説明

車両用灯具

【課題】配光パターンがリフレクタの分割線の隙間により影響を受ける。耐久性が低下する。正確な光軸調整が得られない。
【解決手段】この発明は、ランプハウジングが、光軸調整機構6を介してランプユニット5を光軸調整可能に支持する部分の可動側ランプハウジング2と、その他の部分の固定側ランプハウジング3と、に分割されている。可動側ランプハウジング2が、固定側ランプハウジング3にスクリュー9により着脱可能に取り付けられている。この結果、この発明は、配光パターンがリフレクタの分割線の隙間により影響を受け無い。耐久性が向上する。正確な光軸調整が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば、ヘッドランプ、フォグランプ、フロントコンビネーションランプ、リヤコンビネーションランプなどの車両用灯具であって、光源が交換可能に取り付けられている車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用灯具について説明する。従来の車両用灯具は、ランプハウジング内に、リフレクタおよびそのリフレクタの所定位置に取り付けられたバルブが収容されていて、ランプハウジングの上面部に開口が形成されるとともにその開口を閉塞する蓋部材が設けられ、リフレクタの、少なくともバルブの取付け部を含む所定部分が、リフレクタの他の部分と分割形成されて蓋部材にフレキシブルブーツを介して支持されているものである。従来の車両用灯具は、バルブを点灯すると、バルブからの光がリフレクタに反射して所定の配光パターンとして外部に照射される。そして、従来の車両用灯具は、ランプハウジングから蓋部材を取り外せば、その蓋部材にフレキシブルブーツを介して支持されたリフレクタ所定部分も同時に外部に取り出すことができるので、このリフレクタ所定部分のバルブ取付け部に対してバルブの着脱を行うことにより、バルブ交換をランプ上方から行うことができるものである。前記の従来の車両用灯具は、ランプの後方においてバルブの交換スペースがなく、ランプの上方においてバルブの交換スペースがある場合において、最適である。
【0003】
ところが、従来の車両用灯具は、リフレクタがバルブの取付け部を含む所定部分と他の部分とに分割形成されているので、リフレクタのバルブの取付け部を含む所定部分と他の部分との境には、分割線の隙間が形成されている。このために、従来の車両用灯具は、配光パターンがリフレクタの分割線の隙間により影響を受ける。また、従来の車両用灯具は、リフレクタのバルブの取付け部を含む所定部分がフレキシブルブーツを介して蓋部材に支持されているので、リフレクタのバルブの取付け部を含む所定部分がリフレクタの他の部分および蓋部材に対してほぼフリーの状態にある。このために、従来の車両用灯具は、車両の振動により、リフレクタのバルブの取付け部を含む所定部分がリフレクタの他の部分および蓋部材に対して振動し、耐久性が低下する。さらに、従来の車両用灯具は、リフレクタのバルブの取付け部を含む所定部分がリフレクタの他の部分に対してほぼフリーの状態にあるので、リフレクタの他の部分を光軸調整機構により光軸調整しても、リフレクタのバルブの取付け部を含む所定部分がリフレクタの他の部分と同調して光軸調整されることが難しく、正確な光軸調整が得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−251602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用灯具では、配光パターンがリフレクタの分割線の隙間により影響を受け、耐久性が低下し、正確な光軸調整が得られないという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、灯室内に配置されていて、光源と、その光源が交換可能に取り付けられていてその光源からの光をランプレンズ側に反射させるリフレクタと、から構成されているランプユニットと、ランプユニットをランプハウジングに光軸調整可能に支持する光軸調整機構と、を備え、ランプハウジングが、光軸調整機構を介してランプユニットを光軸調整可能に支持する部分の可動側ランプハウジングと、その他の部分の固定側ランプハウジングと、に分割されていて、可動側ランプハウジングが、固定側ランプハウジングに取付部材を介して着脱可能に取り付けられている、ことを特徴とする。
【0007】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、可動側ランプハウジングが、ランプハウジングの上部の一部を含む、ことを特徴とする。
【0008】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、可動側ランプハウジングと固定側ランプハウジングとには、可動側ランプハウジングと固定側ランプハウジングとの取付位置を決める位置決め部材がそれぞれ設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)は、可動側ランプハウジングと固定側ランプハウジングとの分割線の全周縁には、相互に嵌合するシール凹部とシール凸部とが設けられていて、シール凹部とシール凸部との間には、シール部材が着脱可能に介在されている、ことを特徴とする。
【0010】
さらにまた、この発明(請求項5にかかる発明)は、可動側ランプハウジングと固定側ランプハウジングとの分割線の全周縁には、相互に嵌合するシール凹部とシール凸部とが設けられていて、シール凹部またはシール凸部の一方が、シール凹部またはシール凸部の他方に水密にかつ着脱可能に嵌合するゴム部材から構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、ランプユニットおよび光軸調整機構および可動側ランプハウジングが固定側ランプハウジングおよびランプレンズに対して着脱可能であるから、ランプユニットのリフレクタが一体もので分割されていない。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、リフレクタが分割されていること、すなわち、リフレクタの分割線の隙間による配光パターンへの影響が無い。
【0012】
しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、可動側ランプハウジングが固定側ランプハウジングに取付部材を介して取り付けられているので、可動側ランプハウジングおよび光軸調整機構およびランプユニットが車両の振動により固定側ランプハウジングおよびランプレンズに対して振動するようなことが無い。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、車両の振動に対する耐久性が向上される。
【0013】
その上、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、可動側ランプハウジングにランプユニットを光軸調整機構を介して光軸調整可能に取り付けるものであるから、光軸調整機構によりランプユニットの光軸を可動側ランプハウジングおよび固定側ランプハウジングおよびランプレンズに対して調整することができる。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、ランプユニットの光軸を正確に調整することができる。
【0014】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、可動側ランプハウジングがランプハウジングの上部の一部を含むので、可動側ランプハウジングおよび光軸調整機構およびランプユニットを固定側ランプハウジングおよびランプレンズに対して上側に取り出す(取り外す)ことができる。この結果、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、灯具の後方において光源の交換スペースがなく、灯具の上方において光源の交換スペースがある場合において、最適である。
【0015】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、可動側ランプハウジングの位置決め部材および固定側ランプハウジングの位置決め部材により、可動側ランプハウジングを固定側ランプハウジングに所定の位置に簡単にかつ確実に取り付けることができる。
【0016】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用灯具は、可動側ランプハウジングのシール凹部もしくはシール凸部と固定側ランプハウジングのシール凸部もしくはシール凹部との間にはシール部材が着脱可能に介在されているので、可動側ランプハウジングおよび固定側ランプハウジングおよびランプレンズにより区画されている灯室内に水が侵入するのを確実に防止することができる。
【0017】
さらにまた、この発明(請求項5にかかる発明)の車両用灯具は、ゴム部材から構成されているシール凹部またはシール凸部の一方が、シール凹部またはシール凸部の他方に水密にかつ着脱可能に嵌合するので、可動側ランプハウジングおよび固定側ランプハウジングおよびランプレンズにより区画されている灯室内に水が侵入するのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図2】同じく、可動側ランプハウジングおよび光軸調整機構およびランプユニットを固定側ランプハウジングおよびランプレンズに対して上側に取り出して光源の交換状態を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図3】同じく、可動側ランプハウジングを固定側ランプハウジングに対して上側に取り出している状態を示す説明図である。
【図4】この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図5】この発明にかかる車両用灯具の実施例3を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図6】可動側ランプハウジングのシール凹部と固定側ランプハウジングのシール凸部の第1変形例を示す一部拡大断面図である。
【図7】可動側ランプハウジングのシール凹部と固定側ランプハウジングのシール凸部の第2変形例を示す一部拡大断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、この発明にかかる車両用灯具の実施例のうちの3例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。この明細書および特許請求の範囲において、「上、下、前、後、右、左」は、車両用灯具を車両に装備された際の「上、下、前、後、右、左」である。
【実施例1】
【0020】
図1〜図3は、この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す。以下、この実施例1における車両用灯具の構成について説明する。図1において、符号1は、この実施例1における車両用灯具であって、この例ではヘッドランプである。前記車両用灯具1は、ランプハウジング2、3と、ランプレンズ4と、ランプユニット5と、光軸調整機構6と、インナーパネル7と、ゴムカバー8と、取付部材としてのスクリュー9と、を備えるものである。ヘッドランプとしての前記車両用灯具1は、車両の前部の左右両側部の所定の位置に装備されている。
【0021】
前記ランプハウジング2、3は、この例では、光不透過性の樹脂部材から構成されている。前記ランプハウジング2、3は、光照射方向の一方向側(この例では、前側)が開口し、かつ、その他の5方向側(後側、上側、下側、右側、左側)が閉塞した中空形状をなす。前記ランプハウジング2、3は、前記光軸調整機構6を介して前記ランプユニット5を光軸調整可能に支持する部分の可動側ランプハウジング2と、車両の車体パネル10に取り付けられているその他の部分の固定側ランプハウジング3と、に分割されている。
【0022】
前記可動側ランプハウジング2は、前記ランプハウジングの上部(上側閉塞部)の一部と後部(後側閉塞部)の一部とを含み、縦断面形状が逆L字形状をなす。前記可動側ランプハウジング2は、前記固定側ランプハウジング3に前記スクリュー9を介して着脱可能に取り付けられている。すなわち、前記可動側ランプハウジング2の分割線の前側の縁には、取付片11が一体に設けられていて、前記取付片11には、透孔(もしくはねじ孔)12が設けられている。一方、前記固定側ランプハウジング3の分割線の前側の縁には、ねじ孔13が前記透孔12に対応して設けられている。前記スクリュー9を前記可動側ランプハウジング2の前記取付片11の前記透孔12に通して前記固定側ランプハウジング3の前記ねじ孔13にねじ込むことにより、前記可動側ランプハウジング2は、前記固定側ランプハウジング3に着脱可能に取り付けられる。
【0023】
前記可動側ランプハウジング2と前記固定側ランプハウジング3とには、前記可動側ランプハウジング2と前記固定側ランプハウジング3との取付位置を決める位置決め部材14、15がそれぞれ設けられている。すなわち、前記可動側ランプハウジング2の分割線の下側の縁には、2個の逆L字形状の係合凸部14がそれぞれ一体に設けられている。一方、前記固定側ランプハウジング3の分割線の下側の縁には、2個の係合受部15が前記係合凸部14に対応してそれぞれ一体に設けられている。前記係合凸部14が前記係合受部15に係合することにより、前記可動側ランプハウジング2と前記固定側ランプハウジング3との取付位置が決まる。
【0024】
前記可動側ランプハウジング2の分割線の全周縁には、シール凹部16が設けられている。前記シール凹部16の開口部は、大部分が下側に向いていて、残りの部分が前側に向いている。一方、前記固定側ランプハウジング3との分割線の全周縁には、前記シール凹部16に嵌合するシール凸部17が設けられている。前記シール凸部17は、大部分が上側に向いていて、残りの部分が後側に向いている。前記シール凹部16と前記シール凸部17との間には、シール部材18が前記シール凹部16および前記シール凸部17に圧接された状態で着脱可能に介在されている。
【0025】
前記可動側ランプハウジング2の上部(上側閉塞部)の中央部には、撮み部31が一体に設けられている。また、前記可動側ランプハウジング2の後部(後側閉塞部)の中央部には、挿入孔19が設けられている。一方、前記固定側ランプハウジング3の前側開口部の全周縁には、シール溝部20が設けられている。
【0026】
前記ランプレンズ4は、この例では、光透過性の樹脂部材から構成されている。前記ランプレンズ4は、この例では、素通しのアウターカバーからなる。前記ランプレンズ4は、光照射方向と反対側の一方向側(この例では、後側)が開口し、かつ、その他の5方向側(前側、上側、下側、右側、左側)が閉塞した形状をなす。前記ランプレンズ4の後側開口部の全周縁には、シール脚部21が一体に設けられている。
【0027】
前記固定側ランプハウジング3の前記シール溝部20に前記ランプレンズ4の前記シール脚部21がたとえばホットメルト部材32を介してシールされている。前記ランプハウジング(前記可動側ランプハウジング2および前記固定側ランプハウジング3)および前記ランプレンズ4により、灯室22が区画されている。前記灯室22内には、前記ランプユニット5および前記インナーパネル7が配置されている。
【0028】
前記ランプユニット5は、光源23と、リフレクタ24と、から構成されている反射タイプのランプユニットである。前記光源23は、バルブタイプの光源であり、ソケット25に着脱可能に取り付けられている。一方、前記リフレクタ24は、光照射方向の一方向側(この例では、前側)が開口し、かつ、その他の5方向側(後側、上側、下側、右側、左側)が閉塞した中空形状をなす。前記リフレクタ24の閉塞部の内面には、前記光源23からの光を所定の配光パターンで所定の方向に反射させる反射面26が設けられている。前記リフレクタ24の閉塞部の外面には、前記光軸調整機構6を取り付ける取付部27が一体に設けられている。前記リフレクタ24の後側閉塞部の中央には、前記光源23を前記反射面26側に挿入して前記ソケット25を着脱可能に取り付けるための取付孔28が設けられている。
【0029】
前記ランプユニット5は、前記光軸調整機構6を介して前記可動側ランプハウジング2に光軸調整可能に支持されている。前記光軸調整機構6は、アジャストスクリュー29と、スクリューマウンティング30と、から構成されている。前記アジャストスクリュー29は、前記可動側ランプハウジング2に回転可能にかつ軸方向に移動不可能に取り付けられている。前記スクリューマウンティング30は、前記リフレクタ24の前記取付部27に回転不可能にかつ軸方向に移動不可能に取り付けられている。前記アジャストスクリュー29が前記スクリューマウンティング30にねじ込まれている。前記アジャストスクリュー29を回転させると、ねじ送り作用により、前記スクリューマウンティング30が進退し、それに伴って、前記ランプユニット5が水平軸回りに上下方向に回転し、また、垂直軸回りに左右方向に回転して、前記ランプユニット5の光軸が調整される。
【0030】
前記インナーパネル7は、前記灯室22内のうち、前記固定側ランプハウジング3および前記ランプレンズ4と、前記ランプユニット5との間の隙間を覆うように配置されている。前記インナーパネル7は、外側から前記ランプレンズ4を通して前記灯室22内を見た際に、前記灯室22の奥や前記ランプユニット5の裏側や前記光軸調整機構6などが、前記固定側ランプハウジング3および前記ランプレンズ4と前記ランプユニット5との間の隙間を通して見えるのを防ぐものである。
【0031】
前記ゴムカバー8は、前記光源23の前記ソケット25に水密に嵌合している。前記光源23は、前記可動側ランプハウジング2の前記挿入孔19および前記リフレクタ24の取付孔28を通して前記リフレクタ24の前記反射面26側に配置されている。また、前記ソケット25は、前記リフレクタ24の前記取付孔28の縁に着脱可能に取り付けられている。さらに、前記ゴムカバー8は、前記可動側ランプハウジング2の前記挿入孔19の縁に水密にかつ着脱可能に取り付けられている。前記ゴムカバー8により、水が前記可動側ランプハウジング2の前記挿入孔19から前記灯室22内に侵入するのを防ぐことができ、かつ、前記光軸調整機構6の操作で前記ランプユニット5が前記可動側ランプハウジング2に対して回転する際にスムーズに回転することができる。
【0032】
前記車両用灯具1の後部には、エンジンコンパートメントなど33が位置する。このために、前記車両用灯具1の後部1には、前記光源23を交換するためのスペースが無い。なお、前記車両用灯具1の上部には、前記光源23を交換するためのスペースがある。
【0033】
この実施例1における車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0034】
まず、光源23を点灯させる。すると、光源23から光がリフレクタ24の反射面26で反射されて、所定の配光パターンで所定の方向にランプレンズ4を透過して外部に照射される。このとき、ランプユニット5のリフレクタ24が一体もので分割されていないので、リフレクタの分割線の隙間による配光パターンへの影響が無い。また、可動側ランプハウジング2が固定側ランプハウジング3にスクリュー9を介して取り付けられているので、可動側ランプハウジング2および光軸調整機構6およびランプユニット5が車両の振動により固定側ランプハウジング3およびランプレンズ4に対して振動するようなことが無い。さらに、可動側ランプハウジング2のシール凹部16と固定側ランプハウジング3のシール凸部17との間にはシール部材18が着脱可能に介在されているので、可動側ランプハウジング2および固定側ランプハウジング3およびランプレンズ4により区画されている灯室22内に水が侵入するのを防止することができる。
【0035】
つぎに、光軸調整機構6のアジャストスクリュー29を回転させると、光軸調整機構6のスクリューマウンティング30のねじ送り作用により、ランプユニット5が水平軸回りに上下方向におよび垂直軸回りに左右方向に傾動して、ランプユニット5の光軸が調整される。このとき、可動側ランプハウジング2にランプユニット5を光軸調整機構6を介して光軸調整可能に取り付けるものであるから、光軸調整機構6によりランプユニット5の光軸を可動側ランプハウジング2および固定側ランプハウジング3およびランプレンズ4に対して正確に調整することができる。
【0036】
ここで、ランプユニット5の光源23の交換は、まず、固定側ランプハウジング3のねじ孔13からスクリュー9を取り外す。つぎに、可動側ランプハウジング2の撮み部31を手などで撮み、可動側ランプハウジング2およびそれに付随するランプユニット5および光軸調整機構6を、上方もしくは上斜め後方もしくは上斜め側方に引き上げて、光源23を交換できるスペースを有する場所に運ぶ。
【0037】
つづいて、ゴムカバー8を可動側ランプハウジング2の挿入孔19の縁から取り外し、かつ、光源23のソケット25をリフレクタ24の取付孔28の縁から取り外す。つぎに、光源23を、リフレクタ24の取付孔28および可動側ランプハウジング2の挿入孔19を通してリフレクタ24の反射面26側から可動側ランプハウジング2の外側に位置させる。ここで、古い光源24のソケット25をゴムカバー8から取り外す。
【0038】
それから、新たな光源24のソケット25をゴムカバー8に水密に取り付ける。その新たな光源23を、リフレクタ24の取付孔28および可動側ランプハウジング2の挿入孔19を通して可動側ランプハウジング2の外側からリフレクタ24の反射面26側に位置させる。つぎに、新たな光源23のソケット25をリフレクタ24の取付孔28の縁に着脱可能に取り付け、かつ、ゴムカバー8を可動側ランプハウジング2の挿入孔19の縁に着脱可能に取り付ける。
【0039】
そして、可動側ランプハウジング2の撮み部31を手などで撮み、可動側ランプハウジング2およびそれに付随するランプユニット5および光軸調整機構6を、下方もしくは下斜め前方もしくは下斜め側方に押し下げる。つぎに、可動側ランプハウジング2の係合凸部14を固定側ランプハウジング3の係合受部15に係合させて、可動側ランプハウジング2と固定側ランプハウジング3との取付位置を決める。このとき、可動側ランプハウジング2の係合凸部14と固定側ランプハウジング3の係合受部15との係合による位置決めにより、可動側ランプハウジング2を固定側ランプハウジング3に所定の位置に簡単に取り付けることができる。
【0040】
つづいて、可動側ランプハウジング2のシール凹部16と固定側ランプハウジング3のシール凸部17とをシール部材18に圧接させた状態で着脱可能に嵌合させる。このとき、可動側ランプハウジング2のシール凹部16と固定側ランプハウジング3のシール凸部17との間にはシール部材18が着脱可能に介在されているので、可動側ランプハウジング2および固定側ランプハウジング3およびランプレンズ4により区画されている灯室22内に水が侵入するのを防止することができる。
【0041】
それから、スクリュー9を可動側ランプハウジング2の取付片11の透孔12に通して固定側ランプハウジング3のねじ孔13にねじ込んで、可動側ランプハウジング2を固定側ランプハウジング3に着脱可能に取り付ける。これにより、ランプユニット5の光源23の交換が完了する。このとき、光源23の交換を灯具の上方において行うことができるので、灯具の後方においてエンジンコンパートメントなど33が存在していて光源23の交換スペースが無くても、光源23を交換することができる。
【0042】
この実施例1における車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0043】
この実施例1における車両用灯具1は、ランプユニット5および光軸調整機構6および可動側ランプハウジング2が固定側ランプハウジング3およびランプレンズ4に対して着脱可能であるから、ランプユニット5のリフレクタ24が一体もので分割されていない。この結果、この実施例1における車両用灯具1は、リフレクタが分割されていること、すなわち、リフレクタの分割線の隙間による配光パターンへの影響が無い。
【0044】
しかも、この実施例1における車両用灯具1は、可動側ランプハウジング2が固定側ランプハウジング3に取付部材のスクリュー9を介して取り付けられているので、可動側ランプハウジング2および光軸調整機構6およびランプユニット5が車両の振動により固定側ランプハウジング3およびランプレンズ4に対して振動するようなことが無い。この結果、この実施例1における車両用灯具1は、車両の振動に対する耐久性が向上される。
【0045】
その上、この実施例1における車両用灯具1は、可動側ランプハウジング2にランプユニット5を光軸調整機構6を介して光軸調整可能に取り付けるものであるから、光軸調整機構6によりランプユニット5の光軸を可動側ランプハウジング2および固定側ランプハウジング3およびランプレンズ4に対して調整することができる。この結果、この実施例1における車両用灯具1は、ランプユニット5の光軸を正確に調整することができる。
【0046】
また、この実施例1における車両用灯具1は、可動側ランプハウジング2がランプハウジングの上部の一部を含むので、可動側ランプハウジング2および光軸調整機構6およびランプユニット5を固定側ランプハウジング3およびランプレンズ4に対して上側に取り出す(取り外す)ことができる。この結果、この実施例1における車両用灯具1は、灯具の後方においてエンジンコンパートメントなど33が存在していて光源23の交換スペースが無く、灯具の上方において光源23の交換スペースがある場合において、最適である。
【0047】
さらに、この実施例1における車両用灯具1は、可動側ランプハウジング2の位置決め部材の係合凸部14と固定側ランプハウジング3の位置決め部材の係合受部15とにより、可動側ランプハウジング2を固定側ランプハウジング3に所定の位置に簡単にかつ確実に取り付けることができる。
【0048】
さらにまた、この実施例1における車両用灯具1は、可動側ランプハウジング2のシール凹部16と固定側ランプハウジング3のシール凸部17との間にはシール部材18が着脱可能に介在されているので、可動側ランプハウジング2および固定側ランプハウジング3およびランプレンズ4により区画されている灯室22内に水が侵入するのを確実に防止することができる。特に、この実施例1における車両用灯具1は、シール凹部16の開口部の大部分が下側に向いていて、残りの部分が前側に向いていて、一方、シール凸部17の大部分が上側に向いていて、残りの部分が後側に向いている。このために、水が灯室22内に侵入するのをさらに確実に防止することができる。
【実施例2】
【0049】
図4は、この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す。図中、図1〜図3と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例2における車両用灯具について説明する。
【0050】
この実施例2における車両用灯具1は、ランプユニットとしてプロジェクタタイプのランプユニット34を使用するものである。前記ランプユニット34は、楕円を基調とした収束型反射面(図示せず)を有するリフレクタ35と、前記リフレクタ35に着脱可能に取り付けられている光源(図示せず)と、前記光源からの光であって前記リフレクタ35の収束型反射面で反射した反射光を所定の配光パターンでランプレンズ4を透過させて外部に投影する投影レンズ36と、前記リフレクタ35および前記投影レンズ36を支持するホルダ37(フレーム、ブラケット)と、から構成されているものである。前記ホルダ37には、光軸調整機構6を取り付ける取付部27が一体に設けられている。前記光源のソケット25は、ゴムカバー8に水密にかつ着脱可能に取り付けられている。
【0051】
この実施例2における車両用灯具1は、前記の実施例1における車両用灯具1と、ほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【実施例3】
【0052】
図5は、この発明にかかる車両用灯具の実施例3を示す。図中、図1〜図4と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例3における車両用灯具について説明する。
【0053】
この実施例3における車両用灯具1は、ランプユニットとしてLEDなどの半導体型光源38を光源とするプロジェクタタイプのランプユニット39を使用するものである。前記ランプユニット39は、楕円を基調とした収束型反射面(図示せず)を有するリフレクタ40と、ヒートシンク部材41と、前記ヒートシンク部材41に着脱可能に取り付けられている前記半導体型光源38と、前記半導体型光源38からの光であって前記リフレクタ40の収束型反射面で反射した反射光の一部をカットオフするシェード42と、前記反射光を所定の配光パターンでランプレンズ4を透過させて外部に投影する投影レンズ43と、前記リフレクタ35および前記投影レンズ36を支持するホルダ37(フレーム、ブラケット)と、から構成されているものである。前記ヒートシンク部材41には、光軸調整機構6を取り付ける取付部27が一体に設けられている。
【0054】
この実施例3における車両用灯具1は、前記の実施例1、2における車両用灯具1と、ほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0055】
図6は、可動側ランプハウジングのシール凹部と固定側ランプハウジングのシール凸部の第1変形例を示す一部拡大断面図である。
【0056】
この第1変形例は、可動側ランプハウジング2のシール凹部44をゴム製とする。前記可動側ランプハウジング2の前記ゴム製のシール凹部44の先端内面には、固定側ランプハウジング3のシール凸部17に弾性当接する半球形状の凸部45が一体に設けられている。前記固定側ランプハウジング3の前記シール凸部17の先端外面には、前記可動側ランプハウジング2の前記ゴム製のシール凹部44に弾性当接する半球形状の凸部46が一体に設けられている。前記可動側ランプハウジング2と前記ゴム製のシール凹部44とには、抜け止め用の断面小円形の凸部と凹部とが設けられている。
【0057】
この第1変形例は、可動側ランプハウジング2のゴム製のシール凹部44と固定側ランプハウジング3のシール凸部17とを相互に嵌合させて、可動側ランプハウジング2のゴム製のシール凹部44の先端内面の凸部45を固定側ランプハウジング3のシール凸部17に弾性当接させ、かつ、固定側ランプハウジング3のシール凸部17の先端外面の凸部46を可動側ランプハウジング2のゴム製のシール凹部44に弾性当接させる。これにより、可動側ランプハウジング2のゴム製のシール凹部44と固定側ランプハウジング3のシール凸部17との間が水密に保たれる。この第1変形例は、シール部材18を省略することができ、その分、部品点数を軽減して製造コストを安価にすることができる。
【0058】
図7は、可動側ランプハウジングのシール凹部と固定側ランプハウジングのシール凸部の第2変形例を示す一部拡大断面図である。
【0059】
この第2変形例は、可動側ランプハウジング2のシール凹部47をゴム製とする。固定側ランプハウジング3のシール凸部17の先端外面には、前記可動側ランプハウジング2の前記ゴム製のシール凹部47に弾性当接する傾斜部48が一体に設けられている。前記可動側ランプハウジング2と前記ゴム製のシール凹部47とには、抜け止め用の断面小円形の凸部と凹部とが設けられている。
【0060】
この第2変形例は、可動側ランプハウジング2のゴム製のシール凹部47と固定側ランプハウジング3のシール凸部17とを相互に嵌合させて、可動側ランプハウジング2のゴム製のシール凹部47の先端内面を固定側ランプハウジング3のシール凸部17の傾斜部48に弾性当接させる。これにより、可動側ランプハウジング2のゴム製のシール凹部47と固定側ランプハウジング3のシール凸部17との間が水密に保たれる。この第1変形例は、シール部材18を省略することができ、その分、部品点数を軽減して製造コストを安価にすることができる。
【0061】
なお、前記の実施例1、2、3においては、車両用灯具としてヘッドランプについて説明する。ところが、この発明においては、ヘッドランプ以外の車両用灯具、たとえば、フォグランプ、フロントコンビネーションランプ、リヤコンビネーションランプなどの車両用灯具にも適用することができる。
【0062】
また、前記の実施例1、2、3においては、可動側ランプハウジング2をランプハウジングの上部の一部を含むものであって、灯具の上部にバルブ交換を行うスペースがあるものについて説明するものである。ところが、この発明においては、可動側ランプハウジングをランプハウジングの任意の部分の一部を含むものであって、灯具の任意の方向にバルブ交換を行うスペースがあるものであっても良い。
【符号の説明】
【0063】
1 車両用灯具
2 可動側ランプハウジング
3 固定側ランプハウジング
4 ランプレンズ
5 ランプユニット
6 光軸調整機構
7 インナーパネル
8 ゴムカバー
9 スクリュー(取付部材)
10 車体パネル
11 取付片
12 透孔
13 ねじ孔
14 係合凸部(位置決め部材)
15 係合受部(位置決め部材)
16 シール凹部
17 シール凸部
18 シール部材
19 挿入孔
20 シール溝部
21 シール脚部
22 灯室
23 光源
24 リフレクタ
25 ソケット
26 反射面
27 取付部
28 取付孔
29 アジャストスクリュー
30 スクリューマウンティング
31 撮み部
32 ホットメルト部材
33 エンジンコンパートメントなど
34 ランプユニット
35 リフレクタ
36 投影レンズ
37 ホルダ
38 半導体型光源
39 ランプユニット
40 リフレクタ
41 ヒートシンク部材
42 シェード
43 投影レンズ
44 シール凹部
45 凸部
46 凸部
47 シール凹部
48 傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が交換可能に取り付けられている車両用灯具において、
灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されていて、光源と、前記光源が交換可能に取り付けられていて、前記光源からの光を前記ランプレンズ側に反射させるリフレクタと、から構成されているランプユニットと、
前記ランプユニットを前記ランプハウジングに光軸調整可能に支持する光軸調整機構と、
を備え、
前記ランプハウジングは、前記光軸調整機構を介して前記ランプユニットを光軸調整可能に支持する部分の可動側ランプハウジングと、その他の部分の固定側ランプハウジングと、に分割されていて、
前記可動側ランプハウジングは、前記固定側ランプハウジングに取付部材を介して着脱可能に取り付けられている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記可動側ランプハウジングは、前記ランプハウジングの上部の一部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記可動側ランプハウジングと前記固定側ランプハウジングとには、前記可動側ランプハウジングと前記固定側ランプハウジングとの取付位置を決める位置決め部材がそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記可動側ランプハウジングと前記固定側ランプハウジングとの分割線の全周縁には、相互に嵌合するシール凹部とシール凸部とが設けられていて、
前記シール凹部と前記シール凸部との間には、シール部材が着脱可能に介在されている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記可動側ランプハウジングと前記固定側ランプハウジングとの分割線の全周縁には、相互に嵌合するシール凹部とシール凸部とが設けられていて、
前記シール凹部または前記シール凸部の一方は、前記シール凹部または前記シール凸部の他方に水密にかつ着脱可能に嵌合するゴム部材から構成されている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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