説明

農作業機

【課題】曲がり爪にかかる負荷を小さくでき、適切な農作業ができる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、圃場を耕耘する耕耘爪22と曲がり爪23を設けた耕耘ロータリー20と土の飛散を規制する側板61を備えた耕耘カバー60とを設け、耕耘爪22の回転径よりも小さい回転径の曲がり爪23を前記側板61の近傍に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車に連結して走行車の走行にて農作業をする農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作業機おいて、図4のように側板の内側への土の付着を抑えるために耕耘爪と同じ回転径の曲がり爪が側板近傍に配置されている。
【特許文献1】特開平6−70601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の農作業機では、曲がり爪は衝撃に弱く、側板に付着した土からの土圧を受け、破損あるいは折れ曲がり、土の付着を抑える効果を十分に発揮できていない。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、曲がり爪にかかる負荷を小さくでき、適切な農作業ができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、耕耘爪の回転径よりも小さい回転径の曲がり爪を側板の近傍に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の農作業機は、耕耘爪の回転径よりも小さい回転径の曲がり爪を側板の近傍に設けたことにより、回転径の大きな耕耘爪で側板に付着した外周側の土の壁に亀裂を入れることができ、土を落とし易くしたので、曲がり爪に大きな土圧がかかることがなくなり、曲がり爪による土落とし効果がより多く発揮できる。さらに、曲がり爪にかかる負荷が小さくなり、破損や折れ曲がりがなくなり、安定した農作業を行うことができるとともに、曲がり爪の寿命を延ばすことができる。また、曲がり爪の先端部が側板に対して反対側を向いているので、側板に付着した土を塊状態で落とすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の農作業機の一実施の形態を図1ないし図3を参照して説明する。
【実施例1】
【0008】
図1ないし図3において、1は牽引式の農作業機で、この農作業機1は連結部2を備え、トラクタ50(省略図)に連結部2が連結されてトラクタ50の走行にて畦に沿って移動しながら畦塗り作業を行うものである。
【0009】
そして、フレーム3の略中央部には入力軸4が突設し、この入力軸4の先端側は、トラクタ50のPTO軸(図示せず)とジョイント(図示せず)を介して連結されている。さらに、入力軸4の基端側はジョイント6の先端側と連結され、ジョイント6の他端側はミッションフレーム8内の軸(図示せず)と連結されている。
【0010】
また、農作業機1は連結アーム7を備えており、連結アーム7の基端部はフレーム3に回動可能に取り付けられ、他端部はミッションフレーム8に回動可能に取り付けられている。このミッションフレーム8には畦塗り体9が組み付けられており、さらに、畦塗り体9の前方に位置する耕耘ロータリー20がミッションフレーム8に組み付けられている。
【0011】
そして、耕耘ロータリー20の上方には、耕耘部カバー60が設けられ、進行方向の左側方には側板61、右側方には上下調節可能な規制カバー62がそれぞれ設けられている。
【0012】
そして、ミッションフレーム8内には、トラクタ50のPTO軸より伝達された動力により畦塗り体9及び耕耘ロータリー20を回転させる図示しないギヤ及び軸等が組み込まれている。
【0013】
さらに、耕耘ロータリー20は左右方向の回転軸21を有し、この回転軸21の外周に間隔をおいた状態で複数列の耕耘爪22が配設されている。そして、側板61に最も近い列には、耕耘爪22の回転径よりも小さい回転径の曲がり爪23の先端部が側板61に対して反対側を向いて配設されている。そして、耕耘ロータリー20は、旧畦の一部及び圃場を耕耘して旧畦上に土を跳ね上げる。
【0014】
また、畦塗り体9は側面修復体10と上面修復体11とで構成されており、作業時にはトラクタの走行速度より速く回転するスリップ回転で、旧畦上に跳ね上げられた土を塗り付け成形していく。
【0015】
さらに、農作業機1のオフセット量を任意調節できるシリンダー40がフレーム3とミッションフレーム8に掛け渡されている。
【0016】
次に、上記農作業機1の畦塗り作業を行う場合について説明する。
【0017】
農作業機1を適切な高さでトラクタ50に連結し、トラクタ50の車輪を旧畦に沿わせながら進行方向Xに走行させると、農作業機1が旧畦に沿って移動する。そして、トラクタ50のPTO軸からの動力が入力軸4及びジョイント6等を介してミッションフレーム8内の軸及びギヤに伝達され、耕耘ロータリー20と畦塗り体9が回転する。さらに、農作業機1の移動により、耕耘ロータリー20で畦塗り用の土が耕耘されて跳ね上げられ、この跳ね上げられた所望の量の土が畦塗り体9で旧畦に塗り付けられて成形され、新畦が形成される。
【0018】
上記実施の形態によれば、耕耘ロータリー20の側板61に最も近い列には、耕耘爪22の回転径よりも小さい回転径の曲がり爪23が、その先端部を側板61に対して反対側を向いて配設されているので、回転径の大きな耕耘爪22で側板61に付着した外周側の土の壁に亀裂を入れることができ、土を落とし易くしたので、曲がり爪23に大きな土圧がかかることがなくなり、曲がり爪23による土落とし効果がより多く発揮できる。
【0019】
さらに、曲がり爪23にかかる負荷が小さくなり、破損や折れ曲がりがなくなり、安定した農作業を行うことができるとともに、曲がり爪23の寿命を延ばすことができる。また、図3のように曲がり爪23の先端部が側板61に対して反対側を向いているので、側板61に付着した土を塊状態で落としやすくなっている。
【0020】
また、本実施の形態の農作業機1である畦塗り機に限らず、ロータリー作業機、溝掘機等の側板を備えた全ての機械に同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による農作業機の平面図である。
【図2】本発明の耕耘ロータリーの拡大図である。
【図3】本発明の耕耘ロータリーの一部拡大図である。
【図4】従来の耕耘ロータリーの一部拡大図である。
【符号の説明】
【0022】
1 農作業機
2 連結部
3 フレーム
4 入力軸
6 ジョイント
7 連結アーム
8 ミッションフレーム
9 畦塗り体
10 側面修復体
11 上面修復体
20 耕耘ロータリー
21 回転軸
22 耕耘爪
23 曲がり爪
40 シリンダー
50 トラクタ
60 耕耘カバー
61 側板
62 規制カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を耕耘する耕耘爪と曲がり爪を設けた耕耘ロータリーと前記耕耘ロータリーで耕耘された土の飛散を規制する側板を備えた耕耘カバーとを設けた農作業機において、前記耕耘爪の回転径よりも小さい回転径の曲がり爪を前記側板近傍に設けたことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
前記曲がり爪は、先端が側板に対して反対側に向いていることを特徴とする請求項1記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−82077(P2009−82077A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257046(P2007−257046)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】