説明

重合性単量体、重合体およびそれを用いたレジストならびにそのパターン形成方法

【課題】高感度な化学増幅型レジストとして有用な新規な酸分解性をもつ重合性単量体、これを用いて重合または共重合された重合体、およびそれを用いたレジストおよびそのパターン形成方法の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表される重合性単量体、およびその重合体。


(式(1)中、R〜R14は、水素、炭化水素基。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体素子等の製造工程における微細加工技術、特にフォトリソグラフィ(以後、単にリソグラフィと呼ぶ)に適した化学増幅レジストとして有用な新規酸分解性をもつ重合性単量体、これを用いて単独重合または共重合された重合体、およびそれを用いたレジストおよびそのパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のマイクロプロセッサー製造技術の進歩は目覚しく、高度に集積化された集積回路(Integrated Circuit、以後、ICと呼ぶ)上には6億個を超えるトランジスタが形成されている。この急速な進歩は、パターン化された電子回路の線幅の微細化によってなされており、リソグラフィに用いる光源の短波長化、レジストの高感度化および高性能化によるところが大きい。尚、リソグラフィとは、感光性の物質(フォトレジスト、以後、単にレジストと呼ぶ)を塗布した基板表面を、フォトマスクまたはレチクルを介して所望のパターンに露光し、塗布されたレジストの露光された部分と露光されていない部分の現像液に対する溶解度の差異によりレジストによるレジストパターン(以後、単にパターンと呼ぶ)を基板上に形成させることである。
【0003】
現在、波長193nmの紫外光を発振するフッ化アルゴン(以後、ArFと略する)エキシマレーザを用いたリソグラフィが、半導体の製造工程に本格的に導入されつつあり、光源として、今後さらに波長の短い波長13.5nmを用いる極紫外光(Extreme Ultra Violet、以後、EUVと略する)を用いて、リソグラフィの実用化を目指して研究が進められている。また、紫外光を用いるよりも、細い線幅で露光が可能な電子線(electron beam、以後、EBと略する)を用いる直接描写の研究が進められている。
【0004】
このような、ArFエキシマレーザによる紫外光を用いたリソグラフィ、極紫外光を用いるEUVリソグラフィ、電子線を用いるEBリソグラフィ等において、高感度および高解像性を有するレジストが要求され、主に化学増幅型レジストが使用されている。
【0005】
化学増幅型レジストは、酸により分解する酸分解性重合体と、光の照射により酸を発生する光酸発生剤を含む。光の照射により光酸発生剤から発生した酸が作用することにより、酸分解性重合体中の保護基が解離し、レジストはアルカリ可溶となる。よって、これらリソグラフィにおけるパターン形成において、酸分解性基を有する重合性単量体は必須であり、各社精力的に新規な酸分解性基を有する重合性単量体の研究開発を続けている。
【0006】
代表的な酸分解性基を有する重合性単量体としては、下記構造式で表される2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート(以後、MA−EADと呼ぶことがある)が挙げられ、それを用いてなるレジストは、リソグラフィ工程においてドライエッチング耐性が高いこともあり頻繁に使用される。例えば、特許文献1には、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート(MA−EAD)を重合反応させてなる酸感応性共重合体を用いたレジストが開示されている。
【0007】
また、下記構造式で表される1−エチルシクロオクチルメタクリレートを原料として用いてなるレジストは、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート(MA−EAD)を用いたレジストより、リソグラフィ工程において、露光が低露光量であっても、その後のベーク処理温度が低温であっても酸分解する、即ち、レジストとして高感度なものである。例えば、特許文献2には、1−エチルシクロオクチルメタクリレートを重合または他の重合性単量体と共重合させてなる高分子化合物が開示され、および当該高分子化合物を含むポジ型レジスト化合物が開示されている。
【化1】

【0008】
尚、リソグラフィにおいては、露光により、レジスト膜中の光酸発生剤より酸を発生させた後、露光により生じた酸をレジスト内に拡散するため露光後にレジスト膜に温度をかける処理(Post Exposure Bake、以後、PEBと略する)を行う。PEBを行うことで当該酸が拡散し、当該酸の作用により、前記酸分解性重合体より酸分解性基を解離させ、レジスト膜の露光部はアルカリ現像液に可溶となり、現像によりパターンが形成される。
【0009】
リソグラフィにおけるPEBを低温で行い、拡散時の酸の移動距離を短縮させる、低温PEBは、ラインエッジラフネス(レジストパターンのエッジが直線から凹凸にずれる現象)を軽減させること等が可能であり、パターンサイズの微小化を行うことができる。
【0010】
また、光源の高出力化が困難であり、光源の出力が低いEUVリソグラフィに対応させるために、今以上に高感度なレジストを与える重合性単量体求められている。
【0011】
一方、非特許文献1には、オニウムカチオンが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開1997−73173号公報
【特許文献2】特開2008−308545号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Advances in Polymer Science, Vol.62, p.1−48(1984)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、リソグラフィにおいて微細なパターン形成を可能とするレジストに用いる酸分解性基を有する重合体を与える新規な重合性単量体を提供することを課題とする。
【0015】
具体的には、低い露光量、低温PEBであっても、現像液に対する速やかな溶解性を示す高感度な化学増幅型レジストとして使用するのに有用な新規な重合性単量体、重合体、およびそれを用いたレジスト、ならびにそのパターン形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行ったところ、レジストに用いる酸分解性基を有する重合性単量体中の保護基を特定の構造とすることで、当該重合性単量体由来の繰り返し単位を含む重合体をレジストに用いた際に、低い露光量、70℃以下の低温PEBであっても、酸分解が進行して、保護基が解離し得ることを見出した。このことは、本発明の特定の保護基を含む重合性単量体を重合させた繰り返し単位を含む重合体において、保護基が酸の作用により解離しやすく、高感度なレジストを与えたことによる。
【0017】
本発明の重合体を含むレジストは、露光後のPEBが低温であっても、光酸発生剤から発生する酸の作用により、保護基が速やかに解離し、即ち、レジストとした際に、低い露光量、低温PEBにおいても、露光で光酸発生剤より発生した酸により、酸分解性重合体から保護基が速やかに解離し、現像液に対する速やかな溶解性を示し、70℃以下の低温PEBであっても、レジストは現像液に溶解可能となり、低温PEBにより、レジスト中における光酸発生剤からの酸の移動距離を短縮させ、ラインエッジラフネスを軽減させ正確且つ微細なパターンを与えた。
【0018】
即ち、本発明は、露光後に解離する保護基として特定の基を含む新規な酸分解性重合性単量体である(メタ)アクリレート化合物、これを用いて重合または共重合された高分子化合物、およびそれを用いたレジストおよびそのパターン形成方法に関するものである。
【0019】
本発明を、以下、発明1〜18に示す。
【0020】
[発明1]
下記一般式(1):
【化2】

【0021】
(式(1)中、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基であり、R〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状または炭素数3〜20の環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されていてもよい。また、R〜R14の一部または全部が結合して環状構造を形成していてもよく、nは0〜5の整数である。)
で表される、重合性単量体。
【0022】
[発明2]
下記一般式(2):
【化3】

【0023】
(式(2)中、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基であり、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状または炭素数3〜20の環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されていてもよい。nは1〜5の整数である。)
で表される、発明1の重合性単量体。
【0024】
[発明3]
〜Rが水素原子、メチル基、フッ素原子またはトリフルオロメチル基である、発明2の重合性単量体。
【0025】
[発明4]
式(3)
【化4】

【0026】
で表される、重合性単量体。
【0027】
[発明5]
下記一般式(4):
【化5】

【0028】
(式(4)中、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基であり、R〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状または炭素数3〜20の環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されていてもよい。R〜R14の一部または全部が結合して環状構造を形成していてもよく、nは0〜5の整数である。)
で表される繰り返し単位を含む、重合体。
【0029】
[発明6]
下記一般式(5):
【化6】

【0030】
(式(5)中、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基であり、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状または炭素数3〜20の環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されていてもよく、nは1〜5の整数である。)
で表される繰り返し単位を含む、発明5の重合体。
【0031】
[発明7]
〜Rが水素原子、メチル基、フッ素原子またはトリフルオロメチル基である、発明6の重合体。
【0032】
[発明8]
下記式(6):
【化7】

【0033】
で表される繰り返し単位を含む、重合体。
【0034】
本発明の重合体において、発明1〜4の重合性単量体が、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシイソプロピル基(−C(CFOH)基(以下、HFIP基と略する)を有する重合性単量体または密着性基を有する重合性単量体と共重合していてもよい。何故なら、本発明の重合体を含むレジストを使用したフォトリソグラフィにおいて、HFIP基を有する重合性単量体と共重合させることで、パターンを得る際のアルカリ現像液に対する溶解性および親水性を向上させる効果があり、より微細なパターンを得ることが可能となった。
【0035】
また、本発明の重合体において、本発明の重合体を含むレジストを基板に塗布しレジスト膜とした際に、基板とレジスト膜の密着性が不足する場合、密着性を与える密着性基を有する重合性単量体をさらに加え、共重合させてもよい。
【0036】
[発明9]
発明1〜4の重合性単量体が、HFIP基を有する重合性単量体または密着性基を有する重合性単量体と共重合してなる、重合体。
【0037】
本発明の重合体において、発明1〜4の重合性単量体が、塩を有する重合性単量体と共重合していてもよい。さらに塩を有する繰り返し単位として、オニウム塩を有する繰り返し構造単位を有する繰り返し単位を加えると、オニウム塩の部位は、レジストとした際に酸発生剤として機能し、露光ないしは加熱によりスルホン酸を発生する作用を有する。
【0038】
[発明10]
下記一般式(7)または下記一般式(8):
【化8】

【0039】
(式(7)および式(8)中、
15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であり、
Aは、それぞれ独立に、単結合、メチレン基、フェニレン基、−O−、−(C=O)−O−、または−(C=O)−NR21−を表し(ここで、R21は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐状または環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、一部またはすべての水素原子がフッ素原子、水酸基またはアルコキシル基で置換されていてもよく、あるいは、−O−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−、−(C=O)−、−O−(C=O)−NH−、または−NH−(C=O)−NH−から選ばれた少なくとも1種を含有していてもよい。
【0040】
Bは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐状または環状のアルキレン基あるいはフェニレン基であり、当該アルキレン基およびフェニレン基は、一部またはすべての水素原子がフッ素原子、水酸基、またはアルコキシル基で置換されていてもよく、−O−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−、−(C=O)−、−O−(C=O)−NH−、または−NH−(C=O)−NH−から選ばれた少なくとも1種以上を含有してもよく、
Zは、それぞれ独立に、SO、CO、(CFSO、またはCFSOである。
【0041】
16〜R18は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の直鎖状または分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の環状の1価の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基、あるいは置換基を有していてもよい原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基であり、R16〜R18のうちの何れか2つ以上が硫黄原子を介して相互に結合して環状構造を形成していてもよく、
19およびR20は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の直鎖状または炭素数3〜30の分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の環状の1価の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基、あるいは置換基を有していてもよい原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基を示す。R19とR20とがヨウ素原子を介して相互に結合して環状構造を形成していてもよい。)
で表される塩を有する繰り返し単位をさらに含有する、発明5〜9の重合体。
【0042】
尚、原子数とは二価以上の原子の数で、原子としては炭素、酸素、窒素、硫黄、リンまたセレン等が挙げられる。
【0043】
[発明11]
発明5乃至発明10の重合体を含む、レジスト。
【0044】
[発明12]
酸発生剤、塩基性化合物、および有機溶剤のうち少なくとも一種を含む、発明11のレジスト。
【0045】
[発明13]
有機溶媒が炭素数5〜20のアルコール系溶剤である、発明12のレジスト。
【0046】
[発明14]
請求項11〜13のレジストを基板上に塗布する塗布工程と、
当該基板を加熱処理してレジスト膜を形成し、露光機を用いて波長300nm以下の紫外光および極紫外光でフォトマスクを介しレジスト膜を露光する露光工程と、
レジスト膜の露光部位を現像液に溶解させて現像し、基板上にパターン形成する現像工程
を含む、パターン形成方法。
【0047】
[発明15]
発明11〜13のレジストを基板上に塗布する塗布工程と、
当該基板を加熱処理してレジスト膜を形成し、露光機を用いて電子ビームでレジスト膜を露光する露光工程と、
レジスト膜の露光部位を現像液に溶解させて現像し、基板上にパターン形成する現像工程
を含む、パターン形成方法。
【0048】
[発明16]
ウェハーと投影レンズの間に水を挿入し、露光機を用いて、波長193nmのArFエキシマレーザを用いて紫外光を照射する液浸リソグラフィ法である、発明14のパターン形成方法。
【0049】
[発明17]
基板上に形成された第1のパターン上に第2のパターンを形成するダブルパターニング法によるパターン形成方法であって、発明11〜13のレジストを用いる、前記パターン形成方法。
【0050】
[発明18]
波長13.5nmの紫外光を用いるEUVリソグラフィ法によるパターン形成方法であって、発明11〜13のレジストを用いる、パターン形成方法。
【発明の効果】
【0051】
本発明の酸分解性基を有する重合性単量体を重合させた酸分解性重合体を用いてなるレジストは、リソグラフィにおいて感度が高く、低露光量で低温PEBであっても、光酸発生剤より発生した酸の作用により、重合体の保護基の解離が可能である。また、PEBにおいて、ベーク温度を低温にすることで、酸発生剤より発生した酸が拡散する際の移動距離を短縮させ、パターンのラインエッジラフネスを軽減させ、微細なパターンを与えた。
【0052】
具体的には、本発明の酸分解性基を有する重合性単量体を重合させた酸分解性重合体を用いてなるレジストは、光源にArFレーザを使ったリソグラフィにおいて、ArFレーザによる露光エネルギー1.00mJ以下PEB温度70℃以下の条件でも、保護基が解離し、現像液に溶解可能となる優れた感度を示した。
【0053】
また、本発明の酸分解性基を有する重合性単量体を重合させた酸分解性重合体を用いてなるレジストは、光源の高出力化が困難であるEUVリソグラフィに好適に使用される。また、液浸リソグラフィ法、ダブルパターニング法に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】NRT(現像後のレジスト膜厚/PEB後のレジスト膜厚)と露光エネルギーの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0056】
1. 酸分解性基を有する重合性単量体
1.1 一般式(1)で表される重合性単量体
発明1の重合性単量体は、下記一般式(1)で表される重合性単量体である。
【化9】

【0057】
式(1)中、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、R〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状または炭素数3〜20の環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されていてもよい。また、R〜R14の一部または全部が結合して、環状構造を形成していてもよく、nは0〜5の整数である。
【0058】
〜R14には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、sec−ペンチル基,ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、エチルヘキシル基、ノルボルネル基、アダマンチル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、エチニル基、フェニル基、ベンジル基または4−メトキシベンジル基が挙げられる。酸素原子を含む基には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、sec−ブチトキシ基、tert−ブチトキシ基、n−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基,ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、エチルヘキシルオキシ基、ノルボルネルオキシ基、アダマンチルオキシ基、アリルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基、エチニルオキシ基、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、シクロヘキシルオキシエチル基、ベンジルオキシエチル基、フェネチルオキシエチル基、エトキシプロピル基、ベンジルオキシプロピル基、フェネチルオキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシイソブチル基、テトラヒドロフラニル基またはテトラヒドロピラニル基、アシル基である、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基またはイソニコチノイル基が挙げられる。上記置換基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
【0059】
1.2 一般式(2)で表される重合性単量体
発明2の重合性単量体は、下記一般式(2)で表される重合性単量体である。
【化10】

【0060】
式(2)中、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基であり、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状または炭素数3〜20の環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されていてもよい。nは1〜5の整数である。
【0061】
一般式(2)で表される重合性単量体において、原料の入手のし易さおよび合成のし易さから、R〜Rが水素原子、メチル基、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であることが好ましく、特に好ましくは、水素原子である。
【0062】
1.3. 一般式(3)で表される重合性単量体
発明4の重合性単量体は、下記一般式(3)で表される重合性単量体である。
【化11】

【0063】
前記一般式(2)で表される重合性単量体におけるnは1〜5の整数であるため、5〜9員環を形成することとなるが、なかでも本発明においては、原料の入手容易さと酸分解のし易さから、5員環を含む式(3)で表される重合性単量体が、特に好ましく採用される。
【0064】
2. 重合体
本発明における重合体は、下記一般式(4)、一般式(5)または式(6)で表される繰返し単位を含む発明5〜8の重合体であり、前記一般式(1)、一般式(2)または式(3)で表される重合性単量体の二重結合が開裂し、単独重合または他の重合性二重結合を有する単量体と共重合することで得られるものである。
【0065】
発明5の重合体は、一般式(1)で表される重合性単量体が単独重合または他の重合性単量体と共重合して得られる、下記一般式(4)で表される繰り返し単位を含む重合体である。
【化12】

【0066】
式(4)中、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基であり、R〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状または炭素数3〜20の環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されていてもよい。また、R〜R14の一部または全部が結合して環状構造を形成していてもよい。nは0〜5の整数である。
【0067】
当該重合体は、保護基より、下記一般式(9)で表される部位が酸により解離し、下記一般式(10)または一般式(11)で表される、共役結合を有する安定な分解物となる。尚、本発明において保護基とは、カルボキシル基を不活性にした基であり、酸分解することによって、本発明の重合体はカルボキシル基を有することとなり、アルカリ現像液に可溶となる。
【化13】

【化14】

【0068】
一般式(4)で表される繰り返し単位を含有する重合体を有するレジストは、リソグラフィにおいて、照射を低露光量且つPEBを低温で行ったとしても、酸の作用により結合が切れ、一般式(10)または一般式(11)で表される共役結合を有する安定な分解物を解離する、高感度なレジストを与える。
【0069】
発明6の重合体は、一般式(2)で表される重合性単量体が、単独重合または他の重合性単量体と共重合して得られる、下記一般式(5)で表される繰り返し単位を含む重合体である。
【化15】

【0070】
式(5)中、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基であり、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状または炭素数3〜20の環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されていてもよい。また、nは1〜5の整数である。
【0071】
当該重合体は、保護基より、下記一般式(12)で表される部位が酸により解離し、下記一般式(13)または一般式(14)で表される、共役結合を有する安定な分解物となる。
【化16】

【化17】

【0072】
一般式(5)で表される繰り返し単位を含有する重合体を有するレジストは、リソグラフィにおいて、照射を低露光量且つPEBを低温で行ったとしても、酸の作用により結合が切れ、一般式(13)または一般式(14)で表される共役結合を有する安定な分解物を解離する、高感度なレジストを与える。
【0073】
発明7の重合体は、R〜Rが水素原子、メチル基、フッ素原子またはトリフルオロメチル基である発明6の重合体である。
【0074】
発明8の重合体は、下記一般式(3)で表される重合性単量体が、単独重合または他の重合性単量体と共重合して得られる、下記一般式(6)で表される繰り返し単位を含む重合体である。
【化18】

【0075】
当該重合体は、保護基より、下記式(15)で表される部位が酸により解離し、下記式(16)で表される、共役結合を有する安定な分解物となる。
【化19】

【化20】

【0076】
式(6)で表される繰り返し単位を含有する重合体を有するレジストは、リソグラフィにおいて、照射を低露光量且つPEBを低温で行ったとしても、酸の作用により結合が切れ、式(16)で表される共役結合を有する安定な分解物を解離する、高感度なレジストを与える。
【0077】
3. HFIP基を有する重合体
本発明の重合体を含むレジストを使用したフォトリソグラフィにおいて、パターンを得る際のアルカリ現像液に対する溶解性および親水性を向上させより微細なパターンを得たい場合、発明9の重合体のように、HFIP基を含む重合体を導入させてもよい。
【0078】
HFIP基を含む繰り返し単位を形成できる重合性単量体を以下に例示する。なお、下記式中、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基であり、HFIP基中の水酸基は、その一部または全部が保護基で保護されていてもよい。
【化21】

【0079】
4. 密着性基を有する重合体
本発明の重合体において、本発明の重合体を含むレジストを基板に塗布しレジスト膜とした際に、基板とレジスト膜の密着性が不足する場合、密着性を与えるラクトン構造を含む基等の密着性基を有する重合性単量体をさらに加え、共重合させてもよい。密着性基を有する重合性単量体を具体的に例示すると、メタクリロイルオキシブチロラクトン、メタクリロイルオキシバレロラクトン、5−メタクリロイルオキシ−2、6−ノルボルナンカルボラクトンが挙げられる。
【0080】
5. 塩を有する重合体
また、本発明の重合体には、発明10の重合体のように、さらに塩を有する繰り返し単位として、下記一般式(7)または一般式(8)で表されるオニウム塩を有する繰り返し構造単位を有する繰り返し単位を加えてもよい。オニウム塩の部位は、レジストとした際に酸発生剤として機能し、露光ないしは加熱によりスルホン酸を発生する作用を有し、特に、感放射線性樹脂組成物における感放射線性酸発生剤として使用することができる。
【化22】

【0081】
15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基またはトリフルオロメチル基である。
【0082】
Aは、それぞれ独立に、単結合、メチレン基、フェニレン基、−O−、−(C=O)−O−、または−(C=O)−NR21−を表し(ここで、R21は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐状または環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、一部またはすべての水素原子がフッ素原子、水酸基またはアルコキシル基で置換されていてもよく、あるいは、−O−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−、−(C=O)−、−O−(C=O)−NH−、または−NH−(C=O)−NH−から選ばれた少なくとも1種を含有していてもよい。
【0083】
Bは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐状または環状のアルキレン基あるいはフェニレン基であり、当該アルキレン基およびフェニレン基は、一部またはすべての水素原子がフッ素原子、水酸基、またはアルコキシル基で置換されていてもよく、−O−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−、−(C=O)−、−O−(C=O)−NH−、または−NH−(C=O)−NH−から選ばれた少なくとも1種以上を含有していてもよい。
【0084】
Zは、それぞれ独立に、SO、CO、(CFSO、またはCFSOである。
【0085】
16〜R18は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の直鎖状または分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の環状の1価の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基、あるいは置換基を有していてもよい原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基であり、R16〜R18のうちの何れか2つ以上が硫黄原子を介して相互に結合して環状構造を形成していてもよく、
19およびR20は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の直鎖状または炭素数3〜30の分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の環状の1価の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基、あるいは置換基を有していてもよい原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基であり、R19とR20とがヨウ素原子を介して相互に結合して環状構造を形成していてもよい。
【0086】
上記一般式(7)および一般式(8)におけるアニオンは、具体的には下記のものが挙げられる。
【化23】

【0087】
15は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基またはトリフルオロメチル基、Xは酸素原子あるいはNR21である。R21は水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐状または環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、一部またはすべての水素原子がフッ素原子、水酸基、またはアルコキシル基で置換されていてもよく、−O−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−、−(C=O)−、−O−(C=O)−NH−、または−NH−(C=O)−NH−から選ばれた少なくとも1種を含有していてもよい。
【0088】
本発明のオニウム塩は発生する酸の構造すなわちアニオン側を限定するものであるが、カチオン側は特に限定しない。
【0089】
上記一般式(7)または一般式(8)において、R16〜R20の非置換の炭素数1〜30の直鎖状、炭素数3〜30の分岐状の1価の炭化水素基、または炭素数3〜30の環状の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、i−ヘキシル基、n−オクチル基、i−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基等のアルキル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネン骨格を有する基、ノルボルナン骨格を有する基、イソボルニル骨格を有する基、トリシクロデカン骨格を有する基、テトラシクロドデカン骨格を有する基、またはアダマンタン骨格を有する基等を挙げることができる。
【0090】
前記炭化水素基の置換基としては、例えば、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜30の直鎖状、炭素数3〜30の分岐状もしくは環状のアルケニル基や、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、またはケイ素原子等のヘテロ原子を含む原子数1〜30の基を挙げることができる。なお、これらの置換基はさらに任意の置換基、例えば前記した置換基を1種以上有することもできる。
【0091】
前記置換基で置換された炭素数1〜30の直鎖状、炭素数3〜30の分岐状または環状の1価の炭化水素基としては、例えば、ベンジル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、フェノキシメチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、アセチルメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、2−フルオロプロピル基、(トリフルオロアセチル)メチル基、(トリクロロアセチル)メチル基、(ペンタフルオロベンゾイル)メチル基、アミノメチル基、(シクロヘキシルアミノ)メチル基、(ジフェニルホスフィノ)メチル基、(トリメチルシリル)メチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基または2−アミノエチル基を挙げることができる。
【0092】
また、R16〜R20の非置換の炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、または−フェナントリル基を挙げることができる。
【0093】
また、R16〜R20の非置換の原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピラニル基、ピロリル基、チアントレニル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、または3−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド基を挙げることができる。
【0094】
前記アリール基および1価のヘテロ環状有機基の置換基としては、炭素数1〜30の直鎖状、炭素数3〜30の分岐状もしくは炭素数3〜30の環状のアルキル基、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、またはケイ素原子等のヘテロ原子を含む原子数1〜30の基等を挙げることができる。なお、これらの置換基はさらに任意の置換基、例えば前記した置換基を1種以上有していてもよい。
【0095】
前記置換基で置換された炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、メシチル基、o−クメニル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、p−フルオロフェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、p−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、またはp−ヨードフェニル基を挙げることができる。
【0096】
前記置換基で置換された原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基としては、例えば、2−ブロモフリル基、3−メトキシチエニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、または4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基等を挙げることができる。
【0097】
で表される1価のオニウムカチオン部位は、例えば非特許文献1に記載される一般的な方法に準じて製造することができる。
【0098】
好ましい1価のオニウムカチオンとしては、例えば、下記式(3−1)〜(3−64)で表されるスルホニウムカチオン、下記式(4−1)〜(4−39)で表されるヨードニウムカチオンを挙げることができる。
【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【0099】
これらの1価のオニウムカチオンのうち、前記式(3−1)、式(3−2)、式(3−6)、式(3−8)、式(3−13)、式(3−19)、式(3−25)、式(3−27)、式(3−29)、式(3−51)または式(3−54)で表されるスルホニウムカチオン;前記式(4−1)または式(4−11)で表されるヨードニウムカチオン等が好ましく、前記式(3−1)で表されるトリフェニルスルホニウムカチオンが特に好ましい。
【0100】
6. 他の重合体
次いで、本発明の重合体を与える単量性単量体について説明する。
【0101】
単量体を具体的に例示すると、無水マレイン酸、アクリル酸エステル類、含フッ素アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、含フッ素メタクリル酸エステル類、スチレン系化合物、含フッ素スチレン系化合物、ビニルエーテル類、含フッ素ビニルエーテル類、アリルエーテル類、含フッ素アリルエーテル類、オレフィン類、含フッ素オレフィン類、ノルボルネン化合物、含フッ素ノルボルネン化合物、二酸化硫黄、ビニルシラン類、ビニルスルホン酸またはビニルスルホン酸エステルが挙げられる。一種類だけでなく、必要に応じて一種類以上の単量体を使用することができる。
【0102】
アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとしては、エステル側鎖について特に制限なく使用できるが、公知の化合物を例示するならば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−オキソシクロヘキシルアクリレート、3−オキソシクロヘキシルメタクリレート、アダマンチルアクリレート、アダマンチルメタクリレート、ヒドロキシアダマンチルアクリレート、ヒドロキシアダマンチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール基を含有したアクリレートまたはメタクリレート、さらにアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルコキシシラン含有のビニルシランやアクリル酸またはメタクリル酸エステル、さらにα位にシアノ基を含有した上記アクリレート類化合物や、類似化合物としてマレイン酸、フマル酸または無水マレイン酸を使用可能である。
【0103】
含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステルとしては、フッ素原子もしくはフッ素原子を有する基がアクリルのα位に含有した単量体、またはエステル部位にフッ素原子を含有した置換基を含むアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルであって、α位とエステル部ともにフッ素を含有した含フッ素化合物も好適である。さらにα位にシアノ基が導入されていてもよい。例えば、α位に含フッ素アルキル基が導入された単量体としては、上述した非フッ素系のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのα位にトリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ノナフルオロ−n−ブチル基等が付与された単量体が採用される。
【0104】
一方、そのエステル部位にフッ素を含有する単量体としては、エステル部位としてパーフルオロアルキル基もしくはフルオロアルキル基であるフッ素アルキル、また、エステル部位に環状構造とフッ素原子が共存する単位であって、その環状構造が例えばフッ素原子、トリフルオロメチル基もしくはヘキサフルオロイソプロピル水酸基等で置換された含フッ素ベンゼン環、含フッ素シクロペンタン環、含フッ素シクロヘキサン環または含フッ素シクロヘプタン環等を有する単位を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルである。また、エステル部位が含フッ素のt−ブチルエステル基であるアクリル酸またはメタクリル酸のエステルも使用可能である。これらの含フッ素の官能基は、α位の含フッ素アルキル基と併用した単量体を用いることも可能である。そのような単位のうち特に代表的なものを単量体の形で例示するならば、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタフルオロイソプロピルアクリレート、1,1−ジヒドロヘプタフルオロ−n−ブチルアクリレート、1,1,5−トリヒドロオクタフルオロ−n−ペンチルアクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロ−n−オクチルアクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロヘプタデカフルオロ−n−デシルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、ヘプタフルオロイソプロピルメタクリレート、1,1−ジヒドロヘプタフルオロ−n−ブチルメタクリレート、1,1,5−トリヒドロオクタフルオロ−n−ペンチルメタクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロ−n−オクチルメタクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロヘプタデカフルオロ−n−デシルメタクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチルアクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチルメタクリレート、6−[3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)プロピル]ビシクロ[2.2.1]ヘプチル−2−イルアクリレート、6−[3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)プロピル]ビシクロ[2.2.1]ヘプチル−2−イル 2−(トリフルオロメチル)アクリレート、6−[3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)プロピル]ビシクロ[2.2.1]ヘプチル−2−イルメタクリレート、1,4−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシイソプロピル)シクロヘキシルアクリレート、1、4−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシイソプロピル)シクロヘキシルメタクリレートまたは1,4−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシイソプロピル)シクロヘキシル 2−トリフルオロメチルアクリレートが挙げられる。
【0105】
スチレン系化合物、含フッ素スチレン系化合物としては、スチレン、フッ素化スチレン、またはヒドロキシスチレン等が使用できる。より具体的には、ペンタフルオロスチレン、トリフルオロメチルスチレン、ビストリフルオロメチルスチレン等のフッ素原子もしくはトリフルオロメチル基で芳香環の水素を置換したスチレン、ヘキサフルオロイソプロピル水酸基、またはその水酸基を保護した官能基で芳香環の水素を置換したスチレンが使用できる。また、α位にハロゲン、アルキル基、含フッ素アルキル基が結合した上記スチレン、パーフルオロビニル基含有のスチレン等も使用できる。
【0106】
ビニルエーテル、含フッ素ビニルエーテル、アリルエーテル、含フッ素アリルエーテルとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヒドロキシエチル基またはヒドロキシブチル基等のヒドロキシル基を含有していてもよいアルキルビニルエーテルあるいはアルキルアリルエーテル等が使用できる。また、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、芳香環やその環状構造内に水素やカルボニル結合を有した環状型ビニル、アリルエーテル、上記官能基の水素の一部もしくは全部がフッ素原子で置換された含フッ素ビニルエーテルまたは含フッ素アリルエーテルも使用できる。
【0107】
尚、ビニルエステル、ビニルシラン、オレフィン、含フッ素オレフィン、ノルボルネン化合物、含フッ素ノルボルネン化合物、または、その他の重合性不飽和結合を含有した化合物も本発明で特に制限なく使用することが可能である。
【0108】
オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、イソブテン、シクロペンテンまたはシクロヘキセンが、含フッ素オレフィンとしては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンまたはヘキサフルオロイソブテンが例示できる。
【0109】
ノルボルネン化合物、含フッ素ノルボルネン化合物は、一核または複数の核構造を有するノルボルネン単量体である。この際、ノルボルネン単量体としては、不飽和化合物とシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンを反応させたものを挙げることができる。例えば、含フッ素オレフィン、アリルアルコール、含フッ素アリルアルコール、ホモアリルアルコール、含フッ素ホモアリルアルコール、アクリル酸、α−フルオロアクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、含フッ素アクリル酸エステルまたは含フッ素メタクリル酸エステル、2−(ベンゾイルオキシ)ペンタフルオロプロパン、2−(メトキシエトキシメチルオキシ)ペンタフルオロプロペン、2−(テトラヒドロキシピラニルオキシ)ペンタフルオロプロペン、2−(ベンゾイルオキシ)トリフルオロエチレンまたは2−(メトキメチルオキシ)トリフルオロエチレン等の不飽和化合物と、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンとのDiels−Alder付加反応で生成するノルボルネン化合物であって、3−(5−ビシクロ[2.2.1]ヘプテン−2−イル)−1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−プロパノールが例示できる。
【0110】
7. 本発明の重合体およびその合成方法
次いで、本発明の重合体およびその合成方法について説明する。
【0111】
本発明の重合体は、複数の重合性単量体が重合してなる繰り返し単位で構成されていてもよく、その割合は特に制限なく設定されるが、例えば以下に示す範囲は好ましく採用される。
【0112】
本発明の重合体において、前記一般式(4)、一般式(5)または式(6)で表される繰り返し単位を1mol%以上、100mol%以下、好ましくは5mol%以上、80mol%以下、より好ましくは10mol%以上、60mol%以下の範囲で含有することができる。前記一般式(4)、一般式(5)または式(6)で表される繰り返し単位が1mol%よりも小さい場合には、リソグラフィにおいて、露光によるアルカリ現像液に対するレジスト膜の溶解性の変化が小さすぎて、パターニングの際のコントラストが期待できない、即ち、精緻なパターンが得られにくい。また、密着性基を有する繰り返し単位、HFIP基を有する繰り返し単位、塩を有する繰り替えし単位、または、その他官能基を有する繰り返し単位は、残部に含有することができる。
【0113】
この際、重合体を構成する各々の繰り返し単位を併せた全モル数に対して、前述した密着性を有する繰り返し単位の含有は、5mol%以上、90mol%以下であることが好ましい。5mol%より少ないと、基板との密着性を挙げる効果がなく、レジストとして、用いた際の現像液溶解性において、90mol%より、多く加えると現像液に解けづらくなる。
【0114】
前述した塩を有する繰り返し単位は、感放射線性樹脂組成物における感放射線性酸発生剤として有用であり、0.01mol%より少ないと、放射線レジストとしてコントラストを向上させる効果がなく、95mol%より、多く加える必要はない。
【0115】
本発明の重合体の重合方法としては、一般的に使用される方法であれば特に制限されないが、ラジカル重合、イオン重合等が好ましく、場合により、配位アニオン重合、リビングアニオン重合、カチオン重合、開環メタセシス重合、ビニレン重合等を使用することも可能である。
【0116】
ラジカル重合は、ラジカル重合開始剤あるいはラジカル開始源の存在下で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合または乳化重合等の公知の重合方法により、回分式、半連続式または連続式のいずれかの操作で行えばよい。
【0117】
ラジカル重合開始剤としては特に限定されるものではないが、例としてアゾ系化合物、過酸化物系化合物、レドックス系化合物が挙げられ、とくにアゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−t−ブチルパーオキシド、i−ブチリルパーオキシド、ラウロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキシド、ジシンナミルパーオキシド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、過酸化ベンゾイル、過酸化水素または過硫酸アンモニウム等が好ましい。
【0118】
重合反応に用いる反応容器は特に限定されない。また、重合反応においては、重合溶媒を用いてもよい。重合溶媒としては、ラジカル重合を阻害しないものが好ましく、代表的なものとしては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系、トルエン、シクロヘキサン等の炭化水素系、メタノール、イソプロピルアルコールまたはエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤等がある。また、水、エーテル系、環状エーテル系、フロン系または芳香族系等の種々の溶媒を使用することも可能である。これらの溶剤は単独でもあるいは2種類以上を混合しても使用できる。また、メルカプタンのような分子量調整剤を併用してもよい。共重反応の反応温度はラジカル重合開始剤あるいはラジカル重合開始源により適宜変更され、通常は20℃以上、200℃以下が好ましく、特に30℃以上、140℃以下の範囲が好ましい。
【0119】
一方、開環メタセシス重合は、共触媒存在下、IV、V、VI、VII属の遷移金属触媒を用いればよく、溶媒存在下、公知の方法を用いればよい。
【0120】
重合反応に用いる重合触媒としては特に限定されるものではないが、例としてTi系、V系、Mo系、W系触媒が挙げられ、特に、塩化チタン(IV)、塩化バナジウム(IV)、バナジウムトリスアセチルアセトナート、バナジウムビスアセチルアセトナートジクロリド、塩化モリブデン(VI)または塩化タングステン(VI)等が好ましい。触媒量としては、使用する重合性単量体全てに対して0.001mol%以上、10mol%以下、好ましくは、0.01mol%以上、1mol%以下の範囲である。
【0121】
前記重合触媒の共触媒としては、アルキルアルミニウム、アルキルスズ等が挙げられ、特に、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−2−メチルブチルアルミニウム、トリ−3−メチルブチルアルミニウム、トリ−2−メチルペンチルアルミニウム、トリ−3−メチルペンチルアルミニウム、トリ−4−メチルペンチルアルミニウム、トリ−2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ−3−メチルヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルアルミニウム類、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムハライド類、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジアイオダイド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソプロピルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド等のモノアルキルアルミニウムハライド類、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、プロピルアルミニウムセスキクロライド、イソブチルアルミニウムセスキクロライド等のアルキルアルミニウムセスキクロライド類等のアルミニウム系、テトラ−n−ブチルスズ、テトラフェニルスズまたはトリフェニルクロロスズ等が例示できる。共触媒量は、遷移金属触媒に対してモル比で、100当量以下、好ましくは30当量以下である。
【0122】
また、重合溶媒としては重合反応を阻害しなければよく、代表的なものとして、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンまたはジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系、ヘキサン、ヘプタンまたはシクロヘキサン等の炭化水素系、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、または1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が例示できる。また、これらの溶剤は単独でもあるいは2種類以上を混合しても使用できる。反応温度は、通常は−70℃以上、200℃以下が好ましく、特に−30℃以上、60℃以下の範囲が好ましい。
【0123】
ビニレン重合は、共触媒存在下、鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウムもしくは白金等のVIII属の遷移金属触媒、またはジルコニウム、チタン、バナジウム、クロム、モリブデンもしくはタングステン等のIVBからVIB属の金属触媒を用いればよく、溶媒存在下、公知の方法を用いればよい。
【0124】
ビニレン重合の重合触媒としては特に限定されるものではないが、例として特に、鉄(II)クロライド、鉄(III)クロライド、鉄(II)ブロマイド、鉄(III)ブロマイド、鉄(II)アセテート、鉄(III)アセチルアセトナート、フェロセン、ニッケロセン、ニッケル(II)アセテート、ニッケルブロマイド、ニッケルクロライド、ジクロロヘキシルニッケルアセテート、ニッケルラクテート、ニッケルオキサイド、ニッケルテトラフルオロボレート、ビス(アリル)ニッケル、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、ニッケル(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナートテトラハイドレート、ニッケル(II)トリフルオロアセチルアセトナートジハイドレート、ニッケル(II)アセチルアセトナートテトラハイドレート、塩化ロジウム(III)、ロジウムトリス(トリフェニルホスフィン)トリクロライド、パラジウム(II)ビス(トリフルオロアセテート)、パラジウム(II)ビス(アセチルアセトナート)、パラジウム(II)2−エチルヘキサノエート、パラジウム(II)ブロマイド、パラジウム(II)クロライド、パラジウム(II)アイオダイド、パラジウム(II)オキサイド、モノアセトニトリルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)テトラフルオロボレート、テトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)テトラフルオロボレート、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセトナート、パラジウムビス(アセトニトリル)ジクロライド、パラジウムビス(ジメチルスルホキサイド)ジクロライド、もしくはプラチニウムビス(トリエチルホスフィン)ハイドロブロマイド等のVIII属の遷移金属類、または塩化バナジウム(IV)、バナジウムトリスアセチルアセトナート、バナジウムビスアセチルアセトナートジクロリド、トリメトキシ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、もしくはビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド等のIVBからVIB属の遷移金属類が好ましい。触媒量としては、使用する重合性単量体全てに対して0.001mol%以上、10mol%以下、好ましくは0.01mol%以上、1mol%以下の範囲である。
【0125】
前記重合触媒の共触媒としては、アルキルアルミノキサン、アルキルアルミニウム等が挙げられ、特に、メチルアルミノキサン(MAO)、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−2−メチルブチルアルミニウム、トリ−3−メチルブチルアルミニウム、トリ−2−メチルペンチルアルミニウム、トリ−3−メチルペンチルアルミニウム、トリ−4−メチルペンチルアルミニウム、トリ−2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ−3−メチルヘキシルアルミニウム、もしくはトリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルアルミニウム類、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソプロピルアルミニウムクロライド、もしくはジイソブチルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムハライド類、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジアイオダイド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソプロピルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジクロライド、もしくはイソブチルアルミニウムジクロライド等のモノアルキルアルミニウムハライド類、またはメチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、プロピルアルミニウムセスキクロライド、もしくはイソブチルアルミニウムセスキクロライド等のアルキルアルミニウムセスキクロライド類等が例示できる。共触媒量は、メチルアルミノキサンの場合、Al換算で50当量以上、500当量以下、その他アルキルアルミニウムの場合、遷移金属触媒に対してモル比で、100当量以下、好ましくは30当量以下である。
【0126】
また、ビニレン重合の重合溶媒としては重合反応を阻害しなければよく、代表的なものとして、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、もしくはジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、もしくはシクロヘキサン等の炭化水素系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン(以後、CHXと呼ぶことがある)、シクロペンタノン等のケトン系、酢酸エチル、もしくは酢酸ブチル等のエステル系、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ノナノール、オクタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−メチル−2−ペンタノール、もしくはエチレングリコール等のアルコール系、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、もしくは1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、またはジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグリム、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以後、PEGMEAと呼ぶことがある)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以後、PEGMEと呼ぶことがある)、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル(以後、ELと呼ぶことがある。)ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、もしくはN−シクロヘキシルピロリドン等が例示できる。また、これらの溶剤は単独でもあるいは2種類以上を混合しても使用できる。反応温度は、通常は−70℃以上、200℃以下が好ましく、特に−40℃以上、80℃以下の範囲が好ましい。
【0127】
このようにして得られる本発明の重合体の溶液または分散液から、媒質である有機溶媒または水を除去する方法としては、公知の方法のいずれも利用できるが、例を挙げれば再沈殿ろ過または減圧下での加熱留出等の方法がある。
【0128】
本発明の重合体の数平均分子量としては、通常、1,000以上、100,000以下、好ましくは3,000以上、50,000以下の範囲が好ましい。
【0129】
8. 本発明のレジストについて
次いで、本発明のレジストについて説明する。
【0130】
本発明は、発明5乃至発明10のいずれかの重合体を含有する、発明11のレジストである。
【0131】
さらに、本発明は、発明11のレジストに、酸発生剤、塩基および有機溶剤のうち少なくとも一種を含む、発明12のレジストである。
【0132】
本発明の重合体は、特に光増感ポジ型レジストとして好適に用いられ、本発明は、発明5乃至10の重合体を含有するレジスト、とりわけポジ型レジストを提供する。この際、レジストとしては、(A)ベース樹脂として上記重合体、(B)光酸発生剤、(C)塩基性化合物および(D)溶剤を含有するものが望ましい。また、必要により(E)界面活性剤を含有していてもよい。(B)〜(C)各々について説明する。
【0133】
8.1 (B)光酸発生剤
光酸発生剤は紫外光または極紫外光を照射することで、酸を発生する機能を有する感光剤であり、本発明のレジストに用いる光酸発生剤には、特に制限はなく、化学増幅型レジストの酸発生剤として用いられるものの中から、溶剤に可溶化するものであれば、任意のものを選択して使用することができる。このような酸発生剤の例としては、ヨードニウムスルホネート、スルホニウムスルホネート等のオニウムスルホネート、スルホン酸エステル、N−イミドスルホネート、N−オキシムスルホネート、o−ニトロベンジルスルホネート、またはピロガロール等のトリスメタンスルホネートを挙げることができる。
【0134】
これらの光酸発生剤から光の作用で発生する酸は、アルカンスルホン酸、アリールスルホン酸を、部分的もしくは完全にフッ素化されたアルカンスルホン酸、またはアリールスルホン酸等であるが、部分的もしくは完全にフッ素化されたアルカンスルホン酸を発生する光酸発生剤は、脱保護しにくい保護基に対しても十分な酸強度を有することから有効である。具体的には、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホナート等が挙げられる。
【0135】
8.2 (C)塩基
本発明のレジストには、塩基を配合することができる。当該塩基は、酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制する働きがあり、これにより、酸拡散距離を調整してパターン形状の改善ができる。
【0136】
このような、塩基を例示するならば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、または脂肪族多環式アミン等があげられる。特に、第2級や第3級の脂肪族アミンが好ましく、アルキルアルコールアミンがより好ましく採用される。
【0137】
具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデカニルアミン、トリドデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデカニルアミン、ジドデシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デカニルアミン、ドデシルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジオクタノールアミン、トリオクタノールアミン、アニリン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ビピリジン、ピロール、ピペリジン、ピペラジン、インドール、またはヘキサメチレンテトラミンがあげられる。これらは単独でも2種以上組み合わせてもよい。また、その配合量は、好ましくは、重合体100重量部に対して0.001重量部以上、2重量部以下、より好ましくは重合体100重量部に対して0.01重量部以上、1重量部以下である。配合量が0.001重量部よりも少ないと添加剤としての効果が十分得られず、2重量部を超えると解像性および感度が低下する場合がある。
【0138】
8.3 (D)溶剤
本発明のレジストに用いる溶剤としては、配合する各成分を溶解して均一な溶液にできればよく、従来のレジスト用溶剤の中から選択して用いることができる。また、2種類以上の溶剤を混合して用いることも可能である。
【0139】
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン(以後、CHXと呼ぶことがある)、メチルイソブチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、tert−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ペンタノール、n−ヘキシサノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、n−オクタノール、n−デカノール、s−アミルアルコール、t−アミルアルコール、イソアミルアルコール、2−エチル−1−ブタノール、ラウリルアルコール、ヘキシルデカノール、もしくはオレイルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、もしくはプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等の多価アルコールおよびその誘導体、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ジエチルエーテル、ジオキサン、アニソール、もしくはジイソプロピルエーテル等のエーテル類、フロン、代替フロン、パーフルオロ化合物、もしくはヘキサフルオロイソプロピルアルコール等のフッ素系溶剤、または塗布時の濡れ性を高める目的で、高沸点弱溶剤であるターペン系の石油ナフサ溶媒もしくはパラフィン系溶媒等が使用可能である。
【0140】
本発明のレジストの溶媒としては、レジストの溶解性および安定性に優れることより、これらの中でも特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル(EL)、またはシクロヘキサノン(CHX)が好ましく採用される。
【0141】
本発明のレジストによるレジスト液に配合する溶剤の量は特に限定されないが、好ましくはレジスト液の固形分濃度が0.5質量%以上、25質量%以下、より好ましくは1質量%以上、15質量%以下の範囲になる様に調製することに用いられる。レジストの固形分濃度を調整することによって、形成される樹脂膜の膜厚を調整することが可能である。
【0142】
8.4 (E)界面活性剤
本発明のレジストにおいては、必要により界面活性剤を添加してもよい。かかる界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤もしくはシリコン系界面活性剤またはフッ素原子とケイ素原子の両方を有する界面活性剤のいずれか、あるいは2種以上を含有することができる。
【0143】
9. パターン形成方法
次いで本発明のパターン形成方法について説明する。
【0144】
本発明のレジストを使用してパターンを形成する方法は、基板上に該レジスト(レジスト液)を塗布する工程、基板上に加熱処理してレジスト膜を成形した後、露光機を用い、必要に応じてフォトマスクを介し、波長300nm以下の紫外光および極紫外光および電子線を含む高エネルギー線でレジスト膜を露光する工程、基板を加熱処理後にアルカリ現像液でレジスト膜を溶解し、現像してパターンを形成する工程から成っており、何れも公知のリソグラフィ技術を採用することができる。
【0145】
例えば、先ず、シリコンウェハー上にスピンコートの手法によってレジストを塗布して薄膜を形成し、これをホットプレート上で40℃以上、200℃以下、10秒以上、10分間以下、好ましくは60℃以上、150℃以下、30秒以上、2分間以下、プリベークする。次いで、目的のパターンを形成するために必要に応じてフォトマスクを設置し、露光機を用いて、300nm以下の紫外光および極紫外光、X線等の高エネルギー線もしくは電子線を露光量1mJ/cm以上、200mJ/cm以下、好ましくは10mJ/cm以上、100mJ/cm以下となるように照射した後、加熱処理、即ち、ホットプレート上で60℃以上、150℃以下、10秒以上、5分間以下、好ましくは80℃以上、130℃以下、30秒以上、3分間以下、PEBを行う。
【0146】
さらに、0.1質量%以上、5質量%以下、好ましくは2質量%以上、3質量%以下のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(以後、TMAHと呼ぶことがある)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、10秒以上、3分間以下、好ましくは30秒以上、2分間以下、DIP(浸漬)法、パドル法、スプレー法等の既存の方法で現像することによって目的のパターンが形成される。尚、上記PEBは、必要に応じて行えばよい。
【0147】
本発明のパターン形成方法で用いられる基板は、シリコンウェハーの他にも金属やガラスの基板を用いることが可能である。また、基板上には有機系あるいは無機系の膜が設けられていてもよい。例えば、反射防止膜、多層レジストの下層があってもよく、パターンが形成されていてもよい。
【0148】
尚、本発明のレジストは、露光に用いる光源および波長は、特に限定されないが、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、Fエキシマレーザ(波長157nm)、EUV、EB、X線によるリソグラフィによる微細パターニングに好適に使用でき、特に、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザおよびEUVによるリソグラフィに好適に採用される。
【0149】
10. 液浸リソグラフィ
本発明のレジストは、液浸リソグラフィのレジストとして使用できる。
【0150】
液浸リソグラフィとは、リソグラフィにおいて、露光装置のレンズとレジスト膜を形成した基板の間に液体を満たして露光を行うものであり、例えば、ArFエキシマレーザを光源とし、レンズと基板の間を水で満たして露光を行うものである。ArFエキシマレーザの水に対する屈折率は1.44であり、空気の屈折率1よりも基板への露光光の入射角度が大きくなる。このことで、1以上の高い開口数が得られ、パターンの解像力が向上する。
【0151】
液浸リソグラフィにおいては、パターンの保護膜であるトップコートを用いる場合と用いない場合があるが、本発明のレジストは、組成と配合を調整することによって、いずれにも使用でき、KrFエキシマレーザまたはArFエキシマレーザによる液浸リソグラフィ用のレジストとしても好適に使用できる。
【0152】
本発明のレジストを使用する液浸リソグラフィの媒体には、水の他、フッ素系溶剤、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤または含硫黄溶剤が挙げられる。
【0153】
11.ダブルパターニング法
本発明のレジストは、ダブルパターニング法のレジストとして使用でき、例えば、KrFエキシマレーザまたはArFエキシマレーザを光源とするダブルパターニング法のレジストとしても好適に使用できる。
【0154】
ダブルパターニングとは、リソグラフィで目的とするパターンを得るために、マスクあるいはレチクル、2つの密集度の低いパターンに分割し露光し、重ねて露光現像し密集度の高いパターンを得る技術である。
【0155】
具体的には、リソグラフィにより、基板上に形成した第1のレジスト膜を第一のパターンに露光、PEB後に露光部を現像液に溶解させて現像し第1のパターンを形成、次いで、第1のパターン上に第2のレジスト膜を形成し、第1のパターンと異なる第2のパターンで第2のレジスト膜を露光し、次いで同様に現像し、第1のパターン上に第2のパターンを形成する方法であり、従来の1層のみからなるレジストパターンよりも微細なパターンを形成することができる。尚、第2のレジスト膜の形成前に、第1のパターンの保持を目的にフリージング処理をすることもある。
【0156】
以下に、ダブルパターンニング法によるパターン形成方法について、さらに説明する。
【0157】
先ず、レジスト液をスピンコート法によりシリコンウェハーに塗布後、加熱処理をすることにより第1のレジスト膜を形成する。次いで、第1のレジスト膜にフォトマスクを介して波長300nm以下の高エネルギー線の照射による露光を行い、露光部を現像液に溶解して現像処理をすることにより第1のパターンを得る。次に、第1のパターン上に、レジスト液をスピンコート法により再度塗布後、加熱処理をして第2のレジスト膜を形成する。この際、レジスト液の溶剤は第1のパターンを侵さないことが要求される。
【0158】
次いで、リソグラフィにより、上記第2のレジスト膜にフォトマスクを介して波長300nm以下の高エネルギー線の照射による露光を行う。この際、第1のパターンと異なる第2のパターンのフォトマスクを使用する。その後、必要に応じてPEBを行い、次いで現像液で現像し、第一のパターン上に第2のパターンが形成される。尚現像液には、前述のTMAH等のアルカリ水溶液の現像液が好適に用いられる。
【0159】
このような、ダブルパターニング法においては、第1のレジスト液(レジスト組成物および溶剤)、第2のレジスト液(レジスト組成物および溶剤)の組合せにおいて、特に第1のパターンを、第2のレジスト液の溶剤が侵さないように考慮し、適宜選択することがこのましい。
【0160】
本発明のレジストは、第1のパターンを侵さない様に溶剤を選択して溶解し、第2のレジスト液として使用することが好ましく、好適に使用される。
【0161】
溶剤は、汎用のレジストによる第1のレジストパターンを侵さない溶剤であればよく、炭素数5〜20のアルコール系溶媒を用いることができる。上記炭素数5〜20のアルコール系溶剤には、n−ペンタノール、イソペンタノール、tert−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ペンタノール、n−ヘキシサノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、n−オクタノール、n−デカノール、s−アミルアルコール、t−アミルアルコール、イソアミルアルコール、2−エチル−1−ブタノール、ラウリルアルコール、ヘキシルデカノール、またはオレイルアルコールが挙げられる。特にtert−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、または2,3−ジメチル−2−ペンタノールが好ましい。
【0162】
また、前記汎用のレジストとは、カルボン酸基等の溶解性基をアダマンタン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素系のユニットで保護した繰返し単位を有する重合体を含むレジストをいう。このような重合体として、ヒドロキシアダマンチルメタクリレート(以後、MA−HADと呼ぶことがある)、エチルアダマンチルメタクリレート(MA−EAD)、またはγブチロラクトンメタクリレート(以下、GBLMAと呼ぶことがある。)よりなる共重合体が挙げられる。このような共重合体は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以後、PGMEAと呼ぶことがある。)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以後、PGMEと呼ぶことがある)のような多価アルコール誘導体、または酢酸エチル(以後、ELと呼ぶことがある。)等のエステル類には可溶であるものの、炭素数5〜20のアルコール系溶媒には不溶であり、例えば、炭素数6の4−メチル−2−ペンタノールには不溶である。一方、本発明の重合体は、レジストとした際の組成と配合を調整することによって、4−メチル−2−ペンタノール(以後、MIBCと呼ぶことがある)等の炭素数5〜20のアルコール系溶剤に可溶となる。
【0163】
即ち、本発明の重合体を炭素数5〜20のアルコール系溶剤を用いて調製したレジスト組成物は、ダブルパターンニング法の2層目に塗布するレジストとして使用できる。尚、ここでいう予めパターンを形成してある基板とは、必ずしも現像したものである必要はなく、フリージング処理等でパターンの保持がなされていればよい。
【0164】
上記ダブルパターンニング法において、基板として第1のレジストを予め塗布してレジスト膜とし、リソグラフィにより、パターン形成したものを使用することも可能である。この際、その後に続くプロセスは上記の第2レジストを塗布するプロセス以降の操作を行えばよく、予めレジストパターンが形成された基板上にレジストを塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して波長300nm以下の高エネルギー線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程を含む工程を採用することによって、基板上に最終のパターンが形成できる。この際、使用するレジストは、本発明のレジストを用い、当該レジストを調製する際の溶剤として、上記の炭素数5〜20のアルコール系溶剤が使用される。
【0165】
12. EUVソグラフィ
本発明のレジストは、露光量が小さく、PEB温度が低くても、優れた感度を有することより、光源の出力が低いEUVリソグラフィのレジストとして好適に用いることができる。
【0166】
EUVソグラフィにおいては、極めて波長の短い超紫外線(EUV、波長13.5nm)を用いて、シリコンウエハ等の基板に微細なパターン形成する。現在用いられているArFエキシマレーザ(波長、193nm)に比較して微細なパターンを得ることができる。
【0167】
13. EBリソグラフィ
本発明のレジストは、EBリソグラフィに使用される。EBリソグラフィにおいては、電子ビーム(EB))を使用して高分解能の微細パターンを基板に形成する。パターンの分解能は使用する電磁波の波長に依存し、原理的にはその波長以下は得られない。よって、マスクなしで、EBを基板または基板上のレジストに直接走査しパターンを描くことで、電磁波である光を用いたフォトリソグラフィに対し、さらに分解能を高めることができる。
【実施例】
【0168】
以下、実施例にて本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0169】
〔参考例〕(式(3)で表される重合性単量体の合成)
最初に、本発明の式(3)で表される重合性単量体を、以下のとおり合成した。
【化30】

【0170】
撹拌子付きの三口フラスコ中に、窒素雰囲気下、氷冷下で1モル濃度のビニルマグネシウムブロミドのテトラヒドロフラン(以下、THFと略する)溶液230mlを採取した後、シクロペンタノンを15.5g滴下し、1時間撹拌した。反応液にメタクリル酸無水物28.4gを滴下し、室温にて1時間撹拌した。次いで1規定濃度の塩化水素水、1規定濃度の飽和重曹水の順に加えた。得られた溶液を500mlのナスフラスコに移した後、減圧蒸留器に取り付け、温度75℃、減圧度、1mmHg以下の条件で減圧蒸留を行い、THFを回収し、式(3)で表される重合性単量体15.0gを収率50質量%で得た。
【0171】
式(3)で表される重合性単量体の核磁気共鳴(NMR)測定結果
H−NMR(溶媒:重アセトン(CO),基準物質:テトラメチルシラン(TMS));δ(ppm)1.73(4H,m),1.88(3H,s),1.91(2H,m),2.17(2H,m)5.11(2H,q),5.55(1H,s),6.00(1H,s),6.21(1H,q).
次いで、合成した式(3)で表される重合性単量体のみを重合してなる重合体1、または他の重合性単量体を重合させて、重合体2〜4を合成した例を、実施例1〜4に示した。これら重合体1〜4は、式(6)で表される繰り返し単位を含む。
【0172】
〔実施例1〕(重合体1の合成)
重合体1: 式(3)で表される重合性単量体のみが重合してなる重合体
式(3)で表される重合性単量体を用いて、本発明の重合体を合成した。
【0173】
撹拌子付きのガラス製三口フラスコ中で、2−ブタノンを3.2gに、式(3)で表される重合性単量体0.8gを溶解させた。
【化31】

【0174】
当該溶液に重合開始剤として、t−Butyl peroxypivalate、(日本油脂株式会社製、以下、同じものを使用した。以後、P−PVと略する)を0.1g加え、撹拌しつつ脱気し、雰囲気を窒素ガスで置換した後に、60℃にて16時間反応させた。反応終了後の溶液を64gのn−ヘプタンに滴下し、白色の沈殿を得た。沈殿を濾別し、60℃にて減圧乾燥を行い、白色固体として重合体1を0.7gを得た。
【0175】
重合体1は、式(6)で表される繰り返し単位をユニットとする共重合体である。
【化32】

【0176】
ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:以下、GPCと略する)を用い、重合体1の数平均分子量(Mn)、重量平均量/数平均分子量(Mw/Mn)を測定した。結果を示す。以下、実施例2〜4においても、同様である。
【0177】
GPC測定結果:Mn=10,000、Mw/Mn=2.3
〔実施例2〕(重合体2の合成)
重合体2: (3)で表される重合性単量体とGBLMAが重合してなる重合体
式(3)で表される重合性単量体と、下記に示す化合物GBLMAを用いて、本発明の重合体を合成した。
【0178】
撹拌子付きのガラス製三口フラスコ中で、2−ブタノンを8.7gに、式(3)で表される重合性単量体0.8gと下記GBLMA1.0gを溶解させた。
【化33】

【0179】
当該溶液に重合開始剤として、P−PVを0.1g加え、撹拌しつつ脱気し、雰囲気を窒素ガスで置換した後に、60℃にて16時間反応させた。反応終了後の溶液を174gのn−ヘプタンに滴下し、白色の沈殿を得た。沈殿を濾別し、60℃にて減圧乾燥を行い、白色固体として重合体2を1.6gを得た。
【0180】
重合体2は、式(6)で表される繰り返し単位と、密着性基を有する繰り返し単位であるラクトン、即ち、下記GBLMAによる繰り返し単位をユニットとする共重合体である。
【化34】

【0181】
GPC測定結果:Mn=9,000、Mw/Mn=2.5
〔実施例3〕(重合体3の合成)
重合体3: 式(3)で表される重合性単量体、GBLMAおよびMA35が重合してなる重合体
撹拌子付きのガラス製三口フラスコ中で、2−ブタノン、12.0gに、式(3)で表される重合性単量体0.7gと、前記GBLM0.7g、下記MA351.0gを溶解させた。
【化35】

【0182】
当該溶液に重合開始剤としてP−PVを0.1g加え撹拌しつつ脱気し、雰囲気を窒素ガス置換した後に、60℃の温度下にて16時間反応させた。反応終了後の溶液を240gのn−ヘプタンに滴下し、白色の沈殿を得た。沈殿を濾別し、温度60℃にて減圧乾燥を行い、白色固体として重合体3を1.9g得た。
【0183】
重合体3は、式(3)で表される重合性単量体による、式(6)で表される繰り返し単位に加え、密着性を有する繰り返し単位である下記GBLMAによる繰り返し単位および下記MA35による繰り返し単位をユニットとする共重合体である。
【化36】

【0184】
GPC測定結果:Mn=7,800、Mw/Mn=1.8
〔実施例4〕(重合体4の合成)
重合体4: 式(3)で表される重合性単量体、GBLMA、MA35およびTPS−IMAが重合してなる重合体
撹拌子付きのガラス製三口フラスコ中で、2−ブタノン12.5gに、式(3)で表される重合性単量体0.7gと、下記GBLMA、0.6g、MA35、1.0gおよびTPS−IMA0.2gを溶解させた。
【化37】

【0185】
当該溶液に重合開始剤としてP−PVを0.1g加え、撹拌しつつ脱気し、雰囲気を窒素ガスで置換した後に、60℃の温度下で16時間反応させた。反応後、溶液をn−ヘプタン250gに滴下し、白色の沈殿を得た。沈殿を濾別し、60℃の温度下で減圧乾燥を行い、白色固体として重合体4を2.0得た。
【0186】
重合体4は、式(6)で表される繰り返し単位、密着性基を有する繰り返し単位であるとしての上記GBLMAによる繰り返し単位、上記MA35による繰り返し単位、および塩を有する繰り返し単位としてのTPS−IMAによる繰り返し単位をユニットとする共重合体である。
【化38】

【0187】
GPC測定結果:Mn=11,900、Mw/Mn=2.2
〔比較例1〕(重合体5の合成)
次いで、本発明による式(3)で表される重合性単量体を用いないで、重合体5を合成した。
【0188】
式(3)で表される重合性単量体の変わりに、従来の2−エチル−2−アダマンチルメタクリレートおよびGBLMAを用い、本発明の範疇に属さない重合体5を合成した。2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート(MA−EAD)による繰り返し単位は、式(6)で表される繰り返し単位に属さない。
【0189】
撹拌子付きのガラス製三口フラスコ中で、2−ブタノン10.1gに、下記2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート(MA−EAD)1.0gおよびGBLMA1.0gを溶解させた。
【化39】

【0190】
当該溶液に重合開始剤として、P−PVを0.1g加え、撹拌しつつ脱気し、雰囲気を窒素ガスで置換した後に、60℃の温度下で16時間反応させた。反応後、溶液を203gのn−ヘプタンに滴下し、白色の沈殿を得た。沈殿を濾別し、60℃の温度下で減圧乾燥を行い、重合体5を、白色固体として1.4gを得た。
【0191】
重合体5は、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート(MA−EAD)による繰り返し単位、および密着性基を有する繰り返し単位であるGBLMAによる繰り返し単位をユニットとする共重合体である。
【化40】

【0192】
GPC測定結果:Mn=6,900、Mw/Mn=2.2
[重合結果]
前記重合体2および重合体5について、分子量と組成を測定した。重合体の分子量(数平均分子量Mn)と分子量分散(Mnと重量平均分子量Mwの比、Mw/Mn)は、東ソー株式会社製、高速GPC装置、品番、HLC−8320GPCにおいて、東ソー株式会社製、品番、ALPHA−MカラムとALPHA−2500カラムを1本ずつ直列に繋ぎ、展開溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定した。検出器は屈折率差検出器を用いた。また、重合体の組成はH−NMRによって確認した。
【0193】
重合体の組成(mol%)、収率(質量%)および分子量を測定した。
【0194】
表1に、重合体2および重合体5を重合した際の、重合性単量体の仕込み組成、重合性単量体の質量を100%とする収率、およびGPCで測定した分子量を示した。
【表1】

【0195】
[レジスト液調製および成膜]
重合体2または重合体5に、各々、光酸発生剤(PAG)、塩基および溶剤を加えたレジスト溶液を調製し、各々レジスト1、2とした。
【0196】
光酸発生剤(Photo Acid Generator、以下、PAGと略する)には、ナノフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、塩基にはイソプロパノールアミン、溶剤にはシクロヘキサノン(CHX)を用いた。
【0197】
表2に、各々の組成物の配合比を質量部で示した。
【表2】

【0198】
レジスト1、2を、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過した後、反射防止膜(日産化学工業株式会社製、製品名、ARC29A)を厚さ78nmになる様に塗布した後、15℃の温度下で60秒間焼成して乾燥させたシリコンウェハー上に、スピナーを用いて、回転数1,500rpmで塗布し、次いで、ホットプレート上で90℃、60秒間乾燥させ成膜した。
【0199】
[露光・現像液溶解性試験]
前述の方法でレジストを成膜したシリコンウェハーを、ArFレーザを用い波長193nmの紫外光で露光した。露光後のシリコンウェハーを70℃または90℃の温度下で60秒間、PEBを行い、アルカリ現像液であるテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで60秒間、露光部を溶解し、現像した。溶解速度はレジスト現像アナライザ(リソテックジャパン株式会社製、型番、RDA-790 以後、RDAと略する)により測定した。図1に、NRT(現像後のレジスト膜厚/PEB後のレジスト膜厚)とレーザ出力である露光エネルギーの関係を表すグラフに示した。
【0200】
図1に示したように、PEB温度が90℃の場合、実施例2のレジスト1は露光エネルギー0.34mJ/cmでNRTが0となり、比較例1のレジスト2は、露光エネルギー0.49mJ/cmでNRTが0となった。
【0201】
PEB温度が70℃の場合、レジスト1は露光エネルギー1.02mJ/cmでNRTが0となり、レジスト2は露光エネルギー2.20mJ/cmでNRTが0となった。
【0202】
即ち、式(3)で表される重合性単量体を共重合した式(6)で表される繰り返し単位を含有する共重合体を含むレジスト1は、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート(MA−EAD)を共重合したレジスト2よりも、レーザ出力が小さく露光エナルギーが少なくても現像液に対する優れた溶解性を示し、高感度であった。このことは、式(3)で表される重合性単量体による式(6)で表される繰り返し単位を含有する重合体2が、より低温である70℃のPEBで分解したことによると推定された。
【0203】
このように、本発明の酸分解性基を有する式(3)で表される重合性単量体を共重合させた重合体2を用いてなるレジストは、光源にArFレーザを使ったリソグラフィにおいて、ArFレーザによる露光エネルギー1.00mJ以下PEB温度70℃以下の条件でも、二重結合を有する保護基が解離し、現像液に溶解可能となる優れた感度を示した。
【0204】
比較して、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート(MA−EAD)を共重合させた重合体5を用いてなる従来のレジスト−2は、露光エネルギー1.00mJ以下PEB温度70℃以下の条件では、現像液に可溶となるほどに光酸発生剤より発生した酸の作用より重合体5が分解しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0205】
本発明のレジストは、露光に用いる光源および波長は、特に限定されないが、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、Fエキシマレーザ(波長157nm)、EUV(波長13.5nm)、EB、X線によるリソグラフィによる微細パターニングに好適に使用でき、特に、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザおよびEUVによるリソグラフィに好適に採用される。
【0206】
具体的には、リソグラフィにおける波長300nm以下の紫外光または電子線による露光に使用される。詳しくは、露光装置の光源にKrFエキシマレーザもしくはArFエキシマレーザを用いるパタ−ン加工、ArFエキシマレーザによる液浸リソグラフィによるパタ−ン加工、ArFエキシマレーザを用いてのダブルパターンニング法によるパタ−ン加工、EUVリソグラフィによるパターン加工、またはEBリソグラフィによるパタ−ン加工に適するレジスト用の酸分解性重合体として使用される。
【0207】
特に、本発明のレジストは、光源の高出力化が困難であるEUV用のレジストとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
【化1】

(式(1)中、Rは、水素原子、メチル基、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、R〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状または炭素数3〜20の環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されていてもよい。また、R〜R14の一部または全部が結合して環状構造を形成していてもよい。nは0〜5の整数である。)
で表される、重合性単量体。
【請求項2】
下記一般式(2):
【化2】

(式(2)中、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基であり、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状または炭素数3〜20の環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されていてもよい。nは1〜5の整数である。)
で表される、請求項1に記載の重合性単量体。
【請求項3】
〜Rが水素原子、フッ素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基である、請求項2に記載の重合性単量体。
【請求項4】
下記式(3):
【化3】

で表される、重合性単量体。
【請求項5】
下記一般式(4):
【化4】

(式(4)中、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基であり、R〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状または炭素数3〜20の環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されていてもよい。また、R〜R14の一部または全部が結合して環状構造を形成していてもよい。nは0〜5の整数である。)
で表される繰り返し単位を含む、重合体。
【請求項6】
下記一般式(5):
【化5】

(式(5)中、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基であり、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状または炭素数3〜20の環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されていてもよい。また、nは1〜5の整数である。)
で表される繰り返し単位を含む、請求項5に記載の重合体。
【請求項7】
〜Rが水素原子、メチル基、フッ素原子またはトリフルオロメチル基である、請求項6に記載の重合体。
【請求項8】
下記式(6):
【化6】

で表される繰り返し単位を含む重合体。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の重合性単量体が、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシイソプロピル基を有する重合性単量体または密着性基を有する重合性単量体と共重合してなる、重合体。
【請求項10】
下記一般式(7)または下記一般式(8):
【化7】

(式(7)および式(8)中、
15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であり、
Aは、それぞれ独立に、単結合、メチレン基、フェニレン基、−O−、−(C=O)−O−、または−(C=O)−NR21−を表し(ここで、R21は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐状または環状の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、一部またはすべての水素原子がフッ素原子、水酸基またはアルコキシル基で置換されていてもよく、あるいは、−O−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−、−(C=O)−、−O−(C=O)−NH−、または−NH−(C=O)−NH−から選ばれた少なくとも1種を含有していてもよく、
Bは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐状または環状のアルキレン基あるいはフェニレン基であり、当該アルキレン基およびフェニレン基は、一部またはすべての水素原子がフッ素原子、水酸基、またはアルコキシル基で置換されていてもよく、−O−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−、−(C=O)−、−O−(C=O)−NH−、または−NH−(C=O)−NH−から選ばれた少なくとも1種以上を含有してもよく、
Zは、それぞれ独立に、SO、CO、(CFSO、またはCFSOである。
16〜R18は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の直鎖状または分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の環状の1価の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基、あるいは置換基を有していてもよい原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基であり、R16〜R18のうちの何れか2つ以上が硫黄原子を介して相互に結合して環状構造を形成していてもよく、
19およびR20は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の直鎖状または炭素数3〜30の分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の環状の1価の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基、あるいは置換基を有していてもよい原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基であり、R19とR20とがヨウ素原子を介して相互に結合して環状構造を形成していてもよい。)
で表される塩を有する繰り返し単位をさらに含有する、請求項5乃至請求項9のいずれか1項に記載の重合体。
【請求項11】
請求項5乃至請求項10のいずれか1項に記載の重合体を含有する、レジスト。
【請求項12】
酸発生剤、塩基性化合物、および有機溶剤のうちの少なくとも一種を含む、請求項11に記載のレジスト。
【請求項13】
有機溶剤が炭素数5〜20のアルコール系溶剤である、請求項12に記載のレジスト。
【請求項14】
請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載のレジストを基板上に塗布する塗布工程と、
当該基板を加熱処理してレジスト膜を形成し、露光機を用いて波長300nm以下の紫外光および極紫外光でフォトマスクを介しレジスト膜を露光する露光工程と、
レジスト膜の露光部位を現像液に溶解させて現像し、基板上にパターン形成する現像工程
を含む、パターン形成方法。
【請求項15】
請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載のレジストを基板上に塗布する塗布工程と、
当該基板を加熱処理してレジスト膜を形成し、露光機を用いて電子ビームでレジスト膜を露光する露光工程と、
レジスト膜の露光部位を現像液に溶解させて現像し、基板上にパターン形成する現像工程
を含む、パターン形成方法。
【請求項16】
ウェハーと投影レンズとの間に水を挿入し、露光機を用いて、波長193nmのArFエキシマレーザを用いて紫外光を照射する液浸リソグラフィ法である、請求項14に記載のパターン形成方法。
【請求項17】
基板上に形成された第1のレジストパターン上に第2のレジストパターンを形成するダブルパターニング法によるパターン形成方法であって、請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載のレジストを用いる、前記パターン形成方法。
【請求項18】
波長13.5nmの紫外光を用いるEUVリソグラフィ法によるパターン形成方法であって、請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載のレジストを用いる、前記パターン形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−53196(P2013−53196A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191202(P2011−191202)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】