配線基板とそれを用いた有機デバイス
【課題】配線基板とそれを用いた有機デバイスにおいて、設計変更が容易で電流容量の大きい配線を有し、低コストで製造可能なものとする。
【解決手段】配線基板2は、絶縁基板21と、その表面に島状に設けられた複数の島状導体22と、島状導体22間を接続する導体配線23とを備えている。電子デバイス3は、有機素子と、その有機素子に対して電気的接続を行う電極とをフィルムの表面に備えている。導体配線23は、金属ワイヤまたは金属リボンから成り、実装される電子デバイス3の電極が導体配線23に接合部材4によって電気的に接続可能に構成されている。有機デバイス1は、電子デバイス3を配線基板2にフェイスダウン実装し、その電極を接合部材4によって導体配線23に接続し、全体を封止部材5によって封止して構成されている。導体配線23は、大電流容量とすることができ、また、島状導体22間の配線変更により容易に設計変更に対応できる。
【解決手段】配線基板2は、絶縁基板21と、その表面に島状に設けられた複数の島状導体22と、島状導体22間を接続する導体配線23とを備えている。電子デバイス3は、有機素子と、その有機素子に対して電気的接続を行う電極とをフィルムの表面に備えている。導体配線23は、金属ワイヤまたは金属リボンから成り、実装される電子デバイス3の電極が導体配線23に接合部材4によって電気的に接続可能に構成されている。有機デバイス1は、電子デバイス3を配線基板2にフェイスダウン実装し、その電極を接合部材4によって導体配線23に接続し、全体を封止部材5によって封止して構成されている。導体配線23は、大電流容量とすることができ、また、島状導体22間の配線変更により容易に設計変更に対応できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス実装用の配線基板とそれを用いた有機デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子デバイス、例えば発光素子などを実装する配線基板として、プリント配線基板が用いられている。プリント配線基板は、リソグラフィ技術などの印刷類似技術を用いて形成した配線パターンを絶縁基板上に備えている。配線パターンは、例えば、導電膜形成、レジストマスク形成、エッチング処理、などの多くの工程とそのための多種類の装置を用いて形成される。また、一般に配線基板と呼ばれる基板として、複数の絶縁被覆ワイヤを絶縁基板上に這わせて(布線、配索などという)絶縁基板上に接着固定することにより形成したマルチワイヤ配線板が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−344112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようなプリント配線基板においては、その製法が多工程かつ多種類の装置を必要とするので製造コストが高く、また、設計変更に際してレジストマスク形成用の露光用マスク変更が必要であり、設計変更が容易でなく、高コストになる。また、プリント配線基板においては、その配線パターンを電流容量の大きい電源用などとする場合、厚い銅層を有する銅箔積層板のエッチングや、配線パターンの厚膜化のためのめっき層形成などが必要であり、コスト高や設計変更の非容易性がさらに加わる。また、上述のマルチワイヤ配線板は、配線用のワイヤが絶縁被覆されているので互いに交差させて高密度配線をすることができるという利点があるものの、その利点が電子デバイス実装用に役立つというものではない。
【0005】
本発明は、上記課題を解消するものであって、設計変更対応が容易であり、電流容量の大きい配線を有して低コストで製造できる配線基板とそれを用いた有機デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明の配線基板は、電子デバイス実装用の配線基板において、絶縁基板と、絶縁基板の表面に島状に設けられた複数の島状導体と、島状導体間を電気的に接続する導体配線と、を備え、導体配線は、金属ワイヤまたは金属リボンから成り、実装される電子デバイスの電極が該導体配線に電気的に接続可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
この配線基板において、絶縁基板の表面に成膜された導体膜が島状導体を構成してもよい。
【0008】
この配線基板において、絶縁基板は、その表裏を電気的に接続するビアを有し、ビアは、島状導体に電気的に接続されているものとすることができる。
【0009】
この配線基板において、絶縁基板は、貫通孔を有し、導体配線は、その端部が貫通孔に挿通されているものとすることができる。
【0010】
この配線基板において、絶縁基板に挿通された導体ピンの端部が島状導体を構成してもよい。
【0011】
この配線基板において、絶縁基板は、ガラス基板とすることができる。
【0012】
また、本発明の有機デバイスは、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の配線基板に電子デバイスが実装され、電子デバイスは、有機素子と、その有機素子に対して電気的接続を行う電極と、をフィルムの表面に備え、電極が接合部材によって配線基板の導体配線に電気的に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の配線基板によれば、島状導体間を接続する導体配線に電子デバイスの電極が電気的に接続可能とされているので、導体配線の配置変更によって設計変更に容易に対応でき、また、断面が大きい導体配線を用いて電流容量の大きい配線を実現できる。このような配線基板を用いる有機デバイスは、電流容量を大きくすることができることに加え、設計変更にかかるコストを抑えて低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係る配線基板を用いた有機デバイスについて封止部材と電子デバイスとを透視して示す平面図、(b)同有機デバイスの断面図。
【図2】同有機デバイスにおける電子デバイス部分を抜き出した斜視図。
【図3】(a)〜(g)は同有機デバイスの製造工程を順次示す断面図。
【図4】同有機デバイスの製造方法を説明するフローチャート。
【図5】同有機デバイスの変形例を示す平面図。
【図6】(a)は同有機デバイスの他の変形例の一部分を示す部分平面図、(b)は同変形例の断面図。
【図7】同有機デバイスのさらに他の変形例の一部分を示す部分平面図。
【図8】(a)は同有機デバイスのさらに他の変形例の分解断面図、(b)は同有機デバイスの断面図。
【図9】(a)〜(e)は同配線基板の他の製造方法による製造工程を順次示す断面図。
【図10】図9に示した配線基板の製造方法を説明するフローチャート。
【図11】同有機デバイスのさらに他の変形例の断面図。
【図12】(a)〜(d)は同変形例の配線基板の製造工程を順次示す断面図。
【図13】図12に示した配線基板の製造方法を説明するフローチャート。
【図14】同有機デバイスのさらに他の変形例の断面図。
【図15】(a)(b)は同変形例の配線基板の製造工程を順次示す断面図。
【図16】同有機デバイスのさらに他の変形例の断面図。
【図17】(a)〜(d)は同変形例の配線基板の製造工程を順次示す断面図。
【図18】図17に示した配線基板の製造方法を説明するフローチャート。
【図19】同有機デバイスのさらに他の変形例の断面図。
【図20】(a)〜(d)は同変形例の配線基板の製造工程を順次示す断面図。
【図21】図20に示した配線基板の製造方法を説明するフローチャート。
【図22】(a)は同有機デバイスのさらに他の変形例の電子デバイス部分を抜き出した斜視図、(b)は(a)の一部分の断面図、(c)は(b)の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る配線基板とそれを用いた有機デバイスについて、図面を参照して説明する。図1乃至図4は一実施形態に係る有機デバイス1を示す。有機デバイス1は、図1(a)(b)に示すように、配線基板2と、有機素子を有する4つの同等の電子デバイス3と、電子デバイス3を配線基板2に電気的に接合する接合部材4と、電子デバイス3を封止する封止部材5と、を備えて構成されている。電子デバイス3の有機素子は、例えば、発光素子であり、有機デバイス1は照明器具である。配線基板2は、絶縁基板21と、絶縁基板21の表面に島状に設けられた複数の島状導体22と、島状導体22間を電気的に接続する導体配線23と、を備えている。ここで、導体とは電気伝導性の導体のことである。絶縁基板21は、矩形のガラス基板である。絶縁基板21の一面には、3本の長い島状導体22が互いに離間して左右と中央に平行に配置され、それらの、左右の島状導体22の内側と、中央の島状導体22の左右に、短い島状導体22が各6個ずつ列状に、各島状導体22に沿うように配置されている。各島状導体22は、互いに電気的に絶縁されて電気的に孤立した導体であり、それらの表面は、ワイヤボンディング可能に表面処理されている。3本の長い島状導体22の端部は、入出力用の電極22aとなっている。8本の長い導体配線23が、絶縁基板21の中央寄りの短い島状導体22と外側寄りの短い島状導体22とを電気的に接続して配置されている。長い導体配線23は、短い導体配線23によって、隣接するいずれかの長い島状導体22に電気的に接続されている。導体配線23は、金属ワイヤであり、ワイヤボンディングによって、各島状導体22に接続されている。
【0016】
電子デバイス3は、図2に示すように、フィルム基板31の上に、下部電極32と、有機EL素子からなる発光部33と、上部電極34とを、この順に積層して形成した発光素子である。発光部33および上部電極34からの下部電極32の露出部と、上部電極34の上部全面とが、それぞれ発光部33に対して電気的接続を行う接続電極部3a,3bとされている。各接続電極部3a,3bは、導電性接着剤からなる接合部材4によって導体配線23に電気的に接続されている。この電子デバイス3は、配線基板2に対してフィルム基板31を上側に配置するフェイスダウン実装とされている。フィルム基板31側を光放出面とする場合、フィルム基板31には透明フィルムが用いられる。
【0017】
図1(a)(b)に戻って、電子デバイス3の配置と有機デバイス1の封止構造とを説明する。電子デバイス3は、各接続電極部3a,3bを、長い導体配線23の中央部分における接合部材4に対向させて、配線基板2上に実装されている。言い換えると、上述の8本の長い導体配線23や8本の短い導体配線23は、4つの電子デバイス3の各接続電極部3a,3bに適切に照明用の電力を供給できるように島状導体22の対を選択してワイヤボンディングされている。電子デバイス3と配線基板2との間には、電子デバイス3を固定する固定材41が充填されている。固定材41は電子デバイス3の素子部分を封止する機能を有するものとすることができる。固定材41として、例えば、ゲル状のポッテイング剤や、アウトガスの少ない樹脂フイルムなどを用いることができる。電子デバイス3を封止する封止部材5は、電子デバイス3の全体を囲むように配線基板2上に配置されたスペーサ51と、スペーサ51上に配置されたガラス製の透明カバー板52と、これらと配線基板2とを互いに接着して封止する接着剤(不図示)とからなる。なお、長い島状導体22に接続される3つの電極22aがスペーサ51の下部を通って外部の非封止部に引き出されており、このため、スペーサ51は、絶縁体とされている。
【0018】
次に、図3、および図4のフローチャートにより、有機デバイス1の製造方法を説明する。図3(a)(b)に示すように、絶縁基板21の表面に、島状に分布する島状導体22を形成し(図4のステップS1)、島状導体22間を金属ワイヤで電気的に接続して導体配線23を形成し(ステップS2)、これにより、配線基板2が完成する。次に、図3(c)(d)に示すように、導体配線23上の所定位置に導体ペースト(接合部材4)を配置し(ステップS3)、電子デバイス3の電極を導体ペーストに対向させて、配線基板2上に電子デバイス3を配置する(ステップS4)。次に、図3(e)に示すように、導体ペーストを固化させることにより、電子デバイス3の電極と導体配線23とを電気接続する(ステップS5)。この固化の際、または固化の前後に、電子デバイス3の封止と固定のための固定材41を電子デバイス3と配線基板2との間に注入または配置して電子デバイス3を固定する。最後に、図3(f)(g)に示すように、スペーサ51と、透明カバー板52と、封止用接着剤とによって電子デバイス3を封止して(ステップS6)、有機デバイス1が完成する。なお、上記の製造工程の順序は、一例であって、適宜順番を入れ替えることができる。
【0019】
ここで、有機デバイス1の各部材と製造方法について説明する。絶縁基板21は、ガラス基板に限らず、シリコンやセラミックなどの無機基板、樹脂基板、これらの複合基板などを用いることができる。また、絶縁基板21は、少なくとも島状導体22を設ける表面が電気絶縁性であればよく、金属基板の表面に絶縁層を形成した基板でもよい。島状導体22は、導体配線23を接続できる導体であればよく、例えば、絶縁基板21の表面に成膜された導体膜を用いて形成することができる。導体膜による島状導体22の形成方法として、例えば、スパッタリング成膜とその後のレジスト塗布、パターン露光、現像、エッチング等のプロセスによる方法、メタルマスクを用いた蒸着やスパッタリングによる直接的パターン形成方法などを用いることができる。また、これらの方法に、無電解めっき、電解めっきなどを組み合わせたり、めっき単独で形成したりすることもできる。また、樹脂成形により、リードフレームなどをインサート成形またはアウトサート成形して、樹脂部分を絶縁基板21とし、リードフレームなどの露出した金属部分を島状導体22としてもよい。また、島状導体22の表面は、高ワイヤボンディング性や、高はんだ密着性などとするために、金メッキ等による多層複合構造とすることができる。導体配線23は、数十μm〜数百μmの太さの金属ワイヤ、例えば、Cu製のワイヤであり、他の材質として、Al、Al−Si合金、Au合金などの金属性ワイヤとすることができる。接合部材4は、導電性接着剤、例えば、Agペーストを用いることができ、この他に、はんだペーストなどを用いることができる。導体配線23と島状導体22の接続方法として、熱や超音波振動を加えるワイヤボンディング方法の他に、導電性接着剤による接着、はんだ付け、レーザ溶接、抵抗溶接、リードフレームへのかしめ、などの種々の方法を用いることができる。
【0020】
電子デバイス3は、フィルム基板31の上に有機素子によって形成した発光素子であると説明したが、配線基板2には、このような素子に限らず任意機能を有する任意形状の電子デバイス3を実装することができる。例えば、上述の4つの個別の電子デバイスの代わりに、これらの電子デバイス3を一体化してなる大面積の1つの電子デバイスをフィルム基板31上に柔軟なフィルム状の素子として形成したものを、配線基板2に実装することができる。フィルム基板31は、有機フィルムであり、例えば、PET樹脂やPEN樹脂のフィルムを用いることができ、この他に、金属フィルムも用いることができる。金属フィルムの場合、熱放熱性の良いデバイスを形成でき、また、金属フィルムを電極として用いることもできる。スペーサ51は、電極22aに対して電気絶縁できる表面を有するものであればよく、例えば、絶縁基板21と同じ材質の材料で形成することができる。同じ材質の場合、熱応力に対する耐性が得られるので、絶縁基板21、スペーサ51、透明カバー板52を、例えば、同じ材質のガラスで構成すると好適である。ガラスによって構成した封止構造は、耐湿性や透明性などの点で優れており、有機素子からなる電子デバイス3を実装する有機デバイス1に好適である。他の材料として、ガラス以外に、例えば、Si(シリコン)やセラミックなどから、互いに近い線膨張率を有する材料を選択して用いることができる。封止部材5を配線基板2に接着して封止する接着剤は、例えば、UV硬化樹脂を用いることができ、この他に、低融点ガラスや熱硬化樹脂などを用いることができる。
【0021】
次に、図5、図6、図7により、有機デバイス1および配線基板2の変形例を示す。図5に示す有機デバイス1は、上述の配線基板2における導体配線23の配置を変更した配線基板に、上記の電子デバイス3よりも面積の小さい電子デバイス3を6つ、実装して成る変形例であり、他の構成は、上述の有機デバイス1と同様である。また、図6(a)(b)に示す有機デバイス1は、図5に示した配線基板2において、電子デバイス3の電極と導体配線23とを電気接続する接合部材4を増やしたものである。接合部材4の設置場所や個数は、任意に増やすことができる。これにより、より低抵抗で両者を電気接続することができ、導体配線23の低抵抗性をより有効に発揮することができる。また、図7に示す有機デバイス1は、図5に示した有機デバイス1において、導体配線23を形成する材料として、金属ワイヤに替えて金属リボンとしたものである。金属リボンは、金属ワイヤよりも、表面積を大きくすることができるので、導体配線23と島状導体22との接合部や、導体配線23と電子デバイス3の電極との接合部においてより大きな面積で接合することができ、接合抵抗を低減することができる。さらに、金属リボンは、金属ワイヤよりも、断面積を大きくできることから、より電流容量の大きい電流路を形成することができる。金属リボンと島状導体22との接合は、金属ワイヤの場合と同様の方法による他、例えば、パラレルギャップ溶接機を用いて溶接により接合することができる。また、金属リボンと電子デバイス3の電極との接合は、金属ワイヤの場合と同様の方法を用いることができる。
【0022】
本実施形態の配線基板2によれば、島状導体22間を接続する金属ワイヤや金属リボンによる導体配線23を、電子デバイス3の電極を電気的に接続可能に容易に構成でき、断面が大きい導体配線を用いて電流容量の大きい配線を容易に実現できる。従い、配線基板2は、発光素子などの電流容量の大きい電子デバイス3を実装することができる。また、配線基板2は、導体配線23の配置が島状導体22間で容易に変更できるので、すなわち、導体配線23の配線取り回しを容易に変更できるので、電子デバイス3や有機デバイス1の設計変更に容易に対応できる。このような配線基板2を用いる有機デバイス1は、電子デバイス3(有機素子)の電極パターン変更や電極配置変更などの設計変更に容易に対応できるので、コストを抑制することができる。
【0023】
有機デバイス1の他の変形例として、配線基板2と電子デバイス3との間に、透明または不透明の絶縁マスクシートであって、接合部材4を配置する部位に開口を有するシートを備えるようにしてもよい。絶縁マスクシートは、その両面または片面に接着剤や粘着材を備えてもよい。その接着剤や粘着材は、加熱によって接着や粘着の効果を発現し、加熱後の冷却状態において、その接着や粘着の効果維持する特性を有するものを好適に用いることができる。このような絶縁マスクシートを用いることにより、電子デバイス3と島状導体22や導体配線23との間の絶縁を自在に確保できるので、電子デバイス3の設計変更時における、配線基板2および有機デバイス1の設計変更対応性を強化することができる。
【0024】
図8(a)(b)により、有機デバイス1のさらに他の変形例を説明する。この変形例は、図1(a)(b)に示した有機デバイス1におけるスペーサ51と透明カバー板52とを一体化して、封止部材5を形成したものである。一体化した封止部材5は、ガラス板材の一面に、周辺のスペーサ部を残すように、掘り込み部5aを形成したものである。掘り込み部5aの形成は、例えば、サンドブラスト加工、研削や切削による機械加工、化学エッチングによる加工などの加工方法を用いて行うことができる。このような封止部材5は、一体化されているので、スペーサ51と透明カバー板52とを組み合わせるものに比べて、取り扱いが容易であり、また、接合部が一平面だけであるので、封止の信頼性も向上する。
【0025】
次に、図9、図10により、レーザ光を用いて島状導体22を形成する方法を説明する。図9(a)に示すように、絶縁基板21の表面にめっき用の導体下地膜20を、例えばスパッタリング成膜法や蒸着法によって形成する(図10のステップS11)。他の成膜法として、CVD法や無電解めっき法などを用いてもよい。次に、図9(b)に示すように、島状導体領域20aと絶縁領域20bとの境界部分の導体下地膜を、レーザ光LBの照射と所定の経路に沿ったレーザ光LBの走査とによって、蒸発除去する(ステップS12)。島状導体領域20aは、所定の電子デバイス3を実装するために必要な領域に加え、予め、種々の設計変更が予定される電子デバイス3の実装に対応することを考慮して、多めに形成しておく。その後、島状導体領域20aにめっき層を形成し、図9(c)に示すように、膜厚を増やして島状導体22を形成する(ステップS13)。次に、軽くエッチング処理することにより絶縁領域20bである導体下地膜を除去して、図9(d)に示すように、互いに絶縁され所定の厚みを有して島状に分布した島状導体22を有する絶縁基板21が完成する(ステップS14)。なお、この工程の前または後に、めっきタイバーの除去などを行う。最後に、図9(e)に示すように、島状導体22間を、適宜導体配線23によって接続して、配線基板2が完成する(ステップS15)。このようなレーザ光を用いる島状導体22の形成方法によれば、レーザ光の走査のための経路変更によって種々のパターンや配置の島状導体22を容易に設計、変更でき、エッチングマスクや露光マスクが不要であり、低コストで配線基板2を製造することができる。また、めっきは、島状導体22の形成のみに用いられ、導体配線はめっきによらないので、つまり最小限のめっき面積のもとで、低コストで効率良くめっきを行うことができる。
【0026】
次に、図11、図12、図13により、有機デバイス1と配線基板2の、さらに他の変形例を説明する。この変形例は、図11に示すように、絶縁基板21が、貫通孔6を有し、導体配線23の端部が貫通孔6に挿通されているものであり、他の構成は、図1に示した有機デバイス1や配線基板2と同様である。貫通孔6は、封止部材5によって封止された内部領域に開口を有するように形成され、貫通孔6の内部は封止材53によって封止されている。封止材53は、例えば、低融点ガラスの他、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂などを用いることができる。また、絶縁基板21の裏面(電子デバイス3が実装されている面の反対側の面)にも、島状導体22bが形成されており、貫通孔6を通過して裏面に導出された導体配線23の端部が、前記裏面の島状導体22bに接続されている。裏面の島状導体22bは、図1(a)(b)に示した入出力用の電極22aに相当する。封止部材5によって封止された空間から、外部空間の入出力用の島状導体22bへの配線引き出しが、封止部材5と絶縁基板21との接合部を経由しないので、スペーサ51は絶縁体に限らず金属などの導体を用いることができる。また、封止部材5と絶縁基板21との接合方法として、スペーサ51が島状導体22や導体配線23と接触しないので、ロウ付けなどの金属を用いた接合も可能である。スペーサ51を金属で形成する場合、例えば、FeNi合金などを用いることにより、ガラス製の絶縁基板21や透明カバー板52に対して線膨張率を合わせることができる。また、スペーサ51が島状導体などのパターン導体を乗り越える必要がなく、絶縁基板21の平面に対して平面同士の接合ができるので、封止処理が確実容易となる。
【0027】
配線基板2の製造方法を説明する。図12(a)に示すように、絶縁基板21に貫通孔6を形成し(図13のステップS21)、その後、図12(b)に示すように、絶縁基板21の表裏に島状導体22,22bを形成する(ステップS22)。貫通孔6の形成は、絶縁基板21の材料に応じて適宜形成方法を選択することができ、例えば、サンドブラスト加工、化学エッチング加工、ドリルによる機械加工、などの加工方法を用いることができる。また、島状導体22,22bの形成は、上述した種々の形成方法を用いて行うことができる。次に、図12(c)に示すように、例えば、金属ワイヤからなる導体配線23の一端を島状導体22に電気的に接続し(ステップS23)、他端を貫通孔6に通過させて裏面へ導出する(ステップS24)。その後、図12(d)に示すように、貫通孔6の内部を封止材53によって封止すると共に導体配線23を固定し、裏面の島状導体22bに導体配線23の他端を電気的に接続して配線基板2が完成する(ステップS25)。なお、導体配線23は、表面の島状導体22と裏面の島状導体22bとの間で接続するだけでなく、表面における2つの島状導体22間で接続する(不図示)。また、島状導体22は、図1(a)に示したように、島状導体22間を接続するための長い島状導体22を備えている(不図示)。また、図14、図15(a)(b)に示すように、導体配線23の両端を裏面の島状導体22bに電気的に接続するようにしてもよい。このような貫通孔6を有する配線基板2によれば、配線基板2の表面に入出力用の電極22aを設ける必要がなく、配線基板2、従って、これを用いる有機デバイス1の小面積化、小型化を実現できる。
【0028】
次に、図16、図17、図18により、有機デバイス1と配線基板2の、さらに他の変形例を説明する。この変形例は、図16に示すように、絶縁基板21が、その表裏を電気的に接続するビア7を有し、ビア7が、島状導体22,22bに電気的に接続されているものであり、他の構成は、図1、図11等に示した有機デバイス1や配線基板2と同様である。配線基板2の製造方法を説明する。図17(a)に示すように、絶縁基板21に貫通孔6を形成し(図18のステップS31)、その後、図17(b)に示すように、貫通孔6を導体で充填してビア7(貫通孔内配線)を形成する(ステップS32)。次に、図17(c)に示すように、絶縁基板21の表裏に島状導体22,22bを形成し(ステップS33)、その後、図17(d)に示すように、島状導体22間に導体配線23を接続して配線基板2が完成する(ステップS34)。貫通孔6の形成と島状導体22,22bの形成は、例えば、上述の図11に示した変形例と同様に行うことができる。ビア7の形成は、例えば、貫通孔6内へのめっき層形成、導電性ペースト充填、低融点金属(はんだ)充填、CVD埋め込みプラグの形成などによって行うことができる。ビア7は、少なくとも、封止空間から外部に必要な配線を引き出すことができる個数だけ備えればよいが、設計変更の自由度を増すために、余裕をもって、より多くのビア7を分布させて備える。この場合、各ビア7は、電子デバイス3の仕様に応じて、使用されたり、使用されなかったりすることになる。このような構造を有する配線基板2は、導体配線23の配置変更によって電子デバイス3や有機デバイス1の設計変更に容易に対応できる。
【0029】
次に、図19、図20、図21により、有機デバイス1と配線基板2の、さらに他の変形例を説明する。この変形例は、図19に示すように、絶縁基板21が、その表裏を電気的に接続する導体ピン8を有し、導体ピン8の端部が島状導体22を構成するものであり、他の構成は、図16等に示した有機デバイス1や配線基板2と同様である。配線基板2の製造方法を説明する。図20(a)に示すように、絶縁基板21に貫通孔6を形成し(図21のステップS41)、その後、図20(b)に示すように、貫通孔6に導体ピン8を挿通する(ステップS42)。次に、図20(c)に示すように、貫通孔6の内部に封止材53を充填して貫通孔6を封止すると共に導体ピン8を固定して導体ピン8の端部を島状導体22とする(ステップS43)。その後、図20(d)に示すように、島状導体22間に導体配線23を接続して配線基板2が完成する(ステップS44)。
【0030】
貫通孔6は、導体ピン8の個数と同じかより多い個数で形成し、導体ピン8を有しないで封止だけされたものがあってもよい。導体ピン8は、島状導体22となる部分が導体配線23を接続可能な構造と材質であればよく、図示のように、島状導体22とするための拡径した頭部を備えると、貫通孔6への挿通固定の際にも好適である。導体ピン8は、絶縁基板21をガラスで形成する場合に、ガラスと線膨張率の近い金属、例えば、FeNi合金などを用いる。島状導体22は、導体ピン8の端部だけでなく、導体ピン8によらないで、例えば成膜によって、絶縁基板21の表面に形成して備えることができる(不図示)。また、導体配線23は、導体ピン8(の島状導体22)間を接続するだけでなく、導体ピン8と導体ピン8によらない島状導体22との間、導体ピン8によらない島状導体22どうしの間に配線される(不図示)。絶縁基板21の裏面側における導体ピン8の端部は、例えば、上述の図16における絶縁基板21の裏面側の島状導体22bに相当し、電子デバイス3への入出力用の端子とされる。貫通孔6の形成と島状導体22の形成は、例えば、上述の図11に示した変形例と同様に行うことができる。上述の貫通孔6に導体ピン8を挿通して封止材53によって封止する製造方法に代えて、導体ピン8をインサートする樹脂成形によって、導体ピン8による島状導体22を備えた絶縁基板21を形成してもよい。このような導体ピン8を有する構造の配線基板2は、導体配線23の配置変更や導体ピン8の配置変更などによって、電子デバイス3や有機デバイス1の設計変更に容易に対応することができる。
【0031】
次に、図22(a)(b)(c)により、配線基板2の、さらに他の変形例を説明する。この変形例は、配線基板2への電子デバイス3の実装構造にかかわるものである。絶縁基板21の表面において島状導体22の間に橋渡された2本の導体配線23が平行に設けられている。電子デバイス3は、上述の図2に示した電子デバイス3と同様のデバイスであって、接続電極部3a,3bを一面に有し、フィルム基板31を下にして接続電極部3a,3bを上に向けて、両導体配線23の間に配置されている。接続電極部3a,3bのそれぞれは、導体配線23に隣接しており、接合部材4によって導体配線23に電気的に接続されている。すなわち、この変形例の電子デバイス3はフェイスアップ実装されているものであり、この点において、図2における電子デバイス3をフェイスダウン実装したものとは相違する。このような実装構造(および、他の実施形態や変形例の実装構造)における導体配線23は、島状導体22間で直線的に配設されている必要はなく、例えば、金属ワイヤで導体配線23を形成する場合に、導体配線23をたるませて配線してもよい。たるみのある導体配線23に対して、電子デバイス3を両導体配線23の間に容易に配置できる。また、電子デバイス3の接続電極部3a,3bに電気的に接続する際に、各導体配線23を各接続電極部3a,3b側に引き寄せたり、移動させたり、屈曲させたりして、接合部材4によって互いに電気接続することができる。
【0032】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、上述した各実施形態や変形例の構成を互いに組み合わせた構成とすることができる。例えば、ビア7を有する構成、導体ピン8を有する構成、貫通孔6に導体配線23を通過させる構成などの各構成要素や、金属ワイヤと金属リボンの両方を用いる構成などを、1つの配線基板2に混載して使用することができる。島状導体22,22bは、その個数、パターン形状、配置などを任意に選択して構成することができる。島状導体22,22bの断面構造は、十分な電流容量が得られる厚みや広さとされ、導体配線23は、必要な電流容量を得るために複数本を並列配線することができ、それらの複数配線に対して接合部材4が用いられる。上述した配線基板2や有機デバイス1の製造工程間の順序は、一例であって、適宜順番を入れ替えることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 有機デバイス
2 配線基板
21 絶縁基板
22,22b 島状導体
23 導体配線
3 電子デバイス
4 接合部材
5 封止部材
6 貫通孔
7 ビア
8 導体ピン
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス実装用の配線基板とそれを用いた有機デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子デバイス、例えば発光素子などを実装する配線基板として、プリント配線基板が用いられている。プリント配線基板は、リソグラフィ技術などの印刷類似技術を用いて形成した配線パターンを絶縁基板上に備えている。配線パターンは、例えば、導電膜形成、レジストマスク形成、エッチング処理、などの多くの工程とそのための多種類の装置を用いて形成される。また、一般に配線基板と呼ばれる基板として、複数の絶縁被覆ワイヤを絶縁基板上に這わせて(布線、配索などという)絶縁基板上に接着固定することにより形成したマルチワイヤ配線板が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−344112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようなプリント配線基板においては、その製法が多工程かつ多種類の装置を必要とするので製造コストが高く、また、設計変更に際してレジストマスク形成用の露光用マスク変更が必要であり、設計変更が容易でなく、高コストになる。また、プリント配線基板においては、その配線パターンを電流容量の大きい電源用などとする場合、厚い銅層を有する銅箔積層板のエッチングや、配線パターンの厚膜化のためのめっき層形成などが必要であり、コスト高や設計変更の非容易性がさらに加わる。また、上述のマルチワイヤ配線板は、配線用のワイヤが絶縁被覆されているので互いに交差させて高密度配線をすることができるという利点があるものの、その利点が電子デバイス実装用に役立つというものではない。
【0005】
本発明は、上記課題を解消するものであって、設計変更対応が容易であり、電流容量の大きい配線を有して低コストで製造できる配線基板とそれを用いた有機デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明の配線基板は、電子デバイス実装用の配線基板において、絶縁基板と、絶縁基板の表面に島状に設けられた複数の島状導体と、島状導体間を電気的に接続する導体配線と、を備え、導体配線は、金属ワイヤまたは金属リボンから成り、実装される電子デバイスの電極が該導体配線に電気的に接続可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
この配線基板において、絶縁基板の表面に成膜された導体膜が島状導体を構成してもよい。
【0008】
この配線基板において、絶縁基板は、その表裏を電気的に接続するビアを有し、ビアは、島状導体に電気的に接続されているものとすることができる。
【0009】
この配線基板において、絶縁基板は、貫通孔を有し、導体配線は、その端部が貫通孔に挿通されているものとすることができる。
【0010】
この配線基板において、絶縁基板に挿通された導体ピンの端部が島状導体を構成してもよい。
【0011】
この配線基板において、絶縁基板は、ガラス基板とすることができる。
【0012】
また、本発明の有機デバイスは、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の配線基板に電子デバイスが実装され、電子デバイスは、有機素子と、その有機素子に対して電気的接続を行う電極と、をフィルムの表面に備え、電極が接合部材によって配線基板の導体配線に電気的に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の配線基板によれば、島状導体間を接続する導体配線に電子デバイスの電極が電気的に接続可能とされているので、導体配線の配置変更によって設計変更に容易に対応でき、また、断面が大きい導体配線を用いて電流容量の大きい配線を実現できる。このような配線基板を用いる有機デバイスは、電流容量を大きくすることができることに加え、設計変更にかかるコストを抑えて低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係る配線基板を用いた有機デバイスについて封止部材と電子デバイスとを透視して示す平面図、(b)同有機デバイスの断面図。
【図2】同有機デバイスにおける電子デバイス部分を抜き出した斜視図。
【図3】(a)〜(g)は同有機デバイスの製造工程を順次示す断面図。
【図4】同有機デバイスの製造方法を説明するフローチャート。
【図5】同有機デバイスの変形例を示す平面図。
【図6】(a)は同有機デバイスの他の変形例の一部分を示す部分平面図、(b)は同変形例の断面図。
【図7】同有機デバイスのさらに他の変形例の一部分を示す部分平面図。
【図8】(a)は同有機デバイスのさらに他の変形例の分解断面図、(b)は同有機デバイスの断面図。
【図9】(a)〜(e)は同配線基板の他の製造方法による製造工程を順次示す断面図。
【図10】図9に示した配線基板の製造方法を説明するフローチャート。
【図11】同有機デバイスのさらに他の変形例の断面図。
【図12】(a)〜(d)は同変形例の配線基板の製造工程を順次示す断面図。
【図13】図12に示した配線基板の製造方法を説明するフローチャート。
【図14】同有機デバイスのさらに他の変形例の断面図。
【図15】(a)(b)は同変形例の配線基板の製造工程を順次示す断面図。
【図16】同有機デバイスのさらに他の変形例の断面図。
【図17】(a)〜(d)は同変形例の配線基板の製造工程を順次示す断面図。
【図18】図17に示した配線基板の製造方法を説明するフローチャート。
【図19】同有機デバイスのさらに他の変形例の断面図。
【図20】(a)〜(d)は同変形例の配線基板の製造工程を順次示す断面図。
【図21】図20に示した配線基板の製造方法を説明するフローチャート。
【図22】(a)は同有機デバイスのさらに他の変形例の電子デバイス部分を抜き出した斜視図、(b)は(a)の一部分の断面図、(c)は(b)の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る配線基板とそれを用いた有機デバイスについて、図面を参照して説明する。図1乃至図4は一実施形態に係る有機デバイス1を示す。有機デバイス1は、図1(a)(b)に示すように、配線基板2と、有機素子を有する4つの同等の電子デバイス3と、電子デバイス3を配線基板2に電気的に接合する接合部材4と、電子デバイス3を封止する封止部材5と、を備えて構成されている。電子デバイス3の有機素子は、例えば、発光素子であり、有機デバイス1は照明器具である。配線基板2は、絶縁基板21と、絶縁基板21の表面に島状に設けられた複数の島状導体22と、島状導体22間を電気的に接続する導体配線23と、を備えている。ここで、導体とは電気伝導性の導体のことである。絶縁基板21は、矩形のガラス基板である。絶縁基板21の一面には、3本の長い島状導体22が互いに離間して左右と中央に平行に配置され、それらの、左右の島状導体22の内側と、中央の島状導体22の左右に、短い島状導体22が各6個ずつ列状に、各島状導体22に沿うように配置されている。各島状導体22は、互いに電気的に絶縁されて電気的に孤立した導体であり、それらの表面は、ワイヤボンディング可能に表面処理されている。3本の長い島状導体22の端部は、入出力用の電極22aとなっている。8本の長い導体配線23が、絶縁基板21の中央寄りの短い島状導体22と外側寄りの短い島状導体22とを電気的に接続して配置されている。長い導体配線23は、短い導体配線23によって、隣接するいずれかの長い島状導体22に電気的に接続されている。導体配線23は、金属ワイヤであり、ワイヤボンディングによって、各島状導体22に接続されている。
【0016】
電子デバイス3は、図2に示すように、フィルム基板31の上に、下部電極32と、有機EL素子からなる発光部33と、上部電極34とを、この順に積層して形成した発光素子である。発光部33および上部電極34からの下部電極32の露出部と、上部電極34の上部全面とが、それぞれ発光部33に対して電気的接続を行う接続電極部3a,3bとされている。各接続電極部3a,3bは、導電性接着剤からなる接合部材4によって導体配線23に電気的に接続されている。この電子デバイス3は、配線基板2に対してフィルム基板31を上側に配置するフェイスダウン実装とされている。フィルム基板31側を光放出面とする場合、フィルム基板31には透明フィルムが用いられる。
【0017】
図1(a)(b)に戻って、電子デバイス3の配置と有機デバイス1の封止構造とを説明する。電子デバイス3は、各接続電極部3a,3bを、長い導体配線23の中央部分における接合部材4に対向させて、配線基板2上に実装されている。言い換えると、上述の8本の長い導体配線23や8本の短い導体配線23は、4つの電子デバイス3の各接続電極部3a,3bに適切に照明用の電力を供給できるように島状導体22の対を選択してワイヤボンディングされている。電子デバイス3と配線基板2との間には、電子デバイス3を固定する固定材41が充填されている。固定材41は電子デバイス3の素子部分を封止する機能を有するものとすることができる。固定材41として、例えば、ゲル状のポッテイング剤や、アウトガスの少ない樹脂フイルムなどを用いることができる。電子デバイス3を封止する封止部材5は、電子デバイス3の全体を囲むように配線基板2上に配置されたスペーサ51と、スペーサ51上に配置されたガラス製の透明カバー板52と、これらと配線基板2とを互いに接着して封止する接着剤(不図示)とからなる。なお、長い島状導体22に接続される3つの電極22aがスペーサ51の下部を通って外部の非封止部に引き出されており、このため、スペーサ51は、絶縁体とされている。
【0018】
次に、図3、および図4のフローチャートにより、有機デバイス1の製造方法を説明する。図3(a)(b)に示すように、絶縁基板21の表面に、島状に分布する島状導体22を形成し(図4のステップS1)、島状導体22間を金属ワイヤで電気的に接続して導体配線23を形成し(ステップS2)、これにより、配線基板2が完成する。次に、図3(c)(d)に示すように、導体配線23上の所定位置に導体ペースト(接合部材4)を配置し(ステップS3)、電子デバイス3の電極を導体ペーストに対向させて、配線基板2上に電子デバイス3を配置する(ステップS4)。次に、図3(e)に示すように、導体ペーストを固化させることにより、電子デバイス3の電極と導体配線23とを電気接続する(ステップS5)。この固化の際、または固化の前後に、電子デバイス3の封止と固定のための固定材41を電子デバイス3と配線基板2との間に注入または配置して電子デバイス3を固定する。最後に、図3(f)(g)に示すように、スペーサ51と、透明カバー板52と、封止用接着剤とによって電子デバイス3を封止して(ステップS6)、有機デバイス1が完成する。なお、上記の製造工程の順序は、一例であって、適宜順番を入れ替えることができる。
【0019】
ここで、有機デバイス1の各部材と製造方法について説明する。絶縁基板21は、ガラス基板に限らず、シリコンやセラミックなどの無機基板、樹脂基板、これらの複合基板などを用いることができる。また、絶縁基板21は、少なくとも島状導体22を設ける表面が電気絶縁性であればよく、金属基板の表面に絶縁層を形成した基板でもよい。島状導体22は、導体配線23を接続できる導体であればよく、例えば、絶縁基板21の表面に成膜された導体膜を用いて形成することができる。導体膜による島状導体22の形成方法として、例えば、スパッタリング成膜とその後のレジスト塗布、パターン露光、現像、エッチング等のプロセスによる方法、メタルマスクを用いた蒸着やスパッタリングによる直接的パターン形成方法などを用いることができる。また、これらの方法に、無電解めっき、電解めっきなどを組み合わせたり、めっき単独で形成したりすることもできる。また、樹脂成形により、リードフレームなどをインサート成形またはアウトサート成形して、樹脂部分を絶縁基板21とし、リードフレームなどの露出した金属部分を島状導体22としてもよい。また、島状導体22の表面は、高ワイヤボンディング性や、高はんだ密着性などとするために、金メッキ等による多層複合構造とすることができる。導体配線23は、数十μm〜数百μmの太さの金属ワイヤ、例えば、Cu製のワイヤであり、他の材質として、Al、Al−Si合金、Au合金などの金属性ワイヤとすることができる。接合部材4は、導電性接着剤、例えば、Agペーストを用いることができ、この他に、はんだペーストなどを用いることができる。導体配線23と島状導体22の接続方法として、熱や超音波振動を加えるワイヤボンディング方法の他に、導電性接着剤による接着、はんだ付け、レーザ溶接、抵抗溶接、リードフレームへのかしめ、などの種々の方法を用いることができる。
【0020】
電子デバイス3は、フィルム基板31の上に有機素子によって形成した発光素子であると説明したが、配線基板2には、このような素子に限らず任意機能を有する任意形状の電子デバイス3を実装することができる。例えば、上述の4つの個別の電子デバイスの代わりに、これらの電子デバイス3を一体化してなる大面積の1つの電子デバイスをフィルム基板31上に柔軟なフィルム状の素子として形成したものを、配線基板2に実装することができる。フィルム基板31は、有機フィルムであり、例えば、PET樹脂やPEN樹脂のフィルムを用いることができ、この他に、金属フィルムも用いることができる。金属フィルムの場合、熱放熱性の良いデバイスを形成でき、また、金属フィルムを電極として用いることもできる。スペーサ51は、電極22aに対して電気絶縁できる表面を有するものであればよく、例えば、絶縁基板21と同じ材質の材料で形成することができる。同じ材質の場合、熱応力に対する耐性が得られるので、絶縁基板21、スペーサ51、透明カバー板52を、例えば、同じ材質のガラスで構成すると好適である。ガラスによって構成した封止構造は、耐湿性や透明性などの点で優れており、有機素子からなる電子デバイス3を実装する有機デバイス1に好適である。他の材料として、ガラス以外に、例えば、Si(シリコン)やセラミックなどから、互いに近い線膨張率を有する材料を選択して用いることができる。封止部材5を配線基板2に接着して封止する接着剤は、例えば、UV硬化樹脂を用いることができ、この他に、低融点ガラスや熱硬化樹脂などを用いることができる。
【0021】
次に、図5、図6、図7により、有機デバイス1および配線基板2の変形例を示す。図5に示す有機デバイス1は、上述の配線基板2における導体配線23の配置を変更した配線基板に、上記の電子デバイス3よりも面積の小さい電子デバイス3を6つ、実装して成る変形例であり、他の構成は、上述の有機デバイス1と同様である。また、図6(a)(b)に示す有機デバイス1は、図5に示した配線基板2において、電子デバイス3の電極と導体配線23とを電気接続する接合部材4を増やしたものである。接合部材4の設置場所や個数は、任意に増やすことができる。これにより、より低抵抗で両者を電気接続することができ、導体配線23の低抵抗性をより有効に発揮することができる。また、図7に示す有機デバイス1は、図5に示した有機デバイス1において、導体配線23を形成する材料として、金属ワイヤに替えて金属リボンとしたものである。金属リボンは、金属ワイヤよりも、表面積を大きくすることができるので、導体配線23と島状導体22との接合部や、導体配線23と電子デバイス3の電極との接合部においてより大きな面積で接合することができ、接合抵抗を低減することができる。さらに、金属リボンは、金属ワイヤよりも、断面積を大きくできることから、より電流容量の大きい電流路を形成することができる。金属リボンと島状導体22との接合は、金属ワイヤの場合と同様の方法による他、例えば、パラレルギャップ溶接機を用いて溶接により接合することができる。また、金属リボンと電子デバイス3の電極との接合は、金属ワイヤの場合と同様の方法を用いることができる。
【0022】
本実施形態の配線基板2によれば、島状導体22間を接続する金属ワイヤや金属リボンによる導体配線23を、電子デバイス3の電極を電気的に接続可能に容易に構成でき、断面が大きい導体配線を用いて電流容量の大きい配線を容易に実現できる。従い、配線基板2は、発光素子などの電流容量の大きい電子デバイス3を実装することができる。また、配線基板2は、導体配線23の配置が島状導体22間で容易に変更できるので、すなわち、導体配線23の配線取り回しを容易に変更できるので、電子デバイス3や有機デバイス1の設計変更に容易に対応できる。このような配線基板2を用いる有機デバイス1は、電子デバイス3(有機素子)の電極パターン変更や電極配置変更などの設計変更に容易に対応できるので、コストを抑制することができる。
【0023】
有機デバイス1の他の変形例として、配線基板2と電子デバイス3との間に、透明または不透明の絶縁マスクシートであって、接合部材4を配置する部位に開口を有するシートを備えるようにしてもよい。絶縁マスクシートは、その両面または片面に接着剤や粘着材を備えてもよい。その接着剤や粘着材は、加熱によって接着や粘着の効果を発現し、加熱後の冷却状態において、その接着や粘着の効果維持する特性を有するものを好適に用いることができる。このような絶縁マスクシートを用いることにより、電子デバイス3と島状導体22や導体配線23との間の絶縁を自在に確保できるので、電子デバイス3の設計変更時における、配線基板2および有機デバイス1の設計変更対応性を強化することができる。
【0024】
図8(a)(b)により、有機デバイス1のさらに他の変形例を説明する。この変形例は、図1(a)(b)に示した有機デバイス1におけるスペーサ51と透明カバー板52とを一体化して、封止部材5を形成したものである。一体化した封止部材5は、ガラス板材の一面に、周辺のスペーサ部を残すように、掘り込み部5aを形成したものである。掘り込み部5aの形成は、例えば、サンドブラスト加工、研削や切削による機械加工、化学エッチングによる加工などの加工方法を用いて行うことができる。このような封止部材5は、一体化されているので、スペーサ51と透明カバー板52とを組み合わせるものに比べて、取り扱いが容易であり、また、接合部が一平面だけであるので、封止の信頼性も向上する。
【0025】
次に、図9、図10により、レーザ光を用いて島状導体22を形成する方法を説明する。図9(a)に示すように、絶縁基板21の表面にめっき用の導体下地膜20を、例えばスパッタリング成膜法や蒸着法によって形成する(図10のステップS11)。他の成膜法として、CVD法や無電解めっき法などを用いてもよい。次に、図9(b)に示すように、島状導体領域20aと絶縁領域20bとの境界部分の導体下地膜を、レーザ光LBの照射と所定の経路に沿ったレーザ光LBの走査とによって、蒸発除去する(ステップS12)。島状導体領域20aは、所定の電子デバイス3を実装するために必要な領域に加え、予め、種々の設計変更が予定される電子デバイス3の実装に対応することを考慮して、多めに形成しておく。その後、島状導体領域20aにめっき層を形成し、図9(c)に示すように、膜厚を増やして島状導体22を形成する(ステップS13)。次に、軽くエッチング処理することにより絶縁領域20bである導体下地膜を除去して、図9(d)に示すように、互いに絶縁され所定の厚みを有して島状に分布した島状導体22を有する絶縁基板21が完成する(ステップS14)。なお、この工程の前または後に、めっきタイバーの除去などを行う。最後に、図9(e)に示すように、島状導体22間を、適宜導体配線23によって接続して、配線基板2が完成する(ステップS15)。このようなレーザ光を用いる島状導体22の形成方法によれば、レーザ光の走査のための経路変更によって種々のパターンや配置の島状導体22を容易に設計、変更でき、エッチングマスクや露光マスクが不要であり、低コストで配線基板2を製造することができる。また、めっきは、島状導体22の形成のみに用いられ、導体配線はめっきによらないので、つまり最小限のめっき面積のもとで、低コストで効率良くめっきを行うことができる。
【0026】
次に、図11、図12、図13により、有機デバイス1と配線基板2の、さらに他の変形例を説明する。この変形例は、図11に示すように、絶縁基板21が、貫通孔6を有し、導体配線23の端部が貫通孔6に挿通されているものであり、他の構成は、図1に示した有機デバイス1や配線基板2と同様である。貫通孔6は、封止部材5によって封止された内部領域に開口を有するように形成され、貫通孔6の内部は封止材53によって封止されている。封止材53は、例えば、低融点ガラスの他、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂などを用いることができる。また、絶縁基板21の裏面(電子デバイス3が実装されている面の反対側の面)にも、島状導体22bが形成されており、貫通孔6を通過して裏面に導出された導体配線23の端部が、前記裏面の島状導体22bに接続されている。裏面の島状導体22bは、図1(a)(b)に示した入出力用の電極22aに相当する。封止部材5によって封止された空間から、外部空間の入出力用の島状導体22bへの配線引き出しが、封止部材5と絶縁基板21との接合部を経由しないので、スペーサ51は絶縁体に限らず金属などの導体を用いることができる。また、封止部材5と絶縁基板21との接合方法として、スペーサ51が島状導体22や導体配線23と接触しないので、ロウ付けなどの金属を用いた接合も可能である。スペーサ51を金属で形成する場合、例えば、FeNi合金などを用いることにより、ガラス製の絶縁基板21や透明カバー板52に対して線膨張率を合わせることができる。また、スペーサ51が島状導体などのパターン導体を乗り越える必要がなく、絶縁基板21の平面に対して平面同士の接合ができるので、封止処理が確実容易となる。
【0027】
配線基板2の製造方法を説明する。図12(a)に示すように、絶縁基板21に貫通孔6を形成し(図13のステップS21)、その後、図12(b)に示すように、絶縁基板21の表裏に島状導体22,22bを形成する(ステップS22)。貫通孔6の形成は、絶縁基板21の材料に応じて適宜形成方法を選択することができ、例えば、サンドブラスト加工、化学エッチング加工、ドリルによる機械加工、などの加工方法を用いることができる。また、島状導体22,22bの形成は、上述した種々の形成方法を用いて行うことができる。次に、図12(c)に示すように、例えば、金属ワイヤからなる導体配線23の一端を島状導体22に電気的に接続し(ステップS23)、他端を貫通孔6に通過させて裏面へ導出する(ステップS24)。その後、図12(d)に示すように、貫通孔6の内部を封止材53によって封止すると共に導体配線23を固定し、裏面の島状導体22bに導体配線23の他端を電気的に接続して配線基板2が完成する(ステップS25)。なお、導体配線23は、表面の島状導体22と裏面の島状導体22bとの間で接続するだけでなく、表面における2つの島状導体22間で接続する(不図示)。また、島状導体22は、図1(a)に示したように、島状導体22間を接続するための長い島状導体22を備えている(不図示)。また、図14、図15(a)(b)に示すように、導体配線23の両端を裏面の島状導体22bに電気的に接続するようにしてもよい。このような貫通孔6を有する配線基板2によれば、配線基板2の表面に入出力用の電極22aを設ける必要がなく、配線基板2、従って、これを用いる有機デバイス1の小面積化、小型化を実現できる。
【0028】
次に、図16、図17、図18により、有機デバイス1と配線基板2の、さらに他の変形例を説明する。この変形例は、図16に示すように、絶縁基板21が、その表裏を電気的に接続するビア7を有し、ビア7が、島状導体22,22bに電気的に接続されているものであり、他の構成は、図1、図11等に示した有機デバイス1や配線基板2と同様である。配線基板2の製造方法を説明する。図17(a)に示すように、絶縁基板21に貫通孔6を形成し(図18のステップS31)、その後、図17(b)に示すように、貫通孔6を導体で充填してビア7(貫通孔内配線)を形成する(ステップS32)。次に、図17(c)に示すように、絶縁基板21の表裏に島状導体22,22bを形成し(ステップS33)、その後、図17(d)に示すように、島状導体22間に導体配線23を接続して配線基板2が完成する(ステップS34)。貫通孔6の形成と島状導体22,22bの形成は、例えば、上述の図11に示した変形例と同様に行うことができる。ビア7の形成は、例えば、貫通孔6内へのめっき層形成、導電性ペースト充填、低融点金属(はんだ)充填、CVD埋め込みプラグの形成などによって行うことができる。ビア7は、少なくとも、封止空間から外部に必要な配線を引き出すことができる個数だけ備えればよいが、設計変更の自由度を増すために、余裕をもって、より多くのビア7を分布させて備える。この場合、各ビア7は、電子デバイス3の仕様に応じて、使用されたり、使用されなかったりすることになる。このような構造を有する配線基板2は、導体配線23の配置変更によって電子デバイス3や有機デバイス1の設計変更に容易に対応できる。
【0029】
次に、図19、図20、図21により、有機デバイス1と配線基板2の、さらに他の変形例を説明する。この変形例は、図19に示すように、絶縁基板21が、その表裏を電気的に接続する導体ピン8を有し、導体ピン8の端部が島状導体22を構成するものであり、他の構成は、図16等に示した有機デバイス1や配線基板2と同様である。配線基板2の製造方法を説明する。図20(a)に示すように、絶縁基板21に貫通孔6を形成し(図21のステップS41)、その後、図20(b)に示すように、貫通孔6に導体ピン8を挿通する(ステップS42)。次に、図20(c)に示すように、貫通孔6の内部に封止材53を充填して貫通孔6を封止すると共に導体ピン8を固定して導体ピン8の端部を島状導体22とする(ステップS43)。その後、図20(d)に示すように、島状導体22間に導体配線23を接続して配線基板2が完成する(ステップS44)。
【0030】
貫通孔6は、導体ピン8の個数と同じかより多い個数で形成し、導体ピン8を有しないで封止だけされたものがあってもよい。導体ピン8は、島状導体22となる部分が導体配線23を接続可能な構造と材質であればよく、図示のように、島状導体22とするための拡径した頭部を備えると、貫通孔6への挿通固定の際にも好適である。導体ピン8は、絶縁基板21をガラスで形成する場合に、ガラスと線膨張率の近い金属、例えば、FeNi合金などを用いる。島状導体22は、導体ピン8の端部だけでなく、導体ピン8によらないで、例えば成膜によって、絶縁基板21の表面に形成して備えることができる(不図示)。また、導体配線23は、導体ピン8(の島状導体22)間を接続するだけでなく、導体ピン8と導体ピン8によらない島状導体22との間、導体ピン8によらない島状導体22どうしの間に配線される(不図示)。絶縁基板21の裏面側における導体ピン8の端部は、例えば、上述の図16における絶縁基板21の裏面側の島状導体22bに相当し、電子デバイス3への入出力用の端子とされる。貫通孔6の形成と島状導体22の形成は、例えば、上述の図11に示した変形例と同様に行うことができる。上述の貫通孔6に導体ピン8を挿通して封止材53によって封止する製造方法に代えて、導体ピン8をインサートする樹脂成形によって、導体ピン8による島状導体22を備えた絶縁基板21を形成してもよい。このような導体ピン8を有する構造の配線基板2は、導体配線23の配置変更や導体ピン8の配置変更などによって、電子デバイス3や有機デバイス1の設計変更に容易に対応することができる。
【0031】
次に、図22(a)(b)(c)により、配線基板2の、さらに他の変形例を説明する。この変形例は、配線基板2への電子デバイス3の実装構造にかかわるものである。絶縁基板21の表面において島状導体22の間に橋渡された2本の導体配線23が平行に設けられている。電子デバイス3は、上述の図2に示した電子デバイス3と同様のデバイスであって、接続電極部3a,3bを一面に有し、フィルム基板31を下にして接続電極部3a,3bを上に向けて、両導体配線23の間に配置されている。接続電極部3a,3bのそれぞれは、導体配線23に隣接しており、接合部材4によって導体配線23に電気的に接続されている。すなわち、この変形例の電子デバイス3はフェイスアップ実装されているものであり、この点において、図2における電子デバイス3をフェイスダウン実装したものとは相違する。このような実装構造(および、他の実施形態や変形例の実装構造)における導体配線23は、島状導体22間で直線的に配設されている必要はなく、例えば、金属ワイヤで導体配線23を形成する場合に、導体配線23をたるませて配線してもよい。たるみのある導体配線23に対して、電子デバイス3を両導体配線23の間に容易に配置できる。また、電子デバイス3の接続電極部3a,3bに電気的に接続する際に、各導体配線23を各接続電極部3a,3b側に引き寄せたり、移動させたり、屈曲させたりして、接合部材4によって互いに電気接続することができる。
【0032】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、上述した各実施形態や変形例の構成を互いに組み合わせた構成とすることができる。例えば、ビア7を有する構成、導体ピン8を有する構成、貫通孔6に導体配線23を通過させる構成などの各構成要素や、金属ワイヤと金属リボンの両方を用いる構成などを、1つの配線基板2に混載して使用することができる。島状導体22,22bは、その個数、パターン形状、配置などを任意に選択して構成することができる。島状導体22,22bの断面構造は、十分な電流容量が得られる厚みや広さとされ、導体配線23は、必要な電流容量を得るために複数本を並列配線することができ、それらの複数配線に対して接合部材4が用いられる。上述した配線基板2や有機デバイス1の製造工程間の順序は、一例であって、適宜順番を入れ替えることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 有機デバイス
2 配線基板
21 絶縁基板
22,22b 島状導体
23 導体配線
3 電子デバイス
4 接合部材
5 封止部材
6 貫通孔
7 ビア
8 導体ピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイス実装用の配線基板において、
絶縁基板と、
前記絶縁基板の表面に島状に設けられた複数の島状導体と、
前記島状導体間を電気的に接続する導体配線と、を備え、
前記導体配線は、金属ワイヤまたは金属リボンから成り、実装される電子デバイスの電極が該導体配線に電気的に接続可能に構成されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記絶縁基板の表面に成膜された導体膜が前記島状導体を構成することを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記絶縁基板は、その表裏を電気的に接続するビアを有し、
前記ビアは、前記島状導体に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記絶縁基板は、貫通孔を有し、
前記導体配線は、その端部が前記貫通孔に挿通されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記絶縁基板に挿通された導体ピンの端部が前記島状導体を構成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記絶縁基板は、ガラス基板であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の配線基板に電子デバイスが実装され、
前記電子デバイスは、有機素子と、その有機素子に対して電気的接続を行う電極と、をフィルムの表面に備え、前記電極が接合部材によって前記配線基板の導体配線に電気的に接続されていることを特徴とする有機デバイス。
【請求項1】
電子デバイス実装用の配線基板において、
絶縁基板と、
前記絶縁基板の表面に島状に設けられた複数の島状導体と、
前記島状導体間を電気的に接続する導体配線と、を備え、
前記導体配線は、金属ワイヤまたは金属リボンから成り、実装される電子デバイスの電極が該導体配線に電気的に接続可能に構成されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記絶縁基板の表面に成膜された導体膜が前記島状導体を構成することを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記絶縁基板は、その表裏を電気的に接続するビアを有し、
前記ビアは、前記島状導体に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記絶縁基板は、貫通孔を有し、
前記導体配線は、その端部が前記貫通孔に挿通されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記絶縁基板に挿通された導体ピンの端部が前記島状導体を構成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記絶縁基板は、ガラス基板であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の配線基板に電子デバイスが実装され、
前記電子デバイスは、有機素子と、その有機素子に対して電気的接続を行う電極と、をフィルムの表面に備え、前記電極が接合部材によって前記配線基板の導体配線に電気的に接続されていることを特徴とする有機デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−102001(P2013−102001A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243888(P2011−243888)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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