説明

録画中断防止装置

【課題】自動的に蓄積手段に録画されたコンテンツタイトルを、追加のタイトルを録画するための容量を確保するために、自動的に削除するとき、ユーザーの意図に反してタイトルが削除されることがあった。
【解決手段】録画されているコンテンツタイトルに対する保存予定、特に、タイトルコンテンツに対する操作に関する保存予定を初期設定し、保存予定がないと設定されたコンテンツタイトルから優先的に自動削除するようにしたので、録画済みコンテンツをユーザーの意思に反して削除することはなくなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大容量記録蓄積体にコンテンツタイトルを録画するに際して、蓄積不要なコンテンツタイトルを自動的に削除することにより、十分な録画容量を蓄積体に確保して、録画が記録蓄積体の容量不足のために中断するのを防止するための録画中断防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
【0003】
【特許文献1】
特開2001−167522号公報
【特許文献2】
特開2002−112150号公報
【特許文献3】
特開2002−100158号公報
【特許文献4】
特開平11−127396号公報
【特許文献5】
特開2002−44584号公報
【0004】
大容量記録蓄積体に新たにコンテンツタイトルを録画するに際して、累加的にコンテンツタイトルが蓄積された結果、蓄積媒体の空き容量が一定値になったとき、録画を中断しないためには、録画済のコンテンツタイトルを削除して、新たに録画する容量を確保することによって、録画中断を防止できるのは、知られている。例えば、特許文献1には、空き容量が15分のコンテンツを録画するだけの値になったとき、新たな録画領域の確保は、視聴済みのコンテンツタイトルのうち、もっとも、録画日時の古いものを検出して、自動的に削除することによって、行われ、録画を中断することのなく、行うことができる。しかし、視聴済みであっても、ユーザーが録画を維持したいコンテンツタイトルがある場合、この開示された技術では、削除されてしまい、不都合である。削除したくないコンテンツタイトルを削除するのを防止するためには、特許文献2、特許文献3、および特許文献4に開示されているように、削除する前に、削除候補のコンテンツタイトルをユーザーに表示することも考えられるが、これは、録画中断防止機能を自動的に実行できない。また、特許文献5には、自動的に、コンテンツタイトルに削除候補フラッグを立てることによって、削除を行うことによって録画中断防止を行うことが開示されている。この方法も、コンテンツタイトルが持つ視聴日時を読み取って、それが古いタイトルから削除候補フラッグを立てるにすぎず、単に、ユーザーが削除してもよいと考える蓋然性が高いタイトルから自動削除しているに過ぎないので、なお、当該公報に開示されている自動削除技術では、削除したくないタイトルを削除するする可能性がある。
【0005】
この発明の目的は、蓄積体の容量確保のためのコンテンツの削除を自動的に行い、しかも、ユーザーの意思に反してコンテンツタイトルの削除が行われないようにした録画中断防止装置を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的を達成するために、この発明による録画中断防止装置は、ディジタル大容量蓄積手段、コンテンツタイトルを当該ディジタル大容量蓄積手段に録画するための手段、録画されたコンテンツタイトルにユーザー操作を行う手段、当該ディジタル大容量蓄積手段の録画可能容量を検出し、当該検出録画可能容量が所定の容量以下であるか否かを判定し、容量以下であるとき判定信号を発生する手段、コンテンツタイトルに対して保存予定変数を初期設定する手段、当該予定変数を当該判定信号に応答して検出する手段、および当該検出手段が検出した予定変数に対応してコンテンツタイトルを当該ディジタル大容量蓄積手段から削除する手段からなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照しながら、この発明による録画中断防止装置の実施例を説明する。
【0008】
この発明による録画中断防止装置は、たとえば、図1に示されたHDDレコーダーに組み込むことができる。このHDDレコーダーは、概略的に、その構成を述べると、放送からもたらされたコンテンツタイトルを蓄積するためのハードディスク装置100を持つ。コンテンツタイトルを放送信号から受信するためのチューナ500を有する。当該コンテンツタイトルを視聴するためのモニター300を有する。ハードディスク装置100に対してコンテンツタイトルを録画および再生するための信号制御手段110,120,140,150を持つ。この信号制御手段は、コンテンツタイトルを表すビデオ信号をディジタル化するビデオデコーダ110、ディジタル化されたビデオ信号をハードディスク装置に蓄積するために圧縮するMPEGエンコーダ150、MPEG圧縮されたビデオ信号をデコードするためのMPEGデコーダ140と、ディジタルビデオ信号をアナログ化するビデオデコーダ120からなる。ハードディスク装置制御用マイコン900が具備される。これによってこれらの信号制御手段は制御されて、ハードディスク装置に対するビデオ信号の録画と再生が行われる。このHDDレコーダーの全体の動作を制御、実行するメインマイコン700が別に設けられる。当該ハードディスク装置制御用マイコン700は、ハードディスク装置制御用マイコンを必要に応じて制御する。
【0009】
この発明の実施例は、これらのマイコンに組み込まれたソフトウェアとして実現することができる。図2のフローチャートに示すように、すなわち、ハードディスク装置100の録画可能容量を検出し、その検出録画可能容量が所定の容量以下であるか否かを判定される(25)。ユーザーが録画操作を開始し(11)、録画日時を入力し(22)、例えば、録画ボタンを押すことによって録画操作(23)を開始したのち、録画終了時刻になる(24)までの間、この判定は繰り返し実行される。録画終了時刻になるまでの間に、その検出可能容量が録画済みのコンテンツタイトルの削除が必要である所定の容量に以下になったと判断されたときは、コンテンツタイトルについて設定してある、将来予定するダビング操作の回数(ReservedDubbingCount)および将来予定する視聴する回数(ReservePlayCount)と編集を予定しているか否かを示すフラッグ(ReservedEditFlag)との保存予定変数のコンテンツを検索して、保存予定変数のコンテンツのない、すなわち保存予定変数がゼロである、または、オフである、録画済コンテンツタイルの検出(26)がおこなわれる。保存予定変数のコンテンツがないコンテンツタイトルが検出されなかった場合は、録画を終了する。保存予定変数のコンテンツがないコンテンツタイトルが検出された場合は、検出されたコンテンツタイトルを、録画日時のもっとも古いものから、自動的に削除(28)する。このように、自動削除した後、録画操作は中断することなく、継続される。この場合、視聴日時がもっとも古いコンテンツタイトルから、削除するようにもできる。削除条件として、録画日時または視聴日時のいずれを適用するかは、ユーザーは初期設定画面であらかじめ選択できる。上記保存予定変数は、コンテンツタイトルに対する操作の予定に従って、前もって、ユーザーによって設定されているので、かかる予定がないコンテンツタイトルを上記のような手順で検出して、自動削除することによって、録画中断防止を行うので、ユーザーの意思に反した自動削除が行われない。
【0010】
この保存予定変数の設定は、図3に示すフローチャートのように、この録画コンテンツタイトルごとに、HDDレコーダーの電源等投入時の初期設定画面において、および、録画予定設定画面において、おこなう。図3にあるように、保存予定変数録画後にコンテンツタイトルに対してユーザーが行いたい操作の種類とその回数をHDDレコーダーの電源等投入時の初期設定画面において、初期設定することができる。望ましい実施例によると、その操作はダビングと視聴と編集である。詳言すれば、ユーザーは特定コンテンツタイトルに付き、自分がしたい、ダビング操作の回数(ReservedDubbingCount)および視聴する回数(ReservePlayCount)と編集を予定しているか否かを示すフラッグ(ReservedEditFlag)を設定できる。ダビング予定回数は、0またはそれ以上の整数を入力する。視聴予定回数は、0またはそれ以上の整数を入力する。さらに、編集、すなわち、コンテンツをマージしたり、分割したりする予定があれば、編集予定フラッグを立てる。なお、またこの保存予定変数を初期設定するとき、確保したいハードディスク空き容量(MinimumMediaSpace)や視聴済みとみなす再生判断比率(DeterminPlayedRate)を設定することができる。確保したいハードディスク空き容量(MinimumMediaSpace)は、保存予定変数の検索をスタートさせる閾値として最低空き容量である。直接メガバイト数で指定してもよいが、再生できるコンテンツの時間と分数、あるいは、再生できるコンテンツのタイトル数で、あるいは、ハードディスクの空き%で、指定できるようにしてもよい。もちろん、確保したいハードディスク空き容量(MinimumMediaSpace)は、削除後確保を望む容量を設定することによって、提供できる。削除後確保したい容量のメガバイト数または媒体総容量の%、当該容量に対応する視聴時間と分数で、設定できる。視聴済みとみなす再生判断比率(DeterminPlayedRate)は、特定コンテンツタイトルをどれだけ再生したら、それを視聴済みとみなすかの基準となる比率である。これも直接メガバイト数で指定してもよいが、視聴済みの量を時間と分数で指定できるようにしてもよい。
【0011】
上記の保存予定変数の初期設定は、HDDレコーダーの電源投入時だけではなく、録画予約を行うときに、録画予約画面にその設定欄を設けるようにしてもよい。また、録画済みのコンテンツタイトルに対してこれらの保存予定変数の設定できるように、その設定欄を編集画面に表出させてもよい。
【0012】
上記の様に初期設定された保存予定変数は、その予定の操作が現実に行われたとき、すなわち、この実施例ではダビング操作、視聴、および編集が行われたとき、それぞれの対応する変数のコンテンツを書き換えて、その操作の実行を反映させるようにする。図4に、それを実現する手順が示されている。図4(A)には視聴予定回数(ReservePlayCount)の書き換え手順が示されている。すなわち、コンテンツタイトルの再生が行われた場合、視聴を開始(41)した後、その日時を保存(43)し、視聴終了(45)したのち、再生判断比率(DeterminPlayedRate)と視聴時間を変数とする適切な値とを比較(47)し、視聴済みとみなすか否かを判断する場合は、初期設定されている視聴予定回数(ReservePlayCount)に対して―1をカウントして、そのカウント結果で視聴予定回数を置き換える。例えば、初期設定画面で視聴予定回数が10と設定してあったコンテンツタイトルを1回視聴した場合、視聴予定回数を9に変更する。図4(B)にはダビング操作予定回数(ReservedDubbingCount)の書き換え手順が示されている。すなわち、ダビングを開始(51)し、これを終了(53)すると、初期設定されているダビング予定回数(ReservePlayCount)に対して―1をカウントして、そのカウント結果で視聴予定回数を置き換える。図4(C)には、編集を予定しているか否かを示すフラッグ(ReservedEditFlag)の書き換え手順が示されている。なんらの編集、マージや切り取りが、開始(61)され、これが終了(63)されると、オンに設定されている場合、編集予定フラッグ(ReservedEditFlag)をオフに反転する。編集予定フラッグはオンに設定されている間は、自動削除の対象外のコンテンツタイトルとなり、編集が実行されれば、当該フラッグはオフに反転して、自動削除の対象コンテンツタイトルとなる。
【0013】
【発明の効果】
このようにして、録画されているコンテンツタイトルについて、視聴、ダビング、編集などの操作予定を表す変数を初期設定し、設定の変数がない、すなわち、ゼロのコンテンツタイトルから自動削除するようにしたので、録画済みコンテンツをユーザーの意思に反して削除することはなくなる。しかも、その変数は、予定する操作が実際に行われると、それに反映して書き直されるので、その変数は常に現在の操作予定をあらわすことになり、自動削除によるユーザーの意思に反する削除をより確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による録画中断防止装置を具現化したHDDレコーダーのブロック図である。
【図2】この発明の録画中断防止装置の自動削除の手順を示すフローチャート図である。
【図3】この判明の録画中断防止装置の保存予定初期設定の手順を示すフローチャート図である。
【図4】この発明の録画中断防止装置の保存予定設定の手順を図(A),(B),(C)にそれぞれ示すフローチャート図である。
【符号の説明】
100 ハードディスク本体
700 メインマイコン
900 HDDマイコン
110,120,140,150 信号制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディジタル大容量蓄積手段、コンテンツタイトルを当該ディジタル大容量蓄積手段に録画するための手段、録画されたコンテンツタイトルにユーザー操作を行うユーザー操作手段、当該ディジタル大容量蓄積手段の録画可能容量を検出し、当該検出録画可能容量が所定の容量以下であるか否かを判定し、容量以下であるとき判定信号を発生する手段、コンテンツタイトルに対して保存予定変数を初期設定する手段、当該予定変数を当該判定信号に応答して検出する手段、および当該検出手段が検出した予定変数に対応してコンテンツタイトルを当該ディジタル大容量蓄積手段から削除する削除手段からなるコンテンツタイトルの録画再生装置用の録画中断防止装置。
【請求項2】
ディジタル大容量蓄積手段、コンテンツタイトルを当該ディジタル大容量蓄積手段に録画するための手段、録画されたコンテンツタイトルにユーザー操作を行うユーザー操作手段、当該ディジタル大容量蓄積手段の録画可能容量を検出し、当該検出録画可能容量が所定の容量以下であるか否かを判定し、容量以下であるとき判定信号を発生する手段、コンテンツタイトルに対してユーザー操作に関連した保存予定変数を初期設定する手段、当該予定変数を当該判定信号に応答して検出する手段、および当該検出手段が検出した予定変数に対応してコンテンツタイトルを当該ディジタル大容量蓄積手段から削除する削除手段からなるコンテンツタイトルの録画再生装置用の録画中断防止装置。
【請求項3】
当該ユーザー操作手段によって行うユーザー操作回数を計数する計数手段をさらに備え、当該計数手段の計数した回数に応答して当該保存予定変数を変更するようにした請求項1又は2に記載の録画中断防止装置。
【請求項4】
当該削除手段は、当該検出コンテンツタイトルを、その録画日時または視聴日時が古い順番に従って、削除するようにした請求項1ないし3のいずれか1に記載の録画中断防止装置。
【請求項5】
当該ユーザー操作は、ダビング、再生、および/または編集であるようにした請求項1ないし4のいずれか1に記載の録画中断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2004−266469(P2004−266469A)
【公開日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−53254(P2003−53254)
【出願日】平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願人】(390001959)オリオン電機株式会社 (427)
【Fターム(参考)】