説明

載置台構造及び熱処理装置

【課題】均熱部材を載置台内に一体的に埋め込むようにして被処理体の面内温度の均一性を高めると共に、被処理体に対する加熱効率を高めることが可能な載置台構造を提供する。
【解決手段】処理容器4内にて被処理体Wに対して所定の熱処理を施すために前記被処理体を加熱する加熱手段38が埋め込まれると共に、前記被処理体を載置する載置台32と、前記載置台を前記処理容器の底部より起立させて支持する支柱30とを有する載置台構造において、前記載置台内に、前記埋め込まれている前記加熱手段の上方に位置させて平面方向に広がった均熱部材40を埋め込むように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体の熱処理装置及び載置台構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路を製造するには、半導体ウエハ等の被処理体に、成膜処理、エッチング処理、熱処理、改質処理、結晶化処理等の各種の枚葉処理を繰り返し行なって、所望する集積回路を形成するようになっている。上記したような各種の処理を行なう場合には、その処理の種類に対応して必要な処理ガス、例えば成膜処理の場合には成膜ガスを、改質処理の場合にはオゾンガス等を、結晶化処理の場合にはN ガス等の不活性ガスやO ガス等をそれぞれ処理容器内へ導入する。
例えば半導体ウエハに対して1枚毎に熱処理を施す枚葉式の熱処理装置を例にとれば、真空引き可能になされた処理容器内に、例えば抵抗加熱ヒータを内蔵した載置台を設置し、この上面に半導体ウエハを載置した状態で所定の処理ガスを流し、所定のプロセス条件下にてウエハに各種の熱処理を施すようになっている(特許文献1〜4)。
【0003】
ところで、処理容器内でウエハを載置する載置台構造に関しては、一般的には耐熱性耐腐食性を持たせると共に、金属コンタミネーション等の金属汚染を防止する必要から例えばAlN等のセラミック材中に発熱体として抵抗加熱ヒータを埋め込んで高温で一体焼成して載置台を形成し、また別工程で同じくセラミック材等を焼成して支柱を形成し、この一体焼成した載置台側と上記支柱とを、例えば熱拡散接合で溶着して一体化して載置台構造を製造している。そして、このように一体成形した載置台構造を処理容器内の底部に起立させて設けるようにしている。
また石英ガラスで載置台構造を形成する場合には、2枚の石英ガラスプレート間に上記したような抵抗加熱ヒータを挟み込んで高温で圧接融着することによりヒータが埋め込まれた載置台を形成し、この載置台の裏面に同じく石英ガラスにより形成した支柱に高温で圧接融着することにより載置台構造を製造していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−278322号公報
【特許文献2】特開平07−078766号公報
【特許文献3】特開平06−260430号公報
【特許文献4】特開2004−356624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したような載置台構造において、特に石英ガラスで製造された載置台にあっては、石英ガラス自体が比較的透明であるために、抵抗加熱ヒータの配設模様がウエハ裏面に直接的に熱線として反映されてウエハ温度の面内均一性を低下させる恐れがある。そのため、一般的には、このウエハ温度の面内均一性の低下を防止する目的で、載置台の上面に、例えばSiCやAlN等のセラミック板よりなる不透明な薄板状の均熱板を載置し、この均熱板の上面にウエハを直接的に載置して加熱するようにしている。
【0006】
しかしながら、上述したように、載置台上に均熱板を設置した場合には、ウエハの処理時に載置台の上面と均熱板の下面との間に形成された僅かな隙間に処理ガスが侵入することが避けられない。従って、特に、成膜処理の場合には、この僅かな隙間に成膜ガスが入り込んで、ここにパーティクルの原因となる不要な付着膜が堆積したり、この不要な付着膜に起因して輻射率が変化してウエハ温度の面内均一性を更に低下させる原因となっていた。
【0007】
また、載置台上に均熱板を介してウエハを載置することから、均熱板を介した分だけ固体間の接触熱抵抗により熱伝導性が劣ることになるので、ウエハの加熱効率を劣化させる原因にもなっていた。また上述した載置台構造の場合には、プラズマ処理を行うために高周波電力を供給しようと思っても、載置台を下部電極として機能させることができず、高周波電力を使えない、といった問題があった。
【0008】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、均熱部材を載置台内に一体的に埋め込むようにして被処理体の面内温度の均一性を高めると共に、被処理体に対する加熱効率を高めることが可能な載置台構造及び熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、処理容器内にて被処理体に対して所定の熱処理を施すために前記被処理体を加熱する加熱手段が埋め込まれると共に、前記被処理体を載置する載置台と、前記載置台を前記処理容器の底部より起立させて支持する支柱とを有する載置台構造において、前記載置台内に、前記埋め込まれている前記加熱手段の上方に位置させて平面方向に広がった均熱部材を埋め込むように構成したことを特徴とする載置台構造である。
このように、載置台内に、埋め込まれた加熱手段の上方に位置させて平面方向に広がった均熱部材を埋め込むように構成したので、被処理体の面内温度の均一性を高めると共に、被処理体に対する加熱効率を高めることができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、処理容器内にて被処理体に対して所定の熱処理を施すために前記被処理体を載置する載置台と、前記載置台を前記処理容器の底部より起立させて支持する支柱とを有する載置台構造において、前記載置台内に高周波に対して導電性を有する材料よりなる均熱部材を平面方向へ広げて埋め込むように設け、前記均熱部材に導電ラインを接続し、該導電ラインを前記支柱に挿通させるようにして設けたことを特徴とする載置台構造である。
【0011】
このように、載置台内に高周波に対して導電性を有する材料よりなる均熱部材を平面方向へ広げて埋め込むように設け、均熱部材に導電ラインを接続し、該導電ラインを支柱に挿通させるようにして設けるようにしたので、被処理体の面内温度の均一性を高めることができる。また、均熱部材に導電ラインを接続したので、載置台を下部電極として機能させることができ、この結果、下部電極に高周波電力を印加してプラズマ処理を行うことが可能となる。
また、この導電ラインを接地するようにすれば、この均熱部材を、高周波(プラズマ)に対して例えば加熱手段(発熱体)から放電することを防止するためのシールドとして機能させることができる。
【0012】
この場合、請求項3に規定するように、前記載置台内には、前記均熱部材の下方に位置させて平面方向に広がった加熱手段を埋め込むようにして設けるようにしてもよい。
また例えば請求項4に規定するように、前記載置台及び支柱は、絶縁性の耐熱耐腐食性材料よりなる。
また例えば請求項5に規定するように、前記耐熱耐腐食性材料は、石英ガラス、或いはセラミック材である。
【0013】
また例えば請求項6に規定するように、前記均熱部材は、メッシュ状に配列された複数の線材よりなり、前記線材によって形成された網穴では前記載置台を形成する材料同士が突出して接合されている。
これによれば、載置台を形成する材料同士の接合面積を広くすることができるので、載置台自体の強度を高く維持することができる。
また例えば請求項7に規定するように、前記均熱部材は、複数のパンチ穴が形成されたパンチングプレートよりなり、前記パンチ穴では前記載置台を形成する材料同士が突出して接合されている。
これによれば、載置台を形成する材料同士の接合面積を広くすることができるので、載置台自体の強度を高く維持することができる。
【0014】
また例えば請求項8に規定するように、前記均熱部材は、カーボン又は半導体材料よりなる。
また例えば請求項9に規定するように、前記支柱は、筒体状になされており、前記支柱内は高周波による放電が生じないような雰囲気になされている。
また例えば請求項10に規定するように、前記載置台には、該載置台を冷却するための冷媒を流すための冷媒通路が全面に亘って形成されていると共に、前記支柱には前記冷媒通路に前記冷媒を給排させるための冷媒ラインが設けられる。
これによれば、必要時に載置台の冷媒通路に冷媒を流すことにより、載置台温度を迅速に所望する温度まで降下させることができるので、その分、スループットを向上させることができる。
【0015】
また例えば請求項11に規定するように、前記冷媒は、気体、或いは液体である。
また例えば請求項12に規定するように、前記冷媒は、前記載置台の温度に依存して気体と液体とが切り替えられて選択的に用いられる。
請求項13に係る発明によれば、真空引き可能になされた処理容器と、上記いずれかに記載された載置台構造と、前記処理容器内へ所定の処理ガスを供給するガス供給手段と、を備えたことを特徴とする熱処理装置である。
この場合、例えば請求項14に規定するように、前記処理容器内には、プラズマを発生させるための高周波電源に接続された電極が設けられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る載置台構造及び熱処理装置によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
請求項1に係る発明によれば、載置台内に、埋め込まれた加熱手段の上方に位置させて平面方向に広がった均熱部材を埋め込むように構成したので、被処理体の面内温度の均一性を高めると共に、被処理体に対する加熱効率を高めることができる。
請求項2に係る発明によれば、載置台内に高周波に対して導電性を有する材料よりなる均熱部材を平面方向へ広げて埋め込むように設け、均熱部材に導電ラインを接続し、該導電ラインを支柱に挿通させるようにして設けるようにしたので、被処理体の面内温度の均一性を高めることができる。また、均熱部材に導電ラインを接続したので、載置台を下部電極として機能させることができ、この結果、下部電極に高周波電力を印加してプラズマ処理を行うことが可能となる。
【0017】
特に、請求項6及び7に係る発明によれば、載置台を形成する材料同士の接合面積を広くすることができるので、載置台自体の強度を高く維持することができる。
特に請求項10に係る発明によれば、必要時に載置台の冷媒通路に冷媒を流すことにより、載置台温度を迅速に所望する温度まで降下させることができるので、その分、スループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る熱処理装置の一例を示す断面構成図である。
【図2】本発明に係る載置台構造を示す断面図である。
【図3】載置台構造の概略的な組み立て状態を示す概略組立図である。
【図4】均熱部材の埋め込みの種類を説明するための説明図である。
【図5】本発明に係る載置台構造の第1変形実施例を示す断面図である。
【図6】本発明に係る載置台構造の第2変形実施例を示す断面図である。
【図7】図5中のA−A線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る載置台構造及び熱処理装置の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る熱処理装置の一例を示す断面構成図、図2は本発明に係る載置台構造を示す断面図、図3は載置台構造の概略的な組み立て状態を示す概略組立図、図4は均熱部材の埋め込みの種類を説明するための説明図である。本実施例では高周波電力によるプラズマも用いることができる熱処理装置について説明する。
図示するようにこの熱処理装置2は、例えば断面の内部が略円形状になされたアルミニウム製の処理容器4を有している。この処理容器4内の天井部には必要な処理ガス、例えば成膜ガスを導入するためにガス供給手段であるシャワーヘッド部6が絶縁層7を介して設けられており、この下面のガス噴射面8に設けた多数のガス噴射孔10A、10Bから処理空間Sに向けて処理ガスを吹き出すようにして噴射するようになっている。このシャワーヘッド部6はプラズマ処理時に上部電極を兼ねるものである。
【0020】
このシャワーヘッド部6内には、中空状の2つに区画されたガス拡散室12A、12Bが形成されており、ここに導入された処理ガスを平面方向へ拡散した後、各ガス拡散室12A、12Bにそれぞれ連通された各ガス噴射孔10A、10Bより吹き出すようになっている。すなわち、ガス噴射孔10A、10Bはマトリクス状に配置されている。このシャワーヘッド部6の全体は、例えばニッケルやハステロイ(登録商標)等のニッケル合金、アルミニウム、或いはアルミニウム合金により形成されている。尚、シャワーヘッド部6としてガス拡散室が1つの場合でもよい。そして、このシャワーヘッド部6と処理容器4の上端開口部の絶縁層7との接合部には、例えばOリング等よりなるシール部材14が介在されており、処理容器4内の気密性を維持するようになっている。そして、このシャワーヘッド部6には、マッチング回路15を介して例えば13.56MHzのプラズマ用の高周波電源17が接続されており、必要時にプラズマを立てるようになっている。この周波数は上記13.56MHzに限定されない。
【0021】
また、処理容器4の側壁には、この処理容器4内に対して被処理体としての半導体ウエハWを搬入搬出するための搬出入口16が設けられると共に、この搬出入口16には気密に開閉可能になされたゲートバルブ18が設けられている。
そして、この処理容器4の底部20に排気落とし込め空間22が形成されている。具体的には、この容器底部20の中央部には大きな開口24が形成されており、この開口24に、その下方へ延びる有底円筒体状の円筒区画壁26を連結してその内部に上記排気落とし込め空間22を形成している。そして、この排気落とし込め空間22を区画する円筒区画壁26の底部28には、これより起立させて本発明の特徴とする載置台構造29が設けられる。具体的には、この載置台構造29は、円筒状の支柱30と、この上端部に固定される載置台32とにより主に構成される。この載置台構造29の詳細については後述する。
【0022】
そして、上記排気落とし込め空間22の入口開口24は、載置台32の直径よりも小さく設定されており、上記載置台32の周縁部の外側を流下する処理ガスが載置台32の下方に回り込んで入口開口24へ流入するようになっている。そして、上記円筒区画壁26の下部側壁には、この排気落とし込め空間22に臨ませて排気口34が形成されており、この排気口34には、図示しない真空ポンプが介設された排気管36が接続されて、処理容器4内及び排気落とし込め空間22の雰囲気を真空引きして排気できるようになっている。
【0023】
そして、この排気管36の途中には、開度コントロールが可能になされた図示しない圧力調整弁が介設されており、この弁開度を自動的に調整することにより、上記処理容器4内の圧力を一定値に維持したり、或いは所望する圧力へ迅速に変化させ得るようになっている。
【0024】
また、上記載置台32は、例えば石英ガラスなどの絶縁性の耐熱耐腐食性材料よりなり、この載置台32には、図2にも示すように、加熱手段として例えば所定のパターン形状に配設された例えばカーボンワイヤヒータよりなる抵抗加熱ヒータ38が埋め込まれると共に、この抵抗加熱ヒータ38の上方に位置させて平面方向に広がった均熱部材40が、一体的に埋め込まれている。そして、この載置台32上に被処理体としての半導体ウエハWを直接載置するようになっている。この載置台32を支持する支柱30も、例えば石英ガラスなどの絶縁性の耐熱耐腐食性材料により形成されている。
【0025】
上記載置台32には、この上下方向に貫通して複数、例えば3本のピン挿通孔44が形成されており(図1においては2つのみ示し、図2以降では記載省略)、上記各ピン挿通孔44に上下移動可能に遊嵌状態で挿通させた押し上げピン46を配置している。この押し上げピン46の下端には、円形リング形状の例えばアルミナのようなセラミックス製の押し上げリング48が配置されており、この押し上げリング48に、上記各押し上げピン46の下端が乗っている。この押し上げリング48から延びるアーム部50は、容器底部20を貫通して設けられる出没ロッド52に連結されており、この出没ロッド52はアクチュエータ54により昇降可能になされている。
【0026】
これにより、上記各押し上げピン46をウエハWの受け渡し時に各ピン挿通孔44の上端から上方へ出没させるようになっている。また、アクチュエータ54の出没ロッド52の容器底部の貫通部には、伸縮可能なベローズ56が介設されており、上記出没ロッド52が処理容器4内の気密性を維持しつつ昇降できるようになっている。
【0027】
そして、載置台構造29の支柱30の底部は閉じられると共に、ここには拡径されたフランジ部58が設けられ、そしてこのフランジ部58が、底部28の中央部に形成した貫通孔60を覆うようにして、図示しないボルト等により着脱可能に取り付けられている。このフランジ部58と、貫通孔60の周辺部の底部28との間には、Oリング等のシール部材62が介設されており、この部分の気密性を保持するようになっている。
【0028】
次に、上記載置台構造29について図2乃至図5も参照して具体的に説明する。
前述したように、この載置台構造29は、載置台32と支柱30とにより主に構成されている。具体的には、図2及び図3にも示すように、上記載置台32は、前述したように絶縁性の耐熱耐腐食性材料である例えば石英ガラスよりなる下板64と、中板66と、上板68と、最上板70との4枚の円板状のガラス板を積層して形成されている。上記中板66は比較的厚く形成されており、この中板66の上面には、上記抵抗加熱ヒータ38を収容するためのヒータ溝72が全面に亘って形成されている。そして、このヒータ溝72内に上記抵抗加熱ヒータ38が収容されている。この抵抗加熱ヒータ38は、図示されないが、例えば同心円状に複数のゾーンに分割されており、各ゾーン毎に温度制御が可能になされている。
【0029】
また上記上板68と上記最上板70との間には本発明の特徴とする上記均熱部材40が介在させて埋め込むようにして設けられている。これらの4枚のガラス板64、66、68、70は、図3にも示すように上記抵抗加熱ヒータ38と均熱部材40とをそれぞれ対応する位置に介在させた状態で高温下で圧接融着させることにより一体的に接合されて載置台32を形成する。そして、別体で形成していた絶縁性の耐熱耐腐食性材料である例えば石英ガラスよりなる円筒状の支柱30の一端を、上記載置台32の裏面の中央部に溶融接合することによりT字状の載置台構造29を形成する。
【0030】
ここで、上記均熱部材40は、高放射率を有する材料よりなる。ここではこの均熱部材40は、装置として高周波電力を用いることから高周波に対して導電性を有する材料よりなる。このような材料としては、カーボン、シリコン基板、モリブデン、タングステン等を用いることができる。具体的には、図4に模式的に示すように、この均熱部材40としては、カーボンプレート(シート)やシリコン基板に均等に分散させて複数のパンチ穴74を形成したパンチングプレート76(図4(A))を用いることができる。尚、このパンチングプレート76の直径は、上板68の直径よりも少し小さく設定されている。
【0031】
そして、上板68の上面には、複数の接合用突起78が予め山状に形成されており、上記接合用突起78に上記パンチ穴74を嵌め込むようにして上記パンチングプレート76を装着し、この上方より最上板70を圧接融着することになる。
これにより、上板68と最上板70の周辺部同士及び上記接合用突起78と最上板70同士が融着することになり、すなわちパンチ穴74では載置台32を形成する材料同士が突出して接合されることになるので、この部分における融着面積が広くなって接合強度を高めることができる。
【0032】
また上記均熱部材40としては、上記パンチングプレート76に代えて、図4(B)に示すように、例えばカーボンワイヤよりなる線材80をメッシュ状(格子状)に配列し、線材80同士で囲まれた網穴の部分に上記接合用突起78を位置させるようにしてもよい。この場合、ウエハ温度の面内均一性を考慮すると、線材80の太さは、例えば0.5〜5mm程度、より好ましくは0.5〜1mm程度がよく、また線材80のピッチP1は数mm程度がよく、いずれにしても、ウエハ温度の面内均一性を考慮すると、接合用突起78やパンチ穴74は小さな形状で多数個設けるのがよい。
【0033】
そして、上記均熱部材40の中心部には、導電ライン82が接続されており、この導電ライン82は支柱30内を下方に延びている。そして、この導電ライン82の下端部は、絶縁性シール部材84を介して支柱30のフランジ部58を貫通して下方に延びており、これにはバイアス用の高周波電源86が接続されている。これにより、上記均熱部材40は下部電極としても機能することになる。この高周波電源86の周波数には例えば13.56MHzを用いることができる。尚、この高周波電源86を用いないで導電ライン82を接地することにより、アース線として用いるようにしてもよい。このように、この導電ライン82を接地するようにすれば、上記均熱部材40を、高周波(プラズマ)に対して抵抗加熱ヒータ38から放電することを防止するためのシールドとして機能させることができる。
【0034】
そして、上記載置台32の抵抗加熱ヒータ38の両端には、それぞれ給電ライン90が接続され、この給電ライン90は載置台32の裏面中心部から下方向へ延びている。この給電ライン90は、その長さ方向の途中まで耐熱耐腐食性材料よりなるライン封入管92内に密閉状態に封入され、このライン封入管92の上端部は上記載置台32の下板64に一体的に溶着されている。
【0035】
この結果、上記ライン封入管92は、上記筒体状の支柱30内に挿通されて下方向に向けて延びている状態となっている。尚、上記ライン封入管92は実際には複数本設けられるが、図1及び図2中では図面の簡略化のために1本のみ記載してある。そして、この給電ライン90の下端部は、絶縁性シール部材94を介して支柱30のフランジ部58を貫通して下方に延びており、これにはヒータ電源96が接続されており、前述したように、例えばゾーン毎に温度制御ができるようになっている。
【0036】
また、本実施例では、支柱30内に高周波電力の導電ライン82を挿通してあることから、他のラインとの間で放電が発生することを防止するために、この支柱30内の雰囲気は放電が生じないように設定されている。具体的には、支柱30内は高周波電圧による放電が生じないような真空状態に設定されたり、或いは不活性ガス、例えばArガスやN ガスが所定の圧力で支柱30内に封入されている。また、このガス封入に代えて、上記不活性ガスを外部より常時導入するようにして所定の圧力を維持するようにしてもよい。また、上記載置台32の下面の中心部側には、図示されないが、温度測定用の熱電対が埋め込まれ、この測定値が温度制御に用いられている。
【0037】
次に、以上のように構成されたプラズマを用いた熱処理装置の動作について説明する。
まず、未処理の半導体ウエハWは、図示しない搬送アームに保持されて開状態となったゲートバルブ18、搬出入口16を介して処理容器4内へ搬入され、このウエハWは、上昇された押し上げピン46に受け渡された後に、この押し上げピン46を降下させることにより、ウエハWを載置台32の上面に載置してこれを支持する。
【0038】
次に、シャワーヘッド部6へ各種の処理ガスとして例えば成膜ガスを、それぞれ流量制御しつつ供給して、このガスをガス噴射孔10A、10Bより吹き出して噴射し、処理空間Sへ導入する。そして、図示してないが排気管36に設けた真空ポンプの駆動を継続することにより、処理容器4内や排気落とし込め空間22内の雰囲気を真空引きし、そして、圧力調整弁の弁開度を調整して処理空間Sの雰囲気を所定のプロセス圧力に維持する。この時、ウエハWの温度は所定のプロセス温度に維持されている。すなわち、載置台32の抵抗加熱ヒータ38にヒータ電源96より電圧を印加することにより抵抗加熱ヒータ38は加熱し、これにより載置台32の全体が加熱される。
【0039】
この結果、載置台32上に載置したウエハWが昇温加熱される。この時、載置台32に設けた図示しない熱電対ではウエハ温度が測定され、この測定値に基づいて各ゾーン毎に温度制御されることになる。
またこれと同時にプラズマ処理を行うために、高周波電源17を駆動することにより、上部電極であるシャワーヘッド部6と下部電極である載置台32との間に高周波を印加し、処理空間Sにプラズマを立てて所定のプラズマ処理を行う。また、この際に、載置台32の均熱部材40にバイアス用の高周波電源86から高周波を印加することにより、プラズマイオンの引き込みを行うことができる。
【0040】
ここで、従来の熱処理装置にあっては、載置台上に別体として均熱板を設けていたことから、この均熱板と載置台との間の僅かな隙間に成膜ガス等が入り込んでパーティクルの原因等になる不要な付着膜が堆積していた。これに対して、本実施例では、均熱部材40を載置台32内に一体的に埋め込むようにしたので、ウエハWは載置台32上に直接的に載置されることになり、この結果、上述した従来装置で発生した不要な付着膜が堆積することはなく、上記抵抗加熱ヒータ38で発生した熱を、この高放射率を有する均熱部材40により平面方向へ拡散してウエハWを伝えることができる。従って、不要な付着膜を堆積させることなく、ウエハ温度の面内均一性を高く維持することができる。
【0041】
また、熱源としては、抵抗加熱ヒータ38からの熱だけでなく、処理空間Sに発生するプラズマからもウエハWや載置台32が加熱されるが、このプラズマからウエハWに伝えられた熱を上記均熱部材40が平面方向へ拡散するので、この点からもウエハ温度の面内均一性を一層向上させることが可能となる。
また、上述のように、載置台32上にウエハWを直接的に載置するようにしているので、両部材間の熱伝導性が良くなり、従って、ウエハの加熱効率を高めることができる。
更には、上記均熱部材40に導電性を持たせるようにしたので、これを高周波電力供給時の下部電極として機能させることができ、プラズマ処理を行うことができる。
【0042】
上記実施例では線材80としてカーボン繊細を用いた場合を例にとって説明したが、これに代えて、金属線材を用いて金網状の金属メッシュを均熱部材40として用いるようにしてもよく、この場合には、ウエハ温度の面内均一性は少し低下するが、それ以外は上記カーボン繊維と同様な作用効果を発揮することができる。
また、上記実施例では、載置台32の上板68の上面側に接合用突起78を設けるようにしたが、これに限定されず、接合用突起78を最上板70の下面側に設けるようにしてもよいし、或いは最上板70の下面側と上板68の上面側の双方に設けるようにしてもよい。
【0043】
<第1変形実施例>
上記実施例ではプラズマを併用した熱処理装置を例にとって説明したが、これに限定されず、プラズマを用いない純粋な熱処理装置にも本発明を適用することができる。図5はこのような本発明に係る載置台構造の第1変形実施例を示す断面図である。尚、図2に示す構成部分と同一構成部分については同一参照符号を付して、その説明を省略する。ここでは、高周波電力を使用しないことから、図2の示す構造で必要とされた導電ライン82及びバイアス用の高周波電源86を不要にすることができる。そして、この場合にも、均熱部材40としては図2において説明した材料と同じ材料、例えばカーボンや半導体を用いることができる。特に、この実施例においては、高周波電力を用いないことから、均熱部材40としては高周波に対する導電性が不要であり、従って、導電性を考慮することなく熱伝導のより高い材料を均熱部材40として用いることができる。
【0044】
また支柱30内の雰囲気の制御に関しても、高周波の放電防止雰囲気に設定する必要もない。更には、熱処理装置に関しては、図1に示す熱処理装置で用いたプラズマ発生用の高周波電源17及びこれに関連する部品は不要になることは勿論である。
この第1変形実施例の場合にも、高周波に関する点を除いて、図2に示した載置台構造と同様な作用効果を発揮することができる。
特に、上記各載置台構造は、プラズマを用いない熱CVD処理や複数種類の成膜ガスを交互に供給して薄膜を一層ずつ積層する、いわゆるALD成膜処理において有用である。
【0045】
<第2変形実施例>
上記各実施例においては、石英の大きな熱容量のため載置台32の温度を迅速に冷却したい場合には、これに対応するのが困難であるが、載置台32に冷媒通路を設けることにより熱を奪うことができ、これに対応して迅速に冷却することができる。図6はこのような本発明に係る載置台構造の第2変形実施例を示す断面図、図7は図6中のA−A線矢視断面図である。尚、図2及び図5に示す構成部分と同一構成部分については同一参照符号を付して、その説明を省略する。ここでは図5に示す載置台構造に冷媒通路を設けた場合を例にとって説明するが、図2に示す載置台構造に冷媒通路を設けるようにしてもよい。
【0046】
図6及び図7に示すように、この第2変形実施例では、載置台32に、必要に応じて冷媒を流すための冷媒通路100が平面方向の略全域に亘って形成されている。本実施例においては、この冷媒通路100は、載置台32の下板64の上面側に、円周方向へ蛇行状に、或いは花びら状に冷媒溝102を略全面に亘って設けることにより形成している。尚、この冷媒通路100のパターンは特に限定されない。ここでは、上記冷媒通路100は、下板64の半円部分で冷媒通路100Aと冷媒通路100Bとに2つに分割されている。
【0047】
そして、上記各冷媒通路100A、100Bの冷媒入口104A、106A及び冷媒出口104B、106Bは、それぞれ下板64の中心側に形成されている。上記冷媒入口104A、106Aには支柱30内を延びる冷媒ライン108が接続され、この冷媒ライン108の下端は支柱30のフランジ部58を気密に貫通して外部へ延びている。
また上記冷媒出口104B、106Bには支柱30内を延びる冷媒ライン110が接続され、この冷媒ライン110の下端は支柱30のフランジ部58を気密に貫通して外部へ延びている。尚、図6においては2本の冷媒ライン108、110が示されている。
【0048】
これによって、上記冷媒通路100に必要に応じて冷媒を流すことにより、上記載置台32を冷却することができる。この場合、冷媒としては、冷却窒素、冷却ヘリウム等の気体や液体を用いることができ、液体としては、ガルデン(登録商標)やフッ素系熱媒体や冷却水等を用いることができる。
このように、載置台32に冷媒通路100を形成して必要時にこの冷媒通路100に冷媒を流すことにより、載置台32やウエハWの温度を迅速に所望する温度まで冷却することができる。従って、例えば熱処理装置をメンテナンスする時には、安全のために載置台32を70℃程度まで冷却しなければならないが、上述のように載置台32を迅速に70℃程度まで冷却してメンテナンス作業を迅速に行うことができる。
【0049】
また、高温で成膜処理を行った後に、クリーニングガスによるクリーニング作業を行う場合には、処理容器及び載置台32内を所定の温度まで冷却した後にクリーニングガスを流すが、この場合にも上述のように載置台32を所定の温度まで迅速に冷却してクリーニング作業を迅速に行うことができる。
また、ウエハの処理態様によっては、プロセス温度が異なる領域で連続ステップで処理を行う場合があるが、このような場合において、あるステップから、これよりプロセス温度が低い次のステップへ移行する際にも、上記載置台32を所定の温度まで迅速に冷却することができるので、その分、スループットを向上させることができる。
【0050】
また、載置台32を構成する石英ガラスは特に熱衝撃に対して強いので冷媒通路100に冷媒を流しても、載置台32自体が破損することもない。
また、冷媒としては、載置台32の温度に依存して、気体と液体とを切り替えて選択的に流すようにしてもよい。例えば載置台32が高温の時には、与える熱衝撃を抑制するために冷却気体を流し、或る程度の温度まで、例えば200℃程度まで冷却したならば、次に熱容量の大きな冷却液体を流すようにして更に冷却速度を上げるようにしてもよい。
ここでは冷媒通路100を形成する冷媒溝102を、下板64の上面側に形成したが、これに限定されず、この冷媒溝102を中板66の下面側に設けてもよいし、或いは中板66の下面側と下板64の上面側の双方に設けるようにしてもよい。
【0051】
更には、ここでは支柱30を筒体状に形成したが、これに限定されず、石英ガラス柱よりなる支柱30を用いるようにしてもよい。この場合には、石英ガラス柱よりなる支柱30に、細長い貫通孔をドリル等で形成することにより、上記冷媒ライン108、110を設けるようにすればよい。
尚、上記各実施例においては、載置台32を形成するために4枚のガラス板64〜70を接合した場合を例にとって説明したが、下板64を除いた3内のガラス板で形成してもよいし、或いは、5枚以上のガラス板を用いるようにしてもよい。
【0052】
また、上記各実施例では、主として成膜処理を例にとって説明したが、特に限定されず、どのような処理を行う熱処理装置でも本発明を適用することができ、特に腐食性ガスを用いる場合には本発明は有用である。
更には、上記各実施例では耐熱耐腐食性材料として石英ガラスを用いた場合を主に説明したが、これに限定されず、AlN、Al 、SiC等のセラミック材も用いることができる。特に、製造工程や熱衝撃等を考慮すると、同一材料で載置台構造の全体を形成するのが好ましい。
また、本実施例では被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、LCD基板、ガラス基板等にも適用できるのは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
2 熱処理装置
4 処理容器
6 シャワーヘッド部(ガス供給手段)
29 載置台構造
30 支柱
32 載置台
38 抵抗加熱ヒータ(加熱手段)
40 均熱部材
64 下板
66 中板
68 上板
70 最上板
74 パンチ穴
76 パンチングプレート
78 接合用突起
80 線材
82 導電ライン
100 冷媒通路
108,110 冷媒ライン
W 半導体ウエハ(被処理体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器内にて被処理体に対して所定の熱処理を施すために前記被処理体を加熱する加熱手段が埋め込まれると共に、前記被処理体を載置する載置台と、前記載置台を前記処理容器の底部より起立させて支持する支柱とを有する載置台構造において、
前記載置台内に、前記埋め込まれている前記加熱手段の上方に位置させて平面方向に広がった均熱部材を埋め込むように構成したことを特徴とする載置台構造。
【請求項2】
処理容器内にて被処理体に対して所定の熱処理を施すために前記被処理体を載置する載置台と、前記載置台を前記処理容器の底部より起立させて支持する支柱とを有する載置台構造において、
前記載置台内に高周波に対して導電性を有する材料よりなる均熱部材を平面方向へ広げて埋め込むように設け、前記均熱部材に導電ラインを接続し、該導電ラインを前記支柱に挿通させるようにして設けたことを特徴とする載置台構造。
【請求項3】
前記載置台内には、前記均熱部材の下方に位置させて平面方向に広がった加熱手段を埋め込むようにして設けることを特徴とする請求項2記載の載置台構造。
【請求項4】
前記載置台及び支柱は、絶縁性の耐熱耐腐食性材料よりなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の載置台構造。
【請求項5】
前記耐熱耐腐食性材料は、石英ガラス、或いはセラミック材であることを特徴とする請求項4記載の載置台構造。
【請求項6】
前記均熱部材は、メッシュ状に配列された複数の線材よりなり、前記線材によって形成された網穴では前記載置台を形成する材料同士が突出して接合されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の載置台構造。
【請求項7】
前記均熱部材は、複数のパンチ穴が形成されたパンチングプレートよりなり、前記パンチ穴では前記載置台を形成する材料同士が突出して接合されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の載置台構造。
【請求項8】
前記均熱部材は、カーボン又は半導体材料よりなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の載置台構造。
【請求項9】
前記支柱は、筒体状になされており、前記支柱内は高周波による放電が生じないような雰囲気になされていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の載置台構造。
【請求項10】
前記載置台には、該載置台を冷却するための冷媒を流すための冷媒通路が全面に亘って形成されていると共に、前記支柱には前記冷媒通路に前記冷媒を給排させるための冷媒ラインが設けられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の載置台構造。
【請求項11】
前記冷媒は、気体、或いは液体であることを特徴とする請求項10記載の載置台構造。
【請求項12】
前記冷媒は、前記載置台の温度に依存して気体と液体とが切り替えられて選択的に用いられることを特徴とする請求項10記載の載置台構造。
【請求項13】
真空引き可能になされた処理容器と、
請求項1乃至12のいずれかに記載された載置台構造と、
前記処理容器内へ所定の処理ガスを供給するガス供給手段と、
を備えたことを特徴とする熱処理装置。
【請求項14】
前記処理容器内には、プラズマを発生させるための高周波電源に接続された電極が設けられることを特徴とする請求項13記載の熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−42144(P2013−42144A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−182702(P2012−182702)
【出願日】平成24年8月21日(2012.8.21)
【分割の表示】特願2006−161758(P2006−161758)の分割
【原出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】