説明

開閉キャップ及びその製造方法

【課題】バンドの変形を確実に防止して、バンドの切断を阻止する開閉キャップ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】キャップ本体3と、周方向に延びるように設けられ、連結片12,13によってキャップ本体に連結されたバンド10とを具備し、前記バンドには、このバンドを周方向に分離可能に接続する接続片が周方向の少なくとも1ヶ所に設けられ、開閉キャップ2を開放するにあたり、前記バンドの内側から前記注出体に向けて突出する突起15,16,18が注出体の一部を乗り越えた際の応力により前記接続片が切断されるよう構成された開閉キャップについて、前記バンドを前記キャップ本体の下方に位置させ、前記連結片によって前記キャップ本体の下部に連結させる。そして、前記キャップ本体の下端に、前記バンドの内側が押し当てられて、前記バンドが半径方向内側に押しつぶされることを阻止する変形防止体9を、バンドの内側に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器の注出部の口部に取り付けられてこの口部を開閉するための容器注出部の開閉キャップ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装容器に設けられた円筒状の注出部を開閉するために、注出部の口部に開閉キャップを着脱自在に螺合させる口栓部の構造がある。この口栓部の構造に関し、開閉キャップを注出部に確実に保持するため、キャップ本体の下部にバンドを設け、このバンドで注出部の外面を保持するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の開閉キャップは、キャップ本体の下方にバンドを配置し、このバンドを連結片でキャップ本体に連結して構成されている。この開閉キャップのバンドには、その周方向の二ヶ所に切断部が形成され、周方向に二分割されるように構成されている。そして、各ピースは、開閉キャップを開放する方向における後部が連結部により、キャップ本体に接続されている。
【0004】
この開閉キャップでは、各ピースの内面に設けられた突起部が、容器側の口部の外周面に設けられたラチェットと係り合わされ、当該開閉キャップが開放される方向へ回転されることことが阻止される。その一方で、開閉キャップを開放する方向へ回転させると、突起部がラチェットを乗り越える。この際、バンドに負荷が与えられて、ピース同士を接続している切断部が切断される。
【0005】
このように、バンドが切断されたか否かを確認することで、この特許文献1に記載の発明は、キャップが開放されているのか否かを可能としている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−51195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の発明に代表される従来の開閉キャップでは、例えば図16に示すように、搬送中にキャップ同士が衝突した際に、バンド100が半径方向内側に押し込められて、変形することがあった。このような変形が維持されたまま放置されると、衝撃等により、バンド100のピース同士を接続している切断部101が衝撃などにより切断されてしまう。これでは、バンド100が本来有している。回り止めと、開封チェックとの機能を発揮し得ない。なお、図16の符号102の部位は、ラチェットと係り合わされる突起である。
【0008】
そこで、本発明では、バンドの変形を確実に防止して、バンドの切断を阻止する開閉キャップ及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上記課題を解決するために、包装容器の注出体の外周面にねじ込んで、前記注出体を開閉させるキャップ本体と、このキャップ本体の周方向に延びるように設けられ、連結片によって前記キャップ本体に連結されたバンドとを具備し、前記バンドには、このバンドを周方向に分離せしめる部位が周方向の少なくとも1ヶ所に設けられ、この位置において前記バンドは切断可能な接続片で相互に接続されており、而も、前記バンドの内側には前記注出体に向けて突出する突起が形成され、この開閉キャップが前記注出体に対して開放される方向へ回転された際に、その回転方向に関し、前記バンドの前記接続片を間に挟んだ前方側が前記キャップ本体と共に回転される一方で、後方側が前記突起の前記注出体の一部への引っ掛かりにより回転が阻止されて、これにより発生する前記バンドの応力により、前記接続片が切断されるよう構成された開閉キャップであって、前記バンドは前記キャップ本体の下方に位置されて、前記連結片によって前記キャップ本体の下部に連結され、しかも、前記キャップ本体の下端には、前記バンドの内側が押し当てられて、前記バンドが半径方向内側に押しつぶされることを阻止する変形防止体が、前記バンドの内側に配されるように形成されている開閉キャップを採用した。
【0010】
上記の開閉キャップに関し、前記変形防止体として、前記キャップ本体の下端面に複数の突起体を間欠的に周方向に沿って構成したもの、又は前記キャップ本体の下端から突出された円環体として構成したものを採用することができる。
【0011】
また、本発明では、上記の開閉キャップにおいて、前記キャップ本体、前記変形防止体、前記バンド、前記接続片及び前記連結片は、射出成形により一体に形成されていることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明では上記開閉キャップにおいて、前記キャップ本体には、前記バンドの外面と少なくとも同径となる接触防止部がこのキャップ本体の外周面から外方に向け張り出して設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、上記課題を解決するために本発明では、包装容器の注出体の外周面にねじ込んで、前記注出体を開閉させるキャップ本体と、このキャップ本体の周方向に延びるように設けられ、連結片によって前記キャップ本体に連結されたバンドと、前記キャップ本体の下部に設けられ、前記バンドの内側が押し当てられて、前記バンドが半径方向内側に押しつぶされることを阻止する変形防止体とを備え、前記バンドには、このバンドを周方向に分離せしめる部位が周方向の少なくとも1ヶ所に設けられ、この位置において前記バンドは切断可能な接続片で相互に接続されて、当該開閉キャップが前記注出体に対して回転されて前記バンドの内側から前記注出体に向けて突出する突起が前記注出体の一部を乗り越えた際に前記バンドに生ずる応力により、前記接続片が切断されるよう構成された開閉キャップについての製造方法であって、前記キャップ本体、前記変形防止体、前記バンド、前記接続片及び前記連結片を射出成形により一体に形成する射出成形工程を具備し、この射出成形工程では、前記バンドの上端と前記キャップ本体の下端との間の隙間が前記変形防止体の下端と前記キャップ本体の下端との間の寸法より大きくなるように、前記バンドが前記キャップ本体に前記連結片で接続された状態で成形され、この射出成形工程における射出終了後に、前記バンドを前記キャップ本体に向けて押し込んで、前記バンドを前記変形防止体の外周側に位置させる押し込み工程を備えている開閉キャップの製造方法を採用することとした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バンドが開閉キャップの半径方向内側に向けて押し込まれた場合でも、バンドは変形防止体に押し当てられて、バンドの変形が阻止される。このため、たとえ他の開閉キャップや異物等がバンドにぶつけられた場合でも、接続片に過大な応力が生ずることがなく、接続片の破損がない。
【0015】
これにより、開閉キャップが本来備えている緩み防止機能、改ざん防止機能・改ざん確認機能を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、容器Aの上部に取り付けられた口栓ユニット1の斜視図である。この口栓ユニット1は、本発明の一実施形態にかかる開閉キャップ2と、注出部20とから構成されている。口栓ユニット1は、その下部が容器Aの内部に挿入されて容器Aの上端に取り付けられる。この口栓ユニット1は、開閉キャップ2を上から見た場合、時計回りに開閉キャップ2を回転させると注出部20に対してねじ込まれて口部21を密閉する。一方、反時計方向に回転させれば、注出部20から取り外される。
【0018】
図2〜4は、開閉キャップ2の構成を示している。
【0019】
この開閉キャップ2は、筒状に形成されたキャップ本体3と、キャップ本体3の下端にて、開閉キャップ2の周方向に延びるように設けられたバンド10とを有している。
【0020】
キャップ本体3は、その上面4が閉塞され、下部が開放された筒体により構成されている。内面には、螺旋状の雌ねじ5が形成されており、口部21の外周面に螺合させることができるように構成されている。また、キャップ本体3の上面4の内面には、内壁面より半径方向内側にて円筒状のシール体6が下方に向けて突出している。このシール体6は、口部21に開閉キャップ2を螺合させた際に、その外周面を口部21の内面に密着させて、内容物が洩れ出すことを防止している。一方、キャップ本体3の外周面3aには、半径方向外側に向けて放射状に突出するリブ7が全周に形成されている。
【0021】
さらに、キャップ本体3の下部には、キャップ本体3の下部が半径方向外側に向けて張り出して形成された接触防止部8が設けられている。この接触防止部8の外面8aは、他の開閉キャップ等の異物がバンド10にぶつかることを阻止するものである。
【0022】
一方、バンド10はキャップ本体3の下端面3bより下方に配置されて、キャップ本体3の下端面3bと連結片12,13でそれぞれ連結されている。また、バンド10はその周方向において2つのバンドピース11に分割されており、これら各バンドピース11は周方向の端部同士が接続片14で接続されている。バンド10は、これを構成している各バンドピース11がその周方向の2ヶ所において連結片12,13によって開閉キャップ2の下端面3bにそれぞれ連結されている。これら連結片12,13は各バンドピース11の内周側に配されている。
【0023】
各バンドピース11に設けられた2つの連結片12,13のうち、開閉キャップ2を緩ませる開封方向Xにおける前側に配された連結片12は、容易に切断されるように、厚みが薄くしかも幅が極めて狭く形成されている。これに対し、緩ませる開封方向Xにおける後側に配された連結片13は、開閉キャップ2が回転された場合でも切断されることのないように肉厚及び幅が大きくそれぞれ形成されている。
【0024】
また、各バンドピース11の内周面には、爪部15,16が2ヶ所にそれぞれ形成されている。一方の爪部15は、キャップ本体3の開封方向Xの先端部に配置され、他方の爪部16は、先端側の爪部15より開封方向Xのやや後方に配置されている。これら爪部15,16は、一方のバンドピース11に形成されたものと他方のバンドピース11に形成されたものとが、開閉キャップ2の中心軸に対して対称となる位置にそれぞれ配置されている。そして、各爪部15,16は、バンドピース11の内面から開閉キャップ2の中心軸に向かう半径方向に対して、開閉キャップ2の開封方向Xの方向にやや傾けられるようにバンドピース11の内面からそれぞれ突出している。
【0025】
さらに、各バンドピース11には、2つの台形状の突起部17,18が重ね合わされるように形成されている。これら突起部17,18は、バンドピース11の内面から開閉キャップ2の中心軸に向かう半径方向に向けてそれぞれ突出している。また、突起部17,18も、開閉キャップ2の中心軸に対して対称となる位置に配されている。なお、開封方向Xの後ろ側の爪部16と、薄く而も幅狭に形成された連結片12とが配置されている位置、並びに突起部17,18と連結片13とが配置されている位置は、周方向において相互に一致している。
【0026】
図4は、2つの突起部17,18の位置関係並びに形状の詳細を示している。この図4に示すように突起部17,18は、低い山の突起部17と高い山の突起部18の組み合わせにより構成されている。開閉キャップ2を緩ませる開封方向Xの前側に位置する低い山の突起部17は、バンドピース11の高さ方向の全域にわたり形成されている。一方、開閉キャップ2を緩ませる開封方向Xにおける後側に設けられた高い山の突起部18は、バンドピース11の高さ方向において、上側の半分のみを占めるようにして形成されている。
【0027】
低い山の突起部17は、後に説明する口栓ユニット1に形成されたリブの先端部である変形防止部に当接し、バンドピース11が半径方向内側に変形することを防止する。一方、高い山である突起部18は、後に詳細を説明するように、キャップの回転過程で、ラチェットを乗り越える際に、接続片14の切断された後の各バンドピース11を変位させる機能を有している。なお、突起部17,18は台形状に形成されており、これら突起部17,18については、その先端面が変形防止部との先端面と適切に当接し、突起部17,18はラチェットの位置を通過する際に、ラチェットに引っ掛かることのない形状に形成されている。また、両者が隣接する側部同士はその一部分が相互に重なり合うようにして配されている。
【0028】
以上の構成に加えて、当該キャップ本体3には、その下端面から下方に向けて突出するバンド変形防止体9がキャップ本体3と一体をなして形成されている。このバンド変形防止体9は、バンド10に他の開閉キャップ2などが押し当てられた場合でも、バンド10が当該開閉キャップ2の半径方向内側に押し込められることを防止するものである。バンド変形防止体9は円環状に形成されており、その外径はバンド10の内面と所定の隙間が形成される程度の寸法に形成されている。即ち、通常の状態において、各バンドピース11の内面にそれぞれ設けられている爪部15,16及び突起部17,18が、このバンド変形防止体9と干渉するのないように外径は形成されている。その一方で、その内径はキャップ本体3の内径と同寸に形成されている。また、図2に示すように、バンド変形防止体9は、その下端がバンド10の高さ方向におけるほぼ中央部と一致する程度にまで突出されている。
【0029】
バンド変形防止体は、図5に示すように設けてもよい。なお、図5に示す開閉キャップ2Aの構造は、バンド変形防止体9A以外の部位については、図1〜図4に示す開閉キャップ2と同様であるため、同一部材については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0030】
この図5に示す開閉キャップ2Aでは、キャップ本体3の下端面において、バンド10の内側に複数の突起体9Bを周方向に間欠的に配置してバンド変形防止体9Aを構成している。これら突起体9Bは、開閉キャップ2Aの周方向に均等に配置されるようにして形成されている。また、各突起体9Bは、その高さが、バンド10の高さの約1/2〜1/3程度の寸法に形成されている。このようにバンド変形防止体9Aを形成した場合にも、バンド10が半径方向内側に向けて押し込まれることを効果的に阻止できる。
【0031】
図6は、このバンド変形防止体9の作用を示すもので、開閉キャップ2が注出部20に締め付けられずに単独で存在している状態において、開閉キャップ2の外側方からバンド10を半径方向内側に向けて変形せしめる外力が作用した場合を示している。
【0032】
バンド10にかかる外力が作用した場合、図16に示した従来品では、外力の作用した点が半径方向内側に向けて大きく押し込まれる。そうすると、バンドピースを接続している接続片に多大な応力が発生し、接続片が切断されることがある。これに対し、当該実施の形態にかかる開閉キャップ2のように、バンド変形防止体9が設けられていれば、たとえバンド10に外力が作用しても、各バンドピース11の内面がバンド変形防止体9の外周面に押し当てられる。これにより、外力の作用した点は、それ以上、半径方向内側に押し込められてしまうことがない。これにより、バンド10の変形は一定の限度に抑えられる。この図6に示す程度の変形であれば、バンドピース11同士を接続している接続片14に過大な応力が発生することがなく、接続片14の切断が効果的に阻止される。
【0033】
図7は、この開閉キャップ2の製造方法の1工程を示すものである。
【0034】
この開閉キャップ2は、射出成形により一体に形成される。即ち、金型には、キャップ本体3、バンド10を構成するバンドピース11、キャップ本体3に各バンドピース11を連結している連結片12,13、バンドピース11同士を接続している接続片14及びバンド10の変形を防止するバンド変形防止体9を形成するキャビティが形成されており、樹脂材がこれらに射出されて、各部位が一工程で射出成形される。
【0035】
射出成形された直後の状態が図7(a)に示す状態である。この図7(a)に示すように、射出成形の段階では、バンド10は、キャップ本体3の下端との間に所定の隙間が形成されるように離されて、連結片12,13で連結された状態で成形される。射出成形の段階では、キャップ本体3の下端とバンド10の上端との間に形成される寸法は、キャップ本体3の下端に対するバンド変形防止体9の下端の寸法よりやや大きく形成される。射出成形終了後、即時にバンド10はキャップ本体3に向けて押し込められる。これにより、図7(b)に示すように、連結片12,13が縮められて、バンド10の上端とキャップ本体3の下端とが接近され、両者の間に形成されていた隙間がごく僅かになる。この際、キャップ本体3を注出部20に締め付けた状態にて、バンド10の下面が注出部20に干渉することのないように、十分に押し込められる。
【0036】
なお、開閉キャップ2の製造方法は、この図7に示す方法に限定されるものではない。
【0037】
上記の製法では一回の射出でキャップ本体3とバンド10とを成形して図7(a)に示す状態を得ているが、図8に示すように、射出成形機を1機のみ使用しつつ、キャップ本体3の成形とバンド10の成形とを2ステップに分けて成形してもよい。この図8に示す方法では、第1ステップで、キャップ本体3のみを射出成形する(図8(a))。次いで第2ステップでバンド10を射出成形する(図8(b))。この場合も、バンド10の上端とキャップ本体3の下端との間にできる隙間が、キャップ本体3の下端とバンド変形防止体9の下端とのなす距離よりも大きくなるような位置に配される。その後、バンド10をキャップ本体3に向けて押し込み、連結片12,13を縮めてバンド10をバンド変形防止体9の外側に配置させる(図8(c))。
【0038】
また、図9に示すように、キャップ本体3とバンド10と別々に成形し、その後にこれらを連結してもよい。即ち、図9(a)に示すように、キャップ本体3を1機の射出成形機で成形し、これとは別に、図9(b)に示すように、他の射出成形機でバンド10を成形する。この場合、キャップ本体3の下端部又はバンド10の上端部のいずれか一方に連結片12,13を成形させておく(図9に示す実施の形態ではバンドに連結片12,13を設けている)。両者を射出成形した後、図9(c)に示すように、バンド10をキャップ本体3の下端に連結させる。両者の連結工程では、予め、バンド10がバンド変形防止体9の外側に位置するようにバンド10をキャップ本体3に押し込んでおく。この押し込みの後に、連結片12,13の部位で、例えば超音波シールにより溶着して、キャップ本体3とバンド10とを連結する。なお、この方法で開閉キャップ2を製造する場合、バンド10をキャップ本体3の下部に位置させるだけで、上下方向に関してバンド10がバンド変形防止体9と同位置に配されるように、連結片12,13を予め短く形成しておく。
【0039】
さらに、この開閉キャップ2は、この開閉キャップ2の概略形状の成形された素型材から加工を施して製造してもよい。即ち、開閉キャップ2の概略形状をなす素型材を射出成形で形成する。この素型材はキャップ本体3として構成されうる部分と、バンド10として構成される部分とが含まれる。かかる素型材に機械加工やレーザー加工を施してキャップ本体3とバンド10とが連結片12,13で連結された状態に形成する。
【0040】
開閉キャップ2の製造方法は、これらの製造方法の中から自己の有する設備等に最適な方法を選択すればよい。
【0041】
次に図10及び図11を参照して、注出部20について説明する。
【0042】
この注出部20は、上部に筒状の口部21が形成され、下部に長細い筒状のストロー部28が形成されている。また、口部21とストロー部28との間には、注出部20の外周部から外側に向けて水平に張り出す層状の台座24,25,26と、台座24,25,26の下側に設けられ、容器Aの上端に貼り付けられる取付部27とが設けられている。
【0043】
注出部20はストロー部28が容器Aの内部に挿入されて容器Aに装着される。このストロー部28には、その下端に開口部29が形成され、側面部にストロー部28の内外を連通している長孔30が形成されている。また、ストロー部28には、軸方向の長孔に対応する部位に、両側方に張り出す板状の部材31が設けられている。この板状の部材31は、容器Aが押しつぶされた場合に、開口部29、並びに長孔30への通路を確保して、内容物をストロー部28の内部に進入させる。
【0044】
取付部27は、前後方向に平坦に形成されていると共に、左右に向け張り出すように形成されている。この取付部27には、その外面に容器Aの上縁が貼り合わされ、両者の間に隙間が形成されないよう密閉される。
【0045】
台座24,25,26は、上下に3層となるように形成されている。これら台座24,25,26は、左右に横長となる八角形状にそれぞれ形成され、口部21を中心にして口部21の外周面から水平に張り出している。なお、最下部の台座26は、その下面が容器Aの上縁と当接し、製造工程において、当該注出部20が容器Aの内部に落ち込むことを防止している。
【0046】
一方、注出部20の上部に位置する口部21は円筒状に形成され、その外周面に螺旋状の雄ねじ22が形成されている。この雄ねじ22は、開閉キャップ2の内壁面に形成された雌ねじ5と噛み合い、当該口部21に開閉キャップ2を螺合させる。これにより、開閉キャップ2は、この口部21に着脱自在に取り付けられる。
【0047】
そして、口部21の下端部には、扇状のストッパ23が口部21の外周面から左右に張り出すように一対形成されている。各ストッパ23の外縁は、台座24の外縁より内側に位置するように形成されている。これらストッパ23は、容器Aの前面部と背面部に対応する位置で相互に分離しており、両者の端面同士が平行をなしてそれぞれ対向している。
【0048】
これらストッパ23は、上段の台座24から所定の距離だけ上方の位置に配され、ストッパ23と上段の台座24との間には、隙間が形成されている。この隙間には、台座24とストッパ23とを接続するように複数のリブ40,42,44,46が、ストッパ23の外縁に向けて延びている。
【0049】
これらのうち、一対のリブ40は、口部21の外周面から左右にそれぞれ延びるように形成されている。そして、このリブ40の先端は、ストッパ23の外縁から半径方向外側に向けて突出している。このリブ40の先端は、開閉キャップ2のバンドピース11に形成された爪部15と係合するラチェット41である。このラチェット41は、ストッパ23の外縁において、口部21を軸にして対称となる位置に配置されており、開閉キャップ2の開封方向Xと逆側に向けて若干傾けられている。
【0050】
また、一対のリブ42は、前述のリブ40の根元と先端との中間位置からリブ40と直角を成してストッパ23の周縁まで延びている。これらリブ42の先端もストッパ23の外縁から外側に向けて突出している。この突出する部分もラチェット43として機能する。これらラチェット43も口部21を軸として対称となる位置に設けられている。なお、これらラチェット43は、リブ42が、リブ40の根元と先端との中間位置からリブ40と直角を成すようにして延びているため、必然的に開閉キャップ2の開封方向Xと逆側に傾いている。
【0051】
これらラチェット41,43は、螺合されている開閉キャップ2を緩める際に、ラチェット41が爪部15と、ラチェット43が爪部16とがそれぞれ同時に係合するように配置されている。
【0052】
さらに、台座24とストッパ23との間には、2対のリブ44,46が口部21の外周面からストッパ23の外縁に向けて延びている。これらリブ44,46は、ラチェット41を備えたリブ40と、このリブ40に対して開閉キャップ2の開封方向Xに位置する端面との間、及び開閉キャップ2を締め込む閉鎖方向Yに位置する端面との間にそれぞれ1つずつ形成されている。一対のリブ44の先端同士、並びに一対のリブ46の先端同士は、口部21を挟んで対称となるようにそれぞれ形成されている。
【0053】
これらのうち、開閉キャップ2の開封方向Xに位置する端面側に位置するリブ44は、その先端面がストッパ23の外縁から若干外側に突出する一方で、開閉キャップ2の閉鎖方向Yに位置する端面との間に位置するリブ46は、その先端面がストッパ23の外縁より所定の距離だけ内側に位置する。リブ44の先端面は、バンドピース11を半径方向内側に手で押し込んだ際、突起部17,18が当接し、バンドピース11が変形することを阻止する変形防止部45である。なお、変形防止部45は、ストッパ23の外縁と面一に設けてもよい。このリブ44の先端である変形防止部が設けられている周方向の位置関係は、開閉キャップ2を緩ませる際に、ラチェット41と爪部15、並びにラチェット43と爪部16とが係合して接続片14が切断される直前の位置に対応している。接続片14が切断される直前の位置まで開閉キャップ2が回転されると、突起部17,18は変形防止部45と対向する部位に位置する。
【0054】
以上の構成を有する開閉キャップ2によれば、この開閉キャップ2を口部21に密閉させた状態にて、バンド10を次のようにして保護している。
【0055】
図12に示すように、開閉キャップ2で注出部20の口部21を密閉すると、バンド10は、上段の台座24と接触防止部8との間に配置される。台座24の周縁は、バンド10の外周面より半径方向外側に張り出す一方で、接触防止部8の外周縁は、半径方向に関し、バンド10の外周縁とほぼ同位置まで張り出すように形成されている。このため、上段の台座24と接触防止部8との間に配されたバンド10は、外部の異物に接触することがほとんどなく、バンド10に外力が作用することを効果的に防止できる。
【0056】
また、連結片12,13は、バンド10の内面側にて、キャップ本体3の下端面とバンド10とを連結しているため、連結片12,13は、接触防止部8及びバンド10自体に保護され、外部の異物との接触が確実に阻止される。このため、開閉キャップ2を注出部20に締め込んで、口部21を密閉した状態では、単に開閉キャップ2が外部の異物と接触しただけでは連結片12,13が切断することはなく、改ざん防止機能を効果的に発揮する。
【0057】
なお、キャップ本体3の下端と台座24との間に形成される隙間よりも細い異物が、バンド10に押し付けられた場合でも、バンド10は、その内側がバンド変形防止体9に押し当てられることでバンド10の変形が阻止される(図6参照)。
【0058】
また、この開閉キャップ2では、開閉キャップ2が口部21を密閉している状態において、接続片14は、ストッパ23の外縁の位置にて前後方向の中央付近に位置している。また、ラチェット41と爪部15、並びにラチェット43と爪部16とは、それぞれごく僅かな隙間を隔てて相互に対向している。一方、リブ44の先端に形成された変形防止部45とバンドピース11に形成された突起部17,18についても、両者の間の周方向には、僅かな隙間を空けて、開封方向Xの後方側に位置している。このように、複数のラチェット41,43を注出部20に形成すると共に、これらと係合する爪部15,16を開閉キャップ2のバンド10に設けることで、開閉キャップ2の回転方向に対する遊びが生じることを抑えている。また、開閉キャップ2が口部21を密閉すると、ラチェット41と爪部15、並びにラチェット43と爪部16との間にほとんど隙間を形成しないことも、開閉キャップ2の回転方向に関する遊びを抑えている。
【0059】
また、改ざん防止機能自体は、次のように発揮される。
【0060】
ストッパ23の下方に設けられている台座24の外縁は、左右に大きく張り出している。そして、各バンドピース11に配置された位置において、開封方向Xにおける最前部に位置する変形防止部45と最後部に位置する爪部16との間の範囲では、台座24の外縁が各バンドピース11の外周面より外側に張り出している。このため、ラチェット41,43と爪部15,16並びに変形防止部45と突起部17,18とが位置する部分では、バンドピース11と台座24との間に、開閉キャップ2の内部に物を侵入させる空間の無い状態となり、ラチェット41,43及び爪部15,16が台座24とバンドピース11により隠蔽される。これにより、ラチェット41,43の部分に対して外部から細工を行って開閉キャップ2を開放させることを効果的に防止する。
【0061】
さらに、注出部20は複数のラチェット41,43を設けている一方で、開閉キャップ2はこれらに係合する爪部15,16をバンドピース11に複数設けている。このため、バンドピース11、連結片12,13、及び接続片14に外傷を与えずに開閉キャップ2を回転させるためには、すべてのラチェット41,43とこれらに係合する爪部15,16ついて同時に細工しなければならない。しかし、バンドピース11と台座24に隠蔽されたこれらすべてについて同時に細工を施すことは極めて困難である。このようにラチェット41,43と、これらに係合する爪部15,16を複数設けることも、改ざん防止の役割を果たしている。
【0062】
次に図13〜図15を参照して開閉キャップ2が開封されるまでの作用を説明する。
【0063】
まず、開閉キャップ2を注出部20に対して反時計回りである開封方向Xに回転させる。すると、図13に示すように、ラチェット41と爪部15、並びにラチェット43と爪部16が互いに係合する。この状態から、開閉キャップ2をさらに開封方向Xに回転させると、爪部15,16がラチェット41,43にそれぞれ引っ掛かる。このとき、バンド10には周方向の引張力が作用して、接続片14が切断される。すなわち、バンドピース11の爪部15,16が、対応するラチェット41,43にそれぞれ係合すると、接続片14を基準として、開封方向Xの後方側に位置するバンドピース11の所定範囲の部位が回転することを妨げられる一方で、開封方向Xの前方側に位置する所定範囲の部位は回転される。このため、接続片14に引張力が作用して、図14に示すように、周方向に分離されるようにして切断される。
【0064】
また、各バンドピース11は、開封方向Xの前部側が下方に向けて変形する。バンドピース11とキャップ本体3とを連結している連結片12,13のうち、開封方向Xの後部側に位置する連結片13は、切断されることなくバンドピース11とキャップ本体3の連結を維持する一方で、前部側に位置する厚み及び幅の小さな連結片12には引っ張り荷重が付加され、連結片12は切断される。
【0065】
さらに、開閉キャップ2を開封方向Xに回転させ、変位用の突起部17,18がラチェット43の位置に到達すると、これら変位用の突起部17,18がラチェット43を乗り越える。この際、バンドピース11にはさらに捻りの力が作用する。これにより、図14に示すように、各バンドピース11は、開閉キャップ2の開封方向Xにおける前部側が大きく下方に向けて変位する。なお、図15では、バンド変形防止体9に隠れている部分についても、見やすくするために実線で図示している。
【0066】
このように、開閉キャップ2のバンドピース11が変位することにより、開閉キャップ2が開放された後の状態であることを極めて容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の1実施形態にかかる開閉キャップを適用した口栓ユニットの斜視図。
【図2】開閉キャップの縦断面図。
【図3】開閉キャップのバンドに形成された爪部及び突起部の位置関係を示す図。
【図4】高い突起部と低い突起部の位置関係を示す斜視図。
【図5】図1〜図4に示す開閉キャップとは別の実施形態にかかる開閉キャップを裏側から見た斜視図。
【図6】バンドを開閉キャップの半径方向内側へ変形させる外力が作用した状態を示す説明図。
【図7】キャップ本体とバンドとを同時に射出成形し、その後にバンドをキャップ本体に押し込んで開閉キャップを製造する方法を示す図。
【図8】図7とは別の方法で開閉キャップを製造する方法を示す図。
【図9】さらに別の方法で開閉キャップを製造する方法を示す図。
【図10】口栓ユニットを構成する注出部の正面図。
【図11】注出部のストッパ、台座、及びこれらの間に形成されたリブ、並びにリブの先端に形成されたラチェット及び変形防止部の形状とこれらの位置関係を示す図。接続片が切断した状態を示す図。
【図12】開閉キャップを注出部の口部に締め付けて密閉した状態を示す図。
【図13】注出部のラチェットにバンドピースの爪部が当接した状態を示す図。
【図14】図10の状態から更に開閉キャップを回転させて、接続片が切断された状態を示す。
【図15】更に回転させて連結片が切断した状態を示す図。
【図16】従来の開閉キャップのバンドに外力が作用した場合における、バンドの変形状態を示す図。
【符号の説明】
【0068】
1 口栓ユニット
2,2A,2B 開閉キャップ
3 キャップ本体
7,50,60 リブ
8 接触防止部
9,9A バンド変形防止体(変形防止体)
10 バンド
11 バンドピース
12,13 連結片
14 接続片
15,16 爪部
17,18 突起部
20 注出部
21 口部
23 ストッパ
40,42,44,46 リブ
41,43 ラチェット
45 変形防止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装容器の注出体の外周面にねじ込んで、前記注出体を開閉させるキャップ本体と、
このキャップ本体の周方向に延びるように設けられ、連結片によって前記キャップ本体に連結されたバンドとを具備し、
前記バンドには、このバンドを周方向に分離せしめる部位が周方向の少なくとも1ヶ所に設けられ、この位置において前記バンドは切断可能な接続片で相互に接続されており、而も、前記バンドの内側には前記注出体に向けて突出する突起が形成され、
この開閉キャップが前記注出体に対して開放される方向へ回転された際に、その回転方向に関し、前記バンドの前記接続片を間に挟んだ前方側が前記キャップ本体と共に回転される一方で、後方側が前記突起の前記注出体の一部への引っ掛かりにより回転が阻止されて、これにより発生する前記バンドの応力により、前記接続片が切断されるよう構成された開閉キャップであって、
前記バンドは前記キャップ本体の下方に位置されて、前記連結片によって前記キャップ本体の下部に連結され、
しかも、前記キャップ本体の下端には、前記バンドの内側が押し当てられて、前記バンドが半径方向内側に押しつぶされることを阻止する変形防止体が、前記バンドの内側に配されるように形成されていることを特徴とする開閉キャップ。
【請求項2】
前記変形防止体は、前記キャップ本体の下端面に複数の突起体を間欠的に周方向に沿って配置してなることを特徴とする請求項1に記載の開閉キャップ。
【請求項3】
前記変形防止体は、前記キャップ本体の下端から突出して形成された円環体であることを特徴とする請求項1に記載の開閉キャップ。
【請求項4】
前記キャップ本体、前記変形防止体、前記バンド、前記接続片及び前記連結片は、射出成形により一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の開閉キャップ。
【請求項5】
前記キャップ本体には、前記バンドの外面と少なくとも同径となる接触防止部がこのキャップ本体の外周面から外方に向け張り出して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の開閉キャップ。
【請求項6】
包装容器の注出体の外周面にねじ込んで、前記注出体を開閉させるキャップ本体と、
このキャップ本体の周方向に延びるように設けられ、連結片によって前記キャップ本体に連結されたバンドと、
前記キャップ本体の下部に設けられ、前記バンドの内側が押し当てられて、前記バンドが半径方向内側に押しつぶされることを阻止する変形防止体とを備え、
前記バンドには、このバンドを周方向に分離せしめる部位が周方向の少なくとも1ヶ所に設けられ、この位置において前記バンドは切断可能な接続片で相互に接続されて、当該開閉キャップが前記注出体に対して回転されて前記バンドの内側から前記注出体に向けて突出する突起が前記注出体の一部を乗り越えた際に前記バンドに生ずる応力により、前記接続片が切断されるよう構成された開閉キャップについての製造方法であって、
前記キャップ本体、前記変形防止体、前記バンド、前記接続片及び前記連結片を射出成形により一体に形成する射出成形工程を具備し、
この射出成形工程では、前記バンドの上端と前記キャップ本体の下端との間の隙間が前記変形防止体の下端と前記キャップ本体の下端との間の寸法より大きくなるように、前記バンドが前記キャップ本体に前記連結片で接続された状態で成形され、
この射出成形工程における射出終了後に、前記バンドを前記キャップ本体に向けて押し込んで、前記バンドを前記変形防止体の外周側に位置させる押し込み工程を備えていることを特徴とする開閉キャップの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−16050(P2006−16050A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196334(P2004−196334)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【出願人】(000234627)シロウマサイエンス株式会社 (40)
【Fターム(参考)】