説明

輝度制御装置、該輝度制御装置を備えた表示装置、及び照明装置

【課題】表示装置等のバックライトに関する安定した輝度とホワイトバランスの精度を向上させる。
【解決手段】本発明は、表示画面に対する複数の発光素子(15)からなるバックライトの輝度制御を行う輝度制御装置(10)において、予め設定される輝度制御信号に基づいて、前記複数の発光素子(15)に対する駆動制御を行うためのパルス制御信号を発信させるパルス制御信号発信手段(11)と、前記パルス制御信号発信手段(11)により得られるパルス制御信号の電圧を同色の発光素子(15)毎に制御し、前記複数の発光素子(15)の定常時の輝度ばらつきを補正する電圧制御手段(13)と、前記電圧制御手段(13)により得られる制御された電圧値に基づいて、前記複数の発光素子毎に流れる電流を制御し、前記複数の発光素子の温度変動又は経時変化による輝度ばらつきを補正する電流制御手段(16)とを有することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輝度制御装置、該輝度制御装置を備えた表示装置、及び照明装置に係り、特に表示装置等のバックライトや照明装置に対する安定した輝度制御を行うための輝度制御装置、該輝度制御装置を備えた表示装置、及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像や画像を表示する各種表示装置において、高画質化や消費電力の改善等の研究が進められている。また、最近の表示装置としては、特に液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)が多く使用されてきている。
【0003】
一般的に、LCDは、光を用いてイメージを表示する出力パネルと、光を発生するバックライトユニットとを有するよう構成されている。ここで、バックライトユニットは、出力パネルのイメージが表示される有効表示領域に光を均一に提供することを主な目的として設計される。
【0004】
また従来では、上述したバックライトユニットを制御するための制御装置(例えば、Contents Analyzer等)が知られており、それらの制御装置では、一般的には、単純なAPL(Average Picture Level:平均輝度レベル)検出によるバックライト制御が行われている。また、従来では、LCDパネルのバックライトの輝度を制御する場合には、映像信号のAPL情報によってリニア(Linear)に輝度制御することが知られている。
【0005】
また、近年では、バックライトや照明として、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子を複数使用する技術が注目されている。ここで、複数使用されるLEDは、LED毎にばらつきが発生する。LEDのばらつきとしては、例えば、定常ばらつき、温度変動ばらつき、経時変化ばらつき等があることが知られている。ここで、定常ばらつきは、部品レベルの製造ばらつきであり、選別して使用するか、無選別で使用するかはユーザ側の判断に任されているため、それが製品価格に大きく影響している。なお、上述した個々のばらつきに対する技術は幾つか開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0006】
特許文献1に示される技術は、表示装置の背面側に設けられるバックライト装置において、直列接続された複数の発光ダイオードを有する照明ユニットと、各上記照明ユニットに対応して設けられ、各上記照明ユニットの発光ダイオードを駆動する駆動部と、
各上記照明ユニットの温度を検出する温度検出部とを備え、各上記照明ユニットは、発光ダイオードが所定の温度領域となる位置にそれぞれ配置されており、上記駆動部は、照明ユニットに温度変動があった場合にも少なくとも輝度が均一となるように、上記温度検出部により検出された各照明ユニットの温度に応じて、照明ユニット毎に発光ダイオードに流す電流を調整する。
【0007】
また、特許文献2に示される技術は、LED駆動電圧のばらつきや変動、LEDの製品ごとの順電圧のばらつき等にかかわらず、LEDバックライトの輝度を一定に保つように、液晶表示パネル2の背面側にLEDバックライトを配置してなる液晶表示装置において、そのLEDバックライトを定電流回路にて駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−31977号公報
【特許文献2】特開平11−305198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したLEDのばらつきは、上述したように、定常ばらつき、温度変動ばらつき、経時変化ばらつき等の複数の要因があるため、それぞれの要因に対して適切な方法でばらつき対する輝度制御を行なわなければならないが、そのような技術は、未だ存在していない。
【0010】
したがって、本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、表示装置等のバックライトや照明装置に対する安定した輝度制御を行うための輝度制御装置、該輝度制御装置を備えた表示装置、及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0012】
本発明は、表示画面に対する複数の発光素子(15)からなるバックライトの輝度制御を行う輝度制御装置(10)において、予め設定される輝度制御信号に基づいて、前記複数の発光素子(15)に対する駆動制御を行うためのパルス制御信号を発信させるパルス制御信号発信手段(11)と、前記パルス制御信号発信手段(11)により得られるパルス制御信号の電圧を同色の発光素子(15)毎に制御し、前記複数の発光素子(15)の定常時の輝度ばらつきを補正する電圧制御手段(13)と、前記電圧制御手段(13)により得られる制御された電圧値に基づいて、前記複数の発光素子毎に流れる電流を制御し、前記複数の発光素子の温度変動又は経時変化による輝度ばらつきを補正する電流制御手段(16)とを有することを特徴とする。
【0013】
なお、上記参照符号は、あくまでも参考であり、これによって、本発明が図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表示装置等のバックライトや照明装置に対する安定した輝度制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態における輝度ばらつき補正による輝度制御の一例を示す図である。
【図2】本実施形態における定常時の輝度ばらつき補正の一例を示す図である。
【図3】本実施形態における温度変動時の輝度ばらつき補正の一例を示す図である。
【図4】温度補正値を算出するための具体例を説明するための図である。
【図5】補正値を関数により算出した具体例を説明するための図である。
【図6】本実施形態におけるディザリングについて説明するための図である。
【図7】PWMタイミングコントロールについて説明するための図である。
【図8】LEDバックライトの配置例を示す図である。
【図9】本実施形態におけるブロック情報の一例を示す図である。
【図10】本実施形態における輝度制御装置を備えた表示装置の機能構成の一例を示す図である。
【図11】本実施形態における輝度制御装置を備えた他の適用例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本発明について>
本発明は、テレビジョン等の表示装置のバックライトや、照明装置として用いられる複数の発光素子(例えば、LED等)における各発光素子間の輝度ばらつきを解消する輝度制御を行う。具体的には、本発明は、LEDのばらつき要因として挙げられている定常時における輝度ばらつき(以下、「定常時ばらつき」ともいう)、温度変動による輝度ばらつき(以下、「温度変動ばらつき」ともいう)、経時変化による輝度ばらつき(以下、「経時変化ばらつき」ともいう)について、それぞれの補正を所定の順序で行う。
【0017】
例えば、定常時ばらつきでは、PWM(Pulse Width Modulation)のドライバ電圧を自動的に補正し、温度変動ばらつきでは、フィードバックされる温度変動分の電流差を検出して補償し、経時変化ばらつきでは、時間経過に伴う変動分の電流を検出して補償する。
【0018】
これにより、バックライトや照明装置等において複数の発光素子を使用する場合にも、発光素子の選別等を行う必要がなく、コストを削減することができ、また常に安定した輝度とホワイトバランスを得ることができる。
【0019】
以下に、上述した特徴を実現するための本発明における輝度制御装置、該輝度制御装置を備えた表示装置、及び照明装置を好適に実施した形態について図面等を用いて説明する。なお、以下に示す実施形態の例では、表示手段の一例としてLCDを用いることとし、発光素子の一例としてLEDを用いることするが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0020】
また、以下に示す実施形態では、主に映像信号をディスプレイ等の表示手段に出力する際の輝度制御について説明するが、本発明に置いてはこれに限定されるものではなく画像等も含まれるものとする。
【0021】
<輝度ばらつき補正による輝度制御について>
まず、本実施形態における輝度ばらつき補正による輝度制御例について、図を用いて説明する。図1は、本実施形態における輝度ばらつき補正による輝度制御の一例を示す図である。なお、図1は、輝度制御装置10における輝度制御を行う部分の概要構成を示している。
【0022】
図1に示す輝度制御装置10は、パルス制御信号発信手段としてのPWM発信手段11と、ディザリング手段12と、電圧制御手段13と、電流調整手段としての抵抗手段14と、発光素子であるLED15と、電流制御手段16と、を有するよう構成されている。
【0023】
PWM発信手段11は、入力される輝度制御信号に対し、PWM等によるパルス幅変調を行ってPWM制御信号(パルス制御信号)を生成する。なお、輝度制御信号は、例えば画面に表示される映像信号の映像フレーム毎に設定される輝度制御信号や、予め設定されたバックライト用の輝度制御信号等を含む。また、PWM発信手段11は、入力される所定のタイミングで生成したPWM制御信号をディザリング手段12に発信(出力)する。
【0024】
なお、このパルス幅変調された制御信号は、制御対応である複数のLEDのそれぞれの発光タイミングに対応させて制御信号が出力される。つまり、PWM発信手段11は、異なる発光素子に対する制御信号の出力タイミングをコントロールする。なお、PWM発信手段11における具体的なタイミングコントロールについては後述する。
【0025】
ディザリング手段12は、PWM発信手段11から得られるPWM制御信号、又は電流制御手段16から得られる電流制御後の信号に基づいて、例えばPWMのDuty(パルス幅のONとOFFの比率(バックライトの消灯時間に対する点灯時間の比率))変化をスムーズにするため、入力された信号に対するディザリング処理を行う。
【0026】
ここで、ディザリング手段12は、例えば映像信号におけるちらつきを防止するために、予め設定される一定期間におけるディザリング処理を行ってもよい。また、ディザリング手段12は、Duty変化をスムーズにさせた輝度制御信号を電圧制御手段13に出力する。
【0027】
なお、本実施形態におけるDuty変化の例としては、例えば入力される映像信号から明るさの平均値を検出し、検出された明るさの平均値が予め設定された閾値よりも高い場合には光源輝度を高くし、また明るさの平均値が予め設定された閾値よりも低い場合には光源輝度を低く設定する等があるが、本発明においてはこれに限定されるものではない。また、本実施形態では、上述したDuty変化がスムーズになるように、ディザリング手段12により輝度制御信号の波形が調整される。なお、ディザリング手段12についての具体的な手法については後述する。
【0028】
電圧制御手段13は、入力された輝度制御信号に対して電圧制御を行い、定常時の輝度ばらつきを一定にする。また、電圧制御手段13は、定常時の輝度ばらつきを一定にした制御信号を抵抗手段14に出力する。なお、電圧制御手段13における具体的な制御内容については後述する。
【0029】
抵抗手段14は、その先に接続されたLED毎に供給される電流値を調整するための抵抗rを備える。つまり、抵抗手段14は、抵抗手段14及びLED15間の電圧Vfに対する電流の値を調整し、その結果LED15の輝度レベルを調整して点灯させることができる。
【0030】
LED15は、例えばLCDパネル等のバックライトとして、上述した所定のタイミングで発光する発光素子である。ここで、LED15がバックライトとして使用される場合には、白色LEDを配列して白色光の照明光を発光する構成や、R(赤),G(緑),B(青)の3色のLEDを配列し、これらの3色の光を混色して白色光とする構成を用いることができる。つまり、図1の例では、1つのLED15しか示されていないが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば複数のLEDが直列又は並列に接続されていてもよい。
【0031】
更に、上述した白色LEDには、短波長LEDに蛍光体を組み合わせて白色を得る方式や、青色LEDに蛍光体を組み合わせて白色を得る方式、或いは、青色LEDに黄色の蛍光体を組み合わせて白色を得る方式等を用いることができる。
【0032】
このとき、各LEDの種類に応じて供給すべき電流値は異なる。そのため、本実施形態では、接続されているLEDの種類等に応じて調整された抵抗rが設定される。
【0033】
なお、LCDパネルのバックライトや照明装置等に使用されるLEDは、通常は複数配置して使用されるため、その場合には複数のLED毎の色や配置(例えば、直列又は並列接続されるLED同士の組み合わせ)等を考慮して調整する必要がある。
【0034】
電流制御手段16は、LED15から出力される電流値Idに対して電流制御を行い、LEDにおける温度による輝度ばらつき補正及び経時変化による輝度ばらつき補正を行い、温度変動時等の輝度ばらつきを一定にする。なお、電流制御手段16における具体的な制御内容については後述する。
【0035】
ここで、上述した輝度制御装置10については、上述したディザリング手段12に対する処理を行わなくても、上述した定常時におけるLED毎の輝度ばらつき、温度変動によるLED毎の輝度ばらつき、経時変化によるLED毎の輝度ばらつきを補正制御することができ、安定した輝度制御を行うことができる。
【0036】
次に、上述した電圧制御手段13及び電流制御手段16におけるそれぞれの輝度ばらつき制御処理について具体的に説明する。
【0037】
<電圧制御手段13におけるLED輝度の定常時ばらつき補正>
図2は、本実施形態における定常時の輝度ばらつき補正の一例を示す図である。なお、図2に示す例では、ドライバIC(PWM)21におけるドライバ電圧を自動的に補正することにより、定常時の輝度ばらつきを補正するものである。
【0038】
また、図2(a)では、1つのドライバIC21に2つのLED15−1,15−2を接続し、2つのLED15−1,15−2のそれぞれに対して輝度制御を行い、所定の駆動をさせる構成を示しているが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば1つのドライバIC21に1つ又は3つ以上のLEDが接続されて輝度制御がなされてもよい。更に、図2(a)の例では、LED15−1,15−2は、それぞれ異なる色を発光する発光素子を示しているが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば同一の色を発光する複数のLEDに対して同時に輝度制御を行ってもよい。
【0039】
また、図2(a)に示すドライバIC21は、例えば図2(b)に示すように電圧制御手段13及び電流制御手段16の機能を有するものとするが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、上述した図1に示すようにディザリング手段12の機能を有していてもよい。
【0040】
例えば、図2(a)に示すようなLEDの接続状態において、定常時の輝度ばらつき補正を行う場合、ドライバIC21からLED15−1,15−2に対してそれぞれのPWM制御信号CH1,CH2の電圧値が図2(c)に示すようになっていたとする。つまり、CH1では電圧Vf=1.0Vであり、CH2では電圧Vf=1.3Vであったとする。
【0041】
このような場合には、CH1、CH2の信号が予め設定された目的値となるようにドライバIC21にて電圧制御を行い、CH1,CH2のそれぞれの電圧が正常値となるようにCH1及びCH2の一方又は両方に対して補正を行い、輝度ばらつきが生じないように制御を行う。なお、定常時ばらつき補正において電圧補正できる値の範囲は、例えば入力された値に対して約±0.1V程度である。
【0042】
<電流制御手段16におけるLED輝度の温度変動ばらつき補正及び経時変化ばらつき補正>
次に、電流制御手段16におけるLED輝度の温度変動ばらつき補正及び経時変化ばらつき補正について、具体的に図を用いて説明する。図3は、本実施形態における温度変動時の輝度ばらつき補正の一例を示す図である。図3の例では、フィードバックされる温度変動分の電流差を検出し、その検出結果を予め設定した適性値に補正する。また、経時変化ばらつき補正についても同様に時間経過に伴う変更分の電流を検出し、その検出結果を予め設定した適性値に補正することでばらつき補正を行うものである。また、経時変化とは、例えば、時間の経過と共に生じる素子劣化等による変化を示す。
【0043】
なお、図3に示す例では、図2(b)に示す構成と比較して、特に電流制御手段16についての具体的な構成例を示しており、LED15の一例として3つのLED15−1,15−2,15−3における温度変動ばらつき補正を行うものとする。LED15−1,15−2,15−3は、それぞれ、Red(赤),Green(緑),Blue(青)の発光素子に対応しているものとするが、本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0044】
図3に示す電流制御手段16は、バッファとしてのメモリ手段31と、素子電圧検出手段32と、ばらつき補正手段33とを有するよう構成されている。ここで、本実施形態では、バックライトとして設置された複数の異なる色のLEDのうち、何れか1つを用いて補正値を設定し、その設定された補正値を基準として他の全ての色のLEDに対してもばらつき補正処理を行う。なお、RGBの3色LEDにおいては、Redの温度変動におけるばらつきが最も多いことが知られている。したがって、本実施形態では、RedのLED15−1の温度変動(変化量)を測定し、その測定結果に対するばらつき補正を行うことで、温度変動によるばらつきを防止して高精度な輝度制御を実現することができる。
【0045】
電流制御手段16は、図3に示すように、制御対象である複数のLED15−1〜15−3のうち、RedのLED15−1に対して、その電圧値RedVfを測定し、その電圧値RedVfをメモリ手段31に記録する。なお、メモリ手段31には、例えば、所定の時間間隔等の予め設定されたタイミングで測定された電圧値が、測定された時間情報又は記録時の時間情報等と共に逐次記録される。なお、メモリ手段31は、少なくとも本実施形態において必要となる所定回数分以上の情報を蓄積できるだけの容量を有している。
【0046】
素子電圧検出手段32は、メモリ手段31に記録された複数回分の測定情報のうち、異なる時間に測定された測定値を取得し、取得した電圧値の差と、予め設定された抵抗(電流調整手段)の抵抗値とから温度変動分に対する電流差を検出する。具体的には、素子電圧検出手段32は、LED15−1に対しての供給電圧値Vfに対してアナログデジタル変換(ADC:Analog Digital Converter)を行い、その結果である電圧差から得られる電流差から、R、G、Bのそれぞれに対応する温度変動ばらつき補正値を取得する。つまり、本実施形態では、上述したように取得した電流差が温度変動又は経時変化による輝度ばらつきと考え、その電圧を制御することで温度変動による輝度ばらつき補正等を行う。
【0047】
ここで、図3の例において、例えば、R,G,Bのそれぞれの電圧差△R,△G,△Bがそれぞれ△R=0.47,△G=0.71,△B=0.71であったとする。本実施形態において補正値を算出する場合には、例えば表示する1画素あたりに設定される表現可能なビット数に応じて補正値を算出する。なお、本実施形態における補正の算出手法については、後述する。
【0048】
ばらつき補正手段33は、素子電圧検出手段32により得られる補正値に基づいて、対応する複数のLED15−1〜15−3に対して制御信号を生成する。つまり、ばらつき補正手段33は、RedのLED15−1に対してばらつき補正した情報に基づき、GreenのLED15−2、BlueのLED15−3に対してフィードバック制御を行うための制御信号を生成する。また、ばらつき補正手段33は、生成した制御信号を電圧制御手段13を介して各LED15−1〜15−3に出力する。これにより、温度変動や経時変化によるばらつきを補正して高精度なバックライトによる輝度制御を行うことができる。
【0049】
<温度変動ばらつき補正による補正値の算出例>
ここで、上述した温度変動ばらつき補正による補正値に算出例について図を用いて説明する。図4は、温度補正値を算出するための具体例を説明するための図である。また、図5は、補正値を関数により算出した具体例を説明するための図である。
【0050】
まず、図4に示す例に示すように、LEDのスプレッド及び温度ドリフトについて検討すると、RGBのそれぞれにおいて、熱電対が50℃のとき、それぞれR=約0,47V程度、G=約0.71V程度、B=0.71V程度の電圧差があることから、1℃単位で換算すると、R=約0.0094V程度、G=約0.0142V程度、B=約0.0142V程度となる。
【0051】
上述したように、本実施形態では、バックライトとして設置された複数の異なる色のLEDのうち、何れか1つを用いて補正値を設定し、他の全ての色のLEDに対してばらつき補正処理を行う。そのため、ここでは、まずRedのLEDの温度差について補正する。
【0052】
なお、本実施形態では、1画素に対する輝度制御をどの程度のデータ量を用いて補正するかにより補正値が異なる。図4に示すように、電圧値Vfの検知においては、8bitを用いてADC(アナログデジタル変換)を行う場合(8bitADCの場合)、その補正値は△R:0.47/256=0.0018となる。
【0053】
また同様に、7BitADCの場合、その補正値は△R:0.47/128=0.0036となり、6BitADCの場合、その補正値は△R:0.47/64=0.0073となる。
【0054】
更に、他の色のLEDについては、上述した補正値に基づいて、算出することもできるが、例えば図5に示すように、それぞれの補正値を算出するために予め関数等を設定しておき、その関数に値を代入して必要に応じて対応する補正値を算出してもよい。
【0055】
なお、図5(a)の例では、上述した(1)Red、(2)Green、(3)Blue、(4)BYについてのそれぞれの各熱電対(℃)と、その温度に対する電圧Vf(V)が表示されている。なお、BYとは、BlueのLEDにYellowの蛍光体をつけて、WhiteのLEDにしたものである。
【0056】
また、図5(b)の例では、図5(a)に示す結果に基づいて設定された関数のグラフが示されている。
【0057】
ここで、図5における3色(R、G、B)の電圧差は、上述したようにそれぞれ△R:約0.47V程度、△G:約0.71V程度、△B:約0.71V程度であり、8BitADCとした場合の補正値は、△Rの補正値は、△R:約0.47/256=約0.0018となる。
【0058】
また、通常のADCで対応する場合には、1Vを8Bitに対応させるとすると、1Bitは、1/256=0.0039Vとなる。したがって、関数は、(1)Redの場合には、y=11.508x2−303.51x+1796.8となり、(2)Greenの場合には、y=−0.4247x2−62.383x+993.6となり、(3)Blueの場合には、y=−0.476x2−60.047x+956.7となり、(4)BYの場合には、y=3.0249x2−160.82x+1673.8となる。これらの式を用いて、対応するLEDの各色に対して温度変動ばらつき補正を行うことができる。
【0059】
<ディザリング手段12について>
ここで、上述したディザリング手段12について、具体的に説明する。例えば、LCDパネルのバックライトや照明装置等に使用されるLEDをPWMスイッチング駆動により駆動させて輝度変化を得られるようにしている制御手法では、一般にスイッチング動作によるフリッカ動作が目に感じられるという副作用が発生しやすい。
【0060】
したがって、本実施形態では、PWMスイッチング動作を緩和するためにディザリング動作を多重化し、よりスムーズでかつ自然な輝度グレーディミングを実現することができる。これにより、フリッカ現象を大幅に削減させることができる。
【0061】
なお、上述したディザリング手段12におけるディザリング手法としては、例えばランダムディザ(Random Dither)、パターンディザ(Pattern Dither)、マジックディザ(Magic Dither)等の手法があるが、どの方式でも同様の効果が得られる、
図6は、本実施形態におけるディザリングについて説明するための図である。図6(a)に示すディザリング手法は、パターンディザ法(Pettern Dithering Method)、及び、可変ディザ(Variable Dither)の例を示している。
【0062】
図6(a)に示すように、パターンディザ法は、例えば画像中における2×2ビット単位で予め設定したディザマトリクスと比較を行い、その比較結果に基づいてちらつきが生じないようにディザリングを行うものである。
【0063】
また、可変ディザリングは、2×2のディザマトリクス単位で画像フレームの4フレームを1サイクルとし、各マトリクスの値を所定の順序で入れ替えることで、ディザリングを行うものである。
【0064】
また、図6(b)は、0次元ディミングについて説明するための図である。なお、0次元ディミングとは、例えば、画面全体の輝度をWhite、Black、Grey等により制御させる動作をいう。
【0065】
図6(b)に示すように、従来のPWMディミング手法では、バックライトの輝度制御として、白フレームと黒フレームとを交互に出力することで、PWMの輝度を制御していたが、この場合にはちらつきが生じる。そのため、本実施形態では、例えば白フレームから黒フレームへの輝度制御を行う場合には、その間に輝度レベルの異なるグレーの中間色のフレーム(グレーフレーム)を1又は複数フレーム挿入する。
【0066】
これにより、PWM制御でのフリッカ妨害を削減することができ、バックライト輝度制御をよりスムーズに輝度グレーディミングすることができる。また、ディザ方式でLEDバックライトの輝度をグレーディミング化により制御することにより、唐突な明るさ変化による画質の違和感をなくし、自然な映像表現力を持たせることができる。つまり、品質の高い画質を提供することができる。
【0067】
なお、グレーフレームは、白フレームから黒フレームに至るまでに白から次第に黒くなるように、グレーフレームの輝度も調整されるのが好ましい。また、挿入する中間色フレームの数についても予め任意に設定することができる。
【0068】
更に、図6(c)は、フレキシブルディミングシステムについて説明するための図である。なお、本実施形態では、一例として3種類のディミング内容が示されている。
【0069】
具体的には、図6(c)のDimming(1)(Black&White)に示すように、黒クレームの一部に複数画素からなる白の画素列を挿入し、その白の画素列を移動させることで、ディミング処理を行うこともできる。
【0070】
また、図6(c)のDimming(2)(Black&White)に示すように、白フレームに対して予め設定された複数の異なる画素領域からなる黒フレームを順次挿入したフレームを用いてディミング処理を行うこともできる。
【0071】
更に、図6(c)のDimming(3)(Black&White&Color)に示すように、例えば、Dimming(2)に示すフレームの白画素の升目部分に、R,G,B,Wの各色をランダムに挿入させてディミング処理を行うこともできる。
【0072】
図6(c)に示すようなフレキシブルなディミング処理を行うことで、LEDバックライト方式に依存することがなく、ディミング処理を実行することができる。
【0073】
<PWM発信手段11におけるタイミングコントロールについて>
次に、上述したPWM発信手段11におけるタイミングコントロールについて、図を用いて説明する。図7は、PWMタイミングコントロールについて説明するための図である。
【0074】
通常、LCDパネル等の応答スピードは遅いため、画面を高速で移動するスクロール文字等を表示する場合には、図7(a)の上部に示すように文字(例えば、「LG Mobile」)がぼけて読めないという問題が生じることがある。この対策としては、従来では、LCDパネルそのものの応答スピードを上げること以外には、効果的な対応策がなかった。また、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)を使用したバックライトでは、CCFLのスイッチィング動作が遅いため、LCDパネルの動作に連動したバックライト動作をさせることができず、ぼけ感を軽減することができなかった。
【0075】
したがって、本実施形態におけるPWM発信手段11におけるPWMコントロールにおいては、使用されるLCDパネルの応答スピードに合わせてLEDバックライトのスイッチング動作を動的(Dynamic)にさせる。つまり、本実施形態では、PWM発信手段11により、LCDパネルの応答スピードに合わせたLEDバックライト動作を行わせる。これにより、高速で移動する文字等のぼけ感を大幅に改善することができる。
【0076】
具体的には、図7(b)に示すように、CH1、CH2の2つのLEDについて、動作バッファを設けることにより、所定のタイミングで制御信号を出力することができる。例えば、図7(b)の例では、CH1において、所定のタイミングから所定時間分の制御信号が出力されるように動作バッファ等によりスイッチをONにする。これにより、図7(a)の下部に示すように、表示されるスクロール文字等の高速で移動する表示物がぼけることなく表示させることができる。
【0077】
<LEDバックライト配置例>
次に、上述したLEDバックライトの配置例について図を用いて説明する。図8は、LEDバックライトの配置例を示す図である。図8(a)〜(e)に示すように、
図8(a)〜(e)に示すように、例えば表示手段であるLCDパネル41には、上述した複数のLEDが所定の位置に配置された素子ブロック42が所定の位置に設けられている。
【0078】
具体的には、LCDパネル41に対して上側に素子ブロック42を配置してもよく(図8(a))、またLCDパネル41に対して上下に素子ブロック42−1,42−2を配置してもよい(図8(b))。更に、他の実施例としては、LCDパネル41に配置された左サイドや右サイドの一方のサイドに素子ブロック42を配置してもよく(図8(c)では左サイド)、また左右両サイドに素子ブロック42−1,42−2を配置してもよく(図8(d))、更には、上述したようにLCDパネル41の裏面に素子ブロック42を所定数並べて配置してもよい(図8(e))。
【0079】
なお、本発明においては、上述したバックライト配置例に限定されるものではなく、例えば、上下左右等に配置したり、上述の例のうち複数を組み合わせた配置例にしてもよい。また、図8(a)〜(e)に示すLEDは、それぞれ上述したドライバIC等により輝度制御がなされる。また、上述した素子ブロック42は、例えば入力された映像信号から得られるAPL(Average Picture Level:平均輝度レベル)検出、輝度ヒストグラム検出、色ヒストグラム検出、周波数ヒストグラム検出の少なくとも1つの検出結果に応じて所定の大きさのブロック単位に分割することができる。なお、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば予め設定されたブロック単位に分割してもよい。
【0080】
また、本実施形態では、上述した素子ブロック42に直列接続された複数のLEDのうち、少なくとも1つのLEDが使用による寿命等により、点灯しない等の欠陥が生じた場合、他のLEDに対して影響がでないようにするため、欠陥LEDがある場合には、バイパス駆動制御を行うこともできる。
【0081】
<ブロック情報について>
次に、複数の発光素子(LED等)が直列に配列された素子ブロック情報について図を用いて説明する。図9は、本実施形態におけるブロック情報の一例を示す図である。なお、図9では、LCDバックライト用のLEDについて示している。
【0082】
図9(a),(b)に示す例では、LCDパネル41の所定の画面表示領域にR,G,Bのそれぞれの素子(エレメント)51r,51g,51bが存在し、これらの素子は、マルチ結線又はポイント結線によりドライバIC等を接続されている。
【0083】
また、図9の例では、各色の素子51r,51g,51bにより組(cell)が構成される。また、図9の例では、複数の組からなる素子ブロック52を構成し、更に複数の素子ブロック42が所定の位置に所定数配置されて、輝度補正を行う輝度ブロック53が構成される。なお、本実施形態においては、ブロックの数や配置例を図9(a),(b)に示しているが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、LCDパネル41の画面サイズ等に応じて適宜設定される。
【0084】
また、図9(a)、(b)に示すバックライトは、LCDパネルの裏面に設置されるトップタイプ(Top Type)の構成であるが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば上述した図8に示すように、LCDパネル41の画面の下側やサイドの一方(右側、左側)又は両サイドに配置されるエッジタイプ(Edge Type)の構成であってもよい。
【0085】
また、本実施形態において、例えば図9(a)の場合には、LCDパネル41の裏面に輝度ブロック53−1〜53−6が所定の位置で配列され、各輝度ブロック53には、複数の素子ブロック52−1〜52−4が形成されている。また、図5(b)についても同様に、LCDパネル41のバックライトについて、輝度ブロック53−1〜53−12に対し、各輝度ブロック53には、複数のLEDが配列された複数の素子ブロック52−1〜52−3が形成されている。
【0086】
ここで、本実施形態においては、上述した各色の素子51r,51g,51b毎に輝度制御を行ってもよく、また素子ブロック52毎又は輝度ブロック53毎に輝度制御を行うことができる。
【0087】
<輝度制御装置を備えた表示装置について>
次に、上述した輝度制御装置を備えた表示装置の構成例について、図を用いて説明する。
【0088】
図10は、本実施形態における輝度制御装置を備えた表示装置の機能構成の一例を示す図である。図10に示す表示装置60は、映像処理手段61と、映像情報分析手段62と、ブロック情報取得手段63と、ブロック単位制御手段64と、バックライト駆動制御手段65と、バックライト手段66と、バックライト輝度補正手段67と、タイミング制御手段68と、表示手段69とを有するよう構成されている。なお、本実施形態では、例えばバックライト駆動制御手段65やバックライト手段66等が上述した輝度制御装置10に相当する機能を有する。
【0089】
映像処理手段61は、入力される映像信号が圧縮符号化されている場合には、その信号の復号化を行ったり、限定受信放送等によりスクランブル化等の暗号化処理されている場合には、予め設定された鍵情報等を用いて復号化(デスクランブル化)を行う。つまり、映像処理手段61は、後段の各構成で映像信号に対する処理が可能となり、表示手段69から映像が表示できるように、入力された映像信号を適宜変換する。また、映像処理手段61は、入力された信号を映像情報分析手段62、及びバックライト輝度補正手段67に出力する。
【0090】
映像情報分析手段62は、映像処理手段61により入力された映像信号に対して、例えばAPL検出、輝度ヒストグラム検出、色ヒストグラム検出(色相、色飽和度)、及び、周波数ヒストグラム検出等のうち、少なくとも1つの情報を検出し、検出した情報から映像情報の分析を行う。つまり、映像情報分析手段62により、映像(画像)に対するヒストグラム情報やプロファイル情報等を取得することができるため、これらの情報に基づいて映像等に対応させた適切なバックライトの輝度制御を行う。また、映像情報分析手段62は、分析された結果をブロック情報取得手段63に出力する。
【0091】
ブロック情報取得手段63は、映像情報分析手段62により得られる分析結果と、予め設定される映像信号に対する制御信号に基づいて、ブロック単位あたりの大きさ(画素数、インチ等)等を設定する。このように、ブロック単位の大きさを映像情報等から設定することにより、映像情報に対応させてブロック単位のバックライト制御を行うことができる。
【0092】
なお、本実施形態において、所定のブロック単位に分割する場合には、その分割可能な数として、例えば映像の画素単位や2×2ピクセル、4×4ピクセル、16×16ピクセル等のように、正方形ブロック毎にブロックを分割することができるが、本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0093】
また、ブロック情報取得手段63における処理実行のタイミングは、例えば、外部からの制御信号の入力のタイミングで実行してもよく、また予め設定された制御情報に基づいて映像情報分析手段62により分析結果の情報が入力されたタイミングで実行してもよい。また、ブロック情報取得手段63は、取得したブロック情報をブロック単位制御手段64に出力する。
【0094】
ブロック単位制御手段64は、ブロック情報取得手段63により得られるブロック情報に基づいて、映像信号に対応するブロック毎にバックライトの輝度を制御するため、例えば、各ブロック単位でオフセット(Off−set)制御や非線形補正等を行う。また、ブロック単位制御手段64は、入力された映像信号に対する各ブロック単位の輝度制御情報に対応させてPWM等によるパルス変調処理を行って制御信号を生成する。また、ブロック単位制御手段64は、所定のタイミングで所定のLEDに対して輝度を制御する輝度制御情報をバックライト駆動制御手段65に出力する。また、ブロック単位制御手段64は、上述した輝度制御情報をバックライト輝度補正手段67に出力する。更に、ブロック単位制御手段64は、上述した各ブロック単位のオフセット制御情報や非線形補正情報をバックライト駆動制御手段65及びバックライト輝度補正手段67に出力する。
【0095】
バックライト駆動制御手段65は、ブロック単位制御手段64により得られるブロック毎の輝度制御情報やオフセット制御情報、非線形補正情報等に対応させて、各ブロック位置に対応するバックライトの駆動制御を行い、所定のタイミングでバックライト手段66のLEDを点灯させる。なお、上述した輝度制御装置10及びドライバIC21における各機能は、主にバックライト駆動制御手段65に含まれる。したがって、バックライト駆動制御手段65は、上述したように、PWM発信手段11、ディザリング手段12、電圧制御手段13、及び電流制御手段16における各処理を実行し、上述したばらつき補正等を行う。
【0096】
また、本実施形態におけるバックライト駆動制御手段65は、タイミング制御手段68により表示手段69から出力される映像信号と同期させてバックライトを駆動させるように、タイミング制御手段68からのクロック信号に基づいて、タイミング制御によりLEDを駆動するための制御信号をバックライト手段66に出力することができる。
【0097】
なお、バックライトは、通常、LCDに設けられているR(赤)、G(緑)、B(青)の3つの色のLED素子等に対応させて、それぞれ対に設けられている。そのため、画素毎の調整は、LED素子毎に行うことが望ましいが、その場合にはコストや処理時間がかかってしまう。そこで、本実施形態では、例えば、上述した素子ブロック毎や輝度ブロック毎等の1又は複数の所定のブロック単位で処理を行う。これにより、コストの削減と効率化を実現することができる。
【0098】
バックライト駆動制御手段65は、各ブロックに対応するそれぞれの制御信号をバックライト手段66に出力する。バックライト手段66は、設定された各ブロックに対応するそれぞれの駆動制御信号に基づいて、各ブロックの所定の位置にあるLEDをそれぞれに設定された所定の輝度制御により所定の輝度レベルで点灯させ、その光をバックライトとして表示手段69の画面に照射させる。
【0099】
バックライト輝度補正手段67は、ブロック単位制御手段64により得られる輝度制御情報、オフセット制御情報、非線形補正情報に基づいて、映像処理手段61により得られる映像信号に対して、バックライトに対する駆動制御情報を用いた輝度補正を行う。つまり、バックライト輝度補正手段67は、ブロック単位のディミング制御情報を逆補正してトリミングし、映像信号側にフィードバックする。
【0100】
ここで、バックライトは、例えば表示手段69の裏面等に位置し、輝度制御用のブロック単位で動作している。また、バックライトの動作は、映像信号の解像度に及ばない低解像度の輝度動作である。そのため、本実施形態によれば、映像信号の輝度解像度との差が生じるといったブロック輝度干渉妨害を防止することができ、ユーザに見易くて最適な映像を表示手段69のディスプレイ画面に表示することができる。
【0101】
また、バックライト輝度補正手段67は、オフセット制御情報及び非線形補正情報により映像信号の補正を行うことで、バックライトのインパルス制御機能等と共に輝度、コントラスト、色等の制御を行うことができる。
【0102】
なお、本実施形態において、バックライト輝度補正手段67は、輝度ブロックの構成により映像信号側にフィードバックさせる情報が変化し、更に表示手段69の輝度透過率等によっても補正量を適切に調整する必要がある。その場合には、例えば予め設定された輝度透過率検出用カメラ等を用いて検出された結果を用いてフィードバックさせる情報を自動的に調整することができる。バックライト輝度補正手段67は、上述した処理等により補正された映像信号をタイミング制御手段68に出力する。
【0103】
タイミング制御手段68は、バックライト輝度補正手段67により得られる映像信号を表示手段69の画面の水平方向、垂直方向に合わせて表示する時間の制御を行い、表示手段69の一面に表示される画像情報を生成し、生成された画像を表示手段69に出力する。
【0104】
更に、タイミング制御手段68は、画面に表示する映像と同期してバックライト手段66によるバックライトを点灯させるために、バックライト駆動制御手段65に対し、映像信号を表示手段69に出力したタイミングに対応させて、その映像信号に対応するバックライトを点灯させるタイミング制御信号をバックライト駆動制御手段65に出力する。
【0105】
これにより、表示手段69による映像出力と、バックライト手段66による当該映像に対応したバックライト出力とを同期させることができる。
【0106】
表示手段69は、タイミング制御手段68にて生成された映像情報を画面に表示する。なお、表示手段69としては、例えば上述したLCDパネル等を用いることができるが本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0107】
上述した構成により、本実施形態では、LCDパネル等の表示手段69のバックライトを、映像コンテンツに連動させて動的(Dynamic)に動作させることができ、よりハイコントラストな映像を提供することができる。
【0108】
つまり、本実施形態に示す表示装置50によれば、表示手段69に表示される映像コンテンツ等に対応させてバックライト装置の輝度を補正することができ、映像コンテンツに応じた最適なバックライト制御を行うことができる。また、LCDバックライトでの様々なディミング動作を行うときに発生する映像信号への輝度干渉妨害を改善することができ、ディミング動作をより最適な動作にすることができる。
【0109】
更に、本実施形態では、従来のAPL検出によって処理される基準輝度制御の他に、輝度ヒストグラム検出等により最適輝度制御が実現でき、例えば、色ヒストグラム検出を行うことで、最適なホワイトバランス(White Balance)制御等によるRGBに対するLEDバックライト制御を行うことができる。つまり、本実施形態では、各種ヒストグラムの検出結果のみを用いてバックライト輝度制御を行ってもよく、またAPLの検出結果と各種ヒストグラムの検出結果とを組み合わせてバックライト輝度制御を行ってもよい。
【0110】
<輝度制御装置の他の適用例>
なお、本実施形態における輝度制御装置は、上述したようにTV等の表示装置として用いられるだけでなく、例えば照明や電子看板、その他の各種ディスプレイ等にも広く適用することができる。つまり、本実施形態における輝度制御装置は、例えば上述したように直列に接続された複数の発光素子(LED等)を駆動させることができる機器全般に適用することができる。ここで、以下に輝度制御装置の他の適用例について図を用いて説明する。
【0111】
図11は、本実施形態における輝度制御装置を備えた他の適用例を説明するための図である。なお、図11(a)は、本実施形態における輝度制御装置を照明装置に適用した例を示し、図11(b)は、本実施形態における輝度制御装置を電子看板システムに適用した例を示している。
【0112】
図11(a)に示す照明装置70は、一例としてLEDランプを示している。具体的に説明すると、照明装置70は、ランプ本体71内に複数のLED72が直列に接続され、各LEDは照明方向に適した所定位置に配置されている。また、各LED72は、上述した発光素子ブロックとして構成されていてもよく、また並列に接続されていてもよい。
【0113】
また、複数のLED72は、図11(a)に示すように上述したドライバIC73と接続されており、輝度制御装置としての機能を有するドライバIC73によりLED毎の駆動が制御される。このような構成により、上述した各種ばらつき補正等の輝度制御が行われた複数のLEDから発光された光により照明することができる。なお、本実施形態では、図11(a)に示す各LED72に対して、バイパス回路を設けてよく、これにより、照明装置70は、断線時にもドライバIC73からの電流を他のLEDに供給させることができる。
【0114】
また、図11(b)に示す電子看板システム80は、一例として1台のPC(Personal Computer)81と複数の電子看板82(図11(b)の例では、電子看板82−1,82−2)とを有するよう構成されている。また、PC81と複数の電子看板82とは、インターネット等に代表される通信ネットワーク83を介してデータの送受信が可能な状態で接続されている。
【0115】
図11(b)に示す電子看板システム80では、管理者等によりPC81を用いて作成、編集がされた商品説明や企業名等を紹介するためのコンテンツ等を、通信ネットワーク83を介して異なる場所に設置された複数の電子看板82上に、同時に表示や更新をすることができる。ここで、上述した電子看板82は、例えば大型の液晶ディスプレイ等を用いており、このような大型の液晶ディスプレイ等においても上述した輝度制御装置を適用することで同様の効果を得ることができる。
【0116】
例えば、図11(b)に示す電子看板82においても、バックライト装置として配列された複数LEDに対して、上述した本実施形態における輝度制御装置を適用することにより、安定した輝度制御を行うことができる。なお、図11(b)においても、各LEDに対して上述したバイパス回路を設けておくことで、電子看板82は、断線時にも供給される電流を他のLEDに出力することができる。なお、本実施形態における輝度制御装置は、図11(b)に示すPC81の液晶ディスプレイのバックライト等にも同様に適用することができる。
【0117】
上述したように、本発明によれば、表示装置等のバックライトや照明装置に対する安定した輝度制御を行うことができる。つまり、表示装置等のバックライトや照明装置に対して常に安定した輝度とホワイトバランスを得ることができる。
【0118】
なお、本発明における輝度制御装置は、例えば、液晶表示パネル及び液晶表示パネルの裏面に配置されるバックライトとから構成される液晶表示装置に適用することができるが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば、TVやPCの画面、携帯端末、ゲーム機器、デジタルカメラ等のバックライトを具備する表示画面等の分野に広く適用することができる。
【0119】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0120】
10 輝度制御装置
11 PWM発信手段(パルス制御信号発信手段)
12 ディザリング手段
13 電圧制御手段
14 抵抗手段(電流調整手段)
15,72 LED(発光素子)
16 電流制御手段
21,73 ドライバIC(Integrated Circuit)
31 メモリ手段
32 素子電圧検出手段
33 ばらつき補正手段
41 LCDパネル
42,52 素子ブロック
51 素子エレメント
53 輝度制御ブロック
60 表示装置
61 映像処理手段
62 映像情報分析手段
63 ブロック情報取得手段
64 ブロック単位制御手段
65 バックライト駆動制御手段
66 バックライト手段
67 バックライト輝度補正手段
68 タイミング制御手段
69 表示手段
70 照明装置
71 ランプ本体
80 電子看板システム
81 PC
82 電子看板
83 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面に対する複数の発光素子からなるバックライトの輝度制御を行う輝度制御装置において、
予め設定される輝度制御信号に基づいて、前記複数の発光素子に対する駆動制御を行うためのパルス制御信号を発信させるパルス制御信号発信手段と、
前記パルス制御信号発信手段により得られるパルス制御信号の電圧を同色の発光素子毎に制御し、前記複数の発光素子の定常時の輝度ばらつきを補正する電圧制御手段と、
前記電圧制御手段により得られる制御された電圧値に基づいて、前記複数の発光素子毎に流れる電流を制御し、前記複数の発光素子の温度変動又は経時変化による輝度ばらつきを補正する電流制御手段とを有することを特徴とする輝度制御装置。
【請求項2】
前記電流制御手段により得られる輝度ばらつき補正後のパルス制御信号に対してディザリングを行うディザリング手段を有することを特徴とする請求項1に記載の輝度制御装置。
【請求項3】
前記ディザリング手段は、
1又は複数のグレーフレームを用いたグレーディミング処理により前記バックライトの輝度を制御することを特徴とする請求項2に記載の輝度制御装置。
【請求項4】
前記ディザリング手段は、
黒クレームの一部に複数画素からなる白の画素列を挿入し、前記白の画素列を移動させてディミング処理を行うか、又は白フレームに対して予め設定された複数の異なる画素領域からなる黒フレームを順次挿入したフレームを用いてディミング処理を行うことで前記バックライトの輝度を制御することを特徴とする請求項2に記載の輝度制御装置。
【請求項5】
前記複数の発光素子は、赤色、緑色、青色からなり、
前記電流制御手段は、前記赤色の発光素子における温度変動又は経時変化による輝度ばらつきを基準として、前記緑色及び前記青色の発光素子における温度変動又は経時変化による輝度ばらつきを補正することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の輝度制御装置。
【請求項6】
前記パルス制御信号発信手段は、
異なる発光素子に対する前記パルス制御信号の出力タイミングを制御することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の輝度制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の輝度制御装置と、前記輝度制御装置により制御されたバックライトにより照明される表示手段とを有する表示装置。
【請求項8】
複数の発光素子から発光された光により照明する照明装置において、
予め設定される輝度制御信号に基づいて、前記複数の発光素子に対する駆動制御を行うためのパルス制御信号を発信させるパルス制御信号発信手段と、
前記パルス制御信号発信手段により得られるパルス制御信号の電圧を同色の発光素子毎に制御し、前記複数の発光素子の定常時の輝度ばらつきを補正する電圧制御手段と、
前記電圧制御手段により得られる制御された電圧値に基づいて、前記複数の発光素子毎に流れる電流を制御し、前記複数の発光素子の温度変動又は経時変化による輝度ばらつきを補正する電流制御手段とを有することを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−118313(P2012−118313A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268153(P2010−268153)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年6月1日 PJ総合研究所発行の「PROJECTORS(VOL.23)」に発表
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【出願人】(508260108)有限会社ATRC (18)
【Fターム(参考)】