説明

電子機器及び画像形成装置

【課題】消費電力を抑えつつ、外部電源から内部電源に供給される電圧が下がることにより、内部電源から供給される電圧が許容範囲を下回ることを防止する。
【解決手段】画像処理プロセッサー10はコア電源18,20及びロードスイッチ14を備えるICチップである。DC−DCコンバーター40はコア電源18,20に電圧を供給する外部電源である。コア電源18はロードスイッチ14がオンの状態及びオフの状態のいずれの場合でも、DC−DCコンバーター40から電圧が供給される。コア電源20はロードスイッチ14をオンの状態にすることにより、DC−DCコンバーター40と接続されて電圧が供給され、ロードスイッチ14をオフの状態にすることにより、DC−DCコンバーター40と遮断されて電圧が供給されない。DC−DCコンバーター40はロードスイッチ14がオンの状態のときに出力される電圧の値が、ロードスイッチ14がオフの状態のときに出力される電圧の値より大きくなるように、出力する電圧を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の内部電源を有するICチップを含む電子機器及びそれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チップの外部から供給される電圧を、チップの内部回路の動作に必要な電圧に変換して、内部回路に供給する内部電源が形成されたチップとして、安定化電源回路が形成されたチップが提案されている(例えば、特許文献1参照)。安定化電源回路は抵抗分割回路、差動増幅器及び複数のパワーブロックを備える。抵抗分割回路は外部から供給される電圧を分圧し、差動増幅器はその分圧された電圧と基準電圧とを比較する。複数のパワーブロックはその比較結果に基づいて制御される。以上により、安定化電源回路は電圧を安定化して、内部回路に供給する。
【0003】
また、チップの外部から供給される電圧を、内部コア回路に供給する電圧とI/Oバッファに供給する電圧とに分けたチップが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−209380号公報
【特許文献2】特開2007−81364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリンターや複合機のような画像形成装置では、省エネルギー化のために、様々な対策が取られている。例えば、画像形成装置の制御基板について、画像形成装置の動作の状況に応じて、電源から電圧を供給することを部分的に遮断することにより、制御基板の消費電力を下げる技術が提案されている。
【0006】
さらに、制御基板に実装されるICチップについて、ICチップに含まれる複数の内部電源のうち、ICチップの回路の動作の状況に応じて、一つ又は二つ以上の内部電源に対して外部電源から電圧が供給されるのを遮断する技術が提案されている。例えば、外部電源から電圧が常時供給される第1のコア電源と、CPUコアの使用の状況に応じて、外部電源から電圧が供給される場合と供給されない場合とがある第2のコア電源と、を含むICチップが提案されている。
【0007】
ICチップが、外部電源から電圧が常時供給される第1の内部電源と、状況に応じて外部電源から電圧が供給される場合と供給されない場合とがある第2の内部電源と、を含む構成を実現する態様として、以下の二つの態様が考えられる。
【0008】
一つ目の態様は、外部電源を二つ用意し、第1の外部電源が第1の内部電源に電圧を供給し、第2の外部電源が第2の内部電源に電圧を供給する。この態様では、外部電源の数が増えるので、制御基板の面積が大きくなり、かつコストが上昇する。
【0009】
二つ目の態様は、MOS電界効果トランジスターのようなスイッチング素子をICチップに形成し、スイッチング素子を介さないで第1の内部電源を外部電源と接続し、スイッチング素子を介して第2の内部電源を外部電源と接続する。この態様によれば、第1及び第2の内部電源に電圧を供給する外部電源を一つにすることができるので、外部電源の数が増えない。しかし、二つ目の態様は以下の課題を有する。
【0010】
CPUの高速化の要請により、CPUのクロック周波数が高くなり、かつCPUが高集積化している。これにより、CPUから発生する熱が多くなるので、CPUから発生する熱を少なくするために、内部電源の低電圧化が進んでいる。
【0011】
内部電源が低電圧化すると、内部電源から供給される電圧の許容範囲が狭くなる。例えば、内部電源から供給される電圧の±10%を許容範囲とした場合、内部電源が3.0Vであれば、内部電源から供給される電圧として、2.7V〜3.3Vが許容範囲となる。これに対して、内部電源が1.0Vであれば、内部電源から供給される電圧として、0.9V〜1.1Vが許容範囲となる。
【0012】
MOS電界効果トランジスターのようなスイッチング素子をオンさせると、オン抵抗が生じる。従って、上記二つ目の態様のように、スイッチング素子を介して外部電源と第2の内部電源とを接続すれば、このオン抵抗で生じる電圧降下により、外部電源から第2の内部電源に供給される電圧が下がる。この結果、第2の内部電源から供給される電圧が、許容範囲を下回るおそれがある。
【0013】
スイッチング素子のオン抵抗による電圧降下を補うために、スイッチング素子がオン状態及びオフ状態を問わずに、一律、外部電源から第1及び第2の内部電源に供給する電圧を上げると、その分だけ消費電力が大きくなる。
【0014】
本発明は、消費電力を抑えつつ、外部電源から内部電源に供給される電圧が下がることにより、内部電源から供給される電圧が許容範囲を下回ることを防止できる電子機器及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成する本発明の一局面に係る電子機器は、外部電源と、スイッチング素子と、前記スイッチング素子をオンの状態とオフの状態とに切り替える制御をする切替制御部と、前記スイッチング素子を介さないで前記外部電源と接続された内部電源であり、前記スイッチング素子がオンの状態及びオフの状態のいずれの場合でも前記外部電源から電圧が供給される第1の内部電源と、前記スイッチング素子を介して前記外部電源と接続された内部電源であり、前記切替制御部が前記スイッチング素子をオンの状態にすることにより、前記外部電源と接続されて電圧が供給され、前記切替制御部が前記スイッチング素子をオフの状態にすることにより、前記外部電源と遮断されて電圧が供給されない第2の内部電源と、を含むICチップと、を備え、前記外部電源は、前記スイッチング素子がオンの状態のときに出力される電圧の値が、前記スイッチング素子がオフの状態のときに出力される電圧の値より大きくなるように、前記スイッチング素子がオンの状態とオフの状態とに応じて、出力する電圧を制御する。
【0016】
本発明の一局面に係る電子機器において、外部電源は、スイッチング素子がオンの状態のときに出力される電圧の値が、スイッチング素子がオフの状態のときに出力される電圧の値より大きくなるように、スイッチング素子がオンの状態とオフの状態とに応じて、出力する電圧を制御する。従って、スイッチング素子がオンの状態であれば、外部電源から第2の内部電源に供給される電圧は上がるので、スイッチング素子のオン抵抗による電圧降下を補うことができる。これにより、外部電源から第2の内部電源に供給される電圧が下がることにより、第2の内部電源から供給される電圧が許容範囲を下回ることを防止できる。一方、スイッチング素子がオフ状態であれば、外部電源は第1の内部電源に供給する電圧を上げないので、消費電力を抑えることができる。
【0017】
スイッチング素子はオン状態でオン抵抗を有する素子であり、例えば、MOS電界効果トランジスターやバイポーラトランジスターである。
【0018】
外部電源は例えば、スイッチングレギュレーター(例えば、DC−DCコンバーター)、リニアレギュレーター及びAC−DCコンバーター等である。
【0019】
上記構成において、前記切替制御部は、前記スイッチング素子がオンの状態とオフの状態とを切り替えるデジタル信号を生成するCPUを含み、前記外部電源は、基準電圧を生成する基準電圧生成部と、前記外部電源から出力された電圧を分圧した分圧電圧と前記基準電圧とが入力される差動増幅器と、を含み、前記差動増幅器による前記基準電圧と前記分圧電圧との比較結果を基にして電圧を出力し、前記基準電圧生成部は、前記CPUが生成した前記デジタル信号が入力され、前記スイッチング素子をオンの状態にする前記デジタル信号が入力されたときに生成される前記基準電圧が、前記スイッチング素子をオフの状態にする前記デジタル信号が入力されたときに生成される前記基準電圧より大きくなるように、前記基準電圧を生成する。
【0020】
この構成によれば、スイッチング素子がオンの状態とオフの状態とを切り替えるデジタル信号を、基準電圧生成部にフィードバックしている。そして、スイッチング素子をオンの状態にするデジタル信号が入力されたときに生成される基準電圧が、スイッチング素子をオフの状態にするデジタル信号が入力されたときに生成される基準電圧より大きくなるように、基準電圧を生成する。これにより、スイッチング素子がオンの状態の場合、スイッチング素子がオフの状態の場合と比べて、外部電源から出力する電圧を大きくすることを実現している。
【0021】
この構成では、スイッチング素子をオンの状態とオフの状態とに切り替えるデジタル信号を利用して、基準電圧の大きさを切り替える。このため、スイッチング素子がオンの状態とオフの状態とを示す別の信号を新たに生成して、この信号を利用して基準電圧の大きさを切り替える場合に比べて、電子機器の構成を簡素化できる。
【0022】
上記構成において、前記外部電源は、基準電圧と、前記外部電源から出力された電圧を分圧した分圧電圧とが入力される第1の差動増幅器を含み、前記第1の差動増幅器による前記基準電圧と前記分圧電圧との比較結果を基にして電圧を出力し、前記電子機器は、前記スイッチング素子と前記第2の内部電源とを接続する配線から分岐した第1の分岐線と、前記スイッチング素子と前記外部電源とを接続する配線から分岐した第2の分岐線と、前記外部電源から出力された電圧を分圧した分圧電圧を出力する抵抗分割回路と、前記第1の分岐線の電圧と前記第2の分岐線の電圧とが入力される第2の差動増幅器を含み、前記スイッチング素子がオンの状態のときに前記抵抗分割回路の出力と接続され、前記スイッチング素子がオフの状態のときに前記抵抗分割回路の出力と遮断され、前記スイッチング素子がオンの状態の場合、前記第2の差動増幅器から出力される負電圧を基にして、前記スイッチング素子がオフの状態の場合よりも、前記分圧電圧を小さくする分圧電圧切替部と、を備える。
【0023】
この構成によれば、分圧電圧切替部によって、スイッチング素子がオンの状態の場合、スイッチング素子がオフの状態の場合よりも、分圧電圧を小さくしている。これにより、スイッチング素子がオンの状態の場合、スイッチング素子がオフの状態の場合と比べて、外部電源から出力する電圧を大きくすることを実現している。
【0024】
この構成では、外部電源自体に部品を追加したり、変更したりしないので、汎用品の外部電源を利用することができる。
【0025】
上記構成において、前記外部電源は、基準電圧を生成する基準電圧生成部と、前記基準電圧生成部で生成された基準電圧を調整する基準電圧調整部と、前記基準電圧調整部で調整された前記基準電圧と前記外部電源から出力された電圧を分圧した分圧電圧とが入力される差動増幅器と、を含み、前記差動増幅器による前記基準電圧と前記分圧電圧との比較結果を基にして電圧を出力し、前記スイッチング素子と前記第2の内部電源とを接続する配線の電圧が、前記基準電圧調整部に供給され、前記基準電圧調整部は、前記スイッチング素子がオンの状態のときに、前記スイッチング素子がオフの状態のときよりも前記基準電圧が大きくなるように、前記配線の電圧に応じて前記基準電圧の大きさを調整する。
【0026】
この構成によれば、スイッチング素子と第2の内部電源とを接続する配線の電圧が、基準電圧調整部に供給される。基準電圧調整部はスイッチング素子がオンの状態のときに、スイッチング素子がオフの状態のときよりも基準電圧が大きくなるように、配線の電圧に応じて基準電圧の大きさを調整する。以上により、スイッチング素子がオンの状態の場合、スイッチング素子がオフの状態の場合と比べて、外部電源から出力する電圧を大きくすることを実現している。
【0027】
外部電源に入力される信号が、スイッチング素子をオンの状態又はオフの状態にする信号であれば、第2の内部電源に実際に供給されている電圧の大きさが分からない。よって、スイッチング素子がオンの状態のときに外部電源から出力される電圧の大きさを、一種類にしかできない。例えば、スイッチング素子がオフの状態のときに外部電源から出力される電圧の大きさが1.0Vであれば、スイッチング素子がオンの状態のときに外部電源から出力される電圧の大きさが1.1Vである。
【0028】
この構成では、スイッチング素子と第2の内部電源とを接続する配線の電圧(アナログ信号)が、基準電圧調整部に供給される。このため、基準電圧調整部は配線の電圧の値に応じて、基準電圧の大きさを調整するので、スイッチング素子がオンの状態のときに外部電源から出力される電圧の大きさを、きめ細かく制御することができる。例えば、スイッチング素子がオフの状態のときに外部電源から出力される電圧の大きさが1.0Vであれば、スイッチング素子がオンの状態のときに外部電源から出力される電圧の大きさを、1.01V、1.02V、1.03V、1.04V、1.05V、1.06V、1.07V、1.08V、1.09V、1.10Vにすることができる。
【0029】
上記構成において、前記外部電源は、基準電圧を生成する基準電圧生成部と、前記基準電圧生成部で生成された基準電圧を調整する基準電圧調整部と、前記基準電圧調整部で調整された前記基準電圧と前記外部電源から出力された電圧を分圧した分圧電圧とが入力される差動増幅器と、を含み、前記差動増幅器による前記基準電圧と前記分圧電圧との比較結果を基にして電圧を出力し、前記ICチップは、前記スイッチング素子と、前記スイッチング素子と前記第2の内部電源とを接続する配線から分岐した分岐線と、前記分岐線の電圧の値をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器と、を含み、前記外部電源は、前記デジタル信号を前記アナログ信号に変換するデジタルアナログ変換器を含み、前記基準電圧調整部は、前記デジタルアナログ変換器で変換された前記アナログ信号が入力され、前記スイッチング素子がオンの状態のときに、前記スイッチング素子がオフの状態のときよりも前記基準電圧が大きくなるように、前記アナログ信号に応じて前記基準電圧の大きさを調整する。
【0030】
この構成によれば、スイッチング素子と第2の内部電源とを接続する配線から分岐した分岐線の電圧の値を、ICチップでアナログ信号からデジタル信号に変換し、外部電源でこのデジタル信号をアナログ信号に変換し、このアナログ信号が基準電圧調整部に入力される。基準電圧調整部はスイッチング素子がオンの状態のときに、スイッチング素子がオフの状態のときよりも基準電圧が大きくなるように、アナログ信号に応じて基準電圧の大きさを調整する。以上により、スイッチング素子がオンの状態の場合、スイッチング素子がオフの状態の場合と比べて、外部電源から出力する電圧を大きくすることを実現している。
【0031】
この構成では、基準電圧調整部が分岐線の電圧の値に応じて、基準電圧の大きさを調整している。従って、スイッチング素子がオンの状態のときに外部電源から出力される電圧の大きさを、きめ細かく制御することができる。
【0032】
分岐線の電圧はアナログ信号なので、ノイズの影響を受けやすい。スイッチング素子及び分岐線がICチップに含まれている場合に、分岐線の電圧が、外部電源の基準電圧調整部に直接に入力されるようにすると、ICチップと外部電源との間で分岐線の電圧がノイズの影響を受けて変動し、基準電圧調整部に入力される可能性がある。この構成によれば、分岐線の電圧の値をアナログ信号からデジタル信号に変換して、ICチップと外部電源との間をデジタル信号の形式で伝送させているので、ノイズの影響を受けにくくすることができる。
【0033】
上記構成において、前記外部電源は、DC−DCコンバーターを含む。
【0034】
DC−DCコンバーターは入力電圧(直流電圧)をスイッチングすることによりパルス状にし、それをコイルとコンデンサーとで構成されるフィルターを用いて平滑化して、出力電圧(直流電圧)を生成する。DC−DCコンバーターはスイッチングのデューティー比を小さくすることにより、出力電流値を小さくする。このため、出力電流値が小さいとき、出力電流値が大きいときに比べて、スイッチングロスが相対的に大きくなるので、省エネルギーモードのように出力電流値が小さい場合、電圧の変換効率が悪くなる。そこで、DC−DCコンバーターでは出力電流値が小さいとき、スイッチングの周波数を低くすることにより、スイッチングロスを小さくして、電圧の変換効率を改善している。
【0035】
しかし、スイッチングの周波数を低くすると、パルス出力を平滑化するタイミングが減るので、リップル電圧の変動が大きくなる。
【0036】
上述したように、本発明の一局面に係る電子機器では、スイッチング素子のオン抵抗による電圧降下を補うために、スイッチング素子がオン状態であれば、外部電源から第2の内部電源に供給する電圧を上げる。このため、リップル電圧の変動が大きくても第2の内部電源から供給される電圧が許容電圧を下回らないようにすることができる。
【0037】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記電子機器と、画像形成部と、を備え、前記ICチップは、画像処理プロセッサーを含み、前記画像形成部は、前記画像処理プロセッサーで画像処理された画像データで示される画像を用紙に形成して出力する。
【0038】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、本発明の一局面に係る電子機器を備えるので、上述した本発明の一局面に係る電子機器の作用効果を有する。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、消費電力を抑えつつ、外部電源から内部電源に供給される電圧が下がることにより、内部電源から供給される電圧が許容範囲を下回ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1〜第4実施形態に係る電子機器を適用できる画像形成装置の内部構造の概略を示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る電子機器の構成を示すブロック図である。
【図4】第2実施形態に係る電子機器の構成を示すブロック図である。
【図5】第3実施形態に係る電子機器の構成を示すブロック図である。
【図6】第4実施形態に係る電子機器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1〜第4実施形態に係る電子機器を適用できる画像形成装置1の内部構造の概略を示す図である。画像形成装置1は例えば、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリーの機能を有するデジタル複合機に適用することができる。画像形成装置1は装置本体100、装置本体100の上に配置された原稿読取部200、原稿読取部200の上に配置された原稿給送部300及び装置本体100の上部前面に配置された操作部400を備える。
【0042】
原稿給送部300は自動原稿送り装置として機能し、原稿載置部301に置かれた複数枚の原稿を連続的に原稿読取部200に送ることができる。
【0043】
原稿読取部200は露光ランプ等を搭載したキャリッジ201、ガラス等の透明部材により構成された原稿台203、不図示のCCD(Charge Coupled Device)センサー及び原稿読取スリット205を備える。原稿台203に載置された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿台203の長手方向に移動させながらCCDセンサーにより原稿を読み取る。これに対して、原稿給送部300から給送された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿読取スリット205と対向する位置に移動させて、原稿給送部300から送られてきた原稿を、原稿読取スリット205を通してCCDセンサーにより読み取る。CCDセンサーは読み取った原稿を画像データとして出力する。
【0044】
装置本体100は用紙貯留部101、画像形成部103及び定着部105を備える。用紙貯留部101は装置本体100の最下部に配置されており、用紙の束を貯留することができる用紙トレイ107を備える。用紙トレイ107に貯留された用紙の束において、最上位の用紙がピックアップローラー109の駆動により、用紙搬送路111へ向けて送出される。用紙は用紙搬送路111を通って、画像形成部103へ搬送される。
【0045】
画像形成部103は搬送されてきた用紙にトナー画像を形成する。画像形成部103は感光体ドラム113、露光部115、現像部117及び転写部119を備える。露光部115は画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリー受信の画像データ等)に対応して変調された光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム113の周面に照射する。これにより、感光体ドラム113の周面には画像データに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム113の周面に現像部117からトナーを供給することにより、周面には画像データに対応するトナー画像が形成される。このトナー画像は転写部119によって先ほど説明した用紙貯留部101から搬送されてきた用紙に転写される。
【0046】
トナー画像が転写された用紙は定着部105に送られる。定着部105において、トナー画像と用紙に熱と圧力が加えられて、トナー画像は用紙に定着される。用紙はスタックトレイ121又は排紙トレイ123に排紙される。
【0047】
操作部400は操作キー部401と表示部403を備える。表示部403はタッチパネル機能を有しており、ソフトキーを含む画面が表示される。ユーザーは画面を見ながらソフトキーを操作することによって、コピー等の機能の実行に必要な設定等をする。
【0048】
操作キー部401にはハードキーからなる操作キーが設けられている。具体的にはスタートキー405、テンキー407、ストップキー409、リセットキー411、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリーを切り換えるための機能切換キー413等が設けられている。
【0049】
スタートキー405はコピー、ファクシミリー送信等の動作を開始させるキーである。テンキー407はコピー部数、ファクシミリー番号等の数字を入力するキーである。ストップキー409はコピー動作等を途中で中止させるキーである。リセットキー411は設定された内容を初期設定状態に戻すキーである。
【0050】
機能切換キー413はコピーキー及び送信キー等を備えており、コピー機能、送信機能等を相互に切り替えるキーである。コピーキーを操作すれば、コピーの初期画面が表示部403に表示される。送信キーを操作すれば、ファクシミリー送信及びメール送信の初期画面が表示部403に表示される。
【0051】
図2は図1に示す画像形成装置1の構成を示すブロック図である。画像形成装置1は装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作部400、制御部500及び通信部600がバスによって相互に接続された構成を有する。装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300及び操作部400に関しては既に説明したので、説明を省略する。
【0052】
制御部500はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び画像メモリー等を備える。CPUは画像形成装置1を動作させるために必要な制御を、装置本体100等の画像形成装置1の上記構成要素に対して実行する。ROMは画像形成装置1の動作の制御に必要なソフトウェアを記憶している。RAMはソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶及びアプリケーションソフトの記憶等に利用される。画像メモリーは画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリー受信の画像データ等)を一時的に記憶する。
【0053】
通信部600はファクシミリー通信部601及びネットワークI/F部603を備える。ファクシミリー通信部601は相手先ファクシミリーとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)及びファクシミリー通信用の信号を変復調する変復調回路を備える。ファクシミリー通信部601は電話回線605に接続される。
【0054】
ネットワークI/F部603はLAN(Local Area Network)607に接続される。ネットワークI/F部603はLAN607に接続されたパソコン等の端末装置との間で通信を実行するための通信インターフェイス回路である。
【0055】
次に、第1〜第4実施形態に係る電子機器を説明する。ここでの電子機器は図2に示す制御部500に含まれており、画像処理プロセッサーと出力電圧が異なる二つのDC−DCコンバーターとを備える。図3は、第1実施形態に係る電子機器3の構成を示すブロック図である。
【0056】
画像処理プロセッサー10はICチップの一例であり、多電源のSoC(System-on-a-chip)である。画像処理プロセッサー10はCPU11、常時オン電源12、オンオフ可能電源13及びロードスイッチ14,15を備える。
【0057】
CPU11はCPUコア16とI/Oインターフェイス17とを備える。CPU11への電圧供給はデュアルボルテージであり、CPUコア16には1.0Vの電圧が供給され、I/Oインターフェイス17には1.8Vの電圧が供給される。
【0058】
常時オン電源12はコア電源18とI/O電源19を備える。コア電源18はロードスイッチ14,15を介さないで、コア電源用の直流電圧を出力するDC−DCコンバーター40の出力と接続され、1.0Vの電圧をCPUコア16に供給する。I/O電源19はロードスイッチ14,15を介さないで、I/O電源用の直流電圧を出力するDC−DCコンバーター50の出力と接続され、1.8Vの電圧をI/Oインターフェイス17に供給する。DC−DCコンバーター40,50は外部電源の一例である。コア電源18とI/O電源19は第1の内部電源の一例であり、ロードスイッチ14,15がオンの状態及びオフの状態のいずれの場合でもDC−DCコンバーター40,50から電圧が供給される。
【0059】
オンオフ可能電源13はコア電源20とI/O電源21を備える。コア電源20はロードスイッチ14を介して、DC−DCコンバーター40と接続され、1.0Vの電圧をCPUコア16に供給する。I/O電源21はロードスイッチ15を介して、DC−DCコンバーター50と接続され、1.8Vの電圧をI/Oインターフェイス17に供給する。コア電源20とI/O電源21は第2の内部電源の一例であり、CPU11がロードスイッチ14,15をオンの状態にすることにより、DC−DCコンバーター40,50と接続されて電圧が供給され、CPU11がロードスイッチ14,15をオフの状態にすることにより、DC−DCコンバーター40,50と遮断されて電圧が供給されない。
【0060】
スイッチング素子の一例であるロードスイッチ14,15は、MOS電界効果トランジスターである。ロードスイッチ14の電圧入力部(ソース及びドレインの一方)は、画像処理プロセッサー10の1.0V電源端子22と接続されている。ロードスイッチ14の電圧出力部(ソース及びドレインの他方)は、コア電源20と接続されている。ロードスイッチ14のゲートは、I/Oインターフェイス17と接続されている。
【0061】
ロードスイッチ15の電圧入力部(ソース及びドレインの一方)は、画像処理プロセッサー10の1.8V電源端子23と接続されている。ロードスイッチ15の電圧出力部(ソース及びドレインの他方)は、I/O電源21と接続されている。ロードスイッチ15のゲートは、I/Oインターフェイス17と接続されている。
【0062】
CPU11は、図2に示す原稿読取部200が原稿を読み取ることにより生成した画像データに対して、各種の画像処理を実行する。CPU11はロードスイッチ14,15がオンの状態とオフの状態とを切り替えるデジタル信号を生成する。従って、CPU11はロードスイッチ14,15がオンの状態とオフの状態とを切り替える制御をする切替制御部の機能を有する。
【0063】
CPU11はロードスイッチ14,15をオンの状態にして、常時オン電源12及びオンオフ可能電源13からCPU11に電圧が供給される場合と、ロードスイッチ14,15をオフ状態にして、常時オン電源12からCPU11に電圧が供給される場合とを、画像処理の状況に応じて切り替える。
【0064】
DC−DCコンバーター40は基準電圧生成部41、差動増幅器42及び出力電圧生成部43を備えており、コア電源18,20に供給する電圧を生成する。DC−DCコンバーター40はロードスイッチ14がオンの状態のときに出力される電圧の値が、ロードスイッチ14がオフの状態のときに出力される電圧の値より大きくなるように、ロードスイッチ14がオンの状態とオフの状態とに応じて、出力する電圧を制御する。これにより、ロードスイッチ14がオンの状態において、ロードスイッチ14のオン抵抗により生じる電圧降下を補う。
【0065】
例えば、ロードスイッチ14がオフの状態では、オン抵抗による電圧降下が生じないので、DC−DCコンバーター40は1.0Vの直流電圧を出力する。これに対して、ロードスイッチ14がオンの状態では、オン抵抗による電圧降下が生じるので、DC−DCコンバーター40は1.0Vより高い直流電圧(例えば、1.1Vの直流電圧)を出力する。以下、DC−DCコンバーター40の構成を詳細に説明する。
【0066】
DC−DCコンバーター40の出力端子44は配線81によって、画像処理プロセッサー10の1.0V電源端子22と接続されている。配線81には抵抗分割回路82が接続されている。抵抗分割回路82はDC−DCコンバーター40から出力された電圧を分圧した分圧電圧(フィードバック電圧)を出力する。抵抗分割回路82の出力はDC−DCコンバーター40の端子45と配線83によって接続されている。これにより、分圧電圧が差動増幅器42の反転入力端子に入力される。
【0067】
DC−DCコンバーター40の端子46は配線84によって、画像処理プロセッサー10の端子24と接続されている。これにより、ロードスイッチ14がオンの状態とオフの状態とを切り替えるデジタル信号DSは、ロードスイッチ14のゲートに加えて、基準電圧生成部41に送られる。
【0068】
基準電圧生成部41にはデジタル信号DSが入力される。基準電圧生成部41はロードスイッチ14をオン状態にするデジタル信号DSが入力されたときに生成される基準電圧が、ロードスイッチ14をオフ状態にするデジタル信号DSが入力されたときに生成される基準電圧より大きくなるように、基準電圧を生成する。
【0069】
差動増幅器42は抵抗分割回路82から出力された分圧電圧と基準電圧生成部41で生成された基準電圧とが入力される。分圧電圧は差動増幅器42の反転入力端子に入力される。基準電圧は差動増幅器42の非反転入力端子に入力される。DC−DCコンバーター40は差動増幅器42による基準電圧と分圧電圧との比較結果を基にして、電圧を出力する。詳細に説明すると、差動増幅器42の出力は出力電圧生成部43に入力される。出力電圧生成部43はDC−DCコンバーター40の出力電圧を生成する。出力電圧生成部43は基準電圧と分圧電圧との差が小さくなるように、出力電圧の大きさを制御する。これにより、DC−DCコンバーター40は安定した電圧を出力する。
【0070】
DC−DCコンバーター50は基準電圧生成部51、差動増幅器52及び出力電圧生成部53を備えており、I/O電源19,21に供給する電圧を生成する。DC−DCコンバーター50はロードスイッチ15がオンの状態のときに出力される電圧の値が、ロードスイッチ15がオフの状態のときに出力される電圧の値より大きくなるように、ロードスイッチ15がオンの状態とオフの状態とに応じて、出力する電圧を制御する。これにより、ロードスイッチ15がオン状態において、ロードスイッチ15のオン抵抗により生じる電圧降下を補う。
【0071】
DC−DCコンバーター50の出力端子54は配線85によって、画像処理プロセッサー10の1.8V電源端子23と接続されている。配線85には抵抗分割回路86が接続されている。抵抗分割回路86はDC−DCコンバーター50から出力された電圧を分圧した分圧電圧を出力する。抵抗分割回路86の出力はDC−DCコンバーター50の端子55と配線87によって接続されている。これにより、分圧電圧が差動増幅器52の反転入力端子に入力される。
【0072】
DC−DCコンバーター50の端子56は配線88によって、画像処理プロセッサー10の端子25と接続されている。これにより、ロードスイッチ15がオンの状態とオフの状態とを切り替えるデジタル信号DSは、ロードスイッチ15のゲートに加えて、基準電圧生成部51に送られる。
【0073】
基準電圧生成部51、差動増幅器52及び出力電圧生成部53の機能は、基準電圧生成部41、差動増幅器42及び出力電圧生成部43の機能と同じなので、説明を省略する。
【0074】
第1実施形態の主な効果を説明する。第1実施形態に係る電子機器3において、DC−DCコンバーター40,50は、ロードスイッチ14,15がオンの状態のときに出力される電圧の値が、ロードスイッチ14,15がオフの状態のときに出力される電圧の値より大きくなるように、ロードスイッチ14,15がオンの状態とオフの状態とに応じて、出力する電圧を制御する。従って、ロードスイッチ14,15がオンの状態であれば、DC−DCコンバーター40,50からコア電源20及びI/O電源21に供給される電圧は、ロードスイッチ14,15がオフの状態の場合と比べて上がるので、ロードスイッチ14,15のオン抵抗による電圧降下を補うことができる。これにより、DC−DCコンバーター40,50からコア電源20及びI/O電源21に供給される電圧が下がることにより、コア電源20及びI/O電源21から供給される電圧が許容範囲を下回ることを防止できる。一方、ロードスイッチ14,15がオフ状態であれば、DCコンバーター40,50はコア電源18及びI/O電源19に供給する電圧を上げないので、消費電力を抑えることができる。
【0075】
内部電源が低電圧化すると、内部電源から供給される電圧の許容範囲が狭くなる。よって、第1実施形態は、コア電源20のような低電圧を供給する内部電源に対して、特に有効である。
【0076】
第1実施形態ではDC−DCコンバーター40,50を外部電源としている。DC−DCコンバーター40,50は入力電圧(直流電圧)をスイッチングすることによりパルス状にし、それをコイルとコンデンサーとで構成されるフィルターを用いて平滑化して、出力電圧(直流電圧)を生成する。DC−DCコンバーター40,50はスイッチングのデューティー比を小さくすることにより、出力電流値を小さくする。このため、出力電流値が小さいとき、出力電流値が大きいときに比べて、スイッチングロスが相対的に大きくなるので、省エネルギーモードのように出力電流値が小さい場合、電圧の変換効率が悪くなる。そこで、DC−DCコンバーター40,50では出力電流値が小さいとき、スイッチングの周波数を低くすることにより、スイッチングロスを小さくして、電圧の変換効率を改善している。
【0077】
しかし、スイッチングの周波数を低くすると、パルス出力を平滑化するタイミングが減るので、リップル電圧の変動が大きくなる。
【0078】
上述したように、第1実施形態に係る電子機器3では、ロードスイッチ14,15のオン抵抗による電圧降下を補うために、ロードスイッチ14,15がオン状態であれば、DC−DCコンバーター40,50からコア電源20及びI/O電源21に供給する電圧を上げる。このため、リップル電圧の変動が大きくてもコア電源20及びI/O電源21の電圧が許容電圧を下回らないようにすることができる。
【0079】
以上説明した効果は、第2〜第4実施形態についても言える。
【0080】
第1実施形態によれば、ロードスイッチ14,15がオンの状態とオフの状態とを切り替えるデジタル信号DSを、基準電圧生成部41,51にフィードバックしている。そして、ロードスイッチ14,15をオンの状態にするデジタル信号DSが入力されたときに生成される基準電圧が、ロードスイッチ14,15をオフの状態にするデジタル信号DSが入力されたときに生成される基準電圧より大きくなるように、基準電圧を生成する。これにより、ロードスイッチ14,15がオンの状態の場合、ロードスイッチ14,15がオフの状態の場合と比べて、DC−DCコンバーター40,50から出力する電圧を大きくすることを実現している。
【0081】
このように、第1実施形態では、ロードスイッチ14,15をオンの状態とオフの状態とに切り替えるデジタル信号DSを利用して、基準電圧の大きさを切り替える。このため、ロードスイッチ14,15がオンの状態とオフの状態とを示す別の信号を新たに生成して、この信号を利用して基準電圧の大きさを切り替える場合に比べて、電子機器3の構成を簡素化できる。
【0082】
第2実施形態は第1実施形態との相違を中心に説明する。図4は、第2実施形態に係る電子機器5の構成を示すブロック図である。電子機器5の構成要素のうち、図3に示す第1実施形態に係る電子機器3の構成要素と同一の要素については、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0083】
第1実施形態ではロードスイッチ14がオンの状態とオフの状態とに応じて、基準電圧生成部41で生成される基準電圧を切り替えている。これに対して、第2実施形態ではロードスイッチ14がオンの状態とオフの状態とに応じて、抵抗分割回路82から出力される分圧電圧を切り替えている。
【0084】
画像処理プロセッサー10は第1の分岐線26と第2の分岐線27を備える。第1の分岐線26はロードスイッチ14とコア電源20とを接続する配線から分岐した配線である。第2の分岐線27はロードスイッチ14とDC−DCコンバーター40とを接続する配線から分岐した配線である。
【0085】
電子機器5は分圧電圧切替部60を備える。分圧電圧切替部60は差動増幅器61及び電界効果トランジスター62を備える。差動増幅器61は第2の差動増幅器の一例であり、差動増幅器61の非反転入力端子には、第1の分岐線26の電圧が入力され、差動増幅器61の反転入力端子には、第2の分岐線27の電圧が入力される。なお、DC−DCコンバーター40の差動増幅器42が、第1の差動増幅器の一例である。
【0086】
電界効果トランジスター62はスイッチとして機能する。電界効果トランジスター62の電圧入力部(ソース及びドレインの一方)は、差動増幅器61の出力と接続されている。電界効果トランジスター62の電圧出力部(ソース及びドレインの他方)は、抵抗分割回路82の出力と抵抗89を介して接続されている。電界効果トランジスター62のゲートは配線90によって、画像処理プロセッサー10の端子24と接続されている。端子24はI/Oインターフェイス17と接続されており、ロードスイッチ14のゲートに入力されるデジタル信号DSは、電界効果トランジスター62のゲートにも入力される。このため、ロードスイッチ14がオンの状態の場合、電界効果トランジスター62がオンの状態となるので、分圧電圧切替部60は抵抗分割回路82の出力と接続される。一方、ロードスイッチ14がオフの状態の場合、電界効果トランジスター62がオフの状態となるので、分圧電圧切替部60は抵抗分割回路82の出力と遮断される。
【0087】
従って、ロードスイッチ14をオンの状態にして、DC−DCコンバーター40がコア電源20に電圧を供給している場合、分圧電圧切替部60は抵抗分割回路82の出力と接続される。ロードスイッチ14のオン抵抗による電圧降下のために、第1の分岐線26の電圧は第2の分岐線27の電圧より低くなる。このため、差動増幅器61は負電圧を出力し、この負電圧によって、抵抗分割回路82で生成された分圧電圧は下げられて、差動増幅器42の反転入力端子に入力される。分圧電圧を下げる量は、抵抗89の大きさにより決定される。
【0088】
これに対して、ロードスイッチ14をオフの状態にして、DC−DCコンバーター40がコア電源20に電圧を供給するのを遮断している場合、分圧電圧切替部60は抵抗分割回路82の出力と遮断される。このため、抵抗分割回路82で生成された分圧電圧が差動増幅器42の反転入力端子に入力される。
【0089】
以上のように、分圧電圧切替部60はロードスイッチ14がオンの状態の場合、差動増幅器61から出力される負電圧を基にして、ロードスイッチ14がオフの状態の場合よりも、分圧電圧を小さくする。
【0090】
DC−DCコンバーター50については図示を省略しているが、DC−DCコンバーター50に対応した分圧電圧切替部(不図示)が設けられている。この分圧電圧切替部は分圧電圧切替部60と同様の機能を有する。
【0091】
第2実施形態の主な効果を説明する。第2実施形態によれば、分圧電圧切替部60によって、ロードスイッチ14がオンの状態の場合、ロードスイッチ14がオフの状態の場合よりも、分圧電圧を小さくしている。これにより、ロードスイッチ14がオンの状態の場合、ロードスイッチ14がオフの状態の場合と比べて、DC−DCコンバーター40から出力する電圧を大きくすることを実現している。
【0092】
第2実施形態では、DC−DCコンバーター40自体に部品を追加したり、変更したりしないので、汎用品のDC−DCコンバーターを利用することができる。
【0093】
第3実施形態は第1実施形態との相違を中心に説明する。図5は、第3実施形態に係る電子機器7の構成を示すブロック図である。電子機器7の構成要素のうち、図3に示す第1実施形態に係る電子機器3の構成要素と同一の要素については、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0094】
第3実施形態ではコア電源20に実際に供給されている電圧(言い換えれば、この電圧の値を示すアナログ信号AS)を、DC−DCコンバーター40にフィードバックすることにより、コア電源20に実際に供給されている電圧の値に応じて、DC−DCコンバーター40の出力電圧を制御する。DC−DCコンバーター50についても、図示を省略しているが、I/O電源21に実際に供給されている電圧を、DC−DCコンバーター50にフィードバックすることにより、I/O電源21に実際に供給されている電圧の値に応じて、DC−DCコンバーター50の出力電圧を制御する。
【0095】
以下、コア電源20に実際に供給されている電圧を、DC−DCコンバーター40にフィードバックする構成を説明する。I/O電源21に実際に供給されている電圧を、DC−DCコンバーター50にフィードバックする構成については、コア電源20の場合と同様なので説明を省略する。
【0096】
画像処理プロセッサー10は分岐線28を備える。分岐線28はロードスイッチ14とコア電源20とを接続する配線から分岐した配線であり、画像処理プロセッサー10の端子29と接続されている。端子29は配線91によって、DC−DCコンバーター40の端子47に接続されている。端子47に入力されたアナログ信号ASは、次に説明する基準電圧調整部48に送られる。
【0097】
DC−DCコンバーター40は基準電圧調整部48を備える。基準電圧調整部48には基準電圧生成部41で生成された基準電圧が入力される。ロードスイッチ14をオフの状態にして、DC−DCコンバーター40がコア電源20に電圧を供給するのを遮断している場合、基準電圧調整部48は基準電圧生成部41で生成された基準電圧を、そのまま、差動増幅器42の非反転入力端子に入力させる。
【0098】
これに対して、ロードスイッチ14をオンの状態にして、DC−DCコンバーター40がコア電源20に電圧を供給している場合、基準電圧調整部48は分岐線28の電圧(分岐線28の電圧の値を示すアナログ信号AS)に応じて、基準電圧生成部41で生成された電圧を上げる調整をする。
【0099】
以上により、基準電圧調整部48は、ロードスイッチ14がオンの状態のときに、ロードスイッチ14がオフの状態のときよりも基準電圧が大きくなるように、分岐線28の電圧に応じて基準電圧の大きさを調整する。
【0100】
第3実施形態の主な効果を説明する。第3実施形態によれば、ロードスイッチ14とコア電源20とを接続する配線の電圧が、基準電圧調整部48に供給される。基準電圧調整部48はロードスイッチ14がオンの状態のときに、ロードスイッチ14がオフの状態のときよりも基準電圧が大きくなるように、上記配線の電圧に応じて基準電圧の大きさを調整する。以上により、ロードスイッチ14がオンの状態の場合、ロードスイッチ14がオフの状態の場合と比べて、DC−DCコンバーター40から出力する電圧を大きくすることを実現している。
【0101】
DC−DCコンバーター40に入力される信号が、ロードスイッチ14をオンの状態又はオフの状態にする信号であれば、コア電源20に実際に供給されている電圧の大きさが分からない。よって、ロードスイッチ14がオンの状態のときにDC−DCコンバーター40から出力される電圧の大きさを、一種類にしかできない。例えば、ロードスイッチ14がオフの状態のときにDC−DCコンバーター40から出力される電圧の大きさが1.0Vであれば、ロードスイッチ14がオンの状態のときにDC−DCコンバーター40から出力される電圧の大きさが1.1Vである。
【0102】
第3実施形態では、ロードスイッチ14とコア電源20とを接続する配線の電圧が、基準電圧調整部48に供給される。このため、基準電圧調整部48は配線の電圧の値に応じて、基準電圧の大きさを調整するので、ロードスイッチ14がオンの状態のときにDC−DCコンバーター40から出力される電圧の大きさを、きめ細かく制御することができる。例えば、ロードスイッチ14がオフの状態のときにDC−DCコンバーター40から出力される電圧の大きさが1.0Vであれば、ロードスイッチ14がオンの状態のときにDC−DCコンバーター40から出力される電圧の大きさを、1.01V、1.02V、1.03V、1.04V、1.05V、1.06V、1.07V、1.08V、1.09V、1.10Vにすることができる。
【0103】
第4実施形態は第3実施形態との相違を中心に説明する。図6は、第4実施形態に係る電子機器9の構成を示すブロック図である。電子機器9の構成要素のうち、図5に示す第3実施形態に係る電子機器7の構成要素と同一の要素については、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0104】
第4実施形態は第3実施形態と同様に、コア電源20、I/O電源21に実際に供給されている電圧を、DC−DCコンバーター40,50にフィードバックすることにより、コア電源20、I/O電源21に実際に供給されている電圧の値に応じて、DC−DCコンバーター40,50の出力電圧を制御する。第4実施形態はコア電源20、I/O電源21に実際に供給されている電圧を、画像処理プロセッサー10でアナログ信号ASからデジタル信号に変換し、DC−DCコンバーター40,50でそのデジタル信号をアナログ信号ASに変換している。
【0105】
以下、コア電源20の場合を説明する。I/O電源21の場合については、コア電源20の場合と同様なので説明を省略する。
【0106】
画像処理プロセッサーは分岐線28とアナログデジタル変換器30とを備える。分岐線28はロードスイッチ14とコア電源20とを接続する配線から分岐した配線である。アナログデジタル変換器30は分岐線28の電圧の値を、アナログ信号ASからシリアルのデジタル信号に変換する。アナログデジタル変換器30の出力は端子29と接続されている。
【0107】
DC−DCコンバーター40はデジタルアナログ変換器49を備える。アナログデジタル変換器30から出力されたシリアルのデジタル信号は、デジタルアナログ変換器49でデジタル信号からアナログ信号ASに変換される。アナログ信号ASは基準電圧調整部48に入力される。
【0108】
DC−DCコンバーター40は基準電圧生成部41と接続された端子32を備える。端子32は配線92によって、画像処理プロセッサーの端子31と接続されている。端子31はアナログデジタル変換器30と接続されている。アナログデジタル変換に使用される基準電圧refは、基準電圧生成部41で生成された基準電圧が利用される。
【0109】
第4実施形態の基準電圧調整部48は、第3実施形態の基準電圧調整部48と同様にして、ロードスイッチ14がオンの状態のときに、ロードスイッチ14がオフの状態のときよりも基準電圧が大きくなるように、分岐線28の電圧に応じて基準電圧の大きさを調整する。
【0110】
第4実施形態の効果を説明する。第4実施形態では、ロードスイッチ14とコア電源20とを接続する配線から分岐した分岐線28の電圧の値を、画像処理プロセッサー10でアナログ信号ASからデジタル信号に変換し、DC−DCコンバーター40でこのデジタル信号をアナログ信号ASに変換し、このアナログ信号ASが基準電圧調整部48に入力される。基準電圧調整部48はロードスイッチ14がオンの状態のときに、ロードスイッチ14がオフの状態のときよりも基準電圧が大きくなるように、アナログ信号ASに応じて基準電圧の大きさを調整する。以上により、ロードスイッチ14がオンの状態の場合、ロードスイッチ14がオフの状態の場合と比べて、DC−DCコンバーター40から出力する電圧を大きくすることを実現している。
【0111】
第4実施形態では、基準電圧調整部48が分岐線28の電圧の値に応じて、基準電圧の大きさを調整している。従って、第3実施形態と同様に、ロードスイッチ14がオンの状態のときにDC−DCコンバーター40から出力される電圧の大きさを、きめ細かく制御することができる。
【0112】
分岐線28の電圧はアナログ信号ASなので、ノイズの影響を受けやすい。ロードスイッチ14及び分岐線28が画像処理プロセッサー10に含まれている場合に、分岐線28の電圧が、DC−DCコンバーター40の基準電圧調整部48に直接に入力されるようにすると、画像処理プロセッサー10とDC−DCコンバーター40との間で分岐線28の電圧がノイズの影響を受けて変動し、基準電圧調整部48に入力される可能性がある。第4実施形態によれば、分岐線28の電圧の値をアナログ信号ASからデジタル信号に変換して、画像処理プロセッサー10とDC−DCコンバーター40との間をデジタル信号の形式で伝送させているので、ノイズの影響を受けにくくすることができる。
【0113】
第1〜第4実施形態では、スイッチング素子であるロードスイッチ14,15がICチップである画像処理プロセッサー10に形成されている。本発明はこれに限定されず、スイッチング素子をICチップとは別に設けてもよい。
【0114】
第1〜第4実施形態では、ロードスイッチ14,15をオンの状態とオフの状態とに切り替える制御をする切替制御部(CPU11)が、画像処理プロセッサー10に形成されている。本発明はこれに限定されず、切替制御部をICチップとは別に設けてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 画像形成装置
3,5,7,9 電子機器
10 画像処理プロセッサー(ICチップの一例)
11 CPU(切替制御部の一例)
14,15 ロードスイッチ(スイッチング素子の一例)
18 コア電源(第1の内部電源の一例)
19 I/O電源(第1の内部電源の一例)
20 コア電源(第2の内部電源の一例)
21 I/O電源(第2の内部電源の一例)
26 第1の分岐線
27 第2の分岐線
28 分岐線
30 アナログデジタル変換器
40 DC−DCコンバーター(外部電源の一例)
49 デジタルアナログ変換器
50 DC−DCコンバーター(外部電源の一例)
60 分圧電圧切替部
82 抵抗分割回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源と、
スイッチング素子と、
前記スイッチング素子をオンの状態とオフの状態とに切り替える制御をする切替制御部と、
前記スイッチング素子を介さないで前記外部電源と接続された内部電源であり、前記スイッチング素子がオンの状態及びオフの状態のいずれの場合でも前記外部電源から電圧が供給される第1の内部電源と、前記スイッチング素子を介して前記外部電源と接続された内部電源であり、前記切替制御部が前記スイッチング素子をオンの状態にすることにより、前記外部電源と接続されて電圧が供給され、前記切替制御部が前記スイッチング素子をオフの状態にすることにより、前記外部電源と遮断されて電圧が供給されない第2の内部電源と、を含むICチップと、を備え、
前記外部電源は、前記スイッチング素子がオンの状態のときに出力される電圧の値が、前記スイッチング素子がオフの状態のときに出力される電圧の値より大きくなるように、前記スイッチング素子がオンの状態とオフの状態とに応じて、出力する電圧を制御する電子機器。
【請求項2】
前記切替制御部は、前記スイッチング素子がオンの状態とオフの状態とを切り替えるデジタル信号を生成するCPUを含み、
前記外部電源は、基準電圧を生成する基準電圧生成部と、前記外部電源から出力された電圧を分圧した分圧電圧と前記基準電圧とが入力される差動増幅器と、を含み、前記差動増幅器による前記基準電圧と前記分圧電圧との比較結果を基にして電圧を出力し、
前記基準電圧生成部は、前記CPUが生成した前記デジタル信号が入力され、前記スイッチング素子をオンの状態にする前記デジタル信号が入力されたときに生成される前記基準電圧が、前記スイッチング素子をオフの状態にする前記デジタル信号が入力されたときに生成される前記基準電圧より大きくなるように、前記基準電圧を生成する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記外部電源は、基準電圧と、前記外部電源から出力された電圧を分圧した分圧電圧とが入力される第1の差動増幅器を含み、前記第1の差動増幅器による前記基準電圧と前記分圧電圧との比較結果を基にして電圧を出力し、
前記電子機器は、
前記スイッチング素子と前記第2の内部電源とを接続する配線から分岐した第1の分岐線と、
前記スイッチング素子と前記外部電源とを接続する配線から分岐した第2の分岐線と、
前記外部電源から出力された電圧を分圧した分圧電圧を出力する抵抗分割回路と、
前記第1の分岐線の電圧と前記第2の分岐線の電圧とが入力される第2の差動増幅器を含み、前記スイッチング素子がオンの状態のときに前記抵抗分割回路の出力と接続され、前記スイッチング素子がオフの状態のときに前記抵抗分割回路の出力と遮断され、前記スイッチング素子がオンの状態の場合、前記第2の差動増幅器から出力される負電圧を基にして、前記スイッチング素子がオフの状態の場合よりも、前記分圧電圧を小さくする分圧電圧切替部と、を備える請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記外部電源は、基準電圧を生成する基準電圧生成部と、前記基準電圧生成部で生成された基準電圧を調整する基準電圧調整部と、前記基準電圧調整部で調整された前記基準電圧と前記外部電源から出力された電圧を分圧した分圧電圧とが入力される差動増幅器と、を含み、前記差動増幅器による前記基準電圧と前記分圧電圧との比較結果を基にして電圧を出力し、
前記スイッチング素子と前記第2の内部電源とを接続する配線の電圧が、前記基準電圧調整部に供給され、
前記基準電圧調整部は、前記スイッチング素子がオンの状態のときに、前記スイッチング素子がオフの状態のときよりも前記基準電圧が大きくなるように、前記配線の電圧に応じて前記基準電圧の大きさを調整する請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記外部電源は、基準電圧を生成する基準電圧生成部と、前記基準電圧生成部で生成された基準電圧を調整する基準電圧調整部と、前記基準電圧調整部で調整された前記基準電圧と前記外部電源から出力された電圧を分圧した分圧電圧とが入力される差動増幅器と、を含み、前記差動増幅器による前記基準電圧と前記分圧電圧との比較結果を基にして電圧を出力し、
前記ICチップは、前記スイッチング素子と、前記スイッチング素子と前記第2の内部電源とを接続する配線から分岐した分岐線と、前記分岐線の電圧の値をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器と、を含み、
前記外部電源は、前記デジタル信号を前記アナログ信号に変換するデジタルアナログ変換器を含み、
前記基準電圧調整部は、前記デジタルアナログ変換器で変換された前記アナログ信号が入力され、前記スイッチング素子がオンの状態のときに、前記スイッチング素子がオフの状態のときよりも前記基準電圧が大きくなるように、前記アナログ信号に応じて前記基準電圧の大きさを調整する請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記外部電源は、DC−DCコンバーターを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子機器と、
画像形成部と、を備え、
前記ICチップは、画像処理プロセッサーを含み、
前記画像形成部は、前記画像処理プロセッサーで画像処理された画像データで示される画像を用紙に形成して出力する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−99032(P2013−99032A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237425(P2011−237425)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】