説明

農作業機

【課題】左作業部および右作業部の状態切換を容易にできる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機は、左作業部および右作業部を遠隔操作するためのリモコン操作手段51を備える。リモコン操作手段51は、左作業部のみを折畳非作業状態に切り換える際に押動操作する左閉ボタン53と、左作業部のみを展開作業状態に切り換える際に押動操作する左開ボタン54とを有する。リモコン操作手段51は、右作業部のみを折畳非作業状態に切り換える際に押動操作する右閉ボタン55と、右作業部のみを展開作業状態に切り換える際に押動操作する右開ボタン56とを有する。リモコン操作手段51は、左作業部および右作業部の両方を同時に折畳非作業状態に切り換える際に押動操作する両閉ボタン57と、左作業部および右作業部の両方を同時に展開作業状態に切り換える際に押動操作する両開ボタン58とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左作業部および右作業部の状態切換を容易に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、走行車であるトラクタの後部に連結される中央の本体部と、この本体部に回動可能に設けられ回動により折畳非作業状態および展開作業状態に選択的に切り換えられる左作業部および右作業部と、これら左作業部および右作業部を遠隔操作するためのリモコン操作手段とを備えている。そして、リモコン操作手段は、左作業部を選択する際に押動操作する左選択ボタンと、右作業部を選択する際に押動操作する右選択ボタンと、選択された左作業部または右作業部を折畳非作業状態に切り換える際に押動操作する閉ボタンと、選択した左作業部または右作業部を展開作業状態に切り換える際に押動操作する開ボタンとを有している。また、リモコン操作手段は、手動モードと自動モードとの切換の際に押動操作するモード切換用ボタンを有している。
【特許文献1】特開2006−166793号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の農作業機では、手動モード時において左作業部および右作業部の両方を折畳非作業状態(閉状態)に切り換える場合には、左選択ボタンおよび閉ボタンを同時に押動操作して左作業部を折畳非作業状態に切り換えた後、右選択ボタンおよび閉ボタンを同時に押動操作して右作業部を折畳非作業状態に切り換えるか、或いは、右選択ボタンおよび閉ボタンを同時に押動操作して右作業部を折畳非作業状態に切り換えた後、左選択ボタンおよび閉ボタンを同時に押動操作して左作業部を折畳非作業状態に切り換えるかであり、いずれの場合も複数のボタンを押動操作しなければならず、手間取るおそれがある。
【0005】
また同様に、手動モード時において左作業部および右作業部の両方を展開作業状態(開状態)に切り換える場合には、左選択ボタンおよび開ボタンを同時に押動操作して左作業部を展開作業状態に切り換えた後、右選択ボタンおよび開ボタンを同時に押動操作して右作業部を展開作業状態に切り換えるか、或いは、右選択ボタンおよび開ボタンを同時に押動操作して右作業部を展開作業状態に切り換えた後、左選択ボタンおよび開ボタンを同時に押動操作して左作業部を展開作業状態に切り換えるかであり、いずれの場合も複数のボタンを押動操作しなければならず、手間取るおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、左作業部および右作業部の状態切換を容易に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の農作業機は、走行車に連結される本体部と、この本体部に回動可能に設けられ、回動により折畳非作業状態および展開作業状態に選択的に切り換えられる左作業部および右作業部と、これら左作業部および右作業部を遠隔操作するためのリモコン操作手段とを備え、前記リモコン操作手段は、前記左作業部のみを折畳非作業状態に切り換える際に押動操作する左閉ボタンと、前記左作業部のみを展開作業状態に切り換える際に押動操作する左開ボタンと、前記右作業部のみを折畳非作業状態に切り換える際に押動操作する右閉ボタンと、前記右作業部のみを展開作業状態に切り換える際に押動操作する右開ボタンと、前記左作業部および前記右作業部の両方を同時に折畳非作業状態に切り換える際に押動操作する両閉ボタンと、前記左作業部および前記右作業部の両方を同時に展開作業状態に切り換える際に押動操作する両開ボタンとを有するものである。
【0008】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、リモコン操作手段は、リモコン本体を有し、左閉ボタン、両閉ボタンおよび右閉ボタンは、この順番で前記リモコン本体の表面一方側に左右方向に並設され、左開ボタン、両開ボタンおよび右開ボタンは、この順番で前記リモコン本体の表面他方側に左右方向に並設されているものである。
【0009】
請求項3記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、リモコン操作手段は、リモコン本体を有し、左閉ボタンおよび右閉ボタンは、この順番で前記リモコン本体の表面一方側に左右方向に並設され、左開ボタンおよび右開ボタンは、この順番で前記リモコン本体の表面他方側に左右方向に並設され、両閉ボタンは、前記リモコン本体の表面一方側のうち、前記左閉ボタンからの距離と前記右閉ボタンからの距離とが同じである位置に設けられ、両開ボタンは、前記リモコン本体の表面他方側のうち、前記左開ボタンからの距離と前記右開ボタンからの距離とが同じである位置に設けられているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、両閉ボタンの押動操作により左作業部および右作業部の両方を同時に折畳非作業状態に切り換えることができ、両開ボタンの押動操作により左作業部および右作業部の両方を同時に展開作業状態に切り換えることができるため、左作業部および右作業部の状態切換を容易に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、左閉ボタン、両閉ボタンおよび右閉ボタンは、この順番でリモコン本体の表面一方側に左右方向に並設され、左開ボタン、両開ボタンおよび右開ボタンは、この順番でリモコン本体の表面他方側に左右方向に並設されているため、ボタンの押し間違いによる誤作動を抑制でき、左作業部および右作業部の状態切換を容易かつ適切に行うことができる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、左閉ボタンおよび右閉ボタンは、この順番でリモコン本体の表面一方側に左右方向に並設され、左開ボタンおよび右開ボタンは、この順番でリモコン本体の表面他方側に左右方向に並設され、両閉ボタンは、リモコン本体の表面一方側のうち左閉ボタンからの距離と右閉ボタンからの距離とが同じである位置に設けられ、両開ボタンは、リモコン本体の表面他方側のうち左開ボタンからの距離と右開ボタンからの距離とが同じである位置に設けられているため、ボタンの押し間違いによる誤作動を抑制でき、左作業部および右作業部の状態切換を容易かつ適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の農作業機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1ないし図3において、1は農作業機で、この農作業機1は例えば走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結して使用する3分割折畳式の代掻機である。農作業機1は、トラクタの後部に連結された状態で、トラクタの走行により圃場を前方に移動しながら耕耘整地作業(代掻作業)等を行うものである。
【0015】
農作業機1は、トラクタの後部の3点リンク(作業機昇降支持装置)に連結され、トラクタからの動力によって耕耘整地作業をする左右方向長手状の本体部である中央作業部2を備えている。
【0016】
また、農作業機1は、中央作業部2の左右方向両端部に回動支点である前後方向の折畳用軸3を中心として上下方向に回動可能に設けられ、回動により折畳非作業状態(閉状態)および展開作業状態(開状態)に選択的に切り換えられ、展開作業状態時には中央作業部2からの動力によって耕耘整地作業をする左右方向長手状の左作業部(左延長作業部)5Lおよび右作業部(右延長作業部)5Rを備えている。すなわち中央作業部2の左側に左作業部5Lが折畳用軸3を中心として回動可能に設けられ、中央作業部2の右側に右作業部5Rが折畳用軸3を中心として回動可能に設けられている。
【0017】
さらに、農作業機1は、伸縮動作に基づいて左作業部5Lを中央作業部2に対して回動させる駆動源としての左回動駆動手段である左油圧シリンダ4Lと、右作業部5Rを中央作業部2に対して回動させる駆動源としての右回動駆動手段である右油圧シリンダ4Rとを備えている。
【0018】
そして、左作業部5Lおよび右作業部5Rは、いずれも左油圧シリンダ4Lおよび右油圧シリンダ4Rの作動に基づく折畳用軸3を中心とする展開方向への所定角度、例えば略180度回動により中央作業部2の外側方に位置する展開作業状態になり、折畳用軸3を中心とする折畳方向への所定角度、例えば略180度回動により中央作業部2の上方に位置する折畳非作業状態になる。
【0019】
中央作業部2は、トラクタの後部の3点リンクに連結される左右方向長手状の機体6と、機体6に回転可能に設けられトラクタからの動力によって所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘体(図示せず)と、機体6の後端部に上下方向に回動可能に設けられ耕耘体の後方で整地作業をする整地体8とを有している。
【0020】
機体6は、左右方向長手状のフレーム部11を有し、このフレーム部11の長手方向中央部にはギアボックス部12が連結され、このギアボックス部12から入力軸13が前方に向って突出している。入力軸13はトラクタのPTO軸(図示せず)にユニバーサルジョイントおよび伝動シャフト等を介して接続される。また、機体6は、耕耘体の上方を覆う耕耘カバー部17を有し、この耕耘カバー部17の後端部に整地体8の前端側が回動可能に取り付けられている。
【0021】
耕耘体は、互いに離間対向する伝動ケース部の下部とブラケット部の下部とにて回転可能に支持され、入力軸に接続しフレーム部11内および伝動ケース部内に収納した図示しない伝動手段から動力を受けて駆動回転する左右方向の耕耘軸である回転軸を有し、この回転軸にはこの回転軸とともに回転して耕耘作業をする複数の耕耘爪が取り付けられている。
【0022】
また、整地体8は、機体6の耕耘カバー部17の後端部に上下方向に回動可能に取り付けられた左右方向長手状の第1整地板(均平板)21と、この第1整地板21の後端部に上下方向に回動可能に取り付けられた左右方向長手状の第2整地板(レーキ)22とを有している。
【0023】
左作業部5Lおよび右作業部5Rは、左右対称の構成であるため、以後は左作業部5Lを中心としてその構成を説明し、右作業部5Rの各構成部材には、左作業部5Lの各構成部材の符号に付される「L」の代わりに「R」を付す。
【0024】
左作業部5Lは、中央作業部2の機体6の長手方向左端部に折畳用軸3を介してこの折畳用軸3を中心として上下方向に回動可能に取り付けられた折畳機体である延長機体31Lと、延長機体31Lに回転可能に設けられ中央作業部2の耕耘体からの動力によって所定方向に回転しながら耕耘作業をする折畳耕耘体である延長耕耘体(図示せず)と、延長機体31Lの後端部に上下方向に回動可能に設けられ中央作業部2の整地体8と連結された状態となって延長耕耘体の後方で整地作業をする折畳整地体である延長整地体33Lとを有している。
【0025】
延長耕耘体は、延長機体31Lにて回転可能に支持された回転軸を有し、この回転軸にはこの回転軸とともに回転して耕耘作業をする複数の耕耘爪が取り付けられている。
【0026】
また、延長整地体33Lは、延長機体31Lの耕耘カバー部34Lの後端部に上下方向に回動可能に取り付けられた左右方向長手状の第1延長整地板(延長均平板)36Lと、この第1延長整地板36Lの後端部に上下方向に回動可能に取り付けられた左右方向長手状の第2延長整地板(延長レーキ)37Lとを有している。
【0027】
第2延長整地板37Lの外端部には、補助整地板であるサイドレーキ38Lが支軸39Lを中心として回動可能に設けられている。また、延長機体31Lには、駆動源であるモータ40Lからの動力に基づいてサイドレーキ38Lを第2延長整地板37Lに対して回動させるレーキ回動手段41Lが設けられている。そして、サイドレーキ38Lは、レーキ回動手段41Lの作動に基づく支軸39Lを中心とする展開方向への所定角度、例えば略180度回動により第2延長整地板37Lの外側方に位置する展開作業状態(開状態)になり、支軸39Lを中心とする折畳方向への所定角度、例えば略180度回動により第2延長整地板37Lの上方に位置する折畳非作業状態(閉状態)になる。
【0028】
なお、第1延長整地板の内端部には、左作業部5Lの展開作業状態時に中央作業部2の第1整地板21の外端部と嵌合する嵌合部が形成され、第2延長整地板の内端部には、左作業部5Lの展開作業状態時に中央作業部2の第2整地板22の外端部と嵌合する嵌合部が形成されている。
【0029】
また一方、農作業機1は、駆動源であるモータ43からの動力に基づく作動により、整地体8および延長整地体33L,33Rを機体6および延長機体31L,31Rに対してロックして土引ロック状態にする土引ロック手段44を備えている。
【0030】
また、農作業機1は、CPU等にて構成された制御手段(図示せず)を備え、この制御手段には油圧シリンダ4L,4R、レーキ回動手段41L,41Rのモータ40L,40Rおよび土引ロック手段44のモータ43等が電気的に接続されている。また、制御手段には、左作業部5Lおよび右作業部5Rをトラクタ側から遠隔操作するためのユニット状の操作ボックス等のリモコン操作手段51が配線50により電気的に接続されている。
【0031】
リモコン操作手段51は、例えばトラクタの運転席付近に配置され、運転席に乗った作業者が操作可能なものである。リモコン操作手段51は、図4に示すように、横長状つまり左右方向長手状で正面視矩形状をなすリモコン本体52を有している。リモコン本体52の表面には、左作業部5Lのみを折畳非作業状態に切り換える際に押動操作する左閉ボタン53と、左作業部5Lのみを展開作業状態に切り換える際に押動操作する左開ボタン54と、右作業部5Rのみを折畳非作業状態に切り換える際に押動操作する右閉ボタン55と、右作業部5Rのみを展開作業状態に切り換える際に押動操作する右開ボタン56と、左作業部5Lおよび右作業部5Rの両方を同時に折畳非作業状態に切り換える際に押動操作する両閉ボタン57と、左作業部5Lおよび右作業部5Rの両方を同時に展開作業状態に切り換える際に押動操作する両開ボタン58とが設けられている。両閉ボタン57は左閉ボタン53と右閉ボタン55との間に配設され、両開ボタン58は左開ボタン54と右開ボタン56との間に配設されている。
【0032】
また、リモコン本体52の表面には、左作業部5Lのサイドレーキ38Lのみを折畳非作業状態に切り換える際に押動操作する左サイドレーキ閉ボタン61と、左作業部5Lのサイドレーキ38Lのみを展開作業状態に切り換える際に押動操作する左サイドレーキ開ボタン62と、右作業部5Rのサイドレーキ38Rのみを折畳非作業状態に切り換える際に押動操作する右サイドレーキ閉ボタン63と、右作業部5Rのサイドレーキ38Rのみを展開作業状態に切り換える際に押動操作する右サイドレーキ開ボタン64とが設けられている。
【0033】
さらに、リモコン本体52の表面には、土引ロック手段44を作動させて整地体8および延長整地体33L,33Rを土引ロック状態にする際に押動操作するロック用ボタン65と、土引ロック手段44を作動させて土引ロック状態を解除して代掻フリー状態にする際に押動操作する解除用ボタン66と、電源をオンオフする際に押動操作する電源用ボタン67と、電源オン状態時に点灯し電源オフ状態時に消灯する電源ランプ68とが設けられている。
【0034】
左閉ボタン53、左開ボタン54、右閉ボタン55、右開ボタン56、両閉ボタン57、両開ボタン58、左サイドレーキ閉ボタン61、左サイドレーキ開ボタン62、右サイドレーキ閉ボタン63、右サイドレーキ開ボタン64、ロック用ボタン65および解除用ボタン66は、いずれも同じ押しボタン式のもので、押動操作されている間のみ、対応する駆動源が作動するようになっている。なお、サイドレーキ38L,38Rが展開作業状態の場合に、左閉ボタン53、両閉ボタン57、右閉ボタン55が押動操作されたときには、サイドレーキ38L,38Rを折畳非作業状態にする必要があるため、作業部5L,5Rが折畳方向に回動するとともに、サイドレーキ38L,38Rが折畳方向に回動する。
【0035】
また、左サイドレーキ閉ボタン61、左閉ボタン53、両閉ボタン57、右閉ボタン55、右サイドレーキ閉ボタン63およびロック用ボタン65は、この順番でリモコン本体52の表面上方側に互いに等間隔をおいて左右方向に並設されている。左サイドレーキ開ボタン62、左開ボタン54、両開ボタン58、右開ボタン56、右サイドレーキ開ボタン64および解除用ボタン66は、この順番でリモコン本体52の表面下方側に互いに等間隔をおいて左右方向に並設されている。
【0036】
次に、上記農作業機1の作用等を説明する。
【0037】
例えば図3に示す状態から図1に示すように農作業機1の幅を最大にする場合には、作業者は、リモコン操作手段51の両開ボタン58を押動操作する。両開ボタン58が押動操作されると、左油圧シリンダ4Lおよび右油圧シリンダ4Rが縮み動作し、左作業部5Lおよび右作業部5Rの両方が同時に折畳用軸3を中心に略180度回動して折畳非作業状態から展開作業状態になる。なお、左作業部5Lおよび右作業部5Rが略180度回動する前に、作業者が両開ボタン58から手を離すと、その時点で左作業部5Lおよび右作業部5Rは停止する。
【0038】
また、作業終了後等において例えば図1に示す状態から図3に示すように農作業機1の幅を最小にする場合には、作業者は、リモコン操作手段51の両閉ボタン57を押動操作する。両閉ボタン57が押動操作されると、左油圧シリンダ4Lおよび右油圧シリンダ4Rが伸び動作し、左作業部5Lおよび右作業部5Rの両方が同時に折畳用軸3を中心に略180度回動して展開作業状態から折畳非作業状態になる。なお、左作業部5Lおよび右作業部5Rが略180度回動する前に、作業者が両閉ボタン57から手を離すと、その時点で左作業部5Lおよび右作業部5Rは停止する。
【0039】
さらに、作業途中等において図1に示す状態から図2に示すように左作業部5Lおよび右作業部5Rのいずれか一方のみ、例えば右作業部5Rのみを折り畳む場合には、作業者は、リモコン操作手段51の右閉ボタン55を押動操作する。右閉ボタン55が押動操作されると、右油圧シリンダ4Rが伸び動作し、右作業部5Rのみが折畳用軸3を中心に略180度回動して展開作業状態から折畳非作業状態になる。
【0040】
そして、このような農作業機1によれば、1つの両閉ボタン57を押動操作することのみによって左作業部5Lおよび右作業部5Rの両方を同時に折畳非作業状態に切り換えることができ、また1つの両開ボタン58を押動操作することのみによって左作業部5Lおよび右作業部5Rの両方を同時に展開作業状態に切り換えることができるため、左作業部5Lおよび右作業部5Rの状態切換を容易に行うことができ、作業効率の向上を図ることができ、しかも、作業者は片手で両閉ボタン57や両開ボタン58を押動操作可能であるため、安全性の向上も図ることができる。
【0041】
また、少なくとも左閉ボタン53、両閉ボタン57および右閉ボタン55はこの順番でリモコン本体52の表面上方側に左右方向に並設され、少なくとも左開ボタン54、両開ボタン58および右開ボタン56はこの順番でリモコン本体52の表面下方側に左右方向に並設されているため、ボタンの押し間違いによる誤作動を抑制でき、左作業部5Lおよび右作業部5Rの状態切換を容易かつ適切に行うことができる。
【0042】
なお、ボタンの配列は図4に示す以外に、例えば図5に示す配列でもよい。この図5に示すリモコン操作手段51は、左右方向長手状で上辺の左右方向中央部が上方に膨出し下辺の左右方向中央部が下方に膨出した形状をなすリモコン本体52を有している。すなわちリモコン本体52は、左右方向中央部上側に上方膨出部52aを有し、左右方向中央部下側に下方膨出部52bを有している。
【0043】
そして、この図5に示すリモコン操作手段51では、左サイドレーキ閉ボタン61、左閉ボタン53、右閉ボタン55、右サイドレーキ閉ボタン63およびロック用ボタン65はこの順番でリモコン本体52の表面上方側に左右方向に並設されている。また、左サイドレーキ開ボタン62、左開ボタン54、右開ボタン56、右サイドレーキ開ボタン64および解除用ボタン66はこの順番でリモコン本体52の表面下方側に左右方向に並設されている。
【0044】
さらに、両閉ボタン57はリモコン本体52の表面上方側のうち左閉ボタン53からの距離と右閉ボタン55からの距離とが同じである位置に設けられ、両開ボタン58はリモコン本体52の表面下方側のうち左開ボタン54からの距離と右開ボタン56からの距離とが同じである位置に設けられている。すなわち両閉ボタン57は左閉ボタン53および右閉ボタン55間の上方に位置するように上方膨出部52aに設けられ、両開ボタン58は左開ボタン54および右開ボタン56間の下方に位置するように下方膨出部52bに設けられている。
【0045】
なお、上記実施の形態では、リモコン操作手段51は横長状である左右方向長手状のリモコン本体52を有する構成について説明したが、例えば縦長状である上下方向長手状のリモコン本体52を有する構成等でもよい。
【0046】
また、各ボタンの配列は図4および図5に示す例には限定されず、例えば左閉ボタン53、左開ボタン54、右閉ボタン55、右開ボタン56、両閉ボタン57および両開ボタン58の6つのボタン以外の各ボタンの配列は任意である。さらに、各ボタンの表面およびリモコン本体52の表面に表示される文字等も任意である。
【0047】
また、左作業部5Lおよび右作業部5Rの回動角度は180度以外で、例えば150度、90度等でもよい。
【0048】
さらに、農作業機1の本体部は、耕耘体および整地体等を有しない構成でもよい。
【0049】
また、上記実施の形態では、本体部の進行方向左側に設けられた作業部を左作業部5Lとし、本体部の進行方向右側に設けられた作業部を右作業部5Rとして説明したが、例えば本体部の正面視左側に設けられた作業部を左作業部5Lとし、本体部の正面視右側に設けられた作業部が右作業部5Rとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機の背面図である。
【図2】同上農作業機の一方の作業部を折り畳んだ状態の正面図である。
【図3】同上農作業機の両方の作業部を折り畳んだ状態の正面図である。
【図4】同上農作業機のリモコン操作手段を示す正面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態のリモコン操作手段を示す正面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 農作業機
2 本体部である中央作業部
5L 左作業部
5R 右作業部
51 リモコン操作手段
52 リモコン本体
53 左閉ボタン
54 左開ボタン
55 右閉ボタン
56 右開ボタン
57 両閉ボタン
58 両開ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車に連結される本体部と、
この本体部に回動可能に設けられ、回動により折畳非作業状態および展開作業状態に選択的に切り換えられる左作業部および右作業部と、
これら左作業部および右作業部を遠隔操作するためのリモコン操作手段とを備え、
前記リモコン操作手段は、
前記左作業部のみを折畳非作業状態に切り換える際に押動操作する左閉ボタンと、
前記左作業部のみを展開作業状態に切り換える際に押動操作する左開ボタンと、
前記右作業部のみを折畳非作業状態に切り換える際に押動操作する右閉ボタンと、
前記右作業部のみを展開作業状態に切り換える際に押動操作する右開ボタンと、
前記左作業部および前記右作業部の両方を同時に折畳非作業状態に切り換える際に押動操作する両閉ボタンと、
前記左作業部および前記右作業部の両方を同時に展開作業状態に切り換える際に押動操作する両開ボタンとを有する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
リモコン操作手段は、リモコン本体を有し、
左閉ボタン、両閉ボタンおよび右閉ボタンは、この順番で前記リモコン本体の表面一方側に左右方向に並設され、
左開ボタン、両開ボタンおよび右開ボタンは、この順番で前記リモコン本体の表面他方側に左右方向に並設されている
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
リモコン操作手段は、リモコン本体を有し、
左閉ボタンおよび右閉ボタンは、この順番で前記リモコン本体の表面一方側に左右方向に並設され、
左開ボタンおよび右開ボタンは、この順番で前記リモコン本体の表面他方側に左右方向に並設され、
両閉ボタンは、前記リモコン本体の表面一方側のうち、前記左閉ボタンからの距離と前記右閉ボタンからの距離とが同じである位置に設けられ、
両開ボタンは、前記リモコン本体の表面他方側のうち、前記左開ボタンからの距離と前記右開ボタンからの距離とが同じである位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−273373(P2009−273373A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124945(P2008−124945)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】