説明

金属ベース回路用基板の製造方法及び金属ベース回路用基板

【課題】放熱性に優れた金属ベース回路用基板の製造方法及び前記方法によって得られる金属ベース回路用基板を提供する。
【解決手段】無機フィラーとエポキシ樹脂とエポキシ樹脂の硬化剤とを含み、Bステージ状態にある接着シートを金属基板と金属箔との間に配置し、Cステージ状態まで硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱性に優れ、更に耐電性にも優れる金属ベース回路用基板の製造方法及び前記方法によって得られる金属ベース回路用基板に関する。更に本発明は、前記回路用基板を用いた金属ベース回路基板の製造方法及び前記方法によって得られる金属ベース回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子等の電子部品を組み込んだ装置に対して、高密度実装化及び高性能化が要求されている。これらの要求に伴う電子部品の小型化、ハイパワー化により、狭いスペースの中で、電子部品から発生した熱を如何に放熱するかといったことが問題となっている。この放熱問題に対しては、種々のアプローチが存在している。
【0003】
例えば、金属ベース回路用基板の製造において、エポキシ樹脂、ポリカルボジイミド樹脂及びブタジエン−アクリロニトリル共重合ゴムを含有してなるBステージ状態(半硬化状態)のプリプレグを使用することが知られている(特許文献1)。
【0004】
また、熱伝導性物質を含むシリコーン樹脂の硬化物及び補強材からなる放熱シートが知られている(特許文献2)。この放熱シートは、発熱する電子部品とヒートシンクとの間に配置され、両者の密着性を高めることにより、上記の放熱問題を解決しようとするものである。
【0005】
更に、サーマルビアを設けることを特徴とする、放熱性の向上した金属ベース回路用基板の製造法が知られている(特許文献3及び特許文献4)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−123043号公報
【特許文献2】特開平7−14950号公報
【特許文献3】特許第3217381号公報
【特許文献4】特開2001−94255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のプリプレグは、Bステージ状態における可とう性(応力緩和性)に優れるため、室温下で改善されたハンドリング性を有する。しかし、このプリプレグの放熱性は、発熱の大きい回路には十分ではないという課題がある。
特許文献2の放熱シートは、発熱する電子部品とヒートシンクとの密着性を高めて当該電子部品の放熱性を改善することができる。しかし、加熱しても接着性が発現しないため、金属ベース回路用基板分野では使用できないという課題がある。
特許文献3の製造方法は、バイアホールを用いる製造方法と比べれば生産性は優れるものの、依然として工程が複雑であり、生産性も満足のできるものではないという課題がある。
特許文献4の製造方法は、特許文献3の製造方法と比べて生産性は改善されるものの、得られた回路の放熱性が十分ではないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、金属ベース回路用基板の放熱性及び生産性について鋭意検討を重ねたところ、無機フィラーを含みかつ所定の硬化状態にあるエポキシ樹脂接着シートを絶縁層として用いることにより、製造時の作業性が改善され、更に得られた回路用基板が放熱性に優れることを見いだした。本発明はこの知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、
1.金属ベース回路用基板の製造方法であって、
(1)金属基板の上に、Bステージ状態の接着シートを配置する工程、
(2)金属基板上に配置された接着シートの上に、更に金属箔を配置する工程、及び、
(3)金属基板と接着シートと金属箔との積層物を、該接着シートがCステージ状態になるまで加圧下で加熱することにより一体化して、金属ベース回路用基板を形成する工程
を含み、
Bステージ状態の接着シートが、無機フィラーとエポキシ樹脂と該エポキシ樹脂の硬化剤とを含む接着シート形成用組成物から製造され、
Cステージ状態の接着シートの熱伝導率が1.5W/mK以上である
ことを特徴とする方法;
2.Cステージ状態の接着シートの耐電圧が500V以上であることを特徴とする、前記1に記載の金属ベース回路用基板の製造方法;
3.接着シート形成用組成物において、無機フィラーが、エポキシ樹脂と該エポキシ樹脂の硬化剤との合計量100質量部に対して、100〜650質量部配合されていることを特徴とする、前記1又は2に記載の金属ベース回路用基板の製造方法;
4.エポキシ樹脂の硬化剤が、水酸基を有する化合物であることを特徴とする、前記1乃至3のいずれかに記載の金属ベース回路用基板の製造方法;
5.金属基板が、接着シートとの接着面上に、最表面の面積が0.0003mm2以上のビアを1個以上有することを特徴とする、前記1乃至4のいずれかに記載の金属ベース回路用基板の製造方法;
6.金属基板のビアが、化学処理または機械加工により作製されていることを特徴とする、前記5に記載の金属ベース回路用基板の製造方法;
7.金属基板と接着シートと金属箔との積層物の加圧下で加熱を、該金属基板のビアが該接着シートを貫通して、該ビアと金属箔とが導通接続するように行う、前記5又は6に記載の金属ベース回路用基板の製造方法;
8.前記1乃至7のいずれかに記載の製造方法により製造される、金属ベース回路用基板;
9.金属ベース回路基板の製造方法であって、
(1)金属基板の上に、Bステージ状態の接着シートを配置する工程、
(2)金属基板上に配置された接着シートの上に、更に金属箔を配置する工程、及び、
(3)金属基板と接着シートと金属箔との積層物を、該接着シートがCステージ状態になるまで加圧下で加熱することにより一体化して、金属ベース回路用基板を形成する工程
(4)金属ベース回路用基板の金属基板及び/又は金属箔を加工して回路を形成する工程
を含み、
Bステージ状態の接着シートが、無機フィラーとエポキシ樹脂と該エポキシ樹脂の硬化剤とを含む接着シート形成用組成物から製造され、
Cステージ状態の接着シートの熱伝導率が1.5W/mK以上である
ことを特徴とする方法;
10.前記9に記載の製造方法により製造される、金属ベース回路基板;並びに
11.LED用回路基板である、請求項10に記載の金属ベース回路基板
に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、後述する実施例で示されるように、放熱性に優れる金属ベース回路用基板を簡便な工程により得ることができる。更に得られた金属ベース回路用基板は、放熱性だけでなく、耐電圧性にも優れる。したがって、本発明は、放熱性及び耐電圧性に優れる金属ベース回路用基板並びに前記回路用基板からなる金属ベース回路基板を生産性良く提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
金属基板を構成する金属は、アルミニウム、鉄、銅及びこれらの合金である。熱放散性に優れる点でアルミニウム、銅及びこれらの合金が好ましい。
金属基板と接着シートとの密着性を向上させるために、接着シートとの接着面に、脱脂処理、サンドブラスト、エッチング、各種メッキ処理、カップリング剤処理等の表面処理も施してもよい。
【0012】
金属基板の厚さ(後述するビアを設ける場合は、ビアのない平坦部の厚さをいう)は、金属ベース回路用基板の用途に応じて適宜変化しうるものであるが、0.013mm〜4mmが好ましく、0.020mm〜2mmが特に好ましい。0.013mm以上であると、ハンドリング時のしわの発生を防止することができる。なお、上限値に技術的な制限はないが、現状の金属ベース回路用基板の実用的な用途を鑑みると4mm以下であれば十分である。
【0013】
本発明の製造方法によって得られる金属ベース回路用基板は、後述の接着シートを有しているので回路用基板全体としては充分な放熱性を有している。しかし、特定部位における放熱性の更なる向上及び/又は金属基板と金属箔とを局所的に電気的に接続することを目的として、金属基板の接着シートとの接着面側にビアを設けてもよい。
ビアは、金属基板上に1個以上のビアを設けることにより作成することができる。ビアを設ける方法としては、メッキ、エッチング等の化学処理や、エンドミル、フライス盤、レーザー等の機械加工が挙げられる。具体例として下記の作成方法が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、これらの具体的な方法を組み合わせて用いることもできる。
1.金属基板をハーフエッチングする。
2.金属基板又は金属箔にNiメッキを施し、更に銅メッキを接着シートに相当する厚みで設ける。これに金属柱が必要な箇所に保護膜(レジスト)を設け不要部のCuを選択エッチング、更にNiを選択エッチングする(金属箔については、後述の実施例8のように、1つ金属基板の上に複数の接着シートと複数の金属箔が積層している多層構造の回路用基板において、接着シートに挟まれる金属箔にビアを形成する場合)。
3.金属基板をエンドミルで機械加工する。
【0014】
ビアの形状に特に制限はないが、円柱、円錐台形が好ましい。
【0015】
1つのビアの上面の表面積(以下、表面積という)(ビア形状が円柱又は円錐台形の場合、金属基板又は金属箔上に設けられた状態のビアの全表面積から側面積を除いたものをいう)は、0.0003mm2〜300mm2であることが好ましい。0.0003mm2以上であるとサーマルビア(放熱性向上を目的とするビア)として十分な機能を発揮することができ、かつ、接着シートや金属箔を積層する際にビアの形状を維持して十分な信頼性を発揮することができる。300mm2以下であると、ビアと金属箔との接触不良(ビアと金属箔との間における接着シートの残存や、ビア上面と金属箔との接触状態のムラにより生ずる)による放熱に対する信頼性の低下を抑えることができる。
【0016】
1つのビアの高さは、0.05mm〜0.5mmであることが好ましい。より好ましくは0.08mm〜0.4mmである。0.05mm以上であるとビアを介した金属基板と金属箔との十分な電気的接続を達成することができる。0.5mm以下であると、接着シートの厚さを0.5mm以下に設定して十分な放熱性を得ることができる。
【0017】
接着シートは、無機フィラーとエポキシ樹脂と該エポキシ樹脂の硬化剤とを含む接着シート形成用組成物から製造される。
【0018】
無機フィラーとしては、電気絶縁性であり、かつ、熱伝導性に優れるものであれば特に制限なく使用することができる。具体例としては、酸化ケイ素(特に二酸化ケイ素)、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化硼素、酸化マグネシウム、窒化珪素等が挙げられる。
本発明では、単一種類の無機フィラーを単独で用いてもよく、複数種類の無機フィラーを組み合わせて使用してもよい。
【0019】
上述の無機フィラーのいずれもが、金属ベース回路用基板に優れた放熱性をもたらすことができるが、特に高い放熱性が要求される場合は、熱伝導性がより高い窒化アルミウム及び/又は窒化硼素を用いることができる。
高周波で動作する装置に用いられ、高い電気絶縁性が要求される金属ベース回路用基板を製造する場合には、接着シートの誘電率を低く抑えることができる結晶質の二酸化ケイ素及び/又は窒化硼素を用いることが特に好ましい。
熱伝導性と製造コストとのバランスを重視する場合は、酸化アルミニウムと窒化アルミニウムとの組み合わせが好ましい。
【0020】
無機フィラーの粒子形状について、アスペクト比が1に近いもの程好ましいが、5以下であれば十分であり、3以下であると更に好ましい。アスペクト比が5以下であると、接着シート形成用組成物のハンドリング性及び流動性を向上させることができる。無機フィラー粒子のアスペクト比とは、走査型電子顕微鏡による観察より求めた100個以上の無機フィラー粒子についての長径/短径の比の平均値をいう。
【0021】
無機フィラーの平均粒径は、0.1〜200μm、好ましくは0.3〜150μm、特に好ましくは0.6〜100μmである。無機フィラーの平均粒径とは、光散乱法に従い測定された値をいう。200μm以下であると接着シートの薄膜化を容易に行うことができる。0.1μm以上であると無機フィラーの接着シート内への均一な分散を容易に行うことができる。
【0022】
本発明では、大きさの異なる無機フィラー(粗粒子と微粒子)の組み合わせを用いることが好ましい。大きさの異なる無機フィラーを組み合わせると、単一大きさのフィラー(たとえば、破砕粒子や球状粒子)を単独で用いた場合よりも、接着シートへの無機フィラーの充填量を向上させることができる。
大きさの異なるフィラーを組み合わせて用いる場合には、平均粒径が5μm以上の粗粒子粉と平均粒径が5μm未満の微粒子粉との組み合わせを用いることが好ましい。
粗粒子粉と微粒子粉の割合は、無機フィラー全体に対して粗粒子粉が40〜98容積%であることが好ましく、50〜96容積%であることがより好ましい。
【0023】
接着シート形成用組成物における無機フィラーの配合量は、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂の硬化剤との合計量100質量部に対して、100〜650質量部が好ましく、180〜570質量部が一層好ましい。
【0024】
エポキシ樹脂としては、金属ベース回路用基板に用いることができ、かつ、接着シートの硬化体へ電気絶縁性を与えることができるものであれば特に制限なく使用することができる。尚、本明細書におけるエポキシ樹脂とは、後述の硬化剤と反応しうる未反応のエポキシ基を含んだ硬化前のプレポリマーのことをいう。
具体例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラキスフェノールメタン型エポキシ樹脂及びビフェニル型エポキシ樹脂等があげられる。
これらの中では、硬化後の応力緩和性に優れるという理由で、主鎖がポリエーテル骨格を有し直鎖状であるエポキシ樹脂が好ましい。具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物型のエポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型の水素添加エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂(例えば、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ポリテトラメチレングリコール型エポキシ樹脂)及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明では、単一種類のエポキシ樹脂を単独で用いてもよく、複数種類のエポキシ樹脂を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
金属ベース回路用基板に高い耐熱性が求められる場合には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を単独、若しくは他のエポキシ樹脂(例えば、脂肪族エポキシ樹脂)と組み合わせて用いることで電気絶縁性、熱伝導率が共に高く、耐熱性の高い樹脂硬化体が得られることが可能となるので特に好ましい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、エポキシ当量が300以下であることが一層好ましい。エポキシ当量が300以下であると、硬化時の架橋密度の低下によるTg低下(すなわち、耐熱性の低下)を防止することができる。更に、高分子量化して固形状となり、無機フィラーとのブレンドが困難になり、均一な接着シート形成用組成物が得られなくなるという問題も避けることができる。
【0026】
ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、エポキシ当量が1500以下であることが一層好ましい。エポキシ当量が1500以下であると、硬化時の架橋密度の低下によるTg低下(すなわち、耐熱性の低下)を防止することができる。
【0027】
金属ベース回路用基板の製造工程における接着シートのハンドリング性をより向上させたい場合は、脂肪族エポキシ樹脂を単独、若しくは他のエポキシ樹脂(例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂)と組み合わせて用いることが好ましい。
脂肪族エポキシ樹脂としては、低弾性、機械特性、耐熱性、取り扱い等のバランスを考慮して、高級アルコール系グリシジルエーテル型を一般に用いることができる。高級アルコール系グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の構造に特に制限はなく、高級アルコール部は分枝していてもよいが、側鎖を有するアルキレン基またはアルケニレン基を40個以下含む構造がより好ましい。具体例としては、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ポリテトラメチレングリコール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0028】
本発明に用いるエポキシ樹脂は、加水分解性塩素濃度が600ppm以下であることが好ましい。加水分解性塩素濃度が600ppm以下であると、金属ベース回路用基板として充分な耐湿性を示すことができる。
【0029】
上述のエポキシ樹脂はいずれも公知物質であり、市場において容易に入手することができる。
【0030】
エポキシ樹脂の硬化剤としては、上述のエポキシ樹脂を硬化させることのできるものであれば特に制限なく使用することができるが、得られる硬化物の電気特性の点から水酸基を有する化合物が好ましい。具体例としては、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤及びジシアンアミドからなる群から選ばれる1種類以上を用いることができる。
アミン系硬化剤としては、芳香族アミン(メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタン等)、脂環式アミン(イソホロンジアミン等)、脂肪族アミン(ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンメンタミン等)が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、フェノールノボラック系樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂等が挙げられる。
これらの中では、製造段階での半硬化状態(Bステージ状態)の制御の点からフェノールノボラック系樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、ジシアンアミドが好ましい。
【0031】
上述の硬化剤はいずれも公知物質であり、市場において容易に入手することができる。
【0032】
エポキシ樹脂の硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、5〜60質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることが特に好ましい。
【0033】
エポキシ樹脂の硬化を向上させるために、必要に応じて硬化触媒を使用してもよい。
硬化触媒としては、一般にイミダゾール化合物(例えば、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ(1,2−a)ベンズイミダゾール)、有機リン酸化合物(例えば、トリフェニルフォスフィン)、第三級アミン、第四級アンモニウム等が使用され、いずれか1種類以上を選択することができる。
硬化触媒の添加量は、硬化温度に応じて適宜設定することができるが、一般にエポキシ樹脂100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましい。0.01質量部以上であると十分に硬化を得ることができる。5質量部以下であると、接着シートのBステージ状態からCステージ状態への急速な硬化を防止することができる。
【0034】
その他、必要に応じて、カップリング剤等の分散助剤、溶剤等の粘度調整助剤など公知の各種添加剤を添加してもよい。但し、本発明で用いる接着シートには、ガラスクロス等、接着シートの強度を補強するための物質は含まれない。
【0035】
接着シートの代表的な製造方法は下記の通りである。
無機フィラー、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂の硬化剤並びに任意成分(硬化触媒及び/又は各種添加剤)を、公知の混合手段(例えば、万能攪拌機、ハイブリッドミキサー等)により予め混合して接着シート形成用組成物を形成する。得られた組成物を公知のコーティング手段(ダイコーター、コンマコーター、ドクターコーター等)によりライナー上へ所望の厚みでコーティングし、加熱してBステージ状態まで半硬化させ、その後、得られたシートを剥離する。
【0036】
ライナーとしては、コスト及び作業性の理由から、樹脂フィルムが好ましい。樹脂フィルムは、接着シートをBステージ化する際の耐熱性に問題なければ特に制限はなく、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)等を用いることができる。ライナーとしての樹脂フィルムの厚さは、一般的に0.025〜0.5mmである。樹脂フィルムには、剥離性を考慮してシリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはオレフィン樹脂による被覆、サンドブラスト処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施すことが好ましい。
【0037】
Bステージ状態の接着シートを得る温度は、接着シートを構成するエポキシ樹脂、硬化剤や硬化触媒の種類により変化するが、高温であると加熱時間を短縮することができるので好ましい。具体的には、80℃〜200℃で加熱することが好ましい。80℃以上であると、Bステージ状態を得るのに必要な加熱時間を短縮できる。200℃以下であると、Bステージ状態となるまでの硬化速度を適切に制御することができる。
【0038】
接着シートは、上述のように、金属基板へ配置する前に別途ライナー上で製造してもよいが、金属基板上で製造してもよい。すなわち、前述の接着シート形成用組成物を金属基板上に直接塗布し、加熱し、Bステージ状態まで半硬化させて製造してもよい。
【0039】
接着シートの状態を示す用語である「Bステージ状態」とは、接着シートが室温(25℃)では乾いた状態であるが、高温(80℃以上)に加熱すると再び溶融する状態をいう。
具体的には、DSC(示差走査型熱量計)を用いて下記計算式から求められる硬化度が5〜70%、更に好ましくは20〜60%の状態をいう。
【0040】
硬化度(%)=(X−Y)/X×100
X:Bステージ状態化処理(加熱処理)を施していない接着シートサンプルについて、DSCを用いて硬化させた際に生じた熱量。
Y:Bステージ状態化処理を施した接着シートサンプルについて、DSCを用いて硬化させた際に測定された熱量。
尚、上述のX及びYにおいて「硬化させた」状態は、得られたDSC曲線のピークから特定できる。
【0041】
Bステージ状態の接着シートは、その上に金属箔を配置する際の位置決めを容易ならしめるのに適切な粘着性を有する。したがって、Bステージ状態の接着シートの使用は、金属ベース回路用基板製造における作業性を格段に向上させることができる。
【0042】
「Cステージ状態」とは、接着シートの硬化がほぼ終了しており、高温に加熱しても再度溶融することはない状態をいう。具体的には、「Bステージ状態」の欄で述べた硬化度が70%を超えている状態をいう。尚、Cステージ状態を確認する際、上述の硬化度の計算式における「X」及び「Y」はそれぞれ以下の通りとなる。
X:Bステージ状態化処理(加熱処理)及びCステージ状態化処理(後述の工程(3))を施していない接着シートサンプルについて、DSCを用いて硬化させた際に生じた熱量。
Y:Bステージ状態化処理及びCステージ状態化処理を施した接着シートサンプルについて、DSCを用いて硬化させた際に測定された熱量。
尚、上述のX及びYにおいて「硬化させた」状態は、得られたDSC曲線のピークから特定できる。
【0043】
接着シートの厚さは、金属ベース回路用基板を構成する金属基板及び金属箔の種類等に応じて適宜変化しうるものであるが、0.05mm〜0.5mmであることが好ましい。より好ましくは0.05mm〜0.4mmである。0.05mm以上であると、金属ベース回路用基板における金属基板と金属箔との間の電気絶縁性及び当該基板の放熱性を確保できる。0.5mm以下であると、接着シートの製造を容易に行うことができる。
【0044】
本発明に使用する金属箔を構成する金属は、前述の金属基板と同様、アルミニウム、鉄、銅及びこれらの合金である。熱放散性に優れる点でアルミニウム、銅及びこれらの合金が好ましい。
【0045】
金属箔の厚さは、金属ベース回路用基板の用途に応じて適宜変化しうるものであるが、0.013mm〜0.4mmが好ましく、0.020mm〜0.20mmが特に好ましい。0.013mm以上であると、ハンドリング時のしわの発生を防止することができる。なお、上限値に技術的な制限はないが、現状の金属ベース回路用基板の実用的な用途を鑑みると回路を形成する層としては0.4mm以下であれば十分である。
【0046】
本発明の金属ベース回路用基板は下記の工程により製造される:
(1)金属基板の上に、Bステージ状態の接着シートを配置する工程、
(2)金属基板上に配置された接着シートの上に、更に金属箔を配置する工程、及び、
(3)金属基板と接着シートと金属箔との積層物を、該接着シートがCステージ状態になるまで加圧下で加熱することにより一体化して、金属ベース回路用基板を形成する工程。
【0047】
工程(1)では、金属基板の上にBステージ状態の接着シートを配置する。
ここでいう「配置」には、金属基板へ配置する前に別途製造した接着シートを金属基板上へ置くことだけでなく、接着シート形成用組成物を金属基板上へ直接塗布し、加熱して、金属基板上に接着シートを直接形成することを含む。
金属基板上に接着シートを配置する際には、金属基板と接着シートとの密着性を高めるため、金属基板を予め脱脂処理しておくことが好ましい。
【0048】
工程(2)では、工程(1)で得た「金属基板と接着シートとの積層物」の接着シートの上に、更に金属箔を配置する。
【0049】
工程(3)では、工程(2)で得た「金属基板と接着シートと金属箔との積層物(金属基板−接着シート−金属箔)」を、接着シートがCステージ状態になるまで硬化させることにより一体化して、金属ベース回路用基板を形成する。接着シートのCステージ状態への硬化は、積層物を加圧下で加熱することにより達成することができる。
加熱温度は、接着シートをBステージ状態からCステージ状態へと硬化させることができる温度であれば特に制限されないが、100℃〜250℃であることが好ましい。100℃以上であると、積層物の一体化に必要な接着シートの硬化時間を短縮(例えば、5時間未満)し、生産性を向上させることができる。150℃以上であると、硬化時間を更に短縮できるので特に好ましい。加熱温度が250℃以下であると、加熱による接着シート(エポキシ樹脂)の劣化を防ぐことができる。
加熱時の圧力は、接着シートと金属基板及び金属箔との密着性を高めることができる大きさであれば特に制限されないが、5kgf/cm2〜50kgf/cm2であることが好ましい。10kgf/cm2〜40kgf/cm2であることが特に好ましい。5kgf/cm2以上であると、十分な接着性が得られる。50kgf/cm2以下であると接着シートの厚みを均一なものとすることができる。
加熱により、接着シートはBステージ状態からCステージ状態へと硬化する。その際、加圧により接着シートと金属基板及び金属箔とは密着しているので、接着シートと金属基板及び金属箔との強固な接着が起こり「金属基板と接着シートと金属箔との積層物」の一体化が達成される。
【0050】
金属基板又は金属箔上にビアを設けている場合、上述の圧力範囲内で加圧することにより、ビアで接着シートを貫通させて、ビアを介した金属基板と金属箔との導通接続を作成することが放熱性の向上や導通回路形成による回路設計の自由度向上の点で好ましい。
【0051】
上記の製造方法は、1つの金属基板上に1つの接着シートと1つの金属箔とを配置してなる構造を有する金属ベース回路用基板の製造方法に関するものである。
本発明の金属ベース回路用基板は上述の構造だけでなく、1つ金属基板の上に複数の接着シートと複数の金属箔が積層している多層構造であってもよい。接着シートと金属箔との多層構造は、工程(2)と工程(3)との間に行う下記工程により作成することができる:
(2−2)工程(2)で得られた積層物の金属箔の上に更に接着シートを配置する工程、及び
(2−3)工程(2−2)で配置した接着シートの上に更に金属箔を配置する工程。
工程(2−2)及び(2−3)を繰り返して、接着シートと金属箔との更なる多層化を達成してもよい。
接着シートと金属箔を多層化する工程の間に後述の回路形成法を用いて、接着シートで挟まれた金属箔に回路を形成してもよい。
【0052】
本発明の製造方法により得られた金属ベース回路用基板において、接着シートはCステージ状態へと硬化している。このCステージ状態の接着シートは1.5W/mK以上、好ましくは2.0W/mK以上の熱伝導率を有している。熱伝導率はレーザーフラッシュ法によりJIS-R-1611に従い測定することができる。
1.5W/mK以上の熱伝導率を有する接着シートは、金属ベース回路用基板に熱放散路として機能することができる。このような本発明の金属ベース回路用基板へ半導体素子等の電子部品を組み込んでなる装置は、動作させた際に電子部品から生じる熱を効率的に放熱し当該電子部品の過熱を防止できるので、装置の信頼性を高めることができる。
熱伝導率の上限に特に制限はないが、20W/mK以下であると、接着シートの熱伝導率に寄与する無機フィラーの接着シート形成用組成物への配合量を、当該組成物の流動性が損なわない範囲内とすることができる。
【0053】
また、金属ベース回路用基板を構成する接着シートは、Cステージ状態にしたときに上述の熱伝導率に加えて、絶縁性を有している。具体的には、接着シートは、500V以上の耐電圧を有していることが好ましい。耐電圧が500Vであると、電子部品を本発明の金属ベース回路用基板へ組み込んで得られる装置の電気的信頼性を高めることができる。
本発明の金属ベース回路用基板を高電圧及び高電流が印加される産業用装置へ用いる場合、Cステージ状態の接着シートは1500V以上の耐電圧を有することが好ましい。耐電圧はJIS C 2110に規定された段階昇圧法に従い測定することができる。
【0054】
更に接着シートは、2〜40N/cmの接着強度を有していることが好ましい。5〜30N/cmの接着強度を有していることがより好ましい。接着強度とは、JIS C 6481に従い測定される値をいう。接着強度が2〜40N/cmであると、金属基板や金属箔が接着シートから剥離することを防止できる。
【0055】
本発明の製造方法により得られる金属ベース回路用基板は高い放熱性を有し、これを用いた装置に高い信頼性を与えることができる。したがって、本発明は、発熱量の高い電子部品を多く含み、かつ、高い信頼性が要求される装置、例えばLED等の発光素子回路基板等に好適に用いることができる。
【0056】
金属ベース回路用基板は、その金属基板及び/又は金属箔を加工して回路を形成することにより、回路基板とすることができる。金属基板及び金属箔に回路を形成する方法としては、エッチング等の化学処理や、エンドミル、フライス盤、レーザー等の機械加工等が挙げられる。
【0057】
例えば、本発明をLED用回路基板へ適用する場合、前述の製造方法により得られた金属ベース回路用基板に回路を形成し、LEDを搭載し、配線することにより、LED回路基板とすることができる。
【0058】
LED等の発光素子をパッケージ化されていない状態で本発明の基板に直接搭載する場合には、発光素子から発せられる光を効率的に発光素子の前面に集める為に、反射効果のある金属枠を設けることが好ましい。金属枠の材質としてはアルミニウムやステンレス等が挙げられる。金属枠の回路基板への設置は、接着剤(例えば、エポキシ系接着剤やウレタン系接着剤等)を介して行ってもよく、電解メッキやエッチングの組み合わせにより行ってもよい。
【0059】
また、LEDを搭載した基板の輝度を向上させる為に、回路基板の表面に高反射率の白色膜を設けてもよい。白色膜としては、紫外線硬化性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂等に酸化亜鉛、炭酸カルシウム、酸化チタン(特に二酸化チタン)、アルミナ及びスメクタイトからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の白色顔料を配合してなるものが好ましい。白色膜の回路基板への設置は、当該技術分野で周知の方法を用いて行うことができる。
【実施例】
【0060】
次に、実施例により本発明の効果を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0061】
(実施例1)
(1)ビアを設けた金属基板の製造
金属基板としての平坦な銅板(厚さ:0.200mm)をエッチングして、直径1.0mm、高さ0.15mmの円柱形状の放熱用ビア(表面積:0.785mm2)を複数(ビアの間隔:10mm)設けた。次いで、放熱用ビアを設けた面を脱脂処理に付した。これを金属ベース回路用基板の製造に用いた。
(2)接着シートの製造
エポキシ樹脂であるポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂(側鎖を有するアルキレン基の数:8〜10;加水分解性塩素濃度:150ppm)(東都化成社製、「PG208GS」)とビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:159;加水分解性塩素濃度:600ppm)(ジャパンエポキシレジン社製、「EP828」)とを35:65の割合(質量比)で混合した。前記混合エポキシ樹脂100質量部に対して、硬化剤としてフェノールノボラック系樹脂(明和化成社製、「H−1」)を50質量部、添加剤であるカップリング剤(信越化学工業社製、「KBM403」)を10質量部添加し、更に、無機フィラーとして酸化アルミニウム(アスペクト比:1.2。平均粒径:0.8μm)(アドマテック社製、「AO802」)と窒化アルミニウム(アスペクト比:1.4。平均粒径:23μm)(電気化学工業社製)との混合粉(酸化アルミニウムと窒化アルミニウムの総容積に対して、窒化アルミニウムが70容積%)を、硬化後の接着シート中で60体積%となるよう(接着シート形成用組成物において、前記エポキシ樹脂混合物と硬化剤との合計量100質量部に対して430質量部)配合して組成物を作製した。更に硬化触媒として2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ(1,2−a)ベンズイミダゾール(四国化成社製、「TBZ」)を前記エポキシ樹脂混合物100質量部に対して0.5重量部配合して、接着シート形成用組成物を製造した。尚、各成分の配合は万能攪拌機を用いて行った。
前記接着シート形成用組成物を、ライナーである樹脂フィルムとしてのPETフィルム(厚さ:0.075mm)上に塗布し、130℃で10分加熱乾燥して、接着シート5(厚さ:0.15mm)を得た。前述の硬化条件で得られる硬化度をDSC(SIIテクノロジー社製DSC6620)を用いて測定した(以下の実施例及び比較例において同様)結果、硬化度は60%であり、Bステージ状態であった。
【0062】
(3)金属ベース回路用基板の製造
(1)で得た銅板の放熱用ビアのある表面上に、(2)で得た接着シートを配置した。次いで、当該接着シートの上に金属箔としての銅箔(厚さ:0.035mm)を配置した。得られた銅板と接着シートと銅箔とからなる積層物を、30kgf/cm2の圧力をかけながら150℃で60分加熱して一体化し、金属ベース回路用基板を製造した。得られた金属ベース回路用基板を構成する接着シートは80%の硬化度を有し、Cステージ状態であった。
【0063】
(実施例2)
接着シートを構成するエポキシ樹脂としてポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂(側鎖を有するアルキレン基の数:5〜7;加水分解性塩素濃度:500ppm)(阪本薬品工業社製、「SR−PTMG」)と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、「EP828」)と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量:848;加水分解性塩素濃度:600ppm)(ジャパンエポキシレジン社製、「EP4004P」)とを35:35:30の割合(質量比)で用いた他は、実施例1と同様にして金属ベース回路用基板を製造した。金属基板へ配置する前の接着シートは65%の硬化度を有し、Bステージ状態であった。得られた金属ベース回路用基板を構成する接着シートは85%の硬化度を有し、Cステージ状態であった。
【0064】
(実施例3)
接着シートを構成するエポキシ樹脂としてポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂(阪本薬品工業社製、「SR−PTMG」)と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、「EP828」)と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、「EP4004P」)とを35:35:30の割合(質量比)で用い、更に硬化触媒としてトリフェニルフォスフィン(北興化学社製、「TPP」)を前記エポキシ樹脂混合物100質量部に対して0.4質量部用いた他は、実施例1と同様にして金属ベース回路用基板を製造した。銅板へ配置する前の接着シートは68%の硬化度を有し、Bステージ状態であった。得られた金属ベース回路用基板を構成する接着シートは85%の硬化度を有し、Cステージ状態であった。
【0065】
(実施例4)
接着シートを構成するエポキシ樹脂としてポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂(阪本薬品工業社製、「SR−PTMG」)と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、「EP828」)と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、「EP4004P」)とを35:35:30の割合(質量比)で用い、更に硬化剤としてビスフェノールA型ノボラック樹脂(大日本インキ社製「VH4240」)を用いた他は、実施例1と同様にして金属ベース回路用基板を製造した。銅板へ配置する前の接着シートは68%の硬化度を有し、Bステージ状態であった。得られた金属ベース回路用基板を構成する接着シートは85%の硬化度を有し、Cステージ状態であった。
【0066】
(実施例5)
接着シートを構成するエポキシ樹脂としてポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂(阪本薬品工業社製、「SR−PTMG」)と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、「EP828」)と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、「EP4004P」)とを35:35:30の割合(質量比)で用い、更に無機フィラーとして酸化アルミニウム(アスペクト比:4。平均粒径:2.5μm)(昭和電工社製、「AL−173」)を用い総量を50体積%となるよう(すなわち、前記エポキシ樹脂混合物と硬化剤との合計量100質量部に対して330質量部)配合した他は、実施例1と同様にして金属ベース回路用基板を製造した。銅板へ配置する前の接着シートは64%の硬化度を有し、Bステージ状態であった。得られた金属ベース回路用基板を構成する接着シートは90%の硬化度を有し、Cステージ状態であった。
【0067】
(実施例6)
接着シートを構成するエポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ(ジャパンエポキシレジン社製、「EP828」)を単独で用いた他は、実施例1と同様にして金属ベース回路用基板を製造した。銅板へ配置する前の接着シートは64%の硬化度を有し、Bステージ状態であった。得られた金属ベース回路用基板を構成する接着シートは85%の硬化度を有し、Cステージ状態であった。
【0068】
(比較例1)
接着シートを構成する無機フィラーを配合しなかったこと、及び、金属基板としてビアを有しない平坦な銅板(厚さ:0.2mm)を用いた他は、実施例1と同様にして金属ベース回路用基板を製造した。本例は、接着シート中に無機フィラーを含んでいない点で比較例となる。
【0069】
(試験例1)
実施例1〜6及び比較例1の金属ベース回路用基板について、以下に示す方法により、(1)接着シートの熱伝導率、(2)回路用基板の耐電圧、(3)金属箔と接着シートとの接着強度、(4)回路用基板の弾性率及び(5)回路用基板放熱性を測定した。
【0070】
(1)金属ベース回路用基板を構成する接着シートの熱伝導率
金属ベース回路用基板の両面をエッチングして、銅板及び銅箔を除去することにより接着シート7を得た。得られた接着シートを直径10mm×厚さ2mmの円板状に加工し、レーザーフラッシュ法によりJIS-R-1611に従い熱伝導率を求めた。
【0071】
(2)金属ベース回路用基板の耐電圧
銅板の放熱用ビアのない箇所を覆う銅箔をエッチングして直径20mmの円電極を作製したものを測定サンプルとし、JIS C 2110に規定された段階昇圧法にしたがって銅板と銅箔との間の耐電圧を測定した。
【0072】
(3)金属箔と接着シートとの接着強度(ピール強度)
銅板の放熱用ビアの無い箇所を覆う銅箔をシャーリングにより10mm幅の帯状へ加工したものを測定サンプルとし、JIS C 6481に規定された方法にしたがって銅箔と接着シートとの接着強度を測定した。
【0073】
(4)金属ベース回路用基板の弾性率
動的粘弾性測定器(T&Aインスツルメント社製、RSA3)を用い、周波数10Hz、昇温速度10℃/分の条件下で測定した。
【0074】
(5)金属ベース回路用基板の放熱性
金属ベース回路用基板の銅箔9をエッチングして回路を形成した後、銅板1の放熱用ビア3の直上部にLED11を搭載し、配線13を設置して、金属ベース回路基板を作成した(図1)。得られた金属ベース回路基板に、3V電圧を加えてLED11を発光させ、LED搭載部の温度をサーモグラフィーにより測定した。
【0075】
上記(1)〜(5)の測定結果を表1に示す。
【0076】
表1

【0077】
前述した接着シートの要件を満たす実施例1〜6の金属ベース回路用基板は、いずれも1.5W/mK以上の熱伝導率を有し、故に、放熱特性に優れていた。更に、産業用装置にも充分適用可能な耐電圧(1500V以上)を有していた。また、接着強度及び弾性率も金属ベース回路用基板に対して一般的に要求される水準を満たしていた。
一方、接着シート中に無機フィラーを含まない比較例1は、実施例よりも熱伝導率が著しく低く、故に放熱性も劣っていた。
【0078】
以下の実施例では、発光素子(LED)用金属ベース回路基板を製造した。
(実施例7)
本例では、図2に示す発光素子用金属ベース回路基板を製造した。
(1)ビアを設けた金属基板の製造
金属基板としての平坦な銅板1(厚さ:0.200mm)に、放熱用ビア3(直径:3.0mm(表面積:7.1mm2)。形状:円柱状。高さ:0.15mm。)1つと、電気接続用ビア5(直径:0.5mm(表面積:0.20mm2)。形状:円柱状。高さ:0.15mm。)2つをエッチングにより形成した。次いで、ビアを設けた面を脱脂処理に付した。これを発光素子用金属ベース回路基板の製造に用いた。
【0079】
(2)接着シートの製造
エポキシ樹脂であるポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂(側鎖を有するアルキレン基の数:8〜10;加水分解性塩素濃度:150ppm)(東都化成社製、「PG208GS」)とビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:159;加水分解性塩素濃度:600ppm)(ジャパンエポキシレジン社製、「EP828」)とを35:65の割合(質量比)で混合した。前記混合エポキシ樹脂100質量部に対して、硬化剤としてフェノールノボラック系樹脂(明和化成社製、「H−1」)を30質量部、添加剤であるカップリング剤(信越化学工業社製、「KBM403」)を1質量部添加し、更に、無機フィラーとして酸化アルミニウム(アスペクト比:1.2。平均粒径:0.8μm)(アドマテック社製、「AO802」)と窒化アルミニウム(アスペクト比:1.4。平均粒径:23μm)(電気化学工業社製)との混合粉(酸化アルミニウムと窒化アルミニウムの総容積に対して、窒化アルミニウムが70容積%)を、硬化後の接着シート中で60体積%となるよう(接着シート形成用組成物において、前記エポキシ樹脂混合物と硬化剤との100質量部に対して430質量部)配合して組成物を作製した。更に硬化触媒として2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ(1,2−a)ベンズイミダゾール(四国化成社製、「TBZ」)を前記エポキシ樹脂混合物100質量部に対して0.5重量部配合して、接着シート形成用組成物を製造した。尚、各成分の配合は万能攪拌機を用いて行った。
前記接着シート形成用組成物を、ライナーである樹脂フィルムとしてのPETフィルム(厚さ:0.075mm)上に塗布し、130℃で10分加熱乾燥して、接着シート7(厚さ:0.15mm)を得た。前述の硬化条件で得られる硬化度をDSC(SIIテクノロジー社製DSC6620)を用いて測定した結果、硬化度は62%であり、Bステージ状態であった。
【0080】
(3)発光素子用金属ベース回路基板の製造
(1)で得た金属基板1のビアのある表面上に、(2)で得た接着シート7を配置した。次いで、当該接着シート7の上に金属箔としての銅箔9(厚さ:0.035mm)を配置した。得られた銅板1と接着シート7と銅箔9とからなる積層物を、30kgf/cm2の圧力をかけながら150℃で60分間加熱して一体化し、金属ベース回路用基板を製造した。得られた金属ベース回路用基板を構成する接着シート7は81%の硬化度を有し、Cステージ状態であった。
得られた金属ベース回路用基板の銅板1と銅箔9の両面にエッチング法により回路を形成した。次いで、銅箔9側のエッチングにより接着シート7が露出した面へ、金属枠15(材質:ステンレス)を接着剤17(ウレタン系接着剤)により設置した。
【0081】
(実施例8)
本例では、図3に示す発光素子用金属ベース回路基板を製造した。
(1)ビアを設けた金属基板の製造
金属基板としての平坦な銅板1(厚さ:0.200mm)に、放熱用ビア3a(直径:3.0mm(表面積:7.1mm2)。形状:円柱状。高さ:0.05mm。)をエンドミルにより形成した。次いで、ビアを設けた面を脱脂処理に付した。これを発光素子用金属ベース回路基板の製造に用いた。
【0082】
(2)接着シート形成用組成物の製造
接着シートを構成するエポキシ樹脂としてポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂(側鎖を有するアルキレン基の数:5〜7;加水分解性塩素濃度:500ppm)(阪本薬品工業社製、「SR−PTMG」)と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、「EP828」)と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量:848;加水分解性塩素濃度:600ppm)(ジャパンエポキシレジン社製、「EP4004P」)とを35:35:30の割合(質量比)で用いた他は、実施例1と同様にして接着シート形成用組成物を製造した。
【0083】
(3)接着シートと金属箔との積層物の製造
接着シートの厚さにおいて異なる2種類の接着シートと金属箔との積層物2a及び2bを製造した。

積層物2aの製造
金属箔としての銅箔9a(厚さ:0.035mm)上へ、(2)で製造した接着シート形成用組成物を直接塗布し、130℃で10分加熱乾燥して、接着シート7a(厚さ:0.05mm)を得た。これにより、銅箔9aと接着シート7aとからなる積層物2aを得た。接着シート7aの硬化度は65%であり、Bステージ状態であった。

積層物2bの製造
金属箔としての銅箔9b(厚さ:0.035mm)上へ、(2)で製造した接着シート形成用組成物を直接塗布し、130℃で10分加熱乾燥して、接着シート7b(厚さ:0.10mm)を得た。これにより、銅箔9bと接着シート7bとからなる積層物2bを得た。接着シート7bの硬化度は63%であり、Bステージ状態であった。
【0084】
(4)発光素子用金属ベース回路基板の製造
(1)で得た金属基板1のビアのある表面上に、(3)で得た積層物2aを、銅板1と接着シート7aとが接するように配置した。得られた銅板1と積層物2aとからなる積層物を、30kgf/cm2の圧力をかけながら150℃で60分加熱し一体化して基板第一層を形成した。基板第一層を構成する接着シート7aは86%の硬化度を有し、Cステージ状態であった。ここで、銅箔9aへエッチング法により回路を形成した。
次いで、回路を形成した基板第一層にNi無電解メッキ、Cu電解メッキ、Cuの選択エッチング、Niの選択エッチングを施して、放熱用ビア3aの直上の銅箔9aに更なる放熱用ビア3b(材質:銅。直径:3.0mm(表面積:7.1mm2)。形状:円柱状。高さ:0.05mm。)1つを形成し、更に銅箔9a上に電気接続用ビア5(材質:銅。直径:0.5mm(表面積:0.20mm2)。形状:円柱状。高さ:0.10mm。)2つを形成した。次いで、ビアを設けた面を脱脂処理に付した。
次いで、基板第一層のビアのある表面上に、(3)で得た積層物2bを、接着シート7bと銅箔9a並びにビア(3b及び5)とが接するように配置した。得られた銅板1と積層物2aと積層物2bとからなる積層物を、30kgf/cm2の圧力をかけながら150℃で60分間加熱して一体化して基板第二層を形成した。基板第二層を構成する接着シート7bは83%の硬化度を有し、Cステージ状態であった。
得られた金属ベース回路用基板の銅箔9bにエッチング法により回路を形成した。次いで、エッチングにより残された銅箔9b上へNi無電解メッキ、Cu電解メッキ、Cuの選択エッチング、Niの選択エッチングを施して銅製金属枠15を形成した。
【0085】
(実施例9)
本例では、図4に示す発光素子用金属ベース回路基板を製造した。
(1)サーマルビアを設けた金属基板の製造
金属基板としての平坦な銅板1(厚さ:0.200mm)に、放熱用ビア3(直径:3.0mm(表面積:7.1mm2)。形状:円柱状。高さ:0.15mm。)1つをエッチングにより形成した。次いで、ビアを設けた面を脱脂処理に付した。これを発光素子用金属ベース回路基板の製造に用いた。
【0086】
(2)接着シートの製造
実施例7に記載の方法に従い、接着シートを形成した。
【0087】
(3)発光素子用金属ベース回路基板の製造
(1)で得た銅板1のビアのある表面上に、(2)で得た接着シート7を配置した。次いで、当該接着シート7の上に金属箔としての銅箔9(厚さ:0.035mm)を配置した。得られた銅板1と接着シート7と銅箔9とからなる積層物を、30kgf/cm2の圧力をかけながら150℃で60分間加熱して一体化し、金属ベース回路用基板を製造した。得られた金属ベース回路用基板を構成する接着シート7は83%の硬化度を有し、Cステージ状態であった。
得られた金属ベース回路用基板の銅箔9にエッチング法により回路を形成した。次いで、エッチングにより残された銅箔9へ、金属枠15(材質:ステンレス)を接着剤17(ウレタン系接着剤)により設置した。
【0088】
(実施例10)
本例では、図5に示す発光素子用金属ベース回路基板を製造した。
電気接続用ビア5の形成を1つとし、放熱用ビア3を電気接続兼用として用いたことを除いて、実施例7と同様にして発光素子用金属ベース回路基板を製造した。
【0089】
(実施例11)
本例では、図6に示す発光素子用金属ベース回路基板を製造した。
実施例8と同様にして製造した発光素子用金属ベース回路基板の金属枠15を設けた側へ、白色膜19を設けた。具体的には、液状の光・熱硬化型白色レジストインク(太陽インキ社製S-100WA)(白色顔料を構成する主成分の物質名:酸化チタン)を回路基板へ塗布し、白色膜が不要な部分を除いて露光して硬化させた後、不要な部分を剥離し、最後に熱によりアフターキュアして白色膜を設けた。
【0090】
(実施例12)
本例では、図7に示す発光素子用金属ベース回路基板を製造した。
実施例9と同様にして製造した発光素子用金属ベース回路基板の金属枠15を設けた側へ、実施例11と同様にして白色膜19を設けた。
【0091】
(比較例2)
本例では、図8に示す発光素子用金属ベース回路基板を製造した。
(1)ビアを設けた金属基板の製造
金属基板としての平坦な銅板1(厚さ:0.100mm)に、放熱用ビア3(直径:3.0mm(表面積:7.1mm2)。形状:円柱状。高さ:0.15mm。)1つ電気接続用ビア5(直径:0.5mm(表面積:0.20mm2)。形状:円柱状。高さ0.15mm)2つをエッチングにより形成した。次いで、ビアを設けた面を脱脂処理に付した。これを発光素子用金属ベース回路基板の製造に用いた。
【0092】
(2)接着シート形成用組成物の製造
接着シートを構成するエポキシ樹脂としてポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂(側鎖を有するアルキレン基の数:5〜7;加水分解性塩素濃度:500ppm)(阪本薬品工業社製、「SR−PTMG」)と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、「EP828」)と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量:848;加水分解性塩素濃度:600ppm)(ジャパンエポキシレジン社製、「EP4004P」)とを35:35:30の割合(質量比)で用いたこと、及び、接着シートを構成する無機フィラーを配合しなかったことを除いて、実施例7と同様にして接着シート形成用組成物を製造した。本例は、接着シート中に無機フィラーを含んでいない点で比較例となる。
【0093】
(3)発光素子用金属ベース回路基板の製造
(1)で得た金属基板1のビアのある表面上に、(2)で製造した接着シート形成用組成物をビア3の高さと同一になるように直接塗布し、130℃で10分間加熱して接着シート7を形成した。得られた接着シート7の硬化度は62%であり、Bステージ状態であった。次いで、当該接着シート7の上に金属箔としての銅箔9(厚さ:0.035mm)を配置した。得られた銅板1と接着シート7と銅箔9とからなる積層物を、30kgf/cm2の圧力をかけながら150℃で60分間加熱して一体化し、金属ベース回路用基板を製造した。得られた金属ベース回路用基板を構成する接着シート7は88%の硬化度を有し、Cステージ状態であった。
得られた金属ベース回路用基板の銅板1と銅箔9の両面にエッチング法により回路を形成した。次いで、銅箔9側のエッチングにより接着シート7が露出した面へ、金属枠15(材質:ステンレス)を接着剤17(ウレタン系接着剤)により設置した。
【0094】
(試験例2)
実施例7〜12及び比較例2の発光素子用金属ベース回路基板について、以下に示す方法により、(1)接着シートの熱伝導率、(2)回路基板の耐電圧及び(3)回路基板放熱性を測定した。
【0095】
(1)金属ベース回路基板を構成する接着シートの熱伝導率
金属ベース回路基板の両面をエッチングして、銅板及び銅箔を除去することにより接着シート7を得た。得られた接着シートを直径10mm×厚さ2mmの円板状に加工し、レーザーフラッシュ法によりJIS-R-1611に従い熱伝導率を求めた。
【0096】
(2)金属ベース回路基板の耐電圧
銅板の放熱用ビアのない箇所を覆う銅箔をエッチングして直径20mmの円電極を作製したものを測定サンプルとし、JIS C 2110に規定された段階昇圧法にしたがって銅板と銅箔との間の耐電圧を測定した。
【0097】
(3)金属ベース回路基板の放熱性
実施例7〜12及び比較例2の発光素子用金属ベース回路基板について、それぞれ放熱用ビア(3、3b)直上部の銅箔(9、9b)にLED11を搭載(銅箔とLEDとは電気的に接続される)し、配線13を設置して、金属ベース回路基板を作成した(図9〜15)。得られた金属ベース回路基板に、3V電圧を加えてLED11を発光させ、(i)LED搭載部及び(ii)LED直下の銅板部の温度をサーモグラフィーにより測定した。
【0098】
上記(1)〜(3)の測定結果を表2に示す。
【0099】
表2

【0100】
前述した接着シートの要件を満たす実施例7〜12の金属ベース回路基板は、いずれも1.5W/mK以上の熱伝導率を有し、故に、放熱特性に優れていた。更に、産業用装置にも充分適用可能な耐電圧(1500V以上)を有していた。
一方、接着シート中に無機フィラーを含まない比較例1は、実施例よりも熱伝導率が著しく低く、故に放熱性も劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、高い放熱性が要求される電子部品を組み込んだ装置の製造に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、試験例1の放熱性測定に用いた金属ベース回路基板の垂直断面図である。
【図2】図2は、実施例7の発光素子用金属ベース回路基板の垂直断面図である。
【図3】図3は、実施例8の発光素子用金属ベース回路基板の垂直断面図である。
【図4】図4は、実施例9の発光素子用金属ベース回路基板の垂直断面図である。
【図5】図5は、実施例10の発光素子用金属ベース回路基板の垂直断面図である。
【図6】図6は、実施例11の発光素子用金属ベース回路基板の垂直断面図である。
【図7】図7は、実施例12の発光素子用金属ベース回路基板の垂直断面図である。
【図8】図8は、比較例2の発光素子用金属ベース回路基板の垂直断面図である。
【図9】図9は、試験例2の放熱性測定に用いた実施例7の発光素子用金属ベース回路基板の垂直断面図である。
【図10】図10は、試験例2の放熱性測定に用いた実施例8の発光素子用金属ベース回路基板の垂直断面図である。
【図11】図11は、試験例2の放熱性測定に用いた実施例9の発光素子用金属ベース回路基板の垂直断面図である。
【図12】図12は、試験例2の放熱性測定に用いた実施例10の発光素子用金属ベース回路基板の垂直断面図である。
【図13】図13は、試験例2の放熱性測定に用いた実施例11の発光素子用金属ベース回路基板の垂直断面図である。
【図14】図14は、試験例2の放熱性測定に用いた実施例12の発光素子用金属ベース回路基板の垂直断面図である。
【図15】図15は、試験例2の放熱性測定に用いた比較例2の発光素子用金属ベース回路基板の垂直断面図である。
【符号の説明】
【0103】
1 銅板
2a、2b 接着シートと金属箔との積層物
3、3a、3b 放熱用ビア
5 電気接続用ビア
7、7a、7b 接着シート
9、9a、9b 銅箔
11 LED
13 配線
15 金属枠
17 接着剤
19 白色膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ベース回路用基板の製造方法であって、
(1)金属基板の上に、Bステージ状態の接着シートを配置する工程、
(2)金属基板上に配置された接着シートの上に、更に金属箔を配置する工程、及び、
(3)金属基板と接着シートと金属箔との積層物を、該接着シートがCステージ状態になるまで加圧下で加熱することにより一体化して、金属ベース回路用基板を形成する工程
を含み、
Bステージ状態の接着シートが、無機フィラーとエポキシ樹脂と該エポキシ樹脂の硬化剤とを含む接着シート形成用組成物から製造され、
Cステージ状態の接着シートの熱伝導率が1.5W/mK以上である
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
Cステージ状態の接着シートの耐電圧が500V以上であることを特徴とする、請求項1に記載の金属ベース回路用基板の製造方法。
【請求項3】
接着シート形成用組成物において、無機フィラーが、エポキシ樹脂と該エポキシ樹脂の硬化剤との合計量100質量部に対して、100〜650質量部配合されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属ベース回路用基板の製造方法。
【請求項4】
エポキシ樹脂の硬化剤が、水酸基を有する化合物であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属ベース回路用基板の製造方法。
【請求項5】
金属基板が、接着シートとの接着面上に、最表面の面積が0.0003mm2以上のビアを1個以上有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の金属ベース回路用基板の製造方法。
【請求項6】
金属基板のビアが、化学処理または機械加工により作製されていることを特徴とする、請求項5に記載の金属ベース回路用基板の製造方法。
【請求項7】
金属基板と接着シートと金属箔との積層物の加圧下で加熱を、該金属基板のビアが該接着シートを貫通して、該ビアと金属箔とが導通接続するように行う、請求項5又は6に記載の金属ベース回路用基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の製造方法により製造される、金属ベース回路用基板。
【請求項9】
金属ベース回路基板の製造方法であって、
(1)金属基板の上に、Bステージ状態の接着シートを配置する工程、
(2)金属基板上に配置された接着シートの上に、更に金属箔を配置する工程、及び、
(3)金属基板と接着シートと金属箔との積層物を、該接着シートがCステージ状態になるまで加圧下で加熱することにより一体化して、金属ベース回路用基板を形成する工程
(4)金属ベース回路用基板の金属基板及び/又は金属箔を加工して回路を形成する工程
を含み、
Bステージ状態の接着シートが、無機フィラーとエポキシ樹脂と該エポキシ樹脂の硬化剤とを含む接着シート形成用組成物から製造され、
Cステージ状態の接着シートの熱伝導率が1.5W/mK以上である
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の製造方法により製造される、金属ベース回路基板。
【請求項11】
LED用回路基板である、請求項10に記載の金属ベース回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−49062(P2009−49062A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211407(P2007−211407)
【出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】