説明

車両用灯具

【課題】車両の振動に耐えられるように、半導体型光源2を保持部材3に取付部材4、スクリュー5により確実に固定することが重要である。
【解決手段】この発明は、半導体型光源2と、保持部材3と、取付部材4と、スクリュー5と、を備える。半導体型光源2は、基板20と本体とから構成されている。保持部材3には、半導体型光源2が載置する載置面30が設けられている。取付部材4の半導体型光源2の基板20に対応する箇所には、開口部400が設けられている。取付部材4の開口部400の周縁部には、半導体型光源2を保持部材3に押える押え面401が設けられている。この結果、この発明は、半導体型光源2を保持部材3と取付部材4との間に挟み込んだ状態で、スクリュー5を取付部材4を介して保持部材3に取り付けることにより、半導体型光源2を保持部材3と取付部材4との間に確実に固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体型光源を光源とする車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用灯具について説明する。従来の車両用灯具は、照明モジュールをヒートシンクに取付ブラケットにより固定するものである。
【0003】
かかる車両用灯具においては、車両の振動に耐えられるように、照明モジュールがヒートシンクに取付ブラケットを介して確実に固定されていることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0096341号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする問題点は、この種の車両用灯具においては、車両の振動に耐えられるように、照明モジュールがヒートシンクに取付ブラケットを介して確実に固定されていることが重要である、という点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、半導体型光源を保持部材と取付部材との間に挟み込んだ状態で、取付具を取付部材を介して保持部材に取り付けることにより、半導体型光源が保持部材と取付部材との間に固定される車両用灯具であって、半導体型光源が、本体部と、本体部の一面に設けられている発光部と、から構成されていて、保持部材には、半導体型光源の本体部の他面が載置する載置面が、設けられていて、取付部材の半導体型光源の発光部に対応する箇所には、開口部が設けられていて、取付部材の開口部の周縁部には、半導体型光源の本体部の一面を保持部材の載置面側に押える押え面が、設けられている、ことを特徴とする。
【0007】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、保持部材のうち取付具が取り付けられる箇所には、載置面よりも突出する凸部が設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、保持部材と取付部材との間には、隙間が形成されている、ことを特徴とする。
【0009】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)は、半導体型光源の本体部と保持部材とには、半導体型光源の本体部の他面を保持部材の載置面に載置する際の位置決めを行う第1位置決め部がそれぞれ設けられていて、半導体型光源の本体部と取付部材とには、半導体型光源の本体部の一面に取付部材の押え面を載置する際の位置決めを行う第2位置決め部がそれぞれ設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
さらにまた、この発明(請求項5にかかる発明)は、第1位置決め部が、半導体型光源の本体部の他面および保持部材の載置面に対して垂直方向に設けられていて相互に嵌合する孔部と凸部とから構成されていて、第2位置決め部が、半導体型光源の本体部の一面および取付部材の押え面に対して垂直方向に設けられていて相互に嵌合する孔部と凸部とから構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、前記の課題を解決するための手段により、取付部材の押え面が半導体型光源の本体部の一面を保持部材の載置面側に押えると、半導体型光源の本体部の一面と取付部材の押え面とが確固に当接し、かつ、半導体型光源の本体部の他面と保持部材の載置面とが確固に当接している状態で、半導体型光源が取付部材と保持部材との間に挟み込まれて固定されている。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、車両の振動に対して十分に耐えられるように、半導体型光源が保持部材に取付部材を介して確実に固定することができる。
【0012】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、保持部材のうち取付具が取り付けられる箇所に載置面よりも突出する凸部を設けるものであるから、保持部材のうち取付具が取り付けられる箇所の厚さが他の箇所の厚さに比べて凸部の分厚くなる。この結果、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、保持部材の凸部においてスクリューなどの取付具を確実に取り付けるための取付代を十分に確保することができるので、スクリューなどの取付具を保持部材の凸部に確実に取り付けることができ、半導体型光源を取付部材と保持部材との間においてさらに確実に固定することができる。
【0013】
しかも、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、1個の保持部材の一面の載置面と他面の載置面とに2個の半導体型光源を2個の取付部材でそれぞれ挟み込んで固定する場合においても、保持部材の一面の凸部と他面の凸部とにおいてスクリューなどの2個の取付具を確実に取り付けるための取付代を十分に確保することができるので、スクリューなどの2個の取付具が相互に干渉することなく、スクリューなどの2個の取付具を保持部材の一面の凸部と他面の凸部とにそれぞれ確実に取り付けることができ、2個の半導体型光源を2個の取付部材と1個の保持部材との間においてそれぞれ確実に固定することができる。
【0014】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、半導体型光源を保持部材と取付部材との間に挟み込んだ状態で、取付具を取付部材を介して保持部材に取り付ける際に、保持部材と取付部材との間の隙間により、取付具を取り付ける力たとえばスクリューを締め付ける力が取付部材を保持部材側に押し付ける力としてさらに大きく作用するので、取付部材の押え面が半導体型光源の本体部の一面を保持部材の載置面側にさらに大きな力で押えることができる。これにより、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、半導体型光源を保持部材と取付部材との間においてさらに確実に固定することができる。
【0015】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用灯具は、第1位置決め部により、半導体型光源の本体部の他面を保持部材の載置面に所定の位置に確実に載置することができ、また、第2位置決め部により、半導体型光源の本体部の一面に取付部材の押え面を所定の位置に確実に載置することができる。この結果、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用灯具は、半導体型光源を保持部材と取付部材との間において所定の位置に確実に固定することができる。しかも、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用灯具は、取付部材を取付具により半導体型光源および保持部材に取り付ける際に、取付部材が半導体型光源に干渉するようなことがなく、取付部材を取付具により半導体型光源および保持部材に簡単に取り付けることができる。
【0016】
さらにまた、この発明(請求項5にかかる発明)の車両用灯具は、第1位置決め部の孔部と凸部とが半導体型光源の本体部の他面および保持部材の載置面に対して垂直方向に相互に嵌合し、かつ、第2位置決め部の孔部と凸部が半導体型光源の本体部の一面および取付部材の押え面に対して垂直方向に相互に嵌合する。この結果、この発明(請求項5にかかる発明)の車両用灯具は、第1位置決め部の相互に嵌合する孔部と凸部および第2位置決め部の相互に嵌合する孔部と凸部により、取付部材と保持部材との間において挟み込まれて固定されている半導体型光源を、半導体型光源の本体部の一面と取付部材の押え面および半導体型光源の本体部の他面と保持部材の載置面の面方向のがたがなく確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す要部(半導体型光源、保持部材、取付部材、取付具)の分解斜視図である。
【図2】図2は、同じく、要部(半導体型光源、保持部材、取付部材、取付具)の取付状態すなわち半導体型光源を保持部材に載置した状態を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、同じく、要部(半導体型光源、保持部材、取付部材、取付具)の取付状態を示す平面図である。
【図4】図4は、同じく、図3におけるIV−IV線断面図である。
【図5】図5は、同じく、図3におけるIV−IV線断面図の分解断面図である。
【図6】図6は、同じく、図3におけるVI−VI線断面図である。
【図7】図7は、同じく、図3におけるVI−VI線断面図の分解断面図である。
【図8】図8は、同じく、半導体型光源から放射される光の反射状態を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図9】図9は、この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す要部(2個の半導体型光源、1個の保持部材、2個の取付部材、2組の取付具)の図3におけるIV−IV線断面図に対応する断面図である。
【図10】図10は、同じく、要部(2個の半導体型光源、1個の保持部材、2個の取付部材、2個のリフレクタ)の縦断面図(垂直断面図)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明にかかる車両用灯具の実施例のうちの2例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。なお、この明細書および特許請求の範囲において、「上、下、前、後、左、右」とは、この発明にかかる車両用灯具を車両(自動車)に取り付けた際の車両の「上、下、前、後、左、右」である。
【実施例1】
【0019】
(構成の説明)
図1〜図8は、この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す。以下、この実施例1における車両用灯具の構成について説明する。なお、図3においては、保持部材3を省略してある。
【0020】
図8中、符号1は、この実施例1における車両用灯具(たとえば、ヘッドランプなどの自動車用前照灯)である。前記車両用灯具1は、半導体型光源(たとえばLEDモジュール)2と、保持部材(たとえば、ベースやホルダ)3と、取付部材(たとえば、カバーやカバー部材)4と、取付具この例としてはスクリュー5と、リフレクタ6と、ヒートシンク7と、図示しないランプハウジングおよびランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)と、から構成されている。
【0021】
前記半導体型光源2および前記保持部材3および前記取付部材4および前記スクリュー5および前記リフレクタ6および前記ヒートシンク7は、ランプユニットを構成する。前記ランプユニット2、3、4、5、6、7は、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室内に、たとえば光軸調整機構を介して配置されている。なお、前記灯室内には、前記ランプユニット2、3、4、5、6、7以外に、フォグランプ、コーナリングランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプなどの他のランプユニットが配置されている場合がある。
【0022】
前記半導体型光源2は、発光部としての基板20と、本体部としての熱伝導部材21および絶縁部材22と、2個のターミナル(端子)23と、から構成されている。前記基板20と、前記熱伝導部材21と、前記絶縁部材22と、前記ターミナル23とは、一体に組み込まれている。
【0023】
前記基板20は、長方形の板形状をなす。前記基板20の一面(上面)には、発光チップ200と、2個の電極201と、前記電極201から前記発光チップ200に電流を供給制御する回路や部品など(図示せず)と、がそれぞれ実装されている。前記基板20の一面には、封止部材(図示せず)が施されている。なお、前記封止部材は、少なくとも、前記電極201に施されていれば良い。前記発光チップ200は、複数個の正方形のチップを一方向に配列してなるものである。なお、1個の長方形のチップを使用しても良い。
【0024】
前記熱伝導部材21は、たとえば、熱伝導率が高い金属部材もしくは樹脂部材から構成されている。前記熱伝導部材21は、図4、図5に示すように、断面逆T字形状をなす。一方、前記絶縁部材22は、絶縁性の部材から構成されている。前記絶縁部材22は、直方体形状をなす。前記熱伝導部材21と前記絶縁部材22とは、インサート成形などにより一体に構成されている。
【0025】
前記熱伝導部材21の一面(上面)と前記絶縁部材22の一面(上面)とは、面一である。前記熱伝導部材21の一面は、前記基板20の一面よりも一回り大きい長方形をなしていて前記絶縁部材22の一面の中央に位置する。前記熱伝導部材21の一面には、前記基板20の他面(下面)が接着剤など(図示せず)により固定されている。
【0026】
前記熱伝導部材21の他面(下面)と前記絶縁部材22の他面(下面)とは、面一である。前記熱伝導部材21の他面は、図6〜図8に示すように、前記絶縁部材22の他面の中間部に位置する。
【0027】
前記絶縁部材22の一端部(前端部)の両側(左右両側)には、小長円形の第1位置決め孔部221が、前記絶縁部材22の一面、他面に対して垂直方向に設けられている。また、前記絶縁部材22の一端部の中央と他端部(後端部)の両側(左右両側)とには、小円形の第2位置決め孔部222が、前記絶縁部材22の一面、他面に対して垂直方向に設けられている。
【0028】
前記ターミナル23は、前記絶縁部材22の他端部の中央にインサート成形などにより一体に構成されている。前記ターミナル23の一端部は、上側に湾曲して、前記基板20の前記電極201にそれぞれ電気的に接続されている。また、前記ターミナル23の中間部は、図6〜図8に示すように、前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22中に垂直状態で収納されている。さらに、前記ターミナル23の他端部は、図6〜図8に示すように、水平に折り曲げられていて、前記絶縁部材22の他端部の中央と共にコネクタ部を構成する。前記コネクタ部は、電源側のコネクタ(図示せず)が着脱可能に取り付けることにより電源側と電気的に接続するものである。
【0029】
前記保持部材3は、たとえば、熱伝導率が高い金属部材もしくは樹脂部材から構成されている。前記保持部材3は、平板形状をなす。前記保持部材3の一面(上面)の中央には、載置面30が設けられている。前記保持部材3の前記載置面30の一端部(前端部)の両側(左右両側)には、小長円形の第1位置決め凸部31が、前記保持部材3の前記載置面30に対して垂直方向にかつ前記第1位置決め孔部221に対応して一体に突設されている。
【0030】
前記保持部材3のうち前記スクリュー5ねじ込まれる箇所、すなわち、前記載置面30より外れた箇所であって前記載置面30の中間の両側(左右両側)には、前記載置面30よりも突出する凸部32が一体に設けられている。前記凸部32には、透孔もしくはねじ孔が設けられている。
【0031】
前記取付部材4は、たとえば、光を散乱(乱反射)させ、もしくは、光を吸収する部材あるいは反射率が低い部材から構成されている。前記取付部材4は、覆い部40と、前記覆い部40の両側(左右両側)に一体に設けられている取付部41と、から構成されている。前記覆い部40は、前記半導体型光源2の前記絶縁部材22の一面の殆どの部分を覆い、かつ、前記半導体型光源2の前記絶縁部材22の両側面(左右両側面)を挟み込む逆凹形状をなす。
【0032】
前記覆い部40の中央部であって前記半導体型光源2の前記基板20に対応する箇所には、開口部400が設けられている。前記開口部400は、前記半導体型光源2の前記絶縁部材22の一面に露出する前記熱伝導部材21の一面よりも一回り小さくかつ前記基板20よりも一回り大きい長方形をなしている。
【0033】
前記覆い部40の前記開口部400の周縁部であって前記半導体型光源2の前記絶縁部材22の一面と対向する面には、前記半導体型光源2の前記絶縁部材22の一面を前記保持部材3の前記載置面30側に押える押え面401が、設けられている。前記覆い部40の前記押え面401の一端部(前端部)の中央と他端部(後端部)の両側(左右両側)とには、小円形の第2位置決め凸部402が、前記覆い部40の前記押え面401に対して垂直方向にかつ前記第2位置決め孔部222に対応して一体に突設されている。
【0034】
前記覆い部40の前記開口部400の周縁部であって前記半導体型光源2の前記ターミナル23に対応する部分403は、立ち上がった形状をなす。前記立ち上がり部分403は、上側に湾曲する前記ターミナル23の一端部から避けるものである。2個の前記取付部41には、円形の透孔410が前記保持部材3の前記凸部32に対応して設けられている。
【0035】
以下、前記半導体型光源2を前記保持部材3と前記取付部材4との間に挟み込んで固定する工程について説明する。
【0036】
まず、前記保持部材3の前記載置面30上に前記半導体型光源2の本体部すなわち前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22の他面を載置する。このとき、前記保持部材3の前記第1位置決め凸部31と前記半導体型光源2の前記第1位置決め孔部221とが相互に嵌合して、前記半導体型光源2の本体部の前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22の他面が前記保持部材3の前記載置面30の所定の位置に位置決めされた状態で載置される(図1、図2、図5、図7参照)。
【0037】
つぎに、前記半導体型光源2の本体部の前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22の一面に前記取付部材4の前記覆い部40の前記押え面401を載置する。このとき、前記前記半導体型光源2の前記第2位置決め孔部222と前記取付部材4の前記第2位置決め凸部402とが相互に嵌合して、前記取付部材4の前記覆い部40の前記押え面401が前記半導体型光源2の本体部の前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22の一面の所定の位置に位置決めされた状態で載置される(図2、図4、図6参照)。
【0038】
すなわち、前記取付部材4の前記覆い部40の前記開口部400が前記半導体型光源2の発光部すなわち前記基板20に位置する。また、前記取付部材4の前記取付部41が前記保持部材3の前記凸部32に位置する。
【0039】
それから、取付具すなわち前記スクリュー5を、前記取付部材4の前記取付部41の前記透孔410中に挿通させて前記保持部材3の前記凸部32の透孔もしくはねじ孔にねじ込む。すると、図4中の実線矢印に示すように、前記取付部材4の前記覆い部40の前記押え面401が前記半導体型光源2の本体部の前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22の一面を前記保持部材3の前記載置面30側に押える。この結果、前記半導体型光源2の本体部の前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22の一面と前記取付部材4の前記覆い部40の前記押え面401とが確固に当接し、かつ、前記半導体型光源2の本体部の前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22の他面と前記保持部材3の前記載置面30とが確固に当接する。この状態で、前記半導体型光源2が前記取付部材4と前記保持部材3との間に挟み込まれて固定されることとなる。
【0040】
このとき、図4に示すように、前記保持部材3と前記取付部材4との間には、隙間8が形成されている。すなわち、前記保持部材3のうち前記半導体型光源2が載置されている前記載置面30以外の面であって、前記保持部材3の前記凸部32の一面(上面)と、前記取付部材4のうち前記半導体型光源2を押える前記押え面401以外の面であって、前記取付部材4の前記取付部41の他面(下面)との間には、前記隙間8が形成されている。
【0041】
前記リフレクタ6は、たとえば、光不透過性の樹脂部材などから構成されている。前記リフレクタ6は、前部分と下部分とが開口し、その他の部分(上部分、後部分、左右両側部分)が閉塞した形状をなす。前記リフレクタ6の内面には、反射面60が設けられている。前記反射面60は、前記半導体型光源2の前記発光チップ200からの光を所定の配光パターンとして前方に反射照射するものである。
【0042】
前記ヒートシンク7は、たとえば、熱伝導率が高い樹脂部材もしくは金属部材から構成されている。前記ヒートシンク7は、前部分が平板形状をなし、かつ、中間部分から後部分にかけての部分がフィン形状の放熱部70をなす。前記リフレクタ6および前記ヒートシンク7は、前記保持部材3に取り付けられている。
【0043】
(作用の説明)
以下、この実施例1における車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0044】
車両用灯具1の半導体型光源2の発光チップ200を点灯発光させる。すると、半導体型光源2の発光チップ200から光が放射される。この光は、リフレクタ6の反射面60で反射し、所定の配光パターンとして車両の前方に照射される。
【0045】
(効果の説明)
この実施例1における車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0046】
この実施例1における車両用灯具1は、取付部材4の覆い部40の押え面401が半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22の一面を保持部材3の載置面30側に押えると、半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22の一面と取付部材4の多い部40の押え面401とが確固に当接し、かつ、半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22の他面と保持部材3の載置面30とが確固に当接している状態で、半導体型光源2が取付部材4と保持部材3との間に挟み込まれて固定されている。この結果、この実施例1における車両用灯具1は、車両の振動に対して十分に耐えられるように、半導体型光源2が保持部材3に取付部材4を介して確実に固定することができる。
【0047】
また、この実施例1における車両用灯具1は、保持部材3のうち取付具4の取付部41が取り付けられる箇所に載置面30よりも突出する凸部32を設けるものであるから、保持部材3のうち取付具4の取付部41が取り付けられる箇所の厚さが他の箇所の厚さに比べて凸部32の分厚くなる。この結果、この実施例1における車両用灯具1は、保持部材3の凸部32において取付具のスクリュー5を確実に取り付けるための取付代を十分に確保することができるので、取付具のスクリュー5を保持部材3の凸部32に確実に取り付けることができ、半導体型光源2を取付部材4と保持部材3との間においてさらに確実に固定することができる。
【0048】
さらに、この実施例1における車両用灯具1は、半導体型光源2を保持部材3と取付部材4との間に挟み込んだ状態で、スクリュー5を取付部材4の取付部41を介して保持部材3の凸部32に取り付ける際に、図4に示すように、保持部材3と取付部材4との間の隙間8、すなわち、保持部材3のうち半導体型光源2が載置されている載置面30以外の面であって、保持部材3の凸部32の一面(上面)と、取付部材4のうち半導体型光源2を押える押え面401以外の面であって、取付部材4の取付部41の他面(下面)との間の隙間8により、取付具としてのスクリュー5を締め付ける力が取付部材4を保持部材3側に押し付ける力としてさらに大きく作用するので、取付部材4の覆い部40押え面401が半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22の一面を保持部材3の載置面30側にさらに大きな力で押えることができる。これにより、この実施例1における車両用灯具1は、半導体型光源2を保持部材3と取付部材4との間においてさらに確実に固定することができる。
【0049】
さらにまた、この実施例1における車両用灯具1は、第1位置決め部、すなわち、相互に嵌合する半導体型光源2側の第1位置決め孔部221と保持部材3側の第1位置決め凸部31とにより、半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22の他面を保持部材3の載置面30に所定の位置に確実に載置することができ、また、第2位置決め部、すなわち、相互に嵌合する半導体型光源2側の第2位置決め孔部222と取付部材4側の第2位置決め凸部402とにより、半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22の一面に取付部材4の覆い部40の押え面401を所定の位置に確実に載置することができる。この結果、この実施例1における車両用灯具1は、半導体型光源2を保持部材3と取付部材4との間において所定の位置に確実に固定することができる。しかも、この実施例1における車両用灯具1は、取付部材4をスクリュー5により半導体型光源2および保持部材3に取り付ける際に、取付部材4が半導体型光源2に干渉するようなことがなく、取付部材4をスクリュー5により半導体型光源2および保持部材3に簡単に取り付けることができる。
【0050】
さらにまた、この実施例1における車両用灯具1は、半導体型光源2側の第1位置決め孔部221と保持部材3側の第1位置決め凸部31とが半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22の他面および保持部材3の載置面30に対して垂直方向に相互に嵌合し、かつ、半導体型光源2側の第2位置決め孔部222と取付部材4側の第2位置決め凸部402が半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22の一面および取付部材4の覆い部40の押え面401に対して垂直方向に相互に嵌合する。この結果、この実施例1における車両用灯具1は、相互に嵌合する半導体型光源2側の第1位置決め孔部221と保持部材3側の第1位置決め凸部31、および、相互に嵌合する半導体型光源2側の第2位置決め孔部222と取付部材4側の第2位置決め凸部402により、取付部材4と保持部材3との間において挟み込まれて固定されている半導体型光源2を、半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22の一面と取付部材4の覆い部40の押え面401および半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22の他面と保持部材3の載置面30の面方向のがたがなく確実に固定することができる。
【0051】
特に、この実施例1における車両用灯具1は、取付部材4には半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22を覆う覆い部40が設けられていて、かつ、取付部材4の覆い部40には半導体型光源2の発光部の基板20が位置する開口部400が設けられていて、取付部材4の覆い部40の開口部400の大きさは半導体型光源2の絶縁部材22の一面に露出する熱伝導部材21の一面よりも一回り小さくかつ基板20よりも一回り大きいものである。
【0052】
この結果、この実施例1における車両用灯具1は、図8(A)に示すように、半導体型光源2の熱伝導部材21の一面の一部が取付部材4の覆い部40の開口部400の周縁部により覆われることとなる。すると、半導体型光源2の熱伝導部材21が金属部材からなりその一面が鏡面となるような場合であっても、半導体型光源2の発光チップ200からの光であってリフレクタ6の反射面60で反射した光が半導体型光源2の熱伝導部材21の一面に入射して反射しても、その反射光が光を散乱(乱反射)させ、もしくは、光を吸収する部材あるいは反射率が低い部材から構成されている取付部材4の覆い部40の開口部400の壁面により遮蔽されて、リフレクタ6の反射面60に再度入射することがない。
【0053】
これに対して、図8(B)に示す車両用灯具100、すなわち、取付部材4に半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22を覆う覆い部40が設けられていない車両用灯具100の場合においては、半導体型光源2の発光チップ200からの光であってリフレクタ6の反射面60で反射した光が半導体型光源2の熱伝導部材21の一面に入射して反射すると、その反射光が取付部材4の覆い部40の開口部400の壁面により遮蔽されることなく、リフレクタ6の反射面60に再度入射して反射し、その反射光が配光制御されていない光として車両の前方に照射される場合がある。
【0054】
ところが、この実施例1における車両用灯具1は、前記のように図8(A)に示すように、半導体型光源2の発光チップ200からの光であってリフレクタ6の反射面60で反射した光が半導体型光源2の熱伝導部材21の一面に入射して反射しても、その反射光が取付部材4の覆い部40の開口部400の壁面により遮蔽されて、リフレクタ6の反射面60に再度入射することがないので、配光制御されていない光が車両の前方に照射されるようなことがない。
【実施例2】
【0055】
図9、図10は、この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す。以下、この実施例2における車両用灯具について説明する。図中、図1〜図8と同符号は、同一ものを示す。
【0056】
この実施例2における車両用灯具101は、1個の保持部材3の一面(上面)の載置面30と他面(下面)の載置面30とに2個の半導体型光源2、2を2個の取付部材4、4でそれぞれ挟み込んで固定してなるものである。
【0057】
この実施例2における車両用灯具101は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施例1における車両用灯具1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。しかも、この実施例2における車両用灯具101は、1個の保持部材3の一面の載置面30と他面の載置面30とに2個の半導体型光源2、2を2個の取付部材4、4でそれぞれ挟み込んで固定する場合においても、保持部材3の一面の凸部32と他面の凸部32とにおいて取付具としてのスクリュー5を確実に取り付けるための取付代を十分に確保することができるので、上下のスクリュー5が相互に干渉することなく、上下のスクリュー5を保持部材3の一面の凸部32と他面の凸部32とにそれぞれ確実に取り付けることができ、2個の半導体型光源2、2を2個の取付部材4、4と1個の保持部材3との間においてそれぞれ確実に固定することができる。
【0058】
(その他の例)
なお、前記の実施例1、2においては、取付具としてスクリュー5を使用するものである。ところが、この発明においては、取付具としてスクリュー以外のもの、たとえば、弾性係合爪部と係合部との弾性係合(いわゆる、パッチン嵌合)、加締めピンの加締め付け、ボルトナットの取付などを使用しても良い。
【0059】
また、前記の実施例1、2においては、リフレクタ6として固定リフレクタを使用するものである。ところが、この発明においては、リフレクタとして、固定リフレクタと可動リフレクタとを使用して、第1配光パターン(たとえば、ロービーム配光パターン)と第2配光パターン(たとえば、ハイビーム配光パターン)とが切り替えて得られるものであっても良い。
【0060】
さらに、前記の実施例1、2においては、ヘッドランプとして使用するものである。ところが、この発明においては、フォグランプ、テール・ストップランプ、デイタイムランニングランプ、カーブランプなどに使用しても良い。
【0061】
さらにまた、前記の実施例1、2においては、保持部材3とヒートシンク7とを別体のものを使用するものである。ところが、この発明においては、保持部材とヒートシンクとを一体のものを使用しても良い。
【0062】
さらにまた、前記の実施例1、2においては、第1位置決め部および第2位置決め部として第1位置決め孔部221および第2位置決め孔部222を使用するものである。ところが、この発明においては、第1位置決め部および第2位置決め部として、孔部ではなく凹部でも良い。
【0063】
さらにまた、前記の実施例1、2においては、取付部材4として光を散乱(乱反射)させ、もしくは、光を吸収する部材あるいは反射率が低い部材から構成されているものである。ところが、この発明においては、取付部材として使用する部材を特に限定せずに、取付部材の開口部の周縁部の表面に、光吸収処理を施すようにしても良い。
【符号の説明】
【0064】
1、101 車両用灯具
2 半導体型光源
20 基板(発光部)
200 発光チップ
201 電極
21 熱伝導部材(本体部)
22 絶縁部材(本体部)
221 第1位置決め孔部
222 第2位置決め孔部
23 ターミナル
3 保持部材
30 載置面
31 第1位置決め凸部
32 凸部
4 取付部材
40 覆い部
400 開口部
401 押え面
402 第2位置決め凸部
403 立ち上がり部分
41 取付部
410 透孔
5 スクリュー(取付具)
6 リフレクタ
60 反射面
7 ヒートシンク
70 放熱部
8 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体型光源を光源とする車両用灯具において、
半導体型光源と、保持部材と、取付部材と、取付具と、を備え、
前記半導体型光源を前記保持部材と前記取付部材との間に挟み込んだ状態で、前記取付具を前記取付部材を介して前記保持部材に取り付けることにより、前記半導体型光源が前記保持部材と前記取付部材との間に固定される車両用灯具であって、
前記半導体型光源は、本体部と、前記本体部の一面に設けられている発光部と、から構成されていて、
前記保持部材には、前記半導体型光源の前記本体部の他面が載置する載置面が、設けられていて、
前記取付部材の前記半導体型光源の前記発光部に対応する箇所には、開口部が設けられていて、
前記取付部材の前記開口部の周縁部には、前記半導体型光源の前記本体部の前記一面を前記保持部材の前記載置面側に押える押え面が、設けられている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記保持部材のうち前記取付具が取り付けられる箇所には、前記載置面よりも突出する凸部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記保持部材と前記取付部材との間には、隙間が形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記半導体型光源の前記本体部と前記保持部材とには、前記半導体型光源の前記本体部の前記他面を前記保持部材の前記載置面に載置する際の位置決めを行う第1位置決め部がそれぞれ設けられていて、
前記半導体型光源の前記本体部と前記取付部材とには、前記半導体型光源の前記本体部の前記一面に前記取付部材の前記押え面を載置する際の位置決めを行う第2位置決め部がそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第1位置決め部は、前記半導体型光源の前記本体部の前記他面および前記保持部材の前記載置面に対して垂直方向に設けられていて相互に嵌合する孔部と凸部とから構成されていて、
前記第2位置決め部は、前記半導体型光源の前記本体部の前記一面および前記取付部材の前記押え面に対して垂直方向に設けられていて相互に嵌合する孔部と凸部とから構成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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