電力変換装置
【課題】2枚の板状導電体と絶縁部材との積層構造において、両板状導電体に設けられる端子部を簡単な構成により形成し、両板状導電体間に所望の沿面距離を持たせる。
【解決手段】幅寸法が同じの2枚の板状導電体10,10を相対向させて配設して配線形成部10aから複数の端子部10b,10cを張り出させて設け、板状導電体10に、それより幅の大きい電気絶縁部材11を積層させて、電気絶縁部材11は板状導電体10が積層される本体部11aの両側部に所定幅の沿面距離形成部11bが形成され、この沿面距離形成部11bには、板状導電体10の各端子部10b,10cが張り出している部位に欠落部11cが形成され、電気絶縁部材11の欠落部11cを形成した位置でいずれかの板状導電体10側に向けて折り曲げることにより端子部10b,10cと異なる側の配線形成部10aとの間に所定の沿面距離を持たせている。
【解決手段】幅寸法が同じの2枚の板状導電体10,10を相対向させて配設して配線形成部10aから複数の端子部10b,10cを張り出させて設け、板状導電体10に、それより幅の大きい電気絶縁部材11を積層させて、電気絶縁部材11は板状導電体10が積層される本体部11aの両側部に所定幅の沿面距離形成部11bが形成され、この沿面距離形成部11bには、板状導電体10の各端子部10b,10cが張り出している部位に欠落部11cが形成され、電気絶縁部材11の欠落部11cを形成した位置でいずれかの板状導電体10側に向けて折り曲げることにより端子部10b,10cと異なる側の配線形成部10aとの間に所定の沿面距離を持たせている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や家電等の機器類を含む各種の産業分野において、電動機の可変速駆動や無停電電源装置等として広く使用されている電力変換装置に関するものであり、特に配線の寄生インダクタンスを低減するようにした電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置として、即ちインバータ装置において、スイッチング速度を高速化し、スイッチング時に生じるサージ電圧を抑制するために、給電路を構成する一対の導電板を電流方向が異なるようにして互いに接近させて設ける構成としたものが、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1によると、交流電源からの電力を整流器により整流して給電される導電体にスイッチング素子(スイッチングトランジスタ)に接続する構成としている。また、導電体をコンデンサに接続して、コンデンサと配線インダクタンスとによる平滑回路を構成するが、導電体を広い面積を有する板状のものから構成している。そして、板状導電体を上下2枚設け、その間に電気絶縁部材を介在させるようにして積層した積層構造体からなる接続部材として構成するようになし、両板状導電体間を近接させて配設している。これら各導電体には相互に逆方向の電流を流すと、インバータ回路内で発生する磁束を互いに打ち消すように作用し、もって回路インダクタンスを低下させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−203686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述したように、近接した位置に設けた一対の導電体に逆電流を流すことにより寄生インダクタンスの低減を図ることができるが、このためには2つの導体の表面間の距離、つまり沿面距離を最適な長さとしなければならない。また、接続部材は、例えば、平滑コンデンサとスイッチング素子といった電子部品間に接続されるが、このために、積層構造体における板状導電体に複数の端子部を設けて、各々の端子部をこれら両電子部品の接続部に相互に離間させた状態で接続することになる。
【0005】
この場合、接続部材における最適な沿面距離を持たせる機能を発揮するのは、両板状導電体間に介装される電気絶縁部材である。2つの板状導体を離間させることによって、沿面距離を確保するが、そのために電気絶縁部材を厚肉化するのは合理的ではない。両板状導電体及び絶縁部材に、それぞれ寸法差を持たせるようにすれば、所望の沿面距離を持たせることができる。そうすると、積層体を構成する2枚の板状導電体と絶縁部材との間に非積層部分が生じる可能性があり、この非積層部分が大きくなると、寄生インダクタンスの上昇が懸念され、かつ端子部とその接続の構成が複雑化、大型化するおそれがあり、部品点数も増えて製造コストの低減を図る上で、また省スペースの観点から、さらに高速スイッチングの低損失化を実現するために、解決すべき課題は多々ある。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、2枚の板状導電体と絶縁部材とからなり、給電路を構成する積層構造において、両板状導電体に設けられる端子部を簡単な構成により形成し、かつ両板状導電間に所望の沿面距離を持たせるように構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明は、2枚の板状導電体をシート状の電気絶縁部材を介して積層した積層構造部材からなり、前記両板状導電体に複数の端子部を設けて、これら各端子部を電子部品の接続部に電気的に接続する構成とした電力変換装置であって、前記両板状導電体は、幅寸法を同一として相対向するように配設され、前記絶縁部材上に位置する配線形成部と、これら配線形成部の端部から張り出した複数の端子部とから構成され、前記電気絶縁部材は、前記板状導電体の幅寸法より大きくして、前記2枚の板状導電体間に介装されており、かつ前記電気絶縁部材には、前記板状導電体を積層させた状態にして覆う本体部と、一方の板状導電体の配線形成部と他方の板状導電体の端子部との間に沿面距離を設定する沿面距離形成部が形成され、この沿面距離形成部には、前記板状導電体の前記各端子部が張り出している部位に欠落部が形成され、前記沿面距離形成部は前記欠落部の位置で前記いずれかの板状導電体側に向けて折り曲げる構成としたことをその特徴とするものである。
【0008】
2枚の板状導電体に設けられる端子部の数は、電気絶縁部材の表裏いずれの側に積層されるものも同一の数となる。配線形成部の外形は双方の板状導電体について同じ形状及び寸法となる。2枚の板状導電体の各々の各端子部の位置は並び方向において異なる位置となるように位置をずらせるように配置しておく。これによって、2枚から構成される板状導電体は構成的には同じものとすることができる。しかも、積層構造としたときに、少なくとも2枚の板状導電体はほぼ完全に重畳する位置関係となる。その結果、寄生インピーダンスの抑制効果が得られる。
【0009】
両板状導電体間の沿面距離は、電気絶縁部材と板状導電体との寸法差や位置の違いにより決定され、板状導電体の一方の配線形成部と他方の板状導電体の端子部との間の距離が沿面距離形成部となる。沿面距離形成部は電気絶縁部材の一部を折り曲げることにより形成されるが、この折り曲げた沿面距離形成部は板状導電体に当接させても良く、また部分的に離間させるようにすることもできる。このように、沿面距離形成部を折り曲げることによって、端子部と相手方の接続部材との間の接続を可能にすると共に、電力変換装置全体の小型化・コンパクト化が図られる。
【0010】
板状導電体の端子部は電気絶縁部材に形成した欠落部の位置に配置される。この欠落部は電気絶縁部材を所定の位置で切り欠いて欠落させることができる。また、電気絶縁部材にスリット状の切込を設けて、このようにして切り込んだ部位の幅方向の両側の部位を折り曲げるようにした切込折曲部として形成することもできる。いずれにしろ、電気絶縁部材を部分的に欠落させ、この欠落部に端子部を配置することによって、端子部を電子部品の接続部に直接接触させることができる。そして、この端子部と接続部とを電気的に接続するには、導電部材からなるねじ止めやピン止め、さらには導電性接着剤を用いた接着や溶接その他の手段を用いることができる。
【0011】
板状導電体と電気絶縁部材との積層体において、一対の板状導電体の間に電気絶縁部材は1枚設ければ良いわけであるが、2枚の板状導電体をそれぞれ別個の電気絶縁部材に重ね合わせたものを接合するように構成しても良い。そして、2枚の電気絶縁部材のうち、相互に反対方向に向けて折り返すようになし、それぞれ板状導電体の表面に接着等の手段で固定することができる。
【0012】
いずれにしろ、電力変換装置は、例えばインバータとして構成される。この場合は、コンデンサとトランジスタ素子との間を接続するものとして構成される。従って、各板状導電体には、コンデンサの接続部に接続される端子部と、トランジスタ素子に接続される端子部とを有する構成とする。トランジスタ素子が3個設けられている場合には、トランジスタ素子の接続部に接続される端子部は3箇所設けることになる。
【発明の効果】
【0013】
電力変換装置を構成する平滑コンデンサとスイッチング素子といった電子部品間を接続する積層配線構造体として、配線の寄生インダクタンスを低減する機能を有する接続部材を、簡単な構成により容易に電子部品間の接続部への接続を行うことができ、しかも両板状導電間に所望の沿面距離を持たせることによって、配線の寄生インダクタンスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電力変換装置の一例として、モータ駆動装置の等価回路の回路構成図である。
【図2】図1の等価回路における電力変換装置の一例を示す平面図である。
【図3】図2の側面図である。
【図4】図2の電力変換装置におけるスイッチング素子とコンデンサとの接続部の構成を示す分解平面図である。
【図5】図4の組立状態を示す組立状態の平面図である。
【図6】図5のA−A断面矢視図である。
【図7】図6の変形例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す図6と同様の断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態を示す図4と同様の分解平面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態を示す図5と同様の組立状態の平面図である。
【図11】図10のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1に電力変換装置として、モータ駆動装置の等価回路を示す。また、図2はこの電力変換装置の概略構成を示す平面図であり、図3は図2の正面図である。図中において、1は三相誘導モータ、2はこのモータ1に接続されている三相出力インバータ2である。インバータ2は、3個のスイッチングトランジスタ3a,3b,3cからなるスイッチング素子3と、コンデンサ4とを有するものであり、このコンデンサ4と給電路5における配線インダクタンス6,6とによって、平滑回路を構成している。
【0016】
給電路5は、図3に示したように、上下に一対積層状態にして設けられており、各給電路5は板状導電体10U,10Lと、これら板状導電体10U,10Lの間に介装した電気絶縁部材11U,11Lとからなる積層構造の部材から構成されている。ここで、板状導電体10U,10Lにおける電流の流れ方向は相互に逆方向になる。
【0017】
ここで、板状導電体10U,10Lは、例えば銅製の薄板から構成され、電気絶縁部材11は樹脂製のシート状または板状の部材からなり、ポリエチレン,ポリイミド,フッ素樹脂等から構成される。電気絶縁部材11は1枚で構成とすることもできるが、図3に示した電気絶縁部材11にあっては、板状導電体10U,10Lと同様、2枚の電気絶縁部材11U,11Lから構成されている。なお、以下の説明においては、板状導電体10U,10L及び電気絶縁部材11U,11Lを総称する場合には、板状導電体10,電気絶縁部材11の符号を用いる。
【0018】
給電路5を構成する板状導電体10及び電気絶縁部材11は、図4に示したように、それぞれ同一形状で、同一寸法のものが2枚用いられる。板状導電体10は、配線形成部10aと、この配線形成部10aの一方側の側部から張り出した入力側端子部10b、他方側の側部から張り出した出力側端子部10cとから構成され、入力側端子部10bは1箇所設けられ、出力側端子部10cは3箇所設けられている。一方、電気絶縁部材11は、板状導電体10が重ね合わせられる本体部11aと、この本体部11aの両側に設けた張り出した沿面距離形成部11bと、この沿面距離形成部11bを部分的に欠落させた欠落部11cとから構成されている。従って、本体部11aは板状導電体10の幅寸法と実質的に同一であり、沿面距離形成部11bは本体部11aの左右両側に同じ長さ分だけ張り出すようにして設けられている。そして、欠落部11cは電気絶縁部材11を部分的に切り欠くことにより形成され、端子部10b,10cの幅寸法より僅かに広い切り欠き幅を有し、沿面距離形成部11bの寸法と実質的に同一の位置まで欠落させている。
【0019】
同一の板状導電体10を積層させた時に、上下の板状導電体10U,10Lにおいて、それぞれの端子部が重なり合わないようにする必要がある。このために、板状導電体10の一方側端部から端子部までの位置と他方側端部から端子部までの位置とに少なくとも端子部の幅寸法以上のずれを持たせる。一側には、3箇所の端子部が設けられているが、これら3箇所設けた端子部のピッチ間隔は同じとする。これによって、板状導電体10と電気絶縁部材11とを重ね合わせたときに、この電気絶縁部材11の欠落部11cが板状導電体10の端子部10b,10cと一致する位置に形成されている。なお、板状導電体10と電気絶縁部材11との長さ寸法においては、電気絶縁部材11の方が寸法E分だけ長くなっている。
【0020】
ここで、図4に示したように、電気絶縁部材11は点線で示した折り曲げ線により折り曲げて、板状導電体10の端部側に重ね合わせるようにして組み立てられる。図中の下方の板状導電体10は電気絶縁部材11の下面に重ね合わせられるものであり、また上方の板状導電体10は電気絶縁部材11の上面に重ね合わせられるものである。従って、上方の電気絶縁部材11の折り曲げ線は細い点線で示したように谷折りとし、下方の電気絶縁部材11の折り曲げ線は太い点線で示したように山折りとする。
【0021】
また、図5に示したように、同じピッチ間隔P1で配列した3箇所の端子部10cにおいて、板状導電体10の端部から端子部10cまでの間隔は、一方ではP2、他方ではP3とする。そして、板状導電体10における反対側の端子部10bについては、板状導電体10の端部からの距離は、一方側ではP4となし、他方側ではP5としている。そして、電気絶縁部材11には、その本体部11aの上に板状導電体10の配線形成部10aを当接させて、各端子部10b,10cが欠落部11c内に位置させるようにして接着等の手段で固着することによって、板状導電体10と電気絶縁部材11との組立体が積層状態にして2組構成される。
【0022】
以上のようにして形成したこれら2つの組立体の一方を、その長手方向、つまり上下を反転させた上で、両組立体を背中合わせに接着することによって、図6に示したように、上下一対の給電路5,5が構成される。ここで、給電路5における沿面距離は、同図に点線の矢印で示したように、即ち板状導電体10Uの配線形成部10aと板状導電体10Lの入力側端子10bとの間、板状導電体10Lの配線形成部10aと板状導電体10Uの入力側端子10bとの間、板状導電体10Uの配線形成部10aと板状導電体10Lの出力側端子10cとの間、板状導電体10Lの配線形成部10aと板状導電体10Uの入力側端子10cとの間における距離の最小値である。従って、この沿面距離は、電気絶縁部材11の沿面距離形成部11bの幅寸法に依存する。従って、この沿面距離形成部11bの長さを適宜設定することによって、回路における配線インダクタンス6が最適となるように設定することができる。
【0023】
以上により給電路5が構成されるが、この給電路5の入力側には、間に電気絶縁部材11を介して入力側端子部10b,10bが延在されており、これらの入力側端子部10bはコンデンサ4に一対設けた接続部20a,20aに接続される。この接続のために、図2や図4に示したように、両端子部10bにはそれぞれ貫通孔21,21が形成されており、これら貫通孔21には図6に示したように、導電性ねじ22を螺挿されており、端子部10b,10bが接続部20a,20にaに電気的に接続される。また、給電路5の出力側には上下に3箇所、合計6箇所の端子部10cが設けられており、これらの端子部10cはスイッチング素子3にそれぞれ一対設けた接続部20b,20bに電気的に接続される。この接続態様も、端子部10bと同様、端子部10bに設けた貫通孔21に導電性ねじ25を螺挿することにより行われる。一方、各スイッチング素子3の他端には引き出し用の配線26(図2,図3参照)が接続される。
【0024】
以上のように、同じ積層構造とした板状導電体10と電気絶縁部材11とをそれぞれ2組用いることによって、給電路5が形成され、部品点数を少なくでき、しかも沿面距離形成部11bの長さを調整することによって、容易に沿面距離の調整を図ることができ、給電路5に最適の特性を持たせることができる。しかも、板状導電体10に設けられる複数の端子部は相互に干渉することなく配置できるようになる。
【0025】
従って、電気絶縁部材11における沿面距離形成部11bの長さを適宜設定することにより、非積層部の増大、即ち寄生インダクタンスを増加なしに沿面距離を適正に設定することができる。例えば、図7に示したように、沿面距離形成部11bの長さを短縮すれば、その分だけ沿面距離が短くなる。即ち、電気絶縁部材11の長さ寸法に基づいて、所望の沿面距離を持たせるようにすることができる。
【0026】
ここで、前述した実施の形態では、電気絶縁部材11を構成する沿面距離形成部11bを板状導電体10側に折り返して密着させるようにしているが、沿面距離形成部11bを板状導電体10に全面的に密着させることは必須のものではなく、図8に示したように、電気絶縁部材11の沿面距離形成部11bを概略直角に折り曲げるようにしても、前述した第1の実施の形態と同様の沿面距離を形成することができる。
【0027】
さらに、図9乃至図11は本発明の第3の実施の形態を示すものである。この実施の形態では、図9に示したように、2枚の板状導電体100と2枚の電気絶縁部材110とを積層させることによって給電路120が構成される。板状導電体100の両側部のうち、一方側では1箇所、他方側では3箇所の打ち抜き部100aが形成されており、また電気絶縁部材110側の左右両側部にあっては、一方側に1箇所、反対側では3箇所のT字状切込111が形成されている。そして、板状導電体100は、電気絶縁部材110より寸法E分だけ大きくなっており、これら板状導電体100と電気絶縁部材110とを積層させて、給電路120を形成したときに、板状導電体110の端部が露出することがないようにしている。
【0028】
そして、図10に示したように、2枚の板状導電体100と電気絶縁部材110とを交互に積層して給電路120を構成したときには、配線形成部100aとして機能する部位と、1箇所の入力側端子部100bとして機能する部位と、3箇所の出力側端子部100cとして機能する部位とが形成される。
【0029】
一方、電気絶縁部材110において、各端子部100b,100cをスイッチング素子3やコンデンサ4といった電子部品に接続し、端子部100b,100c以外がこれら電子部品と接続することがないようにするために、給電路120における端子部100b,100c以外を電気的にシールするために、シール領域111が形成されている。シール領域111は電気絶縁部材110に形成したT字状切込112を側方に向けて折り返した切込折曲部を形成することにより形成される。従って、図10において、細い点線で示した谷折り線及び太い点線で示した山折り線に沿って折り曲げるようにする。
【0030】
このように構成することによって、給電路120をスイッチング素子3及びコンデンサ4からなる電子部品に電気的に接続するに当っては、図11に示したように、導電ねじ130a,130bを用いて行われる。導電ねじ130a,130bは板状導電体100及び電気絶縁部材112に穿設した貫通孔140,141に挿通されて、電子部品側の接続部と接続されることになる。従って、この給電路120における沿面距離は、同図に一点鎖線矢印で示したように、板状導電体100と導電ねじ130a,130bとの間、即ち2枚の板状導電体100の上面同士の間、或いは下面同士の間のいずれかとなり、いずれの場合もシール領域111により電気的にシールされることになる。
【符号の説明】
【0031】
1 三相誘導モータ 2 三相出力インバータ
3 スイッチング素子 4 コンデンサ
5,120 給電路 6 配線インダクタンス
10,100 板状導電体 10a 配線形成部
10b,110b 入力側端子部 10c,110c 出力側端子部
11,110 電気絶縁部材 11a 本体部
11b 沿面距離形成部 11c 欠落部
20a,20b 接続部 21,24 貫通孔
22,130a,130b 導電ねじ 111 シール領域
112 T字状切込
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や家電等の機器類を含む各種の産業分野において、電動機の可変速駆動や無停電電源装置等として広く使用されている電力変換装置に関するものであり、特に配線の寄生インダクタンスを低減するようにした電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置として、即ちインバータ装置において、スイッチング速度を高速化し、スイッチング時に生じるサージ電圧を抑制するために、給電路を構成する一対の導電板を電流方向が異なるようにして互いに接近させて設ける構成としたものが、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1によると、交流電源からの電力を整流器により整流して給電される導電体にスイッチング素子(スイッチングトランジスタ)に接続する構成としている。また、導電体をコンデンサに接続して、コンデンサと配線インダクタンスとによる平滑回路を構成するが、導電体を広い面積を有する板状のものから構成している。そして、板状導電体を上下2枚設け、その間に電気絶縁部材を介在させるようにして積層した積層構造体からなる接続部材として構成するようになし、両板状導電体間を近接させて配設している。これら各導電体には相互に逆方向の電流を流すと、インバータ回路内で発生する磁束を互いに打ち消すように作用し、もって回路インダクタンスを低下させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−203686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述したように、近接した位置に設けた一対の導電体に逆電流を流すことにより寄生インダクタンスの低減を図ることができるが、このためには2つの導体の表面間の距離、つまり沿面距離を最適な長さとしなければならない。また、接続部材は、例えば、平滑コンデンサとスイッチング素子といった電子部品間に接続されるが、このために、積層構造体における板状導電体に複数の端子部を設けて、各々の端子部をこれら両電子部品の接続部に相互に離間させた状態で接続することになる。
【0005】
この場合、接続部材における最適な沿面距離を持たせる機能を発揮するのは、両板状導電体間に介装される電気絶縁部材である。2つの板状導体を離間させることによって、沿面距離を確保するが、そのために電気絶縁部材を厚肉化するのは合理的ではない。両板状導電体及び絶縁部材に、それぞれ寸法差を持たせるようにすれば、所望の沿面距離を持たせることができる。そうすると、積層体を構成する2枚の板状導電体と絶縁部材との間に非積層部分が生じる可能性があり、この非積層部分が大きくなると、寄生インダクタンスの上昇が懸念され、かつ端子部とその接続の構成が複雑化、大型化するおそれがあり、部品点数も増えて製造コストの低減を図る上で、また省スペースの観点から、さらに高速スイッチングの低損失化を実現するために、解決すべき課題は多々ある。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、2枚の板状導電体と絶縁部材とからなり、給電路を構成する積層構造において、両板状導電体に設けられる端子部を簡単な構成により形成し、かつ両板状導電間に所望の沿面距離を持たせるように構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明は、2枚の板状導電体をシート状の電気絶縁部材を介して積層した積層構造部材からなり、前記両板状導電体に複数の端子部を設けて、これら各端子部を電子部品の接続部に電気的に接続する構成とした電力変換装置であって、前記両板状導電体は、幅寸法を同一として相対向するように配設され、前記絶縁部材上に位置する配線形成部と、これら配線形成部の端部から張り出した複数の端子部とから構成され、前記電気絶縁部材は、前記板状導電体の幅寸法より大きくして、前記2枚の板状導電体間に介装されており、かつ前記電気絶縁部材には、前記板状導電体を積層させた状態にして覆う本体部と、一方の板状導電体の配線形成部と他方の板状導電体の端子部との間に沿面距離を設定する沿面距離形成部が形成され、この沿面距離形成部には、前記板状導電体の前記各端子部が張り出している部位に欠落部が形成され、前記沿面距離形成部は前記欠落部の位置で前記いずれかの板状導電体側に向けて折り曲げる構成としたことをその特徴とするものである。
【0008】
2枚の板状導電体に設けられる端子部の数は、電気絶縁部材の表裏いずれの側に積層されるものも同一の数となる。配線形成部の外形は双方の板状導電体について同じ形状及び寸法となる。2枚の板状導電体の各々の各端子部の位置は並び方向において異なる位置となるように位置をずらせるように配置しておく。これによって、2枚から構成される板状導電体は構成的には同じものとすることができる。しかも、積層構造としたときに、少なくとも2枚の板状導電体はほぼ完全に重畳する位置関係となる。その結果、寄生インピーダンスの抑制効果が得られる。
【0009】
両板状導電体間の沿面距離は、電気絶縁部材と板状導電体との寸法差や位置の違いにより決定され、板状導電体の一方の配線形成部と他方の板状導電体の端子部との間の距離が沿面距離形成部となる。沿面距離形成部は電気絶縁部材の一部を折り曲げることにより形成されるが、この折り曲げた沿面距離形成部は板状導電体に当接させても良く、また部分的に離間させるようにすることもできる。このように、沿面距離形成部を折り曲げることによって、端子部と相手方の接続部材との間の接続を可能にすると共に、電力変換装置全体の小型化・コンパクト化が図られる。
【0010】
板状導電体の端子部は電気絶縁部材に形成した欠落部の位置に配置される。この欠落部は電気絶縁部材を所定の位置で切り欠いて欠落させることができる。また、電気絶縁部材にスリット状の切込を設けて、このようにして切り込んだ部位の幅方向の両側の部位を折り曲げるようにした切込折曲部として形成することもできる。いずれにしろ、電気絶縁部材を部分的に欠落させ、この欠落部に端子部を配置することによって、端子部を電子部品の接続部に直接接触させることができる。そして、この端子部と接続部とを電気的に接続するには、導電部材からなるねじ止めやピン止め、さらには導電性接着剤を用いた接着や溶接その他の手段を用いることができる。
【0011】
板状導電体と電気絶縁部材との積層体において、一対の板状導電体の間に電気絶縁部材は1枚設ければ良いわけであるが、2枚の板状導電体をそれぞれ別個の電気絶縁部材に重ね合わせたものを接合するように構成しても良い。そして、2枚の電気絶縁部材のうち、相互に反対方向に向けて折り返すようになし、それぞれ板状導電体の表面に接着等の手段で固定することができる。
【0012】
いずれにしろ、電力変換装置は、例えばインバータとして構成される。この場合は、コンデンサとトランジスタ素子との間を接続するものとして構成される。従って、各板状導電体には、コンデンサの接続部に接続される端子部と、トランジスタ素子に接続される端子部とを有する構成とする。トランジスタ素子が3個設けられている場合には、トランジスタ素子の接続部に接続される端子部は3箇所設けることになる。
【発明の効果】
【0013】
電力変換装置を構成する平滑コンデンサとスイッチング素子といった電子部品間を接続する積層配線構造体として、配線の寄生インダクタンスを低減する機能を有する接続部材を、簡単な構成により容易に電子部品間の接続部への接続を行うことができ、しかも両板状導電間に所望の沿面距離を持たせることによって、配線の寄生インダクタンスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電力変換装置の一例として、モータ駆動装置の等価回路の回路構成図である。
【図2】図1の等価回路における電力変換装置の一例を示す平面図である。
【図3】図2の側面図である。
【図4】図2の電力変換装置におけるスイッチング素子とコンデンサとの接続部の構成を示す分解平面図である。
【図5】図4の組立状態を示す組立状態の平面図である。
【図6】図5のA−A断面矢視図である。
【図7】図6の変形例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す図6と同様の断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態を示す図4と同様の分解平面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態を示す図5と同様の組立状態の平面図である。
【図11】図10のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1に電力変換装置として、モータ駆動装置の等価回路を示す。また、図2はこの電力変換装置の概略構成を示す平面図であり、図3は図2の正面図である。図中において、1は三相誘導モータ、2はこのモータ1に接続されている三相出力インバータ2である。インバータ2は、3個のスイッチングトランジスタ3a,3b,3cからなるスイッチング素子3と、コンデンサ4とを有するものであり、このコンデンサ4と給電路5における配線インダクタンス6,6とによって、平滑回路を構成している。
【0016】
給電路5は、図3に示したように、上下に一対積層状態にして設けられており、各給電路5は板状導電体10U,10Lと、これら板状導電体10U,10Lの間に介装した電気絶縁部材11U,11Lとからなる積層構造の部材から構成されている。ここで、板状導電体10U,10Lにおける電流の流れ方向は相互に逆方向になる。
【0017】
ここで、板状導電体10U,10Lは、例えば銅製の薄板から構成され、電気絶縁部材11は樹脂製のシート状または板状の部材からなり、ポリエチレン,ポリイミド,フッ素樹脂等から構成される。電気絶縁部材11は1枚で構成とすることもできるが、図3に示した電気絶縁部材11にあっては、板状導電体10U,10Lと同様、2枚の電気絶縁部材11U,11Lから構成されている。なお、以下の説明においては、板状導電体10U,10L及び電気絶縁部材11U,11Lを総称する場合には、板状導電体10,電気絶縁部材11の符号を用いる。
【0018】
給電路5を構成する板状導電体10及び電気絶縁部材11は、図4に示したように、それぞれ同一形状で、同一寸法のものが2枚用いられる。板状導電体10は、配線形成部10aと、この配線形成部10aの一方側の側部から張り出した入力側端子部10b、他方側の側部から張り出した出力側端子部10cとから構成され、入力側端子部10bは1箇所設けられ、出力側端子部10cは3箇所設けられている。一方、電気絶縁部材11は、板状導電体10が重ね合わせられる本体部11aと、この本体部11aの両側に設けた張り出した沿面距離形成部11bと、この沿面距離形成部11bを部分的に欠落させた欠落部11cとから構成されている。従って、本体部11aは板状導電体10の幅寸法と実質的に同一であり、沿面距離形成部11bは本体部11aの左右両側に同じ長さ分だけ張り出すようにして設けられている。そして、欠落部11cは電気絶縁部材11を部分的に切り欠くことにより形成され、端子部10b,10cの幅寸法より僅かに広い切り欠き幅を有し、沿面距離形成部11bの寸法と実質的に同一の位置まで欠落させている。
【0019】
同一の板状導電体10を積層させた時に、上下の板状導電体10U,10Lにおいて、それぞれの端子部が重なり合わないようにする必要がある。このために、板状導電体10の一方側端部から端子部までの位置と他方側端部から端子部までの位置とに少なくとも端子部の幅寸法以上のずれを持たせる。一側には、3箇所の端子部が設けられているが、これら3箇所設けた端子部のピッチ間隔は同じとする。これによって、板状導電体10と電気絶縁部材11とを重ね合わせたときに、この電気絶縁部材11の欠落部11cが板状導電体10の端子部10b,10cと一致する位置に形成されている。なお、板状導電体10と電気絶縁部材11との長さ寸法においては、電気絶縁部材11の方が寸法E分だけ長くなっている。
【0020】
ここで、図4に示したように、電気絶縁部材11は点線で示した折り曲げ線により折り曲げて、板状導電体10の端部側に重ね合わせるようにして組み立てられる。図中の下方の板状導電体10は電気絶縁部材11の下面に重ね合わせられるものであり、また上方の板状導電体10は電気絶縁部材11の上面に重ね合わせられるものである。従って、上方の電気絶縁部材11の折り曲げ線は細い点線で示したように谷折りとし、下方の電気絶縁部材11の折り曲げ線は太い点線で示したように山折りとする。
【0021】
また、図5に示したように、同じピッチ間隔P1で配列した3箇所の端子部10cにおいて、板状導電体10の端部から端子部10cまでの間隔は、一方ではP2、他方ではP3とする。そして、板状導電体10における反対側の端子部10bについては、板状導電体10の端部からの距離は、一方側ではP4となし、他方側ではP5としている。そして、電気絶縁部材11には、その本体部11aの上に板状導電体10の配線形成部10aを当接させて、各端子部10b,10cが欠落部11c内に位置させるようにして接着等の手段で固着することによって、板状導電体10と電気絶縁部材11との組立体が積層状態にして2組構成される。
【0022】
以上のようにして形成したこれら2つの組立体の一方を、その長手方向、つまり上下を反転させた上で、両組立体を背中合わせに接着することによって、図6に示したように、上下一対の給電路5,5が構成される。ここで、給電路5における沿面距離は、同図に点線の矢印で示したように、即ち板状導電体10Uの配線形成部10aと板状導電体10Lの入力側端子10bとの間、板状導電体10Lの配線形成部10aと板状導電体10Uの入力側端子10bとの間、板状導電体10Uの配線形成部10aと板状導電体10Lの出力側端子10cとの間、板状導電体10Lの配線形成部10aと板状導電体10Uの入力側端子10cとの間における距離の最小値である。従って、この沿面距離は、電気絶縁部材11の沿面距離形成部11bの幅寸法に依存する。従って、この沿面距離形成部11bの長さを適宜設定することによって、回路における配線インダクタンス6が最適となるように設定することができる。
【0023】
以上により給電路5が構成されるが、この給電路5の入力側には、間に電気絶縁部材11を介して入力側端子部10b,10bが延在されており、これらの入力側端子部10bはコンデンサ4に一対設けた接続部20a,20aに接続される。この接続のために、図2や図4に示したように、両端子部10bにはそれぞれ貫通孔21,21が形成されており、これら貫通孔21には図6に示したように、導電性ねじ22を螺挿されており、端子部10b,10bが接続部20a,20にaに電気的に接続される。また、給電路5の出力側には上下に3箇所、合計6箇所の端子部10cが設けられており、これらの端子部10cはスイッチング素子3にそれぞれ一対設けた接続部20b,20bに電気的に接続される。この接続態様も、端子部10bと同様、端子部10bに設けた貫通孔21に導電性ねじ25を螺挿することにより行われる。一方、各スイッチング素子3の他端には引き出し用の配線26(図2,図3参照)が接続される。
【0024】
以上のように、同じ積層構造とした板状導電体10と電気絶縁部材11とをそれぞれ2組用いることによって、給電路5が形成され、部品点数を少なくでき、しかも沿面距離形成部11bの長さを調整することによって、容易に沿面距離の調整を図ることができ、給電路5に最適の特性を持たせることができる。しかも、板状導電体10に設けられる複数の端子部は相互に干渉することなく配置できるようになる。
【0025】
従って、電気絶縁部材11における沿面距離形成部11bの長さを適宜設定することにより、非積層部の増大、即ち寄生インダクタンスを増加なしに沿面距離を適正に設定することができる。例えば、図7に示したように、沿面距離形成部11bの長さを短縮すれば、その分だけ沿面距離が短くなる。即ち、電気絶縁部材11の長さ寸法に基づいて、所望の沿面距離を持たせるようにすることができる。
【0026】
ここで、前述した実施の形態では、電気絶縁部材11を構成する沿面距離形成部11bを板状導電体10側に折り返して密着させるようにしているが、沿面距離形成部11bを板状導電体10に全面的に密着させることは必須のものではなく、図8に示したように、電気絶縁部材11の沿面距離形成部11bを概略直角に折り曲げるようにしても、前述した第1の実施の形態と同様の沿面距離を形成することができる。
【0027】
さらに、図9乃至図11は本発明の第3の実施の形態を示すものである。この実施の形態では、図9に示したように、2枚の板状導電体100と2枚の電気絶縁部材110とを積層させることによって給電路120が構成される。板状導電体100の両側部のうち、一方側では1箇所、他方側では3箇所の打ち抜き部100aが形成されており、また電気絶縁部材110側の左右両側部にあっては、一方側に1箇所、反対側では3箇所のT字状切込111が形成されている。そして、板状導電体100は、電気絶縁部材110より寸法E分だけ大きくなっており、これら板状導電体100と電気絶縁部材110とを積層させて、給電路120を形成したときに、板状導電体110の端部が露出することがないようにしている。
【0028】
そして、図10に示したように、2枚の板状導電体100と電気絶縁部材110とを交互に積層して給電路120を構成したときには、配線形成部100aとして機能する部位と、1箇所の入力側端子部100bとして機能する部位と、3箇所の出力側端子部100cとして機能する部位とが形成される。
【0029】
一方、電気絶縁部材110において、各端子部100b,100cをスイッチング素子3やコンデンサ4といった電子部品に接続し、端子部100b,100c以外がこれら電子部品と接続することがないようにするために、給電路120における端子部100b,100c以外を電気的にシールするために、シール領域111が形成されている。シール領域111は電気絶縁部材110に形成したT字状切込112を側方に向けて折り返した切込折曲部を形成することにより形成される。従って、図10において、細い点線で示した谷折り線及び太い点線で示した山折り線に沿って折り曲げるようにする。
【0030】
このように構成することによって、給電路120をスイッチング素子3及びコンデンサ4からなる電子部品に電気的に接続するに当っては、図11に示したように、導電ねじ130a,130bを用いて行われる。導電ねじ130a,130bは板状導電体100及び電気絶縁部材112に穿設した貫通孔140,141に挿通されて、電子部品側の接続部と接続されることになる。従って、この給電路120における沿面距離は、同図に一点鎖線矢印で示したように、板状導電体100と導電ねじ130a,130bとの間、即ち2枚の板状導電体100の上面同士の間、或いは下面同士の間のいずれかとなり、いずれの場合もシール領域111により電気的にシールされることになる。
【符号の説明】
【0031】
1 三相誘導モータ 2 三相出力インバータ
3 スイッチング素子 4 コンデンサ
5,120 給電路 6 配線インダクタンス
10,100 板状導電体 10a 配線形成部
10b,110b 入力側端子部 10c,110c 出力側端子部
11,110 電気絶縁部材 11a 本体部
11b 沿面距離形成部 11c 欠落部
20a,20b 接続部 21,24 貫通孔
22,130a,130b 導電ねじ 111 シール領域
112 T字状切込
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の板状導電体をシート状の電気絶縁部材を介して積層した積層構造部材からなり、前記両板状導電体に複数の端子部を設けて、これら各端子部を電子部品の接続部に電気的に接続する構成とした電力変換装置において、
前記両板状導電体は、幅寸法を略同一として相対向するように配設され、前記絶縁部材上に位置する配線形成部と、これら配線形成部の端部から張り出した複数の端子部とから構成され、
前記電気絶縁部材は、前記板状導電体の幅寸法より大きくして、前記2枚の板状導電体間に介装されており、かつ前記電気絶縁部材には、前記板状導電体を積層させた状態にして覆う本体部と、一方の板状導電体の配線形成部と他方の板状導電体の端子部との間に沿面距離を設定する沿面距離形成部が形成され、この沿面距離形成部には、前記板状導電体の前記各端子部が張り出している部位に欠落部が形成され、
前記沿面距離形成部は前記欠落部の位置で前記いずれかの板状導電体側に向けて折り曲げる
構成としたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記欠落部は、切り欠きにより形成するか、またはスリット状の切込部を形成して、この切込部の両側を折り曲げた切込折曲部とで形成したことを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記電気絶縁部材は2層構造となし、各々の電気絶縁部材のそれぞれの沿面距離形成部は相互に反対方向に向けて折り返す構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記各端子部が接続される電子部品の一方はコンデンサであり、他方はトランジスタ素子であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項1】
2枚の板状導電体をシート状の電気絶縁部材を介して積層した積層構造部材からなり、前記両板状導電体に複数の端子部を設けて、これら各端子部を電子部品の接続部に電気的に接続する構成とした電力変換装置において、
前記両板状導電体は、幅寸法を略同一として相対向するように配設され、前記絶縁部材上に位置する配線形成部と、これら配線形成部の端部から張り出した複数の端子部とから構成され、
前記電気絶縁部材は、前記板状導電体の幅寸法より大きくして、前記2枚の板状導電体間に介装されており、かつ前記電気絶縁部材には、前記板状導電体を積層させた状態にして覆う本体部と、一方の板状導電体の配線形成部と他方の板状導電体の端子部との間に沿面距離を設定する沿面距離形成部が形成され、この沿面距離形成部には、前記板状導電体の前記各端子部が張り出している部位に欠落部が形成され、
前記沿面距離形成部は前記欠落部の位置で前記いずれかの板状導電体側に向けて折り曲げる
構成としたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記欠落部は、切り欠きにより形成するか、またはスリット状の切込部を形成して、この切込部の両側を折り曲げた切込折曲部とで形成したことを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記電気絶縁部材は2層構造となし、各々の電気絶縁部材のそれぞれの沿面距離形成部は相互に反対方向に向けて折り返す構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記各端子部が接続される電子部品の一方はコンデンサであり、他方はトランジスタ素子であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電力変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−90529(P2013−90529A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231577(P2011−231577)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
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