説明

車両用発電制御装置

【課題】太陽電池を車両に設けて弊害なくかつ効率的に発電することを目的とする。
【解決手段】サンシェードに換気ファンを設けると共に、サンシェードの車両外側の面に太陽電池を設ける。そして、イグニッションオフが検出され、車室内温度が所定値以上で、かつ雨滴が検出されない場合に(100〜104)、サンシェードを閉じた状態としてサンルーフリッドを開放して、太陽電池によって発電された電力を用いて換気ファンを駆動する(110〜118)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用発電制御装置にかかり、特に、停車時にサンルーフを開放してサンルーフの内装側のサンシェードに配置された太陽電池によって発電する車両用発電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に太陽電池を設けて発電し、発電した電力を利用して、バッテリを充電したり、換気や空調の動力に利用したりする技術が従来より提案されている(例えば、特許文献1〜5)。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、ルーフパネルに固定された透明ガラスの室内側にソーラーパネルと、ソーラーパネルの電力により駆動される換気ファンを設けて、車室内を換気することが提案されていると共に、車室内の温度が所定値以上になると、サンルーフを開けて、ルーフに配置された換気ファンを作動させて車室内の空気を車外に排出することが記載されている。
【0004】
特許文献2に記載の技術では、ルーフ部に設けた太陽電池によって発電した電力で車室内を空調したり、バッテリを充電したりすることが提案されている。
【0005】
特許文献3に記載の技術では、太陽電池によって発電した電力を用いて換気することが提案されている。
【0006】
特許文献4に記載の技術では、イグニッションオフ時に太陽電池の電力を用いて車室内を換気することが提案されている。
【0007】
特許文献5に記載の技術では、太陽電池によって発電された電力でバッテリを充電するモードと、太陽電池によって発電された電力で換気を行うモードを適宜切り換えることが提案されている。
【特許文献1】特開2004−82807号公報
【特許文献2】特開2000−219035号公報
【特許文献3】実開平6−23805号公報
【特許文献4】実開平1−161809号公報
【特許文献5】特開平5−244731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、太陽電池を用いて発電する場合には、太陽電池の発電効率を高めるために直接太陽光を受けることができる部位に太陽電池を設ける方が好ましい。
【0009】
しかしながら、特許文献1や特許文献3に記載の技術では、ガラスを介して太陽電池に太陽光が照射されるため、ガラスによる光透過損失があり発電効率の面で改善の余地がある。
【0010】
また、特許文献2、特許文献4、及び特許文献5に記載の技術では、ルーフパネルに太陽電池を設けているため、太陽電池が雨にさらされると共に車両デザインを犠牲にしてしまうことが考えられる。
【0011】
さらに、特許文献1に記載の技術において、透明ガラスを開放してソーラーパネルに直接太陽光が照射されるようにすることが考えられるが、雨が降っている場合などでは、車室内に雨が侵入してしまい現実的はない。
【0012】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、太陽電池を車両に設けて弊害なくかつ効率的に発電することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、車両のルーフパネルの開口を開閉するサンルーフ部材を開閉動作させるサンルーフ開閉手段と、前記開口を開閉可能に前記サンルーフ部材より車室内側に設けられたサンシェード部材の車両外側の面に配置され、太陽光を受光することによって発電する太陽電池と、車両の動力源の停止を検出する停止検出手段と、雨滴を検出する雨滴検出手段と、前記停止検出手段によって前記動力源の停止が検出され、かつ前記雨滴検出手段によって雨滴が検出されない場合に、前記サンルーフ部材によって前記開口が開放されるように前記サンルーフ開閉手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、車両のルーフパネルの開口を開閉するサンルーフ部材がサンルーフ開閉手段によって開閉動作される。また、開口を開閉可能にサンルーフ部材より車室内側に設けられたサンシェード部材の車両外側の面には、太陽電池が設けられている。すなわち、サンルーフ部材を開口が開放される位置に開放し、サンシェードを開口が閉じた状態の位置としておくことによって、太陽電池が車両から露出した状態となり、直接太陽光を受光することが可能となり、効率的に発電することが可能となる。なお、サンルーフ部材としては、車両の外板と同一部材を用いてもよいし、ガラス等の透過性の部材を用いるようにしてもよい。
【0015】
一方、停止検出手段では、車両の動力源(例えば、車両を走行させるためのエンジンやモータ等)の停止が検出され、雨滴検出手段では、雨滴が検出される。
【0016】
そして、制御手段では、停止検出手段によって車両の動力源の停止が検出され、かつ雨滴検出手段によって雨滴が検出されない場合に、サンルーフ部材によって開口が開放されるようにサンルーフ開閉手段が制御される。すなわち、開口を開放するようにサンルーフ部材を開放動作させることによって、サンシェード部材が開口を閉じた位置の場合にサンシェード部材に設けられた太陽電池に直接太陽光が照射されるので、車両停車時に効率的に発電することができる。
【0017】
また、太陽電池は、サンシェード部材の車両外側の面に設けられているので、通常はサンルーフ部材が開口を閉じた状態の場合には、車両外側に直接露出した状態ではなく隠れた状態となる。そして、雨が降っている場合には、制御手段によって開口が開放されるようにサンルーフ部材の開閉が制御されることがないので、雨に太陽電池がさらされることがないと共に雨が車室内に進入することもない。従って、太陽電池を車両に設けて弊害なくかつ効率的に発電することが可能となる。
【0018】
なお、制御手段は、請求項2に記載の発明のように、停止検出手段によって動力源の停止が検出され、かつ雨滴検出手段によって雨滴が検出されない場合に、太陽電池の発電電力を車室内を換気する換気手段または発電電力を蓄電する蓄電池に供給するように更に制御するようにしてもよい。これによって、換気手段に発電電力を供給する場合には、バッテリ(蓄電池)があがることなく停車時に車室内を換気することが可能となり、蓄電手段に発電電力を供給する場合には、バッテリ(蓄電池)があがることなく他のアクセサリー電源などの、停車時の電流消費負荷全てに対して有効となる。ここで、換気手段としては、例えば請求項3に記載の発明のように、サンシェード部材に設けるようにしてもよい。また、制御手段は、請求項4に記載の発明のように、車室内の温度が所定値以上の場合に、発電電力を換気手段に供給するように制御するようにしてもよいし、請求項5に記載の発明のように、蓄電池の残量が所定値以下の場合に、太陽電池の発電電力を蓄電池に供給するように制御するようにしてもよい。
【0019】
一方、上記の発明では、サンシェード部材が開口を閉じる位置にない場合には、太陽電池による発電ができない場合があるので、請求項6に記載の発明のように、サンシェード部材を開閉動作させるサンシェード開閉手段を更に備え、制御手段が、停止検出手段によって車両の動力源の停止が検出され、雨滴検出手段によって雨滴が検出されない場合に、サンシェード部材によって開口が閉じられるようにサンシェード開閉手段を更に制御するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、車両のルーフパネルの開口の車室内側に開閉可能に設けられたサンシェード部材の車両外側の面に太陽電池を配置し、車両の動力源の停止が検出され、かつ雨滴が検出されない場合に、車両のルーフパネルの開口が開放されるようにサンルーフ部材の開閉動作を制御することによって、雨が車室内に進入することなくサンシェード部材に設けられた太陽電池に直接太陽光が照射されるので、太陽電池を車両に設けて弊害なくかつ効率的に発電することができる、という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係わる車両用発電制御装置で行われる発電制御の概要を説明するための図である。なお、図1に適宜示す矢印FR、矢印RR、矢印RH、及び矢印LHは、それぞれ車両の前方向、後方向、右方向、及び左方向を示す。
【0022】
本発明の第1実施形態に係わる車両用発電制御装置は、図1(A)に示すように、車両12のルーフ14に設けられた略矩形形状の開口部16をサンルーフリッド18にて開閉するようにした、所謂サンルーフ部分に、太陽電池20を設けて発電するものである。なお、サンルーフリッド18としては、透明なガラスで構成したものを適用するようにしてもよいし、車両の外板部材と同様の鉄板等の部材のものを適用するようにしてもよいが、本実施形態では、色付きガラスやフィルムを挟み込んだガラス等を用いて車室内へ入射される太陽光を抑制したサンルーフリッドを適用する。
【0023】
太陽電池20は、詳細には、車室内への太陽光の入射を遮断するためのサンシェード22の車両外側の面に配置されている。すなわち、太陽電池20はルーフ14の開口部16に入射される太陽光によって発電するようになっている。
【0024】
サンシェード22は、ルーフ14の開口部16に対応して設けられた、天井の内装部材の開口部を開閉するものであり、サンシェード22によって天井の内装部材の開口、すなわち、ルーフ14の開口部16を車室内側で閉じることによって車室内へ入射される太陽光を遮断することが可能とされている。
【0025】
また、サンシェード22には、図1(B)に示すように、車室内を換気するための換気ファン24が設けられており、サンルーフリッド18を開放かつサンシェード22を閉じた状態で換気ファン24を駆動することによって、車室内の暖かい空気をを車室外へ放出するようになっている。
【0026】
図2は、本発明の第1実施形態に係わる車両用発電制御装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
本発明の第1実施形態に係わる車両用発電制御装置10は、図2に示すように、太陽電池20で発電された電力を制御する制御ECU30を備えている。
【0028】
制御ECU30には、車室内温度センサ26、レインセンサ28、イグニッションスイッチ32、ファンスイッチ34、サンルーフアクチュエータ36、及びサンシェードアクチュエータ38が接続されている。
【0029】
車室内温度センサ26は、車室内の温度を検出して検出結果を制御ECU30に出力し、レインセンサ28は、フロントウインドシールドガラス等に設けられて、フロントウインドシールドガラス等に付着した雨滴を検出して検出結果を制御ECU30に出力し、イグニッションスイッチ32は、車両の動力源(例えばエンジンやモータ等)の停止を検出し、検出結果を制御ECU30に出力する。詳細には、イグニッションスイッチ32は動力源の始動/停止を指示するスイッチからなり、イグニッションスイッチ32のオンオフ状態を制御ECU30に出力する。なお、イグニッションスイッチ32は、直接キーシリンダ等に設けられたイグニッションスイッチ32からオンオフ信号を制御ECU30に出力するようにして車両の動力源の始動状態を制御ECU30に出力するようにしてもよいし、エンジンECUやボディーECU等のその他のECUから車両の動力源の始動状態を制御ECU30に出力するようにしてもよい。
【0030】
ファンスイッチ34は、太陽電池20によって発電された電力の換気ファン24への供給を制御し、制御ECU30によってファンスイッチ34のオンオフを制御することによって、太陽電池20によって発電された電力が換気ファン24に供給されるようになっている。
【0031】
サンルーフアクチュエータ36は、サンルーフリッド18を車両前後方向へ移動する。すなわち、サンルーフアクチュエータ36を作動することによってサンルーフリッド18を開口部16に対して開閉することができる。
【0032】
サンシェードアクチュエータ38は、サンシェード22を車両前後方向へ移動する。すなわち、サンシェードアクチュエータ38を作動することによってサンシェード22を開口部16に対して開閉することができる。
【0033】
なお、制御ECU30は、サンルーフアクチュエータ36及びサンシェードアクチュエータ38を作動した場合には、サンルーフリッド18やサンシェード22の作動位置を検出可能とされており、例えば、サンルーフアクチュエータ36やサンシェードアクチュエータ38の作動に伴って発生されるパルス数等をカウントしたり、位置検出センサを設けて位置を直接検出したりすることによって、サンルーフリッド18やサンシェード22の位置を検出可能とされているものとする。
【0034】
続いて、上述のように構成された本発明の第1実施形態に係わる車両用発電制御装置の制御ECU30で行われる発電制御の流れの一例について説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係わる車両用発電制御装置10の制御ECU30で行われる発電制御の一例を示すフローチャートである。
【0035】
まずステップ100では、イグニッションスイッチ32がオフされた否か判定される。すなわち、イグニッションスイッチ32がオフされることによってエンジンが停止されたか否か判定され、該判定が否定された場合には肯定されるまで待機してステップ102へ移行する。
【0036】
ステップ102では、車室内温度センサ26の検出結果から車室内温度が所定値以上か否か判定され、該判定が否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定された場合にはステップ104へ移行する。
【0037】
ステップ104では、レインセンサ28の検出結果から雨滴が検出されたか否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ106へ移行し、判定が否定された場合にはステップ110へ移行する。
【0038】
ステップ106では、サンルーフリッド18が開放された状態か否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ108へ移行し、否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。
【0039】
ステップ108では、制御ECU30がサンルーフアクチュエータ36を作動することによって、サンルーフリッド18が閉じられてステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。
【0040】
一方、ステップ104の判定が否定されてステップ110へ移行すると、サンシェード22が開放された状態か否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ112へ移行し、否定された場合にはステップ114へ移行する。
【0041】
ステップ112では、制御ECU30がサンシェードアクチュエータ38を作動することによって、サンシェード22が閉じられてステップ114へ移行する。
【0042】
ステップ114では、サンルーフリッド18が開放された状態か否か判定され、該判定が否定された場合にはステップ116へ移行し、肯定された場合118へ移行する。
【0043】
ステップ116では、制御ECU30がサンルーフアクチュエータ36を作動することによって、サンルーフリッド18が開放されてステップ118へ移行する。
【0044】
そして、ステップ118では、ファンスイッチ34がオンされて一連の発電制御を終了する。すなわち、太陽電池20によって発電された電力が換気ファン24に供給され、これによって換気ファン24が作動して、車室内の空気が換気される。
【0045】
このように本実施形態では、イグニッションスイッチ32がオフされて、車室内温度が所定値以上に上昇し、かつ雨滴が検出されない場合には、サンルーフリッド18が開放かつサンシェード22が閉じた状態とされる。例えば、図4(A)に示すように、サンルーフリッド18及びサンシェード22が閉じた状態の場合には、サンルーフリッド18のみが開放され、図4(B)に示すように、サンルーフリッド18が閉じた状態かつサンシェード22が開放された状態の場合には、サンルーフリッド18が開放され、サンシェード22が閉じられる。これによってサンシェード22に設けられた太陽電池20に太陽光が直接照射され、太陽電池20よる発電が効率的に行われる。そして、太陽電池20によって発電された電力が換気ファン24に供給され、図4(C)に示すように換気ファン24の駆動によって車室内を換気することができる。すなわち、炎天下では車室内はインストルメントパネル表面温度が100℃以上になることもあり、車室内温度が異常に高くなるため、換気ファン24を駆動して外気を導入するだけでもインストルメントパネル表面温度や車室内温度を下げて、乗車時の不快を軽減することができる。また、換気ファン24を太陽電池20によって発電した電力を供給するによって駆動するので、バッテリあがりの危険を回避することができる。
【0046】
また、換気ファン24の駆動は、雨滴が検知されるような場合には換気の必要性が小さいので炎天下時に必要と考えられ、太陽電池20によって発電できずに駆動不能となる心配がない。
【0047】
さらに、本実施形態では、雨滴が検知された場合には、サンルーフリッド18を開放せず、かつサンルーフリッド18が開放されている場合には閉じられるので、太陽電池が雨にさらされることがないと共に雨の車室内への進入を防止することができる。
【0048】
また、サンシェード22の車両外側に太陽電池20を配置したので、非発電時のサンルーフリッドが閉じられた状態では、サンルーフリッド18によって太陽電池20が目立たなくなり、サンルーフリッド18及びサンシェード22が開放された状態では、ルーフ14によって太陽電池20が隠されるため、外装デザインを損なわない。
【0049】
従って、太陽電池を車両に設けて各種弊害を引き起こすことなく、効率的に発電することが可能となる。
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態に係わる車両用発電制御装置について説明する。
【0050】
第1実施形態では、サンシェード22に設けた太陽電池20の発電電力によって換気ファン24を駆動するようにしたが、第2実施形態では、サンシェード22に設けた太陽電池20の発電電力でバッテリを充電するようにしたものである。なお、太陽電池20の配置は、第1実施形態と同様に、サンシェード22の車両外側の面に配置されており、第1実施形態と異なる点は、換気ファン24がサンシェード22に設けられていない点のみである。
【0051】
図5は、本発明の第2実施形態に係わる車両用発電制御装置の構成を示すブロック図である。なお、第1実施形態と同一構成については同一符号を付して説明する。
【0052】
本発明の第1実施形態に係わる車両用発電制御装置11は、図5に示すように、太陽電池20で発電された電力を制御する制御ECU40を備えている。
【0053】
制御ECU40には、バッテリ電圧計42、レインセンサ28、イグニッションスイッチ32、充電スイッチ44、サンルーフアクチュエータ36、及びサンシェードアクチュエータ38が接続されている。
【0054】
バッテリ電圧計42は、車両に搭載されたバッテリ46の電力を検出して、検出結果を制御ECU40に出力する。これによって制御ECU40は、バッテリ残量等を把握することができる。
【0055】
レインセンサ28は、フロントウインドシールドガラス等に設けられて、フロントウインドシールドガラス等に付着した雨滴を検出して検出結果を制御ECU40に出力し、イグニッションスイッチ32は、車両の動力源(例えばエンジンやモータ等)の停止を検出し、検出結果を制御ECU40に出力する。詳細には、イグニッションスイッチ32は動力源の始動/停止を指示するスイッチからなり、イグニッションスイッチ32のオンオフ状態を制御ECU40に出力する。なお、イグニッションスイッチ32は、直接キーシリンダ等に設けられたイグニッションスイッチ32からオンオフ信号を制御ECU40に出力するようにして車両の動力源の始動状態を制御ECU40に出力するようにしてもよいし、エンジンECUやボディーECU等のその他のECUから車両の動力源の始動状態を制御ECU40に出力するようにしてもよい。
【0056】
充電スイッチ44は、太陽電池20によって発電された電力をバッテリ46への供給を制御し、制御ECU40によって充電スイッチ44のオンオフ制御することによって、太陽電池20によるバッテリ46の充電が制御されるようになっている。
【0057】
サンルーフアクチュエータ36は、サンルーフリッド18を車両前後方向へ移動する。すなわち、サンルーフアクチュエータ36を作動することによってサンルーフリッド18を開口部16に対して開閉することができる。
【0058】
サンシェードアクチュエータ38は、サンシェード22を車両前後方向へ移動する。すなわち、サンシェードアクチュエータ38を作動することによってサンシェード22を開口部16に対して開閉することができる。
【0059】
なお、制御ECU40は、サンルーフアクチュエータ36及びサンシェードアクチュエータ38を作動した場合には、サンルーフリッド18やサンシェード22の作動位置を検出可能とされており、例えば、サンルーフアクチュエータ36やサンシェードアクチュエータ38の作動に伴って発生されるパルス数等をカウントしたり、位置検出センサを設けて位置を直接検出したりすることによって、サンルーフリッド18やサンシェード22の位置を検出可能とされているものとする。
【0060】
続いて、上述のように構成された本発明の第2実施形態に係わる車両用発電制御装置11の制御ECU40で行われる発電制御の流れの一例について説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係わる車両用発電制御装置11の制御ECU40で行われる発電制御の一例を示すフローチャートである。なお、第1実施形態と同一処理については同一符号を付して説明する。
【0061】
まずステップ100では、イグニッションスイッチ32がオフされた否か判定される。すなわち、イグニッションスイッチ32がオフされることによってエンジンが停止されたか否か判定され、該判定が否定された場合には肯定されるまで待機してステップ101へ移行する。
【0062】
ステップ101では、バッテリ電圧計42の検出結果からバッテリ電圧が所定値以下か否か判定され、該判定が否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定された場合にはステップ104へ移行する。
【0063】
ステップ104では、レインセンサ28の検出結果から雨滴が検出されたか否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ106へ移行し、判定が否定された場合にはステップ110へ移行する。
【0064】
ステップ106では、サンルーフリッド18が開放された状態か否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ108へ移行し、否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。
【0065】
ステップ108では、制御ECU40がサンルーフアクチュエータ36を作動することによって、サンルーフリッド18が閉じられてステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。
【0066】
一方、ステップ104の判定が否定されてステップ110へ移行すると、サンシェード22が開放された状態か否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ112へ移行し、否定された場合にはステップ114へ移行する。
【0067】
ステップ112では、制御ECU40がサンシェードアクチュエータ38を作動することによって、サンシェード22が閉じられてステップ114へ移行する。
【0068】
ステップ114では、サンルーフリッド18が開放された状態か否か判定され、該判定が否定された場合にはステップ116へ移行し、肯定された場合117へ移行する。
【0069】
ステップ116では、制御ECU40がサンルーフアクチュエータ36を作動することによって、サンルーフリッド18が開放されてステップ117へ移行する。
【0070】
そして、ステップ117では、充電スイッチ44がオンされて一連の発電制御を終了する。すなわち、太陽電池20によって発電された電力がバッテリ46に供給され、これによってバッテリ46が充電される。
【0071】
このように本実施形態では、イグニッションスイッチ32がオフされて、バッテリ電圧が所定値以下、かつ雨滴が検出されない場合には、サンルーフリッド18が開放かつサンシェード22が閉じた状態とされる。これによってサンシェード22に設けられた太陽電池20に太陽光が直接照射され、太陽電池20よる発電が効率的に行われる。そして、太陽電池20によって発電された電力がバッテリ46に供給されるので、バッテリを充電することができる。
【0072】
すなわち、第1実施形態のように、太陽電池20の発電電力を換気ファン24に供給するのではなく、バッテリ46を充電するので、換気ファン24ではなく他のアクセサリー電源などの、エンジン停止時の電流消費負荷全てに対して有効となる。
【0073】
また、本実施形態においても第1実施形態と同様に、雨滴が検知された場合には、サンルーフリッド18を開放せず、かつサンルーフリッド18が開放されている場合には閉じられるので、太陽電池が雨にさらされることがないと共に雨の車室内への進入を防止することができる。
【0074】
また、第1実施形態と同様に、サンシェード22の車両外側に太陽電池20を配置したので、非発電時のサンルーフリッドが閉じられた状態では、サンルーフリッド18によって太陽電池20が目立たなくなり、サンルーフリッド18及びサンシェード22が開放された状態では、ルーフ14によって太陽電池20が隠されるため、外装デザインを損なわない。
【0075】
従って、外装デザインを損なうことなく太陽電池を車両に設けて効率的に発電することが可能となる。
[第3実施形態]
続いて、本発明の第3実施形態に係わる車両用発電制御装置について説明する。
【0076】
第3実施形態は、第1実施形態及び第3実施形態を組合わせたものであり、太陽電池20の発電電力を換気ファン24とバッテリ46に供給するように構成したものであり、太陽電池20及び換気ファン24は、第1実施形態と同様に、サンシェード22の車両外側の面に配置されている。
【0077】
図7は、本発明の第3実施形態に係わる車両用発電制御装置の構成を示すブロック図である。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同一構成については同一符号を付して説明する。
【0078】
制御ECU50には、車室内温度センサ26、バッテリ電圧計42、レインセンサ28、イグニッションスイッチ32、充電スイッチ44、サンルーフアクチュエータ36、及びサンシェードアクチュエータ38が接続されている。
【0079】
車室内温度センサ26は、車室内の温度を検出して検出結果を制御ECU50に出力し、バッテリ電圧計42は、車両に搭載されたバッテリ46の電力を検出して、検出結果を制御ECU50に出力し、レインセンサ28は、フロントウインドシールドガラス等に設けられて、フロントウインドシールドガラス等に付着した雨滴を検出して検出結果を制御ECU50に出力し、イグニッションスイッチ32は、車両の動力源(例えばエンジンやモータ等)の停止を検出し、検出結果を制御ECU50に出力する。詳細には、イグニッションスイッチ32は動力源の始動/停止を指示するスイッチからなり、イグニッションスイッチ32のオンオフ状態を制御ECU50に出力する。なお、イグニッションスイッチ32は、直接キーシリンダ等に設けられたイグニッションスイッチ32からオンオフ信号を制御ECU50に出力するようにして車両の動力源の始動状態を制御ECU50に出力するようにしてもよいし、エンジンECUやボディーECU等のその他のECUから車両の動力源の始動状態を制御ECU50に出力するようにしてもよい。
【0080】
セレクトスイッチ52は、太陽電池20によって発電された電力の供給先を切り換えを行い、本実施形態では、セレクトスイッチ52にバッテリ46及び換気ファン24が接続され、太陽電池20によって発電された電力をバッテリ46又は換気ファン24に供給可能とされている。そして、制御ECU50が、セレクトスイッチ52の切換及びオンオフを制御することによって、バッテリ46への充電開始又は換気ファン24のオンオフが制御されるようになっている。
【0081】
サンルーフアクチュエータ36は、サンルーフリッド18を車両前後方向へ移動する。すなわち、サンルーフアクチュエータ36を作動することによってサンルーフリッド18を開口部16に対して開閉することができる。
【0082】
サンシェードアクチュエータ38は、サンシェード22を車両前後方向へ移動する。すなわち、サンシェードアクチュエータ38を作動することによってサンシェード22を開口部16に対して開閉することができる。
【0083】
なお、制御ECU50は、サンルーフアクチュエータ36及びサンシェードアクチュエータ38を作動した場合には、サンルーフリッド18やサンシェード22の作動位置を検出可能とされており、例えば、サンルーフアクチュエータ36やサンシェードアクチュエータ38の作動に伴って発生されるパルス数等をカウントしたり、位置検出センサを設けて位置を直接検出したりすることによって、サンルーフリッド18やサンシェード22の位置を検出可能とされているものとする。
【0084】
続いて、上述のように構成された本発明の第3実施形態に係わる車両用発電制御装置13の制御ECU50で行われる発電制御の流れの一例について説明する。図8は、本発明の第3実施形態に係わる車両用発電制御装置13の制御ECU50で行われる発電制御の一例を示すフローチャートである。
【0085】
まずステップ200では、イグニッションスイッチ32がオフされた否か判定される。すなわち、イグニッションスイッチ32がオフされることによってエンジンが停止されたか否か判定され、該判定が否定された場合には肯定されるまで待機してステップ202へ移行する。
【0086】
ステップ202では、バッテリ電圧計42の検出結果からバッテリ電圧が所定値以下か否か判定され、該判定が否定された場合にはステップ204へ移行し、肯定された場合にはステップ208へ移行する。
【0087】
ステップ204では、車室内温度センサ26の検出結果から車室内温度が所定値以上か否か判定され、該判定が否定された場合にはステップ200に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定された場合にはステップ206へ移行する。
【0088】
ステップ206では、セレクトスイッチ52が換気ファン24側に切換されてステップ210へ移行する。
【0089】
一方、ステップ203の判定が肯定されてステップ208へ移行すると、セレクトスイッチ52がバッテリ46側に切換されてステップ210へ移行する。
【0090】
ステップ210では、レインセンサ28の検出結果から雨滴が検出されたか否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ212へ移行し、判定が否定された場合にはステップ216へ移行する。
【0091】
ステップ212では、サンルーフリッド18が開放された状態か否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ214へ移行し、否定された場合にはステップ200に戻って上述の処理が繰り返される。
【0092】
ステップ214では、制御ECU50がサンルーフアクチュエータ36を作動することによって、サンルーフリッド18が閉じられてステップ200に戻って上述の処理が繰り返される。
【0093】
一方、ステップ210の判定が否定されてステップ216へ移行すると、サンシェード22が開放された状態か否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ218へ移行し、否定された場合にはステップ220へ移行する。
【0094】
ステップ218では、制御ECU50がサンシェードアクチュエータ38を作動することによって、サンシェード22が閉じられてステップ220へ移行する。
【0095】
ステップ220では、サンルーフリッド18が開放された状態か否か判定され、該判定が否定された場合にはステップ222へ移行し、肯定された場合224へ移行する。
【0096】
ステップ222では、制御ECU50がサンルーフアクチュエータ36を作動することによって、サンルーフリッド18が開放されてステップ224へ移行する。
【0097】
そして、ステップ224では、セレクトスイッチ52がオンされて一連の発電制御を終了する。すなわち、太陽電池20によって発電された電力がステップ206またはステップ208で設定された供給先に供給され、セレクトスイッチ52が換気ファン24側に切り換えられた場合には、換気ファン24が作動して、車室内の空気が換気され、セレクトスイッチ52がバッテリ46側に切り換えられた場合には、バッテリ46が充電される。
【0098】
このように構成することによって、第1実施形態及び第2実施形態の双方の効果を得ることができる。
【0099】
なお、本実施形態では、バッテリ46の電圧が低い場合には太陽電池20の発電電力をバッテリ46側に優先的に供給するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、車室内温度が高い場合には、換気ファン24に太陽電池20の発電電力を優先的に供給して換気を優先するようにしてもよい。
【0100】
また、上記の各実施形態では、サンシェード22をサンシェードアクチュエータ38によって移動可能としたが、これに限るものではなく、サンシェードが22が開口16を開放する状態にされたままの場合には、太陽電池による発電ができない場合があるがサンシェード22は手動で移動する構成としてもよい。
【0101】
また、本発明の第1実施形態及び第3実施形態では、太陽電池20によって発電した電力で換気ファン24を駆動するようにしたが、これに限るものではなく、太陽電池20によって発電した電力で他の装置を駆動するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる車両用発電制御装置で行われる発電制御の概要を説明するための図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係わる車両用発電制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係わる車両用発電制御装置の制御ECUで行われる発電制御の一例を示すフローチャートである。
【図4】発電制御を行う際の、サンルーフリッド及びサンシェードの開閉を説明するための図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係わる車両用発電制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係わる車両用発電制御装置の制御ECUで行われる発電制御の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3実施形態に係わる車両用発電制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係わる車両用発電制御装置の制御ECUで行われる発電制御の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
10、11、13 車両用発電制御装置
12 車両
14 ルーフ
16 開口部
18 サンルーフリッド
20 太陽電池
22 サンシェード
24 換気ファン
26 車室内温度センサ
28 レインセンサ
30、40、50 制御ECU
32 イグニッションスイッチ
34 ファンスイッチ
36 サンルーフアクチュエータ
38 サンシェードアクチュエータ
42 バッテリ電圧計
44 充電スイッチ
46 バッテリ
52 セレクトスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフパネルの開口を開閉するサンルーフ部材を開閉動作させるサンルーフ開閉手段と、
前記開口を開閉可能に前記サンルーフ部材より車室内側に設けられたサンシェード部材の車両外側の面に配置され、太陽光を受光することによって発電する太陽電池と、
車両の動力源の停止を検出する停止検出手段と、
雨滴を検出する雨滴検出手段と、
前記停止検出手段によって前記動力源の停止が検出され、かつ前記雨滴検出手段によって雨滴が検出されない場合に、前記サンルーフ部材によって前記開口が開放されるように前記サンルーフ開閉手段を制御する制御手段と、
を備えた車両用発電制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記停止検出手段によって前記動力源の停止が検出され、かつ前記雨滴検出手段によって雨滴が検出されない場合に、前記太陽電池の発電電力を車室内を換気する換気手段または前記発電電力を蓄電する蓄電池に供給するように更に制御することを特徴としている請求項1に記載の車両用発電制御装置。
【請求項3】
前記換気手段は、前記サンシェード部材に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両用発電制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、車室内の温度が所定値以上の場合に、前記発電電力を前記換気手段に供給するように制御することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車両用発電制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記蓄電池の残量が所定値以下の場合に、前記発電電力を前記蓄電池に供給するように制御することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車両用発電制御装置。
【請求項6】
前記サンシェード部材を開閉動作させるサンシェード開閉手段を更に備え、前記制御手段が、前記停止検出手段によって前記動力源の停止が検出され、前記雨滴検出手段によって雨滴が検出されない場合に、前記サンシェード部材によって前記開口が閉じられるように前記サンシェード開閉手段を更に制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の車両用発電制御装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−326444(P2007−326444A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158363(P2006−158363)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】