説明

農作業機

【課題】本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに装着され、トラクタの基本情報及びトラクタの状態情報に基いて適切に制御可能な動作部を有する農作業機を提供することを目的とする。
【解決手段】制御部3は、あらかじめ記憶部に記憶されたトラクタに関する情報であるトラクタ基本情報101に基づき計算される基本動作パターンをトラクタから取得したトラクタ状態情報102により修正して実動作パターンを計算し、実動作パターンに基づいて、検出部8からの情報により動作部で目的の動作をさせるためにアクチュエータ7の稼動を制御することで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機に関し、特に、トラクタに装着され、トラクタの基本情報及びトラクタの状態情報に基いて適切に制御可能な動作部を有する農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタは、各メーカーごとに、また型式ごとに車格や旋回性および走行速度の切替段数や変速比が異なっており、オフセット作業機では、作業時のオフセット位置を、手動や油圧及び電動装置を操作して作業者が設定する必要があり、施肥作業機や播種作業機では、散布量や播種量はPTO駆動型では、作業者が設定する必要があった。
【0003】
また、特許文献1には、作業機のICタグを読み取り、作業機に応じて、トラクタ側の自動制御機能の自動設定を行うことができる農作業機が記載されている。
【特許文献1】特開2006−296261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記作業機の設定を、作業者が各トラクタごとに車速等に合わせて調整するのは煩雑であり、困難な場合も存在する。
【0005】
また、特許文献1に記載の農作業機は、トラクタ側の制御に係るものである。
【0006】
さらに、トラクタの車速等の状態は、作業に応じて変化させる場面はよく存在しこれに対応しなければ的確な作業ができない場合が多い。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに装着され、トラクタの基本情報及びトラクタの状態情報に基いて適切に制御可能な動作部を有する農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の農作業機は、トラクタに装着され農作業を行う農作業機において、記憶部を有し現在のトラクタの状態を知らせるトラクタ状態情報をトラクタから取得する制御部と、アクチュエータと、当該アクチュエータの稼動により動作する動作部と、前記アクチュエータの稼動又は前記動作部の動作を検出する検出部とを有し、前記制御部は、あらかじめ前記記憶部に記憶されたトラクタに関する情報であるトラクタ基本情報に基づき計算される基本動作パターンをトラクタから取得したトラクタ状態情報により修正して実動作パターンを計算し、当該実動作パターンに基づいて、前記検出部からの情報により前記動作部で目的の動作をさせるために前記アクチュエータの稼動を制御することを特徴とする。
【0009】
さらに本発明の農作業機は、当該農作業機は畦塗り機であって、前記トラクタに装着する装着部と、畦塗り作業をする作業部と、連結フレームと、第1のシリンダーと、第2のシリンダーとを有し、前記装着部と前記連結フレームは第1のシリンダーの稼動により動くリンク機構で接続され、前記連結フレームと前記作業部は回動可能に連結されて前記第2のシリンダーの稼動により回動し、前記アクチュエータが前記第1のシリンダー及び前記第2のシリンダーであって、前記動作部が前記作業部であって、前記トラクタ基本情報は前記トラクタの全長、回転半径及び走行速度であり、前記トラクタ状態情報がトラクタの現在の旋回による回転半径とトラクタの現在の走行速度の少なくともいずれか一つを含む情報であり、前記制御部は、トラクタの旋回にもかわらず前記作業部が旧畦にそって進行するように前記第1のシリンダー及び前記第2のシリンダーを制御することを特徴とする。
さらに本発明の農作業機は、当該農作業機は畦塗り機であって、前記トラクタに装着する装着部と、畦塗り作業をする作業部と、中間フレームと、第1シリンダーと、第2シリンダーとを有し、前記装着部と前記中間フレームは回動可能に連結されて前記第1シリンダーの稼動により回動し、前記中間フレームと前記作業部は回動可能に連結されて前記第2シリンダーの稼動により回動し、前記アクチュエータが前記第1シリンダー及び前記第2シリンダーであって、前記動作部が前記作業部であって、前記トラクタ基本情報は前記トラクタの全長、回転半径及び走行速度であり、前記トラクタ状態情報がトラクタの現在の旋回による回転半径とトラクタの現在の走行速度の少なくともいずれか一つを含む情報であり、前記制御部は、トラクタの旋回にもかわらず前記作業部が旧畦にそって進行するように前記第1シリンダー及び前記第2シリンダーを制御することを特徴とする。
さらに本発明の農作業機は、操作部を有し、当該操作部の操作により前記アクチュエータを強制的に操作可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、農作業機において、トラクタの基本情報及びトラクタの状態情報に基いて動作部を適切に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の農作業機が有する動作部制御システムの一実施形態を示すシステム構成図である。図2は、本発明の農作業機が有する動作部制御システムの一実施形態を示すソフト構成図である。
【0013】
本発明の農作業機が有する動作部制御システムは、制御部3と、操作部5と、作業機アクチュエータ7と、動作検出部8と、作業機位置方向検出部9を有している。
【0014】
作業機アクチュエータ7は、トラクタに装着される農作業機の動作部を動かすために備えつけられている。そして、作業機アクチュエータ7が動作することにより、農作業機に必要な動作部を動かす構成となっている。作業機アクチュエータ7の例として、モーター、パワーシリンダー、電動油圧シリンダー、油圧バルブとシリンダーなどがある。
【0015】
動作検出部8は、センサー等で構成されており、作業機アクチュエータ7の直接の稼動状態や、動作部の動作状態を検知することができ、その検知した内容を制御部3に検知信号として出力する。
【0016】
制御部3は、CPU等の本発明の制御に必要な電子デバイスで構成される。作業機アクチュエータ7を稼動させるために、計算した必要な命令を出力する。そして、動作検出部8で検知した情報をもとに実動作パターンにそった制御を行う。実動作パターンによる制御は後述する。制御部3は適した場所に設置される。操作部5と一体であってもよい。
【0017】
操作部5は、作業者1の操作により制御部に操作信号を送信し、制御部3の制御にかかわらず、作業機アクチュエータ7を強制的に稼動させることを可能とする。作業者が、制御部3の制御にかかわらず強制的に作業機アクチュエータ7を動かしたい場合に対応するものである。また、操作部5では、制御部3からの信号により作業者に動作状況を(例えば、LEDや、表示パネル、音などで)知らせることができる。
【0018】
トラクタ15は、本発明の農作業機を装着するトラクタであって、制御部3はトラクタ15からのトラクタ状態情報信号を受信する。
【0019】
作業機位置方向検出部9は、必要に応じて農作業機側に取り付けられ、補助として、検知信号を制御部3に送信する。
【0020】
制御部3の制御について、図2を中心に説明する。トラクタ基本情報101は、作業者等によりあらかじめ制御部3に記憶させておく。制御部3には、このために必要な記憶部を有している。なお、この記憶部は取替え可能な記憶媒体であってもよい。トラクタ基本情報101は、例えば、走行性能、車体寸法、旋回性能等のトラクタ側に関する情報であり、制御部3が作業機アクチュエータ7を制御するために必要な情報である。そして、基本動作パターンプログラム201は、トラクタ基本情報101をもとに、標準舵角・標準車速等の標準値に対する時間毎の農作業機動作パターンを計算する。
【0021】
トラクタ状態情報102は、現在のトラクタの状態を示す信号であって、例えば、トラクタの現在の車速、トラクタの現在の旋回による回転半径に関する情報(舵角)、トラクタが装着する農作業機の上げ下げのポジションに関する情報等があげられる。そして、実動作パターンプログラム202は、トラクタ状態情報102をもとに、実動作パターンを計算し、それに基づき作業機アクチュエータ7を稼動させる。また、必要があれば、作業機位置方向検出部9の検知信号も考慮し実動作パターンを計算することもできる。
【0022】
すなわち、トラクタ基本情報101のなかで、トラクタ状態情報102が得られる場合は、トラクタ状態情報102により(トラクタ基本情報から得られる標準値からのずれを計算する等により)実動作パターンを計算させている。これにより、トラクタ基本情報101だけの場合は、作業者は基本動作パターンプログラム201で定められている標準値にあわせてトラクタを操作(運転)しなければならなかったのに対し、実動作パターンプログラム202を考慮すれば、作業者の操作が標準値からずれたとしてもそれを補正することが可能となる。
【0023】
以上の動作部制御システムを有する具体的な農作業機について以下に述べる。
【実施例1】
【0024】
図3は、本発明の実施例1の畦塗り機を示す平面図である。実施例1の農作業機は、畦塗り機である。この畦塗り機は、装着部20側をトラクタの後部に装着され、トラクタからの(図示しない)動力はジョイント等を介して、作業部27側へ送られる。作業部27では、耕耘部25で旧畦の土をかき上げ、ディスク部26で畦を形成する構成となっている。
【0025】
装着部20と、作業部27の連結について説明する。
【0026】
装着部20と連結フレーム21は、2つの第1アーム16と、第2アーム17を介してリンク機構で連結されている。第1アーム16は、水平方向に回動可能な第1支点31と第2支点32で、第2アーム17は、水平方向に回動可能な第3支点33と第4支点34でそれぞれ装着部20と連結フレーム21に連結されている。第1アーム16の長さは、第2アーム17の長さより短くなっており、そのため、これらにより擬似平行リンクを形成している。そして、装着部20と連結フレーム21は、第1のシリンダー11によりその位置を変えることが可能となっている。
【0027】
この擬似平行リンクは、図3の状態では、連結フレーム21が装着部20に対し横方向にほぼ平行に動き、一方、連結フレーム21を図3の状態から左側に大きく動かすと連結フレーム21が右方向に回転する。このことにより、図4から図6に示されるように作業部27の連結フレーム21に対する回動が(2つのアームが同じ長さの平行リンクより)少なくてすむようになっている。
【0028】
一方、連結フレーム21と作業部27は、水平方向に回動可能な支点である回動支点30で連結されており、作業部27は連結フレーム21に対して回動可能となり、この回動による角度は、第2のシリンダー12の稼動により変えることができる。
【0029】
図4は、本発明の実施例1の畦塗り機の作業の軌跡を示す図であり、図5は、図4におけるBの状態を示す図である。図6は、図4におけるCの状態を示す図である。トラクタ15に装着された畦塗り機が圃場の角に来た場合、トラクタ15の先端が圃場の際まで来てしまい、トラクタの長さ分だけ畦塗り作業ができない。このため、図4のように、トラクタ15を旋回させて、畦塗り機の作業部27をそのトラクタ15の旋回によっても旧畦にそったまっすぐな畦13を形成するように制御すれば、圃場の角まで畦塗り作業が可能となる。
【0030】
畦塗り機は、トラクタ15が圃場の角近傍に達するAAの位置から、トラクタ15のハンドルを切ってBBの位置へ移動し停止する。この間、第1のシリンダー11と第2のシリンダー12を制御して、作業部27がAの位置からBの位置まで圃場の旧畦13にそってまっすぐに塗れるようにする。次に、トラクタ15がBBの位置で停止したまま第1のシリンダー11と第2のシリンダー12のみを制御して、作業部27をBの位置からCの位置へ移動させる。これにより、圃場の角まで畦を塗ることがきる。
【0031】
畦塗り機のAの位置からBの位置までの制御について述べる。Aの位置では、畦塗り機は図3の状態である。そして、第1のシリンダー11を縮めていく。すると、擬似平行リンクが動き、連結フレーム21は、装着部20に対して中側(トラクタ進行方向に対して左側)へ移動し、かつ、連結フレーム21の角度が外側(右方向)に回転する。あわせて、第2のシリンダー12を伸ばして、連結フレーム21に対して、作業部27を右方向にさらに回転させる。これにより、図3の状態から図5の状態となる。第1のシリンダー11と第2のシリンダー12は、トラクタの動きに合わせて制御される。
【0032】
さらに、BからCの位置までの制御は、第1のシリンダー11は伸ばしていき、第2のシリンダー12も伸ばしていく。このことにより、作業部27をトラクタ15の全長方向に対して右方向に移動し、かつ、作業部27が右回転する。これにより、トラクタ15が止まったまま、旧畦13にそって圃場の角まで作業部27を移動させることができる。
【0033】
また、装着部20と連結フレーム21の状態を知るために、第1の回転角度センサー35を例えば、第3支点33に有し、連結フレーム21と作業部27の状態を知るために、第2の回転角度センサー36を回動支点30に有している。
【0034】
本実施例において、AからCまでの畦塗り作業において、第1のシリンダー11と第2のシリンダー12を制御し、まっすぐな畦塗り作業を行うには、少なくとも、トラクタ15の全長と、旋回時の回転半径と、走行速度を知る必要がある。
【0035】
この実施例1の場合は、具体的には、作業機が図3〜図6で示されている畦塗り機であり、トラクタの基本情報が「全長、回転半径、走行速度」であり、作業機アクチュエータ7が第1のシリンダー11及び第2のシリンダー12であり、動作検出部8が第1の回転角度センサー35及び第2の回転角度センサー36であり、動作部が作業部27となる。そして、トラクタ状態情報が、「トラクタの現在の旋回による回転半径に関する情報(舵角)、トラクタの現在の車速」であれば、上記、トラクタ基本情報の「回転半径」をトラクタ状態情報の「舵角」に、トラクタ基本情報の「走行速度」をトラクタ状態情報の「現在の車速」で修正して実動作パターンを計算し制御を行う。この修正は、例えば、「現在の車速」が標準値より遅くなればその分シリンダーの動きを遅くする制御をすれば、図4で示した軌跡をたどれることになる。
【0036】
これにより、実施例1では、制御部3は、計算された実動作パターンから、Aの位置からトラクタ15を旋回し始めてから、旧畦にそったまっすぐな畦を塗るために、時間ごとの第1の回転角度センサー35及び第2の回転角度センサー36の角度を計算し、その角度になるように第1のシリンダー11及び第2のシリンダー12を制御することで、たとえ途中のトラクタの操作で走行速度や舵角が標準値からずれても、まっすぐな畦を塗ることが可能となる。そして、トラクタ15の停止位置BBは、例えば、速度と時間を計算した結果、制御部3からの指令により操作部5の音や光のサインで停止するタイミングを知らせることが可能となる。トラクタの停止位置BBでは、BからCのように第1のシリンダー11と第2のシリンダー12を制御して畦塗り作業を行う。なお、動作検出部8は回転角度センサーでなくとも、装着部20と連結フレーム21の位置関係、連結フレーム21と作業部27の角度が直接又は間接的に分かるセンサー類であればよい。すなわち、第1のシリンダー11及び第2のシリンダー12の状態が直接わかるセンサーであってもよい。
【0037】
なお、トラクタ状態情報が、「トラクタの現在の旋回による回転半径に関する情報(舵角)」か「トラクタの現在の車速」のいずれかののみの場合であっても、トラクタ基本情報のみの場合より正確性の向上した制御が可能となる。
【実施例2】
【0038】
図7は、本発明の実施例2の畦塗り機を示す平面図である。この畦塗り機はトラクタ15の後部に装着フレーム40により装着される。トラクタ15からの動力は、中間フレーム41内を通じ、軸、ギア、チェーン、歯車などにより、耕耘部25とディスク部26の作業部27に伝達される。そして、耕耘部25で旧畦の土をかき上げ、ディスク部26で畦を形成する構成である。
【0039】
装着フレーム40と作業部27の間は、水平方向に回動可能な装着フレーム40側の第1支点42と作業部27側の第2支点43により連結された中間フレーム41で構成さる。第1シリンダー44は、装着フレーム40側の第1の支点45と、中間フレーム41側の第2の支点46に水平回動可能に装着され、第1シリンダー44の稼動により、中間フレーム41を装着フレーム40に対して第1支点42を中心として回動させることができる。また第2シリンダー47は、中間フレーム41側の第3の支点48と、作業部27側の第4の支点49に水平回動可能に装着され、第2シリンダー47の稼動により、作業部27を中間フレーム41に対して第2支点43を中心として回動させることができる。
【0040】
第1支点42には、第1回転角度センサー53を有し、中間フレーム41が、装着フレーム40に対して第1支点42を中心としてどれだけの角度、回転しているかを測定することができる。また、第2支点43には、第2回転角度センサー54を有し、作業部27が、中間フレーム41に対して第2支点43を中心としてどれだけの角度、回転しているかを測定することができる。
【0041】
図8と図9は、本発明の実施例2の畦塗り機の作業の軌跡を示す各図である。トラクター15に装着された畦塗り機が圃場の角に来た場合、トラクタ15の先端が圃場の際まで来てしまい、トラクタの長さ分だけ畦塗り作業ができない。このため、図8のように、トラクタ15をR1〜R2へと旋回させて、畦塗り機の作業部27をそのトラクタ15の旋回によっても旧畦にそったまっすぐな畦13を形成するように制御すれば、圃場の角まで畦塗り作業が可能となる。なお、60は、トラクタ旋回時の前輪外端軌跡の円であり、61は、トラクタの走行軌跡(後車軸中心位置)である。
【0042】
図9において、P1〜P12は、トラクタ15の旋回し始めから、圃場の角までの畦塗り作業が終わるまでの第1支点42の軌跡を示したものである。一方、Q1〜Q12は、同じく第2支点43の軌跡を示したものである。Q1〜Q10までは、トラクタ15を旋回走行しながら、第1シリンダー44と第2シリンダー47を制御して、旧畦にそったまっすぐな畦13を形成していく。そして、Q10〜Q12は、トラクタ15は停止した状態で、第1シリンダー44と第2シリンダー47を制御して、畦塗り作業を行う。これにより、圃場の角までの畦塗り作業が可能となる。
【0043】
本実施例において、Q1〜Q12までの畦塗り作業において、第1シリンダー44と第2シリンダー47を制御し、まっすぐな畦塗り作業を行うには、少なくとも、トラクタ15の全長と、旋回時の回転半径と、走行速度を知る必要がある。
【0044】
この実施例2の場合は、具体的には、作業機が図7で示された畦塗り機であり、トラクタの基本情報が「全長、回転半径、走行速度」であり、作業機アクチュエータ7が第1シリンダー44及び第2シリンダー47であり、動作検出部8が第1回転角度センサー53及び第2回転角度センサー54であり、動作部が作業部27となる。そして、トラクタ状態情報が、「トラクタの現在の旋回による回転半径に関する情報(舵角)、トラクタの現在の車速」であれば、上記、トラクタ基本情報の「回転半径」をトラクタ状態情報の「舵角」に、トラクタ基本情報の「走行速度」をトラクタ状態情報の「現在の車速」で修正して実動作パターンを計算し制御を行う。この修正は、例えば、「現在の車速」が標準値より遅くなればその分シリンダーの動きを遅くする制御をすれば、図8、9で示した軌跡をたどれることになる。
【0045】
これにより、実施例2では、制御部3は、計算された実動作パターンから、図8のR1の位置からトラクタ15を旋回し始めてから、旧畦にそったまっすぐな畦を塗るために、時間ごとの第1回転角度センサー53及び第2回転角度センサー54の角度を計算し、その角度になるように第1シリンダー44及び第2シリンダー47を制御することで、たとえ途中のトラクタの操作で走行速度や舵角が標準値からずれても、まっすぐな畦を塗ることが可能となる。そして、トラクタ15の停止位置R2は、例えば、速度と時間を計算した結果、制御部3からの指令により操作部5の音や光のサインで停止するタイミングを知らせることが可能となる。トラクタの停止位置では、Q10〜Q12のように第1シリンダー44と第2シリンダー47を制御して畦塗り作業を行う。なお、動作検出部8は回転角度センサーでなくとも、装着フレーム40と中間フレーム41の角度、中間フレーム41と作業部27の角度が直接又は間接的に分かるセンサー類であればよい。すなわち、第1シリンダー44及び第2シリンダー47の状態が直接わかるセンサーであってもよい。
【0046】
なお、トラクタ状態情報が、「トラクタの現在の旋回による回転半径に関する情報(舵角)」か「トラクタの現在の車速」のいずれかの場合であっても、トラクタ基本情報のみの場合より正確性の向上した制御が可能となる。
【0047】
上記実施例1と実施例2では、畦塗り機について述べたが、これ以外に、トラクタに装着され容器内の内容物を散布する散布機も適用できる。この場合、トラクタの基本情報が「走行速度」であり、トラクタ状態情報の「現在の車速」で修正し、それの車速に応じ、作業機アクチュエータ7によるシャッターの開度(内容物排出路の開閉度)や排出のためのモーターの回転数を決定する等で散布量を制御部3で制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の農作業機が有する動作部制御システムの一実施形態を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の農作業機が有する動作部制御システムの一実施形態を示すソフト構成図である。
【図3】本発明の実施例1の畦塗り機を示す平面図である。
【図4】本発明の実施例1の畦塗り機の作業の軌跡を示す図である。
【図5】図4におけるBの状態を示す図である。
【図6】図4におけるCの状態を示す図である。
【図7】本発明の実施例2の畦塗り機を示す平面図である。
【図8】本発明の実施例2の畦塗り機の作業の軌跡を示す第1の図である。
【図9】本発明の実施例2の畦塗り機の作業の軌跡を示す第2の図である。
【符号の説明】
【0049】
3 制御部
5 操作部
7 作業機アクチュエータ
8 動作検出部
9 作業機位置方向検出部
11 第1のシリンダー
12 第2のシリンダー
15 トラクタ
16 第1アーム
17 第2アーム
20 装着部
21 連結フレーム
27 作業部
30 回動支点
40 装着フレーム
41 中間フレーム
44 第1シリンダー
47 第2シリンダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着され農作業を行う農作業機において、
記憶部を有し現在のトラクタの状態を知らせるトラクタ状態情報をトラクタから取得する制御部と、アクチュエータと、当該アクチュエータの稼動により動作する動作部と、前記アクチュエータの稼動又は前記動作部の動作を検出する検出部とを有し、
前記制御部は、あらかじめ前記記憶部に記憶されたトラクタに関する情報であるトラクタ基本情報に基づき計算される基本動作パターンをトラクタから取得したトラクタ状態情報により修正して実動作パターンを計算し、当該実動作パターンに基づいて、前記検出部からの情報により前記動作部で目的の動作をさせるために前記アクチュエータの稼動を制御することを特徴とする農作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の農作業機において、
当該農作業機は畦塗り機であって、前記トラクタに装着する装着部と、畦塗り作業をする作業部と、連結フレームと、第1のシリンダーと、第2のシリンダーとを有し、前記装着部と前記連結フレームは第1のシリンダーの稼動により動くリンク機構で接続され、前記連結フレームと前記作業部は回動可能に連結されて前記第2のシリンダーの稼動により回動し、
前記アクチュエータが前記第1のシリンダー及び前記第2のシリンダーであって、前記動作部が前記作業部であって、前記トラクタ基本情報は前記トラクタの全長、回転半径及び走行速度であり、前記トラクタ状態情報がトラクタの現在の旋回による回転半径とトラクタの現在の走行速度の少なくともいずれか一つを含む情報であり、
前記制御部は、トラクタの旋回にもかわらず前記作業部が旧畦にそって進行するように前記第1のシリンダー及び前記第2のシリンダーを制御することを特徴とする農作業機。
【請求項3】
請求項1に記載の農作業機において、
当該農作業機は畦塗り機であって、前記トラクタに装着する装着部と、畦塗り作業をする作業部と、中間フレームと、第1シリンダーと、第2シリンダーとを有し、前記装着部と前記中間フレームは回動可能に連結されて前記第1シリンダーの稼動により回動し、前記中間フレームと前記作業部は回動可能に連結されて前記第2シリンダーの稼動により回動し、
前記アクチュエータが前記第1シリンダー及び前記第2シリンダーであって、前記動作部が前記作業部であって、前記トラクタ基本情報は前記トラクタの全長、回転半径及び走行速度であり、前記トラクタ状態情報がトラクタの現在の旋回による回転半径とトラクタの現在の走行速度の少なくともいずれか一つを含む情報であり、
前記制御部は、トラクタの旋回にもかわらず前記作業部が旧畦にそって進行するように前記第1シリンダー及び前記第2シリンダーを制御することを特徴とする農作業機。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の農作業機において、
操作部を有し、当該操作部の操作により前記アクチュエータを強制的に操作可能であることを特徴とする農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−17115(P2010−17115A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179382(P2008−179382)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】