説明

遮光装置

本発明は、遮光要素20及び少なくとも1つの照明要素50,50´を備えた、温室15用の遮光装置10であって、前記遮光要素20は、外側部21及び内側部22を有し、前記遮光要素20は、織り合わされた電気的に導電性の第1の糸要素30,30´及び電気的に絶縁の第2の糸要素40から形成され、前記第1の糸要素30,30´は、周辺光60を反射する反射手段33を有し、前記照明要素50,50´は、前記遮光要素20の前記内側部22に設けられるとともに前記第1の糸要素30,30´に接続され、前記照明要素50,50´は、前記第1の糸要素30,30´により伝導された電流により駆動され、前記温室15内で成長する植物80を照射する人工光51の放出をもたらす、遮光装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温室用の遮光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
園芸において、植物生産温室は、多くの場合、日没を過ぎても植物の生育期間を伸ばすために人工光源を備えている。更に、これは、生産者が季節と無関係に、要求に応じて市場に植物を提供することを可能にする。この目的を達成するために、一般に、高圧ナトリウムランプ(HPS;high pressure sodium lamp)が用いられる。しかしながら、これは、多くの問題をもたらす。先ず、補助的な光放射は、光害(light pollution)をもたらし、温室の近傍に住んでいる人々を悩ませる。この障害を低減するために、温室の照射された内側部分を周囲から遮光する遮光装置が用いられる。遮光装置は、窓を覆うか、又は、温室の植物エリアの上に設けられるかのいずれかであり得る。更に、高圧ナトリウムランプは、典型的には、緑/黄色のスペクトルの光を生成する。しかしながら、植物の大部分の共通の色素の吸収スペクトルは、異なる周波数範囲にある。
【0003】
太陽光の頻繁な変動の"デューティサイクル"及び強度として、人工光源は、生育期間を延ばすためだけでなく、植物の一定の照射を達成するために用いられる。従って、遮光装置は、周囲への人工光の流れだけでなく、温室への太陽光の侵入も阻止する。
【0004】
英国特許第2396252号明細書において、表面に取り付けられたLEDと連結トラックを有する織物が開示されている。布地に織られるか、又は、布地にプリントされる糸であり得る連結トラックがLEDと接続される。LEDを駆動させるために、電流が導電性トラックを介して流れる。残念なことに、示された織物は、太陽の熱を吸収する。更に、織り合わされた糸は、生産するのが難しくて高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故、本発明は、上述した欠点を除去することを目的とする。特に、本発明の目的は、一方では、温室内の植物を環境影響から保護し、他方では、植物を照射する、温室用の遮光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明の請求項1に教示される温室用の遮光装置により達成される。温室用の遮光装置の有利な実施形態は、従属請求項に規定される。
【0007】
本発明の目的は、遮光要素及び少なくとも1つの照明要素を備えた、温室用の遮光装置であって、前記遮光要素は、外側部及び内側部を有し、前記遮光要素は、織り合わされた電気的に導電性の第1の糸要素及び電気的に絶縁の第2の糸要素から形成され、前記第1の糸要素は、周辺光を反射する反射手段を有し、前記照明要素は、前記遮光要素の前記内側部に設けられるとともに前記第1の糸要素に接続され、前記照明要素は、前記第1の糸要素により伝導された電流により駆動され、前記温室内で成長する植物を照射する人工光の放射をもたらす、遮光装置により達成される。
【0008】
開示された遮光装置は、周辺光から温室内の植物を保護する能力と、植物に対して有利な強度及び波長のスペクトルをもたらす人工光を放射する能力とを組み合わせる。追加的に、異なるタイプの照明要素は、温室アプリケーションの所有者の全体コストを削減するために用いられ得る。本発明の場合においては、2つの異なるタイプの光、即ち、人工光及び周辺光が生じる。人工光は、照明要素により生成され、遮光要素の内側部に設けられる。周辺光は、温室上を照らす太陽光、温室内の照明装置により放出された合成光、又は、植物若しくは温室の内部構造により反射された人工光のいずれかであり得る。
【0009】
本発明は、周辺光を反射し、第1の糸要素上に設けられる反射手段を開示する。この反射手段は、第1の好ましい実施形態のおいては、反射層であり得る。第1の糸要素が糸状(yarn)である場合には、反射層が、糸要素を金属被覆するコーティングであることが有利であり得る。斯様なコーティングは、浸水槽(immersion bath)内で糸状の第1の糸要素上になされる。
【0010】
他の好ましい実施形態において、第1及び/又は第2の糸要素は、外面及び内面を有する。糸要素の外面は、遮光要素の外側部の一部である。同様に、内面は、遮光要素の内側部の一部である。使用のタイプに依存して、糸要素の両表面上への反射手段の異なる配置が可能である。第1の代替案として、第1の糸要素の外面が反射手段で覆われる。従って、温室上を照らす太陽光が反射され、植物を照射することから阻止される。この効果は、反射手段を備えた第2の糸要素の外面も被覆することにより増大され得る。他の代替案において、第1の糸要素の内面が反射手段で覆われる。それ故、温室内の周辺光だけでなく、照明要素により放射された人工光も、植物上へ反射される。これは、遮光装置の効率を増大させる。前に述べたように、この効果は、反射手段を備えた第2の糸要素の内面を被覆することにより更に増大され得る。
【0011】
反射手段は、第1及び/又は第2の糸要素の内面又は外面の一つと接続されるホイル(foil)状要素であり得る。この接続は、異なる方法、例えばホイル状の反射手段を前記表面に接着又は溶接することにより行われる。この併合はさておき、反射手段は、イオンビーム堆積、電子ビーム堆積又は化学蒸着のような、薄膜堆積技術により生成され得る。好ましい実施形態において、反射手段は、20μmと800μmとの間、好ましくは50μmと500μmとの間の高さを有する。
【0012】
他の好ましい実施形態において、反射手段及び第1の糸要素は一要素(one-piece)である。斯様な種類の第1及び/又は第2の糸要素は、接着又は溶接する必要がないので、生産するのが容易及び安価である。更に、斯様な種類の糸要素は、多くの場合、強化された機械的安定性をもたらし、これは、大きなサイズの遮光装置を生産するのに役立つ。
【0013】
好ましい実施形態によれば、照明手段は、LED、OLED、誘電体バリア放電(DBD;dielectric barrier discharge)、ガス放電ランプ、高輝度放電ランプ、白熱灯、蛍光灯又は高圧ナトリウムランプである。遮光装置は、均一の照射を実現するために、遮光要素上に空間的に分配される複数の照明要素を有し得る。好ましい実施形態によれば、遮光装置は、少なくとも2つの異なるタイプの指定された照明要素の組み合わせを有する。例えば、遮光装置は、高圧ナトリウムランプとLEDとの組み合わせ、LEDとOLEDとの組み合わせ、又は、高圧ナトリウムランプとOLEDとの組み合わせを有し得る。
【0014】
LED(Light Emitting Diode)は、これらのスペクトルが植物の要求に正しく合うように設計され得るという利点を有する。述べられた利点は、放射層が特定の有機成分の薄膜を有し得る特別なタイプの発光ダイオードであるOLED(Organic Light Emitting Diode)にも適用する。OLEDの利点は、潜在的に低コスト及び高効率を伴う均一の大面積光源である点であり、それ故に、OLEDは、所有者の全体コストが重要となる園芸アプリケーションによく適している。これらのOLEDは、光を生成するために有機材料の薄膜を介して流れる電流を利用する。放出される光の色、及び、電流から光へのエネルギ変換の効率は、有機薄膜材料の組成により決定される。
【0015】
本発明の他の実施形態によれば、遮光装置は、少なくとも2つの異なるタイプの照明要素を有し得、第1の照明要素がグローライト(grow light)を提供し、第2の照明要素が植物に対する制御光を提供する。植物の真の成長が、葉緑素A又はBにより吸収された波長をもたらす光の量に主として依存することが知られている。植物の多大な成長を実現するために、第1の照明要素は、異なる波長で放射する少なくとも2つのタイプのLED/OLEDを有するべきである。第1のタイプのLED/OLEDは、400nmと500nmとの間の波長を伴う青色光の領域で放射する。更に、第2のタイプのLED/OLEDは、600nmと700nmとの間の赤色光の領域で放射すべきである。他の好ましい実施形態において、第1の照明要素により放射されたグローライトは、おおよそ、80%〜90%の赤色光と10%〜20%の青色光とからなり得る。
【0016】
述べられたグローライトに加えて、制御光が、植物の成長を誘導するために用いられるべきである。植物の成長は、これが大きいか、小さくコンパクトであるかに関わらず、異なる色の光で植物を照射することにより制御され得る。多量の青色光(400nm〜500nm)の使用は、背の高い植物をもたらし、これに対し、少量の青色光の使用は、小さくてコンパクトな植物をもたらす。更に、緑色のスペクトルの光は、植物の繁殖する傾向を増大させることが考えられる。加えて、適切な波長を伴う光を用いることにより、植物の開花が制御され得る。従って、植物に放出される波長のタイプを制御することにより、植物の生育の手法及び態様が制御され得る。
【0017】
均一の照射を実現するために、複数の照明要素が、遮光装置の内側部に均一に設けられ得る。各照明要素は、これにより、第1の糸要素に接続される。好ましい実施形態において、第1の糸要素は、照明要素を駆動させるために電流を伝導する回路手段を有する。照明要素のタイプに依存して、必要とされる電流及び/又は電圧が大きく変化し得る。それ故、回路手段の形状及びサイズは、照明要素のタイプに依存して異なり得る。第1の実施形態において、回路手段は、第1の糸要素の両面のうち一つに取り付けられ得る。それ故、照明要素と第1の糸要素との容易な接続が可能となる。更に、既存の遮光装置への照明要素への追加的な取り付けが行われてもよい。例えば、照明要素のタイプ及び数が変えられるべきである場合に、これらは、それぞれ遮光要素の第1の糸要素にクリップされ得る。第2の実施形態において、回路手段は、第1の糸要素内に設けられる。これは、遮光装置を触る人が回路手段と接触できないので、遮光装置の安全性を強化する。それ故、より高い電流及び/又は電圧が照明要素を駆動させるために必要とされる場合に、この実施形態は有利である。その一方で、回路手段の設計は、遮光装置の使用に依存する。遮光装置が、複数の窓のうちの一つの前に配置され、全体として移動されるタイル状構造をもたらす場合には、回路手段は、外面に容易に設けられ得る。その一方で、遮光装置が織物構造をもたらし、一緒に折り畳まれ得るか又は丸められ得る場合には、これは、回路手段が第1の糸要素内に組み込まれる場合に、より便利になる。
【0018】
使用のタイプに依存して、第1の糸要素及び/又は回路手段は、少なくとも1つの金属若しくは金属酸化物、及び/又は、アルミニウム、銅、亜鉛、錫、鉄、銀、ITO(インジウムスズ酸化物)、クロム若しくはマグネシウムのうち少なくとも1つの材料を有し得る。それぞれの指定された金属は、電流を伝導する能力をもたらす高導電率を提供する。指定された金属は、第1の糸要素の表面上に蒸着され得、電流を輸送するために用いられた表面層をもたらす。この実施形態は、回路手段が反射層の機能も取り入れるという利点を有する。例えば、アルミニウムは、高導電率及び光反射率をもたらす。それ故、アルミニウムで作られた回路手段は、低抵抗率で電流を輸送するだけでなく、太陽の周辺光及び/又は照明要素の人工光を反射するだろう。最後に指定された利点は、遮光装置の過熱や、照明要素により放射された人工光をフォーカスすることを防止するだろう。
【0019】
他の好ましい実施形態において、第2の糸要素は、短絡が生じるのを防止するために、電気絶縁材料を有する。それ故、第2の糸要素は、プラスチック、好ましくはPVC若しくはXLPE、ポリマ、好ましくはアクリル、ガラス、セラミック又は雲母のうち少なくとも1つの材料を有するべきである。それぞれの指定された材料は、電流が第2の糸要素を介して通過するのを防止する。電気絶縁材料は、第2の糸要素の外面を覆い得る。この実施形態において、電気絶縁材料は、人工及び/又は周辺光を反射する、第2の糸要素の反射層としても機能し得る。
【0020】
他の好ましい実施形態において、第1の糸要素の回路手段は、ソースと接続される。更に、電源の他のパーツは、遮光装置内に統合され得る。これは、遮光要素に配置された、異なる照明要素を誘導する能力をもたらすだろう。遮光装置が大きなサイズをもたらす場合には、異なる第1の糸要素が異なるソースと接続されることが適切であり得、遮光装置上に複数の異なる発光要素を取り付ける能力をもたらす。斯様な遮光装置は、必要とされる光スペクトルが異なるタイプの植物に対して変え得るように、異なる波長で人工光を放射する能力をもたらすだろう。更に、中央コンピュータ装置に接続されたマイクロコンピュータは、個々の第1の糸要素のそれぞれの照明要素への電流の供給を管理し得る。
【0021】
他の好ましい実施形態において、第1及び/又は第2の糸要素は、バンド状の形状を有する。斯様なバンド状の形状は、遮光要素を形成する粗い網目の織物をもたらす。バンド状の糸要素は、生産すること、及び、回路のそれぞれの反射手段を備えることが容易である。更に、述べられた糸要素は、温室の全体エリアを被覆する遮光装置を形成する。それ故、温室内で成長する全ての植物の均一のスクリーニング/照射が可能となる。
【0022】
前述した遮光装置、並びに、請求項に記載された構成要素、及び、述べられた実施形態について本発明により用いられるべき構成要素は、サイズ、形状、材料選択に関していずれの特定の除外をも意図するものではない。選択基準が関連分野において既知であるような技術的概念は、限定されることなく適用され得る。本発明の目的の追加の詳細、特性、及び利点は、従属請求項、及び、本発明による遮光装置の複数の好ましい実施形態を単に示す典型的な態様である各図面の以下の説明に開示される。
【0023】
本発明は、更に、請求項1に記載の遮光装置を動作させる方法であって、日中において植物の一定の照射を実現するために、周辺光の量に応じて照明要素により放出された人工光の量を調節するステップと、夜に照明要素により放出された人工光の量を、日中の前記人工光の量と比較して高い量に調節するステップとを有する方法に関する。
【0024】
一実施形態において、夜の人工光の量は、日中における周辺光と人工光との総量に調節される。遮光装置の駆動部は、日中の間の周辺光に応じて人工光の量の適切な調節を実現すべく遮光装置の駆動パラメータを調節し、夜間の人工光の量を調節するために、光の総量(人工光+周辺光)を検出するためのセンサを有し得る。光の量を検出するセンサは、当業者により既知である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】温室の概略図を示す。
【図2】遮光装置の外側部を示す。
【図3】遮光装置の内側部の概略図を示す。
【図4】遮光装置の他の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明による温室15の概略図を示している。温室15において、2列の花壇16が示されている。花壇16は、植物80が生育される土又は基材を含む。示されるように、植物80の最適な成長は、複数のリソースの利用に依存している。植物80の成長は、排出物として酸素を伴う、光、二酸化炭素及び水からの糖の合成である光合成と直接関連付けられる。従って、植物80の成長に関与する主要なリソースの一つは、葉緑素A及びBにより吸収される、利用可能な量の光である。
【0027】
温室アプリケーションにおける補助的な生育を実現するために、ランプ90が、植物の照射時間、及び、光強度を増大させるために用いられる。それ故、植物は、太陽が既に沈んだ場合に合成光91により依然として照射される。温室アプリケーションで用いられる一般のランプ90は、高圧ナトリウム(HPS)ランプである。しかしながら、HPSランプ90は、典型的には、黄色/緑色のスペクトルの合成光91を生成する。残念なことに、植物80の大部分に共通の色素の吸収スペクトルは、異なる周波数範囲にある。更に、人工光源90により照射される場合には、温室15は、夜の間に光害をもたらす。規制が一日の特定の時間の間に温室15の光レベルを制限するので、遮光装置10は、合成光91が温室15を出るのを回避するために必要とされる。図1において、温室15の屋根に双方設けられた2つの遮光装置10が示される。遮光装置10は、太陽光とも述べられる周辺光60をブロックする遮光要素20を有する。示された実施形態において、周辺光60は、温室15に入ることができない。
【0028】
植物80を環境影響から保護するとともに植物80を照射するという本発明の目的を達成するために、遮光装置10が示される。図2において、遮光装置10の外側部21の部分が示される。遮光装置10は、織物を形成するために織り合わされる複数の第1の糸要素30及び第2の糸要素40を有する。遮光装置10の外側部21は、第1の糸要素30及び第2の糸要素のそれぞれの外面31,41により形成される。示された実施形態において、第1の糸要素30は、反射手段33(ここでは、周辺光60を反射することが可能な反射層)をもたらす。遮光装置10が、直接入射する太陽光60から温室15内の植物を保護するために用いられるように、遮光装置10は、外側部21が太陽に向くような態様で設けられる。反射手段33は、温室15及び遮光装置10のいずれもが過熱にならないように、太陽光60を反射する能力をもたらす。
【0029】
遮光装置10は、第1の糸要素30及び第2の糸要素40により形成された織物状構造を有する。双方の糸要素30,40は、バンド状の外形を有する。矩形の糸要素30,40は、粗い網目の織物をもたらす、2mmと5cmとの間の幅23をもたらす。斯様な織物構造は、遮光装置10が軽量であり、植物80を効果的に遮光する能力をもたらすという利点を有する。それにも関わらず、遮光装置10を介しての空気の循環が可能である。それ故、遮光装置10の外側部21から内側部22への熱交換が可能である。
【0030】
図3においては、遮光装置10の内側部22が示されている。図2に示された外側部21とは異なり、複数の照明要素50,50´が見られる。これらの照明要素50,50´は、温室内の植物80を照射するために用いられる。示された実施形態において、これらの照明要素50,50´は、発光ダイオード(LED)である。LEDは、ランプ90の合成光91では満たされない、植物80の成長のために重要である周波数スペクトル内の波長をもたらす人工光51を放射するという利点を有する。照明要素50,50´は、2つの第1の糸要素30と接続される。人工光51を放射するために、照明要素50,50´は、電流で駆動されなければならない。それ故、第1の糸要素30は、電気的に導電性の回路手段34をもたらす。示された実施形態の回路手段34は、第1の糸要素30の内面32を被覆する表面層である。回路手段34は、小さな電気抵抗をもたらすアルミニウム、銀、クロム又は錫のような金属を有する。短絡を防止するために、第2の糸要素40は、ポリマ又はセラミックのような絶縁材料で作られる。
【0031】
図4は、遮光装置10のための回路図を示している。負電圧71は、2つの並列な第1の糸要素30,30´に取り付けられる。糸要素30,40が微小な幅23をもたらすように、粗い網目の織物は、2つの第1の糸要素30,30´間の直接接触が生じないように形成される。2つの指定された第1の糸要素30,30´上には、複数の照明要素50,50´が取り付けられる。第1の糸要素30,30´により伝導された電流は、照明要素50,50´を駆動させ、植物80を照射する人工光51の放射をもたらす。照明要素50,50´を第1の糸要素30,30´と接続させるために、接触ブリッジ52が用いられる。これらの接触ブリッジ52は、第1の糸要素30,30´上に可逆的にクリップされる能力を提供し得る。それ故、照明要素50,50´の数及びタイプは、必要とされる環境に適合され得る。述べられたように、植物80の成長は、葉緑素A及びBの吸収スペクトル内の波長をもたらす光の量に主として依存する。それ故、指定された波長帯域のうち一つの範囲内において放射された人工光51の量を変更及び/又は調節することが適切であり得る。示された実施形態において、4つの照明要素50´及び2つの照明要素50が、遮光装置10上に設けられる。植物80のタイプに依存して、照明要素50,50´の数及び/又はタイプを変更し、それぞれが個々の放出スペクトルをもたらすことが適切であり得る。
【0032】
照明要素50,50´を駆動させるために、接触ブリッジ52は、正電圧71´とも接続される。短絡が生じるのを防止するために、絶縁の第1の糸要素35が、2つの第1の糸要素30,30´の間に配置され、反対の電位をもたらす。
【0033】
遮光装置10の効率を増大させるために、遮光要素20の外側部21だけでなく内側部22も、周辺光60を反射する能力を提供し得る。この目的を達成するために、第1の糸要素30,30´の内面32が反射手段33で被覆され得る。それ故、照明要素50,50´により放出された人工光51は、内面32上に配置された反射手段33により反射され得る。植物80から反射された周辺光60も、遮光装置10から再度反射され得る。要するに、これは、遮光装置10の効率を増大させるとともに、必要な人工光51を低減させる。更に、第2の糸要素40の内面42は、反射された周辺光60の量を強化するために、反射手段33で被覆され得る。
【0034】
図4に示された遮光装置10は、反射手段33も回路手段34も形成する表面により被覆される、内面32をもたらす第1の糸要素30,30´を有する。それ故、双方の2つの指定された手段は一要素(one-piece)である。これは、金属層が内面32上に堆積される場合に実現され得る。斯様な金属層は、一方では、必要とされる電流を伝導することができ、他方では、周辺光60を反射することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 遮光装置
15 温室
16 花壇
20 遮光要素
21 外側部
22 内側部
23 第1及び第2の糸要素のそれぞれの幅
30,30´ 第1の糸要素
31 第1の糸要素の外面
32 第1の糸要素の内面
33 反射手段
34 回路手段
35 絶縁の第1の糸要素
40 第2の糸要素
41 第2の糸要素の外面
42 第2の糸要素の内面
50,50´ 照明要素
51 人工光
52 接触ブリッジ
60 周辺光
71,71´ 電圧
80 植物
90 ランプ
91 合成光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光要素及び少なくとも1つの照明要素を備えた、温室用の遮光装置であって、
前記遮光要素は、外側部及び内側部を有し、
前記遮光要素は、織り合わされた電気的に導電性の第1の糸要素及び電気的に絶縁の第2の糸要素から形成され、
前記第1の糸要素は、周辺光を反射する反射手段を有し、
前記照明要素は、前記遮光要素の前記内側部に設けられるとともに前記第1の糸要素に接続され、
前記照明要素は、前記第1の糸要素により伝導された電流により駆動され、前記温室内で成長する植物を照射する人工光の放射をもたらす、遮光装置。
【請求項2】
前記反射手段は、好ましくは前記反射手段及び前記第1の糸要素が一要素である反射層である、請求項1に記載の遮光装置。
【請求項3】
前記第1及び/又は第2の糸要素は、前記遮光要素の外側部及び内側部のそれぞれ一部である、外面及び内面を有する、請求項1又は請求項2に記載の遮光装置。
【請求項4】
前記反射手段は、前記内面に配置され、前記遮光要素の前記内側部に当たる前記周辺光を反射する、請求項3に記載の遮光装置。
【請求項5】
前記反射手段は、前記外面に配置され、前記遮光要素の前記外側部に当たる前記周辺光を反射する、請求項3に記載の遮光装置。
【請求項6】
前記照明要素は、LED、OLED、誘電体バリア放電(DBD;dielectric barrier discharge)ランプ、ガス放電ランプ、高輝度放電ランプ、白熱灯、蛍光灯又は高圧ナトリウムランプのうち少なくとも1つである、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の遮光装置。
【請求項7】
前記第1の糸要素は、前記電流を伝導する回路手段を有し、好ましくは、前記回路手段は、前記第1の糸要素の内面内又は前記第1の糸要素の内面上に設けられ、より好ましくは、前記回路手段及び前記第1の糸要素は、一要素である、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の遮光装置。
【請求項8】
前記第1の糸要素及び/又は前記回路手段は、少なくとも1つの金属又は金属酸化物を有し、好ましくは、前記第1の糸要素及び/又は前記回路手段は、アルミニウム、銅、亜鉛、錫、鉄、銀、ITO(インジウムスズ酸化物)、クロム又はマグネシウムのうち少なくとも1つの材料を有する、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の遮光装置。
【請求項9】
前記第2の糸要素は、電気絶縁材料を有し、好ましくは、前記第2の糸要素は、プラスチック、好ましくはPVC(polyvinyl chloride)若しくはXLPE(cross-linked polyethylene)、ポリマ、好ましくはアクリル、ガラス、セラミック又は雲母のうち少なくとも1つの材料を有する、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の遮光装置。
【請求項10】
前記第1及び/又は第2の糸要素は、バンド状の形状を有し、より好ましくは、前記第1及び/又は第2の糸要素は、多層構造を有する、請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の遮光装置。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の遮光装置を備えた、温室。
【請求項12】
請求項1に記載の遮光装置を動作させる方法であって、
日中において植物の一定の照射を実現するために、周辺光の量に応じて照明要素により放射された人工光の量を調節するステップと、
夜に照明要素により放出された人工光の量を、日中の前記人工光の量と比較して高い量に調節するステップとを有する、方法。
【請求項13】
夜の人工光の量は、日中における周辺光と人工光との総量に調節される、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−526552(P2010−526552A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508011(P2010−508011)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051787
【国際公開番号】WO2008/139376
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】