説明

電動耕耘機

【課題】
操作性の良い電動耕耘機にすることを課題とする。
【解決手段】
耕耘爪(1)を駆動する駆動モータ(5)と、該駆動モータ(5)の電源であるバッテリー(7)と、作業者が把持する左右操作ハンドル(H)と、主電源の入切を行なうメインスイッチ(32)とを設け、前記左右操作ハンドル(H)の一方の第一ハンドル(21)の後端部に設ける第一グリップ(23)には駆動モータ(5)の駆動の入切を行なう作業スイッチ(26)と該作業スイッチ(26)を操作する操作レバー(27)とを設け、駆動モータ(5)は作業者が操作レバー(27)と第一グリップ(23)を把持すると駆動する構成とし、前記左右操作ハンドル(H)の他方の第二ハンドル(22)の後端部に設ける第二グリップ(24)近傍には駆動モータ(5)の回転数を調節する回転数調節スイッチ(30)と、駆動モータ(5)の正逆転を切り替える正逆転スイッチ(31)とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動耕耘機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一方の操作ハンドルのグリップにはメインスイッチを設け、他方の操作ハンドルのグリップには駆動モータの回転の入り切り及び回転数を可変させる構成の電動耕耘機について記載されている。
【特許文献1】特開2006−60943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1においては、駆動モータの回転数の調節及び回転の入り切りをレバーを握る量で調節するため、耕耘作業中に握る量を調節するのは困難で、誤操作がし易いという欠点がある。また、メインスイッチをレバーに設けるため、誤操作につながる。
【0004】
本発明は、操作性の良い電動耕耘機にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、圃場を耕耘する耕耘爪(1)と、耕耘爪(1)を駆動する駆動モータ(5)と、該駆動モータ(5)の電源であるバッテリー(7)と、作業者が把持する左右操作ハンドル(H)と、主電源の入切を行なうメインスイッチ(32)とを設け、前記左右操作ハンドル(H)の一方の第一ハンドル(21)の後端部に設ける第一グリップ(23)には駆動モータ(5)の駆動の入切を行なう作業スイッチ(26)と該作業スイッチ(26)を操作する操作レバー(27)とを設け、駆動モータ(5)は作業者が操作レバー(27)と第一グリップ(23)を把持すると駆動する構成とし、前記左右操作ハンドル(H)の他方の第二ハンドル(22)の後端部に設ける第二グリップ(24)近傍には駆動モータ(5)の回転数を調節する回転数調節スイッチ(30)と、駆動モータ(5)の正逆転を切り替える正逆転スイッチ(31)とを設けたことを特徴とする電動耕耘機とする。
【0006】
この発明によると、メインスイッチ(32)を入りにして作業者が片方の手で第一グリップ(23)及び操作レバー(27)を把持すると耕耘爪(1)は回転し圃場が耕される。そして、作業者が他方の手で第二グリップ(24)を把持しながら必要に応じて回転数調節スイッチ(30)や正逆転スイッチを操作する。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、第一ハンドル(21)と第二ハンドル(22)それぞれの後端部を連結フレーム(25)で連結し、該連結フレーム(25)には操作盤(29)を設け、回転数調節スイッチ(30)と正逆転スイッチ(31)とを機体左右中心位置(M)より第二グリップ(24)側の操作盤(29)に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の電動耕耘機とする。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、操作盤(29)には第二グリップ(24)に近い側から順に回転数調節スイッチ(30)、正逆転スイッチ(31)、メインスイッチ(32)を配列したことを特徴とする請求項2記載の電動耕耘機とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によると、作業者は操作レバー(27)を離すと自動に耕耘爪(1)が停止するため簡単な構成で安全な耕耘機にすることができる。また、第二グリップを把持しているほうの手で、第二グリップ(24)の近傍にある回転数調節スイッチ(30)や正逆転スイッチ(31)を調節操作できるので、耕耘中に調節操作がし易い。
【0010】
また、請求項2記載の発明によると、連結フレーム25を左右操作レバーHの後端部に設けたことで左右操作レバーHの強度が高くなると共に、操作盤29を作業者の至近距離に設けることができるため操作性が向上する。
【0011】
請求項3記載の発明によると、耕耘作業中に調節頻度の高い回転数調節スイッチ(30)を第二グリップ(24)に近い場所に設けることで円滑な耕耘作業を行なうことができる。また、メインスイッチ(32)を第二グリップ(24)から離れた場所に設けることで、耕耘作業中に誤操作で切にすることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本実施の形態の電動耕耘機について以下説明する。
機体前方には回転軌跡Fで回転し圃場を耕耘する耕耘爪1を機体左右方向に横軸芯に設ける耕耘軸2に設定間隔で複数本設け、耕耘軸2の左右中央にはミッションケース3を設けており、ミッションケース3内部には縦軸心の伝動軸4を設け、伝動軸4はその一端を駆動モータ5の駆動軸5a及び耕耘軸2と連結し、駆動モータ5の動力を耕耘軸2に伝動する構成としている。
【0013】
駆動モータ5は耕耘爪2の上方を覆うカバー6に載置する構成とし、駆動モーター5の機体後側に隣接してバッテリー7を載置し、バッテリー7の上部にはコントローラ8を設けている。
【0014】
ミッションケース3の後方から機体左右中央位置Mを機体後ろ上がりに形成する主フレーム10を設け、主フレーム10の後端部から更に機体後ろ側に向かって左右二又状の左右操作ハンドルHを形成している。
【0015】
また、主フレーム10の途中部には機体前側に向かって持ち運び用フレーム11を延設し、持ち運び用フレーム11の前端部には持ち運び用グリップ12が設けられており、持ち運び用グリップ12は駆動モータ5及びコントローラ8の上方に位置することで、作業者が持ち運び用グリップ12を把持して機体を持ち上げたときに重量バランスが良く持ち運びしやすくなっている。
【0016】
主フレーム10の始端側から機体後方に向かって補助フレーム13を設け、補助フレーム13には機体を支持する左右一対の支持輪14と、スタンド15とを取り付けている。
駆動モータ5は側面視で耕耘軸2よりも前側に設け、バッテリー7及びコントローラ8を耕耘軸2よりも後側に設けることで、耕耘作業時の機体前後バランスが良く、とりわけ駆動反力による機体の持ち上がりを防止することができる構成である。
【0017】
また、バッテリー7を下にコントローラ8を上に配置することで重量物のバッテリ7ーにより機体全体が低重心となり、機体の取り扱いが良好になる。なお、別実施例として、バッテリー7を上にコントローラ8を下に設ければ、着脱の機会が多いバッテリー7を着脱しやすくなりメンテナンス性が向上するという利点もある。
【0018】
次に、操作ハンドルH及び操作ハンドルHの周辺部の構成について説明する。
操作ハンドルHは根本部20から左右方向に分岐する第一ハンドル21と第二ハンドル22とを設け、根本部20の側面に設けるノブボルトNを緩めると根本部20が横軸心に回動して左右操作ハンドルHの上下方向の位置を調節できる構成としている。
【0019】
第一ハンドル21及び第二ハンドル22の後端部からそれぞれ更に機体後方に向かって第一グリップ23及び第二グリップ24を設けると共に、第一ハンドル21及び第二ハンドル22の後端部を機体左右方向に延びる連結フレーム25で連結する構成としている。
【0020】
第一グリップ23には駆動モータ5の駆動を入り切りするリミットスイッチ式の作業スイッチ26と、作業スイッチ26の入り切りを操作する操作レバー27を設けている。そして、作業者が第一グリップ23と操作レバー27とを把持すると作業スイッチ26が入りになり、駆動モータ5が駆動して耕耘爪1が回転する。そして、作業者が操作レバー27を離すと作業スイッチ26が切りとなり、駆動モータ5が停止して耕耘爪1の回転が停止する。
【0021】
連結フレーム25の機体左右中央位置Mより第二グリップ24側に操作盤29を取り付け、操作盤29は第二グリップ24側に近い側から機体左右中央側に向かって駆動モータ5の回転数を調節するボリューム式の駆動モータ回転数調節スイッチ30、駆動モータ5の正逆転を切り替える正逆転スイッチ31、電源の入り切りを行なうメインスイッチ32、バッテリー7の残量を表示するインジケータ33を設けている。また、駆動モータ回転数調節スイッチ30の部分の操作盤29を屈曲して傾斜面29aを設け、駆動モータ回転数調節スイッチ30を第二グリップ24側に傾斜させて設けている。
【0022】
なお、作業スイッチ26及び駆動モータ回転数調節スイッチ30、正逆転スイッチ31、メインスイッチ32、とコントローラ8とを接続するハーネス類は操作ハンドルHに沿って設けるものであるが、図示は省略する。
【0023】
以下、本実施の形態の電動耕耘機の作用効果について記載する。
作業者はメインスイッチ32を入りにし、次いで操作レバー27を第一グリップ23と共に把持すると作業スイッチ26がON状態となり駆動モータ5が駆動を開始し、耕耘爪1が回転軌跡Fを描いて回転し、圃場が耕される。そして、操作レバー27を離すと作業スイッチがOFFとなり、駆動モータ5が停止し、耕耘爪1も停止する。
【0024】
耕耘作業中に耕耘爪1の回転数を調節するときには、片方の手で第一グリップ23と操作レバー27を把持した状態で他方の手で第二グリップ24を支持しながら指(例えば人差し指)でダイヤル式の回転数調節スイッチ30を回して所望の回転数になるよう調節する。すなわち、作業をしながら調節する必要のある耕耘爪1の回転調節については、第二グリップ24を支持しながら指(例えば人差し指)で調節しやすくすることで作業性を向上させている。
【0025】
正逆回転を変更するときには操作レバー27を一旦離して耕耘爪1の回転を停止し、正逆転スイッチ31を切り替えてから耕耘爪の回転を再開する。すなわち、正逆転スイッチ31の位置を機体左右中央位置よりは第二グリップ24側に設けることで、正逆転スイッチ31の操作をし易くできるものでありながら、第二グリップ24を片手で支持しながら指で操作し難い位置に設けることで、耕耘爪1が駆動中にいきなり正逆転切り替える操作を指で行なうことを防止するものである。
【0026】
メインスイッチ32は第二グリップ24から離れた位置に設けることで、耕耘作業中に誤操作でメインスイッチ32を切にすることを防止している。なお、メインスイッチ32は操作盤29でなく根本部20のb位置に設けても良い。
【0027】
さらにインジケータ33を機体左右中央位置Mに近い側の操作盤29面に設けたことで作業者がインジケータを視認し易く、バッテリー7の残量を把握しやすくすることができる。
【0028】
また、連結フレーム25を左右操作レバーHの後端部に設けたことで左右操作レバーHの強度が高くなると共に、操作盤29を作業者の至近距離に設けることができるため操作性が向上する。
【0029】
図5は本実施の形態の電動耕耘機をエンジン式に置換えたときの構成を示しており、伝動軸4にクラッチドラム40を取り付け遠心クラッチ式のエンジン41を取り付けたものである。この構成により駆動モータ5とエンジン41を置換させることができ、機体を共用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】平面図
【図2】側面図
【図3】発明の要部を示す平面図
【図4】ブロック図
【図5】別実施の形態を示す側面図
【符号の説明】
【0031】
1 耕耘爪
5 駆動モータ
7 バッテリー
21 第一ハンドル
22 第二ハンドル
23 第一グリップ
24 第二グリップ
25 連結フレーム
26 作業スイッチ
27 操作レバー
29 操作盤
30 回転数調節スイッチ
31 正逆転スイッチ
32 メインスイッチ
H 左右操作ハンドル
M 機体左右中心位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を耕耘する耕耘爪(1)と、耕耘爪(1)を駆動する駆動モータ(5)と、該駆動モータ(5)の電源であるバッテリー(7)と、作業者が把持する左右操作ハンドル(H)と、主電源の入切を行なうメインスイッチ(32)とを設け、前記左右操作ハンドル(H)の一方の第一ハンドル(21)の後端部に設ける第一グリップ(23)には駆動モータ(5)の駆動の入切を行なう作業スイッチ(26)と該作業スイッチ(26)を操作する操作レバー(27)とを設け、駆動モータ(5)は作業者が操作レバー(27)と第一グリップ(23)を把持すると駆動する構成とし、前記左右操作ハンドル(H)の他方の第二ハンドル(22)の後端部に設ける第二グリップ(24)近傍には駆動モータ(5)の回転数を調節する回転数調節スイッチ(30)と、駆動モータ(5)の正逆転を切り替える正逆転スイッチ(31)とを設けたことを特徴とする電動耕耘機。
【請求項2】
第一ハンドル(21)と第二ハンドル(22)それぞれの後端部を連結フレーム(25)で連結し、該連結フレーム(25)には操作盤(29)を設け、回転数調節スイッチ(30)と正逆転スイッチ(31)とを機体左右中心位置(M)より第二グリップ(24)側の操作盤(29)に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の電動耕耘機。
【請求項3】
操作盤(29)には第二グリップ(24)に近い側から順に回転数調節スイッチ(30)、正逆転スイッチ(31)、メインスイッチ(32)を配列したことを特徴とする請求項2記載の電動耕耘機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−34000(P2009−34000A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199128(P2007−199128)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】