説明

電子カメラ

【課題】ユーザが転送先への接続に用いる設定情報を前もって端末から入力しなくても、電子カメラから撮影画像を転送する。
【解決手段】電子カメラ1は、無線ネットワーク内のアクセスポイント31または32に接続する無線通信手段24と、ユーザの入力操作を検出する操作部材16と、操作部材16により検出されたユーザの入力操作に基づいて、無線通信手段24をアクセスポイント31または32に接続するためのアクセスポイント情報を設定するアクセスポイント情報設定手段17と、アクセスポイント情報設定手段17により設定されたアクセスポイント情報に基づいて、無線通信手段24をアクセスポイント31または32に接続させる接続制御手段17と、無線通信手段24により接続されたアクセスポイント31または32を介して撮影画像をサーバ34に転送する転送制御手段17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影画像を無線ネットワークを介してサーバに転送する電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接続可能な無線LANのアクセスポイントを検出し、検出されたアクセスポイントに接続することにより、予めそのアドレスが設定されたユーザ端末に対して未転送の画像データを転送するデジタルカメラが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−115024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるデジタルカメラは、転送先への接続に用いる設定情報をユーザが前もって端末から入力しておく必要があるため、ユーザにとって煩わしいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明による電子カメラは、無線ネットワーク内のアクセスポイントに接続する無線通信手段と、ユーザの入力操作を検出する操作部材と、操作部材により検出されたユーザの入力操作に基づいて、無線通信手段をアクセスポイントに接続するためのアクセスポイント情報を設定するアクセスポイント情報設定手段と、アクセスポイント情報設定手段により設定されたアクセスポイント情報に基づいて、無線通信手段をアクセスポイントに接続させる接続制御手段と、無線通信手段により接続されたアクセスポイントを介して撮影画像をサーバに転送する転送制御手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の電子カメラにおいて、ケーブルを介して接続された端末装置において設定されたアクセスポイント情報を端末装置から受信するアクセスポイント情報受信手段をさらに備え、接続制御手段は、さらにアクセスポイント情報受信手段により受信されたアクセスポイント情報に基づいて、無線通信手段をアクセスポイントに接続させるものである。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の電子カメラにおいて、予め登録されたアクセスポイント情報を記憶するアクセスポイント情報記憶手段をさらに備え、接続制御手段は、さらにアクセスポイント情報記憶手段により記憶されたアクセスポイント情報に基づいて、無線通信手段をアクセスポイントに接続させるものである。
請求項4の発明は、請求項3に記載の電子カメラにおいて、アクセスポイント情報記憶手段は、公衆アクセスポイントに無料で接続するためのアクセスポイント情報を記憶しているものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザが転送先への接続に用いる設定情報を前もって端末から入力しなくても、電子カメラから撮影画像を転送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
1.構成
本発明の一実施形態による画像転送システムの構成を図1に示す。無線LAN接続機能付き電子スチルカメラ(以下、電子カメラという)1は、公衆アクセスポイント31または自宅アクセスポイント32と無線LAN接続される。このときの無線LANの接続形態は、インフラストラクチャモードと呼ばれるものである。公衆アクセスポイント31および自宅アクセスポイント32は、インターネット33と接続されている。インターネット33には、ピクチャーバンクサーバ34が接続されている。
【0008】
公衆アクセスポイント31は、空港、駅、ホテル、飲食店などのような公衆に利用される場所に設置されている。公衆アクセスポイント31には、利用時に料金が発生する有料のものと、無料で利用できるものとがある。有料の公衆アクセスポイントへ接続する際には、所定のアカウント情報に基づいて、正規のユーザであるか否かを判定するためのユーザ認証が行われる。アカウント情報はユーザ名とパスワードからなり、電子カメラ1のユーザが予めサービス業者に所定の料金を支払って利用申し込みの手続きをしておくことで入手できる。一方、無料の公衆アクセスポイントへ接続する際には、このようなアカウント情報によるユーザ認証は行われない。
【0009】
なお、電子カメラ1の製造会社や販売会社等により、電子カメラ1の販売促進などを目的としたフリープランの利用契約が特定のサービス業者と予め結ばれている。そして、当該サービス業者が提供する公衆アクセスポイントのアカウント情報を含むアクセスポイント情報が、フリープランのアクセスポイント情報として電子カメラ1に予め登録されている。そのため、本来は有料の公衆アクセスポイントでも、電子カメラ1のユーザはある一定の期間に限って無料で利用することができる。こうしたフリープランのアクセスポイント情報は、電子カメラ1の仕向け先(出荷対象地域)ごとに異なる内容のものが複数種類登録されている。
【0010】
自宅アクセスポイント32は、ユーザの自宅やオフィスなどに設置されており、ユーザとその関係者のみが利用することができる。なお、自宅アクセスポイント32には、電子カメラ1の他に、PC(パーソナルコンピュータ)35も無線LAN接続されている。
【0011】
ピクチャーバンクサーバ34は、電子カメラ1から転送された画像ファイルを記録して蓄積しておくための記録装置を有している。すなわち、電子カメラ1の撮影画像の各画像ファイルが無線LANとインターネット33とを介して電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34に転送されると、その画像ファイルがピクチャーバンクサーバ34の記録装置に記録される。このとき、後述するようなユーザ登録がされる前であれば、ピクチャーバンクサーバ34の記録装置において電子カメラ1の個体ごとに予め設定されたテンポラリフォルダに、その画像ファイルが一時的に記録される。一方、ユーザ登録が完了した後は、ピクチャーバンクサーバ34の記録装置においてユーザ登録時にユーザごとに設定されるユーザフォルダに、その画像ファイルが記録される。これにより、PC35を使わなくても、電子カメラ1の撮影画像をピクチャーバンクサーバ34に記録して保管しておくことができる。
【0012】
ユーザは、PC35を用いてピクチャーバンクサーバ34にアクセスすることにより、ピクチャーバンクサーバ34に蓄積された画像ファイルを閲覧することができる。さらに、必要に応じてピクチャーバンクサーバ34に蓄積された画像ファイルをPC35にダウンロードしたり、別のサーバに転送したりすることもできる。
【0013】
電子カメラ1は、可変光学系3、充電池4、充電制御部5、光学部品7、撮像素子8、アナログ信号処理部12、A/D変換部13、タイミング制御部14、画像処理部15、操作部16、制御部17、メモリ18、圧縮/伸長部19、表示画像生成部20、液晶ディスプレイ21、メモリカード用インタフェース部22、外部インタフェース部23、無線LANモジュール部24を備える。
【0014】
充電池4は、電子カメラ1の各部に対してその動作に必要な電力を供給する。充電池4から各部への電力供給は、電子カメラ1の動作状態に応じて許可または禁止される。この電力供給状態の制御は、制御部17によって行われる。
【0015】
充電制御部5は、充電池4の充電制御を行う。電子カメラ1にACアダプター6が接続された状態でACアダプター6が電源コンセントに挿入されると、電源コンセントから供給される交流の商用電源がACアダプター6によって直流に変換され、充電制御部5に出力される。すると充電制御部5は、この直流電源を用いて充電池4の充電を行う。これにより、外部から供給される電力を用いて充電池4が充電される。なお、充電池4が満充電状態となったら、充電制御部5は充電を止める。
【0016】
可変光学系3は、複数の光学レンズ群よりなる撮影レンズや、絞り、シャッター等によって構成される。光学部品7は、光学フィルタやカバーガラスなどによって構成される。被写体からの光束が可変光学系3と光学部品7を通過することにより、撮像素子8上に被写体像が結像される。
【0017】
撮像素子8は、可変光学系3によって結像される被写体像を撮像し、撮像された被写体像に対応する画像信号(撮像信号)を出力する。撮像素子8は、複数の画素から構成される矩形形状の撮像領域を有し、各画素に蓄積された電荷に対応するアナログ信号である画像信号を、画素単位で順次、アナログ信号処理部12に出力する。撮像素子8は、例えば単板式カラーCCDなどで構成される。アナログ信号処理部12は、内部にCDS(相関2重サンプリング)回路や、AGC(オートゲインコントロール)回路などを有し、入力された画像信号に対して所定のアナログ処理を行う。A/D変換部13は、アナログ信号処理部12で処理されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。タイミング制御部14は、制御部17により制御され、撮像素子8、アナログ信号処理部12、A/D変換部13、画像処理部15の各動作のタイミングを制御する。
【0018】
メモリカード用インタフェース部22は、電子カメラ1の内部にセットされたメモリカード(カード状のリムーバブルメモリ)30とのインタフェースをとる。外部インタフェース部23は、USBなどの信号規格にしたがって、所定のケーブルを介して外部装置とのインタフェースをとる。無線LANモジュール部24は、制御部17の制御により、データのフォーマット変換や暗号化、変復調、周波数変換などの処理を行い、公衆アクセスポイント31または自宅アクセスポイント32との間で無線LAN用の電波を送受信する。これにより、公衆アクセスポイント31または自宅アクセスポイント32によって構成される無線LANに電子カメラ1が接続される。
【0019】
操作部16は、各種の操作ボタンやスイッチ類を有している。これには、電源スイッチ、レリーズボタン、モードダイヤル、再生ボタン、方向ボタン、メニューボタン、決定ボタン、キャンセルボタン、削除ボタン、ヘルプボタンなどが含まれる。電源スイッチは、電子カメラ1の電源をオンまたはオフのいずれかに切り替えるためのスイッチである。モードダイヤルは、電子カメラ1の撮影モードや動作モードを切り換えるための選択ダイヤルである。
【0020】
再生ボタンは、再生画像を液晶ディスプレイ21に表示するためのボタンである。方向ボタンは、液晶ディスプレイ21に表示される操作画面において選択位置を移動するためのボタンである。メニューボタンは、メニュー画面を液晶ディスプレイ21に表示するためのボタンである。決定ボタンは、操作を決定するためのボタンである。キャンセルボタンは、直前の操作内容などをキャンセルするためのボタンである。削除ボタンは、不要な画像などを削除するためのボタンである。ヘルプボタンは、さらに詳しい情報などを表示するためのボタンである。なお、一つのボタンに複数の機能を割り当て、操作状態に応じてその機能を使い分けてもよい。
【0021】
液晶ディスプレイ21は、電子カメラ1の操作状態に応じて各種の操作画面を表示したり、撮像素子8で撮像した被写体像やメモリカードに格納された画像データに基づく再生画像を表示したりする表示装置である。操作部16の出力は制御部17に入力され、液晶ディスプレイ21には表示画像生成部20の出力が入力される。画像処理部15は、例えば、画像処理専用の1チップ・マイクロプロセッサで構成される。メモリ18にはフラッシュメモリが用いられており、電子カメラ1の制御用ソフトウェアや、後で述べるアクセスポイント情報などのデータが記録される。
【0022】
A/D変換部13、画像処理部15、制御部17、メモリ18、圧縮/伸長部19、表示画像生成部20、メモリカード用インタフェース部22、外部インタフェース部23および無線LANモジュール部24は、バス25を介して相互に接続されている。
【0023】
図1のような構成の電子カメラ1において、操作部16の操作により、ユーザに撮影モードが選択されてレリーズボタンが押されると、制御部17は、可変光学系3を制御してピント調節を行うとともに、タイミング制御部14を介して、撮像素子8、アナログ信号処理部12、A/D変換部13に対するタイミング制御を行い、被写体の撮影を行う。なお、被写体の種類などによって複数の撮影モードを選択可能とし、撮影モードに応じてタイミング制御を変化させてもよい。さらに、動画像を撮影するモードが選択された場合には、被写体の動画像を撮影することもできる。
【0024】
撮像素子8は、可変光学系3により撮像領域に結像された被写体像に対応する画像信号を生成する。その画像信号は、アナログ信号処理部12で所定のアナログ信号処理が施され、アナログ処理後画像信号としてA/D変換部13へ出力される。A/D変換部13では、アナログ処理後の画像信号をデジタル化し、画像データとして、画像処理部15に供給する。
【0025】
本実施の形態の電子カメラ1では、撮像素子8において、単板式カラー撮像素子の最も代表的なR(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタがベイア配列されている場合を例にとり、画像処理部15に供給される画像データはRGB表色系で示されるものとする。画像データを構成する各々の画素には、RGBのいずれか1つの色成分の色情報が存在する。ここで、撮像素子8を構成する1つの光電変換素子を画素と言うが、この画素に対応した画像データの1単位も画素と言う。また、画像も複数の画素から構成される概念である。
【0026】
画像処理部15は、このような画像データに対し、補間、階調変換や輪郭強調などの画像処理を行う。このような画像処理が完了した画像データは、必要に応じて、圧縮/伸長部19で所定の圧縮処理が施され、メモリカード用インタフェース部22を介してメモリカード30に画像ファイル単位で記録される。これにより、電子カメラ1において撮影画像が記録される。なお、画像処理が完了した画像データは、補間処理が完了し、各画素にはRGBのすべての色成分の色情報が存在するものとする。
【0027】
メモリカード30に記録された画像データは、ユーザの操作に応じて、無線LANモジュール部24から、公衆アクセスポイント31または自宅アクセスポイント32へと無線送信される。この無線送信は、一般的な無線LANの信号規格、たとえばIEEE 802.11bやIEEE 802.11gなどの規格に準拠して行われる。さらに、様々な無線LAN機器間で互換性を補償するための国際標準規格であるWiFi(Wireless Fidelity)認証に対応してもよい。
【0028】
公衆アクセスポイント31と自宅アクセスポイント32は、電子カメラ1の無線LANモジュール部24から送信された画像データを中継し、インターネット33を経由して、ピクチャーバンクサーバ34へ転送する。
【0029】
以上説明したようにして、無線LANモジュール部24と公衆アクセスポイント31または自宅アクセスポイント32とを接続することにより、電子カメラ1が無線LANに接続される。その結果、電子カメラ1とピクチャーバンクサーバ34とが無線LANを介して接続される。すると電子カメラ1は、メモリカード30に記録されている撮影画像のうちで、まだピクチャーバンクサーバ34に転送していない未転送画像を選択し、これをピクチャーバンクサーバ34へ転送する。このようにして、電子カメラ1において撮影された画像がピクチャーバンクサーバ34へ転送される。なお、電子カメラ1からの撮影画像の転送には、PTPIP(Picture Transfer Protocol over Internet Protocol)と呼ばれる周知の通信プロトコルが用いられる。
【0030】
2.無線LANの設定
次に、無線LANの設定方法について説明する。上記で説明したように、無線LANモジュール部24によって電子カメラ1と公衆アクセスポイント31または自宅アクセスポイント32とが無線LAN接続されることにより、電子カメラ1において撮影された画像がピクチャーバンクサーバ34へ転送される。このような無線LAN接続を行うためには、接続するアクセスポイントごとに、アクセスポイント情報を予め電子カメラ1に登録しておく必要がある。このアクセスポイント情報には、アクセスポイント名、無線LANのSSID(Service Set Identifier)、IPアドレスの取得方法、認証方式、認証時に用いられる暗号モードの種類と暗号キーの内容、アカウント情報(ユーザ名およびパスワード)、アクセスポイントタイプ(公衆無線LANまたは自宅無線LAN)などの情報が記録されている。なお、アクセスポイント情報は、電子カメラ1の電源を切断しても消去されることがないように、メモリ18によって記憶保存されている。
【0031】
アクセスポイント情報の登録は、電子カメラ1と端末装置であるPC35とをケーブルを介して接続した状態で行われる。このとき電子カメラ1は、外部インタフェース23においてケーブルに接続される。電子カメラ1とPC35とがケーブル接続された状態で、ユーザが電子カメラ1のモードダイヤルを操作して「SETUP」の位置に合わせると、PC35において、予めインストールされた無線LAN設定用のソフトウェアプログラムが実行される。これにより、PC35において設定されたアクセスポイント情報がPC35から電子カメラ1に対して送信される。
【0032】
電子カメラ1は、外部インタフェース23により、上記のようにしてPC35からケーブルを介して送信されたアクセスポイント情報を受信して取得する。そして制御部17の制御により、その内容をメモリ18に書き込んで記憶保存する。これにより、電子カメラ1においてアクセスポイント情報が登録される。
【0033】
あるいは、電子カメラ1とPC35とを接続せずに、電子カメラ1においてアクセスポイント情報を直接登録することもできる。このアクセスポイントの登録は、ユーザが操作部16を操作することにより行うことができる。すなわち、操作部16によりユーザの入力操作が検出され、その入力操作に基づいて、制御部17によりアクセスポイント情報が設定される。こうしてユーザの入力操作に基づいて設定されたアクセスポイント情報は、メモリ18によって記憶される。
【0034】
なお、フリープランのアクセスポイント情報として、前述のようにフリープランの契約がされている業者の公衆アクセスポイントに無料で接続するためのアクセスポイント情報が、電子カメラ1において予め登録されている。このフリープランのアクセスポイント情報も、他のアクセスポイント情報と同様に、メモリ18によって記憶されている。したがって、フリープランのアクセスポイント情報を使用することにより、ユーザはアクセスポイント情報を登録しなくても、電子カメラ1を公衆アクセスポイント31に接続して、ピクチャーバンクサーバ34へ撮影画像を送信することができる。
【0035】
ところで、フリープランのアクセスポイント情報を使用する場合、電子カメラ1に予め登録されたフリープランのアクセスポイント情報の全てを使用できるわけではない。電子カメラ1に対して予め設定された仕向け先に対応するフリープランのアクセスポイント情報のみを使用することができ、他の仕向け先に対応するフリープランのアクセスポイント情報は使用することができない。このとき、制御部17により、予め設定された電子カメラ1の仕向け先に基づいて、メモリ18により記憶された複数種類のアクセスポイント情報のうちいずれかが使用可能なアクセスポイント情報として選択される。こうして選択されたアクセスポイント情報以外は、電子カメラ1において登録されていても使用することができない。さらに、その内容を液晶ディスプレイ21に表示することもできない。
【0036】
これにより、たとえば外国で販売された電子カメラ1が日本国内に持ち込まれた場合、その電子カメラ1では日本国内向けのフリープランのアクセスポイント情報を使用できないようすることができる。その結果、電子カメラ1の製造会社や販売会社は、サービス業者に対して契約上の問題が生じるのを回避することができる。すなわち、日本国内で販売された電子カメラ1に対してのみ無線LAN接続サービスを無料で提供する旨の契約が結ばれている場合に、外国で販売された電子カメラ1が日本国内に持ち込まれても、その契約内容を維持することができる。
【0037】
制御部17は、以上説明したようなアクセスポイント情報に基づいて、無線LANモジュール部24を制御し、無線LANモジュール部24を公衆アクセスポイント31または自宅アクセスポイント32に接続させる。そして、無線LANモジュール部24により接続されたアクセスポイントを介して、未転送の撮影画像をピクチャーバンクサーバ34へ転送する。このようにして、電子カメラ1が無線LANを介してピクチャーバンクサーバ34に接続され、電子カメラ1の撮影画像がピクチャーバンクサーバ34に転送される。
【0038】
3.ピクチャーバンク転送処理
次に、電子カメラ1と公衆アクセスポイント31または自宅アクセスポイント32とを無線LAN接続してピクチャーバンクサーバ34に撮影画像を転送するときに、電子カメラ1が実行するピクチャーバンク転送処理について説明する。図2および3は、電子カメラ1の制御部17において実行されるピクチャーバンク転送処理のフローチャートを示している。以下では、このフローチャートを用いてピクチャーバンク転送処理の内容を説明する。
【0039】
図2のステップS1では、電子カメラ1に対して、充電池4を充電するための電力が外部から供給されているか否かを判定する。外部から電力が供給されている場合、すなわち、電源コンセントに挿入されたACアダプター6に電子カメラ1が接続されており、ACアダプター6によって直流に変換された商用電源が充電制御部5に入力されている場合は、次のステップS2へ進む。
【0040】
ステップS2では、電子カメラ1の電源がオフであるか否かを判定する。電子カメラ1の電源がオフであると判定した場合、すなわち、操作部16に備えられた電源スイッチにより電子カメラ1の電源がオフに切り替えられている場合は、ステップS3へ進む。一方、電子カメラ1の電源がオフでないと判定した場合、すなわち、操作部16に備えられた電源スイッチにより電子カメラ1の電源がオンに切り替えられている場合は、ステップS12へ進む。この場合、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34への画像転送は行われない。これにより、電子カメラ1の電源がオンに切り替えられているときに、外部からの電力が供給されていると判定された場合は、撮影画像の転送が禁止される。
【0041】
ステップS3では、電子カメラ1の電源をオフからオンに切り替える。次のステップS4では、電子カメラ1においてピクチャーバンクの設定がオンであるか否かを判定する。ピクチャーバンクの設定がオンである場合はステップS5へ進む。一方、ピクチャーバンクの設定がオフである場合は、ステップS14へ進む。この場合にも、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34への画像転送は行われない。
【0042】
電子カメラ1におけるピクチャーバンクの設定は、操作部16の操作により、ユーザがオンまたはオフのいずれかの状態に予め設定しておくことができる。すなわち、ピクチャーバンクサーバ34への画像転送処理を有効としたい場合、ユーザはピクチャーバンクをオンに設定しておく。反対に、ピクチャーバンク34への画像転送処理を禁止したい場合、ユーザはピクチャーバンクをオフに設定しておく。
【0043】
なお、ピクチャーバンクサーバ34への画像転送は、ユーザがメニュー画面から選択することにより、ピクチャーバンクの設定がオンであるか否かに関わらず任意のタイミングで実行することもできるが、この場合の処理内容についての説明は省略する。すなわち以下の説明では、ACアダプター6に電子カメラ1が接続されて外部から電力が供給されたときに、電子カメラ1において自動的に行われるピクチャーバンク転送処理について説明する。
【0044】
ステップS5では、電子カメラ1において無線LAN設定が完了しているか否かを判定する。このとき、前述のようなアクセスポイント情報が少なくとも一つ登録されている場合は、無線LANの設定が完了していると判定してステップS6へ進む。一方、アクセスポイント情報が一つも登録されていない場合は、無線LANの設定がまだ完了していないと判定してステップS14へ進む。この場合にも、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34への画像転送は行われない。
【0045】
なお、ステップS5では、電子カメラ1において予め登録されているフリープランのアクセスポイント情報は、通常は判定の対象から除かれる。しかし、フリープランのアクセスポイント情報を含めて判定することとしてもよい。すなわちこの場合、ステップS5において必ず無線LAN設定が完了していると判定される。
【0046】
ステップS5からステップS6へ進んだ場合、ステップS6では、ピクチャーバンク転送処理を開始することを電子カメラ1のユーザに知らせるため、ピクチャーバンク開始画面を液晶ディスプレイ21に表示する。次のステップS7では、操作部16においてキャンセルボタンがユーザに押されたか否かを判定する。キャンセルボタンが押された場合はステップS14へ進む。この場合も、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34への画像転送は行われない。キャンセルボタンが押されていなければ、ステップS8へ進む。
【0047】
ステップS8では、ステップS6においてピクチャーバンク開始画面を表示してから、所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間、たとえば5秒間を経過するまでは、ステップS7へ戻ってキャンセルボタンが押されたか否かの判定を続ける。キャンセルボタンを押されずに所定時間が経過したら、次のステップS9へ進む。これにより、ユーザからの操作が無くても、所定時間が経過したら、ピクチャーバンクサーバ34への画像転送を行うために次の処理へと進む。
【0048】
ステップS9では、電子カメラ1においてユーザのニックネームとメールアドレスが設定されているか否かを判定する。このニックネームとメールアドレスは、撮影画像を転送する際に電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34へ送信される。ニックネームとメールアドレスが設定されていなければステップS10へ進み、既に設定されていれば図3のステップS16へ進む。
【0049】
ステップS10では、ニックネームとメールアドレスの入力画面を液晶ディスプレイ21に表示する。ユーザは、この入力画面が表示されているときに操作部16を操作することにより、任意のニックネームとメールアドレスを入力することができる。なお、一度入力されたニックネームとメールアドレスの情報はメモリ18において記憶されるため、次回からは入力する必要がない。
【0050】
ステップS11では、ステップS10で表示したニックネームとメールアドレスの入力画面において、ニックネームとメールアドレスがユーザの操作により入力されたか否かを判定する。入力された場合は、図3のステップS16へ進む。一方、ユーザからの操作が何も行われず、ニックネームとメールアドレスの入力が所定時間以上行われなかった場合は、ステップS14へ進む。この場合も、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34への画像転送は行われない。
【0051】
図3のステップS16では、電子カメラ1において転送対象の画像があるか否かを判定する。転送対象の画像がある場合は、次のステップS17へ進む。一方、転送対象の画像がない場合はステップS14へ進む。たとえば、メモリカード30に撮影画像が一枚も記録されていない場合や、未転送の撮影画像が一枚も存在しない場合、メモリカード30がロックされてアクセスが禁止されている場合などは、ステップS16において転送対象の画像がないと判定される。なお、転送対象の画像がないと判定された場合も、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34への画像転送は行われない。
【0052】
ステップS17では、SSIDの検索を行う。このSSIDの検索により、無線LANモジュール部24と無線LAN通信が可能なアクセスポイントに対応するSSIDが検索される。このとき、アクセスポイントによっては、自身のSSIDが設定されていない無線端末に対しては、そのSSIDを秘匿する機能を有するものがある。この秘匿SSIDの検索は、アクセスポイント情報に登録されているSSIDの情報に基づいて行われる。すなわち、アクセスポイント情報においてSSIDが登録されているアクセスポイントのみ、SSIDの検索対象とされる。このようにして、無線LANモジュール部24と無線通信が可能なアクセスポイントが検索される。
【0053】
ステップS18では、ステップS17においてSSIDが検索されたか否かを判定する。無線LAN通信可能なアクセスポイントのSSIDが少なくとも一つ以上検索された場合は、ステップS19へ進む。一方、無線LAN通信が可能なSSIDが一つも検索されなかった場合は、ステップS14へ進む。この場合にも、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34への画像転送は行われない。
【0054】
ステップS19では、ステップS17で検索されたSSIDの中に、電子カメラ1において登録済みのSSIDがあるか否かを判定する。登録済みのSSIDが存在する場合、すなわち、電子カメラ1においてアクセスポイント情報が登録されているアクセスポイントのSSIDが少なくとも一つ以上検索された場合は、ステップS24へ進む。なお、フリープランのアクセスポイント情報で登録されているSSIDを登録済みのSSIDに加えてもよい。一方、検索されたSSIDの中に登録済みのSSIDが存在しない場合は、ステップS20へ進む。
【0055】
ステップS19からステップS20へ進んだ場合、ステップS20では、電子カメラ1の接続先を選択するための接続先選択画面を液晶ディスプレイ21に表示する。この接続先選択画面では、ステップS17において検索されたSSIDの一覧が表示される。
【0056】
ステップS21では、ステップS20で表示した接続先選択画面において、いずれかのSSIDが電子カメラ1の接続先として選択されたか否かを判定する。接続先選択画面に一覧表示したSSIDのいずれかがユーザの操作入力により選択されると、そのSSIDに対応するアクセスポイントを電子カメラ1の接続先に設定して、次のステップS22へ進む。一方、ユーザからの操作が行われず、接続先の選択が所定時間以上行われなかった場合は、ステップS14へ進む。この場合にも、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34への画像転送は行われない。
【0057】
ステップS22では、選択されたSSIDに電子カメラ1が接続できたか否かを判定する。選択されたSSIDに接続できた場合はステップS23へ進み、ステップS23において画像転送処理を実行する。この画像転送処理の内容は、後で詳しく説明する。これにより、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34へ撮影画像が転送される。ステップS23を実行したら、図2のステップS14へ進む。
【0058】
一方、検索されたSSIDの中に電子カメラ1において登録済みのSSIDがあるとステップS19において判定された場合、ステップS24では、その登録済みのSSIDを接続先として自動的に選択する。このとき、複数の登録済みSSIDが検索されていた場合は、無線LANモジュール部24において受信される電波の受信電界強度が強い順、すなわち無線接続環境が良好なSSIDから順に自動的に選択する。これにより、検索されたいずれかの登録済みSSIDに接続できない場合には、他の登録済みSSIDへの接続を試みる。
【0059】
ステップS25では、ステップS24で選択された登録済みSSIDに電子カメラ1が接続できたか否かを判定する。選択されたSSIDに接続できた場合はステップS23へ進み、ステップS23において画像転送処理を実行する。これにより、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34へ撮影画像が転送される。ステップS23を実行したら、ステップS14へ進む。一方、いずれの登録済みSSIDにも接続できなかった場合は、ステップS26へ進む。
【0060】
ステップS26では、ステップS17でSSIDを検索したときに、電子カメラ1に登録されていないSSIDが検索されたか否かを判定する。登録済みでないSSIDが検索されていた場合はステップS20へ進み、ステップS20において、その未登録のSSIDを一覧表示した接続先選択画面を液晶ディスプレイ21に表示する。その後は、前述のステップS21およびS22の処理を実行することにより、ユーザの操作入力によって選択されたSSIDに接続してから、ステップS23の画像転送処理を実行する。一方、ステップS17において登録済みでないSSIDが一つも検索されていなかった場合は、ステップS14へ進む。この場合にも、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34への画像転送は行われない。
【0061】
次に、外部から電源が供給されたときに電子カメラ1の電源がオンであった場合、すなわち図2のステップS2からステップS12へ進んだ場合の処理について説明する。この場合、ステップS12では、電子カメラ1において使用する動作電力の切り替えを行う。すなわち、それまでは充電池4から電子カメラ1の各部へ動作用の電力を供給していたものを、ACアダプター6から供給するように切り替える。これにより、電子カメラ1はバッテリー動作から外部電源動作に切り替えられる。
【0062】
ステップS13では、ステップS12において電子カメラ1を外部電源動作に切り替えた後に、ユーザによって操作部16の電源スイッチが操作されたか否かを判定する。電源スイッチが操作された場合、すなわちユーザから電源オフの指示操作があった場合は、次のステップS14へと進む。
【0063】
ステップS13からステップS14へ進んだ場合、または前述のステップS4、S5、S7、S11、S16、S18、S21、S23またはS26からステップS14へ進んだ場合、ステップS14では、電子カメラ1の電源をオフする。これにより、ステップS23において画像転送処理を実行した後にステップS14を実行した場合は、電子カメラ1の撮影画像をピクチャーバンクサーバ34へ転送した後に、電子カメラ1の電源が自動的にオフされる。また、他の場合は、撮影画像を転送せずに電子カメラ1の電源がオフされる。
【0064】
ステップS15では、充電池4の充電を開始する。こうして電子カメラ1の電源をオフして充電池4の充電を開始したら、制御部17は図2および3のフローチャートを終了することにより、ピクチャーバンク転送処理を完了する。なお、その後の充電池4の充電制御は、前述のように充電制御部5によって行われる。
【0065】
以上説明したような処理が制御部17において実行されることにより、電子カメラ1の撮影画像が無線LANを介してピクチャーバンクサーバ34へ転送される。
【0066】
4.画像転送処理
次に、図3のステップS23で実行される画像転送処理の具体的な内容について説明する。図4は、画像転送処理のフローチャートである。
【0067】
ステップS101では、接続先として選択されたSSIDのアクセスポイントへ接続するための暗号キーであるWEP(Wired Equivalent Privacy)キーの入力要求があるか否かを判定する。なお、WEPキーではなく他の暗号形式による暗号キーを用いることもできる。WEPキーの入力要求がある場合はステップS102へ進み、ない場合はステップS105へ進む。
【0068】
ステップS102では、WEPキーを入力するためのWEPキー入力画面を液晶ディスプレイ21に表示する。ユーザは、このWEPキー入力画面において方向ボタンなどを操作することにより、任意のWEPキーを電子カメラ1に対して入力することができる。
【0069】
ステップS103では、ステップS102で表示したWEPキー入力画面において、WEPキーがユーザの操作により入力されたか否かを判定する。入力された場合は、ステップS104へ進む。一方、ユーザからの操作が何も行われず、WEPキーの入力が所定時間以上行われなかった場合は、ステップS120へ進む。この場合は、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34への画像転送は行われない。
【0070】
ステップS104では、ステップS103において正しいWEPキーがユーザに入力されたか否かを判定する。入力されたWEPキーが正しくない場合は、ステップS102へ戻って正しいWEPキーを入力し直すようユーザに指示する。一方、正しいWEPキーが入力された場合は、ステップS105へ進む。このようにしてWEPキーの認証が行われる。なお、途中でキャンセルボタンを押すことにより、WEPキーの入力を中止することもできる。
【0071】
なお、アクセスポイントからWEPキーの入力を要求された場合であっても、過去にそのアクセスポイントに対して正しいWEPキーを入力していた場合は、そのWEPキーの内容が電子カメラ1において記憶される。したがってその場合は、記憶されたWEPキーを用いてステップS104の判定を行うことにより、WEPキー入力画面を表示することなくWEPキーの認証が行われる。同様に、アクセスポイント情報においてWEPキーの内容が記録されている場合は、そのWEPキーを用いて、WEPキー入力画面を表示することなくWEPキーの認証が行われる。
【0072】
ステップS105では、接続先として選択されたSSIDのアクセスポイントから、そのアクセスポイントへ接続するためのユーザ認証要求があるか否かを判定する。このユーザ認証要求は、公衆アクセスポイント31において、正当な利用者からの接続のみを許可するために行われる。ユーザ認証要求がある場合はステップS106へ進み、ない場合はステップS109へ進む。
【0073】
ステップS106では、ユーザ名とパスワードの入力画面を液晶ディスプレイ21に表示する。ユーザは、この入力画面において方向ボタンなどを操作することにより、予め入手しておいたユーザ名とパスワードを電子カメラ1に対して入力することができる。
【0074】
ステップS107では、ステップS106で表示したユーザ名とパスワードの入力画面において、ユーザ名とパスワードがユーザの操作により入力されたか否かを判定する。入力された場合は、ステップS108へ進む。一方、ユーザからの操作が何も行われず、ユーザ名とパスワードが所定時間以上入力されなかった場合は、ステップS120へ進む。この場合も、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34への画像転送は行われない。
【0075】
ステップS108では、ステップS107において正しいユーザ名とパスワードがユーザに入力されたか否かを判定する。入力されたユーザ名とパスワードが正しくない場合は、ステップS106へ戻ってユーザ名とパスワードの入力画面を再び表示することにより、正しいユーザ名とパスワードを入力し直すようユーザに指示する。一方、正しいユーザ名とパスワードが入力された場合は、ステップS109へ進む。このようにしてユーザ認証が行われる。なお、途中でキャンセルボタンを押すことにより、ユーザ名とパスワードの入力を中止することもできる。
【0076】
上記のユーザ認証の際には、WISPr(Wireless Internet Service Provider roaming)と呼ばれる手順にしたがって、電子カメラ1とアクセスポイントとの間で所定の情報が交換される。なお、ユーザ認証の場合もWEPキーの認証と同様に、アクセスポイントからユーザ認証を要求された場合であっても、過去にそのアクセスポイントに対して正しいユーザ名とパスワードを入力していた場合は、そのユーザ名とパスワードの内容が電子カメラ1において記憶される。したがってその場合は、記憶されたユーザ名とパスワードを用いてステップS108の判定を行うことにより、ユーザ名とパスワードの入力画面を表示することなくユーザ認証が行われる。また、アクセスポイント情報においてユーザ名とパスワードの内容が記録されている場合は、そのユーザ名とパスワードを用いて、ユーザ名とパスワードの入力画面を表示することなくユーザ認証が行われる。
【0077】
アクセスポイントからWEPキーの入力要求またはユーザ認証要求があると、以上説明したようなWEPキーの認証やユーザ認証が必要に応じて行われる。これらの認証結果が正しい場合は、アクセスポイントへの接続が完了する。こうしてアクセスポイントへの接続が完了することにより、電子カメラ1が無線LANを介して画像の転送先であるピクチャーバンクサーバ34に接続される。
【0078】
ステップS109では、無線LANを介して接続されたピクチャーバンクサーバ34に対して、電子カメラ1において決定されたカメラIDを送信する。このカメラIDは、ピクチャーバンクサーバ34がユーザ認証を行うために用いられ、電子カメラ1の各々に固有の内容を有している。したがって、ピクチャーバンクサーバ34は、電子カメラ1から受信したカメラIDに基づいて画像転送を行うユーザを特定することができる。このようにして、画像の転送先であるピクチャーバンクサーバ34へ画像を転送するのに先立って、電子カメラ1の各々に固有のユーザ認証用のカメラIDを、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34に対して送信する。
【0079】
カメラIDは、電子カメラ1において次のように決定することができる。たとえば、予め各電子カメラにそれぞれ記憶された固定のID番号に基づいてカメラIDを決定する。このID番号には、たとえば各電子カメラの製造番号などを用いることができる。なお、このときユーザが他人のカメラIDを不正に利用したり、あるいはカメラIDをユーザが不正に改ざんしたりできないようにするため、各電子カメラのID番号は暗号化された状態でそれぞれ記憶されていることが好ましい。さらに、所定のアルゴリズムに従って算出され、所定のタイミングでその内容が変更される別のID番号を、上記のID番号と組み合わせて用いてもよい。この場合、ピクチャーバンクサーバ34では、同じアルゴリズムを用いて同じタイミングでカメラIDの内容を判断する必要がある。このようにすれば、カメラIDの不正利用や改ざんをより一層防止することができる。
【0080】
ステップS110では、ステップS109で送信したカメラIDに基づいてピクチャーバンクサーバ34が行ったサーバ認証の結果がOKであったか否かを判定する。サーバ認証の結果がOKであった場合は、次のステップS111へ進む。一方、サーバ認証の結果がOKでなかった場合、すなわち送信したカメラIDが不正なものであった場合や、カメラIDによって特定されたユーザがサービス利用制限の対象となっている場合には、ステップS120へ進む。この場合、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34への画像転送は行われない。
【0081】
ステップS111では、ピクチャーバンクサーバ34へ転送する画像ファイルの選択を行う。ここでは、メモリカード30に記録されている撮影画像の各画像ファイルのうち、未転送の画像ファイルを選択する。なお、画像ファイルが未転送であるか否かの判断は、転送時に設定されるフラグ情報の有無に基づいて行われる。このフラグ情報は、アーカイブビットと呼ばれている。すなわち、アーカイブビットが設定されている画像ファイルは転送済みであり、アーカイブビットが設定されていない画像ファイルは未転送であると判断される。これにより、転送済みであると判定された画像ファイルが転送すべき画像ファイルから除かれる。
【0082】
ステップS112では、ステップS111で選択した未転送の画像ファイルについてのファイル情報をピクチャーバンクサーバ34へ送信する。ここで送信されるファイル情報には、画像ファイルの種類、すなわち静止画像または動画像のいずれであるかを示す情報や、ファイル名、データサイズなどが含まれている。こうして電子カメラ1から送信されるファイル情報は、ピクチャーバンクサーバ34において、後述する転送指示情報の内容を決定するために用いられる。
【0083】
ステップS113では、ステップS112で送信したファイル情報に基づいてピクチャーバンクサーバ34から送信される転送指示情報を受信する。この転送指示情報により、ピクチャーバンクサーバ34から電子カメラ1に対して、どの画像ファイルを転送するかの指示が行われる。さらに、動画像ファイルを転送する場合は、その動画像ファイルの転送部分の指示も転送指示情報により行われる。すなわち、動画像ファイルの全てを転送するのか、あるいは途中から転送するのか、途中から転送する場合は先頭から何バイト目の部分から転送するのか、といった指示が行われる。
【0084】
なお、ピクチャーバンクサーバ34は、過去に転送が中断された動画像ファイルを再転送する際に、再転送部分を指定してその動画像ファイルを途中から再転送するよう指示を行う。このときのピクチャーバンクサーバ34による再転送部分の指定は、後述するエラーチェック情報に基づいて行われる。
【0085】
ステップS114では、ステップS113で受信した転送指示情報に基づいて、ピクチャーバンクサーバ34へ転送する画像ファイルを決定する。ここでは、ピクチャーバンクサーバ34の指示に従って転送画像ファイルを決定する。すなわち、ステップS111で選択した未転送の画像ファイルのうち、転送指示情報によって転送を指示された画像ファイルのみを転送画像ファイルとする。また、動画像ファイルについては、転送指示情報の指示内容に従って、その全部を転送するのか、あるいは途中から再転送するかを決める。さらに、途中から再転送する場合は、どの部分から再転送するかも定める。
【0086】
ステップS115では、ステップS114で決定された転送画像ファイルの中に動画像ファイルがあるか否かを判定する。転送画像ファイルの中に動画像ファイルが含まれている場合はステップS116へ進む。一方、転送画像ファイルに動画像ファイルが含まれていない場合、すなわち決定された転送画像ファイルが全て静止画像ファイルである場合は、ステップS116を実行せずにステップS117へ進む。
【0087】
ステップS116では、転送画像ファイルに含まれる動画像ファイルについて、転送時のエラー発生の有無をピクチャーバンクサーバ34において検出するためのエラーチェック情報を算出する。ここでは、たとえばチェックサムや各種の誤り検出用符号などをエラーチェック情報として算出することができる。このとき、動画像ファイルの所定データ量ごとにエラーチェック情報を算出する。たとえば、動画像ファイルを10メガバイトごとに区切り、その区切りのそれぞれについてチェックサムなどのエラーチェック情報を算出する。
【0088】
ステップS117では、ピクチャーバンクサーバ34の指示に従ってステップS114で決定された転送画像ファイルの転送を行う。すなわち、ステップS111で選択した未転送の画像ファイルのうち、転送指示情報によって指示された画像ファイルのみを転送する。また、動画像ファイルについては、転送指示情報による指示内容に従って、その全部を転送するか、あるいは、ピクチャーバンクサーバ34により指定された部分を再転送する。このようにすることで、過去に動画像の転送が中断されており、その動画像データを再転送する場合には、中断前に転送済みの部分を除いて再転送することができる。なお、動画像ファイルを転送するときには、ステップS116で算出したエラーチェック情報も一緒にピクチャーバンクサーバ34へ送信する。このときさらに、電子カメラ1において設定されているユーザのニックネームとメールアドレスも一緒に送信する。
【0089】
ステップS118では、ステップS117において画像ファイルの転送が終了したか否かを判定する。ステップS114で決定された全ての転送画像ファイルを転送し終えるまではステップS117へ戻り、画像ファイルの転送を継続する。指定された全ての画像ファイルの転送を終了したら、ステップS118へ進む。
【0090】
ステップS119では、ステップS117で転送した画像ファイルに対してアーカイブビットの設定を行う。なお、アーカイブビットは、前述のように転送済みであるか否かを示すために各画像ファイルに設定されるフラグ情報である。これにより、転送が終了した画像ファイルにはアーカイブビットが設定されるため、次に画像転送処理を実行したときには、その画像ファイルがステップS111において未転送画像として選択されることはない。
【0091】
ステップS120では、電子カメラ1とピクチャーバンクサーバ34との間で確立されたネットワークの切断を行う。このとき無線LANモジュール部24は、接続先として選択されたアクセスポイントとの無線通信を終了する。これにより、電子カメラ1とそのアクセスポイントの間における無線LAN接続が解除される。次のステップS121では、無線LANモジュール部24への電力供給を停止し、無線LANモジュール部24の電源をオフする。次のステップS122では、画像の転送が終了したことを示す転送終了画面を液晶ディスプレイ21に表示する。ステップS122を実行したら、制御部17は図4のフローチャートを終了する。
【0092】
以上説明したような処理により、電子カメラ1とピクチャーバンクサーバ34とが無線LANを介して接続される。そして、未転送の画像ファイルが選択され、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34へ転送される。なお、画像転送前にキャンセルボタンが押された場合は、キャンセル画面を表示して図4のフローチャートを終了する。
【0093】
5.転送画像蓄積処理
次に、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34へ撮影画像を転送するときのピクチャーバンクサーバ34の動作について説明する。図5は、このときピクチャーバンクサーバ34が実行する転送画像蓄積処理のフローチャートである。以下では、この図5のフローチャートにしたがって説明を行う。
【0094】
ステップS200では、電子カメラ1からカメラIDを受信する。このカメラIDは、先に説明した図4のステップS109により電子カメラ1から送信されるものである。
【0095】
ステップS201では、ステップS200で受信したカメラIDに基づいて、そのカメラIDを送信した電子カメラ1が使用可能なものであるか否かを判定する。たとえば、不正な内容のカメラIDを受信した場合や、当該電子カメラ1が後述するアンリンク状態に設定されている場合は、使用可能なカメラではないと判定してステップS203へ進む。一方、これらに該当しない場合は、使用可能なカメラであると判定してステップS202へ進む。
【0096】
ステップS202またはステップS203では、ステップS201の判定の結果をサーバ認証結果として電子カメラ1へ送信する。すなわち、ステップS201からステップS202へ進んだ場合は、サーバ認証結果がOKであったことを電子カメラ1に対して送信する。この場合、サーバ認証結果の送信後に次のステップS204へ進む。一方、ステップS201からステップS203へ進んだ場合は、サーバ認証結果がOKでなかったことを電子カメラ1に対して送信する。この場合、サーバ認証結果の送信後に、ピクチャーバンクサーバ34は図5のフローチャートを終了する。したがって、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34への画像転送が行われない。
【0097】
ステップS204では、電子カメラ1から送信されるファイル情報を受信する。このファイル情報は、図4のステップS112において電子カメラ1から送信されるものである。前述のように、ファイル情報は、これから転送しようとする未転送の画像ファイルの種類やファイル名、データサイズなどを含んでいる。
【0098】
ステップS205では、ステップS204で受信したファイル情報に基づいて、そのファイル情報により表された未転送の画像ファイルのうちいずれかを選択する。次のステップS206では、ステップS205で選択した画像ファイルが、ピクチャーバンクサーバ34において既に蓄積されている画像ファイルであるか否かを判定する。既に蓄積されている画像ファイルである場合はステップS208へ進み、ステップS208においてその画像ファイルを転送対象から除外した後、ステップS212へ進む。一方、ステップS205で選択した画像ファイルがピクチャーバンクサーバ34にまだ蓄積されていない場合は、ステップS207へ進む。
【0099】
ステップS207では、ステップS205で選択した画像ファイルが、ピクチャーバンクサーバ34において途中まで蓄積済みの動画像ファイルであるか否かを判定する。途中まで蓄積済みの動画像ファイルではない場合、すなわち静止画像ファイルまたは未蓄積の動画像ファイルである場合は、ステップS211へ進む。一方、ステップS205で選択した画像ファイルが途中まで蓄積済みの動画像ファイルである場合、すなわち過去に転送が中断されたためにその動画像ファイルを途中までしか蓄積できなかった場合は、ステップS209へ進む。
【0100】
ステップS209では、ステップS207において途中まで蓄積済みであると判定された動画像ファイルについて、エラーチェックを実行する。このエラーチェックは、ピクチャーバンクサーバ34において当該動画像ファイルの所定データ量ごとに算出したエラーチェック情報の算出結果と、過去に電子カメラ1から当該動画像ファイルと共に送信されたエラーチェック情報とを照合することにより行う。すなわち、ピクチャーバンク34によるエラーチェック情報の算出結果と、電子カメラ1によるエラーチェック情報の算出結果とが等しければ、その部分については正しい内容のデータが蓄積されていると判定する。一方、両者の算出結果が異なる場合、その部分については誤った内容のデータが蓄積されていると判定する。こうしてエラーチェックを実行することにより、途中まで蓄積済みであると判定された動画像ファイルのうちでどの部分が正しく、どの部分が誤っているかが判定されたら、次のステップS210へ進む。
【0101】
ステップS210では、ステップS209で行ったエラーチェックの結果に基づいて、当該動画像ファイルの再転送開始位置を設定する。このとき、正しいと判定された部分を除き、誤っていると判定された部分を含むように、再転送開始位置を設定する。こうして動画像ファイルの再転送開始位置を設定することにより、転送を中断された動画像に対して過去に電子カメラ1から送信されたエラーチェック情報に基づいて、再転送する部分を指定することができる。その結果、中断前に転送済みの部分を除いて動画像ファイルを再転送するよう電子カメラ1に指示することができる。
【0102】
ステップS211では、ステップS205で選択した画像ファイルを転送対象に設定する。次のステップS212では、ステップS204で受信したファイル情報により表された未転送の画像ファイルの全てを、これまでに実行したステップS205において選択したか否かを判定する。まだ選択していない未転送の画像ファイルがある場合はステップS205へ戻り、その中からいずれかの画像ファイルをステップS205において選択した後、その画像ファイルに対して上記のような処理を行う。これにより、全ての未転送画像ファイルに対して、ステップS206〜S211で説明したような処理を実行する。一方、未転送の画像ファイルを全てステップS205において選択済みである場合は、ステップS213へ進む。
【0103】
ステップS213では、電子カメラ1に対して転送指示情報を送信する。このとき、ステップS211で転送対象として設定された画像ファイルについて転送指示情報を送信することにより、その画像ファイルを転送するよう電子カメラ1に対して指示する。ここで送信された転送指示情報が電子カメラ1において図4のステップS113で受信されることにより、ピクチャーバンクサーバ34の指示に応じた画像ファイルが電子カメラ1から転送される。
【0104】
ステップS214では、図3のステップS117において電子カメラ1から転送された画像ファイルを受信する。次のステップS215では、ステップS200で受信したカメラIDに基づいて電子カメラ1のユーザを特定し、そのユーザがピクチャーバンクサーバ34においてユーザ登録済みであるか否かを判定する。ユーザ登録済みである場合はステップS216へ進み、まだユーザ登録をしていない場合はステップS217へ進む。なお、ユーザ登録の具体的な方法については、図6のフローチャートを用いて後で説明する。
【0105】
ステップS215においてユーザ登録済みであると判定された場合、ステップS216では、ユーザフォルダに画像ファイルを蓄積する。このユーザフォルダは、電子カメラ1から転送される撮影画像を記録するために、ユーザ登録時にピクチャーバンクサーバ34の記録装置において設定される記録領域である。ピクチャーバンクサーバ34は、ユーザ登録を行ったユーザごとに、ユーザフォルダとして所定の記録容量を記録装置内に割り当てる。なお、同じユーザに対して複数の電子カメラが登録された場合、ピクチャーバンクサーバ34は、その電子カメラの台数に応じた記録容量をユーザフォルダに対して割り当てる。このようにして、ユーザ登録が行われた後は、ユーザフォルダに撮影画像を記録する。ステップS216を実行したら、ピクチャーバンクサーバ34は図5のフローチャートを終了する。
【0106】
一方、ステップS215においてユーザ登録済みでないと判定された場合、ステップS217では、テンポラリフォルダに画像ファイルを蓄積する。このテンポラリフォルダは、電子カメラ1から転送される撮影画像を記録するために、ピクチャーバンクサーバ34の記録装置において予め設定されている記録領域である。ピクチャーバンクサーバ34は、電子カメラ1の個体ごとに、テンポラリフォルダとして所定の記録容量を記録装置内に予め割り当てている。このようにして、ユーザ登録が行われる前は、テンポラリフォルダに撮影画像を記録する。なお、ユーザ登録完了後は、それまでにテンポラリフォルダに記録された画像ファイルがユーザフォルダに移動される。
【0107】
ステップS218では、ユーザ登録を促すための電子メールをユーザの電子メールアドレスに送信する。この電子メールはウェルカムメールと呼ばれており、ユーザ登録を行うための登録ページへの接続情報として、登録ページのURL(Uniform Resource Locator)情報が含まれている。このとき、電子カメラ1より画像ファイル転送時に合わせて送信されるメールアドレスの情報に基づいて、送信先の電子メールアドレスを判断してウェルカムメールを送信する。こうしてステップS218を実行することで、ステップS217においてテンポラリフォルダに画像が記録されると、それに応じてウェルカムメールがユーザに送信される。ステップS218の実行後、ピクチャーバンクサーバ34は図5のフローチャートを終了する。
【0108】
なお、当該ユーザに対してウェルカムメールを既に送信していた場合は、ステップS218においてウェルカムメールを送信する際に、登録ページのURLを前とは異なる内容に書き換える。このようにして、ウェルカムメールを送信する度に、登録ページへの接続情報であるURLを変化させるようにする。さらに、過去に送信したウェルカムメールに記載されたURLを無効とし、今回送信する最新のウェルカムメールに記載されたURLのみを有効とする。これにより、過去のウェルカムメールを不正に入手した第三者がユーザに無断でユーザ登録を行おうとした場合にも、それを阻止することができる。
【0109】
以上説明したような転送画像蓄積処理を実行することにより、ピクチャーバンクサーバ34は、電子カメラ1から転送された画像を蓄積する。
【0110】
6.ユーザ登録処理
次に、ユーザ登録時のピクチャーバンク34の動作について説明する。図6は、このときピクチャーバンクサーバ34が実行するユーザ登録処理のフローチャートである。以下では、この図6のフローチャートにしたがって説明を行う。
【0111】
ステップS301では、ユーザ登録ページへの接続要求があったか否かを判定する。ユーザ登録ページへの接続要求は、ユーザがPC35を操作することにより、図5のステップS218でピクチャーバンクサーバ34から送信されたウェルカムメールをPC35において受信し、そのウェルカムメールに記載された登録ページのURLをクリック等して選択することにより行われる。この接続要求は、自宅アクセスポイント32およびインターネット33を介してピクチャーバンクサーバ34に入力される。
【0112】
ステップS302では、ステップS301の接続要求において指定されたURLが有効なURLであるか否かを判定する。前述したようにピクチャーバンク34は、図5のステップS218においてウェルカムメールの送信を行うときに、最新のURLのみを有効として過去のURLを無効化する。したがって、有効とされた最新のURLが接続要求において指定されている場合は、ステップS303へと進む。一方、無効化されたURLが接続要求において指定されている場合は、ステップS309へと進む。
【0113】
ステップS303では、インターネット33を介して接続されたPC35に対して、ユーザ登録ページを表示させるためのユーザ登録ページ情報を出力する。このユーザ登録ページ情報をPC35において受信することにより、PC35にユーザ登録ページが表示される。このユーザ登録ページでは、ユーザがPC35を操作することにより、パスワードや、ピクチャーバンクサーバ34において電子カメラ1を特定するためのキー情報などを、ユーザ登録情報として入力することができる。なお、キー情報は、電子カメラ1において所定の操作をすることにより表示されるものであり、電子カメラ1の個体ごとに固有の内容が表示される。
【0114】
ステップS304では、PC35においてユーザ登録情報が入力されたか否かを判定する。ユーザ登録情報が入力されるまではステップS304に留まり、入力されたらステップS305へ進む。
【0115】
ステップS305では、ステップS304でユーザに入力されたユーザ登録情報に基づいて、ユーザ登録を行う。このとき、ユーザ登録情報として入力された前述のキー情報に基づいて、当該ユーザの所有する電子カメラ1を特定し、その電子カメラ1と当該ユーザとを対応付けて登録する。そして、ユーザに入力されたユーザ登録情報の内容をピクチャーバンクサーバ34において記録する。
【0116】
ステップS306では、ステップS305でユーザ登録したユーザに対して、ピクチャーバンクサーバ34の記録装置内にユーザフォルダを作成する。このユーザフォルダには、所定の記録容量が割り当てられる。なお、前述したように、同じユーザに対して複数の電子カメラが登録されている場合は、その電子カメラの台数に応じた記録容量がユーザフォルダとして割り当てられる。
【0117】
ステップS307では、ステップS305でユーザ登録したユーザが所有する電子カメラ1に対して、ピクチャーバンクサーバ34の記録装置内に予め設定されたテンポラリフォルダについて、そのテンポラリフォルダに蓄積された画像ファイルがあるか否かを判定する。このとき、ユーザ登録情報として入力された前述のキー情報に基づいて、当該ユーザの所有する電子カメラ1が特定される。こうして特定された電子カメラ1に対して設定されているテンポラリフォルダに、その電子カメラ1から転送された画像ファイルが蓄積されている場合は、ステップS308へ進む。
【0118】
ステップS308では、テンポラリフォルダに蓄積された画像ファイルを、ステップS306で作成したユーザフォルダに移動する。これにより、ユーザ登録前にテンポラリフォルダに一時的に記録された画像が、ユーザごとに作成されたユーザフォルダへと移動される。ステップS308を実行したら、ピクチャーバンクサーバ34は図6のフローチャートを終了する。
【0119】
一方、ステップS307においてテンポラリフォルダに蓄積された画像ファイルがないと判定された場合、ピクチャーバンクサーバ34はステップS307を実行せずに図6のフローチャートを終了する。この場合、テンポラリフォルダからユーザフォルダへの画像の移動は行われない。
【0120】
また、ステップS302において、接続要求により指定されたURLが有効なURLではないと判定された場合、ステップS309では、エラーメッセージをPC35に対して出力する。このエラーメッセージを受信したPC35は、ユーザ登録ができない旨を表示してユーザに知らせる。ステップS309を実行したら、ピクチャーバンクサーバ34は図6のフローチャートを終了する。
【0121】
以上説明したようなユーザ登録処理を実行することにより、ピクチャーバンクサーバ34は、インターネット33を介して接続されたPC35からの登録指示に応じて、電子カメラ1のユーザ登録を行う。
【0122】
7.リセット処理
次に、ユーザ登録をリセットする際のピクチャーバンクサーバ34の動作について説明する。図7は、このときピクチャーバンクサーバ34が実行するリセット処理のフローチャートである。以下では、この図7のフローチャートにしたがって説明を行う。
【0123】
ステップS401では、ユーザのアンリンク指示が入力されたか否かを判定する。このアンリンク指示は、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34への撮影画像の転送を一時的に禁止するためにユーザが行う指示である。なお、アンリンク指示の入力は、インターネット33を介してピクチャーバンクサーバ34に接続されたPC35をユーザが操作することにより行われる。アンリンク指示の入力がなければステップS401に留まり、アンリンク指示の入力があったらステップS402へ進む。
【0124】
ステップS402では、電子カメラ1をアンリンク状態に設定する。これにより、ユーザのアンリンク指示に応じて、ユーザ登録時に行われた電子カメラ1とユーザとの対応付けが一時的に無効化される。こうして電子カメラ1がアンリンク状態に設定されているときに、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34へ撮影画像を転送しようとしても、前述したように図5のステップS201において使用可能なカメラではないと判定されるため、転送できなくなる。
【0125】
ステップS403では、電子カメラ1からリセット情報が送信されたか否かを判定する。このリセット情報は、電子カメラ1において所定のリセット操作がユーザにより行われ、その後に電子カメラ1とピクチャーバンクサーバ34とが無線LANを介して接続されると、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34へ自動的に送信されるものである。なお、電子カメラ1においてリセット操作が行われると、電子カメラ1は初期設定状態に戻される。このとき、電子カメラ1に登録されていたアクセスポイント情報、ニックネーム、メールアドレスなどが消去される。
【0126】
ステップS403において電子カメラ1からリセット情報が送信された場合、ステップS406へ進む。ステップS406では、ピクチャーバンクサーバ34において記録されているユーザ登録情報を消去する。これにより、電子カメラ1とユーザとの対応付けを解除して、ユーザ登録を取り消す。こうしてユーザ登録が取り消された後に、電子カメラ1からピクチャーバンクサーバ34へ撮影画像を転送すると、ユーザ登録前と同様に、その撮影画像はピクチャーバンクサーバ34においてテンポラリフォルダに蓄積される。ステップS406を実行したら、ピクチャーバンクサーバ34は図7のフローチャートを終了する。
【0127】
一方、ステップS403において電子カメラ1からリセット情報が送信されなかった場合は、ステップS404へ進む。ステップS404では、ステップS402でアンリンク状態に設定された電子カメラ1に対して、ユーザのリリンク指示が入力されたか否かを判定する。このリリンク指示は、電子カメラ1をアンリンク状態から元の登録状態に戻すためにユーザが行う指示である。ユーザは、誤って電子カメラ1をアンリンク状態に設定した場合や、他人に貸与する際に撮影画像の転送を禁止するため電子カメラ1をアンリンク状態に設定した場合などは、このリリンク指示を行うことにより、ピクチャーバンクサーバ34における電子カメラ1の状態を元の登録状態に戻すことができる。なお、リリンク指示の入力は、インターネット33を介してピクチャーバンクサーバ34に接続されたPC35をユーザが操作することにより行われる。
【0128】
ステップS404においてリリンク指示の入力がなければ、ステップS403へ戻ってリセット情報の送信の有無について判定を繰り返す。一方、リリンク指示の入力があったら、ステップS405へ進む。
【0129】
ステップS405では、ステップS402で設定したアンリンク状態を解除する。これにより、一時的に無効化された電子カメラ1とユーザとの対応付けが回復され、元の登録状態に戻る。ステップS405を実行したら、ピクチャーバンクサーバ34は図7のフローチャートを終了する。
【0130】
以上説明したようなリセット処理を実行することにより、ピクチャーバンクサーバ34は、インターネット33を介して接続されたPC35からのアンリンク指示に応じて、電子カメラ1のユーザ登録を一時的に無効化する。さらに、PC35からのリリンク指示に応じて、一時的に無効化されたユーザ登録を回復する。
【0131】
8.転送中断画像保管処理
次に、電子カメラ1からの画像転送が中断された場合のピクチャーバンクサーバ34の動作について説明する。図8は、このときピクチャーバンクサーバ34が実行する転送中断画像保管処理のフローチャートである。この図8のフローチャートにしたがって説明を行う。
【0132】
ステップS501では、電子カメラ1からの転送が中断された画像があるか否かを判定する。転送中断された画像がピクチャーバンクサーバ34にある場合はステップS502へ進み、ない場合はステップS503へ進む。なお、電子カメラ1からの画像転送の中断は、ユーザが転送中にキャンセルボタンを操作して自発的に行う場合と、電波環境の悪化等により無線LAN接続が維持できなくなった場合に発生する場合とがある。
【0133】
ステップS502では、転送中断された画像が動画像と静止画像のどちらであるかを判定する。動画像であると判定された場合はステップS503へ進む。ステップS503では、その動画像について中断前に転送済みの部分を保管する。このとき、ユーザ登録前であればテンポラリフォルダに記録して保管し、ユーザ登録後であればユーザフォルダに記録して保管する。
【0134】
一方、静止画像であると判定された場合はステップS504へ進む。ステップS504では、その静止画像について中断前に転送済みの部分を消去する。すなわち、静止画像については、中断前に転送済みの部分があっても、その部分を保管せずに消去する。ステップS503またはS504のいずれかを実行したら、ステップS505へ進む。
【0135】
ステップS505では、ステップS503で保管された動画像の転送済みの部分が、予め定められた所定の保管期限を過ぎたか否かを判定する。保管期限を過ぎた場合はステップS506へ進み、その保管された動画像の転送済みの部分を消去する。これにより、ピクチャーバンクサーバ34において動画像の転送済みの部分を保管するときには、所定期間だけ保管し、その期間の経過後に消去する。その結果、不要な動画像の転送済み部分が長期間蓄積されるのを防ぐことができる。ステップS506を実行したらステップS501へ戻り、上記のような処理を繰り返す。一方、ステップS505において保管期限を過ぎていないと判定した場合は、ステップS506を実行せずにステップS501へ戻る。
【0136】
なお、以上説明したようにして動画像の転送済みの部分を保管したときには、その分のデータ量がテンポラリフォルダまたはユーザフォルダの残り記録容量から差し引かれる。すなわち、電子カメラ1の個体ごとに、または電子カメラ1のユーザごとに、テンポラリフォルダまたはユーザフォルダとして予め割り当てられた記録容量から、そこに保管された動画像の転送済みの部分のデータ量を減じた値に基づいて、そこに静止画像または動画像を記録する際の合計データ量の上限値が定められる。このようにすることで、動画像の転送中断が大量に発生しても、ピクチャーバンクサーバ34は蓄積能力を維持することができる。
【0137】
以上説明したような転送中断画像保管処理を実行することにより、ピクチャーバンクサーバ34は、電子カメラ1による動画像の転送が中断された場合に、その動画像の転送済みの部分を所定期間だけ保管することができる。これにより、転送が中断された動画像を電子カメラ1に再転送させる際に、転送済みの部分を除いて途中から再転送させることができる。
【0138】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)電子カメラ1は、制御部17により、充電池4を充電するための電力が外部から供給されているか否かを判定し(ステップS1)、電力が供給されていると判定されたときに、無線LANモジュール部24により接続された無線LANを介して、撮影画像をピクチャーバンクサーバ34に転送することとした(ステップS117)。このようにしたので、ユーザが転送の指示をしなくても、適切なタイミングで電子カメラ1から撮影画像を転送することができる。
【0139】
(2)制御部17は、ステップS111において未転送の画像ファイルを選択するときには、撮影画像の各画像ファイルに対して設定されるアーカイブビットに基づいて、各画像ファイルについてピクチャーバンクサーバ34に転送済みであるか否かをそれぞれ判定する。そして、転送済みであると判定された画像ファイルを除いて、ピクチャーバンクサーバ34に転送する(ステップS117)こととした。このようにしたので、未転送の撮影画像を簡単に選択して転送することができる。
【0140】
(3)電子カメラ1は、操作部16の電源スイッチにより、電源をオンまたはオフのいずれかに切り替える。制御部17は、電子カメラ1の電源がオフであるか否かを判定し(ステップS2)、オフではないと判定されたときにはステップS12へ進む。これにより、電子カメラ1の電源がオンに切り替えられているときに、ステップS1において外部からの電力が供給されていると判定された場合、撮影画像の転送を禁止することとした。このようにしたので、電子カメラ1を外部電源動作に切り替えてユーザが操作する際には、必要のない撮影画像の転送を禁止することができる。
【0141】
(4)制御部17は、ステップS117において撮影画像をピクチャーバンクサーバ34に転送した後に、電子カメラ1の電源をオフする(ステップS14)こととした。このようにしたので、無駄な電力の消費を抑えることができる。
【0142】
(5)電子カメラ1は、操作部16によりユーザの入力操作を検出し、その入力操作に基づいて、制御部17によりアクセスポイント情報を設定する。このアクセスポイント情報に基づいて、さらに電子カメラ1は、制御部17の制御により、無線LANモジュール部24を公衆アクセスポイント31または自宅アクセスポイント32に接続させ、接続されたアクセスポイントを介して、撮影画像をピクチャーバンクサーバ34に転送する(ステップS117)こととした。このようにしたので、ユーザが転送先への接続に用いる設定情報を前もって端末から入力しなくても、電子カメラ1から撮影画像を転送することができる。
【0143】
(6)電子カメラ1は、ケーブルを介して接続されたPC35において設定されたアクセスポイント情報を、外部インタフェース部23によってPC35から受信する。制御部17は、さらにこのアクセスポイント情報に基づいて、無線LANモジュール部24を公衆アクセスポイント31または自宅アクセスポイント32に接続させることとした。このようにしたので、端末装置であるPC35からもアクセスポイント情報を設定することができる。
【0144】
(7)電子カメラ1は、予め登録されたフリープランのアクセスポイント情報をメモリ18により記憶する。制御部17は、さらにこのフリープランのアクセスポイント情報に基づいて、無線LANモジュール部24を公衆アクセスポイント31に接続させることとした。このようにしたので、アクセスポイント情報を設定しなくても、電子カメラ1から撮影画像を転送することができる。
【0145】
(8)メモリ18は、フリープランのアクセスポイント情報として、公衆アクセスポイント31に無料で接続するためのアクセスポイント情報を記憶していることとした。このようにしたので、電子カメラ1を公衆アクセスポイント31に無料で接続して撮影画像を転送することができる。
【0146】
(9)電子カメラ1から転送される撮影画像を記録するためのテンポラリフォルダとユーザフォルダとが、ピクチャーバンクサーバ34の記録装置において設定される。ピクチャーバンクサーバ34は、ユーザの登録指示に応じて電子カメラ1のユーザ登録を行い(ステップS305)、このユーザ登録が行われる前は、テンポラリフォルダに撮影画像を記録し(ステップS217)、ユーザ登録が行われた後は、それまでにテンポラリフォルダに記録された撮影画像をユーザフォルダに移動して(ステップS308)、ユーザフォルダに撮影画像を記録する(ステップS216)こととした。このようにしたので、ピクチャーバンクサーバ34において、電子カメラ1から転送された撮影画像をユーザごとに適切に分けて記録することができる。
【0147】
(10)ピクチャーバンクサーバ34は、テンポラリフォルダに撮影画像が記録されると、ユーザ登録を促すための電子メールであるウェルカムメールを送信する(ステップS218)こととした。このようにしたので、まだユーザ登録をしていないユーザに対して、ユーザ登録するように促すことができる。
【0148】
(11)ピクチャーバンクサーバ34は、ステップS218では、電子カメラ1から撮影画像と共に送信されるメールアドレス情報に基づいて、ウェルカムメールを送信することとした。このようにしたので、ウェルカムメールをユーザのメールアドレスに宛てて確実に送信することができる。
【0149】
(12)ステップS218でピクチャーバンクサーバ34が送信するウェルカムメールは、ユーザ登録を行うための登録ページへの接続情報として、登録ページのURLを含むこととした。このようにしたので、ウェルカムメールを受信したユーザは、簡単にユーザ登録を行うことができる。
【0150】
(13)また、ピクチャーバンクサーバ34は、ステップS218では、ウェルカムメールを送信する度に登録ページのURLを変化させ、過去に送信したURLを無効化することとした。このようにしたので、過去のウェルカムメールを不正に入手した第三者がユーザに無断でユーザ登録を行おうとした場合にも、それを阻止することができる。
【0151】
(14)ピクチャーバンクサーバ34の記録装置は、テンポラリフォルダに対しては電子カメラ1の個体ごとに所定の記録容量を割り当て、ユーザフォルダに対してはユーザ登録を行ったユーザごとに所定の記録容量を割り当てることとした。このようにしたので、テンポラリフォルダとユーザフォルダのそれぞれに対して、適切に記録容量を割り当てることができる。
【0152】
(15)また、一人のユーザに対して複数の電子カメラ1が登録された場合、ピクチャーバンクサーバ34の記録装置は、その電子カメラの台数に応じた記録容量をユーザフォルダに対して割り当てることとした。このようにしたので、複数の電子カメラを所有するユーザに対して、その台数に応じてユーザフォルダの記録容量を増やすことができる。
【0153】
(16)ピクチャーバンクサーバ34は、ステップS304においてユーザに入力されたユーザ登録情報に基づいて、電子カメラ1と当該ユーザとを対応付けて登録する(ステップS305)。このようにしたので、ピクチャーバンクサーバ34において、電子カメラ1から転送された撮影画像をユーザごとに適切に分けて記録することができる。
【0154】
(17)ピクチャーバンクサーバ34は、ユーザのアンリンク指示が入力されると(ステップS401)、そのアンリンク指示に応じて、電子カメラ1とユーザとの対応付けを無効化するアンリンク状態の設定を行う(ステップS402)。そして、このアンリンク状態の設定が行われているときには、ピクチャーバンクサーバ34は、電子カメラ1からの撮影画像の転送を受け付けないこととした。このようにしたので、ユーザはピクチャーバンクサーバ34に対して、電子カメラ1からの撮影画像の転送を一時的に禁止するよう指示することができる。
【0155】
(18)ピクチャーバンクサーバ34は、ステップS402においてアンリンク状態の設定が行われているときに、電子カメラ1からリセット情報が送信されると(ステップS403)、電子カメラ1とユーザとの対応付けを解除してユーザ登録を取り消す(ステップS406)こととした。このようにしたので、電子カメラ1からのリセット情報の送信に応じて、ピクチャーバンクサーバ34における電子カメラ1の状態をユーザ登録前と同様の状態に戻すことができる。
【0156】
(19)ピクチャーバンクサーバ34は、ユーザのリリンク指示が入力されると(ステップS404)、そのリリンク指示に応じて、アンリンク状態の設定を解除して、無効化された電子カメラ1とユーザとの対応付けを回復させる(ステップS405)こととした。このようにしたので、ユーザは、誤って電子カメラ1をアンリンク状態に設定した場合や、他人に貸与する際に撮影画像の転送を禁止するため電子カメラ1をアンリンク状態に設定した場合などに、ピクチャーバンクサーバ34における電子カメラ1の状態を元の登録状態に戻すことができる。
【0157】
(20)電子カメラ1は、無線LANモジュール部24により無線LANに接続し、接続された無線ネットワークを介して、制御部17により、静止画像または動画像をピクチャーバンクサーバ34に転送する(ステップS117)。このとき電子カメラ1は、転送を中断された動画像を再転送する場合は、中断前に転送済みの部分を除いて再転送することとした。このようにしたので、動画像の転送が中断された場合に、その動画像の再転送に要する余分な通信時間や通信データ量の発生を低く抑えることができる。
【0158】
(21)電子カメラ1は、制御部17により、動画像の所定のデータ量ごとにエラーチェック情報を算出し(ステップS116)、ステップS117において動画像を転送する際に、算出されたエラーチェック情報をピクチャーバンクサーバ34に送信する。その後、ステップS117において転送を中断された動画像を再転送する場合、制御部17は、過去に送信されたエラーチェック情報に基づいてピクチャーバンクサーバ34が指定した部分を再転送することとした。このようにしたので、中断前に正常に転送された部分を除外して、中断された部分のみを確実に再転送することができる。
【0159】
(22)ピクチャーバンクサーバ34は、電子カメラ1の制御部17による動画像の転送が中断された場合、その動画像の転送済みの部分を予め定められた所定期間だけ保管する(ステップS503)。そして、所定期間の経過後に、保管された動画像の転送済みの部分を消去する(ステップS506)こととした。このようにしたので、ピクチャーバンクサーバ34において、不要な動画像の転送済み部分が長期間蓄積されるのを防ぐことができる。
【0160】
(23)ピクチャーバンクサーバ34の記録装置は、テンポラリフォルダとして電子カメラ1の個体ごとに割り当てられた記憶容量、または、ユーザフォルダとして電子カメラ1のユーザごとに割り当てられた記録容量から、ステップS503で保管された動画像の転送済みの部分のデータ量を減じた値に基づいて、電子カメラ1から転送される静止画像または動画像を記録する際の合計データ量の上限値を定めることとした。このようにしたので、動画像の転送中断が大量に発生しても、ピクチャーバンクサーバ34は蓄積能力を維持することができる。
【0161】
(24)ピクチャーバンクサーバ34は、電子カメラ1に対して、転送する画像ファイルを指定するための転送指示情報を送信する(ステップS213)。この転送指示情報において、ピクチャーバンクサーバ34は、転送を中断された動画像に対して、電子カメラ1から過去に送信されたエラーチェック情報に基づいて、その動画像について再転送する部分を電子カメラ1に対して指定することとした。このようにしたので、転送を中断された動画像において中断された部分のみを確実に再転送するように指定することができる。
【0162】
(25)電子カメラ1は、メモリ18により、無線LANモジュール部24を公衆アクセスポイント31に接続するために予め登録された複数種類のアクセスポイント情報を記憶する。そして、制御部17により、予め設定された電子カメラ1の仕向け先に基づいて、メモリ18により記憶された複数種類のアクセスポイント情報のうちいずれかを選択し、そのアクセスポイント情報に基づいて、無線LANモジュール部24を公衆アクセスポイント31に接続させ、接続された公衆アクセスポイント31を介して撮影画像をピクチャーバンクサーバ34に転送することとした。このようにしたので、電子カメラの仕向け先に応じて適切な公衆アクセスポイントを選択することができる。
【0163】
(26)メモリ18は、フリープランのアクセスポイント情報として、公衆アクセスポイント31に無料で接続するためのアクセスポイント情報を複数種類記憶していることとした。このようにしたので、電子カメラ1を公衆アクセスポイント31に無料で接続して撮影画像を転送することができる。
【0164】
なお、以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例に過ぎない。したがって、本発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の一実施の形態による画像転送システムの構成図である。
【図2】電子カメラにおいて実行されるピクチャーバンク転送処理のフローチャートの一部分である。
【図3】電子カメラにおいて実行されるピクチャーバンク転送処理のフローチャートのうち、図2に示した以外の部分である。
【図4】画像転送処理のフローチャートである。
【図5】ピクチャーバンクサーバにおいて実行される転送画像蓄積処理のフローチャートである。
【図6】ピクチャーバンクサーバにおいて実行されるユーザ登録処理のフローチャートである。
【図7】ピクチャーバンクサーバにおいて実行されるリセット処理のフローチャートである。
【図8】ピクチャーバンクサーバにおいて実行される転送中断画像保管処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0166】
1:電子カメラ 4:充電池
5:充電制御部 6:ACアダプター
16:操作部 17:制御部
18:メモリ 21:液晶ディスプレイ
23:外部インタフェース部 24:無線LANモジュール部
30:メモリカード 31:公衆アクセスポイント
32:自宅アクセスポイント 33:インターネット
34:ピクチャーバンクサーバ 35:PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワーク内のアクセスポイントに接続する無線通信手段と、
ユーザの入力操作を検出する操作部材と、
前記操作部材により検出された前記ユーザの入力操作に基づいて、前記無線通信手段を前記アクセスポイントに接続するためのアクセスポイント情報を設定するアクセスポイント情報設定手段と、
前記アクセスポイント情報設定手段により設定されたアクセスポイント情報に基づいて、前記無線通信手段を前記アクセスポイントに接続させる接続制御手段と、
前記無線通信手段により接続されたアクセスポイントを介して撮影画像をサーバに転送する転送制御手段とを備えることを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
ケーブルを介して接続された端末装置において設定されたアクセスポイント情報を前記端末装置から受信するアクセスポイント情報受信手段をさらに備え、
前記接続制御手段は、さらに前記アクセスポイント情報受信手段により受信されたアクセスポイント情報に基づいて、前記無線通信手段を前記アクセスポイントに接続させることを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子カメラにおいて、
予め登録されたアクセスポイント情報を記憶するアクセスポイント情報記憶手段をさらに備え、
前記接続制御手段は、さらに前記アクセスポイント情報記憶手段により記憶されたアクセスポイント情報に基づいて、前記無線通信手段を前記アクセスポイントに接続させることを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項3に記載の電子カメラにおいて、
前記アクセスポイント情報記憶手段は、公衆アクセスポイントに無料で接続するためのアクセスポイント情報を記憶していることを特徴とする電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−205710(P2008−205710A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38022(P2007−38022)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】