電力供給制御システムとその制御方法
【課題】電力需給のひっ迫状態を効果的に緩和できる電力供給制御システムを提供する。
【解決手段】本発明の電力供給制御システムは、エリア電力供給装置3に備えられた給電統括管理サーバ5が、外部のデータネットワーク6を介して多数台の電気機器9それぞれの動作状態の情報を収集し、給電可能容量と動作中の多数台の電気機器それぞれの通常動作時の消費電力の総量を当該エリア電力供給装置の供給可能な供給電力量と比較して電力需給のひっ迫の有無を判定し、電力需給がひっ迫している場合にはデータネットワークに対して動作中の多数台の電気機器それぞれに対してそれらを識別するIPv6のIPアドレスと節電モードへの動作モード変更指令を送信し、他方、多数台の電気機器それぞれは電力コントローラ11がデータネットワークを通じて給電統括管理サーバから自機アドレス宛に動作モード変更指令を受けると電気機器を節電モードへ変更する制御を行う。
【解決手段】本発明の電力供給制御システムは、エリア電力供給装置3に備えられた給電統括管理サーバ5が、外部のデータネットワーク6を介して多数台の電気機器9それぞれの動作状態の情報を収集し、給電可能容量と動作中の多数台の電気機器それぞれの通常動作時の消費電力の総量を当該エリア電力供給装置の供給可能な供給電力量と比較して電力需給のひっ迫の有無を判定し、電力需給がひっ迫している場合にはデータネットワークに対して動作中の多数台の電気機器それぞれに対してそれらを識別するIPv6のIPアドレスと節電モードへの動作モード変更指令を送信し、他方、多数台の電気機器それぞれは電力コントローラ11がデータネットワークを通じて給電統括管理サーバから自機アドレス宛に動作モード変更指令を受けると電気機器を節電モードへ変更する制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給制御システムとその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭電気製品では、PLC(電力線通信技術)を応用したアプリケーションを利用して生活利便性を提供する製品が多くなってきている。そのような製品の中で、例えば電気冷蔵庫の場合、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)からユーザ宅の冷蔵庫内に保存されている食材群に適した料理及び調理方法をインターネットサイトを通じて提供するサービスが実施されてきている。このように、家庭内に設置されている電気製品と外部に置かれているインターネットサイトのサーバとの間の情報交換は不自由なくできるようになっている。通信基盤が確立されている現在、インターネットを通じて電力供給サイトと電力消費サイトとを結ぶことで、電力利用の効率化、平準化、余剰電力の消費等、電力消費制御をインターネットを利用して行うようにする基盤は確立されているといえる。
【0003】
例えば、特開2006−320165号公報(特許文献1)に記載された技術が知られている。この従来技術は、発電所の電力供給能力に応じて家庭内、事務所内の停止可能な電気機器をアドレス指定した無線通信にて電力停止させ、電力需給のひっ迫を回避する技術である。
【0004】
各家庭に購入されている多種類、多数台の家庭電気製品個々に通信機能を持たせ、インターネットを通じて電力供給サイトから電力消費制御を行おうとすれば当然に無数に上る家庭電気製品の個々にユニークな識別番号を付与しなければならない。ところが、この識別番号としてIPv4のIPアドレスを割り振ろうとすれば、その数が無数に上る故にアドレスの枯渇が起こり得る。このような背景を考慮し、近年は通信機能を備えた家庭電気製品にアドレス空間が飛躍的に拡張されたIPv6のIPアドレスを付与したものが出荷されるようになっている。このように、家庭電気製品の識別番号にIPv6のIPアドレスを付与することで、個々の家庭電気製品を対象にして電力消費制御を、制御すべき対象機器を見失うことなく遠隔で行うことが可能である。
【0005】
一方、電力需給がひっ迫したときに電力消費を抑制する対策として、従来、変電所の配下における電力消費抑制対策が知られている。この電力消費抑制対策は、事前に契約を交わした電力会社と事業所との間だけで行われてきた。それは、事業所側は電力会社への電力料金の優遇措置と見返りに、電力会社の要望に従い事業所単位でその操業を停止し、電力消費を止めることによってひっ迫した電力需給を緩和し、大規模停電を回避するというものである。しかしながら、この従来の電力消費抑制対策では、電力消費抑制のために操業を停止した事業者、事業所の蒙る影響が長期間に及ぶことがある問題点がある。
【0006】
近年、電力会社の電力需要予測の精度は非常に高いものとなっている。また発電能力は発電所毎の発電能力と運転計画(法定点検による不稼動)の積み上げで固定的な値が示されている。ところが、地震、台風などの天変地異やテロによる事故などの突発的な発電所故障、変電所故障、送電線事故等によってその発電能力が過小に変動することが予想される。そのような変動が起きた場合、それに見合う消費電力を自律的に制御できなければ停電が発生してしまうことになる。
【0007】
これとは別に、日本では規制緩和政策の恩恵で屋内電力線通信技術(屋内PLC)が実用化され、屋内PLC通信装置が使用できるようになったが、諸外国、特に欧州各国においては屋外電力線通信技術(屋外PLC)の実用化が進んでいる。(例えば、大黒能寛、「海外での電力線通信の動向と日本における今後の展望」、NTT技術ジャーナル2005年7月号80〜83ページ(非特許文献1)を参照。)
【0008】
この屋外PLC技術は、契約者の家庭や事務所のような建物の受電設備にPLC親機を設置し、屋外の低圧変電設備にPLC親機を設置して電力引き込み線を通じてPLC通信を行い、このPLC親機と通信事業者との間は光ファイバにて接続してデータ通信を行う構成である。また各建物のPLC親機は通信機能を備えたパソコンその他の電気機器毎にPLC子機をLANケーブルにて接続し、各PLC子機は電源コンセントに接続することでPLC親機と電力線を通じてデータ通信を行う。このように屋外、屋内におけるPLC技術は実用化段階を迎えている。このPLC技術により、PLC子機に接続されている通信機器、あるいは通信機能を備えた電気機器にIPアドレスを割り付けることで、各電気機器との間でインターネットのようなデータネットワークを通じた個別のデータ通信が可能になる。
【特許文献1】特開2006−320165号公報
【非特許文献1】大黒能寛、「海外での電力線通信の動向と日本における今後の展望」、NTT技術ジャーナル2005年7月号80〜83ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされたもので、突発的な事故その他の何らかの原因により特定エリアの電力会社の発電能力が配下の電力線に接続されている無数に上る電気機器の全電力消費量にひっ迫し、停電が発生してしまう恐れがあるような事態に対して、PLC通信を利用したデータ通信によりそのような事態を自律的に回避できる電力供給制御システムとその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの特徴は、一定の電力供給エリアを持つエリア電力供給装置と、前記エリア電力供給装置から電力線にて電力供給を受ける多種多様、かつ多数台に上る電気機器とから構成される電力供給系統において、前記エリア電力供給装置から前記多数台の電気機器の消費電力制御を行う電力供給制御システムであって、前記エリア電力供給装置は、外部のデータネットワークと接続され、前記多数台の電気機器それぞれの動作状態の情報を収集し、給電可能容量と動作中の多数台の電気機器それぞれの消費電力の総量を当該エリア電力供給装置の供給可能な供給電力量と比較して電力需給のひっ迫の有無を判定し、電力需給がひっ迫している場合には前記データネットワークに対して動作中の多数台の電気機器それぞれに対してそれらを識別するIPv6のIPアドレスと節電モードへの動作モード変更指令を送信する給電統括管理サーバを備え、前記多数台の電気機器それぞれは、外部からの前記動作モード変更指令を受けて節電モードへ動作モードを変更する制御を行う電力コントローラを備え、かつ、前記電力コントローラはそれに対する外部とのデータ通信信号を電力線に重畳して送受するPLC子機に接続され、前記多数台の電気機器のうち同一建物内に設置されている電気機器それぞれに接続されている前記PLC子機それぞれは、前記建物内に設置され、前記外部のデータネットワークとの間でネットワーク通信を可能とする外部ネットワーク接続装置に接続されている電力供給制御システムである。
【0011】
上記の発明の電力供給制御システムにおいては、前記給電統括管理サーバは、前記外部のデータネットワークに接続され、データ通信を行うデータ通信部と、前記外部のデータネットワークを通じて変電所からリアルタイムに送られてくる最新受電電力量情報を受信して保持する受電電力量情報保持部と、当該システムに接続されているすべての電気機器のIPアドレスと現状の動作モードを前記外部のデータネットワークを通じて収集する配下電気機器動作情報収集部と、配下の電気機器毎のIPv6のIPアドレス、通常動作モードでの消費電力、節電モードへの切替可否の情報を登録した配下電気機器情報データベースと、前記配下電気機器情報データベースをIPアドレスをキーにして検索し、動作中の配下電気機器群の総消費電力量を演算する配下電力消費量演算部と、前記受電電力量情報保持部の保持する受電電力量を前記配下電力消費量演算部の演算した配下電気機器群の総消費電力量と比較し、電力の安定供給が可能か否かを判定し、安定供給が不可能な場合に節電モードへの動作モード変更指令を該当する配下電気機器に対してIPアドレスと共に送信する配下電気機器消費電力制御部とを備えたものとすることができる。
【0012】
また、上記発明の電力供給制御システムにおいては、前記電力コントローラは、前記PLC子機と接続され、IPv6のIPアドレスが付与されているネットワーク通信部と、自機が内蔵されている電気機器の動作を通常動作モードと節電モードとの間で動作モード変更を制御する動作制御部とを備えたものとすることができる。
【0013】
本発明の別の特徴は、一定の電力供給エリアを持つエリア電力供給装置と、前記エリア電力供給装置から電力線にて電力供給を受ける多種多様、かつ多数台に上る電気機器とから構成される電力供給系統において、前記エリア電力供給装置から前記多数台の電気機器の消費電力制御を行う電力供給制御システムによる電力供給制御方法であって、前記エリア電力供給装置が、外部のデータネットワークを通じて前記多数台の電気機器それぞれの動作状態の情報を収集するステップと、前記エリア電力供給装置が、給電可能容量と動作中の多数台の電気機器それぞれの消費電力の総量を当該エリア電力供給装置の供給可能な供給電力量と比較して電力需給のひっ迫の有無を判定するステップと、前記エリア電力供給装置が、前記電力需給がひっ迫していると判定した場合に、前記データネットワークに対して動作中の多数台の電気機器それぞれに対してそれらを識別するIPv6のIPアドレスと節電モードへの動作モード変更指令を送信するステップと、前記多数台の電気機器それぞれが、PLC子機を通じて前記節電モードへの動作モード変更指令を受信し、通常動作モード中であれば節電モードに動作モードを変更するステップとを有する電力供給制御方法である。
【0014】
請求項5に記載の本発明は、一定の電力供給エリアを持つエリア内電力供給装置と、当該エリア内電力供給装置から電力線にて電力供給を受ける複数の電気機器に対して消費電力制御を夫々行う複数の電気機器制御装置とを備えた電力供給制御方法であって、前記エリア内電力供給装置により、複数の動作モードに夫々対応する各消費電力を、前記複数の電気機器に付与されたIPv6のIPアドレスに関連付けて配下電気機器情報データベースに格納しておく第1ステップと、外部のデータネットワークを介して前記複数の電気機器における現在の動作モードを夫々収集し、当該動作モードに対応する前記消費電力を前記配下電気機器情報データベースから読み出して、現時点で消費されている総消費電力量を計測する第2ステップと、気象情報を蓄積している気象情報蓄積装置から、現時点における前記電力供給エリアの気象情報を収集する第3ステップと、前記第2ステップ及び前記第3ステップを所定の時間間隔で繰り返し、前記総消費電力量及び前記気象情報を各ステップを実施した時刻に関連付けて総消費電力量履歴格納手段に格納しておくことを繰り返す第4ステップと、前記総消費電力量履歴格納手段に格納された複数の前記総消費電力量及び複数の前記気象情報を読み出して、所定の気象条件に対して所定の時刻で消費される予測総消費電力量を算出可能な予測式を求める第5ステップと、前記第5ステップを所定の時間間隔で繰り返し、前記予測式を予測式格納手段に格納しておくことを繰り返す第6ステップと、前記外部のデータネットワークを介して前記複数の電気機器における現在の動作モードを夫々収集し、当該動作モードに対応する前記消費電力を前記配下電気機器情報データベースから読み出して、現時点で消費されている総消費電力量を計測し、総消費電力量格納手段に格納する第7ステップと、前記気象情報蓄積装置から現時点における前記電力供給エリアの気象情報を収集し、電力制御用気象情報格納手段に格納する第8ステップと、前記外部のデータネットワークを介して変電所から送られてくる受電電力量の計画値を受信して、受電電力量計画値格納手段に格納する第8ステップと、前記総消費電力量を前記総消費電力量格納手段から読み出すと共に、前記気象情報を前記電力制御用気象情報格納手段から読み出して、前記予測式格納手段に格納された前記予測式を用いて、今後の需要電力量を時刻単位で予測する第9ステップと、前記受電電力量計画値格納手段に格納された前記受電電力量の計画値と、予測された前記需要電力量とを時刻ごとに比較して、当該需要電力量が当該受電電力量の範囲であるかを判定する第10ステップと、前記需要電力量が前記受電電力量の範囲でないと判定した場合に、前記外部のデータネットワークを介して、前記IPv6のIPアドレスを有する動作中の前記複数の電気機器に夫々接続された前記複数の電気機器制御装置に節電モードへの動作モード変更指令を送信する第11ステップと、を有し、前記電気機器制御装置により、前記動作モード変更指令を受信し、通常動作モード中であれば当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器の動作モードを節電モードに変更するステップ、を有することを要旨とする。
【0015】
本発明によれば、エリア内電力供給装置により、所定の電力供給エリアで消費されている総消費電力量を計測すると共に同エリアの気象情報を収集することを所定の時間間隔で繰り返して時間に関連付けて総消費電力量履歴格納手段に格納しておき、この総消費電力量履歴格納手段に格納されている総消費電力量を用いて所定の気象条件に対して所定の時刻で消費される予測式を求めて格納しておいて、複数の電気機器における現在の動作モードを夫々収集して現時点の総消費電力量を計測すると共に気象情報を収集し、上記予測式を用いて今後の需要電力量を時刻単位で予測し、変電所から送られてくる受電電力量の計画値と予測された需要電力量とを時刻ごとに比較して、需要電力量が受電電力量の範囲でないと判定した場合に、動作中の複数の電気機器に夫々接続された複数の電気機器制御装置に節電モードへの動作モード変更指令を送信し、電気機器制御装置により、動作モード変更指令を受信し、通常動作モード中であれば電気機器の動作モードを節電モードに変更するため、現在時刻から遡った周囲の気象条件変化に基づいて、将来の時刻における電力消費量を予測することで消費電力の抑制が可能となり、電気機器間の電力使用量の平準化や電力制御の最適化、電気機器の停電を回避することが可能となる。
【0016】
請求項6に記載の本発明は、前記電気機器制御装置が、前記電力供給エリアが停電した場合であっても当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器を自律して動作させる予備用電源装置を有し、更に、前記エリア電力装置及び前記電気機器制御装置は、当該停電の場合に前記外部のデータネットワークとは異なる停電用通信経路を介して通信可能であって、前記エリア内電力供給装置により、前記電力供給エリアが停電したか否かを判定する第12ステップと、前記電力供給エリアが停電したと判定する場合に、前記停電用通信経路を介して前記複数の電気機器を再起動させる再起動指示を前記複数の電気機器制御装置に夫々与える第13ステップと、を更に有し、前記電気機器制御装置により、前記再起動指示が与えられた場合に、当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器を再起動させるステップ、を更に有することを要旨とする。
【0017】
本発明によれば、電気機器制御装置が、電力供給エリアが停電した場合であっても電気機器制御装置に接続された電気機器を自律して動作させる予備用電源装置を有し、更に、エリア電力装置及び電気機器制御装置は、停電の場合に外部のデータネットワークとは異なる停電用通信経路を介して通信可能であって、エリア内電力供給装置により、電力供給エリアが停電したと判定する場合に、停電用通信経路を介して複数の電気機器を再起動させる再起動指示を複数の電気機器制御装置に夫々与え、電気機器制御装置により、再起動指示が与えられた場合に、電気機器制御装置に接続された電気機器を再起動させるため、突然の発電所故障や変電所故障に伴う電力供給不足に起因する電気機器の停電が発生した場合であっても、各電気機器を再び動作させることが可能となる。
【0018】
請求項7に記載の本発明は、前記エリア内電力供給装置が、前記第13ステップにおいて、所定の遅延時間間隔で、前記再起動指示を前記複数の電気機器制御装置に夫々与えることを要旨とする。
【0019】
本発明によれば、エリア内電力供給装置が、所定の遅延時間間隔で上記再起動指示を複数の電気機器制御装置に夫々与えるため、複数の電気機器が一度に再起動した場合に、電圧に敏感に反応して電流を吸い込む機器に起因する再停電を回避することができる。
【0020】
請求項8に記載の本発明は、前記電気機器制御装置が、前記電力供給エリアが停電した場合であっても当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器を自律して動作させる予備用電源装置と、停電により動作停止してから再起動を開始するまでの待ち時間を格納しておくタイマー格納手段とを有するものであって、前記電気機器制御装置により、停電により当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器の動作が停止した場合に、前記待ち時間を前記タイマー格納手段から読み出して、当該待ち時間が経過した後に当該電気機器を再起動させるステップ、を更に有することを要旨とする。
【0021】
本発明によれば、電気機器制御装置が、電力供給エリアが停電した場合であっても電気機器制御装置に接続された電気機器を自律して動作させる予備用電源装置と、停電により動作停止してから再起動を開始するまでの待ち時間を格納しておくタイマー格納手段とを有するものであって、電気機器制御装置により、停電により電気機器制御装置に接続された電気機器の動作が停止した場合に、待ち時間をタイマー格納手段から読み出して、この待ち時間が経過した後に電気機器を再起動させるため、エリア内電力供給装置からの再起動の指示がない場合であっても自律して再起動が可能となると共に、複数の電気機器が一度に再起動した場合に、電圧に敏感に反応して電流を吸い込む機器に起因する再停電を回避することができる。
【0022】
請求項9に記載の本発明は、前記エリア内電力供給装置により、前記第9ステップで予測した今後の需要電力量を前記変電所に通知するステップを更に有することを要旨とする。
【0023】
本発明によれば、エリア内電力供給装置により、予測した今後の需要電力量を変電所に通知するため、この需要電力量に基づいて変電所が電力供給量を各エリアに再割当することが可能となり、エリア間での電力供給量を平準化することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の電力供給制御システムとその制御方法によれば、エリア電力供給装置に備えられた給電統括管理サーバが、外部のデータネットワークを介して多数台の電気機器それぞれの動作状態の情報を収集し、給電可能容量と動作中の多数台の電気機器それぞれの通常動作時の消費電力の総量を当該エリア電力供給装置の供給可能な供給電力量と比較して電力需給のひっ迫の有無を判定し、電力需給がひっ迫している場合にはデータネットワークに対して動作中の多数台の電気機器それぞれに対してそれらを識別するIPv6のIPアドレスと節電モードへの動作モード変更指令を送信し、他方、多数台の電気機器それぞれは電力コントローラがデータネットワークを通じて給電統括管理サーバから自機アドレス宛に動作モード変更指令を受けると電気機器を通常動作モードから節電モードへ動作モードを変更する制御を行うので、突発的な事故その他の何らかの原因により特定エリアの電力会社の発電能力が配下の電力線に接続されている無数に上る電気機器の全電力消費量にひっ迫し、停電が発生してしまう恐れがあるような事態に対して、PLC通信を利用したデータ通信によりそのような事態を自律的に回避でき、また、盛夏・猛暑期や厳冬期にひっ迫する電力需給も緩和することができ、最悪の事態である停電の発生を極力回避できる。
【0025】
加えて、本発明によれば、多種類、多数台に上る電気機器に対してIPv6のIPアドレスを割り振ることでアドレス枯渇の恐れなく、各電気機器をアドレス指定して電力抑制制御ができ、確実なエリア内の電力消費抑制制御が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1、図2は、本発明の1つの実施の形態の電力供給制御システムを示しており、このシステムは、発電所から電力を受けてエリア内の各家庭、事務所、工場等の多数の建物1A,1B,…それぞれに配電線2によって電力を供給するエリア内電力供給装置3、建物1A,1B,1C,…それぞれに設備されていて、エリア内電力供給装置3から電力供給を受ける受電配電装置4A,4B,4C,…を備えている。
【0027】
エリア内電力供給装置3は、発電所からの供給電力量を計算し、エリア内の電気機器群による電力総需要量を計算し、電力需給のバランスを判定し、需給ひっ迫時には消費電力低減可能な電気機器を選定して該当機器のアドレスと共に電力消費低減指令をインターネットを含むデータネットワーク6を通じて発信する給電統括管理サーバ5を備えている。
【0028】
建物1A,1B,1C,…それぞれには、データネットワーク6と接続されネットワーク通信を制御する外部ネットワーク(NW)接続装置7A,7B,7C,…、この外部ネットワーク接続装置7A,7B,7C,…それぞれとデータ通信線にて接続され、受信したネットワーク通信信号を電力線に重畳し、データネットワーク6からのアドレスを指定したデータを屋内電力線を通じて送信し、また屋内電力線を通じて送られてきた外部送信用のネットワーク通信を復調して外部ネットワーク接続装置7A,7B,7C,…それぞれに送信するPLC親機8A,8B,8C,…、受電配電装置4A,4B,4C,…からの屋内電力線に接続され電力消費する電気機器としての各種の家庭電気製品9Ai,9Bi,9Ci,…が備えられている。さらに、各家庭電気製品9Ai,9Bi,9Ci,…にはPLC子機10Ai,10Bi,10Ci,…のデータ信号線が接続されている。
【0029】
各家庭電気製品9Ai,9Bi,9Ci,…はデータ信号線を通じてPLC子機10Ai,10Bi,10Ci,…と接続され、このPLC子機10Ai,10Bi,10Ci,…からデータ信号線を通じて送られてきた電力コントロール信号に応じて自製品の電力消費モードをコントロールする電力コントローラ11Ai,11Bi,11Ci,…を備えている。
【0030】
尚、電力コントローラ11Ai,11Bi,11Ci,…それぞれには、その数が極めて多数台に上るためにアドレス枯渇の恐れがないIPv6ベースのIPアドレスが付与されていて、データ信号の通信にこのIPアドレスを用いて行う設定である。
【0031】
また、電力コントローラ11Ai,11Bi,…それぞれにPLC子機10Ai,10Bi,…がチップとして内蔵されたものとしてもよい。また、外部ネットワーク接続装置7A,7B,7C,…とPLC親機8A,8B,8C,…については、屋外PLC技術により屋外PLCとの接続が可能な環境であれば、PLCモデムに置き換えることも可能である。
【0032】
建物内の各電気機器、例えば、家庭内の冷蔵庫9A1、エアコン9A2、電子レンジ9A3等は、図5のテーブルに示すように、通常動作モードAと共に節電モードである消費電力低減動作モードB、さらに機器によってはさらには待機電力だけを消費する極小消費電力動作モードC、さらにはさらに別の消費電力低減動作モードへの動作モード変更機能を備えている。例えば、夜間電力給湯器9A7の場合、通常動作モードAは大電力を消費する「湯沸かし」動作であり、消費電力低減動作モードは備えていないので動作モードBは「なし」である。テレビ9A5の場合には、通常動作モードAは電源ONで「使用中」のモードであり、消費電力低減モードBは「待機」動作、さらに消費電力低減モードCとしては電源OFFとする「停止」も備えている。また、エアコンの場合、家庭により複数台が部屋別に設置されていることも多いので複数台のエアコン毎にIPv6のIPアドレスが割り振られている。そのうちの1台のエアコン(1)については、通常動作モードAは最大電力消費モードであり、消費電力低減モードBは「節電」モード、さらに消費電力低減モードCとしては電源OFFとする「停止」も備えている。以下、図5のテーブルに例示したように各電気製品についてIPv6のIPアドレス、モードAのコード、モードBのコード、モードCのコード、さらにあればそれ以降のモード、そして各モード毎の最大消費電力、電力ひっ迫時に契約者が消費電力低減のために遠隔でモード変更を承諾した優先モード、モード変更禁止の時間、使用時間帯について諸データが登録されている。契約者毎に製品購入があったり製品廃棄があったりするので、このテーブルの内容は定期的に更新される。このテーブルの内容は、後述する給電統括管理サーバ5のデータベースに登録されている。
【0033】
各電気機器の動作モード変更制御は、機器9Ai,9Bi,…毎に組み込まれている電力コントローラ11Ai,11Bi,…により行われる。そして各電力コントローラ11Ai,11Bi,…は、図3に示す制御機能を備えている。すなわち、PLC子機10とLANケーブルのようなネットワーク線を通じて接続され、IPv6のIPアドレスが付与されているネットワーク通信部11−1、自機が内蔵されている電気製品の動作を制御する動作制御部11−2、上記の通常動作モードと消費電力低減動作モードとの間で動作モードを切替制御する動作モード切替制御部11−3、上述した各動作モードでの消費電力情報、動作切替許可・禁止条件等が登録された動作条件記憶部11−4を備えている。例えば病院や老人ケアハウス等、電気機器によっては節電モードへの動作モード変更が患者や施設利用者にとってその身体に悪影響を及ぼすような施設もあり得る。そのような施設に設置されている電気機器については使用者の要望により節電モードへの動作モード変更を延滞させる要請を通知する必要がある。そのために、電力コントローラ11は、延滞要請機能部11−5も備えている。この延滞要請を受信する給電統括管理サーバ5は、当該要請元のIPアドレスを持つ電気機器に対しては節電モードへの動作モード変更を延滞し、直ちに節電モードに移行しないようにする。
【0034】
エリア内電力供給装置3に備えられている給電統括管理サーバ5は、図4に示す制御機能を備えている。すなわち、外部のデータネットワーク6に接続され、データ通信を行うデータ通信部5−1、データネットワーク6を通じて変電所からリアルタイムに送られてくる最新受電電力量情報を保持する受電電力量情報保持部5−2、システムに接続されているすべての電気機器9Ai,9Bi,…のIPアドレスと現状の動作モードのコードA,B,C,…をデータネットワーク6を通じて収集する配下電気機器動作情報収集部5−3、図5に示したテー部の内容を保持する配下電気機器情報データベース5−4、この配下電気機器情報データベース5−4をIPアドレスをキーにして検索し、現状の動作中の配下電気機器群の総消費電力量を演算する配下電力消費量演算部5−5、受電電力量情報保持部5−2の保持する受電電力量を配下電力消費量演算部5−5の演算した配下電気機器群の総消費電力量と比較し、電力の安定供給が可能か否かを判定し、安定供給が不可能な場合に電力消費低減動作モードへの変更指令を稼働中のすべての配下電気機器に対してIPアドレスと共に送信する配下電気機器消費電力制御部5−6、電力消費低減指令を受けて動作モードを変更した電気機器毎にその節電協力機器の動作履歴を記録して行く節電協力機器動作履歴記録部5−7を備えている。
【0035】
配下電気機器情報データベース5−4は、図5に示すテーブルの内容、すなわち、配下電気機器9Ai,9Bi,9Ci,…のIPアドレス毎に、動作モードA,B,C,…毎の消費電力量、消費電力低減モードのコード、消費電力低減のための動作モード変更指令を受けてから実際に動作モードを変更するまでに要する変更猶予時間(変更禁止時間)、例えば夜間電力運転機器のような使用時間帯が限定されているものの使用時間帯や、電子レンジの温め動作時間3分、洗濯機の洗濯終了までの所要時間45分等が登録している。この配下電気機器情報データベース5−4への配下電気機器の新規登録は、1日毎、1週間毎あるいは1月毎に、建物内の新規設置機器からの登録要請信号を受けて行う配下電気機器情報データベース5−4側で行う。また、配下電気機器9Ai,9Bi,9Ci,…毎の現状の動作状況の情報更新は、例えば1分毎に、10分毎あるいは1時間毎というように、あらかじめ設定した時間周期で行う。
【0036】
次に、上記構成の電力供給制御システムの動作、したがって当該システムが実行する電力供給制御方法について、図6の動作説明図、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0037】
多数の家庭、事務所、工場等の建物の中に設置されている各種の電気機器9A1,9A2,…;9B1,9B2,…;9C1,9C2,…;…からそれぞれの電力コントローラ11、PLC子機10、PLC親機8、データネットワーク6を通じて給電統括管理サーバ5宛に、所定周期毎にIPアドレスと共に動作モードコードが送信される。給電統括管理サーバ5は、配下電気機器動作情報収集部5−3にて逐次この動作情報を保存してゆく。
【0038】
そして給電統括管理周期毎に、例えば、10分毎に図7のフローチャートに示す電力供給制御を実行する。この場合、まず、受電電力量情報保持部5−2がデータ通信部5−1を通じてデータネットワーク6を通じて上位配電設備のサーバに対して供給電力量を問い合わせ、受電可能な電力量を受信して保持する(ステップS1)。
【0039】
次に、配下電気機器動作情報収集部5−3が保存している最新のデータから、配下電気機器9A1,9A2,…;9B1,9B2,…;9C1,9C2,…;…それぞれのIPアドレスをキーにして配下電気機器情報データベース5−4を参照して動作中の配下電気機器それぞれの通常動作モードAでの電力需要量情報を収集する(ステップS2)。続いて、動作中の配下電気機器群の通常動作モードAでの総電力需要量を上記ステップS2で得たテーブルから積算によって求める(ステップS3)。
【0040】
次に、配下電気機器消費電力制御部5−6が配下電気機器群による総電力需要量をステップS1にて得た供給電力量と比較し、供給電力量が総電力需要量を所定量α以上上回り、安定供給が可能な状態か、あるいは電力需給がひっ迫しているかを判定する(ステップS4)。このα値は現状に見合う電力余裕値に設定される。
【0041】
ステップS4にて、電力需給がひっ迫していると判定した場合には節電制御モードに移行し、配下電気機器情報データベース5−4を参照し、配下電気機器動作情報収集部5−3のデータをサーチして、現在時刻に即時消費電力低減が可能な電気機器群を抽出する(ステップS5)。そして、該当機器群に節電モードへの変更指令をIPアドレスにて特定して送信する(ステップS6)。例えば、現在時刻が真夏の昼間であり、エアコン群がフル稼動し、また冷蔵庫もフル稼動しているような状況では、動作中のエアコンすべてに対してそのIPアドレスと共に節電モードBへの変更指令を作成して送信し、また契約によって停止可としている契約者のエアコンに対してはそのIPアドレスと共に停止モードCへの変更指令を作成して送信する。同時に、動作中の冷蔵庫それぞれに対しては、そのIPアドレスと共に冷凍機能を確保した節電モードBへの変更指令を作成して送信する。
【0042】
尚、これを受信した電気機器のうち、例えば、動作中の洗濯機それぞれは、電力コントローラにより洗濯が終了するまでの時間としてあらかじめ設定されている45分を確保し、その後に低速モードBに移行する電力抑制動作制御を行う。また電子レンジであれば1回の温め時間を考慮し、3分後に通常動作Aから低速調理モードBに移行する電力抑制制御を行い、さらに食洗機であれば1回の食器洗い時間を考慮し、60分後に通常動作Aから低速モードBに移行する電力抑制動作制御を行う。
【0043】
他方、電力需要状況が変化し、ステップS4で電力需給状況が安定していると判定した場合には、節電モード対象機器に対して解除指令を送信して通常動作モードAへの復帰を許可する(ステップS7)。
【0044】
尚、この指令を受信すれば、現在動作中の家電機器のうち、すでに節電モードへの動作モード変更指令を受信して節電モードに移行していた電気機器は通常動作モードAに復帰することになるが、前回の節電モードへの変更指令を受信してない電気機器の場合はこの解除指令を意味のないものとして、通常動作を継続することになる。
【0045】
また、動作モード変更処理に際しては、延滞要請機能部11−5にてモード変更の延滞要請が発せられている電気機器に対しては、そのIPアドレスを指定して節電モードへの変更指令を発しない。
【0046】
また、給電統括管理サーバ5における節電協力機器動作履歴記録部5−7は、節電モードへの動作モード変更に応じた節電協力機器の動作履歴をIPアドレスをキーにして記録してゆく。この履歴データは、後に需要者毎の電力使用量課金の際に使用料金軽減のデータとして利用することになる。
【0047】
このように、本実施の形態の電力供給制御システムとその制御方法によれば、エリア内電力供給装置側において、電力需給が安定しているかひっ迫しているかを判定し、電力需給がひっ迫している時に節電モードへの移行が可能な多種多様で多数の電気機器それぞれに対してIPv6のIPアドレスにて特定して節電モードへの移行を指令し、エリア内の電力供給を安定化させることができる。例えば、真夏の時期にエアコンの使用で電力需要が急激に増加して電力需給がひっ迫する場合、また逆に電力事故や災害発生のためにエリア内の供給可能な電力量が低下してエリア内の電力需給がひっ迫する場合などに、電力需要者の所有する電気機器への電力配分、優先給電、電力需給のバランシングなどをエリア内の電力供給統括基地側で統括管理できる。
【0048】
〔第2の実施の形態〕
続いて、第2の実施の形態に係る電力供給制御システムについて説明する。図8は、関東地域に電力を供給する○○電力会社がある日に消費した総消費電力量の時間的推移を示すグラフである。一方、図9は、同日の東京地方における気温の時間的推移を示すグラフである。図8及び図9によれば、時間経過に伴って変化するグラフの形状が略同等なので、気象情報と電力需要量との相関が非常に高いと見做すことができる。故に、本実施の形態の電力供給制御システムは、現在時間から遡った周囲の気象変化に基づいて、将来のある時刻において電力供給エリア内で消費される電力消費量を予測し、同エリア内で動作している電気機器が消費する電力を抑制する方法について説明するものである。
【0049】
図10は、第2の実施の形態に係る電力供給制御システムの全体構成を示す構成図である。図10で示す電力供給制御システムは、第1の実施の形態で説明した図1又は図2の構成に加えて、データネットワーク6を介してエリア内電力供給装置3内に配備された給電統括管理サーバ5に通信可能な気象情報サーバ20と、同エリア内に設置されて給電統括管理サーバ5に通信可能な気象観測装置30と、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に具備された電気機器用無線LANインタフェース40Ai,40Bi,…と、停電用通信経路として作用する無線ネットワーク100を介して各電気機器用無線LANインタフェース40Ai,40Bi,…と相互に通信可能な管理サーバ用無線LANインタフェース50とを更に備えた構成である。また、本実施の形態に係る給電統括管理サーバ5及び各電力コントローラ11Ai,11Bi,…には、図11及び図12に示すように、上記方法を実現するための複数の機能が更に備えられている。このような追加的機能について以下説明を続けるが、その他の機能や該機能が備える処理については、第1の実施の形態で説明したものと同様なので、ここでは重複する説明は省略するものとする。
【0050】
気象情報サーバ20には、予想時刻ごとの予想天気及び予想気温,予想最高気温,予想最低気温,予想湿度や、実際に観測された時刻ごとの天気及び気温,最高気温,最低気温,湿度、気圧、風向風速,日照時間,降水量などの一般的な気象情報や、落雷位置,落雷時刻などの落雷状況が、インターネット等のデータネットワーク6を介してダウンロード可能に蓄積されており、一定時間間隔で更新されるようになっている。具体的には、例えば、気象庁サーバや気象協会ウェブサーバに蓄積された気象情報などを用いることができ、更には、各電力会社に情報提供された落雷地点の最新測定情報なども利用することができる。
【0051】
気象観測装置30は、電力供給エリア内の気象状況を専用に観測する気象観測装置であって、温度,湿度,気温,風向風速のセンサを用いて、気象情報サーバ20に蓄積された気象情報よりも最新の気象情報を実時間に近い形で収集し、蓄積しておくことを可能とする装置である。なお、気象情報サーバ20又は気象観測装置30は、特許請求の範囲に記載された気象情報蓄積装置に相当するものである。
【0052】
給電統括管理サーバ5は、図11に示すように、第1の実施の形態で説明した各機能に加えて、エリア内の各電気機器9Ai,9Bi,…で消費される予測総消費電力量を随時学習する学習処理を行う総消費電力量計測部5−8a,気象情報収集部5−8b,総消費電力量履歴格納部5−8c,予測式算出部5−9a,予測式格納部5−9bと、この予測式に基づいて、ある日におけるエリア内の各電気機器9Ai,9Bi,…の今後の需要電力量を予測し、各電気機器9Ai,9Bi,…の動作を制御する制御処理を行う電力制御用総消費電力量計測部5−10a,総消費電力量格納部5−10b,電力制御用気象情報収集部5−10c,電力制御用気象情報格納部5−10d,受電電力量受信部5−10e,受電電力量計画値格納部5−10f,需要電力量予測部5−10g,電力比較部5−10h,配下電気機器消費電力制御部5−10iと、電力供給エリアが停電した際に各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させる再起動処理を行う停電復旧判定部5−11a,配下電気機器再起動指示部5−11bと、予測された今後の需要電力量を変電所に通知する通知処理を行う需要電力量通知部5−12とを更に備えた構成である。
【0053】
また、給電統括管理サーバ5には、前述した管理サーバ用無線LANインタフェース50が具備されており、電力供給エリアが停電した場合であっても、無線ネットワーク100を介して各電気機器用無線LANインタフェース40Ai,40Bi,…を具備する各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させる再起動指示を与えることができる。すなわち、給電統括管理サーバ5は、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に夫々接続された各電気機器9Ai,9Bi,…を間接的に制御することが可能となっている。
【0054】
各電力コントローラ11Ai,11Bi,…には、電力供給エリアが停電した場合であっても各電気機器9Ai,9Bi,…を自律して動作させる予備用電源装置と、各電気機器用無線LANインタフェース40Ai,40Bi,…とが具備されており、電力供給エリアが停電した場合であっても、無線ネットワーク100を介して給電統括管理サーバ5からの再起動指示に基づいて各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させることや、再起動指示が与えられない場合であっても自律して各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させることができる。すなわち、図12に示すように、第1の実施の形態で説明した各機能に加えて、電力供給エリアが停電した際に各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させる処理を行う停電復旧判定部11−6a,再起動指示部11−6b,タイマー格納部11−6cを更に備えている。なお、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…とは、特許請求の範囲に記載された電気機器制御装置に相当するものである。
【0055】
次に、本実施の形態に係る電力供給制御システムの処理について説明する。最初に、前述した予測総消費電力量を随時学習する学習処理についての処理について説明する。図13は、第1段階の学習処理の動作を示すフローチャートである。第1段階の学習処理とは、ある時間における気象情報と、その気象条件下でエリア内の各電気機器9Ai,9Bi,…が消費している総消費電力量とを追加的に随時蓄積しておく処理である。なお、図5を用いて第1の実施の形態で説明した場合と同様に、複数の動作モードに夫々対応する各消費電力が、電気機器9Ai,9Bi,…に付与されたIPv6のIPアドレスに関連付けて配下電気機器情報データベース5−4に格納されているものとする。
【0056】
最初に、総消費電力量計測部5−8aが、データネットワーク6を介して各電気機器9Ai,9Bi,…における現在の動作モードを夫々収集し、これら動作モードに夫々対応する各消費電力を配下電気機器情報データベース5−4から読み出して、現時点で消費されているエリア内の総消費電力量を計測する(ステップS11)。
【0057】
続いて、気象情報収集部5−8bが、気象情報サーバ20から気象情報をダウンロード、若しくは、気象観測装置30に蓄積された気象情報を読み出して、現時点における電力供給エリアの気象情報を収集する(ステップS12)。
【0058】
その後、計測した総消費電力量及び収集した気象情報は、各ステップを実施した時刻に関連付けて総消費電力量履歴格納部5−8cに格納される(ステップS13)。
【0059】
ステップS11〜ステップS13を例えば1時間ごと(ステップS14)に継続的に繰り返すことで、複数年分の気象情報や総消費電力量が随時蓄積されることになる。
【0060】
次に、第2段階の学習処理の動作について説明する。図14は、第2段階の学習処理の動作を示すフローチャートである。第2段階の学習処理とは、第1段階の学習処理で蓄積された各データを用いて、時刻ごとの予測総消費電力量を算出可能な予測式を求める処理である。
【0061】
最初に、予測式算出部5−9aは、総消費電力量履歴格納部5−8cに格納された総消費電力量及び気象情報を読み出して、所定の気象条件に対してある時刻で消費される予測総消費電力量を算出可能な予測式を求める(ステップS21)。具体的には、例えば、1週間(7日間)のうち、晴れの日に計測された1時間ごとの総消費電力量を総消費電力履歴格納部5−8cから読み出して、時間ごとの平均的な総消費電力量を計算する。そして、ある時刻の平均値を基準総消費電力量と設定し、その時刻から所定の時間経過後における該平均的な総消費電力量を用いて、該時間経過後の基準総消費電力量に対する係数を計算し、ある時刻に対する予測総消費電力量を求める予測式を導出する。この予測式を用いることで、ある予測実施対象時刻で測定された総消費電力量から今後(将来)の需要電力量を求めることが可能となる。
【0062】
その後、予測された予測総消費電力量は、予測実施毎に、予測式格納部5−9bに格納される(ステップS22)。
【0063】
ステップS21及びステップS22を例えば2時間ごと(ステップS23)に継続的に繰り返すことで、例えば、3月の上旬や夏期休暇時期などで消費される予測総消費電力量を求めることが可能となる。
【0064】
続いて、前述した各電気機器9Ai,9Bi,…の動作を制御する制御処理についての動作について説明する。図15は、制御処理の動作を示すフローチャートである。最初に、電力制御用総消費電力量計測部5−10aは、データネットワーク6を介して各電気機器9Ai,9Bi,…における現在の動作モードを夫々収集し、これら動作モードに夫々対応する各消費電力を配下電気機器情報データベース5−4から読み出して、現時点で消費されている総消費電力量を計測し、総消費電力量格納部5−10bに格納する(ステップS31)。
【0065】
続いて、電力制御用気象情報収集部5−10cは、気象情報サーバ20から気象情報をダウンロード、若しくは、気象観測装置30に蓄積された気象情報を読み出して、現時点における電力供給エリアの気象情報を収集し、電力制御用気象情報格納部5−10dに格納する(ステップS32)。
【0066】
そして、受電電力量受信部5−10eは、データネットワーク6を介して変電所から送られてくる受電電力量の計画値を受信して、受電電力量計画値格納部5−10fに格納する(ステップS33)。なお、この受電電力量の計画値とは、近隣若しくは更に上位の変電所から電力供給エリアに送出される予定の電力量であって、通常、図8に示したように時間単位で送電量が異なるように計画されている。
【0067】
その後、需要電力量予測部5−10gは、総消費電力量を総消費電力量格納部5−10bから読み出すと共に、気象情報を電力制御用気象情報格納部5−10dから読み出して、予測式格納部5−9bに格納された予測式を用いて、今後の需要電力量を時刻単位で予測する(ステップS34)。
【0068】
なお、需要電力量通知部5−12は、ステップ34で予測した今後の需要電力量を変電所に通知することができる。この通知された需要電力量に基づいて、変電所が電力供給量を各エリアに再割当することが可能となり、エリア間での電力供給量を平準化することが可能となる。即ち、他のエリアに電力を供給するエリア内電力供給装置への電力供給量を割り増ししたり、更に他のエリア内電力供給装置での余剰電力をこちらのエリア内電力供給装置に割り振ってもらうことが可能となる。より具体的には、例えば、八王子地区で雨が降り出し、気温低下により電力需要が減った場合に、現在暑くて電力需要が逼迫している立川地区に電力を融通することが可能となる。
【0069】
続いて、電力比較部5−10hは、受電電力量計画値格納部5−10fに格納された受電電力量の計画値と、予測された需要電力量とを時刻ごとに比較(ステップS35)して、需要電力量が受電電力量の範囲であるかを判定する(ステップS36)。
【0070】
配下電気機器消費電力制御部5−10iは、需要電力量が受電電力量の範囲でないと判定した場合に、消費電力低減が可能な電気機器群を抽出(ステップS37)し、データネットワーク6を介して、IPv6のIPアドレスを有する動作中の各電気機器9Ai,9Bi,…に夫々接続された各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に節電モードへの動作モード変更指令を送信(ステップS38)して、ステップS31に戻る。
【0071】
ステップS36において需要電力量が受電電力量の範囲であると判定した場合には、一定時間待機した後(ステップS39)にステップS31に戻る。
【0072】
その後、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…は、動作モード変更指令を受信し、通常動作モード中であれば各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に接続された各電気機器9Ai,9Bi,…の動作モードを節電モードに変更する。
【0073】
従って、本実施の形態によれば、エリア内電力供給装置3内に配備された給電統括管理サーバ5により、所定の電力供給エリアで消費されている総消費電力量を計測すると共に同エリアの気象情報を収集することを所定の時間間隔で繰り返して時間に関連付けて総消費電力量履歴格納手段に格納しておき、この総消費電力量履歴格納手段に格納されている総消費電力量を用いて所定の気象条件に対して所定の時刻で消費される予測式を求めて格納しておいて、複数の電気機器における現在の動作モードを夫々収集して現時点の総消費電力量を計測すると共に気象情報を収集し、上記予測式を用いて今後の需要電力量を時刻単位で予測し、変電所から送られてくる受電電力量の計画値と予測された需要電力量とを時刻ごとに比較して、需要電力量が受電電力量の範囲でないと判定した場合に、動作中の各電気機器9Ai,9Bi,…に夫々接続された各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に節電モードへの動作モード変更指令を送信し、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…により、動作モード変更指令を受信し、通常動作モード中であれば各電気機器9Ai,9Bi,…の動作モードを節電モードに変更するので、現在時刻から遡った周囲の気象条件変化に基づいて、将来の時刻における電力消費量を予測することで消費電力の抑制が可能となり、電気機器間の電力使用量の平準化や電力制御の最適化、電気機器の停電を回避することが可能となる。
【0074】
続いて、前述した電力供給エリアが停電した際の再起動処理の動作について説明する。図16は、再起動処理の動作を示すフローチャートである。最初に、図16(a)に示す給電統括管理サーバ5の再起動処理の動作について説明する。
【0075】
まず、停電復旧判定部5−11aは、電力供給エリアが停電したか否かを判定する(ステップS41)。
【0076】
次に、配下電気機器再起動指示部5−11bは、電力供給エリアが停電したと判定する場合に、管理サーバ用無線LANインタフェース50から無線ネットワーク100を介して各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させる再起動指示を各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に夫々与える(ステップS42)。
【0077】
ここで、配下電気機器再起動指示部5−11bは、その再起動指示を全ての電力コントローラ11Ai,11Bi,…に一度に送信してもよく、予め定めた順番に従って再起動指示を順次送信するようにしてもよい。また、所定の遅延時間間隔や、生成した乱数に基づく時間間隔でこの再起動指示を各電力コントローラ11Ai,11Bi,…の夫々に送信することが好ましい。通常、停電復旧後の電力立ち上げは、インバータ機器のような電圧に敏感に反応して電流を吸い込む機器が非常に多いので、注意しないと再停電の危険がある。所定の遅延時間間隔で再起動指示を各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に夫々与えることにより、各電気機器9Ai,9Bi,…での起動タイムラグを与え、各電気機器が再起動した場合であっても、そのような機器に起因する再停電を回避することができる。
【0078】
最後に、配下電気機器再起動指示部5−11bは、全ての電力コントローラ11Ai,11Bi,…に再起動指示を送信したか否かを確認し(ステップS43)、未起動の電気機器がある場合には再起動指示を再度送信する(ステップS44)。
【0079】
続いて、図16(b)に示す各電力コントローラ11Ai,11Bi,…の再起動処理の動作について説明する。
【0080】
最初に、停電復旧判定部11−6aは、電力供給エリアが停電したか否かを判定する(ステップS51)。
【0081】
次に、再起動指示部11−6bは、電力供給エリアが停電したと判定する場合に、給電統括管理サーバ5から与えられる再起動指示を待つ(ステップS52)。
【0082】
そして、再起動指示部11−6bは、各電気機器用無線LANインタフェース40Ai,40Bi,…を介して給電統括管理サーバ5から再起動指示が与えられた場合(ステップS53)に、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に夫々接続された各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させる(ステップS54)。
【0083】
従って、本実施の形態によれば、エリア内電力供給装置3内に配備された給電統括管理サーバ5により、電力供給エリアが停電したと判定する場合に、無線ネットワーク100を介して各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させる再起動指示を各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に夫々与え、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…により、再起動指示が与えられた場合に、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に接続された各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させるので、突然の発電所故障や変電所故障に伴う電力供給不足に起因する電気機器の停電が発生した場合であっても、各電気機器を再び動作させることが可能となる。
【0084】
最後に、前述した電力供給エリアが停電した際の他の再起動処理の動作について説明する。図17は、他の再起動処理の動作を示すフローチャートである。なお、タイマー格納部11−6cには、停電により動作停止してから再起動を開始するまでの待ち時間が格納されている。
【0085】
最初に、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…の停電復旧判定部11−6aは、電力供給エリアが停電したか否かを判定する(ステップS61)。
【0086】
次に、再起動指示部11−6bは、停電により各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に接続された各電気機器9Ai,9Bi,…の動作が停止した場合に、タイマー格納部11−6cに格納されている待ち時間を読み出して(ステップS62)、この待ち時間が経過した後(ステップS63)に、各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させる(ステップS64)。
【0087】
一方、ステップS61において、電力供給エリアが停電していないと判定する場合であって、待ち時間がタイマー格納部11−6cに格納されていない場合(ステップS65)には、所定の時間を待ち時間としてタイマー格納部11−6cに格納する(ステップS66)。
【0088】
従って、本実施の形態によれば、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…により、停電により各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に接続された各電気機器9Ai,9Bi,…の動作が停止した場合に、待ち時間をタイマー格納部11−6cから読み出して、この待ち時間が経過した後に電気機器を再起動させるため、給電統括管理サーバ5からの再起動の指示がない場合であっても自律して再起動が可能となると共に、複数の電気機器が一度に再起動した場合に、電圧に敏感に反応して電流を吸い込む機器に起因する再停電を回避することができる。
【0089】
本実施の形態では、電力供給エリアが停電した場合の予備的な通信経路(バックアップ回線)として無線LANインタフェースを介した無線通信を用いる場合について説明したが、無線に限られることはなく、有線通信や電灯線通信方式を用いた通信などを用いて実現しても同様の効果を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の1つの実施の形態の電力供給制御システムのブロック図。
【図2】上記実施の形態の電力供給制御システムの詳しい構成を示すブロック図。
【図3】上記実施の形態の電力供給制御システムにおける電力コントローラのブロック図。
【図4】上記実施の形態の電力供給制御システムにおける給電統括管理サーバのブロック図。
【図5】上記実施の形態の電力供給制御システムにおける給電統括管理サーバの配下機器情報データベースの保持するデータテーブル。
【図6】上記実施の形態の電力供給制御システムの動作を示すブロック図。
【図7】上記実施の形態の電力供給制御システムによる電力供給制御方法のフローチャート。
【図8】関東地域に電力を供給する○○電力会社がある日に消費した総消費電力量の時間的推移を示すグラフである。
【図9】同日の東京地方における気温の時間的推移を示すグラフである。
【図10】第2の実施の形態に係る電力供給制御システムの全体構成を示す構成図である。
【図11】第2の実施の形態に係る給電統括管理サーバのブロック図である。
【図12】第2の実施の形態に係る電力コントローラのブロック図である。
【図13】第1段階の学習処理の動作を示すフローチャートである。
【図14】第2段階の学習処理の動作を示すフローチャートである。
【図15】制御処理の動作を示すフローチャートである。
【図16】再起動処理の動作を示すフローチャートである。
【図17】他の再起動処理の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
1A,1B,1C,… 建物
2 配電線
3 エリア内電力供給装置
4A,4B,4C,… 受電配電装置
5 給電統括管理サーバ
6 データネットワーク
7A,7B,7C,… 外部ネットワーク接続装置
8A,8B,8C,… PLC親機
9A1,9A2,…;9B1,9B2,…;9C1,9C2,… 電気機器
10A1,10A2,…;10B1,10B2,…;10C1,10C2,… PLC子機
11A1,11A2,…;11B1,11B2,…;11C1,11C2,… 電力コントローラ
20…気象情報サーバ
30…気象観測装置
40A1,40A2,…;40B1,40B2,……電気機器用無線LANインタフェース
50…管理サーバ用無線LANインタフェース
100…無線ネットワーク
5−8a…総消費電力量計測部
5−8b…気象情報収集部
5−8c…総消費電力量履歴格納部
5−9a…予測式算出部
5−9b…予測式格納部
5−10a…電力制御用総消費量計測部
5−10b…総消費電力量格納部
5−10c…電力制御用気象情報収集部
5−10d…電力制御用気象情報格納部
5−10e…受電電力量受信部
5−10f…受電電力量計画値格納部
5−10g…需要電力量予測部
5−10h…電力比較部
5−10i…配下電気機器消費電力制御部
5−11a…停電復旧判定部
5−11b…配下電気機器再起動指示部
5−12…需要電力量通知部
11−6a…停電復旧判定部
11−6b…再起動指示部
11−6c…タイマー格納部
S11〜S14,S21〜S23,S31〜S39,S41〜S44,S51〜S54,S61〜S66…ステップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給制御システムとその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭電気製品では、PLC(電力線通信技術)を応用したアプリケーションを利用して生活利便性を提供する製品が多くなってきている。そのような製品の中で、例えば電気冷蔵庫の場合、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)からユーザ宅の冷蔵庫内に保存されている食材群に適した料理及び調理方法をインターネットサイトを通じて提供するサービスが実施されてきている。このように、家庭内に設置されている電気製品と外部に置かれているインターネットサイトのサーバとの間の情報交換は不自由なくできるようになっている。通信基盤が確立されている現在、インターネットを通じて電力供給サイトと電力消費サイトとを結ぶことで、電力利用の効率化、平準化、余剰電力の消費等、電力消費制御をインターネットを利用して行うようにする基盤は確立されているといえる。
【0003】
例えば、特開2006−320165号公報(特許文献1)に記載された技術が知られている。この従来技術は、発電所の電力供給能力に応じて家庭内、事務所内の停止可能な電気機器をアドレス指定した無線通信にて電力停止させ、電力需給のひっ迫を回避する技術である。
【0004】
各家庭に購入されている多種類、多数台の家庭電気製品個々に通信機能を持たせ、インターネットを通じて電力供給サイトから電力消費制御を行おうとすれば当然に無数に上る家庭電気製品の個々にユニークな識別番号を付与しなければならない。ところが、この識別番号としてIPv4のIPアドレスを割り振ろうとすれば、その数が無数に上る故にアドレスの枯渇が起こり得る。このような背景を考慮し、近年は通信機能を備えた家庭電気製品にアドレス空間が飛躍的に拡張されたIPv6のIPアドレスを付与したものが出荷されるようになっている。このように、家庭電気製品の識別番号にIPv6のIPアドレスを付与することで、個々の家庭電気製品を対象にして電力消費制御を、制御すべき対象機器を見失うことなく遠隔で行うことが可能である。
【0005】
一方、電力需給がひっ迫したときに電力消費を抑制する対策として、従来、変電所の配下における電力消費抑制対策が知られている。この電力消費抑制対策は、事前に契約を交わした電力会社と事業所との間だけで行われてきた。それは、事業所側は電力会社への電力料金の優遇措置と見返りに、電力会社の要望に従い事業所単位でその操業を停止し、電力消費を止めることによってひっ迫した電力需給を緩和し、大規模停電を回避するというものである。しかしながら、この従来の電力消費抑制対策では、電力消費抑制のために操業を停止した事業者、事業所の蒙る影響が長期間に及ぶことがある問題点がある。
【0006】
近年、電力会社の電力需要予測の精度は非常に高いものとなっている。また発電能力は発電所毎の発電能力と運転計画(法定点検による不稼動)の積み上げで固定的な値が示されている。ところが、地震、台風などの天変地異やテロによる事故などの突発的な発電所故障、変電所故障、送電線事故等によってその発電能力が過小に変動することが予想される。そのような変動が起きた場合、それに見合う消費電力を自律的に制御できなければ停電が発生してしまうことになる。
【0007】
これとは別に、日本では規制緩和政策の恩恵で屋内電力線通信技術(屋内PLC)が実用化され、屋内PLC通信装置が使用できるようになったが、諸外国、特に欧州各国においては屋外電力線通信技術(屋外PLC)の実用化が進んでいる。(例えば、大黒能寛、「海外での電力線通信の動向と日本における今後の展望」、NTT技術ジャーナル2005年7月号80〜83ページ(非特許文献1)を参照。)
【0008】
この屋外PLC技術は、契約者の家庭や事務所のような建物の受電設備にPLC親機を設置し、屋外の低圧変電設備にPLC親機を設置して電力引き込み線を通じてPLC通信を行い、このPLC親機と通信事業者との間は光ファイバにて接続してデータ通信を行う構成である。また各建物のPLC親機は通信機能を備えたパソコンその他の電気機器毎にPLC子機をLANケーブルにて接続し、各PLC子機は電源コンセントに接続することでPLC親機と電力線を通じてデータ通信を行う。このように屋外、屋内におけるPLC技術は実用化段階を迎えている。このPLC技術により、PLC子機に接続されている通信機器、あるいは通信機能を備えた電気機器にIPアドレスを割り付けることで、各電気機器との間でインターネットのようなデータネットワークを通じた個別のデータ通信が可能になる。
【特許文献1】特開2006−320165号公報
【非特許文献1】大黒能寛、「海外での電力線通信の動向と日本における今後の展望」、NTT技術ジャーナル2005年7月号80〜83ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされたもので、突発的な事故その他の何らかの原因により特定エリアの電力会社の発電能力が配下の電力線に接続されている無数に上る電気機器の全電力消費量にひっ迫し、停電が発生してしまう恐れがあるような事態に対して、PLC通信を利用したデータ通信によりそのような事態を自律的に回避できる電力供給制御システムとその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの特徴は、一定の電力供給エリアを持つエリア電力供給装置と、前記エリア電力供給装置から電力線にて電力供給を受ける多種多様、かつ多数台に上る電気機器とから構成される電力供給系統において、前記エリア電力供給装置から前記多数台の電気機器の消費電力制御を行う電力供給制御システムであって、前記エリア電力供給装置は、外部のデータネットワークと接続され、前記多数台の電気機器それぞれの動作状態の情報を収集し、給電可能容量と動作中の多数台の電気機器それぞれの消費電力の総量を当該エリア電力供給装置の供給可能な供給電力量と比較して電力需給のひっ迫の有無を判定し、電力需給がひっ迫している場合には前記データネットワークに対して動作中の多数台の電気機器それぞれに対してそれらを識別するIPv6のIPアドレスと節電モードへの動作モード変更指令を送信する給電統括管理サーバを備え、前記多数台の電気機器それぞれは、外部からの前記動作モード変更指令を受けて節電モードへ動作モードを変更する制御を行う電力コントローラを備え、かつ、前記電力コントローラはそれに対する外部とのデータ通信信号を電力線に重畳して送受するPLC子機に接続され、前記多数台の電気機器のうち同一建物内に設置されている電気機器それぞれに接続されている前記PLC子機それぞれは、前記建物内に設置され、前記外部のデータネットワークとの間でネットワーク通信を可能とする外部ネットワーク接続装置に接続されている電力供給制御システムである。
【0011】
上記の発明の電力供給制御システムにおいては、前記給電統括管理サーバは、前記外部のデータネットワークに接続され、データ通信を行うデータ通信部と、前記外部のデータネットワークを通じて変電所からリアルタイムに送られてくる最新受電電力量情報を受信して保持する受電電力量情報保持部と、当該システムに接続されているすべての電気機器のIPアドレスと現状の動作モードを前記外部のデータネットワークを通じて収集する配下電気機器動作情報収集部と、配下の電気機器毎のIPv6のIPアドレス、通常動作モードでの消費電力、節電モードへの切替可否の情報を登録した配下電気機器情報データベースと、前記配下電気機器情報データベースをIPアドレスをキーにして検索し、動作中の配下電気機器群の総消費電力量を演算する配下電力消費量演算部と、前記受電電力量情報保持部の保持する受電電力量を前記配下電力消費量演算部の演算した配下電気機器群の総消費電力量と比較し、電力の安定供給が可能か否かを判定し、安定供給が不可能な場合に節電モードへの動作モード変更指令を該当する配下電気機器に対してIPアドレスと共に送信する配下電気機器消費電力制御部とを備えたものとすることができる。
【0012】
また、上記発明の電力供給制御システムにおいては、前記電力コントローラは、前記PLC子機と接続され、IPv6のIPアドレスが付与されているネットワーク通信部と、自機が内蔵されている電気機器の動作を通常動作モードと節電モードとの間で動作モード変更を制御する動作制御部とを備えたものとすることができる。
【0013】
本発明の別の特徴は、一定の電力供給エリアを持つエリア電力供給装置と、前記エリア電力供給装置から電力線にて電力供給を受ける多種多様、かつ多数台に上る電気機器とから構成される電力供給系統において、前記エリア電力供給装置から前記多数台の電気機器の消費電力制御を行う電力供給制御システムによる電力供給制御方法であって、前記エリア電力供給装置が、外部のデータネットワークを通じて前記多数台の電気機器それぞれの動作状態の情報を収集するステップと、前記エリア電力供給装置が、給電可能容量と動作中の多数台の電気機器それぞれの消費電力の総量を当該エリア電力供給装置の供給可能な供給電力量と比較して電力需給のひっ迫の有無を判定するステップと、前記エリア電力供給装置が、前記電力需給がひっ迫していると判定した場合に、前記データネットワークに対して動作中の多数台の電気機器それぞれに対してそれらを識別するIPv6のIPアドレスと節電モードへの動作モード変更指令を送信するステップと、前記多数台の電気機器それぞれが、PLC子機を通じて前記節電モードへの動作モード変更指令を受信し、通常動作モード中であれば節電モードに動作モードを変更するステップとを有する電力供給制御方法である。
【0014】
請求項5に記載の本発明は、一定の電力供給エリアを持つエリア内電力供給装置と、当該エリア内電力供給装置から電力線にて電力供給を受ける複数の電気機器に対して消費電力制御を夫々行う複数の電気機器制御装置とを備えた電力供給制御方法であって、前記エリア内電力供給装置により、複数の動作モードに夫々対応する各消費電力を、前記複数の電気機器に付与されたIPv6のIPアドレスに関連付けて配下電気機器情報データベースに格納しておく第1ステップと、外部のデータネットワークを介して前記複数の電気機器における現在の動作モードを夫々収集し、当該動作モードに対応する前記消費電力を前記配下電気機器情報データベースから読み出して、現時点で消費されている総消費電力量を計測する第2ステップと、気象情報を蓄積している気象情報蓄積装置から、現時点における前記電力供給エリアの気象情報を収集する第3ステップと、前記第2ステップ及び前記第3ステップを所定の時間間隔で繰り返し、前記総消費電力量及び前記気象情報を各ステップを実施した時刻に関連付けて総消費電力量履歴格納手段に格納しておくことを繰り返す第4ステップと、前記総消費電力量履歴格納手段に格納された複数の前記総消費電力量及び複数の前記気象情報を読み出して、所定の気象条件に対して所定の時刻で消費される予測総消費電力量を算出可能な予測式を求める第5ステップと、前記第5ステップを所定の時間間隔で繰り返し、前記予測式を予測式格納手段に格納しておくことを繰り返す第6ステップと、前記外部のデータネットワークを介して前記複数の電気機器における現在の動作モードを夫々収集し、当該動作モードに対応する前記消費電力を前記配下電気機器情報データベースから読み出して、現時点で消費されている総消費電力量を計測し、総消費電力量格納手段に格納する第7ステップと、前記気象情報蓄積装置から現時点における前記電力供給エリアの気象情報を収集し、電力制御用気象情報格納手段に格納する第8ステップと、前記外部のデータネットワークを介して変電所から送られてくる受電電力量の計画値を受信して、受電電力量計画値格納手段に格納する第8ステップと、前記総消費電力量を前記総消費電力量格納手段から読み出すと共に、前記気象情報を前記電力制御用気象情報格納手段から読み出して、前記予測式格納手段に格納された前記予測式を用いて、今後の需要電力量を時刻単位で予測する第9ステップと、前記受電電力量計画値格納手段に格納された前記受電電力量の計画値と、予測された前記需要電力量とを時刻ごとに比較して、当該需要電力量が当該受電電力量の範囲であるかを判定する第10ステップと、前記需要電力量が前記受電電力量の範囲でないと判定した場合に、前記外部のデータネットワークを介して、前記IPv6のIPアドレスを有する動作中の前記複数の電気機器に夫々接続された前記複数の電気機器制御装置に節電モードへの動作モード変更指令を送信する第11ステップと、を有し、前記電気機器制御装置により、前記動作モード変更指令を受信し、通常動作モード中であれば当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器の動作モードを節電モードに変更するステップ、を有することを要旨とする。
【0015】
本発明によれば、エリア内電力供給装置により、所定の電力供給エリアで消費されている総消費電力量を計測すると共に同エリアの気象情報を収集することを所定の時間間隔で繰り返して時間に関連付けて総消費電力量履歴格納手段に格納しておき、この総消費電力量履歴格納手段に格納されている総消費電力量を用いて所定の気象条件に対して所定の時刻で消費される予測式を求めて格納しておいて、複数の電気機器における現在の動作モードを夫々収集して現時点の総消費電力量を計測すると共に気象情報を収集し、上記予測式を用いて今後の需要電力量を時刻単位で予測し、変電所から送られてくる受電電力量の計画値と予測された需要電力量とを時刻ごとに比較して、需要電力量が受電電力量の範囲でないと判定した場合に、動作中の複数の電気機器に夫々接続された複数の電気機器制御装置に節電モードへの動作モード変更指令を送信し、電気機器制御装置により、動作モード変更指令を受信し、通常動作モード中であれば電気機器の動作モードを節電モードに変更するため、現在時刻から遡った周囲の気象条件変化に基づいて、将来の時刻における電力消費量を予測することで消費電力の抑制が可能となり、電気機器間の電力使用量の平準化や電力制御の最適化、電気機器の停電を回避することが可能となる。
【0016】
請求項6に記載の本発明は、前記電気機器制御装置が、前記電力供給エリアが停電した場合であっても当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器を自律して動作させる予備用電源装置を有し、更に、前記エリア電力装置及び前記電気機器制御装置は、当該停電の場合に前記外部のデータネットワークとは異なる停電用通信経路を介して通信可能であって、前記エリア内電力供給装置により、前記電力供給エリアが停電したか否かを判定する第12ステップと、前記電力供給エリアが停電したと判定する場合に、前記停電用通信経路を介して前記複数の電気機器を再起動させる再起動指示を前記複数の電気機器制御装置に夫々与える第13ステップと、を更に有し、前記電気機器制御装置により、前記再起動指示が与えられた場合に、当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器を再起動させるステップ、を更に有することを要旨とする。
【0017】
本発明によれば、電気機器制御装置が、電力供給エリアが停電した場合であっても電気機器制御装置に接続された電気機器を自律して動作させる予備用電源装置を有し、更に、エリア電力装置及び電気機器制御装置は、停電の場合に外部のデータネットワークとは異なる停電用通信経路を介して通信可能であって、エリア内電力供給装置により、電力供給エリアが停電したと判定する場合に、停電用通信経路を介して複数の電気機器を再起動させる再起動指示を複数の電気機器制御装置に夫々与え、電気機器制御装置により、再起動指示が与えられた場合に、電気機器制御装置に接続された電気機器を再起動させるため、突然の発電所故障や変電所故障に伴う電力供給不足に起因する電気機器の停電が発生した場合であっても、各電気機器を再び動作させることが可能となる。
【0018】
請求項7に記載の本発明は、前記エリア内電力供給装置が、前記第13ステップにおいて、所定の遅延時間間隔で、前記再起動指示を前記複数の電気機器制御装置に夫々与えることを要旨とする。
【0019】
本発明によれば、エリア内電力供給装置が、所定の遅延時間間隔で上記再起動指示を複数の電気機器制御装置に夫々与えるため、複数の電気機器が一度に再起動した場合に、電圧に敏感に反応して電流を吸い込む機器に起因する再停電を回避することができる。
【0020】
請求項8に記載の本発明は、前記電気機器制御装置が、前記電力供給エリアが停電した場合であっても当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器を自律して動作させる予備用電源装置と、停電により動作停止してから再起動を開始するまでの待ち時間を格納しておくタイマー格納手段とを有するものであって、前記電気機器制御装置により、停電により当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器の動作が停止した場合に、前記待ち時間を前記タイマー格納手段から読み出して、当該待ち時間が経過した後に当該電気機器を再起動させるステップ、を更に有することを要旨とする。
【0021】
本発明によれば、電気機器制御装置が、電力供給エリアが停電した場合であっても電気機器制御装置に接続された電気機器を自律して動作させる予備用電源装置と、停電により動作停止してから再起動を開始するまでの待ち時間を格納しておくタイマー格納手段とを有するものであって、電気機器制御装置により、停電により電気機器制御装置に接続された電気機器の動作が停止した場合に、待ち時間をタイマー格納手段から読み出して、この待ち時間が経過した後に電気機器を再起動させるため、エリア内電力供給装置からの再起動の指示がない場合であっても自律して再起動が可能となると共に、複数の電気機器が一度に再起動した場合に、電圧に敏感に反応して電流を吸い込む機器に起因する再停電を回避することができる。
【0022】
請求項9に記載の本発明は、前記エリア内電力供給装置により、前記第9ステップで予測した今後の需要電力量を前記変電所に通知するステップを更に有することを要旨とする。
【0023】
本発明によれば、エリア内電力供給装置により、予測した今後の需要電力量を変電所に通知するため、この需要電力量に基づいて変電所が電力供給量を各エリアに再割当することが可能となり、エリア間での電力供給量を平準化することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の電力供給制御システムとその制御方法によれば、エリア電力供給装置に備えられた給電統括管理サーバが、外部のデータネットワークを介して多数台の電気機器それぞれの動作状態の情報を収集し、給電可能容量と動作中の多数台の電気機器それぞれの通常動作時の消費電力の総量を当該エリア電力供給装置の供給可能な供給電力量と比較して電力需給のひっ迫の有無を判定し、電力需給がひっ迫している場合にはデータネットワークに対して動作中の多数台の電気機器それぞれに対してそれらを識別するIPv6のIPアドレスと節電モードへの動作モード変更指令を送信し、他方、多数台の電気機器それぞれは電力コントローラがデータネットワークを通じて給電統括管理サーバから自機アドレス宛に動作モード変更指令を受けると電気機器を通常動作モードから節電モードへ動作モードを変更する制御を行うので、突発的な事故その他の何らかの原因により特定エリアの電力会社の発電能力が配下の電力線に接続されている無数に上る電気機器の全電力消費量にひっ迫し、停電が発生してしまう恐れがあるような事態に対して、PLC通信を利用したデータ通信によりそのような事態を自律的に回避でき、また、盛夏・猛暑期や厳冬期にひっ迫する電力需給も緩和することができ、最悪の事態である停電の発生を極力回避できる。
【0025】
加えて、本発明によれば、多種類、多数台に上る電気機器に対してIPv6のIPアドレスを割り振ることでアドレス枯渇の恐れなく、各電気機器をアドレス指定して電力抑制制御ができ、確実なエリア内の電力消費抑制制御が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1、図2は、本発明の1つの実施の形態の電力供給制御システムを示しており、このシステムは、発電所から電力を受けてエリア内の各家庭、事務所、工場等の多数の建物1A,1B,…それぞれに配電線2によって電力を供給するエリア内電力供給装置3、建物1A,1B,1C,…それぞれに設備されていて、エリア内電力供給装置3から電力供給を受ける受電配電装置4A,4B,4C,…を備えている。
【0027】
エリア内電力供給装置3は、発電所からの供給電力量を計算し、エリア内の電気機器群による電力総需要量を計算し、電力需給のバランスを判定し、需給ひっ迫時には消費電力低減可能な電気機器を選定して該当機器のアドレスと共に電力消費低減指令をインターネットを含むデータネットワーク6を通じて発信する給電統括管理サーバ5を備えている。
【0028】
建物1A,1B,1C,…それぞれには、データネットワーク6と接続されネットワーク通信を制御する外部ネットワーク(NW)接続装置7A,7B,7C,…、この外部ネットワーク接続装置7A,7B,7C,…それぞれとデータ通信線にて接続され、受信したネットワーク通信信号を電力線に重畳し、データネットワーク6からのアドレスを指定したデータを屋内電力線を通じて送信し、また屋内電力線を通じて送られてきた外部送信用のネットワーク通信を復調して外部ネットワーク接続装置7A,7B,7C,…それぞれに送信するPLC親機8A,8B,8C,…、受電配電装置4A,4B,4C,…からの屋内電力線に接続され電力消費する電気機器としての各種の家庭電気製品9Ai,9Bi,9Ci,…が備えられている。さらに、各家庭電気製品9Ai,9Bi,9Ci,…にはPLC子機10Ai,10Bi,10Ci,…のデータ信号線が接続されている。
【0029】
各家庭電気製品9Ai,9Bi,9Ci,…はデータ信号線を通じてPLC子機10Ai,10Bi,10Ci,…と接続され、このPLC子機10Ai,10Bi,10Ci,…からデータ信号線を通じて送られてきた電力コントロール信号に応じて自製品の電力消費モードをコントロールする電力コントローラ11Ai,11Bi,11Ci,…を備えている。
【0030】
尚、電力コントローラ11Ai,11Bi,11Ci,…それぞれには、その数が極めて多数台に上るためにアドレス枯渇の恐れがないIPv6ベースのIPアドレスが付与されていて、データ信号の通信にこのIPアドレスを用いて行う設定である。
【0031】
また、電力コントローラ11Ai,11Bi,…それぞれにPLC子機10Ai,10Bi,…がチップとして内蔵されたものとしてもよい。また、外部ネットワーク接続装置7A,7B,7C,…とPLC親機8A,8B,8C,…については、屋外PLC技術により屋外PLCとの接続が可能な環境であれば、PLCモデムに置き換えることも可能である。
【0032】
建物内の各電気機器、例えば、家庭内の冷蔵庫9A1、エアコン9A2、電子レンジ9A3等は、図5のテーブルに示すように、通常動作モードAと共に節電モードである消費電力低減動作モードB、さらに機器によってはさらには待機電力だけを消費する極小消費電力動作モードC、さらにはさらに別の消費電力低減動作モードへの動作モード変更機能を備えている。例えば、夜間電力給湯器9A7の場合、通常動作モードAは大電力を消費する「湯沸かし」動作であり、消費電力低減動作モードは備えていないので動作モードBは「なし」である。テレビ9A5の場合には、通常動作モードAは電源ONで「使用中」のモードであり、消費電力低減モードBは「待機」動作、さらに消費電力低減モードCとしては電源OFFとする「停止」も備えている。また、エアコンの場合、家庭により複数台が部屋別に設置されていることも多いので複数台のエアコン毎にIPv6のIPアドレスが割り振られている。そのうちの1台のエアコン(1)については、通常動作モードAは最大電力消費モードであり、消費電力低減モードBは「節電」モード、さらに消費電力低減モードCとしては電源OFFとする「停止」も備えている。以下、図5のテーブルに例示したように各電気製品についてIPv6のIPアドレス、モードAのコード、モードBのコード、モードCのコード、さらにあればそれ以降のモード、そして各モード毎の最大消費電力、電力ひっ迫時に契約者が消費電力低減のために遠隔でモード変更を承諾した優先モード、モード変更禁止の時間、使用時間帯について諸データが登録されている。契約者毎に製品購入があったり製品廃棄があったりするので、このテーブルの内容は定期的に更新される。このテーブルの内容は、後述する給電統括管理サーバ5のデータベースに登録されている。
【0033】
各電気機器の動作モード変更制御は、機器9Ai,9Bi,…毎に組み込まれている電力コントローラ11Ai,11Bi,…により行われる。そして各電力コントローラ11Ai,11Bi,…は、図3に示す制御機能を備えている。すなわち、PLC子機10とLANケーブルのようなネットワーク線を通じて接続され、IPv6のIPアドレスが付与されているネットワーク通信部11−1、自機が内蔵されている電気製品の動作を制御する動作制御部11−2、上記の通常動作モードと消費電力低減動作モードとの間で動作モードを切替制御する動作モード切替制御部11−3、上述した各動作モードでの消費電力情報、動作切替許可・禁止条件等が登録された動作条件記憶部11−4を備えている。例えば病院や老人ケアハウス等、電気機器によっては節電モードへの動作モード変更が患者や施設利用者にとってその身体に悪影響を及ぼすような施設もあり得る。そのような施設に設置されている電気機器については使用者の要望により節電モードへの動作モード変更を延滞させる要請を通知する必要がある。そのために、電力コントローラ11は、延滞要請機能部11−5も備えている。この延滞要請を受信する給電統括管理サーバ5は、当該要請元のIPアドレスを持つ電気機器に対しては節電モードへの動作モード変更を延滞し、直ちに節電モードに移行しないようにする。
【0034】
エリア内電力供給装置3に備えられている給電統括管理サーバ5は、図4に示す制御機能を備えている。すなわち、外部のデータネットワーク6に接続され、データ通信を行うデータ通信部5−1、データネットワーク6を通じて変電所からリアルタイムに送られてくる最新受電電力量情報を保持する受電電力量情報保持部5−2、システムに接続されているすべての電気機器9Ai,9Bi,…のIPアドレスと現状の動作モードのコードA,B,C,…をデータネットワーク6を通じて収集する配下電気機器動作情報収集部5−3、図5に示したテー部の内容を保持する配下電気機器情報データベース5−4、この配下電気機器情報データベース5−4をIPアドレスをキーにして検索し、現状の動作中の配下電気機器群の総消費電力量を演算する配下電力消費量演算部5−5、受電電力量情報保持部5−2の保持する受電電力量を配下電力消費量演算部5−5の演算した配下電気機器群の総消費電力量と比較し、電力の安定供給が可能か否かを判定し、安定供給が不可能な場合に電力消費低減動作モードへの変更指令を稼働中のすべての配下電気機器に対してIPアドレスと共に送信する配下電気機器消費電力制御部5−6、電力消費低減指令を受けて動作モードを変更した電気機器毎にその節電協力機器の動作履歴を記録して行く節電協力機器動作履歴記録部5−7を備えている。
【0035】
配下電気機器情報データベース5−4は、図5に示すテーブルの内容、すなわち、配下電気機器9Ai,9Bi,9Ci,…のIPアドレス毎に、動作モードA,B,C,…毎の消費電力量、消費電力低減モードのコード、消費電力低減のための動作モード変更指令を受けてから実際に動作モードを変更するまでに要する変更猶予時間(変更禁止時間)、例えば夜間電力運転機器のような使用時間帯が限定されているものの使用時間帯や、電子レンジの温め動作時間3分、洗濯機の洗濯終了までの所要時間45分等が登録している。この配下電気機器情報データベース5−4への配下電気機器の新規登録は、1日毎、1週間毎あるいは1月毎に、建物内の新規設置機器からの登録要請信号を受けて行う配下電気機器情報データベース5−4側で行う。また、配下電気機器9Ai,9Bi,9Ci,…毎の現状の動作状況の情報更新は、例えば1分毎に、10分毎あるいは1時間毎というように、あらかじめ設定した時間周期で行う。
【0036】
次に、上記構成の電力供給制御システムの動作、したがって当該システムが実行する電力供給制御方法について、図6の動作説明図、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0037】
多数の家庭、事務所、工場等の建物の中に設置されている各種の電気機器9A1,9A2,…;9B1,9B2,…;9C1,9C2,…;…からそれぞれの電力コントローラ11、PLC子機10、PLC親機8、データネットワーク6を通じて給電統括管理サーバ5宛に、所定周期毎にIPアドレスと共に動作モードコードが送信される。給電統括管理サーバ5は、配下電気機器動作情報収集部5−3にて逐次この動作情報を保存してゆく。
【0038】
そして給電統括管理周期毎に、例えば、10分毎に図7のフローチャートに示す電力供給制御を実行する。この場合、まず、受電電力量情報保持部5−2がデータ通信部5−1を通じてデータネットワーク6を通じて上位配電設備のサーバに対して供給電力量を問い合わせ、受電可能な電力量を受信して保持する(ステップS1)。
【0039】
次に、配下電気機器動作情報収集部5−3が保存している最新のデータから、配下電気機器9A1,9A2,…;9B1,9B2,…;9C1,9C2,…;…それぞれのIPアドレスをキーにして配下電気機器情報データベース5−4を参照して動作中の配下電気機器それぞれの通常動作モードAでの電力需要量情報を収集する(ステップS2)。続いて、動作中の配下電気機器群の通常動作モードAでの総電力需要量を上記ステップS2で得たテーブルから積算によって求める(ステップS3)。
【0040】
次に、配下電気機器消費電力制御部5−6が配下電気機器群による総電力需要量をステップS1にて得た供給電力量と比較し、供給電力量が総電力需要量を所定量α以上上回り、安定供給が可能な状態か、あるいは電力需給がひっ迫しているかを判定する(ステップS4)。このα値は現状に見合う電力余裕値に設定される。
【0041】
ステップS4にて、電力需給がひっ迫していると判定した場合には節電制御モードに移行し、配下電気機器情報データベース5−4を参照し、配下電気機器動作情報収集部5−3のデータをサーチして、現在時刻に即時消費電力低減が可能な電気機器群を抽出する(ステップS5)。そして、該当機器群に節電モードへの変更指令をIPアドレスにて特定して送信する(ステップS6)。例えば、現在時刻が真夏の昼間であり、エアコン群がフル稼動し、また冷蔵庫もフル稼動しているような状況では、動作中のエアコンすべてに対してそのIPアドレスと共に節電モードBへの変更指令を作成して送信し、また契約によって停止可としている契約者のエアコンに対してはそのIPアドレスと共に停止モードCへの変更指令を作成して送信する。同時に、動作中の冷蔵庫それぞれに対しては、そのIPアドレスと共に冷凍機能を確保した節電モードBへの変更指令を作成して送信する。
【0042】
尚、これを受信した電気機器のうち、例えば、動作中の洗濯機それぞれは、電力コントローラにより洗濯が終了するまでの時間としてあらかじめ設定されている45分を確保し、その後に低速モードBに移行する電力抑制動作制御を行う。また電子レンジであれば1回の温め時間を考慮し、3分後に通常動作Aから低速調理モードBに移行する電力抑制制御を行い、さらに食洗機であれば1回の食器洗い時間を考慮し、60分後に通常動作Aから低速モードBに移行する電力抑制動作制御を行う。
【0043】
他方、電力需要状況が変化し、ステップS4で電力需給状況が安定していると判定した場合には、節電モード対象機器に対して解除指令を送信して通常動作モードAへの復帰を許可する(ステップS7)。
【0044】
尚、この指令を受信すれば、現在動作中の家電機器のうち、すでに節電モードへの動作モード変更指令を受信して節電モードに移行していた電気機器は通常動作モードAに復帰することになるが、前回の節電モードへの変更指令を受信してない電気機器の場合はこの解除指令を意味のないものとして、通常動作を継続することになる。
【0045】
また、動作モード変更処理に際しては、延滞要請機能部11−5にてモード変更の延滞要請が発せられている電気機器に対しては、そのIPアドレスを指定して節電モードへの変更指令を発しない。
【0046】
また、給電統括管理サーバ5における節電協力機器動作履歴記録部5−7は、節電モードへの動作モード変更に応じた節電協力機器の動作履歴をIPアドレスをキーにして記録してゆく。この履歴データは、後に需要者毎の電力使用量課金の際に使用料金軽減のデータとして利用することになる。
【0047】
このように、本実施の形態の電力供給制御システムとその制御方法によれば、エリア内電力供給装置側において、電力需給が安定しているかひっ迫しているかを判定し、電力需給がひっ迫している時に節電モードへの移行が可能な多種多様で多数の電気機器それぞれに対してIPv6のIPアドレスにて特定して節電モードへの移行を指令し、エリア内の電力供給を安定化させることができる。例えば、真夏の時期にエアコンの使用で電力需要が急激に増加して電力需給がひっ迫する場合、また逆に電力事故や災害発生のためにエリア内の供給可能な電力量が低下してエリア内の電力需給がひっ迫する場合などに、電力需要者の所有する電気機器への電力配分、優先給電、電力需給のバランシングなどをエリア内の電力供給統括基地側で統括管理できる。
【0048】
〔第2の実施の形態〕
続いて、第2の実施の形態に係る電力供給制御システムについて説明する。図8は、関東地域に電力を供給する○○電力会社がある日に消費した総消費電力量の時間的推移を示すグラフである。一方、図9は、同日の東京地方における気温の時間的推移を示すグラフである。図8及び図9によれば、時間経過に伴って変化するグラフの形状が略同等なので、気象情報と電力需要量との相関が非常に高いと見做すことができる。故に、本実施の形態の電力供給制御システムは、現在時間から遡った周囲の気象変化に基づいて、将来のある時刻において電力供給エリア内で消費される電力消費量を予測し、同エリア内で動作している電気機器が消費する電力を抑制する方法について説明するものである。
【0049】
図10は、第2の実施の形態に係る電力供給制御システムの全体構成を示す構成図である。図10で示す電力供給制御システムは、第1の実施の形態で説明した図1又は図2の構成に加えて、データネットワーク6を介してエリア内電力供給装置3内に配備された給電統括管理サーバ5に通信可能な気象情報サーバ20と、同エリア内に設置されて給電統括管理サーバ5に通信可能な気象観測装置30と、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に具備された電気機器用無線LANインタフェース40Ai,40Bi,…と、停電用通信経路として作用する無線ネットワーク100を介して各電気機器用無線LANインタフェース40Ai,40Bi,…と相互に通信可能な管理サーバ用無線LANインタフェース50とを更に備えた構成である。また、本実施の形態に係る給電統括管理サーバ5及び各電力コントローラ11Ai,11Bi,…には、図11及び図12に示すように、上記方法を実現するための複数の機能が更に備えられている。このような追加的機能について以下説明を続けるが、その他の機能や該機能が備える処理については、第1の実施の形態で説明したものと同様なので、ここでは重複する説明は省略するものとする。
【0050】
気象情報サーバ20には、予想時刻ごとの予想天気及び予想気温,予想最高気温,予想最低気温,予想湿度や、実際に観測された時刻ごとの天気及び気温,最高気温,最低気温,湿度、気圧、風向風速,日照時間,降水量などの一般的な気象情報や、落雷位置,落雷時刻などの落雷状況が、インターネット等のデータネットワーク6を介してダウンロード可能に蓄積されており、一定時間間隔で更新されるようになっている。具体的には、例えば、気象庁サーバや気象協会ウェブサーバに蓄積された気象情報などを用いることができ、更には、各電力会社に情報提供された落雷地点の最新測定情報なども利用することができる。
【0051】
気象観測装置30は、電力供給エリア内の気象状況を専用に観測する気象観測装置であって、温度,湿度,気温,風向風速のセンサを用いて、気象情報サーバ20に蓄積された気象情報よりも最新の気象情報を実時間に近い形で収集し、蓄積しておくことを可能とする装置である。なお、気象情報サーバ20又は気象観測装置30は、特許請求の範囲に記載された気象情報蓄積装置に相当するものである。
【0052】
給電統括管理サーバ5は、図11に示すように、第1の実施の形態で説明した各機能に加えて、エリア内の各電気機器9Ai,9Bi,…で消費される予測総消費電力量を随時学習する学習処理を行う総消費電力量計測部5−8a,気象情報収集部5−8b,総消費電力量履歴格納部5−8c,予測式算出部5−9a,予測式格納部5−9bと、この予測式に基づいて、ある日におけるエリア内の各電気機器9Ai,9Bi,…の今後の需要電力量を予測し、各電気機器9Ai,9Bi,…の動作を制御する制御処理を行う電力制御用総消費電力量計測部5−10a,総消費電力量格納部5−10b,電力制御用気象情報収集部5−10c,電力制御用気象情報格納部5−10d,受電電力量受信部5−10e,受電電力量計画値格納部5−10f,需要電力量予測部5−10g,電力比較部5−10h,配下電気機器消費電力制御部5−10iと、電力供給エリアが停電した際に各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させる再起動処理を行う停電復旧判定部5−11a,配下電気機器再起動指示部5−11bと、予測された今後の需要電力量を変電所に通知する通知処理を行う需要電力量通知部5−12とを更に備えた構成である。
【0053】
また、給電統括管理サーバ5には、前述した管理サーバ用無線LANインタフェース50が具備されており、電力供給エリアが停電した場合であっても、無線ネットワーク100を介して各電気機器用無線LANインタフェース40Ai,40Bi,…を具備する各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させる再起動指示を与えることができる。すなわち、給電統括管理サーバ5は、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に夫々接続された各電気機器9Ai,9Bi,…を間接的に制御することが可能となっている。
【0054】
各電力コントローラ11Ai,11Bi,…には、電力供給エリアが停電した場合であっても各電気機器9Ai,9Bi,…を自律して動作させる予備用電源装置と、各電気機器用無線LANインタフェース40Ai,40Bi,…とが具備されており、電力供給エリアが停電した場合であっても、無線ネットワーク100を介して給電統括管理サーバ5からの再起動指示に基づいて各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させることや、再起動指示が与えられない場合であっても自律して各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させることができる。すなわち、図12に示すように、第1の実施の形態で説明した各機能に加えて、電力供給エリアが停電した際に各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させる処理を行う停電復旧判定部11−6a,再起動指示部11−6b,タイマー格納部11−6cを更に備えている。なお、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…とは、特許請求の範囲に記載された電気機器制御装置に相当するものである。
【0055】
次に、本実施の形態に係る電力供給制御システムの処理について説明する。最初に、前述した予測総消費電力量を随時学習する学習処理についての処理について説明する。図13は、第1段階の学習処理の動作を示すフローチャートである。第1段階の学習処理とは、ある時間における気象情報と、その気象条件下でエリア内の各電気機器9Ai,9Bi,…が消費している総消費電力量とを追加的に随時蓄積しておく処理である。なお、図5を用いて第1の実施の形態で説明した場合と同様に、複数の動作モードに夫々対応する各消費電力が、電気機器9Ai,9Bi,…に付与されたIPv6のIPアドレスに関連付けて配下電気機器情報データベース5−4に格納されているものとする。
【0056】
最初に、総消費電力量計測部5−8aが、データネットワーク6を介して各電気機器9Ai,9Bi,…における現在の動作モードを夫々収集し、これら動作モードに夫々対応する各消費電力を配下電気機器情報データベース5−4から読み出して、現時点で消費されているエリア内の総消費電力量を計測する(ステップS11)。
【0057】
続いて、気象情報収集部5−8bが、気象情報サーバ20から気象情報をダウンロード、若しくは、気象観測装置30に蓄積された気象情報を読み出して、現時点における電力供給エリアの気象情報を収集する(ステップS12)。
【0058】
その後、計測した総消費電力量及び収集した気象情報は、各ステップを実施した時刻に関連付けて総消費電力量履歴格納部5−8cに格納される(ステップS13)。
【0059】
ステップS11〜ステップS13を例えば1時間ごと(ステップS14)に継続的に繰り返すことで、複数年分の気象情報や総消費電力量が随時蓄積されることになる。
【0060】
次に、第2段階の学習処理の動作について説明する。図14は、第2段階の学習処理の動作を示すフローチャートである。第2段階の学習処理とは、第1段階の学習処理で蓄積された各データを用いて、時刻ごとの予測総消費電力量を算出可能な予測式を求める処理である。
【0061】
最初に、予測式算出部5−9aは、総消費電力量履歴格納部5−8cに格納された総消費電力量及び気象情報を読み出して、所定の気象条件に対してある時刻で消費される予測総消費電力量を算出可能な予測式を求める(ステップS21)。具体的には、例えば、1週間(7日間)のうち、晴れの日に計測された1時間ごとの総消費電力量を総消費電力履歴格納部5−8cから読み出して、時間ごとの平均的な総消費電力量を計算する。そして、ある時刻の平均値を基準総消費電力量と設定し、その時刻から所定の時間経過後における該平均的な総消費電力量を用いて、該時間経過後の基準総消費電力量に対する係数を計算し、ある時刻に対する予測総消費電力量を求める予測式を導出する。この予測式を用いることで、ある予測実施対象時刻で測定された総消費電力量から今後(将来)の需要電力量を求めることが可能となる。
【0062】
その後、予測された予測総消費電力量は、予測実施毎に、予測式格納部5−9bに格納される(ステップS22)。
【0063】
ステップS21及びステップS22を例えば2時間ごと(ステップS23)に継続的に繰り返すことで、例えば、3月の上旬や夏期休暇時期などで消費される予測総消費電力量を求めることが可能となる。
【0064】
続いて、前述した各電気機器9Ai,9Bi,…の動作を制御する制御処理についての動作について説明する。図15は、制御処理の動作を示すフローチャートである。最初に、電力制御用総消費電力量計測部5−10aは、データネットワーク6を介して各電気機器9Ai,9Bi,…における現在の動作モードを夫々収集し、これら動作モードに夫々対応する各消費電力を配下電気機器情報データベース5−4から読み出して、現時点で消費されている総消費電力量を計測し、総消費電力量格納部5−10bに格納する(ステップS31)。
【0065】
続いて、電力制御用気象情報収集部5−10cは、気象情報サーバ20から気象情報をダウンロード、若しくは、気象観測装置30に蓄積された気象情報を読み出して、現時点における電力供給エリアの気象情報を収集し、電力制御用気象情報格納部5−10dに格納する(ステップS32)。
【0066】
そして、受電電力量受信部5−10eは、データネットワーク6を介して変電所から送られてくる受電電力量の計画値を受信して、受電電力量計画値格納部5−10fに格納する(ステップS33)。なお、この受電電力量の計画値とは、近隣若しくは更に上位の変電所から電力供給エリアに送出される予定の電力量であって、通常、図8に示したように時間単位で送電量が異なるように計画されている。
【0067】
その後、需要電力量予測部5−10gは、総消費電力量を総消費電力量格納部5−10bから読み出すと共に、気象情報を電力制御用気象情報格納部5−10dから読み出して、予測式格納部5−9bに格納された予測式を用いて、今後の需要電力量を時刻単位で予測する(ステップS34)。
【0068】
なお、需要電力量通知部5−12は、ステップ34で予測した今後の需要電力量を変電所に通知することができる。この通知された需要電力量に基づいて、変電所が電力供給量を各エリアに再割当することが可能となり、エリア間での電力供給量を平準化することが可能となる。即ち、他のエリアに電力を供給するエリア内電力供給装置への電力供給量を割り増ししたり、更に他のエリア内電力供給装置での余剰電力をこちらのエリア内電力供給装置に割り振ってもらうことが可能となる。より具体的には、例えば、八王子地区で雨が降り出し、気温低下により電力需要が減った場合に、現在暑くて電力需要が逼迫している立川地区に電力を融通することが可能となる。
【0069】
続いて、電力比較部5−10hは、受電電力量計画値格納部5−10fに格納された受電電力量の計画値と、予測された需要電力量とを時刻ごとに比較(ステップS35)して、需要電力量が受電電力量の範囲であるかを判定する(ステップS36)。
【0070】
配下電気機器消費電力制御部5−10iは、需要電力量が受電電力量の範囲でないと判定した場合に、消費電力低減が可能な電気機器群を抽出(ステップS37)し、データネットワーク6を介して、IPv6のIPアドレスを有する動作中の各電気機器9Ai,9Bi,…に夫々接続された各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に節電モードへの動作モード変更指令を送信(ステップS38)して、ステップS31に戻る。
【0071】
ステップS36において需要電力量が受電電力量の範囲であると判定した場合には、一定時間待機した後(ステップS39)にステップS31に戻る。
【0072】
その後、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…は、動作モード変更指令を受信し、通常動作モード中であれば各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に接続された各電気機器9Ai,9Bi,…の動作モードを節電モードに変更する。
【0073】
従って、本実施の形態によれば、エリア内電力供給装置3内に配備された給電統括管理サーバ5により、所定の電力供給エリアで消費されている総消費電力量を計測すると共に同エリアの気象情報を収集することを所定の時間間隔で繰り返して時間に関連付けて総消費電力量履歴格納手段に格納しておき、この総消費電力量履歴格納手段に格納されている総消費電力量を用いて所定の気象条件に対して所定の時刻で消費される予測式を求めて格納しておいて、複数の電気機器における現在の動作モードを夫々収集して現時点の総消費電力量を計測すると共に気象情報を収集し、上記予測式を用いて今後の需要電力量を時刻単位で予測し、変電所から送られてくる受電電力量の計画値と予測された需要電力量とを時刻ごとに比較して、需要電力量が受電電力量の範囲でないと判定した場合に、動作中の各電気機器9Ai,9Bi,…に夫々接続された各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に節電モードへの動作モード変更指令を送信し、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…により、動作モード変更指令を受信し、通常動作モード中であれば各電気機器9Ai,9Bi,…の動作モードを節電モードに変更するので、現在時刻から遡った周囲の気象条件変化に基づいて、将来の時刻における電力消費量を予測することで消費電力の抑制が可能となり、電気機器間の電力使用量の平準化や電力制御の最適化、電気機器の停電を回避することが可能となる。
【0074】
続いて、前述した電力供給エリアが停電した際の再起動処理の動作について説明する。図16は、再起動処理の動作を示すフローチャートである。最初に、図16(a)に示す給電統括管理サーバ5の再起動処理の動作について説明する。
【0075】
まず、停電復旧判定部5−11aは、電力供給エリアが停電したか否かを判定する(ステップS41)。
【0076】
次に、配下電気機器再起動指示部5−11bは、電力供給エリアが停電したと判定する場合に、管理サーバ用無線LANインタフェース50から無線ネットワーク100を介して各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させる再起動指示を各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に夫々与える(ステップS42)。
【0077】
ここで、配下電気機器再起動指示部5−11bは、その再起動指示を全ての電力コントローラ11Ai,11Bi,…に一度に送信してもよく、予め定めた順番に従って再起動指示を順次送信するようにしてもよい。また、所定の遅延時間間隔や、生成した乱数に基づく時間間隔でこの再起動指示を各電力コントローラ11Ai,11Bi,…の夫々に送信することが好ましい。通常、停電復旧後の電力立ち上げは、インバータ機器のような電圧に敏感に反応して電流を吸い込む機器が非常に多いので、注意しないと再停電の危険がある。所定の遅延時間間隔で再起動指示を各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に夫々与えることにより、各電気機器9Ai,9Bi,…での起動タイムラグを与え、各電気機器が再起動した場合であっても、そのような機器に起因する再停電を回避することができる。
【0078】
最後に、配下電気機器再起動指示部5−11bは、全ての電力コントローラ11Ai,11Bi,…に再起動指示を送信したか否かを確認し(ステップS43)、未起動の電気機器がある場合には再起動指示を再度送信する(ステップS44)。
【0079】
続いて、図16(b)に示す各電力コントローラ11Ai,11Bi,…の再起動処理の動作について説明する。
【0080】
最初に、停電復旧判定部11−6aは、電力供給エリアが停電したか否かを判定する(ステップS51)。
【0081】
次に、再起動指示部11−6bは、電力供給エリアが停電したと判定する場合に、給電統括管理サーバ5から与えられる再起動指示を待つ(ステップS52)。
【0082】
そして、再起動指示部11−6bは、各電気機器用無線LANインタフェース40Ai,40Bi,…を介して給電統括管理サーバ5から再起動指示が与えられた場合(ステップS53)に、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に夫々接続された各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させる(ステップS54)。
【0083】
従って、本実施の形態によれば、エリア内電力供給装置3内に配備された給電統括管理サーバ5により、電力供給エリアが停電したと判定する場合に、無線ネットワーク100を介して各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させる再起動指示を各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に夫々与え、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…により、再起動指示が与えられた場合に、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に接続された各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させるので、突然の発電所故障や変電所故障に伴う電力供給不足に起因する電気機器の停電が発生した場合であっても、各電気機器を再び動作させることが可能となる。
【0084】
最後に、前述した電力供給エリアが停電した際の他の再起動処理の動作について説明する。図17は、他の再起動処理の動作を示すフローチャートである。なお、タイマー格納部11−6cには、停電により動作停止してから再起動を開始するまでの待ち時間が格納されている。
【0085】
最初に、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…の停電復旧判定部11−6aは、電力供給エリアが停電したか否かを判定する(ステップS61)。
【0086】
次に、再起動指示部11−6bは、停電により各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に接続された各電気機器9Ai,9Bi,…の動作が停止した場合に、タイマー格納部11−6cに格納されている待ち時間を読み出して(ステップS62)、この待ち時間が経過した後(ステップS63)に、各電気機器9Ai,9Bi,…を再起動させる(ステップS64)。
【0087】
一方、ステップS61において、電力供給エリアが停電していないと判定する場合であって、待ち時間がタイマー格納部11−6cに格納されていない場合(ステップS65)には、所定の時間を待ち時間としてタイマー格納部11−6cに格納する(ステップS66)。
【0088】
従って、本実施の形態によれば、各電力コントローラ11Ai,11Bi,…により、停電により各電力コントローラ11Ai,11Bi,…に接続された各電気機器9Ai,9Bi,…の動作が停止した場合に、待ち時間をタイマー格納部11−6cから読み出して、この待ち時間が経過した後に電気機器を再起動させるため、給電統括管理サーバ5からの再起動の指示がない場合であっても自律して再起動が可能となると共に、複数の電気機器が一度に再起動した場合に、電圧に敏感に反応して電流を吸い込む機器に起因する再停電を回避することができる。
【0089】
本実施の形態では、電力供給エリアが停電した場合の予備的な通信経路(バックアップ回線)として無線LANインタフェースを介した無線通信を用いる場合について説明したが、無線に限られることはなく、有線通信や電灯線通信方式を用いた通信などを用いて実現しても同様の効果を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の1つの実施の形態の電力供給制御システムのブロック図。
【図2】上記実施の形態の電力供給制御システムの詳しい構成を示すブロック図。
【図3】上記実施の形態の電力供給制御システムにおける電力コントローラのブロック図。
【図4】上記実施の形態の電力供給制御システムにおける給電統括管理サーバのブロック図。
【図5】上記実施の形態の電力供給制御システムにおける給電統括管理サーバの配下機器情報データベースの保持するデータテーブル。
【図6】上記実施の形態の電力供給制御システムの動作を示すブロック図。
【図7】上記実施の形態の電力供給制御システムによる電力供給制御方法のフローチャート。
【図8】関東地域に電力を供給する○○電力会社がある日に消費した総消費電力量の時間的推移を示すグラフである。
【図9】同日の東京地方における気温の時間的推移を示すグラフである。
【図10】第2の実施の形態に係る電力供給制御システムの全体構成を示す構成図である。
【図11】第2の実施の形態に係る給電統括管理サーバのブロック図である。
【図12】第2の実施の形態に係る電力コントローラのブロック図である。
【図13】第1段階の学習処理の動作を示すフローチャートである。
【図14】第2段階の学習処理の動作を示すフローチャートである。
【図15】制御処理の動作を示すフローチャートである。
【図16】再起動処理の動作を示すフローチャートである。
【図17】他の再起動処理の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
1A,1B,1C,… 建物
2 配電線
3 エリア内電力供給装置
4A,4B,4C,… 受電配電装置
5 給電統括管理サーバ
6 データネットワーク
7A,7B,7C,… 外部ネットワーク接続装置
8A,8B,8C,… PLC親機
9A1,9A2,…;9B1,9B2,…;9C1,9C2,… 電気機器
10A1,10A2,…;10B1,10B2,…;10C1,10C2,… PLC子機
11A1,11A2,…;11B1,11B2,…;11C1,11C2,… 電力コントローラ
20…気象情報サーバ
30…気象観測装置
40A1,40A2,…;40B1,40B2,……電気機器用無線LANインタフェース
50…管理サーバ用無線LANインタフェース
100…無線ネットワーク
5−8a…総消費電力量計測部
5−8b…気象情報収集部
5−8c…総消費電力量履歴格納部
5−9a…予測式算出部
5−9b…予測式格納部
5−10a…電力制御用総消費量計測部
5−10b…総消費電力量格納部
5−10c…電力制御用気象情報収集部
5−10d…電力制御用気象情報格納部
5−10e…受電電力量受信部
5−10f…受電電力量計画値格納部
5−10g…需要電力量予測部
5−10h…電力比較部
5−10i…配下電気機器消費電力制御部
5−11a…停電復旧判定部
5−11b…配下電気機器再起動指示部
5−12…需要電力量通知部
11−6a…停電復旧判定部
11−6b…再起動指示部
11−6c…タイマー格納部
S11〜S14,S21〜S23,S31〜S39,S41〜S44,S51〜S54,S61〜S66…ステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の電力供給エリアを持つエリア電力供給装置と、前記エリア電力供給装置から電力線にて電力供給を受ける多種多様、かつ多数台に上る電気機器とから構成される電力供給系統において、前記エリア電力供給装置から前記多数台の電気機器の消費電力制御を行う電力供給制御システムであって、
前記エリア電力供給装置は、外部のデータネットワークと接続され、前記多数台の電気機器それぞれの動作状態の情報を収集し、給電可能容量と動作中の多数台の電気機器それぞれの消費電力の総量を当該エリア電力供給装置の供給可能な供給電力量と比較して電力需給のひっ迫の有無を判定し、電力需給がひっ迫している場合には前記データネットワークに対して動作中の多数台の電気機器それぞれに対してそれらを識別するIPv6のIPアドレスと節電モードへの動作モード変更指令を送信する給電統括管理サーバを備え、
前記多数台の電気機器それぞれは、外部からの前記動作モード変更指令を受けて節電モードへ動作モードを変更する制御を行う電力コントローラを備え、かつ、前記電力コントローラはそれに対する外部とのデータ通信信号を電力線に重畳して送受するPLC子機に接続され、
前記多数台の電気機器のうち同一建物内に設置されている電気機器それぞれに接続されている前記PLC子機それぞれは、前記建物内に設置され、前記外部のデータネットワークとの間でネットワーク通信を可能とする外部ネットワーク制御装置に接続されていることを特徴とする電力供給制御システム。
【請求項2】
前記給電統括管理サーバは、
前記外部のデータネットワークに接続され、データ通信を行うデータ通信部と、
前記外部のデータネットワークを通じて変電所からリアルタイムに送られてくる最新受電電力量情報を受信して保持する受電電力量情報保持部と、
当該システムに接続されているすべての電気機器のIPアドレスと現状の動作モードを前記外部のデータネットワークを通じて収集する配下電気機器動作情報収集部と、
配下の電気機器毎のIPv6のIPアドレス、通常動作モードでの消費電力、節電モードへの切替可否の情報を登録した配下電気機器情報データベースと、
前記配下電気機器情報データベースをIPアドレスをキーにして検索し、動作中の配下電気機器群の総消費電力量を演算する配下電力消費量演算部と、
前記受電電力量情報保持部の保持する受電電力量を前記配下電力消費量演算部の演算した配下電気機器群の総消費電力量と比較し、電力の安定供給が可能か否かを判定し、安定供給が不可能な場合に節電モードへの動作モード変更指令を該当する配下電気機器に対してIPアドレスと共に送信する配下電気機器消費電力制御部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の電力供給制御システム。
【請求項3】
前記電力コントローラは、
前記PLC子機と接続され、IPv6のIPアドレスが付与されているネットワーク通信部と、
自機が内蔵されている電気機器の動作を通常動作モードと節電モードとの間で動作モード変更を制御する動作制御部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の電力供給制御システム。
【請求項4】
一定の電力供給エリアを持つエリア電力供給装置と、前記エリア電力供給装置から電力線にて電力供給を受ける多種多様、かつ多数台に上る電気機器とから構成される電力供給系統において、前記エリア電力供給装置から前記多数台の電気機器の消費電力制御を行う電力供給制御システムによる電力供給制御方法であって、
前記エリア電力供給装置が、外部のデータネットワークを通じて前記多数台の電気機器それぞれの動作状態の情報を収集するステップと、
前記エリア電力供給装置が、給電可能容量と動作中の多数台の電気機器それぞれの消費電力の総量を当該エリア電力供給装置の供給可能な供給電力量と比較して電力需給のひっ迫の有無を判定するステップと、
前記エリア電力供給装置が、前記電力需給がひっ迫していると判定した場合に、前記データネットワークに対して動作中の多数台の電気機器それぞれに対してそれらを識別するIPv6のIPアドレスと節電モードへの動作モード変更指令を送信するステップと、
前記多数台の電気機器それぞれが、PLC子機を通じて前記節電モードへの動作モード変更指令を受信し、通常動作モード中であれば節電モードに動作モードを変更するステップとを有する電力供給制御方法。
【請求項5】
一定の電力供給エリアを持つエリア内電力供給装置と、当該エリア内電力供給装置から電力線にて電力供給を受ける複数の電気機器に対して消費電力制御を夫々行う複数の電気機器制御装置とを備えた電力供給制御方法であって、
前記エリア内電力供給装置により、
複数の動作モードに夫々対応する各消費電力を、前記複数の電気機器に付与されたIPv6のIPアドレスに関連付けて配下電気機器情報データベースに格納しておく第1ステップと、
外部のデータネットワークを介して前記複数の電気機器における現在の動作モードを夫々収集し、当該動作モードに対応する前記消費電力を前記配下電気機器情報データベースから読み出して、現時点で消費されている総消費電力量を計測する第2ステップと、
気象情報を蓄積している気象情報蓄積装置から、現時点における前記電力供給エリアの気象情報を収集する第3ステップと、
前記第2ステップ及び前記第3ステップを所定の時間間隔で繰り返し、前記総消費電力量及び前記気象情報を各ステップを実施した時刻に関連付けて総消費電力量履歴格納手段に格納しておくことを繰り返す第4ステップと、
前記総消費電力量履歴格納手段に格納された複数の前記総消費電力量及び複数の前記気象情報を読み出して、所定の気象条件に対して所定の時刻で消費される予測総消費電力量を算出可能な予測式を求める第5ステップと、
前記第5ステップを所定の時間間隔で繰り返し、前記予測式を予測式格納手段に格納しておくことを繰り返す第6ステップと、
前記外部のデータネットワークを介して前記複数の電気機器における現在の動作モードを夫々収集し、当該動作モードに対応する前記消費電力を前記配下電気機器情報データベースから読み出して、現時点で消費されている総消費電力量を計測し、総消費電力量格納手段に格納する第7ステップと、
前記気象情報蓄積装置から現時点における前記電力供給エリアの気象情報を収集し、電力制御用気象情報格納手段に格納する第8ステップと、
前記外部のデータネットワークを介して変電所から送られてくる受電電力量の計画値を受信して、受電電力量計画値格納手段に格納する第8ステップと、
前記総消費電力量を前記総消費電力量格納手段から読み出すと共に、前記気象情報を前記電力制御用気象情報格納手段から読み出して、前記予測式格納手段に格納された前記予測式を用いて、今後の需要電力量を時刻単位で予測する第9ステップと、
前記受電電力量計画値格納手段に格納された前記受電電力量の計画値と、予測された前記需要電力量とを時刻ごとに比較して、当該需要電力量が当該受電電力量の範囲であるかを判定する第10ステップと、
前記需要電力量が前記受電電力量の範囲でないと判定した場合に、前記外部のデータネットワークを介して、前記IPv6のIPアドレスを有する動作中の前記複数の電気機器に夫々接続された前記複数の電気機器制御装置に節電モードへの動作モード変更指令を送信する第11ステップと、を有し、
前記電気機器制御装置により、
前記動作モード変更指令を受信し、通常動作モード中であれば当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器の動作モードを節電モードに変更するステップ、
を有することを特徴とする電力供給制御方法。
【請求項6】
前記電気機器制御装置は、前記電力供給エリアが停電した場合であっても当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器を自律して動作させる予備用電源装置を有し、更に、前記エリア電力装置及び前記電気機器制御装置は、当該停電の場合に前記外部のデータネットワークとは異なる停電用通信経路を介して通信可能であって、
前記エリア内電力供給装置により、
前記電力供給エリアが停電したか否かを判定する第12ステップと、
前記電力供給エリアが停電したと判定する場合に、前記停電用通信経路を介して前記複数の電気機器を再起動させる再起動指示を前記複数の電気機器制御装置に夫々与える第13ステップと、を更に有し、
前記電気機器制御装置により、
前記再起動指示が与えられた場合に、当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器を再起動させるステップ、
を更に有することを特徴とする請求項5に記載の電力供給制御方法。
【請求項7】
前記エリア内電力供給装置は、前記第13ステップにおいて、
所定の遅延時間間隔で、前記再起動指示を前記複数の電気機器制御装置に夫々与えることを特徴とする請求項6に記載の電力供給制御方法。
【請求項8】
前記電気機器制御装置は、前記電力供給エリアが停電した場合であっても当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器を自律して動作させる予備用電源装置と、停電により動作停止してから再起動を開始するまでの待ち時間を格納しておくタイマー格納手段とを有するものであって、
前記電気機器制御装置により、
停電により当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器の動作が停止した場合に、前記待ち時間を前記タイマー格納手段から読み出して、当該待ち時間が経過した後に当該電気機器を再起動させるステップ、
を更に有することを特徴とする請求項5に記載の電力供給制御方法。
【請求項9】
前記エリア内電力供給装置により、
前記第9ステップで予測した今後の需要電力量を前記変電所に通知するステップを更に有することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の電力供給制御方法。
【請求項1】
一定の電力供給エリアを持つエリア電力供給装置と、前記エリア電力供給装置から電力線にて電力供給を受ける多種多様、かつ多数台に上る電気機器とから構成される電力供給系統において、前記エリア電力供給装置から前記多数台の電気機器の消費電力制御を行う電力供給制御システムであって、
前記エリア電力供給装置は、外部のデータネットワークと接続され、前記多数台の電気機器それぞれの動作状態の情報を収集し、給電可能容量と動作中の多数台の電気機器それぞれの消費電力の総量を当該エリア電力供給装置の供給可能な供給電力量と比較して電力需給のひっ迫の有無を判定し、電力需給がひっ迫している場合には前記データネットワークに対して動作中の多数台の電気機器それぞれに対してそれらを識別するIPv6のIPアドレスと節電モードへの動作モード変更指令を送信する給電統括管理サーバを備え、
前記多数台の電気機器それぞれは、外部からの前記動作モード変更指令を受けて節電モードへ動作モードを変更する制御を行う電力コントローラを備え、かつ、前記電力コントローラはそれに対する外部とのデータ通信信号を電力線に重畳して送受するPLC子機に接続され、
前記多数台の電気機器のうち同一建物内に設置されている電気機器それぞれに接続されている前記PLC子機それぞれは、前記建物内に設置され、前記外部のデータネットワークとの間でネットワーク通信を可能とする外部ネットワーク制御装置に接続されていることを特徴とする電力供給制御システム。
【請求項2】
前記給電統括管理サーバは、
前記外部のデータネットワークに接続され、データ通信を行うデータ通信部と、
前記外部のデータネットワークを通じて変電所からリアルタイムに送られてくる最新受電電力量情報を受信して保持する受電電力量情報保持部と、
当該システムに接続されているすべての電気機器のIPアドレスと現状の動作モードを前記外部のデータネットワークを通じて収集する配下電気機器動作情報収集部と、
配下の電気機器毎のIPv6のIPアドレス、通常動作モードでの消費電力、節電モードへの切替可否の情報を登録した配下電気機器情報データベースと、
前記配下電気機器情報データベースをIPアドレスをキーにして検索し、動作中の配下電気機器群の総消費電力量を演算する配下電力消費量演算部と、
前記受電電力量情報保持部の保持する受電電力量を前記配下電力消費量演算部の演算した配下電気機器群の総消費電力量と比較し、電力の安定供給が可能か否かを判定し、安定供給が不可能な場合に節電モードへの動作モード変更指令を該当する配下電気機器に対してIPアドレスと共に送信する配下電気機器消費電力制御部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の電力供給制御システム。
【請求項3】
前記電力コントローラは、
前記PLC子機と接続され、IPv6のIPアドレスが付与されているネットワーク通信部と、
自機が内蔵されている電気機器の動作を通常動作モードと節電モードとの間で動作モード変更を制御する動作制御部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の電力供給制御システム。
【請求項4】
一定の電力供給エリアを持つエリア電力供給装置と、前記エリア電力供給装置から電力線にて電力供給を受ける多種多様、かつ多数台に上る電気機器とから構成される電力供給系統において、前記エリア電力供給装置から前記多数台の電気機器の消費電力制御を行う電力供給制御システムによる電力供給制御方法であって、
前記エリア電力供給装置が、外部のデータネットワークを通じて前記多数台の電気機器それぞれの動作状態の情報を収集するステップと、
前記エリア電力供給装置が、給電可能容量と動作中の多数台の電気機器それぞれの消費電力の総量を当該エリア電力供給装置の供給可能な供給電力量と比較して電力需給のひっ迫の有無を判定するステップと、
前記エリア電力供給装置が、前記電力需給がひっ迫していると判定した場合に、前記データネットワークに対して動作中の多数台の電気機器それぞれに対してそれらを識別するIPv6のIPアドレスと節電モードへの動作モード変更指令を送信するステップと、
前記多数台の電気機器それぞれが、PLC子機を通じて前記節電モードへの動作モード変更指令を受信し、通常動作モード中であれば節電モードに動作モードを変更するステップとを有する電力供給制御方法。
【請求項5】
一定の電力供給エリアを持つエリア内電力供給装置と、当該エリア内電力供給装置から電力線にて電力供給を受ける複数の電気機器に対して消費電力制御を夫々行う複数の電気機器制御装置とを備えた電力供給制御方法であって、
前記エリア内電力供給装置により、
複数の動作モードに夫々対応する各消費電力を、前記複数の電気機器に付与されたIPv6のIPアドレスに関連付けて配下電気機器情報データベースに格納しておく第1ステップと、
外部のデータネットワークを介して前記複数の電気機器における現在の動作モードを夫々収集し、当該動作モードに対応する前記消費電力を前記配下電気機器情報データベースから読み出して、現時点で消費されている総消費電力量を計測する第2ステップと、
気象情報を蓄積している気象情報蓄積装置から、現時点における前記電力供給エリアの気象情報を収集する第3ステップと、
前記第2ステップ及び前記第3ステップを所定の時間間隔で繰り返し、前記総消費電力量及び前記気象情報を各ステップを実施した時刻に関連付けて総消費電力量履歴格納手段に格納しておくことを繰り返す第4ステップと、
前記総消費電力量履歴格納手段に格納された複数の前記総消費電力量及び複数の前記気象情報を読み出して、所定の気象条件に対して所定の時刻で消費される予測総消費電力量を算出可能な予測式を求める第5ステップと、
前記第5ステップを所定の時間間隔で繰り返し、前記予測式を予測式格納手段に格納しておくことを繰り返す第6ステップと、
前記外部のデータネットワークを介して前記複数の電気機器における現在の動作モードを夫々収集し、当該動作モードに対応する前記消費電力を前記配下電気機器情報データベースから読み出して、現時点で消費されている総消費電力量を計測し、総消費電力量格納手段に格納する第7ステップと、
前記気象情報蓄積装置から現時点における前記電力供給エリアの気象情報を収集し、電力制御用気象情報格納手段に格納する第8ステップと、
前記外部のデータネットワークを介して変電所から送られてくる受電電力量の計画値を受信して、受電電力量計画値格納手段に格納する第8ステップと、
前記総消費電力量を前記総消費電力量格納手段から読み出すと共に、前記気象情報を前記電力制御用気象情報格納手段から読み出して、前記予測式格納手段に格納された前記予測式を用いて、今後の需要電力量を時刻単位で予測する第9ステップと、
前記受電電力量計画値格納手段に格納された前記受電電力量の計画値と、予測された前記需要電力量とを時刻ごとに比較して、当該需要電力量が当該受電電力量の範囲であるかを判定する第10ステップと、
前記需要電力量が前記受電電力量の範囲でないと判定した場合に、前記外部のデータネットワークを介して、前記IPv6のIPアドレスを有する動作中の前記複数の電気機器に夫々接続された前記複数の電気機器制御装置に節電モードへの動作モード変更指令を送信する第11ステップと、を有し、
前記電気機器制御装置により、
前記動作モード変更指令を受信し、通常動作モード中であれば当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器の動作モードを節電モードに変更するステップ、
を有することを特徴とする電力供給制御方法。
【請求項6】
前記電気機器制御装置は、前記電力供給エリアが停電した場合であっても当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器を自律して動作させる予備用電源装置を有し、更に、前記エリア電力装置及び前記電気機器制御装置は、当該停電の場合に前記外部のデータネットワークとは異なる停電用通信経路を介して通信可能であって、
前記エリア内電力供給装置により、
前記電力供給エリアが停電したか否かを判定する第12ステップと、
前記電力供給エリアが停電したと判定する場合に、前記停電用通信経路を介して前記複数の電気機器を再起動させる再起動指示を前記複数の電気機器制御装置に夫々与える第13ステップと、を更に有し、
前記電気機器制御装置により、
前記再起動指示が与えられた場合に、当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器を再起動させるステップ、
を更に有することを特徴とする請求項5に記載の電力供給制御方法。
【請求項7】
前記エリア内電力供給装置は、前記第13ステップにおいて、
所定の遅延時間間隔で、前記再起動指示を前記複数の電気機器制御装置に夫々与えることを特徴とする請求項6に記載の電力供給制御方法。
【請求項8】
前記電気機器制御装置は、前記電力供給エリアが停電した場合であっても当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器を自律して動作させる予備用電源装置と、停電により動作停止してから再起動を開始するまでの待ち時間を格納しておくタイマー格納手段とを有するものであって、
前記電気機器制御装置により、
停電により当該電気機器制御装置に接続された前記電気機器の動作が停止した場合に、前記待ち時間を前記タイマー格納手段から読み出して、当該待ち時間が経過した後に当該電気機器を再起動させるステップ、
を更に有することを特徴とする請求項5に記載の電力供給制御方法。
【請求項9】
前記エリア内電力供給装置により、
前記第9ステップで予測した今後の需要電力量を前記変電所に通知するステップを更に有することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の電力供給制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−171823(P2009−171823A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96293(P2008−96293)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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