説明

部分肉の真空個包装体の印字方法

【課題】 多くの部位(部分肉)に分断された畜肉や大型魚類の複数の部分肉を装入した真空4方シール体を、高速で1個ずつ真空を維持したまま分断し、各真空個包装体に需要者が必要とする情報が印字されている。 【解決手段】 コンベアーの一端に、間隔を保って配置された1個以上の部分肉を、ガスバリア性のフィルムで一体に真空包装した、真空4方シール体の部分肉間の平坦部を、上下双方からフィルム層を加熱するインパルスシーラーで、シール・二次切断する部分肉の真空個包装方法であって、コンベアー上の2個以上の部分肉を載置する部位の長さ(a)の整数倍前の位置において、下フィルムの外面に、リボン式活字レス多連サーマルプリンターを用いて、各部分肉に関する流通上必要な少なくとも1連の情報を、該下フィルムがコンベアー上で、並べられるべき1以上の各部分肉に対応する位置に印字する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多くの部位(部分肉)に分断された牛、豚、鶏等の畜肉や大型魚類の複数の部分肉を装入した真空4方シール体を、高速で1個ずつ真空を維持したまま分断し、真空個包装した部分肉の各々に、各部分肉の流通上必要な一連の情報を印字して商品のトレーサビリティを向上させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、牛枝肉では1頭をロース、バラ、フィレ等の26部位に分割し真空包装し、加温してフィルムを収縮させ、或いはフィルムを収縮させずに冷却して0℃前後で保管、配送するいわゆるチルドビーフが流通している。
近時、より小さく分断された牛、豚、鶏、大型魚類などの部分肉が要求されるようになった。特に、牛肉の場合はトレーサビリティ法が施行され、部分肉の個包装体に、10桁の牛1頭毎の個体識別番号を表示し流通させることが義務付けられた。このように、小型部分肉の包装体であっても、トレーサビリティが重視され、その産地、加工日、部位等の履歴情報を明示することが要求されるようになった。
【0003】
本発明者らは特許文献1において小さな部分肉の真空個包装方法を開示した。それは、ガスバリア性、熱融着性フィルムを用いて、巻回した下フィルムを巻出した。下フィルムの先端が上フィルムの先端と融着している状態で、下フィルムの上に2個以上の部分肉を互いに離して載置し、巻回した上フィルムを巻出して下フィルム上に部分肉ごと被せてシールした。このシール部の中央部を切断して上下のフィルムで部分肉を挟んだ筒状シール体とし、この筒状シール体を両開口部から吸引し、開口部をシールして真空密封し、2個以上の部分肉を装入した真空4方シール体を得る方法である。
【0004】
次いで、1個の真空包装体の部分肉間の平坦部を、上下のヒーター線の加熱開始時刻が0.3〜4秒異なるインパルスシーラーを用いて2本以上のシール線を設け、このシール線間を二次切断する方法を開示した。
これら部分肉の包装用フィルムとしては、特許文献2や特許文献3が開示され、種々のフィルムが提供されている。
【特許文献1】特開2004−161291号公報
【特許文献2】特開平10−34800号公報
【特許文献3】特開平11−207886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
部分肉を細分化すると、末端の消費者にとっては肉の履歴が不明になりがちである。真空個包装した各部分肉にラベルを貼着する技術も検討したが、部分肉には凹凸があり、流通中に剥がれる可能性がある。フィルム自体に印字することが好ましいが、部分肉自体に凹凸がある上、真空包装であるため部分肉の周囲の平坦部にも凹凸がある。凹凸面への印刷は文字の濃淡が不均等になり、これも採用し難いものであった。更に、本発明の方法は作業台に載せる部分肉の配置や種類が各回で異なるため、前もってフィルムの所定部位に種々の印字を行うことは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決することを目的とし、その構成は、ローターコンベアーの一端に、相互に所定の間隔を保って配置された1個以上の部分肉を、ガスバリア性のフィルムで一体に真空包装した、真空4方シール体の部分肉間の平坦部を、上下双方からフィルム層を加熱するインパルスシーラーで、上下のヒーターの加熱開始時刻をずらせて2本以上のシール線を形成すると共に、該シール線間を二次切断する部分肉の真空個包装方法であって、ローターコンベアー上の1個以上の部分肉を載置する部位の長さ(a)の整数倍前の位置において、下フィルムの外面に、リボン式活字レス多連サーマルプリンターを用いて、各部分肉に関する流通上必要な少なくとも1連の情報を、該下フィルムがローターコンベアー上で、並べられるべき2以上の各部分肉に対応する位置に印字することを特徴とする。
【0007】
すなわち、本発明は、ガスバリア性、内面熱融着性、セルフウエルド性の上下のフィルムを使用する。下フィルム上に、相互に所定の間隔を保って配置した1個以上の部分肉を載せ、上フィルムを被せて一体に真空包装した4方シール体を形成する。次いで、部分肉間の平坦部を、上下双方からフィルム層を加熱するシーラーで2本以上のシール線を形成すると共に、シール線間を二次切断する部分肉の真空個包装方法を前提とする。その上で前もって下フィルム外面に、生産地、加工日、加工工場、部位、牛肉の場合は1頭毎の10桁の個体識別番号、豚肉の場合はロット番号、等の部分肉を流通させる上で必要な情報を印字するものである。
【0008】
下フィルムは先端を上フィルムと融着された状態でローターコンベアーの一端の上に広げられ、その上に部分肉を載せ、上フィルムを被せるのであるから、全工程を通じて上フィルムの使用量は下フィルムの使用量よりはるかに多い。この事実は下フィルムは上フィルムよりシワが少ないことを意味する。
本発明は、活字レスリボン式多連サーマルプリンターで下フィルム外面に印字するものである。1回の工程で下フィルム上に載せるべき部分肉の配置を前もって決定し、これをコンピューターに記憶させ、巻出されて印字テーブル上に静置した下フィルムの外面に印字するものである。印字は必要な情報の全てを1連に塊状にまとめ、複数工程の後、ローターコンベアー上の下フィルムに複数の部分肉を載せる段階で、部分肉の全てに対応する位置の下フィルムに、少なくとも1連の情報が印字されているようにする。したがって、ローターコンベアーと印字テーブルとの間に介在する下フィルムの長さは、1個の4方シール体を製造するために要する下フィルムの長さの整数倍でなければならない。
【0009】
本発明は小型の部分肉を2個、3個と互いに離して並べ、まとめて吸引、真空シールすることにより吸引、脱気に要する時間とフィルムを節約し、ドリップの浸出を抑制する技術を前提とする。
この真空シールされた複数の部分肉が装入された包装体を分割するにあたって、シールすべき部位におけるシワの発生は免れない。そのため、全体を均等に加熱シールすることが困難であったが、インパルスシーラーの上下から加熱し、上下いずれか1方のヒーター線への第一の通電を最初に行った後、瞬時のヒーター台冷却期間をおいて、切断と上下他方のヒーター線への第二の通電を同時に行い、約1.5秒程度放冷した後取出す方法によりインパルスシーラーによる分割工程に要する時間が減少した。
【発明の効果】
【0010】
前もってローターコンベアー上の下フィルムに載せるべき部分肉の配置をコンピューターに記憶させ、4方シール体の製造に要する下フィルムの長さの整数倍の長さの下フィルムを介在させて、印字テーブル上で、この下フィルムがローターコンベアー上に来た時に載せるべき部分肉の一連の各情報を印字するものである。テープ式、活字レス多連サーマルプリンターを用いる本発明により、部分肉のトレーサビリティが格段に向上した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は牛肉のみならず、豚肉、鶏肉等、畜肉、魚肉にも使用することができる。
本発明に使用するフィルムは内面熱融着性、ガスバリア性、セルフウエルド性であることが好ましい。セルフウエルド性とは、包装体を熱風トンネルを通過させる等して加熱すれば、上下のフィルムの熱融着性層同士が弱く融着し、部分肉からドリップが浸出し難くなり、且つ、浸出するドリップが平坦部に広がらない性質である。熱風トンネルは60〜110℃、好ましくは70〜95℃の熱風に曝す装置であり、2〜10秒、好ましくは3〜7秒間通過させる。この操作により、部分肉の存在しない平坦部で上下のフィルム同士が弱く融着し、ドリップの通過を防止する。セルフウェルドした部分は通常の融着部と異なり、引張れば容易に剥がれる程度である。
【0012】
本発明で使用するフィルムは内面熱融着性、セルフウェルド性であることが好ましい。このような特性を付与するためには、最内層の熱融着性層を主として構成する合成樹脂の融解ピーク温度が、JIS K 7125に準拠して測定して60〜110℃、好ましくは70〜95℃の範囲にあればよい。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、線状低密度ポリエチレン、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、メタロセン等の軟質ポリオレフィン系樹脂にはこの条件を満たすものがある。中でも、メタロセン及び酢酸ビニル含有量が15〜25重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく使用される。熱融着性層を主として構成する合成樹脂とは、熱融着性層中の当該合成樹脂の占める割合が60重量%以上、好ましくは80重量%以上である。
【0013】
本発明では、熱収縮性、非熱収縮性のいずれのフィルムも使用可能である。一般に、フィルムは高温に曝されると多少とも収縮する傾向がある。高温での収縮率が5%前後であれば、熱風トンネルを通過させた後、真空4方シール体をインパルスシーラーでシール・二次切断することが可能である。しかしながら、高熱収縮性フィルムを使用すると、2以上の部分肉間に、予め設けた二次切断用の所定の間隔も収縮し、二次切断が困難になる可能性がある。したがって、高熱収縮性フィルムの場合には、インパルスシーラーによる二次切断後に熱風トンネルを通過させる。
【0014】
本発明の前提は下記の工程を経た部分肉の真空個包装体である。すなわち、小さく分断された2以上の部分肉を、互いに離して配置して両端を融着した筒状シール体をまとめて脱気して両端を融着し4方シール体を得る。この4方シール体を本発明インパルスシーラーでシール・二次切断して真空個包装体を得るものである。
大型の部分肉の場合、又は上下フィルムの幅が狭い場合には、1個の部分肉をローターコンベアー上に載せることになる。この場合には、本発明インパルスシーラーでシール・二次切断する工程が不要になる。
したがって、部分肉の真空個包装体の製法を先ず説明し、次いで、各部分肉を載せるべき下フィルム外面の各部位に、予め載置されるべき各部分肉の履歴情報が印字されている状態にする手段を説明する。
【0015】
本発明部分肉の真空個包装体は、熱非収縮性のフィルムを用いて、図1に示すように、下記(1)から(7)の工程を順次行うこともできる。
(1)工程は包装機のローターコンベアー14上の部分肉置き部位に、熱融着性層を上にして巻出した下フィルム15上に部分肉10を載せる工程である。(1)工程においては、巻出した下フィルム15の先端は上フィルム16の先端と融着され、切断された後であって融着部11を形成している。
牛肉について説明すれば、26分割した大型部分肉であれば1個載せることができる。しかしなから、送り出すフィルムのピッチ長さを一定に設定すれば、74部位とか138部位に分割した部分肉10なら、図1の(3)に示すように、2個以上載せることができる。この場合に2個以上の部分肉10を互いに離して並べることが重要である。その離す距離は部分肉の大きさによっても異なるが、インパルスシーラーによる二次切断を支障なく行える間隔である。
【0016】
(2)工程では、予め先端部が上フィルム16の先端部と融着されている、下フィルム15上に乗った部分肉10上に、上フィルム16を巻出しながら被せる。
(3)工程では、一定ピッチで部分肉10の存在しない部位を、フィルムの流れ方向と垂直に融着し、融着部の中央部を切断して筒状シール体17と先端部が互いに融着された上下フィルム9を得る。12は上下のフィルムが直接接触している平坦部である。先端部が互いに融着された上下フィルム9は次回の(1)工程を実施する時に使用される。以後の工程では平面図を示す。
(4)工程では、1以上の筒状シール体17に真空ボックスを被せ、4〜15秒、好ましくは5〜10秒吸引し筒状シール体17を真空にする。
(5)工程では、真空になった筒状シール体17の開口部をヨコ融着する。図1から明らかなように、部分肉10と部分肉10との間には平坦部12が存在し、二次切断するために充分な間隔を保っている。
【0017】
(6)工程では、2以上の部分肉を互いに離して包装した1個の4方シール体13を熱風トンネルを通過させる。熱風トンネルを通過することにより、平坦部12において上下のフィルムがセルフウエルドし、浸出するドリップの流通を阻害すると共に、浸出ドリップの量も低減する。
(7)工程では、部分肉と部分肉との間を本発明の方法によりシール・二次切断する。 その結果、時間を要する(4)の真空、脱気工程において、2個以上の部分肉を一挙に処理することができ作業効率が向上する。19は二次切断部位である。(1)工程で1個の部分肉を載せた場合には、そのまま個包装されているため(7)工程は不要である。
【0018】
フィルム9が熱収縮率の大きいフィルムの場合には、(6)工程で平坦部12も収縮して(7)工程の二次切断が困難になりがちである。その場合には(7)工程を先に行い、次いで(6)工程を行えばよい。
図2には熱収縮性のフィルムを用いて本発明真空個包装体を得る他の方法を示した。
(1)工程では、下フィルム上15上に比較的大きい部分肉1個と比較的小さい部分肉2個との合計3個を、互いに離して図2(3)に示すように並べた。(2)、(3)、(4)及び(5)工程は図1と同様に行う。
図2に示す(5)工程の仮想線はインパルスシーラーによりシール・二次切断するべき位置である。
【0019】
(6)工程では(5)工程に示した横方向の仮想線の位置をインパルスシーラーでシール・二次切断し、1個の真空個包装体18と1個の4方シール体13が得られる。次いで、縦方向の仮想線で示した位置を本発明インパルスシーラーでシール・二次切断し、2個の真空個包装体を得、合計3個の真空個包装体18が得られる。
(7)得られた真空個包装体18を、熱風トンネルを通過させる。
(8)(7)工程により得られる、フィルムが加熱され平坦部12のフィルムがセルフウェルドし、且つ収縮してシワを発生した3個の部分肉の真空個包装体18を示すが、これはいわゆるシュリンク包装体である。
【0020】
本発明で使用するインパルスシーラーの、シーラー部の横垂直断面図を図3に示した。(A)は上部ヒーター台の上昇時を示し、(B)は上部ヒーター台の下降時を示す。1は取付ガイドであり、取付ガイド1に2個の上部ヒーター台2が並列に取付られる。上部ヒーター台の下端には2本の上部ヒーター線3が上部ヒーター台のほぼ全長にそれぞれ取付けられている。下部ヒーター台4の上端には下部ヒーター線5が上部ヒーター線3と対応する位置に取付られている。下部ヒーター線5の下には、シリコーンゴム等からなる耐熱クッション材6が装着されている。上部ヒーター線3及び下部ヒーター線5の表面は、フィルムが熱によりヒーター線に付着しないように、テフロン(登録商標)等の弗素樹脂やシリコーン樹脂からなる剥離テープ7で被覆する。8は切断刃であり、2列の下部ヒーター台4の間に上向きに待機し、上部ヒーター台2が下降している時に上昇してフィルム9を二次切断する。
【0021】
図3に示すインパルスシーラーの下ヒーター線5の上に、2個以上の部分肉の4方シール体13の平坦部12を載せ、平坦部の中央部が下部ヒーター線5の中間部、すなわち、切断刃8の真上にくるように調整する。上部ヒーター台2を下降させ押圧し、上部ヒーター線3に電圧を印加して加熱、押圧し、その状態で0.5〜4.0秒、好ましくは0.5〜1.5秒維持する。この時間はフィルムにより異なり、そのまま相互の相対的位置を変更せずに静置した場合に辛うじて真空を維持できる程度である。そのまま上下ヒーター線の通電を停止して0.05〜1.0秒、好ましくは0.1〜0.5秒間ヒーター台を冷却する。次いで2個の下部ヒーター台4の間で待機している切断刃8を上昇させると共に、下部ヒーター線5に通電する。
【0022】
上部ヒーター線3による加熱のみでは、仮シールの状態であり、フィルム9の温度もさして上昇していない。更にわずかな時間であっても冷却したため、2個の上部ヒーター台2同士の間、或いは下部ヒーター台4同士の間に介在するフィルム9の平坦部12を二次切断してもシール部が引き伸ばされることはない。切断開始と同時に、下部ヒーター線5に通電を開始する。通電時間は0.5〜4.0秒、好ましくは0.6〜2.0秒であり、二次切断された真空個包装体が流通・保管時に衝撃を受けても部分肉10の周囲の真空が維持されるシール強度が得られる時間である。その後、ヒーター台から離せる程度に冷却して本発明真空個包装体が得られる。この場合、下部ヒーター線5に先に電圧を印加し、その後、上部ヒーター線3に電圧を印加してもよい。
【0023】
得られた切断物は切り口が切断直前に上下第一のヒーター線により仮シールされているため、切断時に真空漏れするおそれがない。その後、上下第二のヒーター線により充分に加熱シールするため流通・保管に耐える真空個包装体が得られる。シールされたフィルム9をヒーター台から離せる温度は、フィルムを伸びないように切断できる温度より高いため、シール後のフィルムを冷却するために要する時間を短縮することができると共に、切断時間も省略できる。
図3では1個のヒーター台(2、4)に2本のヒーター線(3、5)を設けたが、1個のヒーター台に1本或いは3本又はそれ以上のヒーター線を設けても差支えない。また、切断刃8は下方から上方に上昇するが、上方から下方に下降させて切断してもよい。
【0024】
本発明における、各部分肉に関する流通上必要な一連の情報とは、先ず、動物の種類、個体の産地、陸揚げ地、個体識別番号、部位、加工工場名、ロット番号、加工日、賞味期限、重量、その他部分肉に関し需要者が必要とする情報を認識できる文字である。これらの文字を一定面積内に塊状にまとめて印字し、この塊の1個を一連の情報とする。バーコードのように文字の概念に含まれないものであっても、情報の集積であるものは全て本発明における情報とする。要するに文字に限定せず、部分肉を市場に置く場合、需要者が知る権利を有する情報のすべてを包含する。
【0025】
図4に、リボン式活字レス多連サーマルプリンターを本発明に使用した1例を示した。リボン式活字レス多連サーマルプリンターは、コンピューターと連結して使用され、EDM社、第一パック社、IPROS社等から市販されている。
紙管に巻回された下フィルム15は巻出され、同一高さに配置した一対の水平ロール21を通過して、外面を上にして水平に流れる。この水平な下フィルムと上辺がほぼ一致する印字テーブルを設け、印字テーブルの上方にプリンターを設置する。22はコンピューターで制御されるリボン式活字レス多連サーマルプリンターの印字ヘッドであり、印字テーブル上の下フィルム15の指定された部位に、指定された情報を何連でも印字することができる。
【0026】
印字された下フィルム15は一旦下降し、調節ロール23を介して上昇し、方向変換ロール24を介してローターコンベアー14上に供給される。ローターコンベアー14は図1に示したものを拡大して示した。図1及び図2の(4)工程では真空ボックスを被せて脱気を行うため、その間フィルムの流れは停止する。この停止時間に部分肉を下フィルム上に並べる工程や、下フィルムに印字する工程が行われる。
【0027】
図4のBはローターコンベアー上の下フィルムに部分肉を載置する部位の始端であり、ローターコンベアー14が移動すると、B位置の下フィルムは融着・切断装置の真下に進み、B位置の周囲が融着されB位置で切断される。すなわち、ローターコンベアー14の停止期間と次の停止期間との間に、下フィルム15が移動する距離が図4に示した(a)である。(a)は1回の操業ピッチで移動する下フィルムの長さである。図4においては印字テーブルの上面の長さも(a)としたが、より短くても差支えない。
【0028】
印字テーブルの終端位置Aは、1回の停止期間に印字される部位の終端位置であり、1回のローターコンベアー停止期間に、印字ヘッド22がA位置から後方の下フィルムに印字を行うことを意味する。A、B間の距離が(a)の3倍であれば、今回印字した下フィルムは4回後の停止期間にローターコンベアー上で、部分肉を載置される部位である。A、B間の距離が(a)の4倍であれば、印字テーブル上の下フィルムは5回後の停止期間に部分肉を載置される。したがって、調節ロール23の高さをA、B間の距離が(a)の複数倍になるように調整してその倍数をコンピューターに入力すればよい。
【0029】
ローターコンベアー14の下フィルムに部分肉10を配置する作業者は、コンピューターに記録された情報に従って配置する。その結果、予め下フィルムに印字された一連の情報と一致する部分肉が確実に載置される。
【実施例1】
【0030】
豚1頭を30個に分断した部分肉を、幅850mm、ガスバリア性の上下のフィルムで包装した。このフィルムは、厚さ9μmの2軸延伸ポリアミド層、厚さ4μmのエバール層、厚さ12μmの線状低密度ポリエチレン層の順に積層された厚さ約25μmのフィルムであった。このフィルムの85℃での熱収縮率は約5%であった。熱融着性層の線状低密度ポリエチレン層は、JIS K 7121に準拠して示差走査式熱量計で測定した融解ピーク温度が78℃であった。包装は下記手順で行った。
【0031】
前もって、真空4方シール体13に収納すべき部分肉の配置と各部分肉の情報をコンピューターに記録した。図4に示すように、予めA位置とB位置との距離が(a)の4倍になるように、調節ロール23により調整した。したがって、印字ヘッド22により印字される情報は5回後の停止期間に載置される部分肉の情報である。プリンターとしては市販のEDM社製、リボン式多連サーマルプリンター、THP−300を使用した。
(1)熱融着性層を上にしてローターコンベアー14上の部分肉載置位置に、コンピューターの記録情報に従い、印字された情報と一致する部分肉2個を、互いに離してフィルムの流れ方向と垂直に並べた。巻出されて先端が上フィルム16と融着、切断された下フィルム15上に載置された部分肉と印字された情報は一致していた。
【0032】
(2)下フィルム上に並んだ2個の部分肉上に、上フィルム16を被せた。
(3)2個の部分肉列の後方を、フィルムの流れ方向と垂直に融着し、2個の部分肉10を筒状シール体17に収納した。
(4)筒状シール体17に真空ボックスを被せ、両開口部から吸引し上下フィルムを部分肉に密着させ、部分肉が存在しない部位では上下フィルム同士が密着して平坦部12を形成した。1回の真空工程には約15秒を要した。
(5)筒状シール体17の開口部を真空状態で融着し、4方シール体13を得た。
(6)この4方シール体13を、85℃の熱風トンネルを5秒間通過させた。
(7)平坦部がセルフウエルドした4方シール体の、2個の部分肉の中間部を、図3に示した本発明インパルスシーラーでシール・二次切断し、2個のほぼ中央部に各情報を印字された真空個包装体18を得た。
【0033】
本実施例においては、インパルスシーラーの下部ヒーター台4の上に真空4方シール体を並べ、2本の下部ヒーター線5の中央部の切断刃8が待機している位置と、2個の部分肉10間の平坦部12の中央部の位置とを一致させた。次いで、図3(B)に示すように取付ガイド1を下降させ、フィルム9を押圧した。先ず、上部ヒーター線3に0.7秒間第一の通電をした。その後、上下ヒーター線3、5共に通電することなく0.3秒間ヒーター台を冷却し、下部ヒーター線5に第二の通電を開始すると共に、切断刃8を上昇させた。上部ヒーター線3の通電時間は1秒であり、切断刃8が切断後図2(A)の位置に戻るのに要する時間も約1秒であった。その後、約1.5秒通電を停止して冷却した後、取付ガイド1を上昇させて2個の二次切断された真空個包装体18を得た。
【0034】
得られた真空個包装体18の取出し、熱風トンネルを通過した4方シール体の配置、取付ガイド1の下降、上部ヒーター線3の通電、冷却、下部ヒーター線5の通電及び冷却からなる、インパルスシーラー稼働の各1サイクルに要する時間は、平均して5.5秒であり、二次切断部位19は引き伸ばされていなかった。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の前提である真空個包装工程を順次示したフローシートである。
【図2】真空個包装工程を順次示した他の実施例のフローシートである。
【図3】インパルスシーラーのシーラー部の横垂直断面説明図であり、(A)は上部ヒーター台の上昇時を示し、(B)は上部ヒーター台の下降時を示す。
【図4】活字レス多連サーマルプリンターを本発明に使用した1例である。
【符号の説明】
【0036】
A 1回の停止期間に印字されるフィルムの終端位置
B ローターコンベアー上の下フィルムに部分肉を載置する部位の始端位置
1 取付ガイド
2 上部ヒーター台
3 上部ヒーター線
4 下部ヒーター台
5 下部ヒーター線
6 耐熱クッション材
7 剥離テープ
8 切断刃
9 フィルム
10 部分肉
11 融着部
12 平坦部
13 4方シール体
14 ローターコンベアー
15 下フィルム
16 上フィルム
17 筒状シール体
18 真空個包装体
19 二次切断部位
21 水平ロール
22 印字ヘッド
23 調節ロール
24 方向変換ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローターコンベアーの一端に、相互に所定の間隔を保って配置された1個以上の部分肉を、ガスバリア性のフィルムで一体に真空包装した、真空4方シール体の部分肉間の平坦部を、上下双方からフィルム層を加熱するインパルスシーラーで、上下のヒーターの加熱開始時刻をずらせて2本以上のシール線を形成すると共に、該シール線間を二次切断する部分肉の真空個包装方法であって、
ローターコンベアー上の1個以上の部分肉を載置する部位の長さ(a)の整数倍前の位置において、下フィルムの外面に、リボン式活字レス多連サーマルプリンターを用いて、各部分肉に関する流通上必要な少なくとも1連の情報を、該下フィルムがローターコンベアー上で、並べられるべき1以上の各部分肉に対応する位置に印字することを特徴とする部分肉の真空個包装体の印字方法。
【請求項2】
一対の水平ロール間に、上端が一対の水平ロールの上端とほぼ同一高さの印字テーブルを配置し、該印字テーブル上に、外面を上にして巻出された下フィルムを供給し、該下フィルムに、リボン式活字レス多連サーマルプリンターの印字ヘッドが、少なくとも一連の情報を印字することを特徴とする請求項1記載の部分肉の真空個包装体の印字方法。
【請求項3】
印字テーブルの終端位置(A)から、ローターコンベアー上の1個以上の部分肉を載置する部位の始端(B)までの長さが、ローターコンベアー上の1個以上の部分肉を載置する部位の長さ(a)の整数倍になるように、調節ロールの高さを調整することを特徴とする請求項2記載の部分肉の真空個包装体の印字方法。
【請求項4】
予めローターコンベアー上に載置すべき部分肉の配置をコンピューターに記録し、該記録に従って、少なくとも一連の情報を、部分肉が載置されるべき部位に印字することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載する部分肉の真空個包装体の印字方法。
【請求項5】
インパルスシーラーが上部ヒーター線への第一の通電が終了した後、下部ヒーター線への第二の通電と二次切断とを同時に行うか、或いは、下部ヒーター線への第一の通電が終了した後、上部ヒーター線への第二の通電と二次切断とを同時に行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載する部分肉の真空個包装体の印字方法。
【請求項6】
下部ヒーター線への第二の通電時間が、上部ヒーター線への第一の通電時間より長いか、或いは、上部ヒーター線への第二の通電時間が、下部ヒーター線への第一の通電時間より長いことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載する部分肉の真空個包装体の印字方法。
【請求項7】
相互に所定の間隔を保って配置された1個以上の部分肉を、ガスバリア性、内面熱融着性のフィルムで真空包装した真空4方シール体を、ガスバリア性、内面熱融着性の上下の巻回フィルムを用いて、下記(1)ないし(6)の工程を順次行って製造することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載する部分肉の高速真空個包装方法。
(1)巻出されて先端が上フィルムと融着、切断されている下フィルム上に、1以上の部分肉を互いに離して並べる工程、
(2)巻出した上フィルムを部分肉に被せる工程、
(3)部分肉の存在しない部位を所定ピッチで、フィルムの流れと垂直方向に融着・切断して部分肉の筒状シール体を得る工程、
(4)真空ボックスを被せ、筒状シール体の両開口部から吸引、脱気する工程、
(5)脱気された筒状シール体の両開口部を融着する工程、
(6)得られた部分肉の4方シール体を、熱風トンネルを通過させる工程。
【請求項8】
相互に所定の間隔を保って配置された1個以上の部分肉を、ガスバリア性、内面熱融着性のフィルムで真空包装した真空4方シール体を、ガスバリア性、内面熱融着性の上下の巻回フィルムを用いて、下記(1)ないし(5)の工程を順次行って製造した後、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載する方法で、インパルスシーラーを用いてシール・二次切断した後、熱風トンネルを通過させることを特徴とする部分肉の高速真空個包装方法。
(1)巻出されて先端が上フィルムと融着、切断されている下フィルム上に、1以上の部分肉を互いに離して並べる工程、
(2)巻出した上フィルムを部分肉に被せる工程、
(3)部分肉の存在しない部位を所定ピッチで、フィルムの流れと垂直方向に融着・切断して部分肉の筒状シール体を得る工程、
(4)真空ボックスを被せ、筒状シール体の両開口部から吸引、脱気する工程、
(5)脱気された筒状シール体の両開口部を融着する工程、

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−76601(P2006−76601A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261893(P2004−261893)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(599167249)ベストパック株式会社 (4)
【Fターム(参考)】