説明

電子時計

【課題】 駆動方向を1方向のみとする1つのモータで複数の指針を駆動する電子時計において、指針を所定位置に停止させることによって動作状態を表示する際に、その動作状態が変化したことの認識を可能とする。
【解決手段】 少なくとも2つの指針と、これら指針を駆動する駆動方向を一方向のみとする1つのモータを備える電子時計において、モータの駆動を制御する制御手段を有し、制御手段は、少なくとも1つの指針の複数の停止位置に停止させることによって複数の情報を表示する。制御手段が制御する指針制御状態は、通常時刻表示以外の情報を表示する第1の指針制御状態と、第1の指針制御状態が外部操作に基づいて完了したことを表示する第2の指針制御状態とを有する。第2の指針制御状態は少なくとも1つの指針を第1の停止位置と異なる第2の停止位置に停止させることにより、外部操作に基づいて第1の指針制御状態が完了したことを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計に関し、より詳細には、電子時計における制御状態を指針で表示する表示態様に関する。
【背景技術】
【0002】
高精度の時計を実現する電子時計として電波時計が知られている。電波時計は、国際標準時刻電波(以下標準電波という)を随時あるいは定期的に受信し、標準電波に含まれる時刻情報に表示時刻を自動修正するものであり、利用者による時刻合わせを要することなく高精度の時刻を表示することができる。なお、標準電波に含まれる時刻情報には、1分間の信号の中に、時・分・秒の情報の他に、月・日やサマータイム情報が含まれている。
【0003】
時・分・秒の情報や月・日・サマータイム情報等は、通常複数の指針が指示する位置によって表示が行われる。これら複数の指針は、複数のモータで駆動する形態の他に、1つのモータで駆動する形態が知られている。
【0004】
複数のモータで複数の指針を駆動する多モータ電波時計として、例えば、特許文献1,特許文献2が知られている。多モータ電波時計では、例えば3針を独立駆動することで、各指針を自由に駆動させることができる。
【0005】
電波時計では、標準電波を受信して表示時刻の自動修正を行う際に、その電波時計が現在、標準電波の受信状態にあることを利用者に知らせるために、秒針の表示位置の切り換えを行い、時刻表示状態から標準電波を受信中であることを表す所定位置に停止させている。
【0006】
このように指針を所定位置に停止させることによって、標準電波の受信状態にあることを表示する場合、標準電波を受信している間においては、少なくとも一つの指針(例えば、秒針)を停止することになる。
【0007】
複数のモータで複数の指針を駆動する形態では、各指針は独立して駆動させることができるため、秒針を所定位置に停止させることによって標準電波の受信状態を表示したとしても、その他の時針や分針を駆動させることによって現時時刻を表示させることができる。また、標準電波の受信状態が完了した場合には、停止していた秒針のみを早回しさせる等の動作を、他の時針や分針と独立して行うことによって、現時時刻への復帰を容易に行うことができる。
【0008】
電波時計は、上記した複数のモータを備える多モータ駆動の形態の他に、多数の指針を1つのモータで駆動する形態も考えられる。
【0009】
このような多針1モータの電波時計では、複数の各指針はそれぞれ独立して駆動することができないため、1つの指針を所定位置に停止させることによって標準電波を受信状態にあることを表示する場合には、この標準電波を受信している間には全ての指針が停止することになる。
【0010】
このとき、電波時計が備えるモータの駆動方向が1方向のみ可能であって、正転のみを行い逆転することができない構成である場合には、標準電波を受信している間の時間の進行を想定し、標準電波の受信が完了したときの表示時刻との差が少なくなるように、標準電波を受信状態にあることを表示する指針(例えば、秒針)を現在時刻よりも進んだ所定位置に予め進めて停止させている。この駆動方向を1方向のみとするモータは、電波時計のコストの削減や構成の簡略化等に好適である。
【特許文献1】特開2003−121571号
【特許文献2】特開2002−286874号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記したように、モータの駆動方向が1方向のみ可能であって、正転のみが可能で逆転することができない場合には、標準電波の受信状態にあることを表示する指針(例えば、秒針)を予め設定された所定位置に停止させることで標準電波を受信状態にあることを表示することはできるが、この受信状態が完了したことを利用者に認識させることができない場合がある。
【0012】
例えば、秒針を現在時刻よりも進んだ時刻位置に停止させた状態において、標準電波の受信を解除する操作を行った場合には、指針を逆転させることができないため、現在時刻が停止位置となるまで、秒針はその停止位置に停止したままとなる。
【0013】
また、解除操作を行った直後に、指針位置を現在時刻に復帰させるための早送り移動を行う仕様にした場合には、解除操作に対して指針がすぐに反応して早送り駆動されるため、受信動作が完了したことを認識することができるが、12時間弱の時間分について指針を早送りする必要があり、このような仕様は電池寿命の観点から好ましくない。
【0014】
そのため、利用者は、標準電波の受信を解除する操作を行ったにもかかわらず、秒針の動きを見ただけでは、標準電波の受信状態が解除されたのか、あるいは、標準電波の受信状態が継続しているのかを識別することができない。
【0015】
したがって、駆動方向を1方向のみとする1つのモータで複数の指針を駆動する電子時計において、指針を所定位置に停止させることによって動作状態を表示する際に、その動作状態が変化したことの認識を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、少なくとも2つの指針と、これら指針を駆動する駆動方向を一方向のみとする1つのモータを備える電子時計において、モータの駆動を制御する制御手段を有し、制御手段は、少なくとも1つの指針の複数の停止位置に停止させることによって複数の情報を表示する。
【0017】
制御手段が制御する指針制御状態は、通常時刻表示以外の情報を表示する第1の指針制御状態と、第1の指針制御状態が外部操作に基づいて完了したことを表示する第2の指針制御状態とを有している。
【0018】
第1の指針制御状態は少なくとも1つの指針を第1の停止位置に停止させることにより、通常時刻表示以外の情報を表示する。一方、第2の指針制御状態は少なくとも1つの指針を第1の停止位置と異なる第2の停止位置に停止させることにより、外部操作に基づいて第1の指針制御状態が完了したことを表示する。
【0019】
制御手段は、指針の停止位置を表示する動作状態に応じて変えて制御することによって、利用者はその動作状態の変化を指針の停止位置から認識することができる。
【0020】
第1の指針制御状態としては、標準電波の受信動作状態、あるいは選択動作状態、又はその両動作状態とすることができる。なお、標準電波の受信動作において正常に受信が行われた場合には、受信動作状態は外部操作に基づくことなく自動で完了する。
【0021】
標準電波は国際標準時刻電波あるいは日本標準時刻電波を意味し、日本標準時刻電波の場合には、福島を発信局とする周波数40kHzの電波と、佐賀を発信局とする周波数60kHzの電波が知られている。また、海外では、ドイツ,英国,アメリカにおいて発信され、各国で異なる周波数やデータ形式が採用されている。標準電波に含まれる時刻情報には、1分間の信号の中に、時・分・秒の情報の他に、月・日やサマータイム情報が含まれている。
【0022】
標準電波は、随時あるいは定期的に受信することができ、標準電波に含まれる時刻情報を用いて表示時刻の自動修正を行う。
【0023】
選択動作状態は、電子時計が備える各種機能が選択動作を含んでいる場合に、その選択を実行している動作状態である。このような機能として、例えば、夏時間を設定する機能や、時差時間を設定する機能がある。
【0024】
夏時間を設定する機能では、選択動作によって夏時間とするか否かを選択する。この夏時間による表示はDST表示と呼ばれ、夏時間によらない通常の表示を冬時間と呼ぶ場合もある。ここでは、通常の時刻表示に対して、早めた時刻を表示する場合を夏時間による表示とする。また、時差時間を設定する機能では、選択動作によって時差時間を選択する。
【0025】
ここでは、夏時間か否かを選択する動作状態を第1の選択動作状態とし、時差時間を選択する動作状態を第2の選択動作状態とする。
【0026】
なお、選択動作状態として、第1の選択動作状態と第2の選択動作状態の2つを定めているが、電子時計が備える他の機能に応じて他の選択動作状態を設定しても良い。
【0027】
また、選択動作状態は、第1の選択動作状態と第2の選択動作状態をそれぞれ単独に設定する他、第1の選択動作状態と第2の選択動作状態の2段階で設定することができる。2段階で設定する場合には、この2段階の選択順は何れを先としても良く、先に夏時間か否かを選択する動作状態とした後に、次に時差時間を選択する動作状態としても、あるいは先に時差時間を選択する動作状態とした後に、次に夏時間か否かを選択する動作状態としても良い。
【0028】
第1の指針制御状態において、標準電波の受信動作状態を表示する第1の停止位置と、選択動作状態を表示する第1の停止位置とは、それぞれ異なる停止位置とすることができる。各状態を表示する第1の停止位置を異ならせることによって、標準電波の受信動作状態と選択動作状態とを区別して表示し、利用者による識別を容易とすることができる。
【0029】
本発明において、第2の指針制御状態は、標準電波の受信動作状態の完了状態、あるいは選択動作状態の完了状態、又はその両動作の完了状態とすることができる。
【0030】
各動作状態の完了状態は、各動作が外部操作によって動作が完了した状態と、外部操作によって解除されて完了した状態の両各動作を含んでいる。
【0031】
例えば、選択動作状態の完了状態は、選択動作が外部操作によって実行され、夏時間か否かの選択や時差時間の選択が完了した状態と、選択動作が外部操作によって解除されてこれら選択が途中で中断して完了した状態の両状態を含む。
【0032】
選択動作が外部操作により実行されて完了した場合には、例えば、SET位置に設定される第2の停止位置に指針を停止させて表示することができる。また、受信動作が外部操作によって解除され、標準電波の受信が途中で中断して完了した場合には、例えば、NG位置に設定される第2の停止位置に指針を停止させて表示することができる。
【0033】
このように、選択動作状態が外部操作に基づいて完了状態となったことを表示する第2の停止位置を、選択動作が確定されたことを表示する停止位置と、選択動作が解除されたことを表示する停止位置とをそれぞれ異なる停止位置とすることで、各完了状態を識別することができる。
【0034】
受信動作状態において、受信動作が受動的な動作であるため、外部操作に基づく完了状態は、受信動作が外部操作によって解除され、標準電波の受信が途中で中断して完了した状態のみであるため、この場合の動作状態の完了状態は、外部操作によって解除されて完了した状態のみであり、動作が外部操作によって動作が完了した状態は含まれない。
【0035】
上記態様において、受信動作状態が外部操作によって完了状態となったことを表示する第2の停止位置と、選択動作状態が外部操作によって完了状態になったことを表示する第2の停止位置は、それぞれ異なる停止位置とすることで、各完了状態を識別することができる。
【0036】
また、上記の態様の他、受信動作状態が外部操作に基づく解除によって完了状態になったことを表示する第2の停止位置と、選択動作状態が外部操作に基づく解除によって完了状態になったことを表示する第2の停止位置とを、同一停止位置としてもよい。第2の停止位置を同一停止位置とする態様であっても、利用者は受信動作と選択動作をそれぞれ認識した状態であるため、十分に識別することができる。
【0037】
本発明において、第1の指針制御状態及び第2の指針制御状態を表示する指針は、秒針又は分針とすることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、駆動方向を1方向のみとする1つのモータで複数の指針を駆動する電子時計において、指針を所定位置に停止させることによって動作状態を表示する際に、その動作状態が完了したことを認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の電子時計について図を用いて詳細に説明する。
【0040】
図1は、本発明の電子時計による動作を説明するための概略動作図であり、図2〜図6はこの動作における指針の位置を示す表示例である。
【0041】
本発明の電子時計は、少なくとも2つの指針と、これらの指針を駆動する駆動方向を一方向のみとする1つのモータと、このモータの駆動を制御する制御手段を備える。ここでは、複数の指針として秒針、分針、時針の3針を備え、これらの指針は、正転のみを行い逆回転しない1つのモータで駆動されるものとする。
【0042】
電子時計が備える各種機能としてタイマー機能やアラーム機能等が知られ、また、標準電波を受信して時刻修正を行う電波時計では、標準電波の受信機能、時差に応じて時刻表示を修正する機能、DST表示と呼ばれる夏時間表示に合わせて時刻表示を修正する機能等が知られている。以下、夏時間表示をDST表示によって記述する。
【0043】
これら各種の機能は、自動設定の他に、利用者が電子時計に設けられたボタン等を操作することによって手動で設定するように構成されるものがある。例えば、上記した電波時計では、電子時計に設けられた所定のボタンに対して所定操作が実施されると、標準電波の受信動作、時差による時刻修正に係わる設定、DST表示に係わる設定等が開始される。なお、標準電波の受信動作は、手動で動作開始を行う他、予め設定された時刻や所定時間間隔毎に自動で受信することができ、これらを併用することができる。
【0044】
上記の受信動作や設定動作時には、指針を所定位置に停止させることによって、選択した動作が実行されていることを利用者が認識できるようにしている。停止動作を行わせる指針としては、例えば秒針を用いることができる。各種機能の動作状態や設定状態を、電子時計の時刻表示位置から選択した位置に対応させておき、各種機能の動作時に、この位置に1つの指針(例えば、秒針)を停止させることによって、各種機能の動作状態や設定状態を表示する。このとき、1つのモータで複数の指針を駆動する電子時計では、1つの指針を動作状態や設定動作の表示位置に停止させると、残りの指針もその時刻位置に停止することになる。
【0045】
この指針の制御は、電子時計が備える制御手段によって行われる。制御手段は、少なくとも1つの指針を所定の停止位置(以下、第1の停止位置とする)に停止させることにより、通常時刻表示以外の情報を表示する。この制御手段による第1の停止位置への制御状態を第1の指針制御状態とする。
【0046】
本発明の制御手段は制御状態として、上記の指針を第1の停止位置へ停止することにより通常時刻表示以外の情報表示を行う第1の指針制御状態に加えて、外部操作に基づいて第1の指針制御状態が完了したことを表示する第2の指針制御状態を備えることで、動作が実行中であるのか、あるいは外部操作に基づいて完了したのかを利用者に認識させることができる。制御手段は、この第2の指針制御状態の表示を、指針を第1の停止位置と異なる第2の停止位置に停止させることにより行うことができる。
【0047】
以下、図1に示す制御手段の動作例では、第1の指針制御状態として、標準電波の受信動作状態、及び選択動作状態の場合を示し、さらに、選択動作状態として、夏時間か否かを選択する第1の選択動作状態と、設定する時差時間を選択する第2の選択動作状態の場合を示している。また、第2の指針制御状態として、標準電波の受信動作状態の完了状態、及び選択動作状態の完了状態の場合を示している。
【0048】
なお、時刻表示面の所定の時刻位置には、表1に示すように、動作状態を表す記号が表示されている。
【0049】
【表1】

【0050】
「OK」は標準電波の受信が成功したことを表す記号であって“00”の位置に設けられ、「NG」は標準電波の受信が失敗したことを表す記号であって“30”の位置に設けられ、「RX」は標準電波を受信中であることを表す記号であって“38”の位置に設けられ、「0」は協定世界時(UTC)に対して時差が無いことを表す記号であって“05”の位置に設けられ、「+1」は時差が+1時間であることを表す記号であって“10”の位置に設けられ、「+2」は時差が+2時間であることを表す記号であって“15”の位置に設けられ、「+3」は時差が+3時間であることを表す記号であって“20”の位置に設けられ、「SET」は時差やDST表示の設定が完了したことを表す記号であって“25”の位置に設けられ、「ON」はDSTが設定されていないことを表す記号であって“55”の位置に設けられる。なお、この記号の表記や表記される位置は一例であり、任意に設定することができる。
【0051】
また、電子時計は、設定用のAボタン(以下K3と呼ぶ),Bボタン(以下K2と呼ぶ),Cボタン(以下K1と呼ぶ)等を備えている。なお、ここでは、K3とK2はプッシュ式のボタンとし、K1は押し引きによる切り替え式のボタンとする。
【0052】
図1において、制御手段は、通常運針(100)によって時刻表示を行っている。この通常運針時には、設定時刻や設定時間間隔に従って自動で標準電波を受信し、受信した標準電波が持つ標準時刻のデータに基づいて時刻修正を行う。
【0053】
はじめに、標準電波を受信する場合の動作形態について説明する。
【0054】
この通常運針(100)状態(図2(a))において、K2が押下されると、制御手段は秒針を早送りして「OK」位置に停止させることで前回の受信が正常に行われたことを表示し(図2(b))、秒針を早送りして「NG」位置に停止させることで前回の受信が失敗したことを表示する(111)(図2(c))。この表示状態が所定時間(例えば、5秒(図1ではA.R=5で表示))経過すると、通常運針100に戻って制御手段が内部で計時する計時時刻を表示する。「A.R」はオートリターン(自動的に時刻表示に復帰)の頭文字である。
【0055】
また、この表示状態において、前記所定時間内にK2が長押しされると(図1では○K2で表示)、制御手段は標準電波を強制的に受信する強制受信112を行う。この強制受信112は、通常運針(100)の状態でK2を長押しすることによっても行うことができる。
【0056】
強制受信(112)では、予め設定された時刻や時間間隔に係わらず、K2が長押しされることで、標準電波の受信動作を開始する。K2が長押しされると、制御手段は秒針を「RX」位置に停止させて、標準電波を受信中であることを表示する(図3(b))(112a)。制御手段は、標準電波を受信している間に、常時あるいは逐次受信状態を判定し、受信結果が確定したか否かを判定する(112b)。受信結果が未確定である場合には、秒針を早送りして再び「RX」位置に停止させる。早送りすることで、指針が表示する時刻を進めることによって、受信動作中に秒針を停止させることによる遅れを解消する。
【0057】
受信結果が確定した場合には、その受信結果に応じて(113)、秒針を「OK」位置あるいは「NG」位置に停止させる。受信が成功して標準電波を用いた時刻修正が行われた場合には、秒針を「RX」位置(図4(a))から「OK」位置(図4(b))に早送りで移動させて停止させる(114)。そして、制御手段が内部で計時していた計時時刻を標準電波で取得した標準時刻に基づく受信時刻に修正する。この「OK」位置の表示状態が所定時間(例えば、5秒(図1ではA.R=5で表示))経過すると、通常運針(100)に戻り、制御手段は標準電波で取得した標準時刻に基づく受信時刻を表示する。
【0058】
一方、受信が失敗して標準電波を用いた時刻修正が行われなかった場合には、秒針を「RX」位置(図4(a))から「NG」位置(図4(c))に移動させて停止させる(115)。この「NG」位置の表示状態が所定時間(例えば、5秒(図1ではA.R=5で表示))経過すると、通常運針100に戻り、制御手段は、制御手段が内部で計時していた計時時刻を修正せずに表示する(100)。
【0059】
また、強制受信(112)の動作中において、K2が長押しされると(図1では○K2で表示)、制御手段はこの外部操作によって強制受信の動作が解除され完了する。制御手段は、この外部操作によって強制受信が完了したことを、秒針を「RX」位置(図4(a))から「NG」位置(図4(c))に早送りで移動させて停止させることで表示する(115)。この外部操作に基づいて強制受信が完了したことを表示する動作態様は、本発明に特徴的な動作である。
【0060】
この「NG」位置の表示状態において、所定時間(例えば、5秒(図1ではA.R=5で表示))経過した場合においても、前記した受信を失敗した場合と同様に、通常運針(100)に戻り、制御手段は、制御手段が内部で計時していた計時時刻を修正せずに表示する(100)。
【0061】
次に、DST表示の設定及び時差時間の設定を行う場合の動作形態について説明する。なお、図1では、DST表示の設定と時差時間の設定の両設定を順次行う場合について説明する。図1では、DST表示の設定に続いて時差時間の設定を行う場合について示しているが、時差時間の設定に続いてDST表示の設定を行うこともできる。また、DST表示の設定あるいは時差時間の設定の何れかを行う態様としてもよい。
【0062】
通常運針(100)の状態(図2(a))において、K3が押下されると、制御手段は、秒針を早送りして時刻表示から「ON」位置あるいは「OFF」位置に停止させて、現在のDST表示状態を表示する(201)。現在DST表示が設定されている場合には、秒針を時刻表示(図5(a))から「ON」位置(図5(b))に停止させる。一方、現在DST表示が設定されていない場合には、秒針を時刻表示(図5(a))から「OFF」位置(図5(d))に停止させる。
【0063】
この状態においてK2が押下されると、制御手段はDST表示の切り替えを行い、秒針を「ON」位置(図5(b))から「OFF」位置(図5(c))に、あるいは、「OFF」位置(図5(d))から「ON」位置(図5(e))に早送りで移動する(202)。この秒針の移動によってDST表示の切り替えが行われたことを確認することができる。
【0064】
このDST表示の状態において、K2又はk3を操作せずに、又は最後にK2を操作してから所定時間(例えば、10秒(図1ではA.R=10で表示))経過した場合には、DST表示の切り替え動作あるいは時差修正を選択しなかったものと判断して、DSTの修正及び時差修正を行うことなく、通常運針(100)に戻って計時時刻によって時刻表示を行う。
【0065】
次に、秒針がDST表示を行っている状態において、K3が押下されると、制御手段は時差時間の設定動作に移行する。図6(a)は、DST表示から移行した状態を示し、制御手段は、このとき電子時計に設定されている時差時間を表す位置に秒針を早送りで移動して停止させる(203)。図6(a)は、時差時間として+1時間が設定されている場合には、秒針をDST表示の位置(「ON」位置あるいは「OFF」位置)から「+1」の位置に停止させる。
【0066】
ここで、K2が押下されると、制御手段は時差時間を変更する(204)。図6(b)は、現在設定されている+1時間の時差時間を+2時間の時差時間に変更した状態を示し、制御手段は秒針を「+1」の位置から「+2」の位置に早送りで移動して停止させる。さらに、時差時間を変更する場合には、K2の押下を繰り返す。
【0067】
この状態において、K3が長押しされると、制御手段は秒針を「SET」位置に移動して停止させて、DST表示の設定及び時差表示の設定を確定(図6(c))すると共にDST表示の設定や時差時間の設定等の選択動作が完了したことを表示し(205)、その後、通常運針(100)に戻って時差修正した時刻を表示する。
【0068】
この外部操作に基づいて、DST表示の設定や時差時間の設定等の選択動作が完了したことを表示する動作態様は、本発明に特徴的な動作である。
【0069】
また、この時差時間の表示状態において、K2又はK3の長押し操作をせずに、又は、最後にK2を押してから、所定時間(例えば、10秒(図1ではA.R=10で表示))経過した場合には、DST表示の切り替え動作あるいは時差修正を選択しなかったものと判断して、DSTの修正及び時差修正を行うことなく、通常運針(100)に戻って計時時刻によって時刻表示を行う(図6(d))。
【0070】
次に、図7〜図9のフローチャートを用いて、本発明の電子時計が行う動作を説明する。図7は標準電波を自動で受信する動作を説明するためのフローチャートであり、図8は標準電波を手動で受信する動作を説明するためのフローチャートであり、図9は選択動作(DST表示の設定及び時差時間の設定)を説明するためのフローチャートであり、いずれも電子時計内の制御手段が行う動作である。
【0071】
次に、図7のフローチャートを用いて、標準電波を自動で受信する動作例を説明する。
【0072】
図7のフローチャートにおいて、標準電波を自動で受信する場合には、予め設定された時刻あるいは予め設定された時間間隔毎に(S1)、制御手段は秒針を受信中であることを表示する「RX位置」に移動して停止させて(S2)、受信動作を行う(S3)。受信動作の間は、所定時間毎に秒針を回転させて、指針が表示する時刻を進めることによって、受信動作中に秒針を停止させることによる遅れを解消する(S4)。
【0073】
この受信動作中において、操作ボタン等の外部操作によって受信動作が途中でキャンセルされずに(S5)、受信が完了した場合には(S6)、受信結果を判定する。
【0074】
受信結果の判定において、受信が良好である場合には(S7)、受信した標準電波から標準時刻のデータを取得した受信時刻によって電子時計内の計時時刻を修正し(S8)、秒針を「OK位置」に早送りで移動させて停止させる(S9)。
【0075】
一方、受信が良好でない場合には(S7)、標準電波による時刻修正ができないため、秒針を「NG位置」に早送りで移動させて停止させる(S10)。
【0076】
この「OK位置」あるいは「NG位置」での停止状態が所定時間(例えば、5sec)経過した後(S11)、指針復帰処理(S100)を行った後、通常運針(S12)を行う。
【0077】
指針復帰処理(S100)は、指針が停止している時刻と電子時計が計時する計時時刻(あるいは受信時刻)との間にずれがある場合に、指針の駆動を制御して指針の位置を計時時刻に合わせる処理である。この処理は、秒針を含む複数の指針が、正転のみを行う1つのモータによって駆動される構成であることに起因している。
【0078】
その時点の指針位置が、現在時刻によりも所定時間以内(例えば、6分)で進んだ状態にあるときは(S100a)、指針を停止させた状態を保持して、計時時刻が進んで指針が示す時刻に達するまで待つ(S100b)。計時時刻が、指針が示す時刻に達した時点で通常運針を行う(S12)。
【0079】
また、その時点の指針位置が、現在時刻によりも所定時間(例えば、6分)よりも進んでいる状態、あるいは遅れているときは(S100a)、現在時刻となるまで指針を進める。なお、現在時刻よりも所定時間進んでいる状態には、指針をほぼ12時間分(12時間表示の場合)進めることで、時刻ずれを解消する動作である(S100c)。計時時刻が、指針が示す時刻に達した時点で通常運針を行う(S12)。
【0080】
なお、上記所定時間の時間幅は、指針を停止させて計時時刻が指針位置に達するまで待つことによって、指針の進みを解消する処理では、その処理の間において指針は停止したままとなるため、この停止状態を利用者が容認できる時間間隔から設定される。したがって、この所定時間として“6分”は一例に過ぎず、任意に設定することができる選択的事項である。
【0081】
また、受信動作中において、操作ボタン等の外部操作によって受信動作が途中でキャンセルされた場合は(S5)、標準電波による時刻修正ができないため、秒針を「NG位置」に早送りで移動して停止させる(S10)。
【0082】
次に、図8のフローチャートを用いて、標準電波を手動で受信する動作例を説明する。
【0083】
図8のフローチャートにおいて、標準電波を手動で受信する場合には、受信ボタンが押下されることによって受信動作が開始される(S21)。受信ボタンが押下されると、制御手段は秒針を受信中であることを表示する「RX位置」に移動して停止させて(S22)、受信動作を行う(S23)。受信動作の間は、所定時間毎に秒針を回転させて、指針が表示する時刻を進めることによって、受信動作中に秒針を停止させることによる遅れを解消する(S24)。
【0084】
この受信動作中において、操作ボタン等の外部操作によって受信動作が途中でキャンセルされずに(S25)、受信が完了した場合には(S26)、受信結果を判定する。
【0085】
受信結果の判定において、受信が良好である場合には(S27)、受信した標準電波から標準時刻のデータを取得した受信時刻によって電子時計内の計時時刻を修正し(S28)、秒針を「OK位置」に早送りで移動させて停止させる(S29)。
【0086】
一方、受信が良好でない場合には(S27)、標準電波による時刻修正ができないため、秒針を「NG位置」に早送りで移動して停止させる(S30)。
【0087】
この「OK」位置あるいは「NG」位置での停止状態が所定時間(例えば、5sec)経過した後(S31)、指針復帰処理(S100)を行った後、通常運針(S32)を行う。
なお、指針復帰処理、及び指針復帰処理中の所定時間は、図7に示すフローチャートで説明したものと同様である
【0088】
また、受信動作中において、操作ボタン等の外部操作によって受信動作が途中でキャンセルされた場合は(S25)、標準電波による時刻修正ができないため、秒針を「NG位置」に早送りで移動して停止させる(S30)。
【0089】
次に、図9を用いて、選択動作(DST表示の設定及び時差時間の設定)を説明する。なお、図9に示すフローチャートは、DST表示の設定の後に時差時間の設定を行う場合を示しているが、時差時間の設定の後にDST表示の設定を行っても良い。
【0090】
図9のフローチャートにおいて、選択動作を行う場合には、はじめにDST表示への移行ボタン(図1中のK3)が押下されることによって選択動作が開始される(S51)。移行ボタン(図1中のK3)が押下されると、制御手段は秒針をDST表示位置(「ON位置」又は「OFF」位置)に早送りで移動して停止させる(S52)。上記選択動作が選択されたままで所定時間が経過した場合には(S53)、オートリターンして前記した指針復帰処理(100)を行った後、通常運針(S64)を行う。
【0091】
S53のオートリターンからS100の指針復帰処理に移行してS100bの処理を経由する場合には、S100bでの秒針停止中に、有効ボタンが押下されたら、S54aで有効ボタンが押下されたと見なして、S54bの処理を行うようにしてもよい。
【0092】
前記所定時間が経過していなければ、有効ボタン(図1中のK2又はK3)が押下されたか否かを確認し(S54a)、有効ボタンが押下されていなければ所定時間が経過してか否かの確認処理(S53)に戻る。
【0093】
所定時間内に有効ボタンが押下され(S54a)、それが図1中のK2ボタンであった場合(S54b)、制御手段はDST表示の切り替え処理を行って(S56)、秒針の停止位置を「ON位置」と「OFF位置」との間で切り替えを行う(S57)。
【0094】
押下された有効ボタンが図1中のK2ボタンでない場合(S54b)、押下されたボタンはもう一つの有効ボタンであるDSTへの移行ボタン(図1中のK3)であり、秒針を時差位置に早送りで移動して(S55)、次のBの工程で時差時間の設定を行う。
【0095】
所定時間内(S58)に有効ボタン(図1中のK2又はK3の長押し)が押下され(S59a)、それが図1中のK2ボタンであった場合(S59b)、制御手段は時差時間の切り替え処理によって、秒針を例えば「+1」位置から「+2」位置に早送りで移動させて(S60)、+1時間分の時差時間の切り替えを行う。時差時間をさらに加える場合には、前記動作(S58〜S60)を繰り返す。
【0096】
押下された有効ボタンが図1中のK2ボタンでない場合(S59b)、押下されたボタンはもう一つの有効ボタンである確定ボタン(図1中のK3の長押し)であり、DST表示の設定及び時差時間の切り替え内容に応じて計時時刻を修正し(S61)、秒針を「SET移動」に早送りで移動して停止させ(S62)、所定時間経過した後(S63)、前記した指針復帰処理(100)を行った後、通常運針(S64)を行う。
【0097】
また、上記時差時間の設定動作が選択されたままで所定時間が経過した場合においても(S58)、オートリターンして前記した指針復帰処理(100)を行った後、通常運針(S64)を行う。
【0098】
次に、本発明の第2の態様について図10〜図12を用いて説明する。
【0099】
図10に示す構成は、前記図1で示した構成において受信動作については同様であり、DST表示の設定、時差時間の設定から設定状態を解除することができる例であり、解除時には「NG」を表示する例である。なお、図10の構成では、DST表示の設定及び時差時間の解除は独立して行うことができるが、時差時間の設定についてはDST表示の設定を経た後の2段階により行う。
【0100】
そこで、ここでは、DST表示の設定及び時差時間の設定を行う場合の動作形態についてのみ説明する。なお、図11はこの動作における指針の位置を示す表示例である。図示しないK4ボタンが、例えば8時位置に追加されている。
【0101】
通常運針(100)の状態において、K3が押下されると、制御手段は、秒針を時刻表示から「ON」位置あるいは「OFF」位置に早送りして停止させて、現在のDST表示状態を表示する(201) (図11(a))。
【0102】
現在のDST表示が設定されている場合には、秒針を時刻表示から「ON」位置(図11(a))に停止させる。一方、現在DST表示が設定されていない場合には、秒針を時刻表示から「OFF」位置に早送りして停止させる。
【0103】
この状態においてK2が押下されると、制御手段はDST表示の切り替えを行い、秒針を「ON」位置(図11(a))から「OFF」位置に、あるいは、「OFF」位置から「ON」位置に早送りして移動する(202)。この秒針の移動によってDST表示の切り替えが行われたことを確認することができる。
【0104】
このDST表示の状態において、K2,K3,K4を押下せずに、又はK2を最後に押下してから所定時間(例えば、10秒(図10ではA.R=10で表示))経過した場合には、DST表示の切り替え動作あるいは時差修正を選択しなかったものと判断して、DSTの修正及び時差修正を行うことなく、通常運針(100)に戻って計時時刻によって時刻表示を行う。
【0105】
さらに、このDST表示の設定状態において、K4が押下されると、制御手段はDST表示の設定及び時差設定を行うことなくそのまま選択動作を終了し、秒針を早送りで「NG」位置に停止させ(206)(図11(b))、DST表示及び時差の何れについても修正を行うことなく、計時時刻で通常運針(100)を行う。
【0106】
次に、秒針がDST表示を行っている状態において、K3が押下されると、制御手段は時差時間の設定動作に移行する。図11(c)は、DST表示から移行した状態を示し、制御手段は、このとき電子時計に設定されている時差時間を表す位置に秒針を停止させる(203)。図11(c)は、時差時間として1時間が設定されている場合には、秒針をDST表示の位置(「ON」位置あるいは「OFF」位置)から「+1」の位置に停止させる。
【0107】
ここで、K2が押下されると、制御手段は時差時間を変更する(204)。現在設定されている1時間の時差時間を2時間の時差時間に変更した場合には、制御手段は秒針を「+1」の位置から「+2」の位置に移動して停止させる。さらに、時差時間を変更する場合には、K2の押下を繰り返す。
【0108】
この状態において、K3が長押しされると、制御手段は秒針を「SET」位置に移動して停止させて、DST表示の設定及び時差表示の設定を確定し(205)、その後、通常運針(100)に戻って時差修正した時刻を表示する。
【0109】
また、上記状態において、K4が押下されると、制御手段は秒針を「NG」位置に移動して停止させて、時差時間の設定をキャンセルし、秒針を「NG」位置に停止させ(206)(図11(d))、DST表示及び時差の何れについても修正を行うことなく、計時時刻で通常運針(100)を行う。
【0110】
このK4の押下による外部操作に基づいて、DST表示の設定や時差時間の設定等の選択動作をキャンセルして完了したことを表示する動作態様は、本発明に特徴的な動作である。
【0111】
なお、この時差時間の表示状態において、K2,K4の押下やK3の長押しをせずに、又はK2を最後に押下してから所定時間(例えば、10秒(図1ではA.R=10で表示))経過した場合には、DST表示の切り替え動作あるいは時差修正を選択しなかったものと判断して、DSTの修正及び時差修正を行うことなく、通常運針(100)に戻って計時時刻によって時刻表示を行う。
【0112】
図12のフローチャートは、前記図9のフローチャート中のDST表示の設定(Aの工程)及び時差時間の設定(Bの工程)について、第2の態様の例を示している。
【0113】
DST表示の設定(Aの工程)において、所定時間内に有効ボタン(図10中のK2,K3,K4のいずれか)が押下され(S54c)、当該ボタンが復帰ボタン(K4)である場合には(S54d)、オートリターンによって指針復帰処理(100)を行った後、通常運針(S64)を行う。
【0114】
有効ボタンがDSTを切り替えるボタンK2である場合(S54e)には、DST表示の切り替えを行い(図9中のS56)、K3が押下された場合には(S54e)、秒針を時差位置に移動する(図9中のS55)。
【0115】
また、時差時間の設定(Bの工程)において、所定時間内に有効ボタン(図10中のK2,K3長押し,K4のいずれか)が押下され(S59c)、当該ボタンが復帰ボタン(K4)である場合には(S59d)、オートリターンによって指針復帰処理(100)を行った後、通常運針(S64)を行う。
【0116】
有効ボタンが確定ボタン(K3長押し)でない場合(S59e)には、押下されたのはK2ボタンであり、秒針を移動し(図9中のS60)、確定ボタンのK3が長押しされた場合には(S59e)、図9のフローチャートに示すように、DST表示の設定及び時差時間の切り替え内容に応じて計時時刻を修正し(S61)、秒針を「SET移動」に移動して停止させ(S62)、所定時間経過した後(S63)、前記した指針復帰処理(100)を行った後、通常運針(S64)を行う。
【0117】
図1,図10で示した構成では、選択動作においてDST表示の設定と時差時間の設定との2段階で行う例を示しているが、それぞれ独立して行うこともできる。
【0118】
例えば図10において、通常運針の状態(S100)からボタン操作K3によってDSTの設定状態(S201)となり、K3以外の所定のボタン操作をしたときに時差設定状態(S203)となるようにする。そして、DSTの設定状態(201)において、K2ボタンでDSTのON/OFF切り替えを行い、所定のボタン操作で、DSTの設定を確定し、確定表示(秒針によるSET表示)を経由して、通常運針にもどるようにする。また、時差設定の状態(S203)において、K2ボタンで時差選択を行い(S204)、所定にボタン操作で、選択した時差を確定し、確定表示(秒針によるSET表示)を経由して、通常運針に戻るようにする。
【0119】
図13は、本発明の電子時計の回路の一形態のブロック図である。図13中の破線で囲む計時回路1は、時計が維持する計時時刻を生成する。一構成例では、水晶発振器等で構成される発振回路1a、この発振回路1aの出力信号を1秒周期の秒信号まで分周する分周回路1b、その秒信号を計数して分信号を生成する秒カウンタ1c、分信号から時信号を生成する分カウンタ1d、時信号から日信号を生成する時カウンタ1eを備える。
【0120】
これらの秒カウンタ1c、分カウンタ1d、時カウンタ1eは、受信回路8で受信した標準電波含まれる時刻情報に基づいて時刻信号作成回路9で作成した時刻信号によって修正される。
【0121】
時・分・秒輪列4は、時針、分針、秒針が歯車列によって連結された機構であり、ステップ動作するモータ3の出力軸に直結されている。モータ制御回路2は、計時回路1からの計数に基づいてモータ3を制御する。また、モータ制御回路2の出力信号は時分秒針位置カウンタ6で計数され、指針の位置に対応した計数値が保持される。
【0122】
比較回路7は、時分秒針位置カウンタ6で計数する計数値から得られる計時時刻と、時刻信号作成回路9によって修正された秒カウンタ1c,分カウンタ1d,時カウンタ1eから得られる計時時刻とを比較し、比較結果に基づいて計時時刻が標準時刻となるようにモータ制御回路2を制御する。これによって、標準電波による時刻修正が行われる。
【0123】
外部操作スイッチ11は、前記したボタンA〜C(K1〜K3)に対応し、前記した受信動作、DST表示設定、時差時間設定等の選択動作を指示する。モード信号生成か10は、これらの外部操作スイッチ11からの指示信号に基づいて、受信回路8やモータ制御回路2を制御する。
【0124】
上記した本発明の電子時計の動作を、以下の表2,3を用いて総括して説明する。
【0125】
本発明の電子時計は、所定動作を実行していることを、指針によって表示する制御状態を第1の指針制御状態とし、この制御状態を外部操作で完了させる制御状態を第2の指針制御状態とする。
【0126】
【表2】

【0127】
【表3】

【0128】
表2は、この所定動作が標準電波の受信動作である場合を表している。この標準電波の受信動作では、第1の指針制御状態において、標準電波の受信動作状態であることを、秒針等の指針を第1の停止位置である「RX」位置に停止させることで表示する。そして、第2の指針制御状態において、外部操作によって標準電波の受信動作の完了状態であることを、秒針等の指針を第2の停止位置である「NG」位置に停止させることで表示する。
【0129】
また、表3は、上記所定動作がDST表示や時差時間を設定する選択動作である場合を表している。この選択動作では、第1の指針制御状態において、選択動作状態であることを、秒針等の指針を第1の停止位置であるDST表示位置(「ON」位置、「OFF」位置)、あるいは時差表示位置(「+1」位置〜「+3」位置)に停止させることで表示する。そして、第2の指針制御状態において、外部操作によって選択動作の完了状態であることを、秒針等の指針を第2の停止位置である「SET」位置、あるいは「NG」位置に停止させることで表示する。
【0130】
上記第2の指針制御状態を備えることによって、外部操作によって指針の制御状態が変化したことを認識することができる。
【0131】
なお、時計表示面上において指針を停止させる位置は、上記した例に限らず任意の位置に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の電子時計は、標準電波の受信状態や、DST表示の設定や時差時間の設定の選択動作に限らず、外部操作によって設定する種々の設定動作に適用することができる。
【0133】
また、本発明の電子時計は電波時計に限らず、他の形態の電子時計に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の電子時計による動作を説明するための概略動作図である。
【図2】本発明の電子時計による動作を説明するための指針位置を示す表示例の図である。
【図3】本発明の電子時計による動作を説明するための指針位置を示す表示例の図である。
【図4】本発明の電子時計による動作を説明するための指針位置を示す表示例の図である。
【図5】本発明の電子時計による動作を説明するための指針位置を示す表示例の図である。
【図6】本発明の電子時計による動作を説明するための指針位置を示す表示例の図である。
【図7】標準電波を自動で受信する動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】標準電波を手動で受信する動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】選択動作(DST表示の設定及び時差時間の設定)を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の電子時計の第2の態様による動作を説明するための概略動作図である。
【図11】本発明の電子時計の動作における指針の位置を示す表示例である。
【図12】DST表示の設定(Aの工程)及び時差時間の設定(Bの工程)の第2の態様の例を示しフローチャートである。
【図13】本発明の電子時計の回路の一形態のブロック図である。
【符号の説明】
【0135】
1 計数回路
1a 発振回路
1b 分周回路
1c 秒カウンタ
1d 分カウンタ
1e 時カウンタ
2 モータ制御回路
3 モータ
4 時・分・秒輪列
5 時針・分針・秒針
6 時分秒位置カウンタ
7 比較回路
8 受信回路
9 時刻信号作成回路
10 モード信号作成回路
11 外部操作スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの指針と、
前記指針を駆動する駆動方向を一方向のみとする1つのモータと、
前記モータの駆動を制御する制御手段を有する電子時計であって、
前記制御手段は、
少なくとも1つの指針を第1の停止位置に停止させることにより、通常時刻表示以外の情報を表示する第1の指針制御状態と、
少なくとも1つの指針を前記第1の停止位置と異なる第2の停止位置に停止させることにより、外部操作に基づく前記第1の指針制御状態の完了を表示する第2の指針制御状態との制御状態を有することを特徴とする、電子時計。
【請求項2】
前記第1の指針制御状態は、標準電波の受信動作状態、及び/又は選択動作状態であることを特徴とする、請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記選択動作状態は、夏時間か否かを選択する第1の選択動作状態、及び/又は、設定する時差時間を選択する第2の選択動作状態であることを特徴とする、請求項2に記載の電子時計。
【請求項4】
前記選択動作状態は、前記第1の選択動作状態と第2の選択動作状態の2段階であり、当該2段階の選択順は同順又は逆順であることを特徴とする、請求項3に記載の電子時計。
【請求項5】
前記標準電波の受信動作状態を表示する第1の停止位置と、前記選択動作状態を表示する第1の停止位置とは、それぞれ異なる停止位置であることを特徴とする、請求項2に記載の電子時計。
【請求項6】
前記第2の指針制御状態は、標準電波の受信動作状態の完了状態、及び/又は選択動作状態の完了状態であることを特徴とする、請求項1に記載の電子時計。
【請求項7】
前記受信動作状態が完了状態にあることを表示する第2の停止位置と、前記選択動作状態が完了状態にあることを表示する第2の停止位置は、それぞれ異なる停止位置であることを特徴とする、請求項6に記載の電子時計。
【請求項8】
前記選択動作状態が外部操作に基づいて完了状態となったことを表示する第2の停止位置は、
前記選択動作が確定されたことを表示する停止位置と、前記選択動作が解除されたことを表示する停止位置との、2つの異なる停止位置を有することを特徴とする、請求項6に記載の電子時計。
【請求項9】
前記受信動作状態が外部操作に基づく解除によって完了状態になったことを表示する第2の停止位置と、
前記選択動作状態が外部操作に基づく解除によって完了状態になったことを表示する第2の停止位置は、同一停止位置であることを特徴とする、請求項6に記載の電子時計。
【請求項10】
前記第1の指針制御状態及び第2の指針制御状態を表示する指針は秒針又は分針であることを特徴とする、請求項1乃至9の何れかに記載の電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−258740(P2006−258740A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79803(P2005−79803)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000001960)シチズン時計株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】