説明

車載用補助アンテナユニット

【課題】純正ロッドアンテナが長く引き伸ばされているか否かに運転者が常々注意を払わなければならないという煩わしさをなくすことのできる車載用補助アンテナユニットを提供すること及び車載用純正アンテナの受信感度を高めることのできる車載用補助アンテナユニットを提供すること。
【解決手段】純正ロッドアンテナ104よりも短く、曲がり難く、折れ難い補助ロッドアンテナ12を補助アンテナカバー11に取り付け、該補助アンテナカバーは、純正アンテナカバー103に収納した純正車載用アンテナ110を純正アンテナカバー103ごと覆うようにした。これにより運転者は純正ロッドアンテナが長く引き伸ばされているか否かに注意を払う煩わしさから開放される。また、純正ロッドアンテナより長くて受信感度の高い補助ロッドアンテナを補助アンテナカバー11に取り付けることにより、電波状況の悪い場所でも良好に電波を受信することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に予め装備されている純正の車載用アンテナに装着して使用する車載用補助アンテナユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車載用純正アンテナの一形式として、図8及び図9に示すように、車体100のフロントピラー101に純正アンテナカバー103を固定し、純正アンテナカバー103に一本の細長い金属管製の純正ロッドアンテナ104を出し入れ自在に取り付けた車載用純正アンテナ110が広く市場に供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−252512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の車載用純正アンテナ110では、感度を高めるため長尺の純正ロッドアンテナ104を用いているので、純正アンテナカバー103から最も長く引き伸ばすと、車体100のルーフ105から上方へ長く突出する。
運転者は往々にして純正ロッドアンテナ104が長く引き伸されていることを忘れ易い。純正ロッドアンテナ104を長く引き伸ばしたままで、天井の低い駐車場に駐車したり、コイン洗車機に車を入れると、金属管製の純正ロッドアンテナ104が低い天井に当たって曲がったり、洗車ブラシで折り曲げられてしまう。
こういった事態を回避するために、運転者は常々純正ロッドアンテナ104が長く引き伸ばされているか否かに注意を払い、駐車時や洗車時に純正ロッドアンテナを純正アンテナカバーに収納しなければならず、甚だ煩わしい。
また、純正アンテナ110は、純正ロッドアンテナ104が長尺であっても、キャンプ場や渓流つり場のように人里離れて電波状況が悪い場所では、受信感度が不十分で、ラジオの音声が聞き取り難いことがある。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑み、純正ロッドアンテナが長く引き伸ばされているか否かに運転者が常々注意を払わなければならないという煩わしさをなくすことのできる車載用補助アンテナユニットを提供することを目的とする。
また、車載用純正アンテナの受信感度を高めることのできる車載用補助アンテナユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車体の外面に固定した純正アンテナカバーと、純正アンテナカバーに出し入れ自在に取り付けた純正ロッドアンテナを備えた車載用純正アンテナに装着する車載用補助アンテナユニットであって、前記純正ロッドアンテナを前記純正アンテナカバー内に略収納した状態の前記車載用純正アンテナを被覆可能で、かつ車体外面に固定可能な補助アンテナカバーと、補助アンテナカバーに取り付けた補助ロッドアンテナと、前記補助アンテナカバーに内蔵され、前記純正アンテナカバーから露出する純正ロッドアンテナの先端部と前記補助ロッドアンテナを電気的に接続する接続手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載用補助アンテナユニットにおいて、前記補助ロッドアンテナがコイルアンテナ線を樹脂で棒状に被覆した構成を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車載用補助アンテナユニットにおいて、前記補助ロッドアンテナを伸縮可能に構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の車載用補助アンテナユニットにおいて、前記補助アンテナカバーにブースタを内蔵したことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の車載用補助アンテナユニットにおいて、前記接続手段を、一端が前記補助ロッドアンテナに接続され、他端に前記純正ロッドアンテナの先端部に絡み着けることができる導電性コイルバネを取り付けた導電ケーブルで構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の車載用補助アンテナユニットにおいて、前記接続手段を、一端が前記補助ロッドアンテナに接続され、他端に前記純正ロッドアンテナの先端部を挟持可能な導電性クリップを取り付けた導電ケーブルで構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、純正ロッドアンテナに接続した補助ロッドアンテナで電波を受信できる。
補助ロッドアンテナとして、純正ロッドアンテナよりも短くて曲がったり、折れ難いロッドアンテナを補助アンテナカバーに取り付ければ、純正ロッドアンテナを純正アンテナカバーに収納した状態で純正車載用アンテナを補助アンテナカバーで覆うので、運転者は純正ロッドアンテナが長く引き伸ばされているか否かに注意を払う煩わしさから開放される。
また、補助ロッドアンテナとして純正ロッドアンテナより長くて受信感度の高いロッドアンテナを補助アンテナカバーに取り付ければ、電波状況の悪い場所でも良好に電波を受信できる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、補助ロッドアンテナとして、コイルアンテナ線を樹脂で被覆した構成のロッドアンテナを用いるので、ロッドアンテナの寸法は短くても、樹脂材の比誘電率による波長短縮効果とコイルアンテナ線により電気長を延ばすことにより、所要の受信感度を得ることができる。また、かかる構成の補助ロッドアンテナは可撓性に富むので、曲がり難く、折れ難い。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、補助ロッドアンテナを伸縮可能に構成したので、引き伸ばしたときの寸法を純正ロッドアンテナよりも長くすることにより、純正ロッドアンテナだけで受信する場合に比べ、受信感度を高めることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、補助アンテナカバーにブースタを内蔵するので、車載用純正アンテナだけで電波を受信する場合に比べ、受信感度をより高めることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、純正ロッドアンテナの先端部に導電性コイルバネを絡み着けることにより、純正ロッドアンテナと補助ロッドアンテナを接続でき、接続作業が簡単容易になる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、純正ロッドアンテナの先端部を導電性クリップで挟持することにより、純正ロッドアンテナと補助ロッドアンテナを接続でき、接続作業が簡単容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施例に係る車載用補助アンテナユニットを示す。
【図2】本発明の第1実施例に係る車載用補助アンテナユニットを示す。
【図3】本発明の第1実施例に係る車載用補助アンテナユニットの補助ロッドアンテナを示す。
【図4】本発明の第2実施例に係る車載用補助アンテナユニットを示す。
【図5】本発明の第3実施例に係る車載用補助アンテナユニットを示す。
【図6】本実施例に係る車載用補助アンテナユニットの取付例のうちの一つを示す。
【図7】本実施例に係る車載用補助アンテナユニットの取付例のうちの一つを示す。
【図8】従来の車載用純正アンテナユニットを備えた車両の一例を示す。
【図9】従来の車載用純正アンテナユニットの一例を示す。
【実施例1】
【0019】
以下に本発明を図面に基づき説明するに、図1及び図2には本発明の第1実施例に係る車載用補助アンテナユニット10が示されている。当該補助アンテナユニット10は補助アンテナカバー11と補助ロッドアンテナ12及び導電ケーブル13を備えている。
【0020】
補助アンテナカバー12は樹脂製で、上端部から下端部にかけて高さ及び幅が漸減する流線型に成形され、底部に開口11aが形成されている。底部開口11aの周縁には両面接着テープ11bが貼着されている。
【0021】
補助ロッドアンテナ12は補助アンテナカバー11の上端部に立設して固定され補助アンテナカバー11の上方に突出している。図3に示すように、補助ロッドアンテナ13はコイルアンテナ線12aを内蔵し、インサート成型によりコイルアンテナ線12aを樹脂12bで棒状に被覆して構成されている。補助ロッドアンテナ12は純正ロッドアンテナより短く、純正ロッドアンテナの1/3程度の長さに設定されている。
【0022】
導電ケーブル13は補助アンテナカバー11に内蔵され、一端が補助ロッドアンテナ12に連結され、他端に導電性コイルバネ13aが連結されている。
【0023】
第1実施例に係る車載用補助アンテナユニット10の構造は以上の通りであって、以下にその使用方法を説明する。車載用純正アンテナ110の純正アンテナカバー103に純正ロッドアンテナ104を収納し、純正アンテナカバー103から出ている純正ロッドアンテナ104の先端部にコイルバネ13aを絡み着けて導電ケーブル13で純正ロッドアンテナ104と補助ロッドアンテナ12を電気的に接続する。
【0024】
補助アンテナカバー11は純正ロッドアンテナ104を純正アンテナカバー103内に略収納した状態の車載用純正アンテナ110を覆い隠すことができるように、形状、寸法とりわけ、底部開口11aの形状、寸法が設定されているので、補助アンテナカバー11を底部開口11aから純正アンテナ110に被せて、純正アンテナ110を覆い隠すとともに、底部開口11aの周縁を両面接着テープ11bで車体100のフロントピラー101に接着して固定する。
【0025】
第1実施例に係る車載用補助アンテナユニット10を車載用純正アンテナ110に装着することにより、純正ロッドアンテナ104に接続した補助ロッドアンテナ12で電波を受信できる。
【0026】
第1実施例に係る車載用補助アンテナユニット10によれば、補助ロッドアンテナ12として、コイルアンテナ線12aを樹脂で被覆した構成のロッドアンテナ12を用いているので、ロッドアンテナ12の寸法は短くても、樹脂材の比誘電率による波長短縮効果とコイルアンテナ線12aにより電気長を延ばすことにより、所要の受信感度を得ることができる。また、かかる構成の補助ロッドアンテナ12は可撓性に富むので、曲がり難く、折れ難い。
【0027】
このように補助ロッドアンテナ12として、純正ロッドアンテナ104よりも短くて曲がったり、折れ難いロッドアンテナ12を補助アンテナカバー11に取り付けるとともに、純正ロッドアンテナ104を純正アンテナカバー103に収納した状態で純正車載用アンテナ110を補助アンテナカバー11で覆うので、運転者は純正ロッドアンテナ104が長く引き伸ばされているか否かに注意を払う煩わしさから開放される。
【0028】
また、車載用純正アンテナ110は補助アンテナカバー11で覆い隠されるので、車体100の外観には車載用補助アンテナユニット10があたかも車載用純正アンテナ110のように現れ、車体100の外観が損なわれることはない。
【0029】
さらにまた、第1実施例に係る車載用補助アンテナユニット10によれば、純正ロッドアンテナ103の先端部に導電性コイルバネ13aを絡み着けることにより、純正ロッドアンテナ104と補助ロッドアンテナ12を接続でき、接続作業が簡単容易に実施できる。
【実施例2】
【0030】
本発明の第2実施例に係る車載用補助アンテナユニット20を図4に示す。当該補助アンテナユニット20の補助ロッドアンテナ21は、複数の短い金属管21aで構成され、各金属管21aの径は補助ロッドアンテナ21の先端部から基端部側へ漸増している。この補助ロッドアンテナ21は各金属管21aを隣接する金属管21aに出し入れすることにより伸縮させることができる。そして、最も伸長したときの補助ロッドアンテナ21の長さは純正ロッドアンテナ104より長くなるように設定されている。
なお、第2実施例に係る車載用補助アンテナユニット20の他の構成は第1実施例に係る車載用補助アンテナユニット10と同じであるので、同一の構成要素に同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
第2実施例に係る車載用補助アンテナユニット20によれば、補助ロッドアンテナ21を伸縮可能に構成することにより、引き伸ばしたときの寸法を純正ロッドアンテナ104よりも長くしたので純正ロッドアンテナ104だけで受信する場合に比べ、受信感度を高めることができる。そのため、キャンプ場や渓流釣り場のように人里離れた電波状況の悪い場所でも良好に電波を受信できる。
【実施例3】
【0032】
本発明の第3実施例に係る車載用補助アンテナユニットを図5に示す。当該補助アンテナユニット30の補助アンテナカバー11にはブースタ31が内蔵されている。
なお、第3実施例に係る車載用補助アンテナユニッ30トの他の構成は第1実施例に係る車載用補助アンテナユニット10と同じであるので、同一の構成要素に同一の符号を付して説明を省略する。
このように補助アンテナカバー11にブースタ31を内蔵することにより、車載用純正アンテナ104だけで電波を受信する場合に比べ、受信感度をより高めることができる。
【0033】
第1〜第3実施例に係る車載用補助アンテナユニット10,20,30では、純正ロッドアンテナ104の先端部に絡み着けることのできる導電性コイルバネ13aを導電ケーブル13の一端に連結したが、これに代えて、図6に示すように導電性のワニ口クリップ13b、又は図7に示すように導電性のバネクリップ13cを連結し、ワニ口クリップ13b又はバネクリップ13cで純正ロッドアンテナ104の先端部を挟持するように構成しても、簡単に補助ロッドアンテナ12,21と純正アンテナ104を電気的に接続できる。
【符号の説明】
【0034】
10,20,30…車載用補助アンテナユニット
11…補助アンテナカバー
12…補助ロッドアンテナ
12a…コイルアンテナ線
13…電導ケーブル
13a…コイルスプリング
13b…ワニ口クリップ
13c…バネクリップ
103…純正アンテナカバー
104…純正ロッドアンテナ
110…車載用純正アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の外面に固定した純正アンテナカバーと、純正アンテナカバーに出し入れ自在に取り付けた純正ロッドアンテナを備えた車載用純正アンテナに装着する車載用補助アンテナユニットであって、前記純正ロッドアンテナを前記純正アンテナカバー内に略収納した状態の前記車載用純正アンテナを被覆可能で、かつ車体外面に固定可能な補助アンテナカバーと、補助アンテナカバーに取り付けた補助ロッドアンテナと、前記補助アンテナカバーに内蔵され、前記純正アンテナカバーから露出する純正ロッドアンテナの先端部と前記補助ロッドアンテナを電気的に接続する接続手段とを備えたことを特徴とする車載用補助アンテナユニット。
【請求項2】
前記補助ロッドアンテナがコイルアンテナ線を樹脂で棒状に被覆した構成を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車載用補助アンテナユニット。
【請求項3】
前記補助ロッドアンテナを伸縮可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の車載用補助アンテナユニット。
【請求項4】
前記補助アンテナカバーにブースタを内蔵したことを特徴とする請求項1に記載の車載用補助アンテナユニット。
【請求項5】
前記接続手段を、一端が前記補助ロッドアンテナに接続され、他端に前記純正ロッドアンテナの先端部に絡み着けることができる導電性コイルバネを取り付けた導電ケーブルで構成したことを特徴とする請求項1に記載の車載用補助アンテナユニット。
【請求項6】
前記接続手段を、一端が前記補助ロッドアンテナに接続され、他端に前記純正ロッドアンテナの先端部を挟持可能な導電性クリップを取り付けた導電ケーブルで構成したことを特徴とする請求項1に記載の車載用補助アンテナユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−62638(P2013−62638A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198990(P2011−198990)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(593079944)株式会社ビートソニック (37)
【Fターム(参考)】