説明

部分的にコンパウンドで満たされた電源ユニットおよびその製造方法

【課題】湿気の高い場所での動作に適し、製造コストおよび複雑さを低減することのできるプラグイン電源ユニットおよび製造方法を提供する。
【解決手段】変圧器ユニットが回路担体108に取り付けられており、回路担体は、回路担体のうち絶縁される定義された第1の領域128が、筐体基本要素の壁によって囲まれている注型空間118の中に受け入れられているように電源プラグコンタクト106の差し込み方向に筐体基本要素の中に配置されており、回路担体のうち絶縁される第1の領域が注型コンパウンドによって覆われており、その一方で、回路担体のうち、少なくとも1個の電子部品が配置されている第2の領域130が封止されていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、民生機器に低電圧を供給する電源ユニット、具体的には、使用中に電源ユニットが電源コンセントに保持されるように、電源プラグピンが装置内に直接配置されている、いわゆるプラグイン電源ユニットに関する。
【0002】
さらに、本発明は、そのような電源ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
変圧器を利用して供給電圧を必要な低電圧に変換することによって、民生機器に低電圧を供給する電源ユニットは、現在では広く普及している。特定の用途(例えばシェーバーや脱毛器を充電する)では、浴室の湿気の高い環境において電源ユニットを安全に動作させることが必要である。この場合、保護等級IPX4、あるいはIPX7に準拠しなければならない。
【0004】
一般に知られているように、このいわゆるIP規格(防水保護等級または国際保護等級)は、標準規格DIN EN 60529(非特許文献1)によると、あらゆる方向からの水の飛沫に対する保護(IPX4)、および水中への一時的な浸漬に対する保護(IPX7)に関連する。
【0005】
保護等級IPX7に準拠して筐体を密封するためには、電源プラグコンタクト、出力リード線、および電源ユニットのすべての部品を筐体の中に配置し、この筐体を電気絶縁性の注型樹脂で完全に満たす方法が公知である。このように完全に満たす方法の代替は、超音波溶接によって筐体を密封することである。しかしながら、超音波溶接による代替方法は、完全に満たす方法ほどは工程の信頼性がなく、なぜなら、密封性は溶接線の品質に依存し、許容範囲外の変動が生じうるためである。
【0006】
その一方で、プラグイン電源ユニットを完全に満たす方法は、欠点として、重量および材料コストが比較的大きく、さらには、注型樹脂によってすべての部品が分離できない状態に囲まれているため、障害の原因を検出することが難しくなる。
【0007】
さらには、本出願の発明者は、すべての部品を注型樹脂によって封止することによって、電気部品間の漏れ電流が生じうることを見出した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】DIN EN 60529 (VDE 0470-1):2000-09 Protection Classes by casings (IP-Code) (IEC 60529:1989 + A1:1999); German Version EN 60529:1991 + A1:2000. VDE-Verlag, Berlin
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、浴室など湿気の高い場所での動作に適する保護等級に準拠する一方で、製造コストおよび複雑さを明らかに低減することのできる、電源ユニットおよび関連する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題として定義されている。
【0011】
本発明がベースとする発想として、筐体が筐体基本要素と蓋要素とからなり、少なくとも1つの電源プラグコンタクトが、電源コンセントに差し込むことができるように筐体基本要素、または蓋要素に保持されている。本発明によると、変圧器ユニットが回路担体(circuit carrier)に取り付けられており、回路担体は、回路担体のうち絶縁される定義された第1の領域が、筐体基本要素の壁によって囲まれている注型空間の中に受け入れられているように、電源プラグコンタクトの差し込み方向に筐体基本要素の中に配置されている。筐体基本要素の注型空間は、回路担体のうち絶縁される第1の領域が注型コンパウンドによって覆われており、その一方で、回路担体のうち、少なくとも1個の電子部品が配置されている第2の領域、が封止されていないように、電気絶縁性の注型コンパウンドによって満たされている。
【0012】
さらに、本発明による製造方法によると、筐体基本要素に、最初に、望ましい高さまで注型コンパウンドを注入し、次いで、回路担体を挿入する。
【0013】
本発明による解決策は、利点として、完全に満たす方法と比較して、必要な注型コンパウンドが明らかに少なく、したがって、充電ユニットの製造のサイクル時間が短縮される一方で、材料コストを節減し重量を小さくすることができる。
【0014】
さらに、変圧器の電子部品が注型樹脂によって完全に封止されなければ有利であることが判明しており、なぜなら、これによって漏れ電流を減少もしくは完全になくすことができるためである。しかしながら、すべての部品の封止を回避する必要はない。特定の部品および接続部を注型空間の中に配置することも有利であり得る。
【0015】
さらには、本発明による注型のタイプは、「テスト容易化設計」に関して有利であり、なぜなら、基板の一部分のみが封止されていることにより、障害の原因の検出が大幅に容易になるためである。さらには、耐用寿命の経過後、本発明のプラグイン電源ユニットの廃棄を容易にすることもでき、なぜなら、部品が注型コンパウンドによって分離できない状態に囲まれていないためである。
【0016】
その一方で、本発明による筐体では、確実な密封(例えば保護等級IPX7に準拠)が確保され、これにより、本発明の電源ユニットは、湿気の高い場所や屋外でも使用することができる。
【0017】
具体的には、この効果的な密封は、完全に組み立てられた状態において、筐体基本要素と蓋要素との間の結合領域が注型コンパウンドによって密封されるように、結合領域を注型空間内に配置することによって、得ることができる。これにより、他の種類の溶接や接着が不要になり、筐体部品のこの極めて安定的な結合では、89N以上の最大引張力(tensile force)を安全に達成することができる。
【0018】
結合領域は、例えばスナップ結合(snap-in connection)によって形成することができ、注型コンパウンドがまだ硬化していない間に係合させる。さらに、結合領域に追加の固定開口部(anchoring apertures)を設けることもでき、液体の注型コンパウンドがこの開口部の中に入り込むことにより、硬化した状態において特に信頼性の高い支持が提供される。
【0019】
筐体基本要素の中に注型コンパウンドを注入した後に回路担体を取り付けることにより、特に単純かつ一義的な工程管理を達成することができる。狭い隙間まで満たすための複雑な方策をとる必要はなく、基板を注型コンパウンドの中に挿入することによって、気泡を効果的に回避することができる。
【0020】
本発明の有利な実施形態によると、少なくとも1つの電源プラグコンタクトもしくは出力リード線またはその両方と、基板との電気接続は、プラグ接点によって実施され、プラグ接点は、完全に組み立てられた状態において、注型コンパウンドの中に配置されており、これにより電気的に絶縁されている。これらの接点は、例えばばね接点によって形成することができ、ばね接点は、自身が押し込まれるときの摺動運動によって最適な電気的接触を提供する。回路担体を取り付ける時点では注型コンパウンドはまだ硬化していないため、注型空間の内側にばね接点が配置されているならば、ばね接点が押し込まれることによって、必要な接点領域において電源プラグピンもしくは出力リード線またはその両方から望ましくない注型コンパウンド層を除去することができる。したがって、高い信頼性で接触を形成することができる。その一方で、完全に組み立てられた状態では、電源プラグコンタクトまたは出力リード線と、対応するばね接点とが、注型コンパウンドによって回路担体上で互いに機械的に固定されており、したがって、たとえ強い引張りおよび振動によっても電気的接触は影響されない。
【0021】
別の有利な実施形態によると、出力リード線のストレインリリーフのための保持部を設けることができ、この保持部は、注型空間の中に配置されており、したがって、ストレインリリーフも、部分的封止による硬化した材料によって液密に密封されている。
【0022】
以下では、本発明を深く理解できるように、添付の図面に示した実施形態を通じて本発明についてさらに詳しく説明する。図面において、類似する部品は類似する参照数字および類似する部品名称によって示してある。さらに、図示および説明した複数の異なる実施形態における特徴または特徴の組み合わせは、それ自体が独創的な解決方法、または本発明による解決方法である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態による電源ユニットの、部分的に切り取った分解図を示している。
【図2】第1の実施形態による、完全に組み立てられた電源ユニットの斜視図を示している。
【図3】図2の電源ユニットの、部分的に切り取った図を示している。
【図4】図2の電源ユニットの、部分的に切り取った図を示している。
【図5】図3の細部を示している。
【図6】図4の細部を示している。
【図7】図2の、組み立てられたスイッチモード電源ユニットの上面図を示している。
【図8】別の有利な実施形態による電源ユニットの斜視図を示している。
【図9】図8の電源ユニットの、部分的に切り取った分解図を示している。
【図10】基板が挿入された筐体基本要素の、部分的に切り取った図を示している。
【図11】蓋要素を取り付ける前の基本要素の側面図を示している。
【図12】図8の、完全に組み立てられた状態のプラグイン電源ユニットの側面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、図面を参照しながら本発明についてさらに詳しく説明する。図1は、第1の有利な実施形態による本発明の電源ユニット100の分解図を示している。本発明によると、民生機器に低電圧を供給する電源ユニットは、筐体基本要素102と蓋要素104とを備えており、これらは、一体に結合されたとき電源ユニット100の筐体を形成する。この実施形態によると、電源プラグコンタクト106は筐体基本要素102に配置されている。図示した実施形態においては、欧州の標準規格に準拠するプラグイン電源ユニット100を示してある。しかしながら、別の国の共通規格に準拠して電源プラグコンタクト106を実施できることが、当業者には理解されるであろう。
【0025】
回路担体108(例えばプリント回路基板(PCB))は、供給電圧を必要な低電圧に変換するための必要な部品を担持している。回路担体108は、電源プラグコンタクト106と接触する第1の接点110を備えており、第1の接点110は、この場合には差し込み式のばね接点として実施されている。これら第1の接点110は、回路担体108上に配置されている変圧器(簡潔にするため図示していない)の一次側に位置している。二次側に位置している第2の接点112は、出力リード線114との接続を提供している。
【0026】
本発明によると、電源プラグコンタクト106が取り付けられている筐体基本要素102は、組立てを目的として、注入マーク116まで満たされている。本発明によると、筐体基本要素102には、注型コンパウンドによって満たされる注型空間118が画成されている。注入高さは、視覚的に印を付ける、または定量的に制御される注型コンパウンドによって定義することができる。
【0027】
第1の実施形態によると、電源プラグコンタクト106のためのリード線と、蓋要素104と係合するスナップ突起120と、出力リード線114のストレインリリーフ124のための保持部および開口部122は、筐体空間の内側に位置している。
【0028】
プリント回路基板108は、電源プラグコンタクト106を電源コンセントに差し込む方向に実質的に平行に延びる方向126に、注型空間118の中に挿入されており、2つの領域に分かれている。封止される第1の領域128は、完全に組み立てられた状態において、注型コンパウンドの中に埋め込まれており、筐体基本要素102の注型空間118の内側に配置されている。第2の領域130は、少なくとも1個の電子部品が配置されており、封止されないままである。
【0029】
本発明によると、出力リード線114と二次側の第2の接点112との間の接続は、例えば、プリント回路基板を筐体基本要素102に取り付ける前にはんだ接続によって確立する。最初の製造ステップにおいて、ストレインリリーフ124を保持部122に固定する。
【0030】
前述したように、筐体基本要素102にマーク116まで注型コンパウンドを注入した後、プリント回路基板108を方向126に挿入する。これにより、電源プラグコンタクト106と一次側の第1の接点110とが電気的に接触する。注型コンパウンドは、この時点ではまだ硬化していないため、基板によって押しのけられる。最後の製造ステップにおいて、蓋要素104を回路担体108にかぶせて、スナップ突起120および係合開口部132によって固定する。本発明によると、スナップ結合部120,132の結合領域全体が、注入マーク116より下に(すなわち注型空間118の中に)位置しており、液体の注型コンパウンドが結合領域のあらゆる隙間および開口部を満たす。
【0031】
硬化は、テンパリング(tempering)ステップによって加速させることができ、完全に硬化した状態では、筐体基本要素102と蓋要素104との間の結合部は、高い信頼性で液密に密封されている。さらに、ストレインリリーフ31が筐体基本要素102に高い信頼性で密封状態に固定されている。さらには、一次側の接点110および二次側の接点112が注型コンパウンドによって保護されており、その一方で、回路担体108の領域130は封止されないままである。
【0032】
この構造では、DIN EN 60520による少なくとも保護等級IPX7を、特に簡単かつ高い費用効率で達成することができる。
【0033】
蓋要素104が、スナップ結合部120,132によって機械的に固定され、かつ、注型樹脂が硬化した後に材料係合(material engagement)によって筐体基本要素102に結合されるため、この構造は液密であるのみならず機械的に極めて安定している。図2の斜視図に示したように、結合領域134全体が、内部の注型コンパウンドによる材料係合によって密封されている。したがって、たとえ使用者がプラグイン電源ユニットの把持部136を握って引張力(例えば89N以上)をかけたとしても、これらの結合部を引き離すことはできない。
【0034】
図3〜図7は、図1および図2のプラグイン電源ユニット100のいくつかの詳細構造を、部分的に切り取った図として示している。図3および図5から理解できるように、ストレインリリーフ124には逃げ溝が形成されており、挿入することによって筐体基本要素102に取り付けることができる。通常、この挿入ステップは、開口部をふさいで注型コンパウンドが注型空間118から流れ出ることを防ぐため、注型コンパウンドを注入する前に行う。完全に組み立てられた状態において、ストレインリリーフは、筐体基本要素102および蓋要素104の両方によって支持されており、さらに、注型コンパウンドによって永久的に固定されている。
【0035】
図6は、筐体基本要素102と蓋要素104との間のスナップ結合部を詳細に示している。当然ながら、まだ硬化していない注型コンパウンドによって固定できる限りは、これら2つの筐体要素の間に異なる構造のスナップ結合部を設けることもできる。
【0036】
以下では、第1の実施形態による本発明の電源ユニットを製造するための完全な手順について、図1〜図7を参照しながらもう一度詳しく説明する。
【0037】
最初のステップにおいて、必要な部品および接点を回路担体108に取り付ける。一次側の接点110は、差し込み式のばね接点によって形成することができ、二次側の第2の接点112は、はんだ接続によって形成することができる。当然ながら、別の一般的な結合技術(例えば圧入接点や圧着接点)を使用することもできる。
【0038】
筐体基本要素102は、例えば射出成形工程によって製造し、その過程において、封止された電源プラグコンタクト106を設ける。当然ながら、電源プラグコンタクト106は、他の公知の工程に従って筐体基本要素102に取り付けることもできる。さらに、蓋要素104を、好ましくは別の射出成形ステップにおいて製造する。出力リード線114に結合されたストレインリリーフ124を、筐体基本要素102の対応する開口部122の中に挿入し、この場合、ストレインリリーフ124は、逃げ溝が形成されている結果として機械的に固定される。
【0039】
次に、出力リード線114(より線として実施することができる)を第2の接点114にはんだ付けする。当然ながら、この場所にプラグ接点を設けることもできる。本発明によると、次に、筐体基本要素102に、電気絶縁性の注型樹脂を注入高さレベル116まで注入する。注型樹脂が依然として液体である間に、筐体基本要素102の中に回路担体を方向126に挿入し、これによって一次側の第1の接点110が電源プラグコンタクト106と接触する。
【0040】
最後に、蓋要素104を、同様に方向126に、上部に取り付ける。スナップ突起120が注入高さレベル116より下に位置しているため、最後に嵌められるスナップ結合部も、注型空間118の内側に位置する。筐体基本要素102と蓋要素104との間の閉じたスナップ結合部が、液体の注型樹脂によって密封されて固定される。さらに、ストレインリリーフ124との結合部も、注入された注型樹脂によって保護および密封される。
【0041】
注型樹脂の硬化は、例えば、テンパリングステップによって加速させることができる。組み立てられた最終的な状態において、蓋要素104およびストレインリリーフ124は、スナップ結合によって筐体基本要素に固定されていると同時に、注型樹脂が硬化した後、材料係合によっても筐体基本要素に結合され、したがって完全に密封される。このようにすることで、機械的な安定性と、湿気の高い場所での動作に適合する保護等級とを、特に容易かつ効果的に達成することができる。
【0042】
基板は一部分のみが注型コンパウンドの中に配置されているため、領域130に位置する電子部品は注型コンパウンドによって封止されておらず、漏れ電流を大幅に回避することができる。
【0043】
以下では、本発明による電源ユニット200の第2の有利な実施形態について、図8〜図12を参照しながらさらに詳しく説明する。本質的な製造ステップおよび基本的な原理は、第1の実施形態と同じであり、したがって以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0044】
このプラグイン電源ユニット200は、3次元形状の電源プラグを実質的に有し、なぜなら、電源プラグピン206および出力リード線215が共通の縦軸線に沿って実質的に延びているためである。この特に薄い形状は、利点として、空間を最大限に節約することができ、プラグイン電源ユニットの梱包および輸送が容易になる。本発明による部分的に注入する技術(後から詳しく説明する)では、その利点として、特にこの実施形態において、筐体の2つの構成要素202および204の結合部が極めて高い耐荷力を有すると同時に、重量が最小限である。
【0045】
図9の分解図において理解できるように、プラグイン電源ユニット200の電源プラグピン206は、筐体基本要素202ではなく、二次側のリード線とは反対側の蓋要素204に配置されている。この実施形態の筐体基本要素202は、図1〜図7による実施形態と同様に、注型空間218を画成するように設計されている。図中の一点鎖線216は、注入高さレベルを示している。回路担体208は、供給電圧から低電圧に電圧変換するための必要な電子部品に加えて、電源プラグピン206が挿入されるばね接点210と、出力リード線214と接触するばね接点212とを備えている。
【0046】
出力リード線214は、ストレインリリーフ224の中に配置されており、ストレインリリーフ224は、図示した実施形態によると、スナップ結合によって筐体基本要素202に固定されている。
【0047】
第1の実施形態と同様に、筐体基本要素202に出力リード線224,215を取り付けた後、この場合も、およそ線216まで注型コンパウンドを注入する。注型コンパウンドが硬化する前に、次の製造ステップにおいて、ばね接点212が出力リード線214に電気的に接続されるように、回路担体208を筐体基本要素202の中に、方向226に挿入する。図10において理解できるように、部品225の大部分は注入レベル216よりも上にあり、したがって注型空間218の外側である。しかしながら、この実施形態においては、二次側のリード線214が注型空間218の内側に配置されている。
【0048】
最後の組立てステップとして、蓋要素204をすべらせて嵌め、このステップは、筐体基本要素202と蓋要素204との間の高い信頼性の密封および機械的に極めて安定的な結合とを達成するためには、前の実施形態と同様に、注型コンパウンドが硬化する前に行わなければならない。第2の実施形態の蓋要素には、図1〜図7の実施形態に対応するスナップ結合部以外に、固定開口部233を配置することができ、まだ液体状態の注型コンパウンドがこの開口部の中に浸入することで、硬化した後、筐体基本要素202と蓋要素204との間に機械的に安定な固定部が形成される。
【0049】
さらに、蓋要素204が嵌まるとき、ばね接点210と電源プラグピン206との間の電気的接触が形成される。プラグイン電源ユニットのこの側における必要な接点保護および絶縁耐力は、電源プラグピンが封止によって蓋要素に一体化されていることによって保証される。
【0050】
把持部236によって、使用者は、プラグイン電源ユニット200をコンセントから安全に抜くことができる。
【0051】
特に、この実施形態は、コンパウンドで満たされておらず例えば超音波溶接された装置とは異なり、改善された機械的安定性を示す。使用者が、通常の推奨事項に反して、プラグイン電源ユニット200をコンセントから抜くため出力リード線215を持って引っ張った場合でも、筐体基本要素202におけるストレインリリーフ224のスナップ結合部が注型コンパウンドによってさらに固定されていることにより、過大な機械的応力によるプラグイン電源ユニットの破壊が防止される。
【0052】
図示した2つの実施形態における出力リード線は、低電圧リード線であるが、任意のタイプの出力リード線をプラグイン電源ユニットの筐体に配置できることが、当業者には理解されるであろう。例えば、ケーブルの代わりに、USB(ユニバーサルシリアルバス)コネクタ、特に、USB規格1.0、2.0、または3.0に準拠するUSBソケットを設けることができる。このようなプラグイン電源ユニットは、特に、携帯電話などのモバイル端末を充電する目的に一般的に使用可能であり、それと同時に、機械的に安定かつ安全である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
民生機器に低電圧を供給する電源ユニットであって、
供給電圧に接続可能な少なくとも1つの電源プラグコンタクト(106,206)と、
前記低電圧を出力するための少なくとも1本の出力リード線(114,214)と、
前記供給電圧を前記低電圧に変換する少なくとも1つの電子部品を備えた変圧器ユニットと、
を備えており、
前記電源ユニット(100,200)が、筐体基本要素(102,202)と蓋要素(104,204)とからなる筐体、を備えており、前記少なくとも1つの電源プラグコンタクト(106,206)が、電源コンセントに差し込むことができるように、前記筐体基本要素(102)または前記蓋要素(204)に保持されており、
前記変圧器ユニットが回路担体(108,208)に取り付けられており、前記回路担体(108,208)のうち絶縁される定義された第1の領域(128)が、前記筐体基本要素(102,202)の壁によって囲まれている注型空間(118,218)の中に受け入れられているように、前記回路担体が、前記電源プラグコンタクト(106)の差し込み方向(126)に前記筐体基本要素(102,202)の中に配置されており、
前記筐体基本要素(102)の前記注型空間(118,218)が、電気絶縁性の注型コンパウンドによって満たされており、したがって、前記回路担体(108)のうち絶縁される前記第1の領域(128)が前記注型コンパウンドによって覆われており、その一方で、前記回路担体のうち、前記少なくとも1個の電子部品が配置されている第2の領域(130)、が封止されていない、
電源ユニット。
【請求項2】
前記少なくとも1つの電源プラグコンタクト(106)と電気的に接触している第1の接点(110)が、前記回路担体(108)の前記第1の領域(128)に配置されている、
請求項1に記載の電源ユニット。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の接点(110)が、前記少なくとも1つの電源プラグコンタクト(106)に、差し込み式接続によって接続されている、
請求項2に記載の電源ユニット。
【請求項4】
前記少なくとも1本の出力リード線(114)と電気的に接触している第2のコンタクト(112)が、前記回路担体(108)の前記第1の領域(128)に配置されている、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の電源ユニット。
【請求項5】
結合領域(134)が、前記筐体基本要素(102)と前記蓋要素(104)との間に、前記注型空間(118)に配置されており、したがって完全に組み立てられた状態において前記結合領域が前記注型コンパウンドによって密封されている、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の電源ユニット。
【請求項6】
前記結合領域にスナップ結合部(120,132)が設けられている、
請求項5に記載の電源ユニット。
【請求項7】
前記出力リード線(114)のためのストレインリリーフ(124)を受け入れる保持部(122)が、前記注型空間(118)の領域において前記筐体基本要素(102)にさらに設けられている、
請求項1から請求項6のいずれかに記載の電源ユニット。
【請求項8】
民生機器に低電圧を供給する電源ユニットを製造する方法であって、
筐体の筐体基本要素および蓋要素を作製するステップと、
少なくとも1つの電源プラグコンタクトを、電源コンセントに差し込むことができるように、前記筐体基本要素または前記蓋要素に配置するステップと、
変圧器ユニットを回路担体に取り付けるステップと、
前記筐体基本要素の壁によって囲まれている注型空間の中に、電気絶縁性の注型コンパウンドを注入するステップと、
少なくとも1個の電子部品を備えた前記回路担体を、前記電力プラグコンタクトの差し込み方向に対する特定の向きとして、前記回路担体のうち絶縁される定義された第1の領域が前記注型空間に受け入れられるような向きに、前記筐体基本要素に取り付けるステップであって、したがって、前記回路担体のうち絶縁される前記第1の領域が前記注型コンパウンドによって覆われる一方で、前記回路担体のうち、前記少なくとも1個の電子部品が配置されている第2の領域、が封止されないままである、前記ステップと、
前記蓋要素を取り付けることによって前記筐体を閉じるステップと、
を含んでいる、方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの電源プラグコンタクトと電気的に接触する少なくとも1つの第1の接点が、前記回路担体の前記第1の領域に配置されており、前記接触が、前記回路担体を前記筐体基本要素に挿入することによって達成される、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1本の出力リード線と電気的に接触する少なくとも1つの第2の接点が、前記回路担体の前記第1の領域に配置されており、前記回路担体が前記筐体基本要素に挿入される前に、前記少なくとも1本の出力リード線が前記第2の接点に接続される、
請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第2のコンタクトが、前記少なくとも1本の出力リード線にはんだ接続によって接続される、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
結合領域が、前記筐体基本要素と前記蓋要素との間に、前記注型空間に配置されており、したがって完全に組み立てられた状態において前記結合領域が前記注型コンパウンドによって密封されている、
請求項8から請求項11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記結合領域にスナップ結合部が設けられる、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記注型コンパウンドが注入された後、前記注型コンパウンドが完全に硬化する前に、前記蓋要素が前記筐体基本要素に結合される、
請求項12または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記出力リード線のためのストレインリリーフを受け入れる保持部が、前記注型空間の領域内に前記筐体基本要素にさらに設けられており、前記注型コンパウンドが注入される前に前記ストレインリリーフが取り付けられる、
請求項8から請求項14のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−143130(P2012−143130A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−252025(P2011−252025)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(504245778)フリボ ゲラーテバウ ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】