野菜収穫機
【課題】搬送装置にて搬送される野菜が、傾斜する搬送面を搬送方向の下流側から上流側に転がり落ちることを防止することができる野菜収穫機を提供する。
【解決手段】機体を進行させながら野菜Sを収穫する野菜収穫機1であって、前記機体の下部に配置されて畝上の野菜Sを掻き込む野菜掻き込み部16と、前記野菜掻き込み部16から上方に傾斜して延び、野菜Sを野菜掻き込み部16から上後方へ搬送する野菜搬送部17とを備え、前記野菜搬送部17は、搬送面に野菜Sが入り込む凹部27a・27bを有し、当該搬送面の搬送方向中途部に、前記搬送面上を搬送方向と反対方向に転がる野菜Sを受け止める転落防止部20を配置し、当該転落防止部20は、前記野菜搬送部17の上方で搬送方向と交差する方向に横架される支持フレーム23と、前記支持フレーム23に前後揺動自在に下方に垂れて支持される転落防止部材25とを有する転落防止装置21で構成される。
【解決手段】機体を進行させながら野菜Sを収穫する野菜収穫機1であって、前記機体の下部に配置されて畝上の野菜Sを掻き込む野菜掻き込み部16と、前記野菜掻き込み部16から上方に傾斜して延び、野菜Sを野菜掻き込み部16から上後方へ搬送する野菜搬送部17とを備え、前記野菜搬送部17は、搬送面に野菜Sが入り込む凹部27a・27bを有し、当該搬送面の搬送方向中途部に、前記搬送面上を搬送方向と反対方向に転がる野菜Sを受け止める転落防止部20を配置し、当該転落防止部20は、前記野菜搬送部17の上方で搬送方向と交差する方向に横架される支持フレーム23と、前記支持フレーム23に前後揺動自在に下方に垂れて支持される転落防止部材25とを有する転落防止装置21で構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体を進行させながら野菜を収穫する野菜収穫機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体前部に配置されて畝上の野菜を掻込む掻込み装置と、搬送方向の上流側が低く且つ下流側が高くなるように傾斜する搬送面を有し掻込み装置にて掻込まれた野菜を搬送する搬送装置とを具備し、機体を進行させながら野菜を収穫する野菜収穫機は公知となっている。例えば特許文献1に示す如くである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2007−61010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような野菜収穫機では、形状や重さが全て均一な野菜が収穫されるものではない。つまり、搬送装置にて搬送される野菜の中には、その形状や重さによって傾斜する搬送面を転がり落ち易いものもある。加えて、このような野菜収穫機では、搬送面の勾配が一定の範囲を超えて急になった際や、機体が振動した際に、搬送装置にて搬送される野菜が、搬送方向の下流側から上流側に当該搬送面を転がり落ちて傷ついてしまう場合がある。
【0005】
本発明は以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、搬送装置にて搬送される野菜が、傾斜する搬送面を搬送方向の下流側から上流側に転がり落ちることを防止することができる野菜収穫機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、機体を進行させながら野菜を収穫する野菜収穫機であって、前記機体の下部に配置されて畝上の野菜を掻き込む野菜掻き込み部と、前記野菜掻き込み部から上方に傾斜して延び、野菜を当該野菜掻き込み部から上後方へ搬送する野菜搬送部と、を備え、前記野菜搬送部は、搬送面に野菜が入り込む凹部を有し、当該搬送面の搬送方向中途部に、前記搬送面上を搬送方向と反対方向に転がる野菜を受け止める転落防止部を配置し、当該転落防止部は、前記野菜搬送部の上方で搬送方向と交差する方向に横架される支持フレームと、前記支持フレームに前後揺動自在に下方に垂れて支持される転落防止部材とを有する転落防止装置で構成されるものである。
【0008】
請求項2においては、前記転落防止部材は、前記支持フレームと前記野菜搬送部の搬送面との間の距離よりも長く構成されるものである。
【0009】
請求項3においては、前記転落防止部材は、前記支持フレームに複数支持され、前記複数の転落防止部材は、搬送方向と直交する方向に並列に配置されるものである。
【0010】
請求項4においては、前記転落防止部材は、軟質材で構成されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、搬送中の野菜が、振動等によって搬送面の凹部から出て搬送方向と反対方向に転がっても、即ち、下流側から上流側へ転落しても、その搬送面途中に配置した転落防止装置により受け止められることになる。したがって、転落による野菜の損傷を防ぐことができるとともに、搬送中の野菜が転がり落ちて前端の掻き込み装置にまで至って滞留するようなことがなくなり、野菜を効率よく収穫することができる。
転落防止部材が揺動自在に支持されているため、搬送装置による野菜の搬送が転落防止部材によって妨げられにくくなり、搬送装置の搬送面上の野菜を搬送後端へと搬送することができる。
【0013】
請求項2においては、転落防止部材の下端が搬送装置の搬送面に当接するため、搬送面が転落防止部材のストッパー(下方側への回り過ぎの規制)の役割を果たし、ストッパーを用いることなく、転落防止部材の下端は支持される。つまり、転落防止部材は、搬送面の当接部分よりも前方へ回動することがなく、簡単な構成で野菜を搬送方向と同一方向へ移動させることができるとともに、逆方向へ転がる野菜を確実に受け止めることができる。
【0014】
請求項3においては、搬送方向と直交する方向に複数並列に転落防止部材が配置されているため、野菜が搬送方向と直交する方向の一方側に偏って搬送された場合に、一方側のみ持ち上げられるため、他方側が浮いてその間から野菜が落下することがなく、搬送される野菜が転落防止部材に妨げられることなく無理なく通過することができるとともに、搬送方向と反対方向へと転がる野菜を受け止めることができる。
【0015】
請求項4においては、転落防止部材を軟質材で構成しているため、転落してきた野菜の勢いを軽減させることができ、野菜を傷つけることなく受け止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る野菜収穫機の全体構成を示す右側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】同じく左側面図。
【図4】同じく背面図。
【図5】野菜搬送部の前端部の構成を示す部分切欠き平面図。
【図6】図5におけるX−X線断面図。
【図7】図6におけるY−Y線断面図。
【図8】転落防止部の全体構成を示す平面図。
【図9】第一転落防止装置の構成を示す簡略背面図。
【図10】同じく図9における背面図中央縦断面図。
【図11】本発明の別実施形態に係る転落防止部材の形状を示す背面図。
【図12】本発明の一実施形態に係る第二転落防止装置の構成を示す側断面図。
【図13】本発明の一実施形態に係る第一転落防止装置の通過前の甘藷およびその周辺を示す側断面図。
【図14】同じく第一転落防止装置を通過している甘藷およびその周辺を示す側断面図。
【図15】同じく第一転落防止装置を通過後の甘藷およびその周辺を示す側断面図。
【図16】同じく搬送面を転落する甘藷を受け止める第一転落防止装置およびその周辺を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る野菜収容部18を備えた野菜収穫機1の全体的な構成について説明する。
尚、以下では本実施形態の野菜収穫機1によって収穫される野菜を甘藷として説明するが、本発明はこれに特に限定するものではなく、例えば、馬鈴薯、人参、または玉葱等の畝から引き抜かれて畝上に置かれている野菜であればよい。
以下の説明においては、図1に示した矢印Aの方向を野菜収穫機1の進行方向、つまり前方向として、前後左右方向を規定するものとする。
【0018】
野菜収穫機1は、畝上に置かれた甘藷Sを回収し、収穫袋55・55・・・に収容するために使用される収穫機である。
野菜収穫機1は、主として機体フレーム12、駆動部13、走行部14、操縦部15、野菜掻き込み部16、野菜搬送部17、野菜収容部18、選別作業部19、および、転落防止部20を具備する。
野菜掻き込み部16は、野菜収穫機1の最前部に配置され、野菜掻き込み部16の下方に野菜搬送部17の前部が連設される。そして、野菜搬送部17は、前低後高に形設され、その最後部の下方に野菜収容部18が連設される。
【0019】
畝から引き抜かれて畝上に置かれている甘藷Sは、野菜掻き込み部16により掻き込まれて野菜搬送部17に受け渡され、野菜搬送部17にて後方へ保持・搬送される。野菜搬送部17の終端まで搬送された甘藷Sは、野菜収容部18にセットされる収穫袋55中へ収容される。
【0020】
以下では、図1から図3を参照して、野菜収穫機1の各部の構成について説明する。
【0021】
機体フレーム12は、野菜収穫機1の主たる構造体となるものである。機体フレーム12は、長手方向を前後方向として、複数の板材により構成される略箱状の部材である。
【0022】
前記駆動部13は、エンジン131を有し、野菜収穫機1が駆動するための動力を発生する動力源である。エンジン131は、機体フレーム12の左後部に補助フレーム121を介して搭載される。
【0023】
走行部14は、左右一対のクローラ走行装置141・141によって構成される。クローラ走行装置141・141は、機体フレーム12を支持し、野菜収穫機1を走行可能とするものである。クローラ走行装置141・141は機体フレーム12の下部に配置され、前記エンジン131の動力により駆動される。ただし、走行部14をクローラで構成しているが、ホイール等で構成してもよい。
【0024】
操縦部15は、複数のレバー等を備え、オペレータによって野菜収穫機1の操縦が行われる部位である。図2及び図3に示すように、操縦部15は、前記駆動部13の上方で、機体フレーム12の最後部に後方へと突出するように配置される。操縦部15では、適宜のレバー操作等によって、クローラ走行装置141・141と、野菜掻き込み部16、及び野菜搬送部17を別個に駆動できるように構成される。
【0025】
野菜掻き込み部16は、畝上に置かれている甘藷Sを掻き込んで野菜搬送部17に受け渡すための部位である。図1から図3に示すように、野菜掻き込み部16は、左右一対の支持アーム160・160、掻き込み駆動ケース161、掻き込み装置163等を具備する。
【0026】
支持アーム160・160は、掻き込み装置163を支持する部材である。支持アーム160・160は、その前端部で掻き込み装置163を挟み両側に左右一対に配置される。支持アーム160の後端部は、回動支持部173にて、搬送駆動ケース171の後端部に枢支される。支持アーム160の前端部には、掻き込み装置163の駆動軸164が横架される。
【0027】
掻き込み駆動ケース161には、掻き込み装置163の動力伝達機構が内装され、当該動力伝達機構から動力を受けて駆動軸164が回転駆動されるようにしている。
【0028】
掻き込み装置163は、畝上の甘藷Sを搬送装置270上に案内するための装置である。掻き込み装置163は、支持アーム160・160の前端部に回転運動可能に支持される。掻き込み装置163は、主として駆動軸164、回転輪165・165、掻き込み体167・167・・・を具備する。
【0029】
回転輪165・165は駆動軸164に固定され、回転輪165・165の間に横架された支持軸168・168・・・には掻き込み体167・167・・・が回転可能に取り付けられる。支持軸168・168・・・に取り付けられた掻き込み体167・167・・・は、駆動軸164を中心として回転することができる。
【0030】
このような構成により、掻き込み装置163を畝に近づけた際に、野菜収穫機1の右側面から見て時計回りに掻き込み体167・167・・・を回転運動させることで、畝上に置かれた甘藷Sを掻き込み、連設される野菜搬送部17に案内することができる。
【0031】
野菜搬送部17は、野菜掻き込み部16から受け渡された甘藷Sを機体後部の誘導装置86の上方まで搬送するための部位である。野菜搬送部17は主として左右一対の搬送駆動ケース171・171、搬送装置270、および搬送部材変形防止装置370を備える。
【0032】
搬送駆動ケース171・171は、搬送装置270の動力伝達機構を内装するものである。搬送駆動ケース171・171は、搬送装置270の両側に左右一対に並設される。
搬送駆動ケース171の後端部は、回動支持部173に枢支される。回動支持部173は、機体フレーム12の支柱に連結される。また、搬送駆動ケース171と機体フレーム12との間には、油圧シリンダ172が枢結されており、油圧シリンダ172を動作させることによって、搬送駆動ケース171の機体フレーム12に対する相対高さを調整できる構成となっている。
【0033】
以下では、本実施形態に係る搬送装置270の構成について、図1から図4を参照して説明する。
図2に示すように、搬送装置270は、主として左右一対の駆動スプロケット271・271、駆動軸272、左右一対の従動スプロケット273・273、無端帯として構成される左右一対の搬送チェーン275・275、当該搬送チェーン275・275の間に横架される搬送部材(第一搬送部材276、第二搬送部材277)、及び搬送ガイド278・278によって構成される。
【0034】
駆動スプロケット271・271、従動スプロケット273・273、及び搬送チェーン275・275は、搬送駆動ケース171・171に内装される。駆動スプロケット271・271は搬送駆動ケース171・171の後端部に左右一対に配置され、従動スプロケット273・273は搬送駆動ケース171・171の前端部に左右一対に配置される。
【0035】
搬送駆動ケース171・171の後端部間には、駆動軸272が軸受(不図示)を介して横架される。駆動軸272の左右両端部には、駆動スプロケット271・271が固設される。
【0036】
従動スプロケット273・273は、搬送駆動ケース171・171の前端部に、軸受(図示省略)を介して回動可能に支持される。
【0037】
搬送チェーン275・275は、駆動スプロケット271・271と従動スプロケット273・273に巻き掛けられ、左右一対に配置される。このように構成することより、駆動スプロケット271・271が駆動装置(不図示)により回転駆動されると、これにともなって搬送チェーン275・275が回転駆動される。
【0038】
第一搬送部材276は略直線棒状の部材である。第一搬送部材276・276・・・は、搬送チェーン275・275の間に横架して、前後方向に所定間隔をあけて平行に並べることで簾状の搬送面を形成するように構成される。
【0039】
第二搬送部材277は、略直線棒状の部材を左右方向略中央部側が外周側に突出するように形成されたものである。第二搬送部材277は、所定本数をあけて(本実施形態においては第一搬送部材276を三本あけて)第一搬送部材276の外周側に配置される。
つまり、図6に示すように、搬送面上部の第二搬送部材277・277及び第一搬送部材276・276・・・によって側面視で凹部27aが形成され、第一搬送部材276・276間の隙間によって側面視で凹部27bが形成され、甘藷Sが搬送時に凹部27a・27b内に入るように構成される。
【0040】
こうして、駆動スプロケット271・271を回転駆動することにより搬送チェーン275・275が回転駆動され、第一搬送部材276・276・・・及び第二搬送部材277・277・・・を搬送方向に向かって移動させる。
そして甘藷Sは、第一搬送部材276と第二搬送部材277が成す前記凹部27aに収納して移動させることで野菜収容部18へと搬送することができる。
また、前記凹部27aよりも小さな甘藷S(野菜)は、凹部27bを形成する第一搬送部材276・276間で挟み込むことで野菜収容部18へと搬送することができる。
【0041】
図2に示すように、第一搬送部材276と第二搬送部材277とによって形成される無端帯の前記野菜搬送面の上方には、当該野菜搬送面の傾きに沿わせるようにして、搬送ガイド278・278が配置される。搬送装置270の下部において左右方向に幅広く載置された甘藷Sは、上方に搬送されるに従って搬送ガイド278・278によってガイドされ、搬送装置270の終端部においては、前記野菜搬送面の右側に集められる。
【0042】
次に、本実施形態の前記搬送部材の変形を防止する搬送部材変形防止装置370の構成について図5から図7を参照して説明する。
【0043】
搬送部材変形防止装置370は、搬送装置270の前端部における搬送部材の変形を防止するためのものである。搬送部材変形防止装置370は、搬送駆動ケース補強部材371、張出支持部材372、回動機構373(支持軸374、軸受375、支持ローラ376、固定カラー377)によって構成される。
【0044】
搬送駆動ケース補強部材371は、搬送駆動ケース171・171の左右方向の強度を確保するとともに、搬送部材変形防止装置370全体を支持するための部材である。搬送駆動ケース補強部材371は、パイプ等の棒材によって構成され、搬送駆動ケース171・171の前端より所定間隔をあけて、搬送駆動ケース171・171間に取付部材371a・371aを介して横設される。
【0045】
張出支持部材372・372は、回動機構373を所定位置で支持するための部材である。張出支持部材372は、前後方向を長手とする矩形の板状の部材によって構成される。張出支持部材372・372の後端部は、搬送駆動ケース補強部材371の左右中央に所定間隔をあけて左右一対となるように固設される。張出支持部材372・372は、略平行に前方へと延設され、その前端部は側面視において従動スプロケット273・273の中心と略同じとなるように配置される。
張出支持部材372の前端部には、ボルト等を貫装するための貫装孔372aが形成される。
【0046】
回動機構373は、搬送チェーン275・275により従動スプロケット273・273の回りに送られてきた第一搬送部材276・276・・・を当該第一搬送部材276・276・・・の左右略中央部で支持するためのものである。回動機構373は、主として、支持軸374、軸受375、支持ローラ376、固定カラー377、ボルト378、およびナット379によって構成される。
【0047】
支持軸374は、回動機構373を支持するための部材である。支持軸374は、左右方向にボルト378を貫装するための貫装孔374aが形成された略筒状の部材で構成される。支持軸374の貫装孔374aは、前記張出支持部材372の貫装孔372aと一致するように配置される。
【0048】
軸受375は、支持軸374に対して回動自在に支持ローラ376を支持するための部材である。軸受375は本実施形態ではボールベアリングにより構成されている。
【0049】
支持ローラ376は、その外周で第一搬送部材276・276・276の左右中央を支持するための部材である。支持ローラ376は、左右方向に開孔する筒状に形成される。支持ローラ376の左右幅は、張出支持部材372・372間の距離よりも若干短くなるように形成される。支持ローラ376の内周の左右中央部は、軸受375の外輪375bに固設される。つまり、支持ローラ376は、軸受375を介して支持軸374に外嵌され、支持軸374に対して回動可能に配置される。
尚、本実施形態においては、搬送装置270の第一搬送部材276・・・および第二搬送部材277・・・が第一搬送部材276に取り付けられている為、第一搬送部材276の支持を主としているが、第二搬送部材277・・・が直接搬送チェーン275・275に取り付けられている場合は、第一搬送部材276および第二搬送部材277を支持する部材となり、また支持できる形状に構成される。
【0050】
固定カラー377・377は、軸受375の左右両側を覆うための部材であって、左右対称の二つの環状板によって構成される。固定カラー377・377は、支持ローラ376と干渉せぬように支持ローラ376の左右両側の軸心側で支持軸374に外嵌される。
【0051】
回動機構373は、張出支持部材372の貫装孔372a・372aと支持軸374の貫装孔374aとを側面視において一致させた状態で、それら貫装孔372a・372a・374aにボルト378を螺設してナット379等で締結することで、張出支持部材372に回動可能に取り付けられる。
【0052】
搬送部材変形防止装置370は、搬送装置270前端部における第一搬送部材276・276・・・を左右略中央部で支持することができる。このように構成することにより、作業時に搬送装置270の前端部が畝に突っ込んだ場合であっても、第一搬送部材276・276・・・の左右略中央部は回動機構373により支持されるため、搬送部材変形防止装置370により第一搬送部材276・276・・・の変形を防止することが可能である。
さらに、搬送部材変形防止装置370は、第一搬送部材276・276・・・の左右略中央部で形成される隙間を埋めることができ、強度が最も小さい左右略中央部への石等の噛み込みを防止することができる。
【0053】
本実施形態のように、第一搬送部材276・276・・・は、それらの左右略中央部を支持ローラ376によって支持されるため、当該部分が平畝の中央部に深く突っ込んでも屈曲・変形し難くなるのである。
【0054】
また、本実施形態の野菜収穫機1は、過剰な負荷が駆動スプロケット271および駆動軸272にかかると、それらを連結するための安全ピンが破損して、駆動スプロケット271および駆動軸272の破損を回避するように構成される。そのため、搬送部材変形防止装置370が第一搬送部材276の変形を防止することで、その変形によりチェーンが回動できなくなって動力伝達機構に過剰な負荷がかかることを回避し、この結果、安全ピンの破損を防止し、ひいては、収穫作業を連続的に行うことを可能としている。加えて、搬送部材変形防止装置370の一部である搬送駆動ケース補強部材371は、搬送駆動ケース171・171の左右方向の強度を増すことができる。
【0055】
搬送チェーン275・275は、長期の使用によって全長が伸び、駆動スプロケット271と従動スプロケット273間が下方に垂れ、適切な張力を保つことが困難となる。そのため、搬送部材変形防止装置370は、その前端部である回動機構373を搬送装置270の前方向へ移動可能に構成することで、搬送チェーン275・275が適切な張力を保つことができる。具体的には、搬送部材変形防止装置370の取付部材371a・371aにその長手方向を搬送方向と平行となる長穴を形成し、搬送チェーン275・275の張力が適切となる位置でボルト等によって締結することによって可能となる。
【0056】
図1から図3に示すように、選別作業部19は、搬送装置270の前後中途部の左右一側または両側に配設され、搬送装置270の搬送面上の葉、ツルまたは傷物等の不要物を補助作業者(選別作業者)により搬送装置270から取り除くための部位である。
選別作業部19は、主としてステップ191、座席192、支持フレーム193を備える。
【0057】
ステップ191は、選別作業者が座席192に乗り入れるための部位である。ステップ191は、前後方向を長手とする板上の部材であって、機体フレーム12の側部に支持部材を介して取り付けられる。
【0058】
座席192は、ステップ191の上面の前部、または、前後中央部、または、後部の任意の位置に固定可能に配置され、不要物の除去をするための選別作業者が着座するためのものである。
【0059】
支持フレーム193は、座席192に着座した選別作業者が搬送装置270内に入り込まないようにガードするものである。
【0060】
また、選別作業者は、座席192・192に着座しながら、支持フレーム193を握ることで体を支えて、または、支持フレーム193・193にもたれることで、搬送装置270の搬送面を搬送される不良の甘藷S、茎葉、またはつる等の不要物の除去作業が容易に行えるようにしている。
【0061】
図1、図2および図4に示すように、野菜収容部18は、搬送装置270から搬送される甘藷Sを収穫袋55に収容するための部位である。本実施形態においては、収容する容器を収穫袋55としているが、野菜収容部18にコンテナ等の容器を載置して野菜を収容する構成としてもよい。
野菜収容部18は、主として、コンテナ掛81、受台装置82、ガイド装置83、受台保持装置84、開口保持装置85、誘導装置86、切換装置87によって構成される。
【0062】
コンテナ掛81は、コンテナ50を保持し、当該コンテナ50内に空の収穫袋55・55・・・を収容して待機させるためのものである。コンテナ掛81は、機体後部の左右両側にそれぞれ配置される。
【0063】
受台装置82は、甘藷Sを収容する収穫袋55を載置するための装置である。受台装置82は、主として板状の部材によって構成され、機体フレーム12の右側後方に板面が略水平となるように配置される。受台装置82は、機体フレーム12に回動自在に支持される。
【0064】
ガイド装置83は、受台装置82に載置(セット)された収穫袋55の前側面をもたれさせてガイドし、収穫袋55を前方へ傾けた斜めの状態で載置できるようにするためのものである。ガイド装置83は、受台装置82の載置面に対して所定角度を有すように受台装置82の前後中央部に起立するように配置される。収穫袋55を傾斜させて受台装置82に載置することで、野菜収納状態を安定させることができるとともに、収穫袋55の上開口部の高さを低くして、収穫袋55を長く伸ばした状態として収納量を多くすることができる。
【0065】
受台保持装置84は、受台装置82の板面を略鉛直状態とする「収納位置」に保持するための装置である。
受台保持装置84は、受台装置82の板面が略鉛直状態であるその姿勢を、受台装置82の右側部に設けた受部材45に、その前方の機体フレーム12に回動自在に取り付けられた係止部材41の開放端が係合することによって保持される。
【0066】
開口保持装置85は、受台装置82に載置された収穫袋55の上開口部側の上端を挟持して収穫袋55が開口した状態を保持するための装置である。開口保持装置85は、搬送装置270の下後部付近の機体フレーム123から受台装置82の前後中央部上方まで延設され、機体フレーム123側を中心として回動可能に支持される。開口保持装置85は、収穫袋55の左右の上開口を挟持できるように所定間隔をあけて四箇所配置される。
【0067】
誘導装置86は、搬送装置270から搬送される甘藷Sが収穫袋55内に落下し易くするためのものである。誘導装置86は、搬送装置270の最後端の下方に配置される。
【0068】
切換装置87は、受台装置82にセットされた収穫袋55・55の内、甘藷Sを収容したい側の収穫袋55へ誘導したり、切換装置87よりも後方に甘藷Sが落下して収穫袋55外に落下することを防止したりするための装置である。切換装置87は、一方の収穫袋55の開口部をその上方で閉塞可能とし、切換回動軸71を中心として左右方向に回動することで他方の収穫袋55の開口部の上方を閉塞可能とする。さらに、切換回動軸71と支持板75の上端の高低差によって、閉塞側の収穫袋55に落下しようとする甘藷Sを受けて、非閉塞側の収穫袋55へと落下させることが可能である。
【0069】
前記構成によって、予め、受台保持装置84を解除することによって、受台装置82およびガイド装置83を「作業位置」に配置させる。
この「作業位置」(図1参照)において、収穫袋55・55は、受台装置82上に載置される。受台装置82上の収穫袋55・55は、それらの前側面をガイド装置83によってガイドされるとともに、それらの開口部を開口保持装置85によって保持される。
甘藷Sは、野菜収穫機1が走行する際に搬送装置270によってその後方へと搬送される。
搬送装置270より搬送された甘藷Sは、搬送装置270の後端部より誘導装置86へと誘導される。さらに、誘導された甘藷Sは、直接収穫袋55内へと誘導されるか、または、切換装置87を介して収穫袋55内へと誘導される。従って、甘藷Sは、一方の収穫袋55内へと収容される。これにより、甘藷Sの収穫袋55への収容作業は、連続して可能となる。
【0070】
以下に、本実施形態にかかる転落防止部20の構成および動作を図8から図16を用いて説明する。
【0071】
以下において、転落防止部20の構成について説明する。
転落防止部20は、一旦野菜搬送部17の搬送装置270の搬送面にまで搬送した甘藷Sが、搬送面から掻き込み装置163方向へと転がり落ちることを防止するためのものである。本実施形態の転落防止部20は、第一転落防止装置21および第二転落防止装置22の二つの転落防止装置を設置することで構成される。
尚、転落防止部20は、本実施形態において二つの転落防止装置21・22によって構成されているが、一つまたは三つ以上の転落防止装置を配置する構成であってもよい。
【0072】
以下において説明を容易とするため、第一転落防止装置21を用いて転落防止装置の基本構造を説明し、第二転落防止装置22については、第一転落防止装置21との違いのみの説明をすることとする。
【0073】
図1から図3及び図8から図10に示すように、第一転落防止装置21は、搬送面の前後中央部まで搬送された甘藷Sが掻き込み装置163側へと転落することを防止するための装置であって、野菜搬送部17の前後中途部に配置される。第一転落防止装置21は、主として、支持フレーム23、蝶番24、および転落防止部材25・25とによって構成される。
【0074】
支持フレーム23は、転落防止部材25を支えるための部材である。支持フレーム23は、柱部材231・231、梁部材232、補助取付部材233によって構成される。
【0075】
柱部材231は、支持フレーム23全体を搬送駆動ケース171に固定するための部材であって、金属板等の板材を適宜折り曲げることによって形成される。柱部材231・231は、支持フレーム23上に左右一対となるように配置される。柱部材231は、正面視略L字状に折り曲げて、搬送駆動ケース171の上面に対して平行な水平部231aと、当該水平部231aの機体内側端部から上方に向って延設される垂直部231bとを有する。
柱部材231の水平部231aは搬送駆動ケース171の上面にボルト等によって固定される。
【0076】
梁部材232は、転落防止部材25を支持するための部分であって、左右方向を長手とするパイプ等の棒材によって構成される。梁部材232は、その両端が柱部材231・231に溶接等で固定される。
よって、梁部材232は、柱部材231・231間上部に横設され、それら全体が正面視において略門状に形成される。
【0077】
補助取付部材233は、梁部材232に転落防止部材25を取り付け易くするための部分であって、左右方向の長さを柱部材231・231間と略同じ長さとする板状の部材によって構成される。補助取付部材233は、側面視において搬送面に略垂直となるように溶接等によって固設される。
【0078】
蝶番24は、後述する転落防止部材25を支持フレーム23に回動自在に取り付けるための部材である。蝶番24は、一般的な平型蝶番や平行型蝶番等の蝶番で構成される。詳述すると、蝶番24は、回動軸241と、第一蝶番片242と、第二蝶番片243とを有する。
第一蝶番片242が補助取付部材233に固定されて、蝶番24は支持フレーム23に取り付けられる。
【0079】
転落防止部材25は、搬送面上を野菜掻き込み部16方向(前下方)に転がる甘藷Sを受け止めることで、甘藷Sが転落することを防止するための部材である。転落防止部材25は、合成樹脂やゴム等の弾性部材(軟質材料)で略四角形の板状に形成され、上辺に前記蝶番24へのボルト孔等で構成した取付部が形成されている。
【0080】
前記転落防止部材25の上辺には、その上部を補強するための補強部材251が貼設されている。当該補強部材251は帯板状で転落防止部材25の取付部に過剰な負荷がかからないようにしている。転落防止部材25と補強部材251は蝶番24に一体的に固定される。
【0081】
こうして、転落防止部材25・25は、蝶番24・・・を介して、支持フレーム23に、左右方向に並列に配置される。また、これら隣り合う転落防止部材25・25は、それぞれその動作が干渉することがないように所定間隔をあけて配置され、搬送駆動ケース171内側に配置した搬送ガイド278・278に対しても所定間隔をあけて配置される。転落防止部材25は、蝶番24・24を介して支持フレーム23に前後揺動自在に下方に垂れて支持される。
【0082】
また、転落防止部材25は、野菜搬送部17の搬送面に当接する長さに形成される。つまり、転落防止部材25の下端部は、鉛直に垂らした状態で搬送装置270の第一搬送部材276および第二搬送部材277に当接するように設定される。こうして、搬送時に転落防止部材25の下端部が前方へ回動することがなく、転落防止部材25と第一搬送部材276または第二搬送部材277の間から野菜が前下方へ落下することがないのである。
【0083】
尚、転落防止部材25は、透明なシリコン等の板材で構成することで、選別作業部19で作業する作業者の搬送装置270の搬送面に対する視界を遮ることなく、搬送される不用なツルまたは草などを除去しやすくなるようにすることもできる。転落防止部材25は、それに換えて、図11の(a)および(b)に示すように、甘藷(野菜)Sが貫通しない程度の大きさの開孔部を複数有する転落防止部材26・27としたり、また図11の(c)に示すように、網等で構成した転落防止部材28としたり、図11の(d)に示すように、下方から延設されるスリットを所定間隔毎に設けた、または一枚の板状の部材に替えて棒状または細い板状の部材を簾状に配置した転落防止部材29としたりしてもよい。
【0084】
図8および図12に示すように、第二転落防止装置22は、搬送面の後部の甘藷Sが掻き込み装置163方向(第一転落防止装置21側)へと転落することを防止するための装置であって、第一転落防止装置21の後方に所定間隔をあけて配置される。第二転落防止装置22の設置箇所は、搬送面の左右幅が徐々に狭くなる箇所に設置されるため、第一転落防止装置21よりも左右幅が短くなるように設定される。つまり、第二転落防止装置22の支持フレーム230の梁部材2302および補助取付部材2303、並びに転落防止部材250は、第一転落防止装置21のそれらよりも左右幅が短く設定される。さらに、第二転落防止装置22は、蝶番24の取付位置および補助取付部材2303の貫装孔2303a・2303a・2303a・2303aの位置がそれに合わせて、所定間隔が短く設定される。
【0085】
次に、転落防止部20の転落防止装置21・22の動作について、甘藷Sがそれらを通過する「甘藷通過状態」、および甘藷Sがそれらによって受け止められる「甘藷転落防止状態」を中心に説明する。第一転落防止装置21と第二転落防止装置22とは、同様の動作を行うため、第一転落防止装置21を用いて説明する。
【0086】
「甘藷通過状態」は、図14に示すように、搬送装置270の搬送面に保持されている甘藷Sが転落防止部20の下方を通過する状態を示す。
野菜掻き込み部16によって掻き込まれた甘藷Sは、野菜搬送部17の搬送装置270の搬送面に保持される。詳しくは、図13に示すように、甘藷Sのうち比較的小さいものは第一搬送部材276・276間に挟持され、比較的大きいものは第一搬送部材276および第二搬送部材277に挟持または当接することで保持される。
【0087】
第一搬送部材276・276に保持されている甘藷Sは、転落防止部20の第一転落防止装置21を通過する。この際、図14に示すように、搬送装置270の後方へ移動中の甘藷Sは、第一転落防止装置21の転落防止部材25の前面と接触する。甘藷Sは、搬送装置270によって、さらにその上後方へと搬送されるため、転落防止部材25を上後方へと押上げる。つまり、転落防止部材25は、蝶番24の回動軸241を中心として上後方へと回動する。
【0088】
さらに、甘藷Sが後方へと移動することによって、転落防止部材25は、甘藷Sによってその前面を押上げられた状態から開放される。それに伴い、図15に示すように、転落防止部材25は、その自重によって、蝶番24の回動軸241を中心として下前方へと回動する(図中太矢印参照)。そして、転落防止部材25の下端部は、第一搬送部材276または第二搬送部材277の後部に当接する。ただし、多くの甘藷Sが搬送面に搬送されていた場合、第一搬送部材276・276、第二搬送部材277に当接することなく、新たに搬送される甘藷Sに当接することとなる。
【0089】
第一転落防止装置21は、支持フレーム23に対して、複数の転落防止部材25・25が並列に配置されている。そのため、甘藷Sがどちらか左右一方の転落防止部材25側に偏って搬送されてきた場合、転落防止部材25・25が一体的に形成されている場合には全体が上方に持ち上げられて、少ない側の野菜が転落防止部材25と第一搬送部材276または第二搬送部材277の間から前下方へ落下する可能性があるが、左右方向で複数に分割することで、転落防止部材25の下端は野菜または第一搬送部材276または第二搬送部材277に当接することになるので、野菜が通過する隙間ができ難くなり、落下を防止することができる。
【0090】
第一転落防止装置21を通過した甘藷Sは、第二転落防止装置22においても、第一転落防止装置21と同様の動作を行い後方へと甘藷Sを移動させる。第一転落防止装置21および第二転落防止装置22を通過した甘藷Sは、搬送装置270の後方の野菜収容部18に配置された収穫袋55へと落下して収容される。
【0091】
次に、搬送装置270の搬送面を転落する甘藷Sを第一転落防止装置21によって受け止める「甘藷転落防止状態」について図16を参照して説明する。
【0092】
搬送中の甘藷Sは、搬送装置270の傾斜角度、野菜収穫機1の走行や甘藷Sに付着した土等を落とすための振動装置(図示省略)による振動等によって、搬送装置270の前下方へと転落する場合がある。
【0093】
転落防止部材25は、第一転落防止装置21よりも前方へと転落しようとする甘藷Sを転落防止部材25の後面に当接させることによって受け止める。
その際、転落防止部材25の下端部は、第一搬送部材276・276、第一搬送部材276と第二搬送部材277、または甘藷Sに当接することによって支持される。そのため、転落防止部材25は、その下前方へと回動することなく、転落防止部材25の上方から転落する甘藷Sを転落防止部材25の後面で接触させる。
転落防止部材25は、ゴム等の軟質材料によって構成されているため、甘藷Sとの接触による衝撃を吸収し、甘藷Sの下前方向の動き(図中太矢印参照)を制止させる。甘藷Sは転落防止部材25よって、衝撃を吸収されるため、傷がつきにくい。
【0094】
転落防止部材25によって下前方向の転落が阻止させられた甘藷Sは、前方から後方へと移動する搬送部材276・276・277によって形成される凹部27a内に入り込み、再度、搬送部材276・276・277によって保持されながら、搬送装置270の後方へと搬送される。
従って、第一転落防止装置21および第二転落防止装置22によって、甘藷Sは搬送装置270の後方へと搬送することが可能となる。
【0095】
第二転落防止装置22も第一転落防止装置21と同様の動きを行い、第二転落防止装置22よりも前方へと転落しようとする甘藷Sを転落防止部材250の後面に当接させることによって受け止める。
【0096】
以上の如く、本実施形態の野菜収穫機1は、機体を進行させながら甘藷(野菜)Sを収穫する野菜収穫機1であって、前記機体の下部に配置されて畝上の野菜Sを掻き込む野菜掻き込み部16と、前記野菜掻き込み部16から上方に傾斜して延び、野菜Sを当該野菜掻き込み部16から上後方へ搬送する野菜搬送部17と、を備え、前記野菜搬送部17は、搬送面に野菜Sが入り込む凹部27a・27bを有し、当該搬送面の搬送方向中途部に、前記搬送面上を搬送方向と反対方向に転がる野菜Sを受け止める転落防止部20を配置し、当該転落防止部20は、前記野菜搬送部17の上方で搬送方向と交差する方向に横架される支持フレーム23と、前記支持フレーム23に前後揺動自在に下方に垂れて支持される転落防止部材25とを有する転落防止装置21で構成されるものである。
【0097】
このように構成することにより、搬送中の野菜Sが、振動等によって搬送面の凹部27a・27bから出て搬送方向と反対方向に転がっても、即ち、下流側から上流側へ転落しても、その搬送面途中に配置した転落防止装置21・22により受け止められることになる。したがって、転落による野菜Sの損傷を防ぐことができるとともに、搬送中の野菜Sが転がり落ちて前端の掻き込み装置163にまで至って、野菜Sが滞留するようなことがなくなり、野菜Sを効率よく収穫することができる。
転落防止部材25・250が揺動自在に支持されているため、搬送装置270による野菜Sの搬送が転落防止部材25・250によって妨げられにくくなり、搬送装置270の搬送面上の野菜Sを搬送後端へと搬送することができる。
【0098】
本実施形態の野菜収穫機1において、前記転落防止部材25・250は、前記支持フレーム23・230と前記野菜搬送部17の搬送面との間の距離よりも長く構成されるものである。
【0099】
このように構成することにより、転落防止部材25・250の下端が搬送装置270の搬送面に当接するため、搬送面が転落防止部材25・250のストッパー(下方側への回り過ぎの規制)の役割を果たし、ストッパーを用いることなく、転落防止部材25・250の下端は支持される。つまり、転落防止部材25・250は、搬送面の当接部分よりも前方へ回動することがなく、簡単な構成で野菜Sを搬送方向と同一方向へ移動させることができるとともに、逆方向へ転がる野菜Sを確実に受け止めることができる。
【0100】
本実施形態の野菜収穫機1においては、前記転落防止部材25・250は、前記支持フレーム23・230に複数支持され、前記複数の転落防止部材25・25・250・250は、搬送方向と直交する方向に並列に配置されるものである。
【0101】
このように構成することにより、搬送方向と直交する方向に複数並列に転落防止部材25・250が配置されているため、野菜Sが搬送方向と直交する方向の一方側に偏って搬送された場合に、一方側のみ持ち上げられるため、他方側が浮いてその間から野菜Sが落下することがなく、搬送される野菜Sが転落防止部材25・250に妨げられることなく無理なく通過することができるとともに、搬送方向と反対方向へと転がる野菜Sを受け止めることができる。
【0102】
本実施形態の野菜収穫機1においては、前記転落防止部材25・250は、軟質材で構成されるものである。
【0103】
このように構成することにより、転落防止部材25・250を軟質材で構成しているため、転落してきた野菜Sの勢いを軽減させることができ、野菜Sを傷つけることなく受け止めることができる。
【符号の説明】
【0104】
1 野菜収穫機
16 野菜掻き込み部
17 野菜搬送部
20 転落防止部
21 第一転落防止装置
22 第二転落防止装置
23 支持フレーム
230 支持フレーム
25 転落防止部材
250 転落防止部材
163 掻き込み装置
270 搬送装置
S 甘藷(野菜)
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体を進行させながら野菜を収穫する野菜収穫機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体前部に配置されて畝上の野菜を掻込む掻込み装置と、搬送方向の上流側が低く且つ下流側が高くなるように傾斜する搬送面を有し掻込み装置にて掻込まれた野菜を搬送する搬送装置とを具備し、機体を進行させながら野菜を収穫する野菜収穫機は公知となっている。例えば特許文献1に示す如くである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2007−61010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような野菜収穫機では、形状や重さが全て均一な野菜が収穫されるものではない。つまり、搬送装置にて搬送される野菜の中には、その形状や重さによって傾斜する搬送面を転がり落ち易いものもある。加えて、このような野菜収穫機では、搬送面の勾配が一定の範囲を超えて急になった際や、機体が振動した際に、搬送装置にて搬送される野菜が、搬送方向の下流側から上流側に当該搬送面を転がり落ちて傷ついてしまう場合がある。
【0005】
本発明は以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、搬送装置にて搬送される野菜が、傾斜する搬送面を搬送方向の下流側から上流側に転がり落ちることを防止することができる野菜収穫機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、機体を進行させながら野菜を収穫する野菜収穫機であって、前記機体の下部に配置されて畝上の野菜を掻き込む野菜掻き込み部と、前記野菜掻き込み部から上方に傾斜して延び、野菜を当該野菜掻き込み部から上後方へ搬送する野菜搬送部と、を備え、前記野菜搬送部は、搬送面に野菜が入り込む凹部を有し、当該搬送面の搬送方向中途部に、前記搬送面上を搬送方向と反対方向に転がる野菜を受け止める転落防止部を配置し、当該転落防止部は、前記野菜搬送部の上方で搬送方向と交差する方向に横架される支持フレームと、前記支持フレームに前後揺動自在に下方に垂れて支持される転落防止部材とを有する転落防止装置で構成されるものである。
【0008】
請求項2においては、前記転落防止部材は、前記支持フレームと前記野菜搬送部の搬送面との間の距離よりも長く構成されるものである。
【0009】
請求項3においては、前記転落防止部材は、前記支持フレームに複数支持され、前記複数の転落防止部材は、搬送方向と直交する方向に並列に配置されるものである。
【0010】
請求項4においては、前記転落防止部材は、軟質材で構成されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、搬送中の野菜が、振動等によって搬送面の凹部から出て搬送方向と反対方向に転がっても、即ち、下流側から上流側へ転落しても、その搬送面途中に配置した転落防止装置により受け止められることになる。したがって、転落による野菜の損傷を防ぐことができるとともに、搬送中の野菜が転がり落ちて前端の掻き込み装置にまで至って滞留するようなことがなくなり、野菜を効率よく収穫することができる。
転落防止部材が揺動自在に支持されているため、搬送装置による野菜の搬送が転落防止部材によって妨げられにくくなり、搬送装置の搬送面上の野菜を搬送後端へと搬送することができる。
【0013】
請求項2においては、転落防止部材の下端が搬送装置の搬送面に当接するため、搬送面が転落防止部材のストッパー(下方側への回り過ぎの規制)の役割を果たし、ストッパーを用いることなく、転落防止部材の下端は支持される。つまり、転落防止部材は、搬送面の当接部分よりも前方へ回動することがなく、簡単な構成で野菜を搬送方向と同一方向へ移動させることができるとともに、逆方向へ転がる野菜を確実に受け止めることができる。
【0014】
請求項3においては、搬送方向と直交する方向に複数並列に転落防止部材が配置されているため、野菜が搬送方向と直交する方向の一方側に偏って搬送された場合に、一方側のみ持ち上げられるため、他方側が浮いてその間から野菜が落下することがなく、搬送される野菜が転落防止部材に妨げられることなく無理なく通過することができるとともに、搬送方向と反対方向へと転がる野菜を受け止めることができる。
【0015】
請求項4においては、転落防止部材を軟質材で構成しているため、転落してきた野菜の勢いを軽減させることができ、野菜を傷つけることなく受け止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る野菜収穫機の全体構成を示す右側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】同じく左側面図。
【図4】同じく背面図。
【図5】野菜搬送部の前端部の構成を示す部分切欠き平面図。
【図6】図5におけるX−X線断面図。
【図7】図6におけるY−Y線断面図。
【図8】転落防止部の全体構成を示す平面図。
【図9】第一転落防止装置の構成を示す簡略背面図。
【図10】同じく図9における背面図中央縦断面図。
【図11】本発明の別実施形態に係る転落防止部材の形状を示す背面図。
【図12】本発明の一実施形態に係る第二転落防止装置の構成を示す側断面図。
【図13】本発明の一実施形態に係る第一転落防止装置の通過前の甘藷およびその周辺を示す側断面図。
【図14】同じく第一転落防止装置を通過している甘藷およびその周辺を示す側断面図。
【図15】同じく第一転落防止装置を通過後の甘藷およびその周辺を示す側断面図。
【図16】同じく搬送面を転落する甘藷を受け止める第一転落防止装置およびその周辺を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る野菜収容部18を備えた野菜収穫機1の全体的な構成について説明する。
尚、以下では本実施形態の野菜収穫機1によって収穫される野菜を甘藷として説明するが、本発明はこれに特に限定するものではなく、例えば、馬鈴薯、人参、または玉葱等の畝から引き抜かれて畝上に置かれている野菜であればよい。
以下の説明においては、図1に示した矢印Aの方向を野菜収穫機1の進行方向、つまり前方向として、前後左右方向を規定するものとする。
【0018】
野菜収穫機1は、畝上に置かれた甘藷Sを回収し、収穫袋55・55・・・に収容するために使用される収穫機である。
野菜収穫機1は、主として機体フレーム12、駆動部13、走行部14、操縦部15、野菜掻き込み部16、野菜搬送部17、野菜収容部18、選別作業部19、および、転落防止部20を具備する。
野菜掻き込み部16は、野菜収穫機1の最前部に配置され、野菜掻き込み部16の下方に野菜搬送部17の前部が連設される。そして、野菜搬送部17は、前低後高に形設され、その最後部の下方に野菜収容部18が連設される。
【0019】
畝から引き抜かれて畝上に置かれている甘藷Sは、野菜掻き込み部16により掻き込まれて野菜搬送部17に受け渡され、野菜搬送部17にて後方へ保持・搬送される。野菜搬送部17の終端まで搬送された甘藷Sは、野菜収容部18にセットされる収穫袋55中へ収容される。
【0020】
以下では、図1から図3を参照して、野菜収穫機1の各部の構成について説明する。
【0021】
機体フレーム12は、野菜収穫機1の主たる構造体となるものである。機体フレーム12は、長手方向を前後方向として、複数の板材により構成される略箱状の部材である。
【0022】
前記駆動部13は、エンジン131を有し、野菜収穫機1が駆動するための動力を発生する動力源である。エンジン131は、機体フレーム12の左後部に補助フレーム121を介して搭載される。
【0023】
走行部14は、左右一対のクローラ走行装置141・141によって構成される。クローラ走行装置141・141は、機体フレーム12を支持し、野菜収穫機1を走行可能とするものである。クローラ走行装置141・141は機体フレーム12の下部に配置され、前記エンジン131の動力により駆動される。ただし、走行部14をクローラで構成しているが、ホイール等で構成してもよい。
【0024】
操縦部15は、複数のレバー等を備え、オペレータによって野菜収穫機1の操縦が行われる部位である。図2及び図3に示すように、操縦部15は、前記駆動部13の上方で、機体フレーム12の最後部に後方へと突出するように配置される。操縦部15では、適宜のレバー操作等によって、クローラ走行装置141・141と、野菜掻き込み部16、及び野菜搬送部17を別個に駆動できるように構成される。
【0025】
野菜掻き込み部16は、畝上に置かれている甘藷Sを掻き込んで野菜搬送部17に受け渡すための部位である。図1から図3に示すように、野菜掻き込み部16は、左右一対の支持アーム160・160、掻き込み駆動ケース161、掻き込み装置163等を具備する。
【0026】
支持アーム160・160は、掻き込み装置163を支持する部材である。支持アーム160・160は、その前端部で掻き込み装置163を挟み両側に左右一対に配置される。支持アーム160の後端部は、回動支持部173にて、搬送駆動ケース171の後端部に枢支される。支持アーム160の前端部には、掻き込み装置163の駆動軸164が横架される。
【0027】
掻き込み駆動ケース161には、掻き込み装置163の動力伝達機構が内装され、当該動力伝達機構から動力を受けて駆動軸164が回転駆動されるようにしている。
【0028】
掻き込み装置163は、畝上の甘藷Sを搬送装置270上に案内するための装置である。掻き込み装置163は、支持アーム160・160の前端部に回転運動可能に支持される。掻き込み装置163は、主として駆動軸164、回転輪165・165、掻き込み体167・167・・・を具備する。
【0029】
回転輪165・165は駆動軸164に固定され、回転輪165・165の間に横架された支持軸168・168・・・には掻き込み体167・167・・・が回転可能に取り付けられる。支持軸168・168・・・に取り付けられた掻き込み体167・167・・・は、駆動軸164を中心として回転することができる。
【0030】
このような構成により、掻き込み装置163を畝に近づけた際に、野菜収穫機1の右側面から見て時計回りに掻き込み体167・167・・・を回転運動させることで、畝上に置かれた甘藷Sを掻き込み、連設される野菜搬送部17に案内することができる。
【0031】
野菜搬送部17は、野菜掻き込み部16から受け渡された甘藷Sを機体後部の誘導装置86の上方まで搬送するための部位である。野菜搬送部17は主として左右一対の搬送駆動ケース171・171、搬送装置270、および搬送部材変形防止装置370を備える。
【0032】
搬送駆動ケース171・171は、搬送装置270の動力伝達機構を内装するものである。搬送駆動ケース171・171は、搬送装置270の両側に左右一対に並設される。
搬送駆動ケース171の後端部は、回動支持部173に枢支される。回動支持部173は、機体フレーム12の支柱に連結される。また、搬送駆動ケース171と機体フレーム12との間には、油圧シリンダ172が枢結されており、油圧シリンダ172を動作させることによって、搬送駆動ケース171の機体フレーム12に対する相対高さを調整できる構成となっている。
【0033】
以下では、本実施形態に係る搬送装置270の構成について、図1から図4を参照して説明する。
図2に示すように、搬送装置270は、主として左右一対の駆動スプロケット271・271、駆動軸272、左右一対の従動スプロケット273・273、無端帯として構成される左右一対の搬送チェーン275・275、当該搬送チェーン275・275の間に横架される搬送部材(第一搬送部材276、第二搬送部材277)、及び搬送ガイド278・278によって構成される。
【0034】
駆動スプロケット271・271、従動スプロケット273・273、及び搬送チェーン275・275は、搬送駆動ケース171・171に内装される。駆動スプロケット271・271は搬送駆動ケース171・171の後端部に左右一対に配置され、従動スプロケット273・273は搬送駆動ケース171・171の前端部に左右一対に配置される。
【0035】
搬送駆動ケース171・171の後端部間には、駆動軸272が軸受(不図示)を介して横架される。駆動軸272の左右両端部には、駆動スプロケット271・271が固設される。
【0036】
従動スプロケット273・273は、搬送駆動ケース171・171の前端部に、軸受(図示省略)を介して回動可能に支持される。
【0037】
搬送チェーン275・275は、駆動スプロケット271・271と従動スプロケット273・273に巻き掛けられ、左右一対に配置される。このように構成することより、駆動スプロケット271・271が駆動装置(不図示)により回転駆動されると、これにともなって搬送チェーン275・275が回転駆動される。
【0038】
第一搬送部材276は略直線棒状の部材である。第一搬送部材276・276・・・は、搬送チェーン275・275の間に横架して、前後方向に所定間隔をあけて平行に並べることで簾状の搬送面を形成するように構成される。
【0039】
第二搬送部材277は、略直線棒状の部材を左右方向略中央部側が外周側に突出するように形成されたものである。第二搬送部材277は、所定本数をあけて(本実施形態においては第一搬送部材276を三本あけて)第一搬送部材276の外周側に配置される。
つまり、図6に示すように、搬送面上部の第二搬送部材277・277及び第一搬送部材276・276・・・によって側面視で凹部27aが形成され、第一搬送部材276・276間の隙間によって側面視で凹部27bが形成され、甘藷Sが搬送時に凹部27a・27b内に入るように構成される。
【0040】
こうして、駆動スプロケット271・271を回転駆動することにより搬送チェーン275・275が回転駆動され、第一搬送部材276・276・・・及び第二搬送部材277・277・・・を搬送方向に向かって移動させる。
そして甘藷Sは、第一搬送部材276と第二搬送部材277が成す前記凹部27aに収納して移動させることで野菜収容部18へと搬送することができる。
また、前記凹部27aよりも小さな甘藷S(野菜)は、凹部27bを形成する第一搬送部材276・276間で挟み込むことで野菜収容部18へと搬送することができる。
【0041】
図2に示すように、第一搬送部材276と第二搬送部材277とによって形成される無端帯の前記野菜搬送面の上方には、当該野菜搬送面の傾きに沿わせるようにして、搬送ガイド278・278が配置される。搬送装置270の下部において左右方向に幅広く載置された甘藷Sは、上方に搬送されるに従って搬送ガイド278・278によってガイドされ、搬送装置270の終端部においては、前記野菜搬送面の右側に集められる。
【0042】
次に、本実施形態の前記搬送部材の変形を防止する搬送部材変形防止装置370の構成について図5から図7を参照して説明する。
【0043】
搬送部材変形防止装置370は、搬送装置270の前端部における搬送部材の変形を防止するためのものである。搬送部材変形防止装置370は、搬送駆動ケース補強部材371、張出支持部材372、回動機構373(支持軸374、軸受375、支持ローラ376、固定カラー377)によって構成される。
【0044】
搬送駆動ケース補強部材371は、搬送駆動ケース171・171の左右方向の強度を確保するとともに、搬送部材変形防止装置370全体を支持するための部材である。搬送駆動ケース補強部材371は、パイプ等の棒材によって構成され、搬送駆動ケース171・171の前端より所定間隔をあけて、搬送駆動ケース171・171間に取付部材371a・371aを介して横設される。
【0045】
張出支持部材372・372は、回動機構373を所定位置で支持するための部材である。張出支持部材372は、前後方向を長手とする矩形の板状の部材によって構成される。張出支持部材372・372の後端部は、搬送駆動ケース補強部材371の左右中央に所定間隔をあけて左右一対となるように固設される。張出支持部材372・372は、略平行に前方へと延設され、その前端部は側面視において従動スプロケット273・273の中心と略同じとなるように配置される。
張出支持部材372の前端部には、ボルト等を貫装するための貫装孔372aが形成される。
【0046】
回動機構373は、搬送チェーン275・275により従動スプロケット273・273の回りに送られてきた第一搬送部材276・276・・・を当該第一搬送部材276・276・・・の左右略中央部で支持するためのものである。回動機構373は、主として、支持軸374、軸受375、支持ローラ376、固定カラー377、ボルト378、およびナット379によって構成される。
【0047】
支持軸374は、回動機構373を支持するための部材である。支持軸374は、左右方向にボルト378を貫装するための貫装孔374aが形成された略筒状の部材で構成される。支持軸374の貫装孔374aは、前記張出支持部材372の貫装孔372aと一致するように配置される。
【0048】
軸受375は、支持軸374に対して回動自在に支持ローラ376を支持するための部材である。軸受375は本実施形態ではボールベアリングにより構成されている。
【0049】
支持ローラ376は、その外周で第一搬送部材276・276・276の左右中央を支持するための部材である。支持ローラ376は、左右方向に開孔する筒状に形成される。支持ローラ376の左右幅は、張出支持部材372・372間の距離よりも若干短くなるように形成される。支持ローラ376の内周の左右中央部は、軸受375の外輪375bに固設される。つまり、支持ローラ376は、軸受375を介して支持軸374に外嵌され、支持軸374に対して回動可能に配置される。
尚、本実施形態においては、搬送装置270の第一搬送部材276・・・および第二搬送部材277・・・が第一搬送部材276に取り付けられている為、第一搬送部材276の支持を主としているが、第二搬送部材277・・・が直接搬送チェーン275・275に取り付けられている場合は、第一搬送部材276および第二搬送部材277を支持する部材となり、また支持できる形状に構成される。
【0050】
固定カラー377・377は、軸受375の左右両側を覆うための部材であって、左右対称の二つの環状板によって構成される。固定カラー377・377は、支持ローラ376と干渉せぬように支持ローラ376の左右両側の軸心側で支持軸374に外嵌される。
【0051】
回動機構373は、張出支持部材372の貫装孔372a・372aと支持軸374の貫装孔374aとを側面視において一致させた状態で、それら貫装孔372a・372a・374aにボルト378を螺設してナット379等で締結することで、張出支持部材372に回動可能に取り付けられる。
【0052】
搬送部材変形防止装置370は、搬送装置270前端部における第一搬送部材276・276・・・を左右略中央部で支持することができる。このように構成することにより、作業時に搬送装置270の前端部が畝に突っ込んだ場合であっても、第一搬送部材276・276・・・の左右略中央部は回動機構373により支持されるため、搬送部材変形防止装置370により第一搬送部材276・276・・・の変形を防止することが可能である。
さらに、搬送部材変形防止装置370は、第一搬送部材276・276・・・の左右略中央部で形成される隙間を埋めることができ、強度が最も小さい左右略中央部への石等の噛み込みを防止することができる。
【0053】
本実施形態のように、第一搬送部材276・276・・・は、それらの左右略中央部を支持ローラ376によって支持されるため、当該部分が平畝の中央部に深く突っ込んでも屈曲・変形し難くなるのである。
【0054】
また、本実施形態の野菜収穫機1は、過剰な負荷が駆動スプロケット271および駆動軸272にかかると、それらを連結するための安全ピンが破損して、駆動スプロケット271および駆動軸272の破損を回避するように構成される。そのため、搬送部材変形防止装置370が第一搬送部材276の変形を防止することで、その変形によりチェーンが回動できなくなって動力伝達機構に過剰な負荷がかかることを回避し、この結果、安全ピンの破損を防止し、ひいては、収穫作業を連続的に行うことを可能としている。加えて、搬送部材変形防止装置370の一部である搬送駆動ケース補強部材371は、搬送駆動ケース171・171の左右方向の強度を増すことができる。
【0055】
搬送チェーン275・275は、長期の使用によって全長が伸び、駆動スプロケット271と従動スプロケット273間が下方に垂れ、適切な張力を保つことが困難となる。そのため、搬送部材変形防止装置370は、その前端部である回動機構373を搬送装置270の前方向へ移動可能に構成することで、搬送チェーン275・275が適切な張力を保つことができる。具体的には、搬送部材変形防止装置370の取付部材371a・371aにその長手方向を搬送方向と平行となる長穴を形成し、搬送チェーン275・275の張力が適切となる位置でボルト等によって締結することによって可能となる。
【0056】
図1から図3に示すように、選別作業部19は、搬送装置270の前後中途部の左右一側または両側に配設され、搬送装置270の搬送面上の葉、ツルまたは傷物等の不要物を補助作業者(選別作業者)により搬送装置270から取り除くための部位である。
選別作業部19は、主としてステップ191、座席192、支持フレーム193を備える。
【0057】
ステップ191は、選別作業者が座席192に乗り入れるための部位である。ステップ191は、前後方向を長手とする板上の部材であって、機体フレーム12の側部に支持部材を介して取り付けられる。
【0058】
座席192は、ステップ191の上面の前部、または、前後中央部、または、後部の任意の位置に固定可能に配置され、不要物の除去をするための選別作業者が着座するためのものである。
【0059】
支持フレーム193は、座席192に着座した選別作業者が搬送装置270内に入り込まないようにガードするものである。
【0060】
また、選別作業者は、座席192・192に着座しながら、支持フレーム193を握ることで体を支えて、または、支持フレーム193・193にもたれることで、搬送装置270の搬送面を搬送される不良の甘藷S、茎葉、またはつる等の不要物の除去作業が容易に行えるようにしている。
【0061】
図1、図2および図4に示すように、野菜収容部18は、搬送装置270から搬送される甘藷Sを収穫袋55に収容するための部位である。本実施形態においては、収容する容器を収穫袋55としているが、野菜収容部18にコンテナ等の容器を載置して野菜を収容する構成としてもよい。
野菜収容部18は、主として、コンテナ掛81、受台装置82、ガイド装置83、受台保持装置84、開口保持装置85、誘導装置86、切換装置87によって構成される。
【0062】
コンテナ掛81は、コンテナ50を保持し、当該コンテナ50内に空の収穫袋55・55・・・を収容して待機させるためのものである。コンテナ掛81は、機体後部の左右両側にそれぞれ配置される。
【0063】
受台装置82は、甘藷Sを収容する収穫袋55を載置するための装置である。受台装置82は、主として板状の部材によって構成され、機体フレーム12の右側後方に板面が略水平となるように配置される。受台装置82は、機体フレーム12に回動自在に支持される。
【0064】
ガイド装置83は、受台装置82に載置(セット)された収穫袋55の前側面をもたれさせてガイドし、収穫袋55を前方へ傾けた斜めの状態で載置できるようにするためのものである。ガイド装置83は、受台装置82の載置面に対して所定角度を有すように受台装置82の前後中央部に起立するように配置される。収穫袋55を傾斜させて受台装置82に載置することで、野菜収納状態を安定させることができるとともに、収穫袋55の上開口部の高さを低くして、収穫袋55を長く伸ばした状態として収納量を多くすることができる。
【0065】
受台保持装置84は、受台装置82の板面を略鉛直状態とする「収納位置」に保持するための装置である。
受台保持装置84は、受台装置82の板面が略鉛直状態であるその姿勢を、受台装置82の右側部に設けた受部材45に、その前方の機体フレーム12に回動自在に取り付けられた係止部材41の開放端が係合することによって保持される。
【0066】
開口保持装置85は、受台装置82に載置された収穫袋55の上開口部側の上端を挟持して収穫袋55が開口した状態を保持するための装置である。開口保持装置85は、搬送装置270の下後部付近の機体フレーム123から受台装置82の前後中央部上方まで延設され、機体フレーム123側を中心として回動可能に支持される。開口保持装置85は、収穫袋55の左右の上開口を挟持できるように所定間隔をあけて四箇所配置される。
【0067】
誘導装置86は、搬送装置270から搬送される甘藷Sが収穫袋55内に落下し易くするためのものである。誘導装置86は、搬送装置270の最後端の下方に配置される。
【0068】
切換装置87は、受台装置82にセットされた収穫袋55・55の内、甘藷Sを収容したい側の収穫袋55へ誘導したり、切換装置87よりも後方に甘藷Sが落下して収穫袋55外に落下することを防止したりするための装置である。切換装置87は、一方の収穫袋55の開口部をその上方で閉塞可能とし、切換回動軸71を中心として左右方向に回動することで他方の収穫袋55の開口部の上方を閉塞可能とする。さらに、切換回動軸71と支持板75の上端の高低差によって、閉塞側の収穫袋55に落下しようとする甘藷Sを受けて、非閉塞側の収穫袋55へと落下させることが可能である。
【0069】
前記構成によって、予め、受台保持装置84を解除することによって、受台装置82およびガイド装置83を「作業位置」に配置させる。
この「作業位置」(図1参照)において、収穫袋55・55は、受台装置82上に載置される。受台装置82上の収穫袋55・55は、それらの前側面をガイド装置83によってガイドされるとともに、それらの開口部を開口保持装置85によって保持される。
甘藷Sは、野菜収穫機1が走行する際に搬送装置270によってその後方へと搬送される。
搬送装置270より搬送された甘藷Sは、搬送装置270の後端部より誘導装置86へと誘導される。さらに、誘導された甘藷Sは、直接収穫袋55内へと誘導されるか、または、切換装置87を介して収穫袋55内へと誘導される。従って、甘藷Sは、一方の収穫袋55内へと収容される。これにより、甘藷Sの収穫袋55への収容作業は、連続して可能となる。
【0070】
以下に、本実施形態にかかる転落防止部20の構成および動作を図8から図16を用いて説明する。
【0071】
以下において、転落防止部20の構成について説明する。
転落防止部20は、一旦野菜搬送部17の搬送装置270の搬送面にまで搬送した甘藷Sが、搬送面から掻き込み装置163方向へと転がり落ちることを防止するためのものである。本実施形態の転落防止部20は、第一転落防止装置21および第二転落防止装置22の二つの転落防止装置を設置することで構成される。
尚、転落防止部20は、本実施形態において二つの転落防止装置21・22によって構成されているが、一つまたは三つ以上の転落防止装置を配置する構成であってもよい。
【0072】
以下において説明を容易とするため、第一転落防止装置21を用いて転落防止装置の基本構造を説明し、第二転落防止装置22については、第一転落防止装置21との違いのみの説明をすることとする。
【0073】
図1から図3及び図8から図10に示すように、第一転落防止装置21は、搬送面の前後中央部まで搬送された甘藷Sが掻き込み装置163側へと転落することを防止するための装置であって、野菜搬送部17の前後中途部に配置される。第一転落防止装置21は、主として、支持フレーム23、蝶番24、および転落防止部材25・25とによって構成される。
【0074】
支持フレーム23は、転落防止部材25を支えるための部材である。支持フレーム23は、柱部材231・231、梁部材232、補助取付部材233によって構成される。
【0075】
柱部材231は、支持フレーム23全体を搬送駆動ケース171に固定するための部材であって、金属板等の板材を適宜折り曲げることによって形成される。柱部材231・231は、支持フレーム23上に左右一対となるように配置される。柱部材231は、正面視略L字状に折り曲げて、搬送駆動ケース171の上面に対して平行な水平部231aと、当該水平部231aの機体内側端部から上方に向って延設される垂直部231bとを有する。
柱部材231の水平部231aは搬送駆動ケース171の上面にボルト等によって固定される。
【0076】
梁部材232は、転落防止部材25を支持するための部分であって、左右方向を長手とするパイプ等の棒材によって構成される。梁部材232は、その両端が柱部材231・231に溶接等で固定される。
よって、梁部材232は、柱部材231・231間上部に横設され、それら全体が正面視において略門状に形成される。
【0077】
補助取付部材233は、梁部材232に転落防止部材25を取り付け易くするための部分であって、左右方向の長さを柱部材231・231間と略同じ長さとする板状の部材によって構成される。補助取付部材233は、側面視において搬送面に略垂直となるように溶接等によって固設される。
【0078】
蝶番24は、後述する転落防止部材25を支持フレーム23に回動自在に取り付けるための部材である。蝶番24は、一般的な平型蝶番や平行型蝶番等の蝶番で構成される。詳述すると、蝶番24は、回動軸241と、第一蝶番片242と、第二蝶番片243とを有する。
第一蝶番片242が補助取付部材233に固定されて、蝶番24は支持フレーム23に取り付けられる。
【0079】
転落防止部材25は、搬送面上を野菜掻き込み部16方向(前下方)に転がる甘藷Sを受け止めることで、甘藷Sが転落することを防止するための部材である。転落防止部材25は、合成樹脂やゴム等の弾性部材(軟質材料)で略四角形の板状に形成され、上辺に前記蝶番24へのボルト孔等で構成した取付部が形成されている。
【0080】
前記転落防止部材25の上辺には、その上部を補強するための補強部材251が貼設されている。当該補強部材251は帯板状で転落防止部材25の取付部に過剰な負荷がかからないようにしている。転落防止部材25と補強部材251は蝶番24に一体的に固定される。
【0081】
こうして、転落防止部材25・25は、蝶番24・・・を介して、支持フレーム23に、左右方向に並列に配置される。また、これら隣り合う転落防止部材25・25は、それぞれその動作が干渉することがないように所定間隔をあけて配置され、搬送駆動ケース171内側に配置した搬送ガイド278・278に対しても所定間隔をあけて配置される。転落防止部材25は、蝶番24・24を介して支持フレーム23に前後揺動自在に下方に垂れて支持される。
【0082】
また、転落防止部材25は、野菜搬送部17の搬送面に当接する長さに形成される。つまり、転落防止部材25の下端部は、鉛直に垂らした状態で搬送装置270の第一搬送部材276および第二搬送部材277に当接するように設定される。こうして、搬送時に転落防止部材25の下端部が前方へ回動することがなく、転落防止部材25と第一搬送部材276または第二搬送部材277の間から野菜が前下方へ落下することがないのである。
【0083】
尚、転落防止部材25は、透明なシリコン等の板材で構成することで、選別作業部19で作業する作業者の搬送装置270の搬送面に対する視界を遮ることなく、搬送される不用なツルまたは草などを除去しやすくなるようにすることもできる。転落防止部材25は、それに換えて、図11の(a)および(b)に示すように、甘藷(野菜)Sが貫通しない程度の大きさの開孔部を複数有する転落防止部材26・27としたり、また図11の(c)に示すように、網等で構成した転落防止部材28としたり、図11の(d)に示すように、下方から延設されるスリットを所定間隔毎に設けた、または一枚の板状の部材に替えて棒状または細い板状の部材を簾状に配置した転落防止部材29としたりしてもよい。
【0084】
図8および図12に示すように、第二転落防止装置22は、搬送面の後部の甘藷Sが掻き込み装置163方向(第一転落防止装置21側)へと転落することを防止するための装置であって、第一転落防止装置21の後方に所定間隔をあけて配置される。第二転落防止装置22の設置箇所は、搬送面の左右幅が徐々に狭くなる箇所に設置されるため、第一転落防止装置21よりも左右幅が短くなるように設定される。つまり、第二転落防止装置22の支持フレーム230の梁部材2302および補助取付部材2303、並びに転落防止部材250は、第一転落防止装置21のそれらよりも左右幅が短く設定される。さらに、第二転落防止装置22は、蝶番24の取付位置および補助取付部材2303の貫装孔2303a・2303a・2303a・2303aの位置がそれに合わせて、所定間隔が短く設定される。
【0085】
次に、転落防止部20の転落防止装置21・22の動作について、甘藷Sがそれらを通過する「甘藷通過状態」、および甘藷Sがそれらによって受け止められる「甘藷転落防止状態」を中心に説明する。第一転落防止装置21と第二転落防止装置22とは、同様の動作を行うため、第一転落防止装置21を用いて説明する。
【0086】
「甘藷通過状態」は、図14に示すように、搬送装置270の搬送面に保持されている甘藷Sが転落防止部20の下方を通過する状態を示す。
野菜掻き込み部16によって掻き込まれた甘藷Sは、野菜搬送部17の搬送装置270の搬送面に保持される。詳しくは、図13に示すように、甘藷Sのうち比較的小さいものは第一搬送部材276・276間に挟持され、比較的大きいものは第一搬送部材276および第二搬送部材277に挟持または当接することで保持される。
【0087】
第一搬送部材276・276に保持されている甘藷Sは、転落防止部20の第一転落防止装置21を通過する。この際、図14に示すように、搬送装置270の後方へ移動中の甘藷Sは、第一転落防止装置21の転落防止部材25の前面と接触する。甘藷Sは、搬送装置270によって、さらにその上後方へと搬送されるため、転落防止部材25を上後方へと押上げる。つまり、転落防止部材25は、蝶番24の回動軸241を中心として上後方へと回動する。
【0088】
さらに、甘藷Sが後方へと移動することによって、転落防止部材25は、甘藷Sによってその前面を押上げられた状態から開放される。それに伴い、図15に示すように、転落防止部材25は、その自重によって、蝶番24の回動軸241を中心として下前方へと回動する(図中太矢印参照)。そして、転落防止部材25の下端部は、第一搬送部材276または第二搬送部材277の後部に当接する。ただし、多くの甘藷Sが搬送面に搬送されていた場合、第一搬送部材276・276、第二搬送部材277に当接することなく、新たに搬送される甘藷Sに当接することとなる。
【0089】
第一転落防止装置21は、支持フレーム23に対して、複数の転落防止部材25・25が並列に配置されている。そのため、甘藷Sがどちらか左右一方の転落防止部材25側に偏って搬送されてきた場合、転落防止部材25・25が一体的に形成されている場合には全体が上方に持ち上げられて、少ない側の野菜が転落防止部材25と第一搬送部材276または第二搬送部材277の間から前下方へ落下する可能性があるが、左右方向で複数に分割することで、転落防止部材25の下端は野菜または第一搬送部材276または第二搬送部材277に当接することになるので、野菜が通過する隙間ができ難くなり、落下を防止することができる。
【0090】
第一転落防止装置21を通過した甘藷Sは、第二転落防止装置22においても、第一転落防止装置21と同様の動作を行い後方へと甘藷Sを移動させる。第一転落防止装置21および第二転落防止装置22を通過した甘藷Sは、搬送装置270の後方の野菜収容部18に配置された収穫袋55へと落下して収容される。
【0091】
次に、搬送装置270の搬送面を転落する甘藷Sを第一転落防止装置21によって受け止める「甘藷転落防止状態」について図16を参照して説明する。
【0092】
搬送中の甘藷Sは、搬送装置270の傾斜角度、野菜収穫機1の走行や甘藷Sに付着した土等を落とすための振動装置(図示省略)による振動等によって、搬送装置270の前下方へと転落する場合がある。
【0093】
転落防止部材25は、第一転落防止装置21よりも前方へと転落しようとする甘藷Sを転落防止部材25の後面に当接させることによって受け止める。
その際、転落防止部材25の下端部は、第一搬送部材276・276、第一搬送部材276と第二搬送部材277、または甘藷Sに当接することによって支持される。そのため、転落防止部材25は、その下前方へと回動することなく、転落防止部材25の上方から転落する甘藷Sを転落防止部材25の後面で接触させる。
転落防止部材25は、ゴム等の軟質材料によって構成されているため、甘藷Sとの接触による衝撃を吸収し、甘藷Sの下前方向の動き(図中太矢印参照)を制止させる。甘藷Sは転落防止部材25よって、衝撃を吸収されるため、傷がつきにくい。
【0094】
転落防止部材25によって下前方向の転落が阻止させられた甘藷Sは、前方から後方へと移動する搬送部材276・276・277によって形成される凹部27a内に入り込み、再度、搬送部材276・276・277によって保持されながら、搬送装置270の後方へと搬送される。
従って、第一転落防止装置21および第二転落防止装置22によって、甘藷Sは搬送装置270の後方へと搬送することが可能となる。
【0095】
第二転落防止装置22も第一転落防止装置21と同様の動きを行い、第二転落防止装置22よりも前方へと転落しようとする甘藷Sを転落防止部材250の後面に当接させることによって受け止める。
【0096】
以上の如く、本実施形態の野菜収穫機1は、機体を進行させながら甘藷(野菜)Sを収穫する野菜収穫機1であって、前記機体の下部に配置されて畝上の野菜Sを掻き込む野菜掻き込み部16と、前記野菜掻き込み部16から上方に傾斜して延び、野菜Sを当該野菜掻き込み部16から上後方へ搬送する野菜搬送部17と、を備え、前記野菜搬送部17は、搬送面に野菜Sが入り込む凹部27a・27bを有し、当該搬送面の搬送方向中途部に、前記搬送面上を搬送方向と反対方向に転がる野菜Sを受け止める転落防止部20を配置し、当該転落防止部20は、前記野菜搬送部17の上方で搬送方向と交差する方向に横架される支持フレーム23と、前記支持フレーム23に前後揺動自在に下方に垂れて支持される転落防止部材25とを有する転落防止装置21で構成されるものである。
【0097】
このように構成することにより、搬送中の野菜Sが、振動等によって搬送面の凹部27a・27bから出て搬送方向と反対方向に転がっても、即ち、下流側から上流側へ転落しても、その搬送面途中に配置した転落防止装置21・22により受け止められることになる。したがって、転落による野菜Sの損傷を防ぐことができるとともに、搬送中の野菜Sが転がり落ちて前端の掻き込み装置163にまで至って、野菜Sが滞留するようなことがなくなり、野菜Sを効率よく収穫することができる。
転落防止部材25・250が揺動自在に支持されているため、搬送装置270による野菜Sの搬送が転落防止部材25・250によって妨げられにくくなり、搬送装置270の搬送面上の野菜Sを搬送後端へと搬送することができる。
【0098】
本実施形態の野菜収穫機1において、前記転落防止部材25・250は、前記支持フレーム23・230と前記野菜搬送部17の搬送面との間の距離よりも長く構成されるものである。
【0099】
このように構成することにより、転落防止部材25・250の下端が搬送装置270の搬送面に当接するため、搬送面が転落防止部材25・250のストッパー(下方側への回り過ぎの規制)の役割を果たし、ストッパーを用いることなく、転落防止部材25・250の下端は支持される。つまり、転落防止部材25・250は、搬送面の当接部分よりも前方へ回動することがなく、簡単な構成で野菜Sを搬送方向と同一方向へ移動させることができるとともに、逆方向へ転がる野菜Sを確実に受け止めることができる。
【0100】
本実施形態の野菜収穫機1においては、前記転落防止部材25・250は、前記支持フレーム23・230に複数支持され、前記複数の転落防止部材25・25・250・250は、搬送方向と直交する方向に並列に配置されるものである。
【0101】
このように構成することにより、搬送方向と直交する方向に複数並列に転落防止部材25・250が配置されているため、野菜Sが搬送方向と直交する方向の一方側に偏って搬送された場合に、一方側のみ持ち上げられるため、他方側が浮いてその間から野菜Sが落下することがなく、搬送される野菜Sが転落防止部材25・250に妨げられることなく無理なく通過することができるとともに、搬送方向と反対方向へと転がる野菜Sを受け止めることができる。
【0102】
本実施形態の野菜収穫機1においては、前記転落防止部材25・250は、軟質材で構成されるものである。
【0103】
このように構成することにより、転落防止部材25・250を軟質材で構成しているため、転落してきた野菜Sの勢いを軽減させることができ、野菜Sを傷つけることなく受け止めることができる。
【符号の説明】
【0104】
1 野菜収穫機
16 野菜掻き込み部
17 野菜搬送部
20 転落防止部
21 第一転落防止装置
22 第二転落防止装置
23 支持フレーム
230 支持フレーム
25 転落防止部材
250 転落防止部材
163 掻き込み装置
270 搬送装置
S 甘藷(野菜)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体を進行させながら野菜を収穫する野菜収穫機であって、
前記機体の下部に配置されて畝上の野菜を掻き込む野菜掻き込み部と、
前記野菜掻き込み部から上方に傾斜して延び、野菜を当該野菜掻き込み部から上後方へ搬送する野菜搬送部と、を備え、
前記野菜搬送部は、搬送面に野菜が入り込む凹部を有し、
当該搬送面の搬送方向中途部に、前記搬送面上を搬送方向と反対方向に転がる野菜を受け止める転落防止部を配置し、
当該転落防止部は、
前記野菜搬送部の上方で搬送方向と交差する方向に横架される支持フレームと、
前記支持フレームに前後揺動自在に下方に垂れて支持される転落防止部材とを有する転落防止装置で構成される、
ことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項2】
前記転落防止部材は、前記支持フレームと前記野菜搬送部の搬送面との間の距離よりも長く構成されることを特徴とする請求項1に記載の野菜収穫機。
【請求項3】
前記転落防止部材は、前記支持フレームに複数支持され、
前記複数の転落防止部材は、搬送方向と直交する方向に並列に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の野菜収穫機。
【請求項4】
前記転落防止部材は、軟質材で構成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の野菜収穫機。
【請求項1】
機体を進行させながら野菜を収穫する野菜収穫機であって、
前記機体の下部に配置されて畝上の野菜を掻き込む野菜掻き込み部と、
前記野菜掻き込み部から上方に傾斜して延び、野菜を当該野菜掻き込み部から上後方へ搬送する野菜搬送部と、を備え、
前記野菜搬送部は、搬送面に野菜が入り込む凹部を有し、
当該搬送面の搬送方向中途部に、前記搬送面上を搬送方向と反対方向に転がる野菜を受け止める転落防止部を配置し、
当該転落防止部は、
前記野菜搬送部の上方で搬送方向と交差する方向に横架される支持フレームと、
前記支持フレームに前後揺動自在に下方に垂れて支持される転落防止部材とを有する転落防止装置で構成される、
ことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項2】
前記転落防止部材は、前記支持フレームと前記野菜搬送部の搬送面との間の距離よりも長く構成されることを特徴とする請求項1に記載の野菜収穫機。
【請求項3】
前記転落防止部材は、前記支持フレームに複数支持され、
前記複数の転落防止部材は、搬送方向と直交する方向に並列に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の野菜収穫機。
【請求項4】
前記転落防止部材は、軟質材で構成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の野菜収穫機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−193813(P2011−193813A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64970(P2010−64970)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(391025914)八鹿鉄工株式会社 (131)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(391025914)八鹿鉄工株式会社 (131)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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