説明

開閉部材制御装置

【課題】初期設定を好適な時期に行い煩雑さを軽減することができる開閉部材制御装置を提供する。
【解決手段】制御部は、リセットスタートの回数を検出し、その回数が許容範囲内か否かを判定する。リセットスタートの回数が許容範囲を超えたと判定されたときに、制御部は、開閉部材の実開閉位置とカウント値との関係の初期設定を未設定に切り替え、再度の初期設定を促す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のルーフガラスやウインドガラス等の開閉部材を開閉制御する開閉制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に装備されるサンルーフ装置は、例えば特許文献1にて示されるように、ルーフガラスを開閉作動させるための駆動モータの回転周期を検出して、該ルーフガラスの開閉位置を検出するように構成されたものが種々提案されている。このようなサンルーフ装置には、例えば、駆動モータの回転に対応したパルス信号を出力する回転センサが備えられている。サンルーフ装置を制御する制御装置は、その回転センサから出力されるパルス信号の立ち上がり又は立ち下がりをカウントし、そのカウント値に基づいてルーフガラスの開閉位置を検出し、その開閉位置に応じた制御を行うようになっている。このルーフガラスの開閉位置を検出するためのカウント値は、その値が変化する度に書き換えられる学習データとして制御装置内に備えられるRAMに記憶される。
【0003】
RAMは、周知のように、電源供給を受けないとデータが消えてしまう揮発性メモリである。従って、例えば、制御装置に供給される電源電圧が所定電圧以下となり再び復帰するリセットスタートとなった場合、RAMに記憶していた学習データ(カウント値)が消えた可能性があるとして、RAM内のデータが正常に記憶されているか否かをチェックするように構成されている。
【特許文献1】特開2003−253957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動車のエンジンを始動していない状態でルーフガラスを作動させ、その作動中にエンジンを始動すべくエンジンスタータモータを作動させた場合等、制御装置に供給される電源電圧が一瞬大きく低下して、前記所定電圧以下となる場合がある。このような場合、電源電圧の低下が一瞬であるためにRAMに記憶されているデータが消えず、リセットスタート時のRAMチェックを行った際に、学習データ(カウント値)が正常に記憶されていると判定される。
【0005】
しかしながら、その電源電圧が一瞬低下した際に、回転センサからのパルス信号が異常な波形となってカウントできなかったり、パルス信号の波形が正常であってもカウントできなかったり、RAMへの書き込みが行えなかったりする場合がある。このような場合、実際のルーフガラスが移動しているにもかかわらずRAM内のカウント値が変化しないため、ルーフガラスの実開閉位置とカウント値とにズレが生じ、制御上不具合が生じるという問題があった。
【0006】
そこで、リセットスタートが生じた場合に、ルーフガラスの実開閉位置とカウント値との原点位置設定(初期設定)がなされたかという初期化情報が設定済みとなっていたものを未設定に切り替えて(例えば、原点位置設定済みフラグをセットからクリアとし)、原点位置を再度設定させる構成とすることが考えられる。しかしながら、リセットスタートする度に原点位置を再設定することとなり、使用者にとって非常に煩雑となることが予想される。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、初期設定を好適な時期に行い煩雑さを軽減することができる開閉部材制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、開閉部材を開閉させる駆動モータの作動に基づいてカウント動作し、そのカウント値に基づいて前記開閉部材の開閉位置を検出し、検出した前記開閉部材の開閉位置に応じた開閉制御を行うものであり、前記カウント値を変化する度に記憶する記憶装置と、供給される駆動電源が所定電圧以下となり再び復帰するリセットスタートとなった場合に、前記カウント値が前記記憶装置に正常に記憶されているか否かを判定する記憶状態判定手段と、前記駆動モータが作動中か否かを検出するモータ状態検出手段と、前記リセットスタート時に前記カウント値が正常に記憶されていると判定されても、前記駆動モータが作動中と検出された場合、前記開閉部材の実開閉位置と前記カウント値との間にズレが生じた可能性があると判定する位置ズレ判定手段とを備えた開閉部材制御装置であって、前記リセットスタートの回数を検出しその回数が許容範囲内か否かを判定するリセット回数判定手段と、前記リセットスタートの回数が許容範囲を超えたと判定されると、前記開閉部材の実開閉位置と前記カウント値との関係の初期設定を未設定に切り替える初期化状態切替手段とを備えたことをその要旨とする。
【0009】
この発明では、リセット回数判定手段は、リセットスタートの回数を検出し、その回数が許容範囲内か否かを判定する。リセットスタートの回数が許容範囲を超えたと判定されると、初期化状態切替手段は、開閉部材の実開閉位置とカウント値との関係の初期設定を未設定に切り替える。ここで、リセットスタートした場合であっても、開閉部材の実開閉位置とカウント値とにズレが生じないことも多々あるとともに、ズレが生じたとしてもそのズレは僅かなことが多いため、リセットスタートの回数が許容範囲を超えたときに初期設定を未設定に切り替えて再度の初期設定を促すようにすることで、煩雑さを軽減できる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の開閉部材制御装置において、前記リセット回数判定手段は、前記初期設定が設定済み状態となってからの前記リセットスタートの回数を検出して判定することをその要旨とする。
【0011】
この発明では、リセット回数判定手段は、初期設定が設定済み状態となってからのリセットスタートの回数を検出して判定するため、より好適な時期に初期設定を行うことが可能である。
【発明の効果】
【0012】
従って、上記記載の発明によれば、初期設定が好適な時期に行われ、煩雑さを軽減することができる開閉部材制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明を自動車に装備したサンルーフ装置に具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
【0014】
図4は、サンルーフ装置を装備した自動車の要部斜視図であって、自動車1のルーフパネル2に形成した天窓3に対して開閉部材としてのルーフガラス4が設けられている。ルーフガラス4は、前後方向に往復スライド移動(スライド開閉作動)可能、かつ、その前端部において車幅方向を支点として上下動(チルト開閉作動)可能に設けられている。そして、ルーフガラス4は、同図4の破線で示す駆動モータ5の駆動に基づいて図示しない駆動伝達機構を介して開閉作動が行われる。この駆動モータ5は、該モータ5を駆動制御する後述の制御装置11とともに駆動ユニット10を構成している。駆動ユニット10は、天窓3の前方におけるルーフパネル2と室内側の成形天井パネル(図示略)との間に配設されている。
【0015】
尚、本実施形態のルーフガラス4は、図2に示すように、主に、全閉位置、チルト全開位置(全閉位置からルーフガラス4の後端が室外側に最も上昇した位置)、擬似全閉位置、フラップダウン位置(擬似全閉位置からルーフガラス4の後端が室内側に最も下降した位置)、及びスライド全開位置を有している。そして、本実施形態では、ルーフガラス4が全閉位置からチルト全開位置、擬似全閉位置、フラップダウン位置、及びスライド全開位置の順で開作動することをスライド開作動(図2においてS/O作動)、この逆の作動をスライド閉作動(図2においてS/C作動)という。このスライド開閉作動は、後述するスライド開閉スイッチSW2,SW3をそれぞれ操作することにより行われる。又、ルーフガラス4が全閉位置からチルト全開位置まで開作動することをチルト開作動(図2においてT/U作動)、この逆の作動をチルト閉作動(図2においてT/D作動)という。このチルト開閉作動は、後述するチルト開閉スイッチSW4,SW5をそれぞれ操作することにより行われる。
【0016】
図1は、駆動モータ5を駆動制御するサンルーフ装置の電気的構成を説明するための電気ブロック図を示す。駆動モータ5を駆動制御する制御装置11はバッテリ(図示略)に接続され、該制御装置11にはバッテリから駆動電源+B(本実施形態では、12[V])が供給される。駆動電源+Bは、制御装置11内において電源供給回路12にて所定電源電圧に調整されて制御部13に供給される。
【0017】
制御装置11は、イグニッションスイッチSW1が接続される。イグニッションスイッチSW1は、制御装置11内において入力回路14を介して制御部13に接続される。イグニッションスイッチSW1は、操作されると操作信号(オン信号)を入力回路14を介して制御部13に出力する。制御部13は、イグニッションスイッチSW1のオン信号に基づいて電源供給回路12を介して供給される駆動電源+Bに基づいて動作する。
【0018】
又、制御装置11には、前記ルーフガラス4を開閉させるべく操作される各種スイッチSW2〜SW5、即ちスライド開スイッチSW2、スライド閉スイッチSW3、チルト開スイッチSW4、及びチルト閉スイッチSW5がそれぞれ接続される。各種スイッチSW2〜SW5は、制御装置11内において入力回路14を介して制御部13に接続される。各種スイッチSW2〜SW5は、それぞれ操作されると、指令信号(本実施形態では、Lレベル(接地レベル)のオン信号)を入力回路14を介して制御部13に出力する。
【0019】
制御部13には、該制御部13の動作に必要な基準クロック信号がクロック発振回路15から入力される。
又、前記制御部13は、駆動回路17を介して前記駆動モータ5に駆動電源+Bを供給して該モータ5の制御を行う。この駆動回路17は、第1及び第2リレー17a,17bを備えている。各リレー17a,17bは、駆動モータ5に駆動電源+Bを供給又は停止して、該モータ5を正逆回転又は停止させる。
【0020】
即ち、本実施形態の制御部13は、スライド開スイッチSW2が一旦操作される、即ち該スイッチSW2からオン信号が一旦入力されると、その後該スイッチSW2からオフ信号が入力されてもルーフガラス4を全閉位置からチルト全開位置、擬似全閉位置、フラップダウン位置、及びスライド全開位置までの順で一気に開作動(オート開作動)させるべく第1リレー17aをオンさせて駆動モータ5に駆動電源+Bを供給し、該モータ5を駆動する。そして、制御部13は、後述するルーフガラス4の開閉位置の検出によって該ルーフガラス4がスライド全開位置に配置されたことが検出されると、第1リレー17aをオフさせて駆動モータ5への駆動電源+Bを停止して、ルーフガラス4の作動を停止する。
【0021】
一方、制御部13は、スライド閉スイッチSW3が一旦操作される、即ち該スイッチSW3からオン信号が一旦入力されると、その後該スイッチSW3からオフ信号が入力されてもルーフガラス4をスライド全開位置から前記逆の順で全閉位置に一気に閉作動(オート閉作動)させるべく第2リレー17bをオンさせて駆動モータ5に駆動電源+Bを供給し、該モータ5を駆動する。そして、制御部13は、ルーフガラス4の開閉位置の検出によって該ルーフガラス4が全閉位置に配置されたことが検出されると、第2リレー17bをオフさせて駆動モータ5への駆動電源+Bを停止して、ルーフガラス4の作動を停止する。
【0022】
又、上記のようにしてルーフガラス4がオート作動している途中に、スライド開閉スイッチSW2,SW3のいずれかが操作されると、制御部13は、駆動モータ5への駆動電源+Bを停止して、ルーフガラス4の作動を停止する。そして、再びスライド開閉スイッチSW2,SW3が操作されると、制御部13は駆動モータ5に駆動電源+Bを供給し、ルーフガラス4が停止した位置からスライド全開位置又は全閉位置まで一気に作動させるようになっている。
【0023】
制御部13は、チルト開スイッチSW4を操作している間、即ち該スイッチSW4からオン信号が入力されている間、ルーフガラス4を通常開作動(マニュアル開作動)させるべく第1リレー17aをオンさせて駆動モータ5に駆動電源+Bを供給し、該モータ5を駆動する。チルト開スイッチSW4の操作を止める、即ち該スイッチSW4からオフ信号が入力されると、制御部13は、ルーフガラス4の作動を停止させるべく第1リレー17aをオフさせて駆動モータ5への駆動電源+Bの供給を停止する。又、この場合、ルーフガラス4の開閉位置の検出によって該ルーフガラス4がチルト全開位置に配置されると、制御部13は、チルト開スイッチSW4が操作されていても、駆動モータ5への駆動電源+Bの供給を停止して、ルーフガラス4の作動を停止する。
【0024】
一方、制御部13は、チルト閉スイッチSW5を操作している間、即ち該スイッチSW5からオン信号が入力されている間、ルーフガラス4を通常閉作動(マニュアル閉作動)させるべく第2リレー17bをオンさせて駆動モータ5に駆動電源+Bを供給し、該モータ5を駆動する。チルト閉スイッチSW5の操作を止める、即ち該スイッチSW5からオフ信号が入力されると、制御部13は、ルーフガラス4の作動を停止させるべく第2リレー17bをオンさせて駆動モータ5への駆動電源+Bの供給を停止する。又、この場合、ルーフガラス4の開閉位置の検出によって該ルーフガラス4が全閉位置に配置されると、制御部13は、チルト閉スイッチSW5が操作されていても、駆動モータ5への駆動電源+Bの供給を停止して、ルーフガラス4の作動を停止する。
【0025】
前記制御装置11には、駆動モータ5の回転周期(回転速度)及び回転方向を検出する一対のホール素子磁気センサ18a,18bが該制御装置11を構成する基板上に配設されている。具体的には、駆動モータ5の回転軸(図示略)には回転方向に多極着磁されたセンサマグネットが一体回転するように設けられ、そのセンサマグネットの近傍位置にホール素子磁気センサ18a,18bが互いに回転方向に所定間隔を有して配置されている。つまり、本実施形態の回転センサは、磁気を用いた非接触型の回転センサが用いられている。各ホール素子磁気センサ18a,18bは、駆動モータ5が回転するとそのモータ5の回転に応じたパルス状の出力信号をそれぞれ検出回路19に出力する。又、各ホール素子磁気センサ18a,18bから出力される出力信号(パルス信号)は、互いに所定の位相差(例えば、1/4周期)を有している。検出回路19は、各出力信号(パルス信号)の波形を成形する等して制御部13に出力する。
【0026】
前記制御部13は、各ホール素子磁気センサ18a,18bから検出回路19を介して入力される出力信号(パルス信号)の周期に基づいて駆動モータ5の回転周期(回転速度)を検出する。
【0027】
即ち、制御部13は、前記スライド開スイッチSW2及び前記チルト開スイッチSW4が操作されオン信号が入力されると、例えばセンサ18bからの出力信号(パルス信号)の立ち上がり又は立ち下がりエッジに基づいて、開閉位置情報としてのカウント値に「1」を加算する(図2参照)。一方、制御部13は、前記スライド閉スイッチSW3及び前記チルト閉スイッチSW5が操作されオン信号が入力されると、該センサ18bからの出力信号(パルス信号)の立ち上がり又は立ち下がりエッジ毎に、開時において加算されたカウント値から「1」を減算する。そして、制御部13は、そのカウント値に応じてルーフガラス4の開閉位置を検出するようになっている。
【0028】
因みに、図2に示すように、本実施形態では、カウント値が「10」以下になると、ルーフガラス4が全閉位置に配置されているとみなされる全閉マスク領域としている。又、ルーフガラス4がチルト全開位置に配置されると、カウント値は「128」となり、ルーフガラス4が擬似全閉位置に配置されると、カウント値は「205」となる。この場合、カウント値「0」〜「128」の間をチルトA領域とし、カウント値「128」〜「205」の間をチルトB領域としている。又、ルーフガラス4がフラップダウン位置に配置されると、カウント値は「248」となり、ルーフガラス4がスライド全開位置に配置されると、カウント値は「1062」となる。尚、カウント値が「248」〜「254」の間(図2においてスライドA領域)は、後述する挟み込み判定を行わない荷重反転マスク領域である。つまり、それ以外のスライド領域であるカウント値が「254」〜「1062」の間(図2においてスライドB領域)で挟み込み判定が行われる。又、ルーフガラス4が全開側の機械的限界位置に配置されると、カウント値が「1150」になる。
【0029】
そして、このようなルーフガラス4とカウント値との相対関係を決定する原点位置設定(初期設定)は、例えば、車両出荷時や使用途中で完全に通常動作不能になった時などに行われる。この原点位置設定は、ルーフガラス4を全閉側の機械的限界位置に配置した状態で、該ルーフガラス4を更に閉方向に作動させるようにチルト閉スイッチSW5を所定時間若しくは所定回数以上操作する等してカウント値を「0」に設定することにより行われる。この場合、制御部13は、後述のEEPROM20に記憶される原点位置設定済みフラグをセットし、初期化情報が設定済みとされる。
【0030】
又、制御部13は、各出力信号(パルス信号)の位相差に応じて駆動モータ5の回転方向を検出し、その駆動モータ5の回転方向の検出に基づいてルーフガラス4の開閉方向を検出している。
【0031】
又、制御部13は、前記ルーフガラス4がオート閉作動を行っている間、駆動モータ5の回転速度が予め定めた挟み込み判定値より遅くなると、前記ルーフガラス4と前記ルーフパネル2との間で異物が狭持されて回転速度が遅くなった(回転周期が長くなった)と判定する。すると、制御部13は、閉作動中のルーフガラス4により挟み込んだ異物を解放すべく駆動モータ5を逆転させ、該ルーフガラス4を規定量(所定カウント値)だけ全開方向に反転作動させる。このとき、制御部13は、駆動モータ5の逆転に基づいて、カウント値を減算から加算に切り換える。
【0032】
又、前記制御部13には、RAM13aが備えられている。制御部13は、上記したルーフガラス4の開閉位置を検出するためのカウント値を、その値が変化する度に書き換えられる学習データの1つとしてRAM13aに記憶する。この場合、制御部13は、カウント値のそのままを正規値として記憶するとともに、その正規値の論理を全ビット反転したミラー値も同時に記憶する。
【0033】
RAM13aは、電源供給を受けないとデータが消えてしまう揮発性メモリである。従って、制御部13は、電源供給回路12を介して供給される駆動電源+Bが所定電圧以下となり再び復帰するリセットスタートとなった場合、RAM13aに記憶していたカウント値が消えた可能性があるとして、RAM13aに記憶したカウント値が正常に記憶されているか否かを判定する(以下、この判定をRAMチェックという)。制御部13は、このRAMチェックの際、RAM13aに記憶されているカウント値の正規値とミラー値とを加算し、その加算結果に基づいて判定を行っている。
【0034】
この場合、正規値とミラー値とを加算して全ビットが「1」となれば、制御部13は、RAM13aに正常に学習データが記憶されていると判定する(RAMチェックOK)。つまり、ミラー値は正規値の論理を全ビット反転したデータであるため、正常に記憶されていれば、その加算結果は全ビット「1」となるはずである。これに対し、正規値とミラー値とを加算して少なくとも1のビットが「0」となる場合、制御部13は、RAM13aの学習データが消えたと判定する(RAMチェックNG)。つまり、電源供給が遮断された場合、正規値とミラー値は一部のビット若しくは全ビットが「0」となり、その加算結果が少なくとも1のビットが「0」となるためである。
【0035】
又、制御部13は、制御装置11内に備えられるEEPROM20に対し、例えば、上記した原点位置設定後や駆動モータ5の起動時、RAMチェック正常時、駆動モータ5の停止後の所定時間経過後(例えば、1秒後)等の所定のタイミングで、その時のカウント値の正規値とミラー値を記憶する。又、制御部13は、EEPROM20に、ルーフガラス4の実開閉位置とカウント値との原点位置設定(初期設定)がなされたかという初期化情報(原点位置設定済みフラグ)を記憶する。EEPROM20は、電気的に消去(書き換え)可能であって、電源を切ってもデータが消えない不揮発性メモリである。
【0036】
このような制御部13は、駆動電源+Bが所定電圧以下となり再び復帰したリセットスタート時の処理を図3に示すフローに従って実行する。この処理フローは、上記したように、電源供給回路12を介して制御部13に供給される駆動電源+Bが所定電圧以下となり再び復帰した時に実行される。
【0037】
ステップS1において、制御部13は、学習データであるカウント値(開閉位置情報)を除くRAM13a内の所定データをクリアし、ステップS2に進む。
ステップS2では、制御部13は、RAMチェックが「OK」か否かを判定する。即ち、制御部13は、RAM13aに記憶されているカウント値の正規値とミラー値とを加算して全ビットが「1」となった場合、該RAM13aに正常に記憶されている(RAMチェックOK)として、ステップS3に進む。
【0038】
ステップS3では、制御部13は、初期化情報が設定済みか否か、即ち原点位置設定済みフラグがセット状態にあるか否かを判定する。初期化情報が未設定(原点位置設定済みフラグがクリア状態)となっている場合、制御部13は、ステップS9に進み、RAM13aに現在記憶されているカウント値(正規値)等の学習データをEEPROM20に書き込んで保存するEEPROM書き込み処理を実行した後、リセットスタート時の処理を終了する。この場合、初期化情報が未設定(原点位置設定済みフラグがクリア状態)となることから、制御部13は、上記したマニュアル開閉作動及びオート開閉作動といった通常作動モードが不能と判定し、所定カウント値だけ断続作動する寸動作動モードに移行する。これにより、使用者に原点位置の再設定を促すようになっている。
【0039】
一方、ステップS3において、初期化情報が設定済み(原点位置設定済みフラグがセット状態)となっている場合、制御部13は、ステップS4に進む。
ステップS4では、制御部13は、駆動モータ5の作動状態を判定する。この場合、制御部13は、駆動モータ5にその作動のための駆動電源+Bを供給するリレー17a,17bのオンオフ状態で該駆動モータ5の作動状態を検出する。駆動モータ5が停止中である場合、制御部13は、駆動電源+Bが所定電圧以下になった際にルーフガラス4が作動していなく、ルーフガラス4の実開閉位置とRAM13aに記憶されているカウント値とにズレが生じていないと判定し、ステップS9に進み、上記と同様にEEPROM書き込み処理を実行する。
【0040】
一方、ステップS4において、駆動モータ5が作動中である場合、制御部13は、駆動電源+Bが所定電圧以下になった際にルーフガラス4が作動しており、ルーフガラス4の実開閉位置とRAM13aに記憶されているカウント値とにズレが生じた可能性があると判定する。
【0041】
これは、駆動電源+Bが所定電圧以下になった際にルーフガラス4が作動しており、センサ18a,18bからの出力信号(パルス信号)が異常な波形となってカウントできなかったり、出力信号(パルス信号)の波形が正常であってもカウントできなかったり、RAM13aへの書き込みが行えなかったりする場合がある。そのため、RAMチェックがOKであっても、駆動モータ5が作動中(ルーフガラス4が作動中)であった場合には、制御部13は、ルーフガラス4の実開閉位置とカウント値とにズレが生じている可能性があると判定し、ステップS5に進む。
【0042】
ステップS5では、制御部13は、リセット許容回数を「1」減算する。このリセット許容回数は、初期化情報が設定済み、即ち原点位置設定済みフラグがセット状態となってからセットされる。ここで、リセットスタートした場合であっても、ルーフガラス4の実開閉位置とカウント値とにズレが生じないことも多々あるとともに、ズレが生じたとしてもそのズレは僅かなことが多いため、本実施形態ではこれを考慮し、原点位置が設定されてからのリセットスタートの数回はそのズレが許容範囲内であるとしている。換言すれば、リセット許容回数は、そのズレが許容範囲内に収まり得る所定回数に設定されている。そして、制御部13は、このステップS5においてリセット許容回数を「1」減算した後、ステップS6に進む。
【0043】
ステップS6では、制御部13は、リセット許容回数が許容回数閾値(本実施形態では「0」)より小さいか否かを判定、即ちルーフガラス4の実開閉位置とカウント値との間のズレが許容範囲内か否かを判定する。リセット許容回数が許容回数閾値より大である場合、制御部13は、ズレが許容範囲内であり原点位置再設定の必要がないと判定し、ステップS7において初期化情報を設定済みのまま保持し(原点位置設定済みフラグをセットのまま保持し)、ステップS9に進み、この場合、駆動モータ5が作動中であることから、停止後の所定時間経過後(例えば、1秒後)にEEPROM書き込み処理を実行する。
【0044】
一方、ステップS6において、リセット許容回数が許容回数閾値より小となった場合、制御部13は、ズレが許容範囲を超えた可能性が大きく原点位置再設定の必要があると判定し、ステップS8において初期化情報を未設定に切り替えて(原点位置設定済みフラグをクリアとし)、ステップS9に進み、この場合も駆動モータ5が作動中であることから、停止後の所定時間経過後(例えば、1秒後)にEEPROM書き込み処理を実行する。上記したように、初期化情報が未設定(原点位置設定済みフラグがクリア状態)となる場合では、制御部13は、マニュアル開閉作動及びオート開閉作動といった通常作動モードから所定カウント値だけ断続作動する寸動作動モードに移行し、使用者に原点位置の再設定を促す。
【0045】
前記ステップS2のRAMチェックにおいて、RAM13aに記憶されているカウント値の正規値とミラー値とを加算して少なくとも1のビットが「0」となった場合(全ビットが「1」とならない場合)、制御部13は、該RAM13a内の学習データが消えたと判定する(RAMチェックNG)。つまり、制御部13は、ルーフガラス4の原点位置(開閉位置)を喪失しており、該ルーフガラス4が通常動作不能な状態になったと判定し、ステップS10に進む。制御部13は、ステップS10においてRAM13a内の学習データ(カウント値等)をクリアし、ステップS11に進む。
【0046】
ステップS11では、制御部13は、EEPROM20に記憶されたカウント値等の学習データを読み出すEEPROM読み出し処理を実行して、RAM13aに書き込む。これにより、制御部13は、喪失したルーフガラス4の開閉位置を再度認識し、該ルーフガラス4の継続作動を可能にしている。
【0047】
このように本実施形態では、上記のリセットスタート処理を実行することで、リセットスタート時におけるルーフガラス4の実開閉位置とカウント値とのズレを原点位置再設定により解消可能としつつ、そのズレに許容範囲を設定し、リセットスタートの度に原点位置再設定を行う煩雑さを防止する構成となっている。
【0048】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態の制御部13は、リセットスタートの回数を検出し、その回数が許容範囲内か否かを判定する(ステップS5,S6)。リセットスタートの回数が許容範囲を超えたと判定されると、制御部13は、ルーフガラス4の実開閉位置とカウント値との関係の初期設定を未設定(原点位置設定済みフラグがクリア)に切り替える(ステップS8)。つまり、リセットスタートした場合であっても、ルーフガラス4の実開閉位置とカウント値とにズレが生じないことも多々あるとともに、ズレが生じたとしてもそのズレは僅かなことが多いため、リセットスタートの回数が許容範囲を超えたときに初期設定を未設定に切り替えて再度の初期設定を促すようにすることで、リセットスタートの度に初期設定を行うことなく、その煩雑さを軽減することができる。
【0049】
又、初期設定が設定済み状態(原点位置設定済みフラグがセット)となってからのリセットスタートの回数を検出して判定する構成としていることから、より好適な時期に初期設定を行うことができる。
【0050】
(2)本実施形態では、RAM13a内にカウント値の正規値とミラー値とが記憶され、制御部13は、RAMチェックの際にその正規値とミラー値とを加算することでカウント値が正常に記憶されているか否かを判定している。従って、記憶状態が正常な時には加算結果が全ビット「1」、異常な時には少なくとも1のビットが「0」となるので、その判定を容易に行うことができる。
【0051】
(3)本実施形態では、RAM13aに記憶したカウント値が所定のタイミングでEEPROM20に書き込まれるため、RAM13aの記憶状態が異常となっても、EEPROM20からカウント値を読み出すことで容易に復旧することができる。
【0052】
(第2実施形態)
以下、本発明を自動車に装備したパワーウインド装置に具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。尚、前記第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0053】
図6は、パワーウインド装置を装備した自動車の要部斜視図であって、自動車21の側面にはドア22が設けられている。このドア22には窓23が設けられており、該窓23は、ドア22に設けられている開閉部材としてのウインドガラス24によって開閉されるようになっている。ウインドガラス24は、上下方向に往復移動(開閉作動)可能に設けられている。そして、ウインドガラス24は、同図6に破線で示す駆動モータ25の駆動に基づいて図示しない駆動伝達機構を介して開閉作動が行われる。この駆動モータ25は、該モータ25を駆動制御する後述の制御装置31とともに駆動ユニット30を構成している。駆動ユニット30は、ドア22の内部に配設されている。
【0054】
図5は、駆動モータ25を駆動制御するパワーウインド装置の電気的構成を説明するための電気ブロック回路を示す。駆動モータ25を駆動制御する制御装置31は、前記第1実施形態の制御装置11と同様に構成されている。
【0055】
即ち、この制御装置31には、前記ウインドガラス24を開閉させるべく操作される各種スイッチSW6〜SW8、即ちアップスイッチ(閉スイッチ)SW6、ダウンスイッチ(開スイッチ)SW7及びオートスイッチSW8がそれぞれ接続される。各種スイッチSW6〜SW8は、それぞれ操作されると、指令信号(Lレベル(接地レベル)のオン信号)を入力回路14を介して制御部13に出力する。
【0056】
制御部13は、アップスイッチSW6が操作されると、その操作が継続される間、駆動回路17を介して駆動モータ25を駆動し、ウインドガラス24を上昇(閉作動)させる。又、ダウンスイッチSW7が操作されると、制御部13は、その操作が継続される間、駆動回路17を介して駆動モータ25を駆動し、ウインドガラス24を下降(開作動)させる。又、オートスイッチSW8が操作されると前記スイッチSW6,SW7のいずれかも操作されるようになっており、制御部13は、駆動回路17を介して駆動モータ25を駆動し、ウインドガラス24を全閉位置又は全開位置まで一気に閉作動又は開作動(オート開閉作動)させる。
【0057】
又、制御部13は、前記第1実施形態と同様に、各ホール素子磁気センサ18a,18bから検出回路19を介して入力される出力信号(パルス信号)に基づいてカウント動作を行い、そのカウント値に応じてウインドガラス24の開閉位置を検出する。尚、ウインドガラス24とカウント値との相対関係を決定する原点位置設定(初期設定)は、例えば、車両出荷時や使用途中で完全に通常動作不能になった時などに行われる。この原点位置設定は、ウインドガラス24を全閉側の機械的限界位置に配置した状態で、該ウインドガラス24を更に閉方向に作動させるようにアップスイッチSW6を所定時間若しくは所定回数以上操作する等してカウント値を「0」に設定することにより行われる。この場合、制御部13は、原点位置設定済みフラグをセットする。
【0058】
又、制御部13は、各出力信号(パルス信号)の位相差に応じて駆動モータ25の回転方向を検出し、ウインドガラス24の開閉方向を検出している。又、制御部13は、前記ウインドガラス24がオート閉作動を行っている間、駆動モータ25の回転速度に基づいて挟み込み判定を行っている。
【0059】
更に、本実施形態の制御部13は、RAM13aにウインドガラス24の開閉位置を検出するためのカウント値を記憶するとともに、駆動電源+Bが所定電圧以下となり再び復帰してリセットスタートが生じた場合には、前記第1実施形態と同様に図3に示すリセットスタート処理を実行する。これにより、本実施形態においても前記第1実施形態と同様に、リセットスタート時におけるウインドガラス24の実開閉位置とカウント値とのズレを原点位置再設定により解消可能としつつ、そのズレに許容範囲を設定し、リセットスタートの度に原点位置再設定を行う煩雑さを防止する構成となっている。
【0060】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、図3に示す処理フローに従ってリセットスタート処理を行っているが、この処理フローを適宜変更してもよい。例えば、ステップS5,S6でリセット許容回数を減算して閾値を下回るかで判定したが、リセット許容回数を加算して閾値を上回るかで判定してもよい。又、モータ作動状態を判定する前にRAMチェックを行ったが、先にモータ作動状態を判定し、その後RAMチェックを行うようにしてもよい。
【0061】
・上記実施形態では、制御部13は、カウント値の正規値とミラー値とを加算することでRAMチェックを行うようにしたが、チェック方法はこれに限定されるものではなく、又、正規値のみでRAMチェックを行うようにしてもよい。
【0062】
・上記実施形態では、原点位置の再設定の際、開閉部材(ルーフガラス4,ウインドガラス24)が全閉側の機械的限界位置に配置した状態でカウント値の初期設定を行ったが、全開側の機械的限界位置にて行ってもよい。
【0063】
・上記実施形態では、リレー17a,17bのオンオフ状態で駆動モータ5,25の作動状態を検出するようにしたが、これ以外の形態で駆動モータ5,25の作動状態を検出するようにしてもよい。
【0064】
・上記実施形態では、駆動モータ5,25の回転速度が予め定めた挟み込み判定値より遅くなると、開閉部材(ルーフガラス4,ウインドガラス24)により挟み込みが発生したと判定するようにしたが、挟み込みの判定はこれに限定されるものではない。
【0065】
・上記実施形態では、回転センサにホール素子磁気センサ18a,18bを用いたが、磁界の変化に伴って抵抗が変化する磁気抵抗素子を用いてもよい。又、これらのような非接触型の磁気センサ以外、例えば光学式の回転センサを用いてもよい。又、摺動接点を用いた接触型の回転センサを用いてもよい。
【0066】
・上記実施形態では、図2のように一旦チルト作動してスライド作動する作動形態のサンルーフ装置に実施したが、スライド作動とチルト作動とが独立した作動形態のサンルーフ装置に実施してもよい。又、スライド作動のみ、チルト作動のみ行うサンルーフ装置に実施してもよい。
【0067】
・上記実施形態では、開閉部材をルーフガラスとしたサンルーフ装置や開閉部材をウインドガラスとしたパワーウインド装置に実施したが、開閉部材をスライドドアとしたスライドドア装置等、自動車に装備するその他の装置に実施してもよい。又、車両以外の開閉部材を開閉する装置に実施してもよい。
【0068】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ) 請求項1又は2に記載の開閉部材制御装置において、
前記カウント値が変化する度に、その正規値と、その正規値の論理を全ビット反転したミラー値とを前記記憶装置に記憶し、
前記記憶状態判定手段は、その正規値とミラー値とを所定の論理演算を行うことでカウント値が正常に記憶されているか否かを判定することを特徴とする開閉部材制御装置。
【0069】
この構成によれば、記憶装置にはカウント値の正規値と正規値とミラー値とが記憶され、記憶状態判定手段は、その正規値とミラー値とを例えば加算することで記憶状態が正常かを判定している。これにより、記憶状態の判定を容易に行うことができる。
【0070】
(ロ) 請求項1,2及び上記(イ)のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置において、
前記記憶装置に記憶された前記カウント値を所定タイミングで不揮発性の記憶装置に書き込むようにしたことを特徴とする開閉部材制御装置。
【0071】
この構成によれば、記憶装置に記憶されたカウント値が所定タイミングで不揮発性の記憶装置に書き込まれるため、カウント値が通常記憶されている記憶装置の記憶状態が異常となっても、不揮発性の記憶装置からカウント値を読み出すことで容易に復旧することが可能である。
【0072】
(ハ) 開閉部材を開閉させる駆動モータの作動に基づいてカウント動作し、そのカウント値に基づいて前記開閉部材の開閉位置を検出し、検出した前記開閉部材の開閉位置に応じた開閉制御を行うものであり、前記カウント値を変化する度に記憶装置に記憶し、供給される駆動電源が所定電圧以下となり再び復帰するリセットスタートとなった場合に、前記カウント値が前記記憶装置に正常に記憶されているか否かを判定し、前記リセットスタート時に前記カウント値が正常に記憶されていると判定されても、前記駆動モータが作動中と検出された場合、前記開閉部材の実開閉位置と前記カウント値との間にズレが生じた可能性があると判定するように構成された開閉部材制御装置の初期化状態切替方法であって、
前記リセットスタートの回数を検出しその回数が許容範囲内か否かを判定し、前記リセットスタートの回数が許容範囲を超えたと判定されると、前記開閉部材の実開閉位置と前記カウント値との関係の初期設定を未設定に切り替えるようにしたことを特徴とする開閉部材制御装置の初期化状態切替方法。
【0073】
この構成によれば、請求項1と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1実施形態におけるサンルーフ装置の電気的構成図である。
【図2】ルーフガラスの開閉作動を説明するための説明図である。
【図3】リセットスタート処理を説明するためのフロー図である。
【図4】サンルーフ装置を装備した自動車の要部斜視図である。
【図5】第2実施形態におけるパワーウインド装置の電気的構成図である。
【図6】パワーウインド装置を装備した自動車の要部斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
4…開閉部材としてのルーフガラス、5…駆動モータ、13…記憶状態判定手段、モータ状態検出手段、位置ズレ判定手段、リセット回数判定手段、及び、初期化状態切替手段を構成する制御部、13a…記憶装置としてのRAM、24…開閉部材としてのウインドガラス、25…駆動モータ、+B…駆動電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉部材を開閉させる駆動モータの作動に基づいてカウント動作し、そのカウント値に基づいて前記開閉部材の開閉位置を検出し、検出した前記開閉部材の開閉位置に応じた開閉制御を行うものであり、
前記カウント値を変化する度に記憶する記憶装置と、
供給される駆動電源が所定電圧以下となり再び復帰するリセットスタートとなった場合に、前記カウント値が前記記憶装置に正常に記憶されているか否かを判定する記憶状態判定手段と、
前記駆動モータが作動中か否かを検出するモータ状態検出手段と、
前記リセットスタート時に前記カウント値が正常に記憶されていると判定されても、前記駆動モータが作動中と検出された場合、前記開閉部材の実開閉位置と前記カウント値との間にズレが生じた可能性があると判定する位置ズレ判定手段と
を備えた開閉部材制御装置であって、
前記リセットスタートの回数を検出しその回数が許容範囲内か否かを判定するリセット回数判定手段と、
前記リセットスタートの回数が許容範囲を超えたと判定されると、前記開閉部材の実開閉位置と前記カウント値との関係の初期設定を未設定に切り替える初期化状態切替手段と
を備えたことを特徴とする開閉部材制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉部材制御装置において、
前記リセット回数判定手段は、前記初期設定が設定済み状態となってからの前記リセットスタートの回数を検出して判定することを特徴とする開閉部材制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−231878(P2008−231878A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76993(P2007−76993)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】