説明

電力変換装置

【課題】電力変換装置の運転時における電力変換効率を低下させることなく、電力変換装置の停止後におけるメンテナンス性をより高めることを可能とする電力変換装置を得ること。
【解決手段】入力された直流電力を交流電力に変換して出力するインバータ回路5と、インバータ回路5の入力側端子間に接続されるコンデンサ6と、コンデンサ6と並列接続可能に設けられ、コンデンサ6に蓄積された電荷を放電する放電手段7と、放電手段7と直列に接続され、コンデンサ6と放電手段7との電気的接続を開閉する開閉手段8と、インバータ回路5の状態に基づいて開閉手段8を制御する開閉制御手段11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置を停止させた直後は、インバータの入力部に並列に接続されたコンデンサに蓄積された電荷はコンデンサに残留したままとなる。したがって、例えば、電力変換装置のメンテナンスを行う場合には、電力変換装置の停止後各コンデンサに蓄積された電荷が小さくなるまで待たなければならない。こうした問題点を解決する技術として、下記特許文献1などが存在する。
【0003】
特許文献1に示された技術では、インバータの入力部に並列に接続されたコンデンサに並列に放電用抵抗を接続し、インバータの停止時に放電用抵抗を介してコンデンサに蓄積された電荷を放電する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−247186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示された技術では、インバータの入力部に放電用抵抗が常に接続されているため、インバータの停止時だけでなく運転時も放電用抵抗が電力を消費し、電力変換効率低下の要因となる、という問題があった。
【0006】
一方、放電用抵抗がない構成の場合、インバータの入力端の電圧は、インバータの停止直後はコンデンサに蓄積された電荷により高電圧となっている。このため、電力変換装置のメンテナンスを行う際に、作業者がコンデンサに放電用抵抗を接続してコンデンサに蓄積された電荷を放電させる必要があるが、コンデンサに放電用抵抗を接続する作業自体が高電圧部分での作業となるため、作業に慎重を期さねばならず、作業時間が長くなるなどメンテナンス性が低い、という問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電力変換装置の運転時における電力変換効率を低下させることなく、電力変換装置の停止後におけるメンテナンス性をより高めることを可能とする電力変換装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、入力された直流電力を交流電力に変換して出力するインバータと、前記インバータの入力側端子間に接続されるコンデンサと、前記コンデンサと並列接続可能に設けられ、前記コンデンサに蓄積された電荷を放電する放電手段と、前記放電手段と直列に接続され、前記コンデンサと前記放電手段との電気的接続を開閉する開閉手段と、前記インバータの状態に基づいて前記開閉手段を制御する開閉制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、電力変換装置の運転時における電力変換効率を低下させることなく、電力変換装置の停止後におけるメンテナンス性をより高めることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる電力変換装置の一構成例を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1にかかる電力変換装置の別の一構成例を示す図である。
【図3】図3は、実施の形態2にかかる電力変換装置の一構成例を示す図である。
【図4】図4は、実施の形態2にかかる電力変換装置の別の一構成例を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態3にかかる電力変換装置の一構成例を示す図である。
【図6】図6は、実施の形態4にかかる電力変換装置の一構成例を示す図である。
【図7】図7は、実施の形態5にかかる電力変換装置の一構成例を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態5にかかる電力変換装置の別の一構成例を示す図である。
【図9】図9は、実施の形態6にかかる電力変換装置の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明にかかる電力変換装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる電力変換装置の一構成例を示す図である。なお、図1に示す例では、太陽電池モジュール1から供給される直流電力を交流電力に変換し、住宅内の電気機器等の負荷(図示せず)および電力系統(以下単に「系統」という)3に供給するパワーコンディショナに適用する例を示している。
【0013】
図1に示すように、実施の形態1にかかる電力変換装置2は、昇降圧コンバータ回路4、インバータ回路5、コンデンサ6、放電用抵抗(放電手段)7、およびスイッチ(開閉手段)8を備えている。
【0014】
昇降圧コンバータ回路4は、入力端が電力変換装置2の入力端に接続され、入力端を通じて供給される太陽電池モジュール1の直流電圧を昇圧または降圧して出力する。コンデンサ6は、昇降圧コンバータ回路4により昇圧または降圧された直流電圧により電荷を蓄積する。インバータ回路5は、出力端が電力変換装置2の出力端に接続され、コンデンサ6から供給される直流電圧を交流電圧に変換して電力変換装置2の出力端を介して出力する。
【0015】
電力変換装置2の出力端は、住宅内の電気機器等の負荷(図示せず)および系統3に接続される。電力変換装置2の出力電力は、住宅内の電気機器等の負荷で消費されるとともに、住宅内の電気機器等の負荷により消費できない余剰電力は、系統3に逆潮流される。曇天時や夜間など、日射量が少なく太陽電池モジュール1が発電できないときには、系統3から住宅内の負荷に電力が供給される。
【0016】
放電用抵抗7およびスイッチ8は、コンデンサ6の両端に直列に接続される。スイッチ8は、コンデンサ6に蓄積された電荷を放電用抵抗7により放電するか否かの切り換え動作を実行する。
【0017】
つぎに、実施の形態1にかかる電力変換装置2の動作について説明する。電力変換装置2を運転する場合は、スイッチ8を開状態に切り換えておく。これにより、電力変換装置2の運転時において放電用抵抗7による無駄な電力消費をなくすことができる。
【0018】
一方、電力変換装置2をメンテナンスするために電力変換装置2を停止させる場合は、電力変換装置2を停止させた後にスイッチ8を閉に切り換える。これにより、コンデンサ6に蓄積された電荷は、放電用抵抗7により放電される。
【0019】
なお、放電用抵抗7の抵抗値は、放電用抵抗を常時接続する構成の場合と比べて小さくすることができる。つまり、放電用抵抗を常時接続する構成の場合は、電力変換装置を運転する際に放電用抵抗により消費される無駄な電力消費の低減と電力変換装置を停止させた後のメンテナンス作業時における放電時間の短縮を考慮して放電用抵抗の抵抗値を設定する必要があるため、抵抗値を小さくすることには限界があった。一方、実施の形態1にかかる電力変換装置2では、電力変換装置2を停止させた後のメンテナンス作業時における放電時間をいかに短縮するかを考慮して放電用抵抗7の抵抗値を設定すればよい。したがって、実施の形態1にかかる電力変換装置2では、放電用抵抗を常時接続する構成の場合と比べて、速やかにコンデンサ6に蓄積された電荷を放電することができる。
【0020】
図2は、実施の形態1にかかる電力変換装置の別の一構成例を示す図である。図2に示すように、電力変換装置2aでは、開閉手段8は、半導体スイッチ81、スイッチ82、抵抗83、抵抗84、および定電圧ダイオード85を備えている。
【0021】
図2に示す例では、コンデンサ6の直流電圧は、抵抗83および抵抗84により分圧される。スイッチ82は、この分圧された中点を開閉する。このため、メンテナンス作業時において図1に示した例よりも低い電圧値でスイッチ82を閉に切り換えることができ、メンテナンス性をより高めることができる。
【0022】
以上のように、実施の形態1にかかる電力変換装置によれば、コンデンサに蓄積された電荷を放電用抵抗により放電するか否かの切り換え動作を行う開閉手段を設けたので、電力変換装置を運転する場合は、開閉手段を開状態に切り換え、電力変換装置をメンテナンスするために電力変換装置を停止させる場合は、電力変換装置を停止させた後に開閉手段を閉に切り換えることができ、電力変換装置の運転時における電力変換効率を低下させることなく、電力変換装置の停止後におけるメンテナンス性をより高めることができる。
【0023】
また、放電用抵抗の抵抗値を、コンデンサと放電用抵抗とを常時接続する構成の場合と比べて小さくすることができるので、速やかにコンデンサに蓄積された電荷を放電することができ、メンテナンス作業時間を短縮することができる。
【0024】
さらに、電力変換装置を停止させた後に電力変換装置のメンテナンス作業を行わない場合は、開閉手段の開状態を維持しておくことにより、コンデンサに蓄積された電荷が放電されにくいため、次回の運転開始時における昇圧時間を短縮することができる。
【0025】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2にかかる電力変換装置の一構成例を示す図である。なお、実施の形態1と同一または同等の構成部には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0026】
図3に示すように、実施の形態2にかかる電力変換装置2bは、実施の形態1において示した構成に加え、放電用抵抗(放電手段)7に並列に、コンデンサ6に蓄積された電荷の放電状態およびスイッチ(開閉手段)8の開閉状態を通知する通知手段9が接続されている。図3に示す例では、通知手段9としては、音を発生して上記放電状態および上記開閉状態の通知を音の発生により行う音発生器(例えばブザーなど)を用いている。
【0027】
つぎに、実施の形態2にかかる電力変換装置2bの動作について説明する。作業者が電力変換装置2bをメンテナンスするために電力変換装置を停止させた後にスイッチ8を閉状態に切り換えると、コンデンサ6に電荷が残存している場合には、スイッチ8を介して音発生器(通知手段)9が通電し、音発生器9からブザー音が発生して、スイッチ8が閉状態であり、かつ、コンデンサ6に電荷が残存していることを作業者に通知する。これにより、作業者は、ブザー音の停止によりコンデンサ6の電荷が放電したことを認識して、メンテナンス作業を安全に開始できる。
【0028】
また、作業者が電力変換装置2bをメンテナンスするために電力変換装置を停止させた後にスイッチ8を閉状態に切り換えてメンテナンス作業を実施し、そのメンテナンス作業が完了した後に、作業者がスイッチ8を開状態に切り換えるのを忘れて電力変換装置2bの運転を開始させた場合には、コンデンサは再び充電されるが、スイッチ8が閉状態であるので、同時に音発生器9に電流が流れてブザー音が発生する。したがって、作業者は、ブザー音の発生によりスイッチ8が閉状態のまま電力変換装置2bを運転させたことを認識できる。なお、図3に示す例では、音発生器9と放電用抵抗7とを並列に接続した場合の構成を示したが、音発生器9と放電用抵抗7とを直列に接続した場合の構成であっても実現できる。
【0029】
図4は、実施の形態2にかかる電力変換装置の別の一構成例を示す図である。図4に示す例では、電力変換装置2cは、通知手段として、放電用抵抗7およびスイッチ8に直列に接続された表示器(例えばLEDなど)9aを用いている。このように構成することにより、表示器9aの発光によりスイッチ8が閉状態であり、かつ、コンデンサ6に電荷が残存していることを通知することができる。なお、図4に示す例では、表示器9aと放電用抵抗7とを直列に接続した場合の構成を示したが、表示器9aと放電用抵抗7とを並列に接続した場合の構成であっても実現できる。
【0030】
また、コンデンサ6の両端の電圧を検出する電圧検出手段(図示せず)を設け、コンデンサ6の両端の電圧値に基づいてコンデンサ6の電荷の放電が完了したか否かを通知するようにしてもよい。また、通知手段として電圧表示器(図示せず)を用いて、コンデンサ6の電圧値を表示するようにしても良い。
【0031】
さらに、電力変換装置2cの運転状態や発電量を表示する表示部(図示せず)が備わっている場合には、その表示部を用いて文字や記号でスイッチ8の開閉状態を示すことも可能である。
【0032】
以上のように、実施の形態2にかかる電力変換装置によれば、電力変換装置を停止させ、開閉手段を閉状態に切り換えた際に、開閉手段が閉状態であり、かつ、コンデンサに電荷が残存していることを通知するようにしたので、電力変換装置のメンテナンス作業を実施する際に、コンデンサに電荷が残存しているか否かを確認でき、電力変換装置の停止後におけるメンテナンス性をより高めることができる。
【0033】
また、開閉手段が開状態で電力変換装置を運転させたことを通知するようにしたので、スイッチの誤操作による電力変換装置の運転時における電力変換効率低下を防ぐことができる。
【0034】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3にかかる電力変換装置の一構成例を示す図である。なお、実施の形態1と同一または同等の構成部には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0035】
図5に示すように、実施の形態3にかかる電力変換装置2dは、実施の形態1において示した構成に加え、操作手段10および開閉制御手段11を備えている。
【0036】
つぎに、実施の形態3にかかる電力変換装置2dの動作について説明する。操作手段10は、例えばインバータ回路5の運転および停止を指示する電源ボタンであり、電力変換装置2dは、操作手段10の指示によりインバータ回路5の運転および停止を実行する。
【0037】
開閉制御手段11は、操作手段10からのインバータ運転指令を受けて開閉手段8を開状態に制御し、操作手段10からのインバータ停止指令を受けて開閉手段8を閉状態に制御する。すなわち、放電手段7は、電源ボタンのオンに連動して無効となり、電源ボタンのオフに連動して有効となる。なお、実施の形態3にかかる開閉手段8は、具体的にはリレーや半導体スイッチ等で実現できる。
【0038】
このように制御することにより、インバータ回路5の運転を開始した時は、自動的に開閉手段8が開状態に制御され、放電用抵抗7が無効となるため、放電用抵抗7による無駄な電力消費は起こらない。また、インバータ回路5を停止した時は、自動的に開閉手段8が閉状態に制御され、放電用抵抗7が有効となるため、コンデンサ6に蓄積された電荷が放電される。
【0039】
以上のように、実施の形態3にかかる電力変換装置によれば、電源ボタンのオンに連動して自動的に開閉手段が開状態に制御され、放電用抵抗が無効となるようにしたので、電力変換装置の運転時における電力変換効率低下を確実に防止することができる。
【0040】
また、電源ボタンのオフに連動して自動的に開閉手段が閉状態に制御され、放電用抵抗が有効となるので、メンテナンス作業時において確実にコンデンサに蓄積された電荷を放電させることができ、電力変換装置の停止後におけるメンテナンス性をさらに高めることができる。
【0041】
さらに、インバータ回路の運転を停止した時点でコンデンサに蓄積された電荷の放電を開始するため、メンテナンス作業開始までの時間を短縮することができる。
【0042】
なお、実施の形態3では、実施の形態1の構成に操作手段および開閉制御手段を組み合わせる構成について説明したが、これら操作手段および開閉制御手段を、実施の形態2において説明した通知手段を含む構成と組み合わせて実現することも可能である。
【0043】
実施の形態4.
図6は、実施の形態4にかかる電力変換装置の一構成例を示す図である。なお、実施の形態3と同一または同等の構成部には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0044】
図6に示すように、実施の形態4にかかる電力変換装置2eは、実施の形態3において示した操作手段10に代えて、フィルタ回路12およびインバータ運転状態検知手段13を備えている。
【0045】
フィルタ回路12は、リアクトル12aおよびコンデンサ12bを具備し、インバータ回路5の出力端に接続されている。このフィルタ回路12は、インバータ回路5から出力される交流電流に重畳する高調波成分を除去し、出力電流波形を正弦波に整形する。
【0046】
つぎに、実施の形態4にかかる電力変換装置2eの動作について説明する。フィルタ回路12の構成要素であるリアクトル12aは、インバータ回路5から出力される交流電流に重畳する高調波成分を除去する際に、その高調波成分により振動し、高周波帯域の振動音(以下「音波」という)を発生する。
【0047】
インバータ運転状態検知手段13は、リアクトル12aから発生する音波の有無を検出し、検出結果を開閉制御手段11に送る。
【0048】
開閉制御手段11は、インバータ運転状態検知手段13により音波が検出されていれば、インバータ回路5が運転され、リアクトル12aに高調波電流が流れていると判断して、開閉手段8を開状態に制御する。したがって、インバータ回路5の運転時において放電用抵抗7による無駄な電力消費は起こらない。
【0049】
また、開閉制御手段11は、インバータ運転状態検知手段13により音波が検出されてなければ、インバータ回路5が停止され、リアクトル12aに高調波電流が流れていないと判断して、開閉手段8を閉状態に制御する。したがって、インバータ回路5の停止時においてコンデンサ6の電荷が放電される。
【0050】
なお、実施の形態4にかかる電力変換装置2eの別の一構成例として、インバータ運転状態検知手段13は、インバータ回路5のゲート信号を検出してインバータ回路5の運転状態を判断するように構成することも可能である。
【0051】
以上のように、実施の形態4にかかる電力変換装置によれば、インバータ回路の運転状態を判断し、インバータ回路が運転している場合には開閉手段を開状態とするようにしたので、実施の形態3と同様に、電力変換装置の運転時における電力変換効率低下を確実に防止することができる。
【0052】
また、インバータ回路が停止している場合には開閉手段を閉状態とするようにしたので、実施の形態3と同様に、メンテナンス作業時において確実にコンデンサに蓄積された電荷を放電させることができ、電力変換装置の停止後におけるメンテナンス性をさらに高めることができる。
【0053】
さらに、インバータ回路が停止した時点でコンデンサに蓄積された電荷の放電を開始するため、実施の形態3と同様に、メンテナンス作業開始までの時間を短縮することができる。
【0054】
なお、実施の形態4では、実施の形態3の構成にフィルタ回路およびインバータ運転状態検知手段を組み合わせる構成について説明したが、実施の形態3と同様に、これらフィルタ回路およびインバータ運転状態検知手段を、実施の形態2において説明した通知手段を含む構成と組み合わせて実現することも可能である。
【0055】
実施の形態5.
図7は、実施の形態5にかかる電力変換装置の一構成例を示す図である。なお、実施の形態3と同一または同等の構成部には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0056】
図7に示すように、実施の形態5にかかる電力変換装置2fは、実施の形態3において示した操作手段10に代えて、電力変換装置2fの筐体に設けられた開閉可能なメンテナンス用の開口部14および開口部開閉検知手段15を備えている。
【0057】
開口部14は、電力変換装置2fのメンテナンス作業を実施する際に開く開口部であれば何でもよく、例えば電力変換装置2fの筐体のフロントパネルであってもよい。
【0058】
開口部開閉検知手段15は、開口部14の開状態を検知可能なものであれば何でもよい。なお、図7に示す例では、開口部開閉検知手段15としては、開口部14が開かれた際に電力変換装置2fの筐体内部への外光の侵入を検知する光センサを用いている。
【0059】
つぎに、実施の形態5にかかる電力変換装置2fの動作について説明する。作業者が電力変換装置2fをメンテナンスするために電力変換装置を停止させた後に開口部14を開くと、開口部14から外光が電力変換装置2fの筐体内部に侵入する。
【0060】
筐体内部に備えられた開口部開閉検知手段15は、電力変換装置2fの筐体内部への外光の侵入を検知すると、開口部14が開いたことを示す信号を開閉制御手段11に出力する。
【0061】
開閉制御手段11は、開口部開閉検知手段15により電力変換装置2fの筐体内部への外光の侵入を検知した場合は、開口部14が開いたと判断し、開閉手段8を閉状態に制御する。したがって、電力変換装置2fのメンテナンス作業を実施する際に開口部14を開いた場合には、コンデンサ6に蓄積された電荷が放電される。
【0062】
また、開閉制御手段11は、開口部開閉検知手段15により電力変換装置2fの筐体内部への外光の侵入を検知していない場合は、開口部14が開いていないと判断し、開閉手段8を開状態に制御する。したがって、電力変換装置2fを停止させた場合であっても、電力変換装置2fのメンテナンス作業を実施しない場合は、放電用抵抗7による電力消費は起こらない。
【0063】
なお、本実施の形態では、開口部開閉検知手段15として光センサを用いたが、太陽電池を用いて構成することも可能である。
【0064】
また、開口部開閉検知手段15として、開口部14の開状態を検出するマイクロスイッチを用いることも可能である。図8は、実施の形態5にかかる電力変換装置の別の一構成例を示す図である。図8に示すように、電力変換装置2gでは、開口部開閉検知手段15として、開口部14の開状態を検出するマイクロスイッチを用いることにより、図7に示す構成と同様の制御を行うことができる。
【0065】
以上のように、実施の形態5にかかる電力変換装置によれば、電力変換装置のメンテナンス作業を実施する際に開く開口部の開状態を検知し、開口部が開いていない場合には、開閉手段を開状態とするようにしたので、実施の形態3および実施の形態4と同様に、電力変換装置の運転時における電力変換効率低下を確実に防止することができる。
【0066】
また、開口部が開いている場合には、開閉手段を閉状態とするようにしたので、実施の形態3および実施の形態4と同様に、電力変換装置のメンテナンス作業を実施する際に確実にコンデンサに蓄積された電荷を放電させることができ、電力変換装置の停止後におけるメンテナンス性をさらに高めることができる。
【0067】
さらに、電力変換装置を停止させた後に開口部を開けず、メンテナンス作業を実施しない場合は、開閉手段の開状態を維持しておくことにより、コンデンサに蓄積された電荷が放電されにくいため、次回の運転開始時における昇圧時間を短縮することができる。
【0068】
なお、実施の形態5では、実施の形態3の構成に開口部および開口部開閉検知手段を組み合わせる構成について説明したが、実施の形態3および実施の形態4と同様に、これらフィルタ回路およびインバータ運転状態検知手段を、実施の形態2において説明した通知手段を含む構成と組み合わせて実現することも可能である。
【0069】
実施の形態6.
図9は、実施の形態6にかかる電力変換装置の一構成例を示す図である。なお、実施の形態1と同一または同等の構成部には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0070】
図9に示すように、実施の形態6にかかる電力変換装置2hは、実施の形態1において示した構成に加え、監視手段17および放電異常通知手段18を備えている。
【0071】
監視手段17は、コンデンサ6の両端に接続され、コンデンサ6の両端の電圧を監視することにより開閉手段8の故障の有無を検知し、開閉手段8が故障していることを検知した場合に、開閉手段8が故障していることを示す信号を放電異常通知手段18に出力する。
【0072】
放電異常通知手段18は、監視手段17により開閉手段8が故障していることを検知した場合に、開閉手段8が故障していることを通知する。なお、放電異常通知手段18は、開閉手段8が故障していることを通知可能なものであれば何でもよく、例えば、開閉手段8が故障していることを音の発生により通知する音発生器(例えばブザーなど)であってもよいし、あるいは開閉手段8が故障していることを表示する表示器であってもよい。
【0073】
つぎに、実施の形態6にかかる電力変換装置2hの動作について説明する。開閉手段8がオープン故障した場合には、電力変換装置2hのメンテナンス作業を実施するために電力変換装置2hを停止させた後に開閉手段8を閉状態に切り換えても、放電用抵抗7によるコンデンサ6に蓄積された電荷の急速な放電が開始されない。この場合は、監視手段17は、電力変換装置2hを停止させた後に開閉手段8を閉状態に切り換えてから一定時間経過してもコンデンサ6の両端の電圧が一定の電圧値以下とならないことを検知して、開閉手段8がオープン故障したと判断する。
【0074】
一方、開閉手段8がショート故障した場合には、電力変換装置2hを運転するために開閉手段8を開状態に切り換えても、放電用抵抗7により無駄な電力消費が発生することになる。また、コンデンサ6の両端の電圧は、昇降圧コンバータ4の出力インピーダンスおよび放電用抵抗7により分圧された電圧となる。この場合は、監視手段17は、開閉手段8を開状態に切り換えてから電力変換装置2hの運転を開始した後にコンデンサ6の両端の電圧が一定の電圧値以上とならないことを検知して、開閉手段8がショート故障したと判断する。
【0075】
以上のように、実施の形態6にかかる電力変換装置によれば、監視手段により開閉手段が故障していることを検知した場合に、開閉手段が故障していることを通知するようにしたので、速やかに電力変換装置の修理や開閉手段の交換を実施することができる。
【0076】
また、電力変換装置を停止させて開閉手段を閉状態に切り換えた後におけるコンデンサの異常電圧を検知するようにしたので、開閉手段がオープン故障したことを検知することができ、電力変換装置のメンテナンス時においてコンデンサに蓄積された電荷が残った状態で電力変換装置のメンテナンス作業を実施することを回避でき、電力変換装置の停止後におけるメンテナンス性をより高めることができる。
【0077】
さらに、開閉手段を開状態に切り換え電力変換装置の運転を開始した後におけるコンデンサの異常電圧を検知するようにしたので、開閉手段がショート故障したことを検知することができ、電力変換装置の運転時における無駄な電力消費の発生を回避することができる。
【0078】
なお、実施の形態6では、実施の形態1の構成に監視手段および放電異常通知手段を組み合わせる構成について説明したが、これら監視手段および放電異常通知手段を、実施の形態2において説明した通知手段を含む構成、実施の形態3において説明した操作手段および開閉制御手段を含む構成、実施の形態4において説明したフィルタ回路およびインバータ運転状態検知手段を含む構成、および実施の形態5において説明した開口部および開口部開閉検知手段を含む構成と組み合わせて実現することも可能である。
【0079】
また、以上の実施の形態に示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明にかかる電力変換装置は、電力変換装置の運転時における電力変換効率を低下させることなく、電力変換装置の停止後におけるメンテナンス性をより高めることができる発明として有用である。
【符号の説明】
【0081】
1 太陽電池モジュール
2,2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g,2h 電力変換装置
3 系統
4 昇降圧コンバータ回路
5 インバータ回路
6 コンデンサ
7 放電用抵抗(放電手段)
8 スイッチ(開閉手段)
9 音発生器(通知手段)
9a 表示器(通知手段)
10 操作手段
11 開閉制御手段
12 フィルタ回路
12a リアクトル
12b コンデンサ
13 インバータ運転状態検知手段
14 開口部
15 開口部開閉検知手段
17 監視手段
18 放電異常通知手段
81 半導体スイッチ
82 スイッチ
83 抵抗
84 抵抗
85 定電圧ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された直流電力を交流電力に変換して出力するインバータと、
前記インバータの入力側端子間に接続されるコンデンサと、
前記コンデンサと並列接続可能に設けられ、前記コンデンサに蓄積された電荷を放電する放電手段と、
前記放電手段と直列に接続され、前記コンデンサと前記放電手段との電気的接続を開閉する開閉手段と、
前記インバータの状態に基づいて前記開閉手段を制御する開閉制御手段と、
を備える
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記インバータの運転および停止を指示する操作手段をさらに備え、
前記開閉制御手段は、前記操作手段からの運転指示に基づいて前記開閉手段を開状態に制御し、前記操作手段からの停止指示に基づいて前記開閉手段を閉状態に制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記インバータの運転状態を検知するインバータ運転状態検知手段をさらに備え、
前記開閉制御手段は、前記インバータが運転している場合に前記開閉手段を開状態に制御し、前記インバータが停止している場合に前記開閉手段を閉状態に制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記インバータ運転状態検知手段は、前記インバータのゲート信号の有無に基づいて前記インバータの運転状態を検知することを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
リアクトルおよびコンデンサを具備し、前記インバータの出力波形を整形するフィルタ回路をさらに備え、
前記インバータ運転状態検知手段は、前記リアクトルが発生する音波を検出して、前記インバータの運転状態を検知することを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項6】
筐体に設けられたメンテナンス時に開閉可能な開口部と、
前記開口部の開閉状態を検知する開口部開閉検知手段と、
をさらに備え、
前記開閉制御手段は、前記開口部開閉検知手段が前記開口部の閉状態を検知している場合に前記開閉手段を開状態に制御し、前記開口部開閉検知手段が前記開口部の開状態を検知している場合に前記開閉手段を閉状態に制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記開口部開閉検知手段は、前記開口部の開状態を検知するマイクロスイッチであることを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記開口部開閉検知手段は、前記開口部が開状態である場合に筐体外部からの外光を検知する光センサであることを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−147672(P2012−147672A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−108631(P2012−108631)
【出願日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【分割の表示】特願2012−504234(P2012−504234)の分割
【原出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】