鏡枠ユニット、及び鏡枠ユニットを備えた内視鏡
【課題】スペースの制約なく組立てが簡単な、光学部材の曇りを防止する鏡枠ユニット及び内視鏡を提供する。
【解決手段】鏡枠ユニットが、光学部材を収容している鏡枠本体、鏡枠本体の少なくとも一部を覆っている伝熱部、熱を発生する発熱部、温度を計測する温度計測部、及び発熱部と温度計測部とを実装している同一の電気配線基板を具備する。発熱部と温度計測部とは、電気配線基板上に離間して載置され、かつ、電気配線基板は、発熱部と温度計測部とが伝熱部に当接するように配置されている。発熱部と温度計測部とが最も近接する箇所間の熱抵抗は、発熱部と伝熱部との間及び温度計測部と伝熱部との間の熱抵抗よりも大きい。
【解決手段】鏡枠ユニットが、光学部材を収容している鏡枠本体、鏡枠本体の少なくとも一部を覆っている伝熱部、熱を発生する発熱部、温度を計測する温度計測部、及び発熱部と温度計測部とを実装している同一の電気配線基板を具備する。発熱部と温度計測部とは、電気配線基板上に離間して載置され、かつ、電気配線基板は、発熱部と温度計測部とが伝熱部に当接するように配置されている。発熱部と温度計測部とが最も近接する箇所間の熱抵抗は、発熱部と伝熱部との間及び温度計測部と伝熱部との間の熱抵抗よりも大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端に配置された光学部材の曇りを防止する鏡枠ユニット、及びこの鏡枠ユニットを備えた内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、体腔内に挿入してその内部の観察や処置を行うための硬性鏡、軟性鏡等の医療用内視鏡や、プラント設備内の検査や修理を行うための工業用内視鏡が広く使用されている。このような内視鏡では、その先端に配置された対物光学系の光学部材により接眼光学系あるいは撮像部に結像される観察対象の像に基づいて、所望の処置、検査等を行う。
【0003】
内視鏡が体腔内のような多湿な環境中に挿入されたとき、挿入された内視鏡の温度がその環境の温度よりも低ければ、その温度差により内視鏡先端の光学部材、例えば、レンズカバーの表面に曇りが生じうる。
【0004】
このような曇りに対処するために、例えば、特許文献1には、先端に配置された光学部材の曇りを防止する曇り防止部を備えた内視鏡が開示されている。この内視鏡では、円筒形状の鏡枠内部に収納されているレンズカバーの裏側に、リング状に形成されたヒータが配設されている。そして、予めヒータに通電してレンズカバーを適正な温度に加熱してから体腔内等に挿入することにより、レンズカバーの表面の曇りを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4616421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の内視鏡では、鏡枠内でレンズカバーの裏側にヒータを取り付けるための十分なスペースがないため、リング状という特殊な形状のヒータを製造する必要がある。また、内視鏡を小型化する場合、このようなヒータは、鏡枠内のスペースの制約により採用しにくい。さらに、鏡枠内は光学部材の取り付けに高い精度(例えば、数十マイクロメートル程度)が求められるところであるので、レンズカバー及びこれに取り付けられるヒータの組立てもまた難しい。
【0007】
そこで、本発明は、スペースに制約されず組立てが簡単な、光学部材の曇りを防止する鏡枠ユニット、及びこの鏡枠ユニットを備えた内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、光学部材を収容している鏡枠本体と、前記鏡枠本体の少なくとも一部を覆っている伝熱部と、熱を発生する発熱部と、温度を計測する温度計測部と、前記発熱部及び前記温度計測部を実装している同一の電気配線基板とを具備し、前記発熱部と前記温度計測部とは、前記電気配線基板上に離間して載置され、かつ、前記電気配線基板は、前記発熱部と前記温度計測部とが前記伝熱部に当接するように配置され、前記発熱部と前記温度計測部とが最も近接する箇所間の熱抵抗が、前記発熱部と前記伝熱部との間の熱抵抗、及び、前記温度計測部と前記伝熱部との間の熱抵抗よりも大きい鏡枠ユニットである。
【0009】
また、本発明の一実施形態は、上述の鏡枠ユニットを備えた内視鏡であって、前記光学部材を通った光を観察する接眼レンズと、前記発熱部への信号送信又は電力供給、及び前記温度計測部からの信号受信を行う端子部と、前記端子部と前記電気配線基板とを電気的に接続する配線部と、前記鏡枠ユニット、前記接眼レンズ、前記端子部及び前記配線部を保持する外装部とを具備する内視鏡である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スペースに制約されず組立てが簡単な、光学部材の曇りを防止する鏡枠ユニット、及びこの鏡枠ユニットを備えた内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、内視鏡(硬性鏡)の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、鏡枠ユニットを含む内視鏡先端を示す斜視図である。
【図3】図3は、外装部を取り外した状態の内視鏡先端を示す斜視図である。
【図4】図4は、鏡枠ユニットの伝熱部材と、チップヒータ、サーミスタ及びフレキシブル配線基板との組み付け構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、チップヒータ及びサーミスタが取り付けられたフレキシブル配線基板を示す斜視図である。
【図6】図6は、温度制御部を示すブロック図である。
【図7】図7は、第1の実施形態において、図3に示すA−A線に沿った長軸方向の断面での鏡枠ユニットの一部を示す図である。
【図8】図8は、第2の実施形態において、図7と同様の断面での鏡枠ユニットの一部を示す図である。
【図9】図9は、第2の実施形態の変形例において、図7と同様の断面での鏡枠ユニットの一部を示す図である。
【図10】図10は、第2の実施形態の変形例において、図7と同様の断面での鏡枠ユニットの一部を示す図である。
【図11】図11は、第3の実施形態の鏡枠ユニットを含む内視鏡先端を示す斜視図である。
【図12】図12は、第4の実施形態の鏡枠ユニットを含む内視鏡先端を示す斜視図である。
【図13】図13は、内視鏡(電子内視鏡)の構成を概略的に示す図である。
【図14】図14は、鏡枠ユニットを含む内視鏡先端を示す斜視図である。
【図15】図15は、第5の実施形態において、図14に示すB−B線に沿った長軸方向の断面での内視鏡の内部の構成を示す縦断面図である。
【図16】図16は、第6の実施形態において、図15と同様の断面での内視鏡の内部の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。
図1は、硬性鏡である内視鏡1の構成を概略的に示す図である。内視鏡1は、内視鏡先端側に配置された鏡枠ユニット10と、照明光を照射する発光部2と、鏡枠ユニット10及び発光部2を含む内視鏡本体全体を覆っている金属製の外装部3と、内視鏡基端側に配置され操作スイッチ5を有する操作部4と、接眼レンズ6と、端子部7とを有している。
【0013】
内視鏡1は、端子部7に接続される外部接続ケーブル8によって温度制御部9に電気的に接続される。なお、温度制御部9は内視鏡1とは別体として図示しているが、操作部4などの内視鏡内部に組み込まれてもよい。
【0014】
図2は、外装部3で覆われた状態の鏡枠ユニット10を含む内視鏡先端を示す斜視図である。図3は、外装部3を取り外した状態の鏡枠ユニット10を含む内視鏡先端を示す斜視図である。鏡枠ユニット10は、不図示の対物レンズ及び対物レンズの表面を覆っているレンズカバー11を含む対物光学系と、鏡枠本体12と、伝熱部材13と、チップヒータ14と、サーミスタ15と、チップヒータ14及びサーミスタ15が実装されているフレキシブル配線基板16とを有している。
【0015】
内視鏡1は、レンズカバー11及び対物レンズを通った光を接眼レンズ6で観察するように構成されている。発光部2及びレンズカバー11は、内視鏡先端表面に露出している。なお、レンズカバー11が設けられず対物レンズが内視鏡先端表面に露出されている構成であってもよい。以下の説明では、体腔内等に挿入されたときに曇りが防止される内視鏡先端のレンズカバー11と対物レンズとの少なくとも一方を光学部材と称する。
【0016】
鏡枠本体12は、円筒状の部材であり、その円筒内に対物光学系を収容している。伝熱部材13は、図3では鏡枠本体12の外周面ほぼ全体を覆っているが、必ずしもその必要はなく、鏡枠本体12の外周面の少なくとも一部を覆っていればよい。
【0017】
図4は、鏡枠ユニット10の伝熱部材13と、チップヒータ14、サーミスタ15及びフレキシブル配線基板16との組み付け構成を示す斜視図である。伝熱部材13は、チップヒータ14からの熱を伝達する伝熱部であり、その主材料は銅である。
【0018】
伝熱部材13には、発光部2が配設される第1の貫通孔17と、鏡枠本体12が配設される第2の貫通孔18と、フレキシブル配線基板16が取り付けられる溝状の切り欠き部19とが形成されている。第1及び第2の貫通孔17、18は、伝熱部材13の内部で長軸方向に延びており、また、切り欠き部19は、伝熱部材13の外周面に長軸方向に延びている。チップヒータ14及びサーミスタ15は、図4に矢印で示される方向で切り欠き部19中に当接されて埋設されることにより、図3に示すように伝熱部材13に取り付けられる。
【0019】
図5は、チップヒータ14及びサーミスタ15が取り付けられたフレキシブル配線基板16を示す斜視図である。チップヒータ14は、内視鏡先端の光学部材の防曇のために熱を発生する発熱部であり、また、サーミスタ15は、内視鏡先端の温度を計測する温度計測部である。チップヒータ14及びサーミスタ15の主材料は、熱伝導率の比較的高いアルミナ(常温で約38W/m・K)である。
【0020】
チップヒータ14とサーミスタ15とは、ただ1つの同一のフレキシブル配線基板16に、鏡枠ユニット10(内視鏡1)の長軸方向に並んで、すなわち列をなして取り付けられている。また、本実施形態では、サーミスタ15がチップヒータ14よりも内視鏡先端側となるように配置されている。チップヒータ14とサーミスタ15とは、フレキシブル配線基板16上に所定の間隔だけ離間して載置されており、大気下では間隔内の空気がチップヒータ14とサーミスタ15の間の伝熱を遮断する伝熱障壁部20として機能している。
【0021】
図6は、温度制御部9を示すブロック図である。温度制御部9は、設定部21と、比較部22と、駆動部23とを有している。設定部21には、目標温度が予め設定される。この目標温度は、体腔内に挿入された光学部材の曇りを防止することができる温度とする。
【0022】
内視鏡1が体腔内に挿入されたとき、鏡枠ユニット10のサーミスタ15により計測された内視鏡先端の温度は、フレキシブル配線基板16、外部接続ケーブル8等の配線部を経由して温度制御部9に伝送される。温度制御部9では、設定部21に設定された目標温度と、サーミスタ15が計測した温度(後述のように、この計測温度は内視鏡先端の光学部材の温度に近い)とを比較部22で比較する。そして、比較の結果、光学部材の防曇のために内視鏡先端の加熱が必要な場合には、駆動部23により駆動信号が出力されてチップヒータ14が駆動される。チップヒータ14は、サーミスタ15による計測温度が目標温度に近づくように発熱して内視鏡先端を温める。なお、端子部7は、チップヒータ14への信号送信又は電力供給と、サーミスタ15からの信号受信を行う。
【0023】
このように、温度制御部9は、サーミスタ15により計測された内視鏡先端の温度に基づいてチップヒータ14のON/OFFを制御して、光学部材の曇りを防止するように機能する。
【0024】
図7は、図3に示すA−A線に沿った長軸方向の断面での伝熱部材13、チップヒータ14、サーミスタ15、フレキシブル配線基板16及び伝熱障壁部20の関係を示す図である。図7における各構成部は、単なる図示目的のために必ずしもスケール合わせされていないことに注意する。
【0025】
本実施形態では、上述したように、チップヒータ14とサーミスタ15とは空気を介在して離間されている。すなわち、チップヒータ14とサーミスタ15との間は、空気が障壁となり熱が伝わりにくいようになっている。この空気の隙間は、例えば、長軸方向にほぼ一様な幅w=0.5mmで形成されている。チップヒータ14の径方向の厚みをd1、サーミスタ15の径方向の厚みをd2とし、d1=d2=0.2mmとする。また、常温でのチップヒータ14の材料の熱伝導率λ1、サーミスタ15の材料の熱伝導率λ2とし、λ1=λ2=38W/m・K、空気の熱伝導率λ3をλ3=0.024W/m・Kとする。
【0026】
このとき、伝熱部材13とチップヒータ14との間の熱の伝わりにくさを表す指標R1、伝熱部材13とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさを表す指標R2は、
R1=R2=d1/λ1=d2/λ2=0.2/38≒0.0052 ・・・式(1)
となる。また、チップヒータ14とサーミスタ15と間の熱の伝わりにくさを表す指標R3は、
R3=w/λ3=0.5/0.024≒20.8 ・・・式(2)
となる。
【0027】
従って、チップヒータ14とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさを表す指標R3が、伝熱部材13とチップヒータ14との間の熱の伝わりにくさを表す指標R1、伝熱部材13とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさを表す指標R2に比べて十分大きい。このように、R1<R3かつR2<R3の関係が成立すれば、チップヒータ14で発生した熱の大部分が伝熱部材13側に流れ、チップヒータ14からサーミスタ15に直接向かう熱はほとんどなく、伝熱障壁部20が熱的な障壁として十分に機能している。
【0028】
このような熱の伝わりにくさを表す指標は、いわゆる「熱抵抗」として理解されることができる伝熱特性である。このような熱抵抗は、伝熱部材13、チップヒータ14、サーミスタ15及び伝熱障壁部20を構成している材料に固有の熱伝導率と、これら部材の径方向の厚みや長軸方向の長さ、あるいはこれら部材の間の距離(部材の間が最も近接している箇所間の距離)、これら部材が互いに接触している表面積、これら部材の形状等によって決定される。
【0029】
なお、本実施形態では、大気下の空気が伝熱障壁となっているが、これは空気に限定されるものではない。窒素等の空気と同様な伝熱特性を有する気体であれば、同様に利用することができる。
【0030】
伝熱部材13の主材料である銅は、高い熱伝導率(常温で約398W/m・K)を有している。このような高い熱伝導率の伝熱部材13が鏡枠本体12を介して内視鏡先端のレンズカバー11の外周面に設けられているため、レンズカバー11は伝熱部材13の温度に近い温度となる。
【0031】
そして、サーミスタ15は、上述したようにチップヒータ14との熱のやり取りはほとんどなく、伝熱部材13との熱のやり取りが大部分を占める。このため、サーミスタ15で計測される温度は伝熱部材13の温度とみなせる。つまり、サーミスタ15は、レンズカバー11の温度に近い温度を計測することができる。伝熱障壁部20が適切に設定されていないと、サーミスタ15は伝熱部材13の温度ではなくチップヒータ14の温度を検出してしまうが、本実施形態では、上述のような構成によりレンズカバー11の温度に近い温度を確実に計測することができる。
【0032】
本実施形態では、鏡枠本体12の少なくとも一部を覆っている伝熱部材13にチップヒータ14を取り付けているので、鏡枠本体内にヒータを設ける場合のようなスペースの制約がなく、ヒータの配置に自由度を持たせることができる。
【0033】
また、熱伝導率が比較的低い空気の伝熱障壁部20を設けることにより、伝熱障壁部20の長軸方向の幅wを狭めても、伝熱部材13とチップヒータ14との間及び伝熱部材13とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさ、すなわち熱抵抗と、チップヒータ14とサーミスタ15との間の熱抵抗とに十分な差を設けることができる。これにより幅wを狭めることができるので、鏡枠ユニット10を、延いては内視鏡1を小型化しやすい。
【0034】
また、チップヒータ14とサーミスタ15とをただ1つの同一のフレキシブル配線基板16上に実装することにより、これらを別々の部品として伝熱部材13に取り付ける場合に比べて組立て性が良い。
【0035】
本実施形態では、チップヒータ14とサーミスタ15とを内視鏡長軸方向に並べて配置していることにより、伝熱障壁部20の幅wが取りやすくなっている。
【0036】
また、サーミスタ15をチップヒータ14よりも内視鏡先端側に配置していることにより、サーミスタ15が内視鏡先端の光学部材により近くなり、光学部材の温度をより正確に計測して光学部材の曇りを防止することができる。
【0037】
発光部2もまた、その先端から光を照射したときに熱を発生する。本実施形態では、発光部2、サーミスタ15、チップヒータ14が内視鏡先端側からこの順で長軸方向に配置されていることにより、サーミスタ15が発光部2とチップヒータ14との両方の熱源の熱を検知しやすくなり、局所的な温度上昇を防止することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、鏡枠本体の外周に配設した伝熱部材を介して内視鏡先端全体を温め、かくしてレンズカバーを温める構成により、防曇用ヒータの配置の自由度を向上させることができる。また、同一の電気配線基板上に発熱部と温度計測部とを実装することにより、鏡枠ユニットの組立て性を向上させることができる。さらに、発熱部と温度計測部との間に伝熱障壁部を設けることにより、温度計測部は、発熱部の温度ではなく、伝熱部の温度を計測でき、最終的に光学部材の温度を計測することができる。
【0039】
[変形例]
伝熱障壁部20としてエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの絶縁性の接着剤を用いた変形例について説明する。
【0040】
一般的なエポキシ樹脂の常温での熱伝導率λ4は、λ4=0.25W/m・K程度である。他の仕様は上述の空気の場合と同じとした場合、チップヒータ14とサーミスタ15と間の熱の伝わりにくさを表す指標R4は、
R4=w/λ4=0.5/0.25≒2 ・・・式(3)
となり、伝熱障壁部20として十分に機能する。
【0041】
エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの接着剤を伝熱障壁部20として用いれば、伝熱障壁部20にチップヒータ14とサーミスタ15との間隔を維持する機能も持たせることができる。
【0042】
また、伝熱障壁部20として使用する一般的な接着用のエポキシ樹脂やシリコーン接着剤の熱伝導率λ4はλ4=0.25W/m・K程度であり、また、内視鏡1に搭載可能なチップヒータ14の厚みd1やサーミスタ15の厚みd2の最大値はd1=d2=0.5mm程度である。チップヒータ14やサーミスタ15は、熱伝導率の比較的高いアルミナ等で構成されるのが一般的である。このため、伝熱障壁部20の幅wがw=0.1mm程度であれば、
R1=R2=d1/λ1=d2/λ2=0.5/38≒0.013 ・・・式(4)
R4=w/λ4=0.1/0.25≒0.4 ・・・式(5)
となる。従って、チップヒータ14とサーミスタ15との最も近接している箇所間の距離を0.1mm以上離間することにより、伝熱障壁部20としての機能が果たされる。また、伝熱障壁部20として、同様の特性を有する充填材を用いてもよい。
【0043】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について、図8を参照して説明する。図8以降も図7と同様に、各構成部はスケール合わせされていないことに注意する。内視鏡全体の構成は、図1と同様である。
【0044】
第1の実施形態では、伝熱部材13とチップヒータ14との結合面及び伝熱部材13とサーミスタ15との結合面が理想的な状態を示した。第2の実施形態では、鏡枠ユニット10は、チップヒータ14を伝熱部材13に結合するためのチップヒータ結合層24、及びサーミスタ15を伝熱部材13に結合するためのサーミスタ結合層25を有している。
【0045】
図8は、第2の実施形態において、図3に示すA−A線に沿った断面での伝熱部材13、チップヒータ14、サーミスタ15、フレキシブル配線基板16、伝熱障壁部20、チップヒータ結合層24及びサーミスタ結合層25の関係を示す図である。本実施形態では、伝熱障壁部20、チップヒータ結合層24及びサーミスタ結合層25の材料は、エポキシ樹脂の接着剤である。
【0046】
チップヒータ結合層24の熱伝導率λ5及びサーミスタ結合層25の熱伝導率λ6は、上述の変形例と同様に、λ5=λ6=0.25W/m・Kとする。チップヒータ14の径方向の厚みd1及びサーミスタ15の径方向の厚みd2は、d1=0.2mm、d2=0.18mmであり、チップヒータ結合層24の径方向の高さh1及びサーミスタ結合層25の径方向の高さh2は、h1=0.01mm、h2=0.03mmとする。他の仕様は、第1の実施形態と同様である。
【0047】
このとき、チップヒータ結合層24を考慮した伝熱部材13とチップヒータ14との間の熱の伝わりにくさを表す指標R5は、
R5=d1/λ1+h1/λ5=0.2/38+0.01/0.25≒0.0045 ・・・式(6)
となり、また、サーミスタ結合層25を考慮した伝熱部材13とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさを表す指標R6は、
R6=d2/λ2+h2/λ6=0.18/38+0.03/0.25≒0.12 ・・・式(7)
となる。チップヒータ14とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさを表す指標R3は、式(2)と同様に評価される。
【0048】
従って、チップヒータ14とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさを表す指標R3が、チップヒータ結合層24も含めた伝熱部材13とチップヒータ14との間の熱の伝わりにくさを表す指標R5、サーミスタ結合層25も含めた伝熱部材13とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさを表す指標R6に比べて十分大きい。このように、R5<R3かつR6<R3の関係が成立すれば、伝熱障壁部20が熱的な障壁として十分に機能している。
【0049】
本実施形態では、エポキシ樹脂等の接着剤を用いて、チップヒータ14及びサーミスタ15の伝熱部材13への固定と、伝熱障壁部20へのエポキシ樹脂の充填とを同時に行うことができるので、組立て性が向上する。
【0050】
また、本実施形態では、チップヒータ14がサーミスタ15よりも厚い。従って、フレキシブル配線基板16側からチップヒータ14及びサーミスタ15を伝熱部材13の切り欠き部19に押し付けて接着したとき、チップヒータ結合層24の高さh1をサーミスタ結合層25の高さh2よりも薄くすることができ、
h1/λ5=0.04<0.12=h2/λ6 ・・・式(8)
となる。これにより、熱量の移動が最も大きい伝熱部材13とチップヒータ14との間の伝熱性を向上させることができる。
【0051】
また、伝熱障壁部20を空気に設定し、チップヒータ14とサーミスタ15とを伝熱部材13にロウ又ははんだ付けしてもよい。金属からなるロウやはんだは、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂の接着剤に比べて熱伝導率が高い。このため、伝熱障壁部20との伝熱性の差を大きくすることができる。また、乾燥時間や保温時間が必要ないので、接着剤を用いる方法に比べて作業時間を短くすることができる。
【0052】
[変形例]
図9に示す変形例では、伝熱部材13のチップヒータ14と当接する部分(切り欠き部19)に、切り欠き部19の面から径方向外側に突出した伝熱部材凸部26が設けられている。これにより、チップヒータ結合層24を薄くすることができる。
【0053】
反対に、図10に示す変形例では、伝熱部材13とサーミスタ15と当接する部分(切り欠き部19)に、切り欠き部19の面から径方向内側に窪んだ伝熱部材凹部27が設けられている。伝熱部材凹部27は、例えばエポキシ樹脂であるサーミスタ結合層25によって充填される。このような構成によっても、チップヒータ結合層24を薄くすることができる。
【0054】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態について、図11を参照して説明する。内視鏡全体の構成は、図1と同様である。
【0055】
図11は、第3の実施形態の鏡枠ユニットを含む内視鏡先端を示す斜視図である。第3の実施形態では、銅でできた伝熱部材13に代わってグラファイトシートでできた伝熱部材28を用いる。グラファイトシートの主な材料は炭素であり、面方向(横方向)の熱伝導率が800W/m・Kと非常に高い。また、熱伝達の均一性、すなわち均熱性も高い。
【0056】
本実施形態では、厚さ0.1mmのグラファイトシートでできた伝熱部材28が、鏡枠本体12の外周面の少なくとも一部に巻き付けられている。チップヒータ14及びサーミスタ15は、伝熱部材28に密着して配置されている。チップヒータ14とサーミスタ15との間には、第1及び第2の実施形態と同様に、空気又は樹脂による伝熱障壁部20が設けられている。
【0057】
本実施形態においても、チップヒータ14から発生した熱の大部分は、伝熱部材13に移動する。この伝熱部材13が鏡枠本体12及びこれに収容されたレンズカバー11を温めるので、内視鏡先端のレンズカバー11は、グラファイトシートでできた伝熱部材28とほぼ同じ温度となる。また、伝熱障壁部20が設けられていることにより、サーミスタ15は、チップヒータ14の温度ではなく伝熱部材28の温度を計測することができる。かくして、レンズカバー11の温度を計測することができる。
【0058】
本実施形態では、伝熱部材28の熱伝導率が非常に高いので、鏡枠本体12の外周面に巻き付ける伝熱部材28が少なくても十分な伝熱性を有する。従って、光学部材を確実に温めてその曇りを防止することができる。
【0059】
また、鏡枠本体12の外周面に巻き付けた伝熱部材28の後端を数〜数十mm程度後端側に延ばして、この延ばした後端部分にチップヒータ14及びサーミスタ15を当接させる。このように、本実施形態では、部材が密集してスペースが不足しやすい内視鏡先端側にチップヒータ14やサーミスタ15を配置しなくても、チップヒータ14から伝熱部材28を介して光学部材を温めたり、サーミスタ15により伝熱部材28の、最終的に光学部材の温度を計測したりすることができる。
【0060】
なお、炭素を主材料とするシート状の部材として、グラファイトシートだけでなく、カーボンナノチューブなどの伝熱性に優れた材料を適宜採用することができる。
【0061】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態について、図12を参照して説明する。内視鏡全体の構成は、図1と同様である。
【0062】
図12は、第4の実施形態の鏡枠ユニットを含む内視鏡先端を示す斜視図である。本実施形態では、チップヒータ14とサーミスタ15とは、内視鏡先端で周方向に、すなわち径方向に並べて配置されている。また、サーミスタ15は、チップヒータ14よりも発光部2に近い側に配置されている。チップヒータ14とサーミスタ15との間には、空気又は樹脂による伝熱障壁部20が設けられている。
【0063】
チップヒータ14とサーミスタ15とを径方向に並べて配置することにより、チップヒータ14とサーミスタ15との両方をレンズカバー11の近くに配置することができる。このため、チップヒータ14による光学部材の加熱のしやすさ、及びサーミスタ15による温度検知の正確さが向上する。
【0064】
さらに、径方向において、サーミスタ15を発光部2とチップヒータ14との間に配置することにより、サーミスタ15が発光部2とチップヒータ14との両方の熱源の熱を検知しやすくなり、局所的な温度上昇を防止することができる。
【0065】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態について、図13乃至図15を参照して説明する。なお、以下では、第5の実施形態の主な構成及び特徴部分を説明し、第1の実施形態と同様の構成はその説明を省略する。
【0066】
図13は、電子内視鏡である内視鏡100の構成を概略的に示す図である。内視鏡100は、内視鏡先端側に配置された鏡枠ユニット111と、照明光を照射する発光部101と、鏡枠ユニット111及び発光部101を含む内視鏡本体全体を覆っている金属製の外装部102と、内視鏡基端側に配置されスイッチ104を有する操作部103と、端子部105とを有している。
【0067】
内視鏡100は、端子部105に接続される外部接続ケーブル106によって温度制御部107、ビデオセンター108、光源109、モニタ110に電気的に接続される。外部接続ケーブル106は、温度制御部107との信号の送受信、ビデオセンター108への映像信号の伝送、発光部101への照明光をガイドするユニバーサルコードである。
【0068】
図14は、外装部102で覆われた状態の鏡枠ユニット111を含む内視鏡先端を示す斜視図である。図15は、図14に示すB−B線に沿った長軸方向の断面での内視鏡100の内部の構成を示す縦断面図である。鏡枠ユニット111は、対物レンズ113及びこの表面を覆っているレンズカバー112を含む対物光学系と、鏡枠本体114と、伝熱部材115と、チップヒータ116と、サーミスタ117と、チップヒータ116及びサーミスタ117が実装されているフレキシブル配線基板118とを有している。本実施形態では、フレキシブル配線基板118が端子部105まで続いている。
【0069】
鏡枠本体114の内視鏡基端側には、撮像部固定フレーム120に固定された撮像部119と、撮像部119に接続された画像出力ケーブル121とが配置されている。画像出力ケーブル121は、端子部105に接続されている。
【0070】
内視鏡100を用いた観察等を行う際には、撮像部119は、対物光学系を通って結像した像を光電変換する。そして、撮像部119から読み出された映像信号を画像出力ケーブル121が伝送し端子部105へと出力する。なお、端子部105は、チップヒータ116への信号送信又は電力供給、サーミスタ117からの信号受信、画像出力ケーブル121からの映像信号受信を行う。
【0071】
チップヒータ116とサーミスタ117との間は所定の間隔だけ離間されており、伝熱障壁部122を形成している。本実施形態では、伝熱障壁部122は熱伝導率の比較的低い樹脂でできている。
【0072】
本実施形態においても、上述の実施形態と同様に、ヒータの配置に自由度があり組立て性に優れた内視鏡を提供することができる。
【0073】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態について、図16を参照して説明する。第6の実施形態では、内視鏡の構成は第5の実施形態の内視鏡100と同様であるのでその説明は省略する。以下では、内視鏡100と異なる構成を説明する。
【0074】
図16は、図14に示すB−B線に沿った長軸方向の断面での内視鏡の内部の構成を示す縦断面図である。この内視鏡では、チップヒータ116及びサーミスタ117が実装されているフレキシブル配線基板118を途中で電気配線123に替えて、この電気配線123が端子部105まで続いている。
【0075】
発光部101や撮像部119から発生する熱は、伝熱部材115に伝わり温度を均一化する。発光部101や撮像部119の熱によって伝熱部材115の温度が目標温度に近づくと、チップヒータ116から与えられる熱は減少する。
【0076】
なお、第5及び第6の実施形態の内視鏡100においても、第1の実施形態の変形例、第2の実施形態及びその変形例、第3及び第4の実施形態のような鏡枠ユニットを適宜採用することができる。
【0077】
また、第1〜第6の実施形態の変形例として、以下のような態様が適用されることができる。
温度計測部として、サーミスタだけでなく、白金温度センサや熱電対を用いてもよい。
発熱部として、チップヒータだけでなく、他の抵抗加熱やLEDや磁気損失や誘電損失による発熱を用いてもよい。
電気配線基板として、フレキシブル配線基板だけでなく、リジットな配線基板を用いてもよい。
伝熱部材として、銅やグラファイトシートだけでなく、アルミ等の熱伝導率の高い素材を用いてもよい。
【0078】
以上、本発明の各実施形態並びに変形例について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまな改良及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…内視鏡(硬性鏡)、2…発光部、3…外装部、4…操作部、5…操作スイッチ、6…接眼レンズ、7…端子部、8…外部接続ケーブル、9…温度制御部、10…鏡枠ユニット、11…レンズカバー、12…鏡枠本体、13…伝熱部材、14…チップヒータ、15…サーミスタ、16…フレキシブル配線基板、17、18…貫通孔、19…切り欠き部、20…伝熱障壁部、21…設定部、22…比較部、23…駆動部、24…チップヒータ結合層、25…サーミスタ結合層、26…伝熱部材凸部、27…伝熱部材凹部、28…伝熱部材、100…内視鏡(電子内視鏡)、101…発光部、102…外装部、103…操作部、104…操作スイッチ、105…端子部、106…外部接続ケーブル、107…温度制御部、108…ビデオセンター、109…光源、110…モニタ、111…鏡枠ユニット、112…レンズカバー、113…対物レンズ、114…鏡枠本体、115…伝熱部材、116…チップヒータ、117…サーミスタ、118…フレキシブル配線基板、119…撮像部、120…撮像部固定フレーム、121…画像出力ケーブル、122…伝熱障壁部、123…電気配線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端に配置された光学部材の曇りを防止する鏡枠ユニット、及びこの鏡枠ユニットを備えた内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、体腔内に挿入してその内部の観察や処置を行うための硬性鏡、軟性鏡等の医療用内視鏡や、プラント設備内の検査や修理を行うための工業用内視鏡が広く使用されている。このような内視鏡では、その先端に配置された対物光学系の光学部材により接眼光学系あるいは撮像部に結像される観察対象の像に基づいて、所望の処置、検査等を行う。
【0003】
内視鏡が体腔内のような多湿な環境中に挿入されたとき、挿入された内視鏡の温度がその環境の温度よりも低ければ、その温度差により内視鏡先端の光学部材、例えば、レンズカバーの表面に曇りが生じうる。
【0004】
このような曇りに対処するために、例えば、特許文献1には、先端に配置された光学部材の曇りを防止する曇り防止部を備えた内視鏡が開示されている。この内視鏡では、円筒形状の鏡枠内部に収納されているレンズカバーの裏側に、リング状に形成されたヒータが配設されている。そして、予めヒータに通電してレンズカバーを適正な温度に加熱してから体腔内等に挿入することにより、レンズカバーの表面の曇りを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4616421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の内視鏡では、鏡枠内でレンズカバーの裏側にヒータを取り付けるための十分なスペースがないため、リング状という特殊な形状のヒータを製造する必要がある。また、内視鏡を小型化する場合、このようなヒータは、鏡枠内のスペースの制約により採用しにくい。さらに、鏡枠内は光学部材の取り付けに高い精度(例えば、数十マイクロメートル程度)が求められるところであるので、レンズカバー及びこれに取り付けられるヒータの組立てもまた難しい。
【0007】
そこで、本発明は、スペースに制約されず組立てが簡単な、光学部材の曇りを防止する鏡枠ユニット、及びこの鏡枠ユニットを備えた内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、光学部材を収容している鏡枠本体と、前記鏡枠本体の少なくとも一部を覆っている伝熱部と、熱を発生する発熱部と、温度を計測する温度計測部と、前記発熱部及び前記温度計測部を実装している同一の電気配線基板とを具備し、前記発熱部と前記温度計測部とは、前記電気配線基板上に離間して載置され、かつ、前記電気配線基板は、前記発熱部と前記温度計測部とが前記伝熱部に当接するように配置され、前記発熱部と前記温度計測部とが最も近接する箇所間の熱抵抗が、前記発熱部と前記伝熱部との間の熱抵抗、及び、前記温度計測部と前記伝熱部との間の熱抵抗よりも大きい鏡枠ユニットである。
【0009】
また、本発明の一実施形態は、上述の鏡枠ユニットを備えた内視鏡であって、前記光学部材を通った光を観察する接眼レンズと、前記発熱部への信号送信又は電力供給、及び前記温度計測部からの信号受信を行う端子部と、前記端子部と前記電気配線基板とを電気的に接続する配線部と、前記鏡枠ユニット、前記接眼レンズ、前記端子部及び前記配線部を保持する外装部とを具備する内視鏡である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スペースに制約されず組立てが簡単な、光学部材の曇りを防止する鏡枠ユニット、及びこの鏡枠ユニットを備えた内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、内視鏡(硬性鏡)の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、鏡枠ユニットを含む内視鏡先端を示す斜視図である。
【図3】図3は、外装部を取り外した状態の内視鏡先端を示す斜視図である。
【図4】図4は、鏡枠ユニットの伝熱部材と、チップヒータ、サーミスタ及びフレキシブル配線基板との組み付け構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、チップヒータ及びサーミスタが取り付けられたフレキシブル配線基板を示す斜視図である。
【図6】図6は、温度制御部を示すブロック図である。
【図7】図7は、第1の実施形態において、図3に示すA−A線に沿った長軸方向の断面での鏡枠ユニットの一部を示す図である。
【図8】図8は、第2の実施形態において、図7と同様の断面での鏡枠ユニットの一部を示す図である。
【図9】図9は、第2の実施形態の変形例において、図7と同様の断面での鏡枠ユニットの一部を示す図である。
【図10】図10は、第2の実施形態の変形例において、図7と同様の断面での鏡枠ユニットの一部を示す図である。
【図11】図11は、第3の実施形態の鏡枠ユニットを含む内視鏡先端を示す斜視図である。
【図12】図12は、第4の実施形態の鏡枠ユニットを含む内視鏡先端を示す斜視図である。
【図13】図13は、内視鏡(電子内視鏡)の構成を概略的に示す図である。
【図14】図14は、鏡枠ユニットを含む内視鏡先端を示す斜視図である。
【図15】図15は、第5の実施形態において、図14に示すB−B線に沿った長軸方向の断面での内視鏡の内部の構成を示す縦断面図である。
【図16】図16は、第6の実施形態において、図15と同様の断面での内視鏡の内部の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。
図1は、硬性鏡である内視鏡1の構成を概略的に示す図である。内視鏡1は、内視鏡先端側に配置された鏡枠ユニット10と、照明光を照射する発光部2と、鏡枠ユニット10及び発光部2を含む内視鏡本体全体を覆っている金属製の外装部3と、内視鏡基端側に配置され操作スイッチ5を有する操作部4と、接眼レンズ6と、端子部7とを有している。
【0013】
内視鏡1は、端子部7に接続される外部接続ケーブル8によって温度制御部9に電気的に接続される。なお、温度制御部9は内視鏡1とは別体として図示しているが、操作部4などの内視鏡内部に組み込まれてもよい。
【0014】
図2は、外装部3で覆われた状態の鏡枠ユニット10を含む内視鏡先端を示す斜視図である。図3は、外装部3を取り外した状態の鏡枠ユニット10を含む内視鏡先端を示す斜視図である。鏡枠ユニット10は、不図示の対物レンズ及び対物レンズの表面を覆っているレンズカバー11を含む対物光学系と、鏡枠本体12と、伝熱部材13と、チップヒータ14と、サーミスタ15と、チップヒータ14及びサーミスタ15が実装されているフレキシブル配線基板16とを有している。
【0015】
内視鏡1は、レンズカバー11及び対物レンズを通った光を接眼レンズ6で観察するように構成されている。発光部2及びレンズカバー11は、内視鏡先端表面に露出している。なお、レンズカバー11が設けられず対物レンズが内視鏡先端表面に露出されている構成であってもよい。以下の説明では、体腔内等に挿入されたときに曇りが防止される内視鏡先端のレンズカバー11と対物レンズとの少なくとも一方を光学部材と称する。
【0016】
鏡枠本体12は、円筒状の部材であり、その円筒内に対物光学系を収容している。伝熱部材13は、図3では鏡枠本体12の外周面ほぼ全体を覆っているが、必ずしもその必要はなく、鏡枠本体12の外周面の少なくとも一部を覆っていればよい。
【0017】
図4は、鏡枠ユニット10の伝熱部材13と、チップヒータ14、サーミスタ15及びフレキシブル配線基板16との組み付け構成を示す斜視図である。伝熱部材13は、チップヒータ14からの熱を伝達する伝熱部であり、その主材料は銅である。
【0018】
伝熱部材13には、発光部2が配設される第1の貫通孔17と、鏡枠本体12が配設される第2の貫通孔18と、フレキシブル配線基板16が取り付けられる溝状の切り欠き部19とが形成されている。第1及び第2の貫通孔17、18は、伝熱部材13の内部で長軸方向に延びており、また、切り欠き部19は、伝熱部材13の外周面に長軸方向に延びている。チップヒータ14及びサーミスタ15は、図4に矢印で示される方向で切り欠き部19中に当接されて埋設されることにより、図3に示すように伝熱部材13に取り付けられる。
【0019】
図5は、チップヒータ14及びサーミスタ15が取り付けられたフレキシブル配線基板16を示す斜視図である。チップヒータ14は、内視鏡先端の光学部材の防曇のために熱を発生する発熱部であり、また、サーミスタ15は、内視鏡先端の温度を計測する温度計測部である。チップヒータ14及びサーミスタ15の主材料は、熱伝導率の比較的高いアルミナ(常温で約38W/m・K)である。
【0020】
チップヒータ14とサーミスタ15とは、ただ1つの同一のフレキシブル配線基板16に、鏡枠ユニット10(内視鏡1)の長軸方向に並んで、すなわち列をなして取り付けられている。また、本実施形態では、サーミスタ15がチップヒータ14よりも内視鏡先端側となるように配置されている。チップヒータ14とサーミスタ15とは、フレキシブル配線基板16上に所定の間隔だけ離間して載置されており、大気下では間隔内の空気がチップヒータ14とサーミスタ15の間の伝熱を遮断する伝熱障壁部20として機能している。
【0021】
図6は、温度制御部9を示すブロック図である。温度制御部9は、設定部21と、比較部22と、駆動部23とを有している。設定部21には、目標温度が予め設定される。この目標温度は、体腔内に挿入された光学部材の曇りを防止することができる温度とする。
【0022】
内視鏡1が体腔内に挿入されたとき、鏡枠ユニット10のサーミスタ15により計測された内視鏡先端の温度は、フレキシブル配線基板16、外部接続ケーブル8等の配線部を経由して温度制御部9に伝送される。温度制御部9では、設定部21に設定された目標温度と、サーミスタ15が計測した温度(後述のように、この計測温度は内視鏡先端の光学部材の温度に近い)とを比較部22で比較する。そして、比較の結果、光学部材の防曇のために内視鏡先端の加熱が必要な場合には、駆動部23により駆動信号が出力されてチップヒータ14が駆動される。チップヒータ14は、サーミスタ15による計測温度が目標温度に近づくように発熱して内視鏡先端を温める。なお、端子部7は、チップヒータ14への信号送信又は電力供給と、サーミスタ15からの信号受信を行う。
【0023】
このように、温度制御部9は、サーミスタ15により計測された内視鏡先端の温度に基づいてチップヒータ14のON/OFFを制御して、光学部材の曇りを防止するように機能する。
【0024】
図7は、図3に示すA−A線に沿った長軸方向の断面での伝熱部材13、チップヒータ14、サーミスタ15、フレキシブル配線基板16及び伝熱障壁部20の関係を示す図である。図7における各構成部は、単なる図示目的のために必ずしもスケール合わせされていないことに注意する。
【0025】
本実施形態では、上述したように、チップヒータ14とサーミスタ15とは空気を介在して離間されている。すなわち、チップヒータ14とサーミスタ15との間は、空気が障壁となり熱が伝わりにくいようになっている。この空気の隙間は、例えば、長軸方向にほぼ一様な幅w=0.5mmで形成されている。チップヒータ14の径方向の厚みをd1、サーミスタ15の径方向の厚みをd2とし、d1=d2=0.2mmとする。また、常温でのチップヒータ14の材料の熱伝導率λ1、サーミスタ15の材料の熱伝導率λ2とし、λ1=λ2=38W/m・K、空気の熱伝導率λ3をλ3=0.024W/m・Kとする。
【0026】
このとき、伝熱部材13とチップヒータ14との間の熱の伝わりにくさを表す指標R1、伝熱部材13とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさを表す指標R2は、
R1=R2=d1/λ1=d2/λ2=0.2/38≒0.0052 ・・・式(1)
となる。また、チップヒータ14とサーミスタ15と間の熱の伝わりにくさを表す指標R3は、
R3=w/λ3=0.5/0.024≒20.8 ・・・式(2)
となる。
【0027】
従って、チップヒータ14とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさを表す指標R3が、伝熱部材13とチップヒータ14との間の熱の伝わりにくさを表す指標R1、伝熱部材13とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさを表す指標R2に比べて十分大きい。このように、R1<R3かつR2<R3の関係が成立すれば、チップヒータ14で発生した熱の大部分が伝熱部材13側に流れ、チップヒータ14からサーミスタ15に直接向かう熱はほとんどなく、伝熱障壁部20が熱的な障壁として十分に機能している。
【0028】
このような熱の伝わりにくさを表す指標は、いわゆる「熱抵抗」として理解されることができる伝熱特性である。このような熱抵抗は、伝熱部材13、チップヒータ14、サーミスタ15及び伝熱障壁部20を構成している材料に固有の熱伝導率と、これら部材の径方向の厚みや長軸方向の長さ、あるいはこれら部材の間の距離(部材の間が最も近接している箇所間の距離)、これら部材が互いに接触している表面積、これら部材の形状等によって決定される。
【0029】
なお、本実施形態では、大気下の空気が伝熱障壁となっているが、これは空気に限定されるものではない。窒素等の空気と同様な伝熱特性を有する気体であれば、同様に利用することができる。
【0030】
伝熱部材13の主材料である銅は、高い熱伝導率(常温で約398W/m・K)を有している。このような高い熱伝導率の伝熱部材13が鏡枠本体12を介して内視鏡先端のレンズカバー11の外周面に設けられているため、レンズカバー11は伝熱部材13の温度に近い温度となる。
【0031】
そして、サーミスタ15は、上述したようにチップヒータ14との熱のやり取りはほとんどなく、伝熱部材13との熱のやり取りが大部分を占める。このため、サーミスタ15で計測される温度は伝熱部材13の温度とみなせる。つまり、サーミスタ15は、レンズカバー11の温度に近い温度を計測することができる。伝熱障壁部20が適切に設定されていないと、サーミスタ15は伝熱部材13の温度ではなくチップヒータ14の温度を検出してしまうが、本実施形態では、上述のような構成によりレンズカバー11の温度に近い温度を確実に計測することができる。
【0032】
本実施形態では、鏡枠本体12の少なくとも一部を覆っている伝熱部材13にチップヒータ14を取り付けているので、鏡枠本体内にヒータを設ける場合のようなスペースの制約がなく、ヒータの配置に自由度を持たせることができる。
【0033】
また、熱伝導率が比較的低い空気の伝熱障壁部20を設けることにより、伝熱障壁部20の長軸方向の幅wを狭めても、伝熱部材13とチップヒータ14との間及び伝熱部材13とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさ、すなわち熱抵抗と、チップヒータ14とサーミスタ15との間の熱抵抗とに十分な差を設けることができる。これにより幅wを狭めることができるので、鏡枠ユニット10を、延いては内視鏡1を小型化しやすい。
【0034】
また、チップヒータ14とサーミスタ15とをただ1つの同一のフレキシブル配線基板16上に実装することにより、これらを別々の部品として伝熱部材13に取り付ける場合に比べて組立て性が良い。
【0035】
本実施形態では、チップヒータ14とサーミスタ15とを内視鏡長軸方向に並べて配置していることにより、伝熱障壁部20の幅wが取りやすくなっている。
【0036】
また、サーミスタ15をチップヒータ14よりも内視鏡先端側に配置していることにより、サーミスタ15が内視鏡先端の光学部材により近くなり、光学部材の温度をより正確に計測して光学部材の曇りを防止することができる。
【0037】
発光部2もまた、その先端から光を照射したときに熱を発生する。本実施形態では、発光部2、サーミスタ15、チップヒータ14が内視鏡先端側からこの順で長軸方向に配置されていることにより、サーミスタ15が発光部2とチップヒータ14との両方の熱源の熱を検知しやすくなり、局所的な温度上昇を防止することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、鏡枠本体の外周に配設した伝熱部材を介して内視鏡先端全体を温め、かくしてレンズカバーを温める構成により、防曇用ヒータの配置の自由度を向上させることができる。また、同一の電気配線基板上に発熱部と温度計測部とを実装することにより、鏡枠ユニットの組立て性を向上させることができる。さらに、発熱部と温度計測部との間に伝熱障壁部を設けることにより、温度計測部は、発熱部の温度ではなく、伝熱部の温度を計測でき、最終的に光学部材の温度を計測することができる。
【0039】
[変形例]
伝熱障壁部20としてエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの絶縁性の接着剤を用いた変形例について説明する。
【0040】
一般的なエポキシ樹脂の常温での熱伝導率λ4は、λ4=0.25W/m・K程度である。他の仕様は上述の空気の場合と同じとした場合、チップヒータ14とサーミスタ15と間の熱の伝わりにくさを表す指標R4は、
R4=w/λ4=0.5/0.25≒2 ・・・式(3)
となり、伝熱障壁部20として十分に機能する。
【0041】
エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの接着剤を伝熱障壁部20として用いれば、伝熱障壁部20にチップヒータ14とサーミスタ15との間隔を維持する機能も持たせることができる。
【0042】
また、伝熱障壁部20として使用する一般的な接着用のエポキシ樹脂やシリコーン接着剤の熱伝導率λ4はλ4=0.25W/m・K程度であり、また、内視鏡1に搭載可能なチップヒータ14の厚みd1やサーミスタ15の厚みd2の最大値はd1=d2=0.5mm程度である。チップヒータ14やサーミスタ15は、熱伝導率の比較的高いアルミナ等で構成されるのが一般的である。このため、伝熱障壁部20の幅wがw=0.1mm程度であれば、
R1=R2=d1/λ1=d2/λ2=0.5/38≒0.013 ・・・式(4)
R4=w/λ4=0.1/0.25≒0.4 ・・・式(5)
となる。従って、チップヒータ14とサーミスタ15との最も近接している箇所間の距離を0.1mm以上離間することにより、伝熱障壁部20としての機能が果たされる。また、伝熱障壁部20として、同様の特性を有する充填材を用いてもよい。
【0043】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について、図8を参照して説明する。図8以降も図7と同様に、各構成部はスケール合わせされていないことに注意する。内視鏡全体の構成は、図1と同様である。
【0044】
第1の実施形態では、伝熱部材13とチップヒータ14との結合面及び伝熱部材13とサーミスタ15との結合面が理想的な状態を示した。第2の実施形態では、鏡枠ユニット10は、チップヒータ14を伝熱部材13に結合するためのチップヒータ結合層24、及びサーミスタ15を伝熱部材13に結合するためのサーミスタ結合層25を有している。
【0045】
図8は、第2の実施形態において、図3に示すA−A線に沿った断面での伝熱部材13、チップヒータ14、サーミスタ15、フレキシブル配線基板16、伝熱障壁部20、チップヒータ結合層24及びサーミスタ結合層25の関係を示す図である。本実施形態では、伝熱障壁部20、チップヒータ結合層24及びサーミスタ結合層25の材料は、エポキシ樹脂の接着剤である。
【0046】
チップヒータ結合層24の熱伝導率λ5及びサーミスタ結合層25の熱伝導率λ6は、上述の変形例と同様に、λ5=λ6=0.25W/m・Kとする。チップヒータ14の径方向の厚みd1及びサーミスタ15の径方向の厚みd2は、d1=0.2mm、d2=0.18mmであり、チップヒータ結合層24の径方向の高さh1及びサーミスタ結合層25の径方向の高さh2は、h1=0.01mm、h2=0.03mmとする。他の仕様は、第1の実施形態と同様である。
【0047】
このとき、チップヒータ結合層24を考慮した伝熱部材13とチップヒータ14との間の熱の伝わりにくさを表す指標R5は、
R5=d1/λ1+h1/λ5=0.2/38+0.01/0.25≒0.0045 ・・・式(6)
となり、また、サーミスタ結合層25を考慮した伝熱部材13とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさを表す指標R6は、
R6=d2/λ2+h2/λ6=0.18/38+0.03/0.25≒0.12 ・・・式(7)
となる。チップヒータ14とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさを表す指標R3は、式(2)と同様に評価される。
【0048】
従って、チップヒータ14とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさを表す指標R3が、チップヒータ結合層24も含めた伝熱部材13とチップヒータ14との間の熱の伝わりにくさを表す指標R5、サーミスタ結合層25も含めた伝熱部材13とサーミスタ15との間の熱の伝わりにくさを表す指標R6に比べて十分大きい。このように、R5<R3かつR6<R3の関係が成立すれば、伝熱障壁部20が熱的な障壁として十分に機能している。
【0049】
本実施形態では、エポキシ樹脂等の接着剤を用いて、チップヒータ14及びサーミスタ15の伝熱部材13への固定と、伝熱障壁部20へのエポキシ樹脂の充填とを同時に行うことができるので、組立て性が向上する。
【0050】
また、本実施形態では、チップヒータ14がサーミスタ15よりも厚い。従って、フレキシブル配線基板16側からチップヒータ14及びサーミスタ15を伝熱部材13の切り欠き部19に押し付けて接着したとき、チップヒータ結合層24の高さh1をサーミスタ結合層25の高さh2よりも薄くすることができ、
h1/λ5=0.04<0.12=h2/λ6 ・・・式(8)
となる。これにより、熱量の移動が最も大きい伝熱部材13とチップヒータ14との間の伝熱性を向上させることができる。
【0051】
また、伝熱障壁部20を空気に設定し、チップヒータ14とサーミスタ15とを伝熱部材13にロウ又ははんだ付けしてもよい。金属からなるロウやはんだは、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂の接着剤に比べて熱伝導率が高い。このため、伝熱障壁部20との伝熱性の差を大きくすることができる。また、乾燥時間や保温時間が必要ないので、接着剤を用いる方法に比べて作業時間を短くすることができる。
【0052】
[変形例]
図9に示す変形例では、伝熱部材13のチップヒータ14と当接する部分(切り欠き部19)に、切り欠き部19の面から径方向外側に突出した伝熱部材凸部26が設けられている。これにより、チップヒータ結合層24を薄くすることができる。
【0053】
反対に、図10に示す変形例では、伝熱部材13とサーミスタ15と当接する部分(切り欠き部19)に、切り欠き部19の面から径方向内側に窪んだ伝熱部材凹部27が設けられている。伝熱部材凹部27は、例えばエポキシ樹脂であるサーミスタ結合層25によって充填される。このような構成によっても、チップヒータ結合層24を薄くすることができる。
【0054】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態について、図11を参照して説明する。内視鏡全体の構成は、図1と同様である。
【0055】
図11は、第3の実施形態の鏡枠ユニットを含む内視鏡先端を示す斜視図である。第3の実施形態では、銅でできた伝熱部材13に代わってグラファイトシートでできた伝熱部材28を用いる。グラファイトシートの主な材料は炭素であり、面方向(横方向)の熱伝導率が800W/m・Kと非常に高い。また、熱伝達の均一性、すなわち均熱性も高い。
【0056】
本実施形態では、厚さ0.1mmのグラファイトシートでできた伝熱部材28が、鏡枠本体12の外周面の少なくとも一部に巻き付けられている。チップヒータ14及びサーミスタ15は、伝熱部材28に密着して配置されている。チップヒータ14とサーミスタ15との間には、第1及び第2の実施形態と同様に、空気又は樹脂による伝熱障壁部20が設けられている。
【0057】
本実施形態においても、チップヒータ14から発生した熱の大部分は、伝熱部材13に移動する。この伝熱部材13が鏡枠本体12及びこれに収容されたレンズカバー11を温めるので、内視鏡先端のレンズカバー11は、グラファイトシートでできた伝熱部材28とほぼ同じ温度となる。また、伝熱障壁部20が設けられていることにより、サーミスタ15は、チップヒータ14の温度ではなく伝熱部材28の温度を計測することができる。かくして、レンズカバー11の温度を計測することができる。
【0058】
本実施形態では、伝熱部材28の熱伝導率が非常に高いので、鏡枠本体12の外周面に巻き付ける伝熱部材28が少なくても十分な伝熱性を有する。従って、光学部材を確実に温めてその曇りを防止することができる。
【0059】
また、鏡枠本体12の外周面に巻き付けた伝熱部材28の後端を数〜数十mm程度後端側に延ばして、この延ばした後端部分にチップヒータ14及びサーミスタ15を当接させる。このように、本実施形態では、部材が密集してスペースが不足しやすい内視鏡先端側にチップヒータ14やサーミスタ15を配置しなくても、チップヒータ14から伝熱部材28を介して光学部材を温めたり、サーミスタ15により伝熱部材28の、最終的に光学部材の温度を計測したりすることができる。
【0060】
なお、炭素を主材料とするシート状の部材として、グラファイトシートだけでなく、カーボンナノチューブなどの伝熱性に優れた材料を適宜採用することができる。
【0061】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態について、図12を参照して説明する。内視鏡全体の構成は、図1と同様である。
【0062】
図12は、第4の実施形態の鏡枠ユニットを含む内視鏡先端を示す斜視図である。本実施形態では、チップヒータ14とサーミスタ15とは、内視鏡先端で周方向に、すなわち径方向に並べて配置されている。また、サーミスタ15は、チップヒータ14よりも発光部2に近い側に配置されている。チップヒータ14とサーミスタ15との間には、空気又は樹脂による伝熱障壁部20が設けられている。
【0063】
チップヒータ14とサーミスタ15とを径方向に並べて配置することにより、チップヒータ14とサーミスタ15との両方をレンズカバー11の近くに配置することができる。このため、チップヒータ14による光学部材の加熱のしやすさ、及びサーミスタ15による温度検知の正確さが向上する。
【0064】
さらに、径方向において、サーミスタ15を発光部2とチップヒータ14との間に配置することにより、サーミスタ15が発光部2とチップヒータ14との両方の熱源の熱を検知しやすくなり、局所的な温度上昇を防止することができる。
【0065】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態について、図13乃至図15を参照して説明する。なお、以下では、第5の実施形態の主な構成及び特徴部分を説明し、第1の実施形態と同様の構成はその説明を省略する。
【0066】
図13は、電子内視鏡である内視鏡100の構成を概略的に示す図である。内視鏡100は、内視鏡先端側に配置された鏡枠ユニット111と、照明光を照射する発光部101と、鏡枠ユニット111及び発光部101を含む内視鏡本体全体を覆っている金属製の外装部102と、内視鏡基端側に配置されスイッチ104を有する操作部103と、端子部105とを有している。
【0067】
内視鏡100は、端子部105に接続される外部接続ケーブル106によって温度制御部107、ビデオセンター108、光源109、モニタ110に電気的に接続される。外部接続ケーブル106は、温度制御部107との信号の送受信、ビデオセンター108への映像信号の伝送、発光部101への照明光をガイドするユニバーサルコードである。
【0068】
図14は、外装部102で覆われた状態の鏡枠ユニット111を含む内視鏡先端を示す斜視図である。図15は、図14に示すB−B線に沿った長軸方向の断面での内視鏡100の内部の構成を示す縦断面図である。鏡枠ユニット111は、対物レンズ113及びこの表面を覆っているレンズカバー112を含む対物光学系と、鏡枠本体114と、伝熱部材115と、チップヒータ116と、サーミスタ117と、チップヒータ116及びサーミスタ117が実装されているフレキシブル配線基板118とを有している。本実施形態では、フレキシブル配線基板118が端子部105まで続いている。
【0069】
鏡枠本体114の内視鏡基端側には、撮像部固定フレーム120に固定された撮像部119と、撮像部119に接続された画像出力ケーブル121とが配置されている。画像出力ケーブル121は、端子部105に接続されている。
【0070】
内視鏡100を用いた観察等を行う際には、撮像部119は、対物光学系を通って結像した像を光電変換する。そして、撮像部119から読み出された映像信号を画像出力ケーブル121が伝送し端子部105へと出力する。なお、端子部105は、チップヒータ116への信号送信又は電力供給、サーミスタ117からの信号受信、画像出力ケーブル121からの映像信号受信を行う。
【0071】
チップヒータ116とサーミスタ117との間は所定の間隔だけ離間されており、伝熱障壁部122を形成している。本実施形態では、伝熱障壁部122は熱伝導率の比較的低い樹脂でできている。
【0072】
本実施形態においても、上述の実施形態と同様に、ヒータの配置に自由度があり組立て性に優れた内視鏡を提供することができる。
【0073】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態について、図16を参照して説明する。第6の実施形態では、内視鏡の構成は第5の実施形態の内視鏡100と同様であるのでその説明は省略する。以下では、内視鏡100と異なる構成を説明する。
【0074】
図16は、図14に示すB−B線に沿った長軸方向の断面での内視鏡の内部の構成を示す縦断面図である。この内視鏡では、チップヒータ116及びサーミスタ117が実装されているフレキシブル配線基板118を途中で電気配線123に替えて、この電気配線123が端子部105まで続いている。
【0075】
発光部101や撮像部119から発生する熱は、伝熱部材115に伝わり温度を均一化する。発光部101や撮像部119の熱によって伝熱部材115の温度が目標温度に近づくと、チップヒータ116から与えられる熱は減少する。
【0076】
なお、第5及び第6の実施形態の内視鏡100においても、第1の実施形態の変形例、第2の実施形態及びその変形例、第3及び第4の実施形態のような鏡枠ユニットを適宜採用することができる。
【0077】
また、第1〜第6の実施形態の変形例として、以下のような態様が適用されることができる。
温度計測部として、サーミスタだけでなく、白金温度センサや熱電対を用いてもよい。
発熱部として、チップヒータだけでなく、他の抵抗加熱やLEDや磁気損失や誘電損失による発熱を用いてもよい。
電気配線基板として、フレキシブル配線基板だけでなく、リジットな配線基板を用いてもよい。
伝熱部材として、銅やグラファイトシートだけでなく、アルミ等の熱伝導率の高い素材を用いてもよい。
【0078】
以上、本発明の各実施形態並びに変形例について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまな改良及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…内視鏡(硬性鏡)、2…発光部、3…外装部、4…操作部、5…操作スイッチ、6…接眼レンズ、7…端子部、8…外部接続ケーブル、9…温度制御部、10…鏡枠ユニット、11…レンズカバー、12…鏡枠本体、13…伝熱部材、14…チップヒータ、15…サーミスタ、16…フレキシブル配線基板、17、18…貫通孔、19…切り欠き部、20…伝熱障壁部、21…設定部、22…比較部、23…駆動部、24…チップヒータ結合層、25…サーミスタ結合層、26…伝熱部材凸部、27…伝熱部材凹部、28…伝熱部材、100…内視鏡(電子内視鏡)、101…発光部、102…外装部、103…操作部、104…操作スイッチ、105…端子部、106…外部接続ケーブル、107…温度制御部、108…ビデオセンター、109…光源、110…モニタ、111…鏡枠ユニット、112…レンズカバー、113…対物レンズ、114…鏡枠本体、115…伝熱部材、116…チップヒータ、117…サーミスタ、118…フレキシブル配線基板、119…撮像部、120…撮像部固定フレーム、121…画像出力ケーブル、122…伝熱障壁部、123…電気配線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材を収容している鏡枠本体と、
前記鏡枠本体の少なくとも一部を覆っている伝熱部と、
熱を発生する発熱部と、
温度を計測する温度計測部と、
前記発熱部及び前記温度計測部を実装している同一の電気配線基板とを具備し、
前記発熱部と前記温度計測部とは、前記電気配線基板上に離間して載置され、かつ、前記電気配線基板は、前記発熱部と前記温度計測部とが前記伝熱部に当接するように配置され、
前記発熱部と前記温度計測部とが最も近接する箇所間の熱抵抗が、前記発熱部と前記伝熱部との間の熱抵抗、及び、前記温度計測部と前記伝熱部との間の熱抵抗よりも大きいことを特徴とする鏡枠ユニット。
【請求項2】
前記発熱部の厚みをd1、前記発熱部の材料の熱伝導率をλ1、前記温度計測部の厚みをd2、前記温度計測部の材料の熱伝導率をλ2、前記発熱部と前記温度計測部とが最も近接する箇所間の距離をw、前記発熱部と前記温度計測部との間の熱伝導率をλ3としたとき、
d1/λ1<w/λ3 かつ d2/λ2<w/λ3
の関係が成立することを特徴とする請求項1に記載の鏡枠ユニット。
【請求項3】
前記発熱部と前記伝熱部との間は、第1の結合層によって結合され、前記温度計測部と伝熱部との間は、第2の結合層によって結合され、前記第1の結合層の厚みをh1、前記第1の結合層の熱伝導率をλ5、前記第2の結合層の厚みをh2、前記第2の結合層の熱伝導率をλ6としたとき、
d1/λ1+h1/λ5<w/λ3 かつ d2/λ2+h2/λ6<w/λ3
の関係が成立することを特徴とする請求項2に記載の鏡枠ユニット。
【請求項4】
h1/λ5<h2/λ6の関係が成立することを特徴とする請求項3に記載の鏡枠ユニット。
【請求項5】
前記発熱部と前記温度計測部とは、大気下で離間されていることを特徴とする請求項2に記載の鏡枠ユニット。
【請求項6】
前記発熱部と前記温度計測部とは、絶縁性部材を介して離間されていることを特徴とする請求項2に記載の鏡枠ユニット。
【請求項7】
前記絶縁性部材は、エポキシ樹脂接着剤又はシリコーン樹脂接着剤であることを特徴とする請求項6に記載の鏡枠ユニット。
【請求項8】
前記絶縁性部材は、充填材であることを特徴とする請求項6に記載の鏡枠ユニット。
【請求項9】
前記伝熱部は、銅を主材料とする伝熱部材であり、前記鏡枠本体の外周の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の鏡枠ユニット。
【請求項10】
前記伝熱部は、炭素を主材料とするシート状の伝熱部材であり、前記鏡枠本体の外周の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の鏡枠ユニット。
【請求項11】
前記発熱部及び前記温度計測部は、鏡枠ユニットの長軸方向に列をなして配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鏡枠ユニット。
【請求項12】
前記温度計測部は、前記発熱部に対して鏡枠ユニットの先端側に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の鏡枠ユニット。
【請求項13】
前記発熱部及び前記温度計測部は、鏡枠ユニットの先端側で周方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鏡枠ユニット。
【請求項14】
鏡枠ユニット先端に配置された発光部を有し、前記温度計測部は、前記発熱部よりも前記発光部に近い側に配置されていることを特徴とする請求項13に記載の鏡枠ユニット。
【請求項15】
前記発熱部と前記温度計測部とが最も近接する箇所間の距離が、前記第1の結合層の厚み及び前記第2の結合層の厚みよりも厚いことを特徴とする請求項3に記載の鏡枠ユニット。
【請求項16】
前記発熱部と前記伝熱部との間に伝達される熱量が、他の部材間で伝達される熱量に比べて最も大きくなるように結合されていることを特徴とする請求項1に記載の鏡枠ユニット。
【請求項17】
前記第1の結合層の厚みは、前記第2の結合層の厚みに比べて薄いことを特徴とする請求項3に記載の鏡枠ユニット。
【請求項18】
前記発熱部の厚みが前記温度計測部の厚みよりも厚いことを特徴とする請求項17に記載の鏡枠ユニット。
【請求項19】
前記伝熱部の前記発熱部と当接する部分が凸形状である、又は、前記伝熱部の前記温度計測部材と当接する部分が凹形状であることを特徴とする請求項18に記載の鏡枠ユニット。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1に記載の鏡枠ユニットを備えた内視鏡であって、
前記光学部材を通った光を観察する接眼レンズと、
前記発熱部への信号送信又は電力供給、及び前記温度計測部からの信号受信を行う端子部と、
前記端子部と前記電気配線基板とを電気的に接続する配線部と、
前記鏡枠ユニット、前記接眼レンズ、前記端子部及び前記配線部を保持する外装部とを具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項21】
請求項1乃至19のいずれか1に記載の鏡枠ユニットを備えた内視鏡であって、
前記光学部材を通って結像した像を光電変換する撮像部と、
前記撮像部から読み出した映像信号を伝送し出力する画像出力部と、
前記発熱部への信号送信又は電力供給、前記温度計測部からの信号受信、及び前記画像出力部からの映像信号受信を行う端子部と、
前記端子部と前記電気配線基板とを電気的に接続する配線部と、
前記鏡枠ユニット、前記撮像部、前記画像出力部、前記端子部及び前記配線部を保持する外装部とを具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項22】
前記端子部に接続された温度制御部をさらに具備し、
前記温度制御部は、
目標温度を設定する設定部と、
前記温度計測部が計測した計測温度と前記目標温度とを比較する比較部と、
前記比較部の比較結果に応じて前記計測温度が前記目標温度に近づくように前記発熱部を駆動する駆動部とを有することを特徴とする請求項20又は21に記載の内視鏡。
【請求項1】
光学部材を収容している鏡枠本体と、
前記鏡枠本体の少なくとも一部を覆っている伝熱部と、
熱を発生する発熱部と、
温度を計測する温度計測部と、
前記発熱部及び前記温度計測部を実装している同一の電気配線基板とを具備し、
前記発熱部と前記温度計測部とは、前記電気配線基板上に離間して載置され、かつ、前記電気配線基板は、前記発熱部と前記温度計測部とが前記伝熱部に当接するように配置され、
前記発熱部と前記温度計測部とが最も近接する箇所間の熱抵抗が、前記発熱部と前記伝熱部との間の熱抵抗、及び、前記温度計測部と前記伝熱部との間の熱抵抗よりも大きいことを特徴とする鏡枠ユニット。
【請求項2】
前記発熱部の厚みをd1、前記発熱部の材料の熱伝導率をλ1、前記温度計測部の厚みをd2、前記温度計測部の材料の熱伝導率をλ2、前記発熱部と前記温度計測部とが最も近接する箇所間の距離をw、前記発熱部と前記温度計測部との間の熱伝導率をλ3としたとき、
d1/λ1<w/λ3 かつ d2/λ2<w/λ3
の関係が成立することを特徴とする請求項1に記載の鏡枠ユニット。
【請求項3】
前記発熱部と前記伝熱部との間は、第1の結合層によって結合され、前記温度計測部と伝熱部との間は、第2の結合層によって結合され、前記第1の結合層の厚みをh1、前記第1の結合層の熱伝導率をλ5、前記第2の結合層の厚みをh2、前記第2の結合層の熱伝導率をλ6としたとき、
d1/λ1+h1/λ5<w/λ3 かつ d2/λ2+h2/λ6<w/λ3
の関係が成立することを特徴とする請求項2に記載の鏡枠ユニット。
【請求項4】
h1/λ5<h2/λ6の関係が成立することを特徴とする請求項3に記載の鏡枠ユニット。
【請求項5】
前記発熱部と前記温度計測部とは、大気下で離間されていることを特徴とする請求項2に記載の鏡枠ユニット。
【請求項6】
前記発熱部と前記温度計測部とは、絶縁性部材を介して離間されていることを特徴とする請求項2に記載の鏡枠ユニット。
【請求項7】
前記絶縁性部材は、エポキシ樹脂接着剤又はシリコーン樹脂接着剤であることを特徴とする請求項6に記載の鏡枠ユニット。
【請求項8】
前記絶縁性部材は、充填材であることを特徴とする請求項6に記載の鏡枠ユニット。
【請求項9】
前記伝熱部は、銅を主材料とする伝熱部材であり、前記鏡枠本体の外周の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の鏡枠ユニット。
【請求項10】
前記伝熱部は、炭素を主材料とするシート状の伝熱部材であり、前記鏡枠本体の外周の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の鏡枠ユニット。
【請求項11】
前記発熱部及び前記温度計測部は、鏡枠ユニットの長軸方向に列をなして配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鏡枠ユニット。
【請求項12】
前記温度計測部は、前記発熱部に対して鏡枠ユニットの先端側に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の鏡枠ユニット。
【請求項13】
前記発熱部及び前記温度計測部は、鏡枠ユニットの先端側で周方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鏡枠ユニット。
【請求項14】
鏡枠ユニット先端に配置された発光部を有し、前記温度計測部は、前記発熱部よりも前記発光部に近い側に配置されていることを特徴とする請求項13に記載の鏡枠ユニット。
【請求項15】
前記発熱部と前記温度計測部とが最も近接する箇所間の距離が、前記第1の結合層の厚み及び前記第2の結合層の厚みよりも厚いことを特徴とする請求項3に記載の鏡枠ユニット。
【請求項16】
前記発熱部と前記伝熱部との間に伝達される熱量が、他の部材間で伝達される熱量に比べて最も大きくなるように結合されていることを特徴とする請求項1に記載の鏡枠ユニット。
【請求項17】
前記第1の結合層の厚みは、前記第2の結合層の厚みに比べて薄いことを特徴とする請求項3に記載の鏡枠ユニット。
【請求項18】
前記発熱部の厚みが前記温度計測部の厚みよりも厚いことを特徴とする請求項17に記載の鏡枠ユニット。
【請求項19】
前記伝熱部の前記発熱部と当接する部分が凸形状である、又は、前記伝熱部の前記温度計測部材と当接する部分が凹形状であることを特徴とする請求項18に記載の鏡枠ユニット。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1に記載の鏡枠ユニットを備えた内視鏡であって、
前記光学部材を通った光を観察する接眼レンズと、
前記発熱部への信号送信又は電力供給、及び前記温度計測部からの信号受信を行う端子部と、
前記端子部と前記電気配線基板とを電気的に接続する配線部と、
前記鏡枠ユニット、前記接眼レンズ、前記端子部及び前記配線部を保持する外装部とを具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項21】
請求項1乃至19のいずれか1に記載の鏡枠ユニットを備えた内視鏡であって、
前記光学部材を通って結像した像を光電変換する撮像部と、
前記撮像部から読み出した映像信号を伝送し出力する画像出力部と、
前記発熱部への信号送信又は電力供給、前記温度計測部からの信号受信、及び前記画像出力部からの映像信号受信を行う端子部と、
前記端子部と前記電気配線基板とを電気的に接続する配線部と、
前記鏡枠ユニット、前記撮像部、前記画像出力部、前記端子部及び前記配線部を保持する外装部とを具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項22】
前記端子部に接続された温度制御部をさらに具備し、
前記温度制御部は、
目標温度を設定する設定部と、
前記温度計測部が計測した計測温度と前記目標温度とを比較する比較部と、
前記比較部の比較結果に応じて前記計測温度が前記目標温度に近づくように前記発熱部を駆動する駆動部とを有することを特徴とする請求項20又は21に記載の内視鏡。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−81656(P2013−81656A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224158(P2011−224158)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]