説明

軸支持構造

【課題】シャフトを挿入固定する軸挿入部にシャフトを確実に挿入することができると共に、シャフトと軸挿入部の間のがたつき発生を低コストで簡易的に防止することができる軸支持構造を提供すること。
【解決手段】シャフト30と、該シャフト30を挿入可能な軸挿入部(上側シャフト貫通孔)22aとを有し、シャフト30を軸挿入部22aに挿入して固定する軸支持構造において、軸挿入部22aの内周面をシャフト30の挿入入口(貫通入口)22aA側から次第に縮径するテーパ状に形成すると共に、軸挿入部22aとシャフト30との間に、両端が開放した中空の筒部材(第1筒部材)40を介装し、筒部材40は、軸挿入部22aの内周面に沿うテーパ状の外周面と、シャフト30を挿入可能であってシャフト30の外径R2とほぼ同じ内径R5とを有し、シャフト30を筒部材40に挿入することで筒部材40を歪ませて軸挿入部22aの内周面に圧接させ、シャフト30と軸挿入部22aとの間の隙間を筒部材40によって埋める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトを挿入して支持する軸挿入部を備えた軸支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクターにピン孔を有する回転体を設け、トレーラにピン孔を有するブラケットを設け、回転体のピン孔とブラケットのピン孔とを同軸に配置すると共に、シャフトを各ピン孔に貫通することで、トラクターとトレーラとを連結している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このとき、ブラケットのピン孔に対してシャフトが固定していることが好ましく、シャフトとブラケットのピン孔との寸法差がゼロ(密着状態)であることが好ましいが、ピン孔にシャフトを確実に貫通させるために、シャフトとブラケットのピン孔との間には、嵌め合い公差(極僅かなクリアランス)が不可欠であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-178958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしならが、従来構造にあっては、シャフトとブラケットのピン孔との間の嵌め合い公差がシャフトのがたつきの原因になってしまい、長期間の使用によってピン孔の内周面やシャフトの外周面に磨耗が生じてしまうという問題があった。また、耐磨耗性を高めるために、ピン孔の内周面に硬質材を設けることが考えられているが、コスト増になってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に着目してなされたものであり、シャフトを挿入固定する軸挿入部にシャフトを確実に挿入することができると共に、シャフトと軸挿入部との間のがたつき発生を低コストで簡易的に防止することができる軸支持構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明では、シャフトと、該シャフトを挿入可能な軸挿入部とを有し、前記シャフトを前記軸挿入部に挿入して固定する軸支持構造において、前記軸挿入部の内周面を前記シャフトの挿入入口側から次第に縮径するテーパ状に形成すると共に、前記軸挿入部と前記シャフトとの間に、両端が開放した中空の筒部材を介装し、前記筒部材は、前記軸挿入部の内周面に沿ってシャフトの挿入入口側から次第に縮径するテーパ状に形成した外周面と、前記シャフトを挿入可能であって前記シャフトの外径とほぼ同じ最小内径と、を有し、前記シャフトを前記筒部材に挿入することで該筒部材を外方に歪ませて前記軸挿入部の内周面に密着させ、前記シャフトと前記軸挿入部との間の隙間を前記筒部材によって埋めることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
よって、本発明の軸支持構造にあっては、筒部材の挿入によりシャフトが外方に歪んで軸挿入部の内周面に密着し、シャフトと軸挿入部との間の隙間を筒部材によって埋めるので、シャフトと軸挿入部とを筒部材を介して圧接状態にすることができる。また、筒部材は軸挿入部に容易に挿入することができ、シャフトは筒部材に容易に挿入することができる。そのため、軸挿入部に挿入された筒部材にシャフトを挿入することは困難ではなく、この結果、軸挿入部にシャフトを確実に挿入することができると共に、シャフトと軸挿入部の間のがたつき発生を低コストで簡易的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の軸支持構造を適用して連結したトラクターとトレーラとを示す概略側面図である。
【図2】図1に示すA部の拡大平面図である。
【図3】実施例1の軸支持構造を示す分解斜視図である。
【図4】図3に示すB部の拡大分解斜視図である。
【図5】実施例1の軸支持構造を示す要部断面図である。
【図6】(a)は実施例1の軸指示構造の他の例を示す全体概要図であり、(b)は図6(a)の要部を拡大した分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の軸支持構造を実現するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の軸支持構造を適用して連結したトラクターとトレーラとを示す概略側面図である。図2は図1に示すA部の拡大平面図である。図3は実施例1の軸支持構造を示す分解斜視図である。図4は図3に示すB部の拡大分解斜視図である。図5は、実施例1の軸支持構造を示す要部断面図である。
【0012】
図中1はトラクターであり、2はトレーラである。このトレーラ2は、台車フレーム3の前部にロータ4を介して鉛直軸周りに回転可能にしたドーリ5を設けており、このドーリ5にはトレーラ前輪6の車軸7が懸架され、台車フレーム3にはトレーラ後輪8の車軸9が懸架されている。そして、ドーリ5の前端クロスメンバ13の中央部には、後述する連結手段Rを介して牽引棒10が固定保持及び回転自在に接続されている。牽引棒10は、先端がトラクター1の後部中央に設けられたピンドルフック等の連結具14に取り付けられており、トラクター1に対して回転自在且つ係脱可能に連結設置されている。
【0013】
連結手段Rは、牽引棒10に取り付けられた回転体11と、前端クロスメンバ13の前面中央部に溶接等で固着設置したブラケット21と、回転体11とブラケット21とを同時に貫通するシャフト30とを備えている。
【0014】
回転体11は、ほぼ矩形状の本体部11aと、本体部11aを車両左右方向に沿って貫通する取付用貫通孔11bと、本体部11aを上下方向に貫通すると共に、取付用貫通孔11bと干渉しない位置に形成されたシャフト貫通孔11cと、本体部11aのトレーラ2に面した後面から左右及び後方に突出する膨出部11dと、を有している。なお、取付用貫通孔11bの方がシャフト貫通孔11cよりもトラクター1側に形成されている。また、膨出部11dの車幅方向中央部には、上下方向に延びる溝部11eが形成されている。
【0015】
そして、牽引棒10の後端部10aから延在する一対の腕板10b,10b間に回転体11を配置し、各腕板10bのそれぞれに形成されたピン孔10cと、取付用貫通孔11bとを同軸に配置すると共に、固定ピン(ボルト)12をピン孔10c及び取付用貫通孔11bに挿入して固定する。これにより、牽引棒10に回転体11が取り付けられる。なお12aは、固定ピン12の抜け止めをするためのキャップ(ナット)である。
ここで、固定ピン12と腕板10bのピン孔10cとの間には、それぞれ筒部材50,50が介装されている。なお、筒部材50,50の詳細については、後述する第1,第2筒部材40,41と同等であるので、ここでは説明を省略する。
【0016】
ブラケット21は、前端クロスメンバ13に固定される平板状の当接板部21aと、この当接板部21aの上端部から突出した上側取付板部21bと、当接板部21aの下端部から突出した下側取付板部21cと、を有している。ここで、上側取付板部21bには上側シャフト貫通孔(軸挿入部)22aが形成され、下側取付板部21cには下側シャフト貫通孔(軸挿入部)22bが形成されている。そして、当接板部21aには、後述するストッパー24が挿入する開口部21dが形成されている。開口部21dには、前端クロスメンバ13に形成された貫通孔13aが重合連通される。また、上側シャフト貫通孔22aと下側シャフト貫通孔22bとは、同軸上に位置している。
【0017】
そして、回転体11がブラケット21の上側取付板部21bと下側取付板部21cとの間に位置し、回転体11のシャフト貫通孔11cと、上側シャフト貫通孔22a及び下側シャフト貫通孔22bとが同軸に配置された状態で、シャフト(ボルト)30が上側シャフト貫通孔22a、シャフト貫通孔11c、下側シャフト貫通孔22bを順に貫通した状態で固定される。これにより、回転体11とブラケット21とが固定される。なお、30aはシャフト30の頂部であり、31はシャフト30を抜け止めするために取り付けられるナットである。頂部30a及びナット31の外径は、上側シャフト貫通孔22a及び下側シャフト貫通孔22bよりも大きい。
【0018】
そして、回転体11のシャフト貫通孔11cの内径R1は、シャフト30の外径R2よりも大きくなっており、回転体11はシャフト30の軸周りに回転可能になっている。
【0019】
一方、ブラケット21の上側シャフト貫通孔22aは、内周面がシャフト30の貫通入口(挿入入口)22aA側から貫通出口22aB側に向けて次第に縮径するテーパ状に形成されている。また、下側シャフト貫通孔22bは、内周面がシャフト30の貫通出口22bB側から貫通入口(挿入入口)22bA側に向けて次第に縮径するテーパ状に形成されている。
【0020】
さらに、シャフト30と上側シャフト貫通孔22aとの間、及び、シャフト30と下側シャフト貫通孔22bとの間には、それぞれ第1,第2筒部材(筒部材)40,41が介装されている。
【0021】
第1,第2筒部材40,41は、それぞれ両端が開放した円筒形状の本体部40a,41aと、この本体部40a,41aの一端から外方に延在されたフランジ部40b,41bと、を有している。さらに、この第1,第2筒部材40,41には、それぞれ本体部40a,41aからフランジ部40b,41bに至るまで、軸方向に延びるスリット(切込部)40c,41cが形成されている。フランジ部40bは上側シャフト貫通孔22aの貫通入口22aAの端部に引っかかる程度の大きさであり、フランジ部41bは下側シャフト貫通孔22bの貫通入口22bAの端部に引っかかる程度の大きさである。
【0022】
そして、第1筒部材40の本体部40aは、外周面が上側シャフト貫通孔22aの内周面のテーパ形状に沿う傾斜角度になると共に、シャフト30の挿入入口側(フランジ部40bが形成されている側)から次第に縮径するテーパ状に形成されている。そして、シャフト30を挿入可能であって、このシャフト30の外径R2とほぼ同じ内径R5を有している。なお、本体部40aの内周面はテーパ状になっていないため、この本体部40aはフランジ部40b側の肉厚が厚くなっている。また、本体部40aの軸方向長さは、上側シャフト貫通孔22aの軸方向長さ、つまり上側取付板部21bの厚みよりも短くなっている。
【0023】
第2筒部材41の本体部41aは、外周面が下側シャフト貫通孔22bの内周面のテーパ形状に沿う傾斜角度になると共に、フランジ部41bが形成されている側から次第に縮径するテーパ状に形成されている。そして、シャフト30を挿入可能であって、このシャフト30の外径R2とほぼ同じ内径R8を有している。なお、本体部41aの内周面はテーパ状になっていないため、この本体部41aはフランジ部41b側の肉厚が厚くなっている。また、本体部41aの軸方向長さは、下側シャフト貫通孔22bの軸方向長さ、つまり下側取付板部21cの厚みよりも長くなっている。
【0024】
さらに、この第1,第2筒部材40,41は、例えばSS45C等のいわゆる軟鉄によってそれぞれ形成されており、ブラケット21及びシャフト30よりも柔らかい材質によって形成されている。また、第1,第2筒部材40,41の各本体部40a,41aは、厚みが薄い方が好ましい。
【0025】
そして、ドーリ5の前端部にはアキュムレータ23が設けられ、このアキュムレータ23の作動軸23aには先端が楔形に形成されたストッパー24が取り付けられている。ストッパー24は、アキュムレータ23により車両前後方向に進退可能となっており、突出すると貫通孔13a及び開口部21dを貫通し、ブラケット21に連結された回転体11の溝部11eに嵌入して回転体11の回動が不可能な状態に固定保持され(図2に示す状態)、引き込まれると溝部11eからストッパー24が外れて回転体11は回動可能になる。このとき、ストッパー24は、ストッパー案内部材24a,24bに上下方向から挟まれて案内される。ストッパー案内部材24a,24bは、ストッパー24を上下から挟み込んだ状態で貫通孔13a内に挿入されている。
【0026】
次に、作用を説明する。
実施例1において、トラクター1とトレーラ2とを連結するには、まず、トラクター1の後部に設けられた牽引棒10に回転体11を取り付ける。このとき、牽引棒10の後端部10aから延在する一対の腕板10b,10b間に回転体11を配置し、各腕板10bのそれぞれに形成されたピン孔10cと、取付用貫通孔11bとを同軸に配置すると共に、固定ピン(ボルト)12をピン孔10c及び取付用貫通孔11bに挿入して固定する。これにより、牽引棒10に回転体11が取り付けられる。
【0027】
次に、トレーラ2の前端部に位置するドーリ5の前端クロスメンバ13に、ブラケット21を固定し、このブラケット21と回転体11をシャフト30によって一体に固定する。
【0028】
このとき、まず、ブラケット21の上側シャフト貫通孔22aに第1筒部材40を挿入する。ここで、第1筒部材40のフランジ部40bが、上側シャフト貫通孔22aの貫通入口22aAに引っかかる。これにより、第1筒部材40の本体部40aを上側シャフト貫通孔22aに挿入された状態で保持することができる。
【0029】
次に、回転体11をブラケット21の上側取付板部21bと下側取付板部21cとの間に位置させる。そして、回転体11のシャフト貫通孔11cと、上側シャフト貫通孔22a及び下側シャフト貫通孔22bとを同軸に配置する。そして、シャフト30を上側シャフト貫通孔22a、シャフト貫通孔11c、下側シャフト貫通孔22bの順に貫通させる。
【0030】
続いて、この状態で下側取付板部21cの下方、すなわち貫通出口22bB側から下側シャフト貫通孔22bに第2筒部41を挿入する。このとき、既に下側シャフト貫通孔22bにはシャフト30が挿入されているが、第2筒部41の外周面及び下側シャフト貫通孔22bの内周面がテーパ状になっているため、シャフト30と下側シャフト貫通孔22bとの間に第2筒部41を挿入可能である。
【0031】
その後、下側シャフト貫通孔22bから突出したシャフト30の先端にナット31を螺合して抜け止めし、固定する。これにより、回転体11とブラケット21とが固定される。
【0032】
ここで、予め上側シャフト貫通孔22a内に第1筒部材40を挿入しているので、シャフト30は、この第1筒部材40を介して上側シャフト貫通孔22aを貫通することとなる。このとき、シャフト30によって第1筒部材40の本体部40aが外方に押圧され、第1筒部材40は上側シャフト貫通孔22aの内周面に圧接する。このため、第1筒部材40の本体部40aは、スリット40cの幅を狭くしつつ薄くなるように歪み、シャフト30と上側シャフト貫通孔22aとの間の隙間を埋める。そして、シャフト30と上側シャフト貫通孔22aとの間の寸法公差がゼロになり、シャフト30と上側シャフト貫通孔22aとが第1筒部材40を介して密着することができる。この結果、シャフト30と上側シャフト貫通孔22aの間のがたつき発生を低コストで簡易的に防止することができる。また、シャフト30と上側シャフト貫通孔22a間の隙間を第1筒部材40によって埋めるため、シャフト30に対する上側シャフト貫通孔22aの寸法を精度よく仕上げなくても、シャフト30と上側シャフト貫通孔22aの間のがたつき発生を防止できる。
【0033】
また、上側シャフト貫通孔22aの内周面が貫通入口22aA側から貫通出口22aB側に向けて次第に縮径するテーパ状に形成されると共に、第1筒部材40の本体部40aの外周面がシャフト30の挿入入口側から次第に縮径するテーパ状に形成されているため、第1筒部材40を上側シャフト貫通孔22aに容易に挿入することができる。一方、第1筒部材40の最小内径R5は、シャフト30を挿入可能であってこのシャフト30の外径R2とほぼ同じ大きさであるため、シャフト30を第1筒部材40に挿入することができる。この結果、上側シャフト貫通孔22aにシャフト30を確実に挿入することができる。
【0034】
なお、実施例1では、第1筒部材40に軸方向に延びるスリット40cが形成されている。このため、シャフト30を挿入することによって第1筒部材40が外方に押圧されて上側シャフト貫通孔22aに圧接する際に、スリット幅を変形させることで第1筒部材40を周方向に容易に歪ませることができる。そして、シャフト30の上側シャフト貫通孔22aへの挿入をさらに容易化することができる。
【0035】
一方、第2筒部材41は、予め下側シャフト貫通孔22b内にシャフト30を挿入した後に挿入するが、第2筒部41の外周面及び下側シャフト貫通孔22bの内周面がテーパ状になっているため挿入することができる。
【0036】
そして、第2筒部材41の本体部41aは、シャフト30によって外方に押圧されて下側シャフト貫通孔22bの内周面に圧接する。すなわち、第2筒部材41の本体部41aは、スリット41cの幅を狭くしつつ薄くなってシャフト30と下側シャフト貫通孔22bとの間の隙間を埋める。これにより、シャフト30と下側シャフト貫通孔22bとの間の寸法公差がゼロになり、シャフト30と下側シャフト貫通孔22bとが第2筒部材41を介して密着することができる。この結果、シャフト30と下側シャフト貫通孔22bの間のがたつき発生を低コストで簡易的に防止することができる。また、シャフト30と下側シャフト貫通孔22b間の隙間を第2筒部材41によって埋めるため、シャフト30に対する下側シャフト貫通孔22bの寸法を精度よく仕上げなくても、シャフト30と下側シャフト貫通孔22bの間のがたつき発生を防止できる。
【0037】
なお、実施例1では、第2筒部材41に軸方向に延びるスリット41cが形成されている。このため、シャフト30を挿入することによって第2筒部材41が外方に押圧されて下側シャフト貫通孔22bに圧接する際に、スリット幅を変形させることで第2筒部材41の厚みが薄くなる等容易に歪ませることができる。そして、シャフト30の下側シャフト貫通孔22bへの挿入をさらに容易化することができる。
【0038】
次に、効果を説明する。
実施例1の軸支持構造にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0039】
(1) シャフト30と、該シャフト30を挿入可能な軸挿入部(上側シャフト貫通孔)22aとを有し、前記シャフト30を前記軸挿入部22aに挿入して固定する軸支持構造において、前記軸挿入部22aの内周面を前記シャフト30の挿入入口(貫通入口)22aA側から次第に縮径するテーパ状に形成すると共に、前記軸挿入部22aと前記シャフト30との間に、両端が開放した中空の筒部材(第1筒部材)40を介装し、前記筒部材40は、前記軸挿入部22aの内周面にそって前記シャフト30の挿入入口側から次第に縮径するテーパ状に形成した外周面と、前記シャフト30を挿入可能であって前記シャフト30の外径R2とほぼ同じ最小内径R5と、を有し、前記シャフト30を前記筒部材40に挿入することで該筒部材40を外方に歪ませて前記軸挿入部22aの内周面に圧接させ、前記シャフト30と前記軸挿入部22aとの間の隙間を前記筒部材40によって埋める構成とした。このため、シャフト30を挿入固定する軸挿入部22aにシャフト30を確実に挿入することができると共に、シャフト30と軸挿入部22aの間のがたつき発生を低コストで簡易的に防止することができる。
【0040】
(2) 前記筒部材40は、軸方向に延びるスリット40cを有している構成とした。このため、シャフト30を挿入した際に筒部材40を容易に歪ませることができ、軸挿入部22aにシャフト30を容易に挿入することができる。
【0041】
(3) 前記筒部材40は、前記軸挿入部22aの挿入入口22aA側の開口端部に引っかかるフランジ部40bを有している構成とした。このため、筒部材40を軸挿入部22a内に挿入した際に、フランジ部40bによって保持することができ、シャフト30の挿入に伴って筒部材40が移動することを防止して、シャフト30と軸挿入部22aとの間に筒部材40を確実に介装することができる。
【0042】
以上、本発明の軸支持構造を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0043】
実施例1では、第1筒部材40の本体部40aの軸方向長さが、上側シャフト貫通孔22aの軸方向長さよりも短くなっているが、これに限らず、本体部40aが上側シャフト貫通孔22aから突出してもよい。この場合、シャフト30とこの第1筒部材40との接触面積を広く確保することができ、シャフト30をより安定的に支持することができて、がたつきの発生をさらに防止することができる。
【0044】
また、実施例1では、シャフト30を上側シャフト貫通孔22aと下側シャフト貫通孔22bとにより支持する構成としたが、図6に示すように、軸挿入部としてトラニオンサスペンションTを支持するためにトラックフレーム(図示せず)に固定されるブラケットBに形成した孔部100とし、シャフトとしてトラニオンサスペンションTを回動支持する支持棒101としてもよい。
【0045】
この場合、孔部100の内周面を支持棒101の挿入入口102側から次第に縮径するテーパ状に形成する。そして、孔部100と支持棒101との間に、両端が開放した中空の筒部材103を介装する。ここで、筒部材103は、孔部100の内周面に沿って支持棒101の挿入入口側から次第に縮径するテーパ状の外周面と、支持棒101を挿入可能であって支持棒101の外径R12とほぼ同じ内径R11と、を有している。
【0046】
さらに、支持棒101は段付き棒であり、筒部材10には支持棒101の小径部分101aが挿入されると共に、段部101bが当接することとなる。
【0047】
そして、予め孔部100内に筒部材103挿入し、その後筒部材103を介して支持棒101を孔部100に挿入することで、間に挟まれた筒部材103を歪ませて孔部100の内周面に密着させる。これにより、孔部100と支持棒101との間の隙間を筒部材103によって埋めることができ、支持棒101を挿入固定することができる。
【0048】
この結果、シャフトである支持棒101が片持ち状態で支持されているものであっても、この支持棒101を挿入固定する軸挿入部である孔部100に支持棒101を確実に挿入することができると共に、孔部100と支持棒101との間のがたつき発生を低コストで簡易的に防止することができる。
【0049】
なお、ここでは、さらに支持棒101の先端部近傍に凹み部104を形成し、ブラケットBの外側からこの凹み部104に噛み合う楔部材105を挿入して支持棒101の回り止めを行う。
【0050】
一方、従来のトラニオンサスペンション支持構造では、この楔部材105を支持棒101の凹み部104に噛み合わせることで支持棒101を孔部100の内周面に押し付けて固定している。しかしながら、この場合、トラニオンサスペンションTの振動や重量等により凹み部104に作用する負荷が大きくなるという問題があった。
【0051】
これに対し、本願発明の軸支持構造では、支持棒101を挿入して筒部材103を外方に歪ませることで支持棒101を固定するので、支持棒101に作用する負荷を支持棒101の全周で支えることができ、凹み部104に負荷が集中的に作用することを防止できる。
【0052】
また、実施例1の軸支持構造では、第1筒部材40及び第2筒部材41のそれぞれに、軸方向に延びるスリット40c,41cを設けたが、スリットを設けなくてもよい。この場合、シャフトの挿入によって筒部材は軸方向に歪んで変形し、シャフトと軸挿入部との間の隙間を埋めることとなる。
【0053】
さらに、実施例1の軸支持構造では、トラクター1とトレーラ2との接続用のブラケット21に適用した例を説明したが、例えば、上記実施例1における回転体11を牽引棒10に固定するための固定ピン12を、腕板10bのピン孔10cに対して固定する際に適用してもよいし、油圧ショベルのアタッチメント固定シャフト等に適用してもよい。要するに、本発明の軸支持構造は、シャフトが挿入される軸挿入部に対して、シャフトを固定支持することが必要な部分に適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
22a 上側シャフト貫通孔(軸挿入部)
22aA 貫通入口(挿入入口)
22aB 貫通出口
22b 下側シャフト貫通孔(軸挿入部)
22bA 貫通入口(挿入入口)
22bB 貫通出口
30 シャフト
40 第1筒部材(筒部材)
40a 本体部
40b フランジ部
40c スリット
41 第2筒部材(筒部材)
41a 本体部
41b フランジ部
41c スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、該シャフトを挿入可能な軸挿入部とを有し、前記シャフトを前記軸挿入部に挿入して固定する軸支持構造において、
前記軸挿入部の内周面を前記シャフトの挿入入口側から次第に縮径するテーパ状に形成すると共に、前記軸挿入部と前記シャフトとの間に、両端が開放した中空の筒部材を介装し、
前記筒部材は、前記軸挿入部の内周面に沿ってシャフトの挿入入口側から次第に縮径するテーパ状に形成した外周面と、前記シャフトを挿入可能であって前記シャフトの外径とほぼ同じ最小内径と、を有し、
前記シャフトを前記筒部材に挿入することで該筒部材に外方に歪ませて前記軸挿入部の内周面に密着させ、前記シャフトと前記軸挿入部との間の隙間を前記筒部材によって埋めることを特徴とする軸支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載された軸支持構造において、
前記筒部材は、軸方向に延びるスリットを有していることを特徴とする軸支持構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された軸支持構造において、
前記筒部材は、前記軸挿入部の挿入入口側の開口端部に引っかかるフランジ部を有していることを特徴とする部材連結構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された軸支持構造において、
前記筒部材は、前記軸挿入部よりも軸方向長さが長いことを特徴とする軸支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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