例にかかる車両用前照灯1は、配光パターンをホットゾーンHZがある図9に示す高速道路用配光パターンMPとホットゾーンがない図6に示すすれ違い用配光パターンLPとに切り替える場合において、従来の車両用前照灯と比較して、可動シェード11を大きく上下に切り替える必要がない。
【0053】
この結果、この実施例にかかる車両用前照灯1は、可動シェード11を大きく上下に切り替える必要がないので、シェード切替装置28を小型化することができ、製造コストを安価にすることができ、かつ、コンパクトにまとめることができる。しかも、この実施例にかかる車両用前照灯1は、可動シェード11を大きく上下に切り替える必要がないので、下水平カットオフラインCL30がスクリーンの左右の水平線HL−HRよりも上に位置して対向車や先行車などにグレアを与えるようなことがない。その上、この実施例にかかる車両用前照灯1は、可動シェード11を大きく上下に切り替える必要がないので、シェード切替装置28やその他の装置たとえばスイブル装置31が故障したときのフェールセーフ対策として、グレアを防止するためにランプユニット全体を下向きにする場合において、ランプユニット全体を下向きにする移動量が小さくてもグレアを確実に防止することができる。
【0054】
すなわち、この実施例にかかる車両用前照灯1の可動シェード11の上下の切替幅は、従来の車両用前照灯と比較して小さい。このために、図9に示す高速道路用配光パターンMPの上水平カットオフラインCL20とスクリーンの左右の水平線HL−HRとの上下幅W10は、図11に示す高速道路用配光パターンMPの上水平カットオフラインCL20とスクリーンの左右の水平線HL−HRとの上下幅W20よりも小さい。この結果、フェールセーフ作動時において、この実施例にかかる車両用前照灯1の高速道路用配光パターンMPの上水平カットオフラインCL20をスクリーンの左右の水平線HL−HRまで下げる幅(距離)は、従来の車両用前照灯よりも小さくて済む。これにより、ランプユニット全体を下向きにする移動量が小さくてもグレアを確実に防止することができる。
【0055】
また、この実施例にかかる車両用前照灯1は、スイブル装置31により、図7に示すすれ違い用配光パターンLPおよび図9に示す高速道路用配光パターンMPをほぼ水平方向に移動させることができる。この結果、この実施例にかかる車両用前照灯1は、ホットゾーンHZがある配光パターンを図10に示す高速道路用配光パターンMPから図9に示す高速道路用配光パターンMPにほぼ水平方向に移動させることにより、ホットゾーンHZの位置を好適な位置に位置させることができる。ここで、ホットゾーンHZを図10に示す車両の中心から図9に示す走行車線側(たとえば、図9に示すように、左側通行の場合には左側、または、右側通行の場合には右側)に位置させることにより、走行車線側の路肩や道路白線やガードレールなどの視認性が向上されて、道路線形の把握が容易となり、交通安全に貢献することができる。しかも、ホットゾーンHZを走行車線側に位置させることにより、高速道路の走行、濡路の走行、悪天候の走行に好適である。
【0056】
さらに、この実施例にかかる車両用前照灯1は、可動シェード11の下水平エッジ15および上水平エッジ16の上下幅W1と固定シェード13の下水平エッジ23および上水平エッジ24の上下幅W2とが異なるので、可動シェード11を上下に切り替えることにより、上水平カットオフラインCL2、CL20の上下位置が異なる図7に示すすれ違い用配光パターンLPと図9に示す高速道路用配光パターンMPとを簡単に得ることができる。
【0057】
以下、上記の実施例以外の例について説明する。前記の実施例においては、車両用前照灯としてヘッドランプについて説明するものである。ところが、この発明においては、車両用前照灯としてヘッドランプ以外のランプ、たとえば、フォグランプなどであっても良い。
【0058】
また、前記の実施例においては、可動シェード11を上下に切り替えて、すれ違い用配光パターンLPと高速道路用配光パターンMPとが得られるプロジェクタタイプのヘッドランプについて説明するものである。ところが、この発明においては、得られる配光パターンとしては特に限定されない。たとえば、すれ違い用配光パターンLPと走行用の配光パターンや濡路用配光パターンや悪天候用配光パターンとが得られる車両用前照灯であっても良い。
【0059】
さらに、前記の実施例においては、切替装置28としてソレノイド29を使用するものである。ところが、この発明においては、切替装置としてステッピングモータや通常のモータあるいはシリンダなどを使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明にかかる車両用前照灯の実施例を示す概略縦断面図(概略垂直断面図)である。
【図2】同じく、可動シェードと固定シェードとを示す一部断面図である。
【図3】同じく、要部を示す横断面図(水平断面図)である。
【図4】同じく、可動シェードおよび固定シェードを示す斜視図である。
【図5】同じく、可動シェードが上の位置に位置するときの図4中の矢印方向から見た可動シェードおよび固定シェードを示す正面図である。
【図6】同じく、可動シェードが下の位置に位置するときの図4中の矢印方向から見た可動シェードおよび固定シェードを示す正面図である。
【図7】同じく、可動シェードにより得られるすれ違い用配光パターンを示す説明図である。
【図8】同じく、ランプユニットを左側に回転させた状態において、可動シェードにより得られるすれ違い用配光パターンを示す説明図である。
【図9】同じく、ランプユニットを左側に回転させた状態において、固定シェードにより得られる高速道路用配光パターンを示す説明図である。
【図10】同じく、固定シェードにより得られる高速道路用配光パターンを示す説明図である。
【図11】従来の車両用前照灯により得られるすれ違い用配光パターンおよび高速道路用配光パターンを示す説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1 車両用前照灯
2 放電灯(光源)
3 リフレクタ
4 投影レンズ
5 シェード
6 ソケット機構
7 発光部分
8 フレーム部材
11 可動シェード
13 固定シェード
14 斜めエッジ
15 下水平エッジ
16 上水平エッジ
22 斜めエッジ
23 下水平エッジ
24 上水平エッジ
25 側板
26 回動軸
27 凸部
28 シェード切替装置
29 ソレノイド
30 プランジャ
31 スイブル装置
32 回転軸
33 駆動部
34 回転力伝達機構
LP すれ違い用配光パターン
MP 高速道路用配光パターン
F 前方向
B 後方向
U 上方向
D 下方向
L 左方向
R 右方向
HL−HR 左右の水平線
VU−VD 上下の垂直線
Z−Z、(Z)−(Z) 光軸
CL1、CL10 斜めカットオフライン
CL2、CL20 上水平カットオフライン
CL3、CL30 下水平カットオフライン
E1、E5 すれ違い用の配光パターンのエルボー点
E2、E6 高速道路用の配光パターンのエルボー点
E3 可動シェードのエルボー点
E4 固定シェードのエルボー点
W1 可動シェードの下水平エッジおよび上水平エッジの上下幅
W2 固定シェードの下水平エッジおよび上水平エッジの上下幅
W10、W20 高速道路用配光パターンの上水平カットオフラインとスクリーンの左右の水平線との上下幅
HZ ホットゾーン
θ° ランプユニットの所定の回転角度
T 可動シェードのエルボー点と固定シェードのエルボー点とずれ距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配光パターンが得られるプロジェクタタイプの車両用前照灯において、
光源と、
前記光源からの光を反射させるリフレクタと、
前記リフレクタからの反射光を前方に投影する投影レンズと、
前記リフレクタから前記投影レンズに向かう反射光の一部を遮蔽して少なくとも斜めカットオフラインをそれぞれ有する前記複数の配光パターンを形成する可動シェードおよび固定シェードと、
前記可動シェードの位置を上下に切り替えて配光パターンを前記複数の配光パターンに切り替えるシェード切替装置と、
を備え、
前記可動シェードと前記固定シェードとには、前記複数の配光パターンの前記斜めカットオフラインを形成する斜めエッジがそれぞれ設けられており、
前記可動シェードの斜めエッジの位置と前記固定シェードの斜めエッジの位置とは、前記複数の配光パターンの斜めカットオフラインの位置が水平方向に異なるように、水平方向に異なっている、
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記複数の配光パターンをほぼ水平方向に移動させるスイブル装置を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記複数の配光パターンは、前記斜めカットオフラインを挟んで上水平カットオフラインと下水平カットオフラインとをそれぞれ有し、
前記可動シェードと前記固定シェードとには、前記複数の配光パターンの前記上水平カットオフラインおよび前記下水平カットオフラインを形成する下水平エッジおよび上水平エッジがそれぞれ設けられており、
前記可動シェードの前記下水平エッジおよび前記上水平エッジの上下幅と、前記固定シェードの前記下水平エッジおよび前記上水平エッジの上下幅とは、異なる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−294151(P2007−294151A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118246(P2006−118246)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】