説明

車両用外装部品

【課題】 乗員以外の周辺(対向車、後続車、歩行者など)に必要な時に必要な情報を表示、告知する発光部材を備え、車両外観の意匠性が高い車両用外装部品を提供すること。
【解決手段】 外観部に透過性を有する意匠面11を形成しフランジ部12を有するガーニッシュカバー10と、フランジ部12と係合する勘合部21を有しフランジ部12と嵌合部21と係合した状態でガーニッシュカバー10と二重構造を構成して車両2に取り付くガーニッシュボディー20と、ガーニッシュカバー10とガーニッシュボディー20の二重構造の間に配設され、車両2からの給電で点灯消灯する発光体30と、から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光部材を備えた車両用外装部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用外装部品(モールディング等)は、製品外観の美しさで車両の価値を向上させる役割を持っていた。ガラス縁部の被服、ガラス保持機能など性能を備える製品もあるが、情報を車外へ開示、告知する機能を持たせた製品は、方向指示器、ヘッドライト、リアライト、フォグランプであり、これらの外装部品は乗員の車内からの操作、あるいはリモコンキー等による遠隔操作で行われていた。
【0003】
また二重構造の従来の車両用外装部品として、ガラスランチャンネルの収納される溝部、及び当該溝部の背面側に設けられるリテーナ部等を一定の横断面形態を有するサッシュ型材にて形成させるとともに、意匠面を形成することとなるフランジ部側を合成樹脂製成形品等からなるガーニッシュにて形成させ、これらを適宜組み合わせる、具体的には、サッシュ型材の表面側にガーニッシュを重ね合わせることによって形成させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−338522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車両用外装部品では、車外に搭載した外装部品による乗員、歩行者への発光による情報伝達は方向指示器が主であり、伝達出来る情報内容は曲がり方向や緊急時の点滅信号などに限定されていた。
【0005】
新たな外装部品として車両周辺の人から認識し易い位置に発光部材を設ける場合、車両構造の見直し、外装部品の大幅な形状変更が必要であり、この場合コストの上昇に加え車両の外観を損ね意匠性を低下させてしまう問題がある。また、新たに外装部品を設けると、他者と接触する問題や、風雨による劣化などから機能を維持する為に保護する部材が必要となり更に外装部品自体を大型化させる問題がある。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、乗員以外の周辺(対向車、後続車、歩行者など)に必要な時に必要な情報を表示、告知する発光部材を備え、車両外観の意匠性が高い車両用外装部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、外観部に透過性を有する意匠面を形成し係合部を設けた第一構成部と、前記係合部と係合する被係合部を設け前記係合部と前記被係合部と係合した状態で前記第一構成部と二重構造を構成して車両に取り付く第二構成部と、前記第一構成部と前記第二構成部の二重構造の間に配設され、前記車両からの給電で点灯消灯する発光部材と、から構成される。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記第一構成部は、半透過性フィルムを備える、ことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、前記発光部材は有機ELである、ことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、前記第一構成部と前記発光部材の間の前記発光部材と接する位置に、情報表示文字が施された透過性を有する樹脂板を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明では、車両用外装部品を第一構成部と第二構成部の二重構造としてその間に発光部材を設けることで、既存の車両用外装部品と置き換えることが可能になる。したがって新たに(別途)外装部品を車両周辺の人から認識し易い位置に発光部材を設ける必要がないため、車両構造の見直し、外装部品の大幅な形状変更が不要であり、コストの上昇を抑えながら車両外観の意匠性を保つことができる。また、新たに外装部品を設ける必要がないため、他者と接触する問題、風雨による劣化などから機能を維持する為に保護する部材が必要となる問題、外装部品自体が大型化する問題がない。
【0012】
また、第一構成部は透過性を有するため、車両機能と連動させ発光部材を点灯消灯させて、乗員が視認できるようにできる。例えばスマートキーシステムと連動して乗員の接近を認識すると同時に任意に設定した周期で発光や情報の表示を行うこと、燃料電池充電中であることを点滅により知らせること、ができる。
【0013】
また、乗員以外の周辺(対向車、後続車、歩行者など)に必要な時に必要な情報を表示、告知する事ができる。例えば事前に車載ナビシステムと連携させることで任意の情報を状況に応じて発光又は表示して周辺の車に認知させること、車両盗難システムの異常警報を表示部で車両周辺の人に知らせることなどである。これは無線、電波通信を用いた地域交通コントロールシステムと連動しながら走行する車両の情報(例えば、速度、進行方向など)を周囲に伝える機能として設定することで車対車、車対歩行者間の目視による確認が容易になり、危険予知を促す効果がある。
【0014】
また、請求項2に記載の発明では、第一構成部は裏面もしくは表面に半透過性フィルムを備えるため、第一構成部の透過を妨げないレベル(透過率20%程度)では、非発光時には車両外観から発光部材が認識されず、発光時のみ発光部材が表示部として認識されるため、車両外観の意匠性を保つことができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明では、発光部材は有機ELであるため、発光部材の点灯消灯だけでなく、画像表示、機能に応じた文字情報表示、カラー表示が可能になる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明では、第一構成部と発光部材の間で発光部材と接する位置に情報表示文字が施された樹脂板を備えるため、発光部材からの光が印刷等された情報表示文字を透過して第一構成部裏面に投影される。このとき情報表示文字が施された透過性を有する樹脂板と第一構成部の双方が光る。半透過性の第一構成部に対し角度をつけた方向からの視線では、樹脂板上の情報表示文字は透けて見えるため、情報表示文字は影付き発光の様に車両外部から浮き上がって見える立体的表示効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例の車両のピラーガーニッシュ1(外装部品)の外観を示す斜視図である。ピラーガーニッシュ1は外観部に意匠面11を形成し、ドア3の機能と連動してピラーガーニッシュ1の内部に設けた発光体30(図2)が点灯消灯して、意匠面11に情報の表示を行う。
【0018】
図2は、本発明の第1実施例のピラーガーニッシュ1のA−A断面図である。ピラーガーニッシュ1は、ガーニッシュカバー10(第一構成部)と、ガーニッシュカバー10と二重構造を構成してドアサッシュ2(車両)に取り付くガーニッシュボディー20(第二構成部)と、ガーニッシュカバー10とガーニッシュボディー20の間に配設され車両2からの図示しないワイヤーハーネスからの給電で点灯消灯する発光体30(発光体)と、から構成される。
【0019】
ガーニッシュカバー10は、アクリル、PET等の均一な板厚の透過性材料であり、表面には透過率20%程度の金属調の半透過性フィルム13が貼り付けてあり、裏面には情報表示文字14である「OPEN]文字が印刷されている。また、ガーニッシュカバー10の両端には、フランジ部12(係合部)が設けられている。
【0020】
ガーニッシュボディー20は、ピラーガーニッシュ1の骨格部を形成しており、フランジ部12と係合する嵌合部21(被係合部)が樹脂成形される。樹脂材としては、ガラス繊維入り樹脂、炭素繊維入り高強度樹脂、表面品質が劣るリサイクル材などの安価な樹脂等の選択が可能である。
【0021】
発光体30はLED、ランプ等の光源で、ガーニッシュボディー20に配設され、車両2からの図示しないハーネスと接続する。発光体30には、LED等の他、有機ELを用いてもよい。
【0022】
本発明の第1実施例では、ピラーガーニッシュ1をガーニッシュカバー10とガーニッシュボディー20の二重構造としてその間に発光体30を設けることで、既存のピラーガーニッシュとの置き換えが可能になる。したがって新たに(別途)車両周辺の人から認識し易い位置に発光体30を設ける必要がないため、ドアサッシュ2の構造の見直し、ピラーガーニッシュ1の大幅な形状変更が不要であり、コストの上昇を抑えながら車両2の外観の意匠性を保つことができる。また、他者と接触する問題、風雨による劣化などから機能を維持する為に保護する部材が必要となる問題、ピラーガーニッシュ1が大型化する問題がない。
【0023】
また、ガーニッシュカバー10は表面に透過率20%程度の金属調の半透過性フィルム13を備えるため、発光体30が非発光時にはドアサッシュ2の外観から発光体30が認識されず、発光時のみ発光体30が表示部として認識されるため、ドアサッシュ2の外観の意匠性を保つことができる。
【0024】
また、発光体に有機EL31を用いることで、画像表示、機能に応じた文字情報表示、カラー表示が可能になり、乗員等への視認効果を高めることができる。
【0025】
(第2実施例)
図3は、本発明の第2実施例で、第1実施例の車両のピラーガーニッシュ1を改良したものである。第1実施例と共通の部位、形状については共通の符番を用いて説明し、主に第1実施例との違いについて説明する。
【0026】
第1実施例との構成の違いは、ガーニッシュカバー10と発光体30の間の発光体30と接する位置に、情報表示文字14が施された透過性を有する樹脂板40を設けたことである。
【0027】
ガーニッシュカバー10と発光体30の間で発光体30と接する位置に情報表示文字14が施された樹脂板40を備えるため、発光体30からの発光が印刷された情報表示文字14を透過してガーニッシュカバー10裏面に投影される。このとき情報表示文字14が施された樹脂板40とガーニッシュカバー10の双方が光る。金属調の半透過性フィルム13が貼り付けられたガーニッシュカバー10に対し角度をつけた方向からの視線では、樹脂板40上の情報表示文字14は透けて見えるため、情報表示文字14は影付きの発光の様に車両2の外部から見え、情報表示文字14が浮き上がって見える立体的表示効果を奏する。
【0028】
(第3実施例)
図4、5は、本発明の第3実施例の車両のルーフレール101(外装部品)である。図4は、車両102に取り付けられたルーフレール101の外観を示す斜視図である。ルーフレール101は外観部に意匠面111を形成し、ルーフレール101の内部に設けた発光体130(図5)が点灯消灯して、意匠面111に情報の表示を行う。
【0029】
図5は、本発明の第3実施例のルーフレール101のB−B断面図である。ルーフレール101は、ルーフレールカバー110(第一構成部)と、ルーフレールカバー110と二重構造を構成して車両102に取り付くルーフレールボディー120(第二構成部)と、ルーフレールカバー110とルーフレールボディー120の間に配設され車両102からの図示しないワイヤーハーネスからの給電で点灯消灯する発光体130(発光体)と、から構成される。
【0030】
ルーフレールカバー110は、アクリル、PET等の透過性材料であり、表面には透過率20%程度の金属調の半透過性フィルム113が貼り付けてある。ルーフレールカバー110の両端には、係合部112が設けられている。
【0031】
ルーフレールボディー120は、ルーフレール101の骨格部を形成しており、係合部112と係合して二重構造を構成する被係合部121が樹脂成形される。樹脂材としては、ガラス繊維入り樹脂、炭素繊維入り高強度樹脂、表面品質が劣るリサイクル材などの安価な樹脂等の選択が可能である。
【0032】
発光体130は、ルーフレールボディー120に配設されたLED、ランプ等の光源で、車両102からの図示しないハーネスと接続する。発光体130には、LED等の他、有機EL131を用いてもよい。
【0033】
第3実施例のルーフレール101も、第1実施例、第2実施例と同様の効果を奏する。
【0034】
(第4実施例)
図6、7は、本発明の第4実施例の車両のサイドプロテクションモール201(外装部品)である。図6は車両202に取り付けられたサイドプロテクションモール201の外観を示す斜視図である。サイドプロテクションモール201は外観部に意匠面211を形成し、サイドプロテクションモール201の内部に設けた発光体230(図7)が点灯消灯して、意匠面211に情報の表示を行う。
【0035】
図7は、本発明の第4実施例のサイドプロテクションモール201のC−C断面図である。サイドプロテクションモール201は、サイドプロテクションモールカバー210(第一構成部)と、サイドプロテクションモールカバー210と二重構造を構成して車両202に取り付くサイドプロテクションモールボディー220(第二構成部)と、サイドプロテクションモールカバー210とサイドプロテクションモールボディー220の間に配設され車両202からの図示しないワイヤーハーネスからの給電で点灯消灯する発光体230(発光体)と、から構成される。
【0036】
サイドプロテクションモールカバー210は、アクリル、PET等の透過性材料であり、表面には透過率20%程度の金属調の半透過性フィルム213が貼り付けてある。サイドプロテクションモールカバー210の両端には、係合部212が設けられている。
【0037】
サイドプロテクションモールボディー220は、サイドプロテクションモール201の骨格部を形成しており、係合部212と係合して二重構造を構成する被係合部221が樹脂成形される。樹脂材としては、ガラス繊維入り樹脂、炭素繊維入り高強度樹脂、表面品質が劣るリサイクル材などの安価な樹脂等の選択が可能である。
【0038】
発光体230は、サイドプロテクションモールボディー220に配設されたLED、ランプ等の光源で、車両202からの図示しないハーネスと接続する。発光体230には、LED等の他、有機EL231を用いてもよい。
【0039】
第4実施例のサイドプロテクションモール201も、第1実施例、第2実施例と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施例の車両のピラーガーニッシュ(外装部品)の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例のピラーガーニッシュのA−A断面図である。
【図3】本発明の第2実施例で、第1実施例の車両のピラーガーニッシュを改良した断面図である。
【図4】本発明の第3実施例で、車両に取り付けられたルーフレールの外観を示す斜視図である。
【図5】本発明の第3実施例のルーフレールのB−B断面図である。
【図6】本発明の第4実施例で、車両に取り付けられたサイドプロテクションモールの外観を示す斜視図である。
【図7】本発明の第4実施例のサイドプロテクションモールのC−C断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ピラーガーニッシュ(外装部品)
10 ガーニッシュカバー(第一構成部)
11 意匠面
12 フランジ部(係合部)
13 半透過性フィルム
14 情報表示文字
20 ガーニッシュボディー(第二構成部)
21 嵌合部(被係合部)
30 発光体(発光部材)
40 樹脂板(取付部)
101 ルーフレール(外装部品)
201 サイドプロテクションモール(外装部品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外観部に透過性を有する意匠面を形成し係合部を設けた第一構成部と、
前記係合部と係合する被係合部を設け前記係合部と前記被係合部と係合した状態で前記第一構成部と二重構造を構成して車両に取り付く第二構成部と、
前記第一構成部と前記第二構成部の二重構造の間に配設され、前記車両からの給電で点灯消灯する発光部材と、から構成される車両用外装部品。
【請求項2】
前記第一構成部は、半透過性フィルムを備える、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用外装部品。
【請求項3】
前記発光部材は有機ELである、ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の車両用外装部品。
【請求項4】
前記第一構成部と前記発光部材の間の前記発光部材と接する位置に、情報表示文字が施された透過性を有する樹脂板を備える、ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の車両用外装部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−143520(P2009−143520A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73919(P2008−73919)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】