説明

防水LEDユニット

【課題】結露によるショートの発生を防止することができる防水LEDユニットを提案すること。
【解決手段】LED11と、該LED11が取り付けられてなる回路基板10と、該回路基板10が防水可能に収容されるハウジング20とを有してなり、前記LED11の光が前記ハウジング20外に出射される防水LEDユニット1において、前記ハウジング20の内面21に接するように吸水部材50が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDが取り付けされる回路基板と、回路基板が防水可能に収容されるハウジングとを有してなる防水LEDユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、省電力化の要求の高まりに応じて、白熱電球に代わってLED(Light Emitting Diode)を組み込んだ照明器具が用いられている。このような照明器具としては、LEDと、LEDが取り付けされる回路基板と、回路基板が収容されるハウジングとを有してなるLEDユニットがある。例えば、特許文献1には、回路基板がハウジング内に密閉されて収容されることによって、回路基板の防水性を高めるようにした防水LEDユニットが提案されている。
【0003】
この特許文献1に記載された防水LEDユニットは、少なくとも一部に透明な透明部を有する密閉容器状のケース内に透光部に対向させて光源としての発光ダイオードを配置させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−137029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された防水LEDユニットは、LEDの点灯、消灯による急な温度変化、あるいは外気温の急な温度変化等が生じた場合、結露によって空気中に含まれる水分が水滴となってハウジングの内面に付着し、この水滴が回路基板に付着した場合、配線間でのシュートが発生する恐れがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、結露によるショートの発生を防止することができる防水LEDユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る防水LEDユニットは、LEDと、該LEDが取り付けられてなる回路基板と、該回路基板が防水可能に収容されるハウジングとを有してなり、前記LEDの光が前記ハウジング外に出射されるLEDユニットにおいて、前記ハウジングの内面に接するように吸水部材が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る防水LEDユニットは、上記の発明において、前記吸水部材は、前記LEDに向かい合う位置に配置され、前記LEDのほぼ正面で向かい合う部分に前記LEDから発せられた光が通過される開口である光通過開口部が形成されてなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に係る防水LEDユニットは、上記の発明において、前記吸水部材は、濃色であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4に係る防水LEDユニットは、上記の発明において、前記ハウジングは、該ハウジングの内部に乾燥剤が収容されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る防水LEDユニットは、前記ハウジングの内面に接するように吸水部材が設けられているので、結露によって前記ハウジングの内面に水滴が発生すると、その水滴が前記吸水部材によって吸水され、回路基板に付着することを防ぎ、結果的に結露によるショートの発生を防止することができる。
【0012】
本発明の請求項2に係る防水LEDユニットは、前記吸水部材に前記LEDから発せられた光が通過される開口である光通過開口部が形成されてなるので、前記ハウジングの所定位置から損失を少なく抑えて前記LEDの光を出射させることができる。
【0013】
本発明の請求項3に係る防水LEDユニットは、前記吸水部材が濃色であるので、前記吸水部材を介して光が前記ハウジング外に透過され難くなり、所定位置以外から前記ハウジング外に光が出射させることを確実に防止することができる。
【0014】
本発明の請求項4に係る防水LEDユニットは、前記ハウジング内に乾燥剤が収容されているので、前記ハウジング内の湿度を低下させ、結露の発生を抑えることができるので、結露によるショートの発生をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施例に係る防水LEDユニットの斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した防水LEDユニットの上面図である。
【図3】図3は、図2に示した防水LEDユニットのA−A線断面図である。
【図4】図4は、図3に示した吸水部材後端保持部周辺を拡大した図である。
【図5】図5は、図2に示した防水LEDユニットであり、ハウジング内の吸水部材およびLEDを破線で示した図である。
【図6】図6は、防水LEDユニットの組み付け手順を示した図である。
【図7】図7は、防水LEDユニットの組み付け手順を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、この発明に係る防水LEDユニットの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施例に係る防水LEDユニット1の斜視図である。図2は、図1に示した防水LEDユニット1の上面図である。図3は、図2に示した防水LEDユニット1のA−A線断面図である。図4は、図3に示した吸水部材後端保持部35周辺を拡大した図である。図5は、図2に示した防水LEDユニット1であり、ハウジング20内の吸水部材50およびLED11を破線で示した図である。
なお、便宜上、図中の互いに直交する矢印の方向を前後左右上下方向とする。
【0018】
本発明の実施例に係る防水LEDユニット1は、LED11と、LED11が取り付けられてなる回路基板10と、回路基板10が収容されるハウジング20と、回路基板10の端面に当接されて回路基板10をハウジング20内の所定位置に保持するためのホルダー30と、ハウジング20の開口部23を塞ぐカバー40と、ハウジング20の内面21に付着された水滴を吸水する吸水部材50と有してなる。この防水LEDユニット1は、ハウジング20内に防水可能に回路基板10が収容され、回路基板10に取り付けられたLED11の光がハウジング20外に出射されるものである。
【0019】
まず、回路基板10について説明する。
回路基板10は、基板上にLED11、抵抗等の電子部品12が取り付けられている。
また、回路基板12は、基板上に形成された不図示の端子を介して、信号線あるいは給電線としての電線Wに接続されている。回路基板は、この電線Wを介して、外部から電力が供給されるようになっている。
LED11は、箱状のパッケージ内に発光部があり、不図示の回路配線に接続されることによって電力が供給され、この供給された電力によって光を発するようになっている。
【0020】
次に、ハウジング20について説明する。
ハウジング20は、光透過性の合成樹脂材からなり、ハウジング20内に回路基板10が収容される収容部22を有してなる。このハウジング20は、より具体的には、前壁20aと、前壁20aの縁に沿って立設された周側壁20bとを有し、一端に回路基板10の挿入口となる開口部23が形成されている。
また、周側壁20bの上側部分を形成する壁である上壁20b1が収容部21内に取り付けられた回路基板10と向かい合うようになっている。また、回路基板10は、ハウジング20内に設けられた不図示のガイド機構にガイドされながら収容部22内の所定位置に取り付けられるようになっている。
【0021】
また、ハウジング20は、吸水部材50をハウジング20の内面21(以下、ハウジング内面21という。)に接するように保持する保持部としての吸水部材前端保持部24を有してなる。
吸水部材前端保持部24は、前壁20aのハウジング内面21から片状に突出された部分であり、上壁20b1の内面21との間隔が吸水部材50の厚みと略等しくなるようにして形成されている。吸水部材50の前端部50aが、この吸水部材前端保持部24と、上壁20b1との間に挿入されることによって、吸水部材50がハウジング20に保持されるようになっている。
なお、ハウジング20は光透過性の合成樹脂からなるもの、すなわちハウジング20の全体が光を透過されるものを例示したが、これに限らず、LED11の光をハウジング20外に出射させる部分に限定して、光が透過される光透過窓を設けるようにしても構わない。
【0022】
ホルダー30は、ホルダー30の外周面31(以下、ホルダー外周面31という。)がハウジング内面21に沿うよう形成され、回路基板10に接続された各電線Wが挿通される電線挿通孔32を有してなる。
各電線Wは筒状弾性シール部材33に挿通された状態で各電線挿通孔32内に挿通されるようになっている。すなわち、筒状弾性シール部材33によって、各電線挿通孔32のシール性が高められるようになっている。
また、ホルダー外周面31の一部領域には、外周用弾性シール部材34が取り付けられることによって、ハウジング内面21とホルダー外周面31との密着性が向上され、シール性が高められるようになっている。
【0023】
また、ホルダー30は、吸水部材50を保持するための保持部としての吸水部材後端保持部35を有してなる。
吸水部材後端保持部35は、ホルダー外周面31の前端上側部分、すなわちハウジング20の上壁10b1のハウジング内面21と向かい合うホルダー外周面31を形成する部分である。この吸水部材後端保持部35は、ホルダー30の前端に向けて、ハウジング20の上壁20b1のハウジング内面21との間隔が大きくなるように傾斜されたテーパ面35aが形成されてなる。吸水部材50の後端部50bは、ホルダー30がハウジング20内に挿入される際、このテーパ面35aに緩やかに当接されるようになっている。
【0024】
カバー40は、各電線Wがハウジング20外に引き出し可能にハウジング20の開口部23を塞ぐものである。このカバー40からハウジング20外に引き出された各電線Wは、図1に示すように、束ねられて可撓性の電線保護チューブ41に覆われることによって保護されるようになっている。
【0025】
次に、吸水部材50について説明する。
吸水部材50は、例えば、スポンジ材等の水分を吸収する外形矩形状の板状部材であり、水分を吸収するものである。この吸水部材50は、ハウジング内面21に接するように取付けられることによって、ハウジング内面21に付着した水滴を吸水するようになっている。
【0026】
また、吸水部材50は、LED11に向かい合うハウジング内面21に配置され、LED11のほぼ正面で向かい合う部分にはLED11から発せられた光が通過される円形状の開口である光通過開口部51が形成されてなる。
さらにまた、吸水部材50は、光が透過され難い濃色をなし、LED11から発せられた光が光通過開口部51からハウジング20外に出射されるようになっている。
なお、光通過開口部51は、円形状に限らず、その他の形状の開口であっても構わない。
なお、この実施例の防水LEDユニット1は、ハウジング20内にシリカゲル等の乾燥剤60が収容され、吸水部材50と合わせて結露の発生を防止するようになっている。
【0027】
次に、図6および図7を用いて、防水LEDユニット1の組み付け手順について説明する。図6および図7は、防水LEDユニット1の組み付け手順を示した図である。
まず、作業者は、LED11、電子部品12、電線Wを回路基板10に半田付けする(図6(a)参照)。
【0028】
その後、作業者は、ホルダー30に外周用弾性シール部材34を取り付けるとともに、各電線Wを筒状弾性シール部材33に挿通させた状態で各電線挿通孔32内に挿通する(図6(b)参照)。
【0029】
その後、作業者は、吸水部材50をハウジング20に取り付ける(図6(c)参照)。吸水部材50は、ハウジング20内に設けられた吸水部材前端保持部35によって、ハウジング20内の所定位置でその前端部50aが保持される。
【0030】
その後、作業者は、回路基板10とともにホルダー30を開口部23から収容部22内に挿入し、回路基板10を収容部22内の取り付け位置に配置する(図7(d)参照)。このように回路基板10が取り付け位置に配置されると、LED11の直上に光通過開口部51が位置される。また、ホルダー30に設けられた吸水部材後端保持部35によって吸水部材50の後端部50bがハウジング内面21に接するように保持。
【0031】
その後、作業者は、カバー40をハウジング20に取り付けることによって防水LEDユニット1の組み付けを完了する(図7(e)参照)。これにより、開口部23が塞がれ、収容部22内が防水性を有して密閉される。
【0032】
本発明の実施例に係る防水LEDユニット1は、ハウジング内面21に接するように吸水部材50が設けられているので、結露によってハウジング内面21に水滴が発生すると、その水滴が吸水部材50によって吸水され、回路基板10に付着することを防ぎ、結果的に結露によるショートの発生を防止することができる。
【0033】
また、本発明の実施例に係る防水LEDユニット1は、吸水部材50にLED11から発せられた光が通過される開口である光通過開口部51が形成されてなるので、ハウジング20の所定位置から損失を少なく抑えてLED11の光を出射させることができる。
【0034】
また、本発明の実施例に係る防水LEDユニット1は、吸水部材50が濃色であるので、吸水部材50を介して光がハウジング20外に透過され難くなり、所定位置以外からハウジング20外に光が出射させることを確実に防止することができる。
【0035】
また、本発明の実施例に係る防水LEDユニット1は、ハウジング20内に乾燥剤60が収容されているので、ハウジング20内の湿度を低下させ、結露の発生を抑えることができるので、結露によるショートの発生をより確実に防止することができる。
【0036】
なお、本発明の実施例に係る防水LEDユニット1は、吸水部材50が、外形矩形状の板状部材であるものを例示したが、これに限らない。すなわち、ハウジング内面21に接するように設けられていれば、その他の形状であっても構わない。例えば、ハウジング内面21に溝が形成されている場合、その溝に嵌るように吸水部材50に凸部を設けるようにしても構わない。
【0037】
また、本発明の実施例に係る防水LEDユニット1は、吸水部材50をハウジング20に保持するための保持部として、吸水部前端部保持部24および吸水部材後端保持部35を例示したが、これに限らず、吸水部材50がハウジング内面21に接するように取り付けされることができれば、その他の保持部によって保持されるようにしても構わない。
【0038】
また、本発明の実施例に係る防水LEDユニット1は、吸水部材50が上壁20b1のハウジング内面21に接するように設けられるものを例示したが、これに限らない。すなわち、吸水部材50はハウジング内面21に接するように設けられていればよい。例えば、吸水部材50がハウジング20の周側壁20bのハウジング内面21全体に接するようにして設けても構わない。
【0039】
また、本発明の実施例に係る防水LEDユニット1は、ハウジング20内に乾燥剤60が収容されているものを例示したが、これに限らず、ハウジング20内には乾燥剤60が収容されなくても構わない。
【0040】
以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 LEDユニット
10 回路基板
11 LED
12 電子部品
20 ハウジング
20a 前壁
20b 周側壁
20b1 上壁
21 ハウジング内面
22 収容部
23 開口部
24 吸水部材前端保持部
30 ホルダー
31 ホルダー外周面
32 電線挿通孔
33 筒状弾性シール部材
34 外周用弾性シール部材
35 吸水部材後端保持部
35a テーパ面
40 カバー
41 電線保護チューブ
50 吸水部材
50a 前端部
50b 後端部
51 光通過開口部
60 乾燥剤
W 電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDと、該LEDが取り付けられてなる回路基板と、該回路基板が防水可能に収容されるハウジングとを有してなり、前記LEDの光が前記ハウジング外に出射される防水LEDユニットにおいて、
前記ハウジングの内面に接するように吸水部材が設けられていることを特徴とする防水LEDユニット。
【請求項2】
前記吸水部材は、
前記LEDに向かい合う位置に配置され、前記LEDのほぼ正面で向かい合う部分に前記LEDから発せられた光が通過される開口である光通過開口部が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の防水LEDユニット。
【請求項3】
前記吸水部材は、
濃色であることを特徴とする請求項2に記載の防水LEDユニット。
【請求項4】
前記ハウジングは、
該ハウジングの内部に乾燥剤が収容されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の防水LEDユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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