説明

電子機器

【課題】本発明は、電子機器の使い勝手を向上させる。
【解決手段】本発明は、第1筐体2の第1筐体一端部に設けられた第1回動軸16、26と、第2筐体3の第2筐体一端部に設けられた第2回動軸17、27とを有する第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5により、第1回動軸16、26及び第2回動軸17、27を介して第1筐体2及び第2筐体3を開閉可能に連結し、変位部により、第2筐体一面3Aに設けられた第2表示部9を、第1筐体2及び第2筐体3の折畳状態及び背中合状態では第2筐体他端側に変位させ、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態では第2筐体一端側へ変位させることにより、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態で第1筐体一面2A内の第1表示面6A又は操作キー、及び第2筐体一面3A内の第2表示面9Aが目視される際、視線の移動量を小さくして目の疲れを低減させ、使い勝手を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器に関し、例えば、第1筐体と第2筐体とが開閉可能に連結されて形成された折畳型の電子機器に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の折畳型の電子機器は、操作キーが設けられた第1部材と、ディスプレイが設けられた第2部材とがヒンジ装置を介して連結されている。ヒンジ装置内には、第1回動軸部及び第2回動軸部が並設され、当該第1回動軸部に第1部材が回動自在に枢着されると共に、第2回動軸部に第2部材が回動自在に枢着されている。
【0003】
またヒンジ装置において第1回動軸部及び第2回動軸部には、相対回動する第1回動部及び第2回動部が設けられている。さらにヒンジ装置において第1回動部及び第2回動部は連動リンクで連結されている。
【0004】
これによりヒンジ装置は、連動リンクにより第1回動部の回動を第2回動部に伝達して当該第1回動部及び第2回動部を連動させて回動させる。このようにして電子機器は、ヒンジ装置を介して第1部材及び第2部材を相対的に360度回動可能としていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−75747公報(第8頁乃至第10頁、図7乃至図13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる構成の折畳型の電子機器は、第1部材及び第2部材が開かれて例えば、操作キーが操作されると、その操作に応じて種々の処理を実行してディスプレイに処理の実行状況を示す情報を表示している。
【0007】
よって折畳型の電子機器は、第1部材及び第2部材が開かれて操作キーが操作された場合、ディスプレイを介して、その操作に応じた処理の実行状況を適宜確認させている。
【0008】
ところで、一般に折畳型の電子機器では、第1部材及び第2部材が開かれて操作キーが操作される際、操作キーとディスプレイとが近いほど、操作キー及びディスプレイ上での視線の移動量を小さくして目の疲れを低減させ、使い勝手を向上させることができる。
【0009】
ところが、従来の折畳型の電子機器は、第1部材及び第2部材の間にヒンジ装置が介在する分、操作キーとディスプレイとが大きく離れている。このため折畳型の電子機器は、第1部材及び第2部材が開かれて操作キーが操作される際、目の疲れを低減させるために操作キー及びディスプレイ上での視線の移動量を小さくし得るとは言えず、使い勝手を向上させ難いという問題があった。
【0010】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、使い勝手を向上し得る電子機器を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するため本発明においては、電子機器において、第1筐体の第1筐体一端部に設けられた第1回動軸と、第2筐体の第2筐体一端部に設けられた第2回動軸とを有するヒンジ部により、当該第1回動軸及び第2回動軸を介して第1筐体及び第2筐体を折畳状態から背中合状態までの範囲で開閉可能に連結し、変位部により、第2筐体の第2筐体一面に設けられた表示部を、第1筐体及び第2筐体の折畳状態及び背中合状態では第2筐体他端側に変位させ、第1筐体及び第2筐体の見開状態では第2筐体一端側へ変位させるようにした。
【0012】
従って本発明では、第1筐体及び第2筐体の見開状態で第1筐体一面内の表示面又は操作キー、及び第2筐体一面内の表示面が目視される場合、当該第1筐体一面内の表示面又は操作キー、及び第2筐体一面内の表示面上での視線の移動量を小さくして目の疲れを低減させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子機器において、第1筐体の第1筐体一端部に設けられた第1回動軸と、第2筐体の第2筐体一端部に設けられた第2回動軸とを有するヒンジ部により、当該第1回動軸及び第2回動軸を介して第1筐体及び第2筐体を折畳状態から背中合状態までの範囲で開閉可能に連結し、変位部により、第2筐体の第2筐体一面に設けられた表示部を、第1筐体及び第2筐体の折畳状態及び背中合状態では第2筐体他端側に変位させ、第1筐体及び第2筐体の見開状態では第2筐体一端側へ変位させるようにしたことにより、第1筐体及び第2筐体の見開状態で第1筐体一面内の表示面又は操作キー、及び第2筐体一面内の表示面が目視される場合、当該第1筐体一面内の表示面又は操作キー、及び第2筐体一面内の表示面上での視線の移動量を小さくして目の疲れを低減させることができ、かくして使い勝手を向上し得る電子機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による折畳形の電子機器の外観構成の一実施の形態を示す略線的斜視図である。
【図2】第1筐体のヒンジ用切欠部の構成を示す略線的上面図である。
【図3】第1筐体の軸形成部の構成を示す略線的断面図である。
【図4】第2筐体のヒンジ用切欠部及び変位用切欠部の構成を示す略線的上面図である。
【図5】第2筐体の軸形成部の構成を示す略線的断面図である。
【図6】第1ヒンジ部の外観構成を示す略線的斜視図である。
【図7】第1ヒンジ部の内部構成(1)を示す略線的断面図である。
【図8】第1ヒンジ部の内部構成(2)を示す略線的断面図である。
【図9】第1ヒンジ部による第1筐体及び第2筐体の連結の説明に供する略線的斜視図である。
【図10】第2ヒンジ部の外観構成を示す略線的斜視図である。
【図11】第2ヒンジ部の内部構成(1)を示す略線的断面図である。
【図12】第2ヒンジ部の内部構成(2)を示す略線的断面図である。
【図13】第2ヒンジ部による第1筐体及び第2筐体の連結の説明に供する略線的斜視図である。
【図14】第1筐体及び第2筐体の開閉時の第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部の姿勢の変化(1)の説明に供する略線図である。
【図15】第1筐体及び第2筐体の開閉時の第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部の姿勢の変化(2)の説明に供する略線図である。
【図16】第1筐体及び第2筐体の開閉時の第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部の姿勢の変化(3)の説明に供する略線図である。
【図17】第1筐体及び第2筐体の開閉時の第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部の姿勢の変化(4)の説明に供する略線図である。
【図18】第1筐体及び第2筐体の開閉時の第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部の姿勢の変化(5)の説明に供する略線図である。
【図19】第1筐体及び第2筐体の開閉(1)の説明に供する略線的斜視図である。
【図20】第1筐体及び第2筐体の開閉(2)の説明に供する略線的斜視図である。
【図21】第1筐体及び第2筐体の開閉(3)の説明に供する略線的斜視図である。
【図22】第1筐体及び第2筐体の開閉(4)の説明に供する略線的斜視図である。
【図23】第1筐体及び第2筐体の開閉(5)の説明に供する略線的斜視図である。
【図24】第1筐体及び第2筐体の開閉に応じた第2表示部の変位(1)の説明に供する略線的斜視図である。
【図25】第1筐体及び第2筐体の開閉に応じた第2表示部の変位(2)の説明に供する略線的斜視図である。
【図26】第1筐体及び第2筐体の開閉に応じた第2表示部の変位(3)の説明に供する略線的斜視図である。
【図27】第1筐体及び第2筐体の開閉に応じた第2表示部の変位(4)の説明に供する略線的斜視図である。
【図28】第1筐体及び第2筐体の開閉に応じた第2表示部の変位(5)の説明に供する略線的斜視図である。
【図29】第1筐体及び第2筐体の開閉に応じた第2表示部の変位(6)の説明に供する略線的斜視図である。
【図30】第1筐体及び第2筐体の開閉に応じた第2表示部の変位(7)の説明に供する略線的斜視図である。
【図31】他の実施の形態による第1カム端面及び第2カム端面と、保持部の左側切欠部の底面及び右側切欠部の底面との形状を示す略線的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面を用いて、発明を実施するための最良の形態(以下、これを実施の形態とも呼ぶ)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0016】
<1.実施の形態>
[1−1.折畳型の電子機器の外観構成]
図1において、1は全体として本発明による折畳型の電子機器を示す。かかる電子機器1は、略偏平矩形状の第1筐体2の一端部と、略偏平矩形状の第2筐体3の一端部とが、それぞれ2軸構成の第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5を介して連結されている。
【0017】
これにより電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3を、互いの一面2A及び3Aを合せる折畳状態から互いの他面2B及び3Bを合せる背中合状態までの「0」度乃至「360」度の範囲で開閉し得るように形成されている。
【0018】
因みに、以下の説明では、第1筐体2の一端を、第1筐体一端とも呼び、当該第1筐体2において第1筐体一端とは反対側の他端を、第1筐体他端とも呼ぶ。
【0019】
そして、以下の説明では、第1筐体2において第1筐体一端から第1筐体他端ヘ向かう方向、及びこれとは逆の第1筐体他端から第1筐体一端へ向かう方向をまとめて第1筐体奥行方向とも呼ぶ。
【0020】
また、以下の説明では、第1筐体2の一面2Aを、第1筐体一面2Aとも呼び、当該第1筐体2の他面2Bを、第1筐体他面2Bとも呼ぶ。
【0021】
そして、以下の説明では、第1筐体2において第1筐体一面2Aから第1筐体他面2Bヘ向かう方向、及びこれとは逆の第1筐体他面2Bから第1筐体一面2Aへ向かう方向をまとめて第1筐体厚み方向とも呼ぶ。
【0022】
さらに、以下の説明では、第1筐体2の一方の側面2Cを、第1筐体左側面2Cとも呼び、当該第1筐体2の他方の側面2Dを、第1筐体右側面2Dとも呼ぶ。
【0023】
そして、以下の説明では、第1筐体2において第1筐体左側面2Cから第1筐体右側面2Dヘ向かう方向、及びこれとは逆の第1筐体右側面2Dから第1筐体左側面2Cへ向かう方向をまとめて第1筐体幅方向とも呼ぶ。
【0024】
さらに、以下の説明では、第2筐体3の一端を、第2筐体一端とも呼び、当該第2筐体3において第2筐体一端とは反対側の他端を、第2筐体他端とも呼ぶ。
【0025】
そして、以下の説明では、第2筐体3において第2筐体一端から第2筐体他端ヘ向かう方向、及びこれとは逆の第2筐体他端から第2筐体一端へ向かう方向をまとめて第2筐体奥行方向とも呼ぶ。
【0026】
さらに、以下の説明では、第2筐体3の一面3Aを、第2筐体一面3Aとも呼び、当該第2筐体3の他面3Bを、第2筐体他面3Bとも呼ぶ。
【0027】
そして、以下の説明では、第2筐体3において第2筐体一面3Aから第2筐体他面3Bヘ向かう方向、及びこれとは逆の第2筐体他面3Bから第2筐体一面3Aへ向かう方向をまとめて第2筐体厚み方向とも呼ぶ。
【0028】
さらに、以下の説明では、第2筐体3の一方の側面3Cを、第2筐体左側面3Cとも呼び、当該第2筐体3の他方の側面3Dを、第2筐体右側面3Dとも呼ぶ。
【0029】
そして、以下の説明では、第2筐体3において第2筐体左側面3Cから第2筐体右側面3Dヘ向かう方向、及びこれとは逆の第2筐体右側面3Dから第2筐体左側面3Cへ向かう方向をまとめて第2筐体幅方向とも呼ぶ。
【0030】
この場合、第1筐体2及び第2筐体3は、形状、大きさ及び厚みが等しく選定されている。因みに、以下の説明では、第1筐体2及び第2筐体3の厚みを、共に筐体厚みとも呼ぶ。
【0031】
そして第1筐体2の第1筐体一面2Aの中央部には、第1筐体一端近傍(例えば、第1筐体一端から数[mm]だけ第1筐体他端寄りの位置)から第1筐体他端側の所定位置に亘り、略偏平矩形状の第1表示部6が第1表示面6Aを露出させて配置されている。
【0032】
因みに、以下の説明では、第1表示部6の第1表示面6Aにおいて、第1筐体一端側の一端を、第1表示面一端とも呼び、第1筐体他端側の他端を第1表示面他端とも呼ぶ。
【0033】
すなわち、第1筐体2は、第1筐体一面2Aの中央部において第1筐体一端から第1表示面一端までの距離が上述の数[mm]に選定され、当該第1表示部6が第1表示面一端を第1筐体一端に近接させて配置されている。
【0034】
また第1表示部6の第1表示面6A上には、当該第1表示面6Aを覆うように透明な第1タッチパネル7が設けられている。因みに、第1筐体2の第1筐体一面2Aに設けられた第1表示部6は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。
【0035】
一方、第2筐体3の第2筐体一面3Aには、第2筐体一端から第2筐体他端側の所定位置までに亘り、表示部変位用の略長方形状の切欠部(以下、これを変位用切欠部とも呼ぶ)3Eが形成されている。
【0036】
また第2筐体3の第2筐体一面3Aにおいて変位用切欠部3E内には、略長方形の枠状に形成された保持部8が第2筐体奥行方向にスライド自在に設けられている。
【0037】
さらに保持部8は、略偏平矩形状の第2表示部9を、その側面を一周に亘って囲むように保持して、第2筐体一面3Aにおいて当該第2表示部9の第2表示面9Aを露出させている。
【0038】
因みに、以下の説明では、第2表示部9の第2表示面9Aにおいて、第2筐体一端側の一端を、第2表示面一端とも呼び、第2筐体他端側の他端を第2表示面他端とも呼ぶ。
【0039】
そして保持部8は、第2表示部9の側面を一周に亘って囲む4つの枠部8A乃至8Dのうち、第2筐体一端側(すなわち、第2表示面一端に接する)の枠部8Aの奥行が、第1筐体一端から第1表示面一端までの距離と等しい数[mm]に選定されている。因みに、以下の説明では、保持部8の4つの枠部8A乃至8Dのうち、第2筐体一端側の枠部8Aを、一端側枠部8Aとも呼ぶ。
【0040】
これにより保持部8は、例えば、第1筐体2及び第2筐体3が第1筐体一面2A及び第2筐体一面3Aを並べるように「180」度の角度に開かれた際、第2筐体一端側へスライドして第2表示面一端を第1表示面一端に近接させることができる。
【0041】
すなわち、保持部8は、例えば、第1筐体2及び第2筐体3が「180」度の角度に開かれた際、第2表示面9Aを第1表示面6Aに近接させて、これらをあたかも1つの表示面のように配置させることができる。
【0042】
さらに第2表示部9の第2表示面9A上には、当該第2表示面9Aを覆うように透明な第2タッチパネル10が設けられている。因みに、第2筐体3の一面3Aに設けられた第2表示部9も、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等である。
【0043】
そして第1筐体2及び第2筐体3の少なくとも一方の内部には、制御部や記憶部等のような種々の回路部(図示せず)が収納され、当該制御部が他の回路部と電気的に接続されている。
【0044】
また制御部は、第1表示部6や第2表示部9、第1タッチパネル7及び第2タッチパネル10とも適宜、電気的に接続されている。これにより制御部は、例えば、第1表示部6の第1表示面6A及び第2表示部9の第2表示面9Aに種類の異なる画像を個別に表示することができる。
【0045】
また制御部は、例えば、第1表示部6の第1表示面6A及び第2表示部9の第2表示面9Aに1つの画像を2つに切り分けて表示することもできる。
【0046】
すなわち、制御部は、例えば、第1筐体2及び第2筐体3が「180」度程度まで開かれた場合、第1表示面6A及び第2表示面9Aをあたかも1つの表示面のように用いて当該第1表示面6Aから第2表示面9Aに亘り1つの画像を表示することもできる。
【0047】
さらに制御部は、第1表示部6の第1表示面6A及び第2表示部9の第2表示面9Aに画像を表示した状態で第1タッチパネル7及び第2タッチパネル10の表面がタッチ操作されると、そのタッチ操作に応じた処理を実行する。
【0048】
実際に制御部は、第1表示部6の第1表示面6Aに各種操作キーがアイコンとして配置された画像(以下、これをキーボード画像とも呼ぶ)を表示することができる。
【0049】
そして制御部は、第1表示部6の第1表示面6Aにキーボード画像を表示した状態で第1タッチパネル7の表面がタッチ操作されアイコンが指示されると、タッチ操作により指示されたアイコンに予め割り当てている処理を実行する。
【0050】
すなわち、制御部は、第1表示面6Aを第1タッチパネル7と共にあたかもハードウェアのキーボードのように機能させて、そのキーボード(キーボード画像)に対する操作に応じて、第2表示面9Aに表示する画像を切り換え、また当該画像の内容を更新する。
【0051】
[1−2.折畳型の電子機器の詳細構成]
次いで、折畳型の電子機器1の構成を詳細に説明する。図2及び図3に示すように、第1筐体2の第1筐体一端部には、第1筐体左側面2C寄りの所定位置に、第1ヒンジ部4の幅とほぼ等しい幅を有し、第1筐体一端から第1筐体他端側への深さが筐体厚みとほぼ等しいヒンジ用切欠部2Eが形成されている。
【0052】
因みに、以下の説明では、第1筐体一端部において第1筐体左側面2C寄りの所定位置に形成されたヒンジ用切欠部2Eを、第1筐体左側切欠部2Eとも呼ぶ。
【0053】
また第1筐体2の第1筐体一端部には、第1筐体右側面2D寄りの所定位置にも、第2ヒンジ部5の幅とほぼ等しい幅を有し、第1筐体一端から第1筐体他端側への深さが筐体厚みとほぼ等しいヒンジ用切欠部2Fが形成されている。
【0054】
因みに、以下の説明では、第1筐体一端部において第1筐体右側面2D寄りの所定位置に形成されたヒンジ用切欠部2Fを、第1筐体右側切欠部2Fとも呼ぶ。
【0055】
そして第1筐体一端において第1筐体左側切欠部2E及び第1筐体右側切欠部2F間の部分は、端面(すなわち、第1筐体一端の端面)2Gが第1筐体一面2A及び第1筐体他面2Bと直角に接する平面状に形成されている。
【0056】
因みに、以下の説明では、第1筐体一端において第1筐体左側切欠部2E及び第1筐体右側切欠部2F間の部分を、第1筐体一端中央部とも呼び、当該第1筐体一端中央部の端面2Gを、第1筐体一端面2Gとも呼ぶ。
【0057】
また第1筐体一端部において第1筐体左側切欠部2Eより第1筐体左側面2C側の部分2Hは、後述するように第2筐体3に対して第1筐体2を回動させる際の回動軸が形成される軸形成部となる。
【0058】
因みに、以下の説明では、第1筐体一端部において第1筐体左側切欠部2Eよりも第1筐体左側面2C側の部分2H、すなわち軸形成部を、第1左側軸形成部2Hとも呼ぶ。
【0059】
第1左側軸形成部2Hは、第1筐体一端側の端面が、第1筐体幅方向と平行で、かつ当該端面の中央から筐体厚みの1/2の距離に位置する仮想線VL1を中心として当該1/2の距離を半径とする円柱の半周分の側面を描くような円弧状に形成されている。
【0060】
さらに第1筐体一端部において第1筐体右側切欠部2Fより第1筐体右側面2D側の部分2Jも、後述するように第2筐体3に対して第1筐体2を回動させる際の回動軸が形成される軸形成部となる。
【0061】
因みに、以下の説明では、第1筐体一端部において第1筐体右側切欠部2Fよりも第1筐体右側面2D側の部分2J、すなわち軸形成部を、第1右側軸形成部2Jとも呼ぶ。
【0062】
第1右側軸形成部2Jも、第1左側軸形成部2Hと同様に第1筐体一端側の端面が、上述の仮想線VL1を中心として筐体厚みの1/2の距離を半径とする円柱の半周分の側面を描くような円弧状に形成されている。
【0063】
一方、図4及び図5に示すように、第2筐体3の第2筐体一面3Aには、上述のように第2表示面9Aよりも幅広な変位用切欠部3Eが形成されている。
【0064】
ただし、変位用切欠部3Eは、第2筐体他端側では第2筐体3の底板3Kを残すように形成されている。また変位用切欠部3Eは、第2筐体一端側では当該第2筐体一端から第2筐体他端側へ第2筐体3の底板3Kを略コ字状に取り除くように形成されている。
【0065】
第2筐体3の第2筐体一端部には、第1筐体左側切欠部2Eと対向する第2筐体左側面3C寄りの所定位置に、第1ヒンジ部4の幅とほぼ等しい幅を有し、第2筐体一端から第2筐体他端側への深さが筐体厚みとほぼ等しいヒンジ用切欠部3Fが形成されている。
【0066】
因みに、以下の説明では、第2筐体一端部において第2筐体左側面3C寄りの所定位置に形成されたヒンジ用切欠部3Fを、第2筐体左側切欠部3Fとも呼ぶ。
【0067】
この場合、第2筐体左側切欠部3Fは、第2筐体一端部に実際に切り欠かれた部分と、変位用切欠部3Eの左側にかかる部分とで、上述の第1筐体左側切欠部2Eと対向するように形成されている。
【0068】
また第2筐体3の第2筐体一端部には、上述の第1筐体右側切欠部2Fと対向させて、第2筐体右側面3D寄りの所定位置にも、第2筐体一端から第2筐体他端側への深さが筐体厚みとほぼ等しいヒンジ用切欠部3Gが形成されている。
【0069】
因みに、以下の説明では、第2筐体一端部において第2筐体右側面3D寄りの所定位置に形成されたヒンジ用切欠部3Gを、第2筐体右側切欠部3Gとも呼ぶ。
【0070】
この場合、第2筐体右側切欠部3Gは、第2筐体一端部に実際に切り欠かれた部分と、変位用切欠部3Eの右側にかかる部分とで、上述の第1筐体右側切欠部2Fと対向するように形成されている。
【0071】
そして第2筐体一端部において第2筐体左側切欠部3Fより第2筐体左側面3C側の部分3Hは、後述するように第1筐体2に対して第2筐体3を回動させる際の回動軸が形成される軸形成部となる。
【0072】
因みに、以下の説明では、第2筐体一端部において第2筐体左側切欠部3Fよりも第2筐体左側面3C側の部分3H、すなわち軸形成部を、第2左側軸形成部3Hとも呼ぶ。
【0073】
第2左側軸形成部3Hは、第2筐体一端側の端面が、第2筐体幅方向と平行で、かつ当該端面の中央から筐体厚みの1/2の距離に位置する仮想線VL2を中心として当該1/2の距離を半径とする円柱の半周分の側面を描くような円弧状に形成されている。
【0074】
また第2筐体一端部において第2筐体右側切欠部3Gより第2筐体右側面3D側の部分3Jも、後述するように第1筐体2に対して第2筐体3を回動させる際の回動軸が形成される軸形成部となる。
【0075】
因みに、以下の説明では、第2筐体一端部において第2筐体右側切欠部3Gよりも第2筐体右側面3D側の部分3J、すなわち軸形成部を、第2右側軸形成部3Jとも呼ぶ。
【0076】
第2右側軸形成部3Jも、第2左側軸形成部3Hと同様に第2筐体一端側の端面が、上述の仮想線VL2を中心として筐体厚みの1/2の距離を半径とする円柱の半周分の側面を描くような円弧状に形成されている。
【0077】
また保持部8は、一端側枠部8Aにおいて上述の第1筐体左側切欠部2Eと対向する左端部に、筐体厚みの1/2に等しい深さの切欠部(以下、これを左側切欠部とも呼ぶ)8AXが形成されている。
【0078】
さらに保持部8は、一端側枠部8Aにおいて上述の第1筐体左側切欠部2Eと対向する右端部にも、筐体厚みの1/2に等しい深さの切欠部(以下、これを右側切欠部とも呼ぶ)8AYが形成されている。
【0079】
そして保持部8は、一端側枠部8Aの端面(すなわち、第1筐体一端側の端面であり、以下、これを保持部一端面とも呼ぶ)8AZが、当該一端側枠部8Aの上面及び下面と直角に接する平面状に形成されている。
【0080】
図6に示すように、第1ヒンジ部4は、一面15Aから他面15Bまでの厚みが筐体厚みと等しく、一方の側面15Cから他方の側面15Dまでが上述の第1ヒンジ部4の幅となる第1ヒンジケース15を有している。
【0081】
因みに、以下の説明では、第1ヒンジケース15において一面15Aを、第1ヒンジ一面15Aとも呼び、当該第1ヒンジケース15において他面15Bを、第1ヒンジ他面15Bとも呼ぶ。
【0082】
また、以下の説明では、第1ヒンジ部4の第1ヒンジケース15において第1ヒンジ一面15Aから第1ヒンジ他面15Bまでの厚みを、第1ヒンジ厚みとも呼ぶ。
【0083】
そして、以下の説明では、第1ヒンジ部4において第1ヒンジ一面15Aから第1ヒンジ他面15Bヘ向かう方向、及びこれとは逆の第1ヒンジ他面15Bから第1ヒンジ一面15Aへ向かう方向をまとめて第1ヒンジ部厚み方向とも呼ぶ。
【0084】
さらに、以下の説明では、第1ヒンジケース15において一方の側面15Cを、第1ヒンジ左側面15Cとも呼び、当該第1ヒンジケース15において他方の側面15Dを、第1ヒンジ右側面15Dとも呼ぶ。
【0085】
そして、以下の説明では、第1ヒンジ部4において第1ヒンジ左側面15Cから第1ヒンジ右側面15Dヘ向かう方向、及びこれとは逆の第1ヒンジ右側面15Dから第1ヒンジ左側面15Cへ向かう方向をまとめて第1ヒンジ部幅方向とも呼ぶ。
【0086】
第1ヒンジケース15は、一端の端面15Eが、第1ヒンジ部幅方向と平行で、当該端面15Eの中央から筐体厚みの1/2の距離に位置する仮想線VL3を中心として当該1/2の距離を半径とする円柱の半周分の側面を描くような円弧状に形成されている。
【0087】
また第1ヒンジケース15は、他端の端面15Fが、第1ヒンジ部幅方向と平行で、当該端面15Fの中央から筐体厚みの1/2の距離に位置する仮想線VL4を中心として当該1/2の距離を半径とする円柱の半周分の側面を描くような円弧状に形成されている。
【0088】
因みに、以下の説明では、第1ヒンジケース15の一端を、第1ヒンジ一端とも呼び、当該第1ヒンジケース15の他端を、第1ヒンジ他端とも呼ぶ。
【0089】
そして、以下の説明では、第1ヒンジ部4において第1ヒンジ一端の端面15Eの頂点から第1ヒンジ他端の端面15Fの頂点へ向かう方向、及びこれとは逆の方向をまとめて第1ヒンジ部長手方向とも呼ぶ。
【0090】
そして第1ヒンジケース15は、第1ヒンジ一端の円弧状の端面15Eの頂点から第1ヒンジ他端の円弧状の端面15Fの頂点までの長さが筐体厚みの2倍の長さとほぼ等しく選定されている。
【0091】
因みに、以下の説明では、第1ヒンジケース15において第1ヒンジ一端の円弧状の端面15Eの頂点から第1ヒンジ他端の円弧状の端面15Fの頂点までの長さを、第1ヒンジ長さとも呼ぶ。
【0092】
さらに第1ヒンジケース15は、第1ヒンジ他端部において第1ヒンジ右側面15D側に、第1ヒンジ他端から第1ヒンジ一端側への深さが筐体厚みの1/2と等しい切欠部が形成されている。
【0093】
この場合、第1ヒンジケース15において第1ヒンジ右側面15D側の部分は、第1筐体2及び第2筐体3の開閉に応じて保持部8を変位させるためのカム部(以下、これを第1カム部とも呼ぶ)15Gとなる。
【0094】
すなわち、第1ヒンジケース15において第1ヒンジ一端の円弧状の端面15Eの頂点から切欠部の底面(以下、これを第1カム端面とも呼ぶ)15GXまでの筐体厚みのほぼ1.5倍の長さを有する部分が第1カム部15Gとなる。そして第1カム部15Gの幅(第1カム端面15GXの幅)は、保持部8の左側切欠部8AXの幅と等しく選定されている。
【0095】
また第1ヒンジケース15は、第1カム部15Gよりも左側の部分の幅が、第2筐体3の第2筐体一端部に第2筐体左側切欠部3Fとして実際に切り欠かれた部分の幅とほぼ等しく選定されている。
【0096】
さらに第1ヒンジケース15において第1ヒンジ左側面15Cには、第1ヒンジ一端側に仮想線VL3を中心とし、所定の半径を有する円形の一端側孔部15CXが穿設されている。
【0097】
さらにまた第1ヒンジケース15において第1ヒンジ左側面15Cには、第1ヒンジ他端側に仮想線VL4を中心とし、一端側孔部15CXと等しい半径を有する円形の他端側孔部15CYが穿設されている。
【0098】
そして図7乃至図9に示すように、第1ヒンジ部4は、一端側孔部15CXとほぼ等しい半径を有する円柱状の2本の第1回動軸16及び第2回動軸17を有している。また第1ヒンジ部4は、第1ヒンジケース15内に収納された円板状の2つの第1プーリ18及び第2プーリ19も有している。
【0099】
因みに、図7は、第1筐体2及び第2筐体3が第1筐体一面2A及び第2筐体一面3Aを並べるように「180」度の角度に開かれた状態(以下、これを見開状態とも呼ぶ)を示す。また図8及び図9は、第1筐体2及び第2筐体3が「120」度程度の角度に開かれた状態を示している。
【0100】
第1ヒンジケース15は、第1ヒンジケース15の一端側孔部15CXに、第1回動軸16が仮想線VL3を中心にして回動可能に挿入されている。
【0101】
そして第1回動軸16において第1ヒンジケース15の外部に突出している一端は、当該第1回動軸16の回動中心となる仮想線VL3を仮想線VL1と一致させて第1筐体2の第1左側軸形成部2Hの内壁に固定されている。
【0102】
また第1回動軸16において第1ヒンジケース15の内部に入り込んでいる他端は、仮想線VL3を第1プーリ18の中心軸と一致させて、当該第1プーリ18の一面の中央部に固定されている。
【0103】
さらに第1ヒンジケース15は、第1ヒンジケース15の他端側孔部15CYに、第2回動軸17が、第1回動軸16と平行で、かつ仮想線VL4を中心にして回動可能に挿入されている。
【0104】
第2回動軸17において第1ヒンジケース15の外部に突出している一端は、当該第2回動軸17の回動中心となる仮想線VL4を仮想線VL2と一致させて第2筐体3の第2左側軸形成部3Hの内壁に固定されている。
【0105】
さらにまた第2回動軸17において第1ヒンジケース15の内部に入り込んでいる他端は、仮想線VL4を第2プーリ19の中心軸と一致させて、当該第2プーリ19の一面の中央部に固定されている。
【0106】
これにより第1ヒンジ部4は、第1筐体2及び第2筐体3の開閉の際、その開閉に連動して第1ヒンジケース15内で第1回動軸16と共に第1プーリ18が回動すると共に、第2回動軸17と共に第2プーリ19も回動する。
【0107】
また第1ヒンジ部4は、第1プーリ18の側面から第2プーリ19の側面に亘りワイヤ20が八の字状に掛けられている。そしてワイヤ20は、一部が第1プーリ18の他面上に引き回されて当該他面に固定されると共に、他の一部が第2プーリ19の他面上に引き回されて当該他面に固定されている。
【0108】
因みに、ワイヤ20は、電子機器1の組立時、例えば、第1筐体2及び第2筐体3が「180」度の角度に開かれて第1左側軸形成部2Hの端面と第2左側軸形成部3Hの端面とが接触した状態で、第1プーリ18及び第2プーリ19に掛けられて固定されている。
【0109】
これにより第1ヒンジ部4は、第1筐体2及び第2筐体3の開閉の際、第1プーリ18及び第2プーリ19の側面上でワイヤ20を滑らせずに、当該第1プーリ18及び第2プーリ19を同期させて相対的に反対方向へ回動させる。
【0110】
すなわち、第1ヒンジ部4は、第1筐体2及び第2筐体3の開閉の際、第1回動軸16及び第1プーリ18に対し第2回動軸17及び第2プーリ19のみが回動することを防止する。
【0111】
また第1ヒンジ部4は、第1筐体2及び第2筐体3の開閉の際、第2回動軸17及び第2プーリ19に対し第1回動軸16及び第1プーリ18のみが回動することも防止する。
【0112】
このようにして第1ヒンジ部4は、第1筐体2の第1筐体一端部の左側と、第2筐体3の第2筐体一端部の左側とを連結して、当該第1筐体2及び第2筐体3を開閉させることができる。
【0113】
一方、図10に示すように、第2ヒンジ部5は、第1ヒンジ部4の第1ヒンジケース15と面対称な形状の第2ヒンジケース25を有している。すなわち、第2ヒンジケース25は、一面25Aから他面25Bまでの厚みが筐体厚みと等しく選定され、一方の側面25Cから他方の側面25Dまでが上述の第2ヒンジ部5の幅となる。
【0114】
因みに、以下の説明では、第2ヒンジケース25において一面25Aを、第2ヒンジ一面25Aとも呼び、当該第2ヒンジケース25において他面25Bを、第2ヒンジ他面25Bとも呼ぶ。
【0115】
また、以下の説明では、第2ヒンジ部5の第1ヒンジケース25において第2ヒンジ一面25Aから第2ヒンジ他面25Bまでの厚みを、第2ヒンジ厚みとも呼ぶ。
【0116】
そして、以下の説明では、第2ヒンジ部5において第2ヒンジ一面25Aから第2ヒンジ他面25Bヘ向かう方向、及びこれとは逆の第2ヒンジ他面25Bから第2ヒンジ一面25Aへ向かう方向をまとめて第2ヒンジ部厚み方向とも呼ぶ。
【0117】
さらに、以下の説明では、第2ヒンジケース25において一方の側面25Cを、第2ヒンジ左側面25Cとも呼び、当該第2ヒンジケース25において他方の側面25Dを、第2ヒンジ右側面25Dとも呼ぶ。
【0118】
そして、以下の説明では、第2ヒンジ部5において第2ヒンジ左側面25Cから第2ヒンジ右側面25Dヘ向かう方向、及びこれとは逆の第2ヒンジ右側面25Dから第2ヒンジ左側面25Cへ向かう方向をまとめて第2ヒンジ部幅方向とも呼ぶ。
【0119】
第2ヒンジケース25は、一端の端面25Eが、第2ヒンジ部幅方向と平行で、当該端面25Eの中央から筐体厚みの1/2の距離に位置する仮想線VL5を中心として当該1/2の距離を半径とする円柱の半周分の側面を描くような円弧状に形成されている。
【0120】
また第2ヒンジケース25は、他端の端面25Fが、第2ヒンジ部幅方向と平行で、当該端面25Fの中央から筐体厚みの1/2の距離に位置する仮想線VL6を中心として当該1/2の距離を半径とする円柱の半周分の側面を描くような円弧状に形成されている。
【0121】
因みに、以下の説明では、第2ヒンジケース25の一端を、第2ヒンジ一端とも呼び、当該第2ヒンジケース25の他端を、第2ヒンジ他端とも呼ぶ。
【0122】
そして、以下の説明では、第2ヒンジ部5において第2ヒンジ一端の端面25Eの頂点から第2ヒンジ他端の端面25Fの頂点へ向かう方向、及びこれとは逆の方向をまとめて第2ヒンジ部長手方向とも呼ぶ。
【0123】
そして第2ヒンジケース25は、第2ヒンジ一端の円弧状の端面25Eの頂点から第2ヒンジ他端の円弧状の端面25Fの頂点までの長さが筐体厚みの2倍の長さとほぼ等しく選定されている。
【0124】
因みに、以下の説明では、第2ヒンジケース25において第2ヒンジ一端の円弧状の端面25Eの頂点から第2ヒンジ他端の円弧状の端面25Fの頂点までの長さを、第2ヒンジ長さとも呼ぶ。
【0125】
さらに第2ヒンジケース25は、第2ヒンジ他端部において第2ヒンジ左側面25C側に、第2ヒンジ他端から第2ヒンジ一端側への深さが筐体厚みの1/2と等しい切欠部が形成されている。
【0126】
この場合、第2ヒンジケース25において第2ヒンジ左側面25C側の部分は、第1筐体2及び第2筐体3の開閉に応じて保持部8を変位させるためのカム部(以下、これを第2カム部とも呼ぶ)25Gとなる。
【0127】
すなわち、第2ヒンジケース25において第2ヒンジ一端の円弧状の端面25Eの頂点から切欠部の底面(以下、これを第2カム端面とも呼ぶ)25GXまでの筐体厚みのほぼ1.5倍の長さを有する部分が第2カム部25Gとなる。そして第2カム部25Gの幅(第2カム端面25GXの幅)は、保持部8の右側切欠部8AYの幅と等しく選定されている。
【0128】
また第2ヒンジケース25は、第2カム部25Gよりも右側の部分の幅が、第2筐体3の第2筐体一端部に第2筐体右側切欠部3Gとして実際に切り欠かれた部分の幅とほぼ等しく選定されている。
【0129】
さらに第2ヒンジケース25において第2ヒンジ右側面25Dには、第2ヒンジ一端側に仮想線VL5を中心とし、上述の一端側孔部15CXと等しい半径を有する円形の一端側孔部25DXが穿設されている。
【0130】
また第2ヒンジケース25において第2ヒンジ右側面25Dには、第2ヒンジ他端側に仮想線VL6を中心とし、上述の一端側孔部15CXと等しい半径を有する円形の他端側孔部25DYが穿設されている。
【0131】
そして図11乃至図13に示すように、第2ヒンジ部5は、上述の一端側孔部15CXとほぼ等しい半径を有する円柱状の2本の第1回動軸26及び第2回動軸27を有している。また第2ヒンジ部5は、第2ヒンジケース25内に収納された円板状の2つの第1プーリ28及び第2プーリ29も有している。
【0132】
因みに、図11は、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態を示し、図12及び図13は、第1筐体2及び第2筐体3が「120」度程度の角度に開かれた状態を示している。
【0133】
第2ヒンジケース25は、第2ヒンジケース25の一端側孔部25DXに、第1回動軸26が仮想線VL5を中心にして回動可能に挿入されている。
【0134】
そして第1回動軸26において第2ヒンジケース25の外部に突出している一端は、当該第1回動軸26の回動中心となる仮想線VL5を仮想線VL1と一致させて第2筐体3の第1右側軸形成部2Jの内壁に固定されている。
【0135】
また第1回動軸26において第2ヒンジケース25の内部に入り込んでいる他端は、仮想線VL5を第1プーリ28の中心軸と一致させて、当該第1プーリ28の一面の中央部に固定されている。
【0136】
さらに第2ヒンジケース25は、第2ヒンジケース25の他端側孔部25DYに、第2回動軸27が、第1回動軸26と平行で、かつ仮想線VL6を中心にして回動可能に挿入されている。
【0137】
第2回動軸27において第2ヒンジケース25の外部に突出している一端は、当該第2回動軸27の回動中心となる仮想線VL6を仮想線VL2と一致させて第2筐体3の第2右側軸形成部3Jの内壁に固定されている。
【0138】
さらにまた第2回動軸27において第2ヒンジケース25の内部に入り込んでいる他端は、仮想線VL6を第2プーリ29の中心軸と一致させて、当該第2プーリ29の一面の中央部に固定されている。
【0139】
これにより第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の開閉の際、その開閉に連動して第2ヒンジケース25内で第1回動軸26と共に第1プーリ28が回動すると共に、第2回動軸27と共に第2プーリ29も回動する。
【0140】
そして第2ヒンジ部5は、第1プーリ28の側面から第2プーリ29の側面に亘りワイヤ30が八の字状に掛けられている。またワイヤ30は、一部が第1プーリ28の他面上に引き回されて当該他面に固定されると共に、他の一部が第2プーリ29の他面上に引き回されて当該他面に固定されている。
【0141】
因みに、ワイヤ30は、電子機器1の組立時、例えば、第1筐体2及び第2筐体3が「180」度の角度に開かれて第1右側軸形成部2Jの端面と第2右側軸形成部3Jの端面とが接触した状態で、第1プーリ28及び第2プーリ29に掛けられて固定されている。
【0142】
これにより第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の開閉の際、第1プーリ28及び第2プーリ29の側面上でワイヤ30を滑らせずに、当該第1プーリ28及び第2プーリ29を同期させて相対的に反対方向へ回動させる。
【0143】
すなわち、第2ヒンジ部5は、上述の第1ヒンジ部4の場合と同様に、第1筐体2及び第2筐体3の開閉の際、第1回動軸26及び第1プーリ28に対し第2回動軸27及び第2プーリ29のみが回動することを防止する。
【0144】
また第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の開閉の際、第2回動軸27及び第2プーリ29に対し第1回動軸26及び第1プーリ28のみが回動することも防止する。
【0145】
このようにして第2ヒンジ部5は、第1筐体2の第1筐体一端部の右側と、第2筐体3の第2筐体一端部の右側とを連結して、当該第1筐体2及び第2筐体3を開閉させることができる。
【0146】
実際に図14(A)乃至図18(B)に示すように、第1筐体2は、上述のように第1左側軸形成部2Hの端面と、第1右側軸形成部2Jの端面とが半円を描くように円弧状に形成されている。
【0147】
また第2筐体3は、上述のように第2左側軸形成部3Hの端面と、第2右側軸形成部3Jの端面とが半円を描くように円弧状に形成されている。
【0148】
そして第1ヒンジ部4は、上述のように電子機器1の組立時、第1左側軸形成部2Hの端面と第2左側軸形成部3Hの端面とが接触した状態で、第1プーリ18及び第2プーリ19にワイヤ20が掛けられて固定されている。
【0149】
また第2ヒンジ部5は、上述のように電子機器1の組立時、第1右側軸形成部2Jの端面と第2右側軸形成部3Jの端面とが接触した状態で、第1プーリ28及び第2プーリ29にワイヤ30が掛けられて固定されている。
【0150】
さらに第1筐体2は、第1筐体一端部の左側及び右側が面対称に形成されると共に、第2筐体3も、第2筐体一端部の左側及び右側が面対称に形成されている。さらに第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5も面対称に形成されている。
【0151】
よって第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、電子機器1の使用時、外部から第1筐体2及び第2筐体3が開閉用に操作されると、第1左側軸形成部2H及び第2左側軸形成部3Hを接触させると共に、第1右側軸形成部2J及び第2右側軸形成部3Jを接触させた状態で同期して姿勢を変化させる。
【0152】
これにより第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3を「0」度の角度から「360」度の角度の範囲で自由に開閉させることかできる。
【0153】
すなわち、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、電子機器1の使用時、第1筐体2及び第2筐体3を、第1筐体一端部と第2筐体一端部とが何ら引っ掛かることなく開閉させることができる。
【0154】
また第1ヒンジ部4は、第1プーリ18及び第2プーリ19に掛けられているワイヤ20の一部が、当該第1プーリ18及び第2プーリ19の間で、これらから浮いた状態で交差している。
【0155】
そして第1ヒンジ部4は、第1筐体2及び第2筐体3が開閉された場合、第1プーリ18及び第2プーリ19に対してワイヤ20を滑らせずに、当該第1プーリ18及び第2プーリ19の間でワイヤ20の交差部分を変位させる。
【0156】
また第2ヒンジ部5も、第1プーリ28及び第2プーリ29に掛けられているワイヤ30の一部が、当該第1プーリ28及び第2プーリ29の間で、これらから浮いた状態で交差している。
【0157】
そして第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3が開閉された場合、第1プーリ28及び第2プーリ29に対してワイヤ30を滑らせずに、当該第1プーリ28及び第2プーリ29の間でワイヤ30の交差部分を変位させる。
【0158】
これにより第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の開閉の際、第1回動軸16、26、及び第2回動軸17、27を中心にして、当該第1筐体2及び第2筐体3を同期させて相対的に反対方向へ回動させることができる。
【0159】
すなわち、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3を、何れか一方だけが回動して当該第1筐体2及び第2筐体3の連結部分に段差が生じることを防止して、あたかも1つの軸で連結されているように開閉させることができる。
【0160】
そして第1ヒンジ部4は、第1ヒンジケース15の一端側孔部15CX内及び他端側孔部15CY内で第1回動軸16及び第2回動軸17が回動する。
【0161】
また第1ヒンジ部4は、上述のように第1ヒンジ長さが筐体厚みの2倍の長さとほぼ等しく選定されると共に、第1ヒンジ厚みが筐体厚みとほぼ等しく選定されている。
【0162】
よって第1ヒンジ部4は、第1筐体2及び第2筐体3の開閉の際、第1筐体左側切欠部2E及び第2筐体左側切欠部3F内で、第1ヒンジ部長手方向を2本の仮想線VL1及びVL2と直交する仮想線VL7と平行にしたまま姿勢を変化させる。
【0163】
また第2ヒンジ部5も、第2ヒンジケース25の一端側孔部25DX内及び他端側孔部25DY内で第1回動軸26及び第2回動軸27が回動する。
【0164】
そして第2ヒンジ部5も、上述のように第2ヒンジ長さが筐体厚みの2倍の長さとほぼ等しく選定されると共に、第2ヒンジ厚みが筐体厚みとほぼ等しく選定されている。
【0165】
よって第2ヒンジ部5も、第1筐体2及び第2筐体3の開閉の際、第1筐体右側切欠部2F及び第2筐体右側切欠部3G内で、第2ヒンジ部長手方向を2本の仮想線VL1及びVL2と直交する仮想線VL7と平行にしたまま姿勢を変化させる。
【0166】
特に第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の折畳状態(図14(A))では、第1ヒンジ一端部及び第2ヒンジ一端部や第1ヒンジ他端部及び第2ヒンジ他端部が第1筐体他面2Bや第2筐体他面3Bから突出することを回避している。
【0167】
また第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の背中合状態(図18(B))でも、第1ヒンジ一端部及び第2ヒンジ一端部や第1ヒンジ他端部及び第2ヒンジ他端部が第1筐体一面2Aや第2筐体一面3Aから突出することを回避している。
【0168】
すなわち、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の折畳状態や背中合状態では、重ねられた第1筐体2及び第2筐体3と共に筐体厚みの2倍の厚みを有する1つの直方体を形成するように当該第1筐体2及び第2筐体3と一体化する。
【0169】
これに加え第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態(図16(B))において、第1ヒンジ一面15A及び第2ヒンジ一面25Aが第1筐体一面2A及び第2筐体一面3Aから突出することを回避している。
【0170】
また第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態(図16(B))において、第1ヒンジ他面15B及び第2ヒンジ他面25Bが第1筐体他面2B及び第2筐体他面3Bから突出することも回避している。
【0171】
すなわち、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態では、並べられた第1筐体2及び第2筐体3と共に筐体厚みを有する1つの直方体を形成するように当該第1筐体2及び第2筐体3と一体化する。
【0172】
このようにして図19(A)乃至図23(B)に示すように、電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3を「0」度(図19(A)に示す折畳状態)から「360」度(図23(B)に示す背中合状態)までの範囲で自由に開閉させることができる。
【0173】
ところで、第2筐体3は、変位用切欠部3E内において例えば、第2筐体他端側に1又は複数のばね(コイルばね、又は板ばね等)が設けられている。これにより第2筐体3は、変位用切欠部3E内でばねにより、保持部8と共に第2表示部9を第2筐体一端側に付勢している。
【0174】
そして図24(A)及び(B)に示すように、第1ヒンジ部4は、第1筐体2及び第2筐体3が「0」度の角度に閉じられた(折畳状態の)場合、第1ヒンジ一面15Aの第1ヒンジ右側面15D寄りの部分を保持部8の左側切欠部8AXの底面に突き当てる。
【0175】
また第2ヒンジ部5は、この際、第2ヒンジ一面25Aの第2ヒンジ左側面25C寄りの部分を保持部8の右側切欠部8AYの底面に突き当てる。
【0176】
これにより第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、左側切欠部8AX及び右側切欠部8AYの底面の位置を、第2筐体3の第2筐体左側切欠部3F及び第2筐体左側切欠部3Gの底面の位置と揃えて、保持部8と共に第2表示部9を第2筐体他端側に変位させる。
【0177】
すなわち、保持部8は、上述のように保持部一端面8AZから左側切欠部8AX及び右側切欠部8AYの底面までの深さが、筐体厚みのほぼ1/2に選定されている。
【0178】
また第1筐体2は、上述のように第1筐体一端中央部の第1筐体一端面2Gから第1筐体左側切欠部2E及び第1筐体右側切欠部2Fの底面までの深さが筐体厚みとほほ等しく選定されている。さらに第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、上述のように第1ヒンジ厚み及び第2ヒンジ厚みが筐体厚みとほぼ等しく選定されている。
【0179】
そして第1ヒンジ部4は、第1筐体2及び第2筐体3の折畳状態では、第1ヒンジ部長手方向を、第1筐体厚み方向(及び第2筐体厚み方向)と平行にして第1筐体2の第1筐体左側切欠部2E内から第2筐体3の第2筐体左側切欠部3F内に亘って位置する。
【0180】
よって第1ヒンジ部4は、この際、第1ヒンジ一面15Aにおいて第1カム部15Gの部分(すなわち、第1ヒンジ右側面15D寄りで中央から第1カム端面15GXの縁までの部分)を保持部8の左側切欠部8AXの底面に突き当てる。
【0181】
また第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の折畳状態では、第2ヒンジ部長手方向を第1筐体厚み方向(及び第2筐体厚み方向)と平行にして第1筐体2の第1筐体右側切欠部2F内から第2筐体3の第2筐体右側切欠部3G内に亘って位置する。
【0182】
よって第2ヒンジ部5は、この際、第2ヒンジ一面25Aにおいて第2カム部25Gの部分(すなわち、第1ヒンジ左側面25C寄りで中央から第2カム端面25GXの縁までの部分)を保持部8の右側切欠部8AYの底面に突き当てる。
【0183】
これにより第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、保持部8の保持部一端面8AZを筐体厚みの1/2の距離だけ、第2筐体他端側に位置させるように、変位用切欠部3E内で当該保持部8と共に第2表示部9を第2筐体他端側に変位させる。
【0184】
すなわち、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の折畳状態では、第1筐体一端面2Gと保持部一端面8AZとが平面状に形成されているものの、これらを離して位置させる。
【0185】
従って第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第3筐体3を、折畳状態から、第1筐体一端面2Gの縁と保持部一端面8AZの縁とが何ら引っ掛かることなく開かせることができる。
【0186】
図25(A)乃至図29(B)に示すように、第1ヒンジ部4は、実際に第1筐体2及び第2筐体3が折畳状態から開かれ始めると、第1ヒンジ部長手方向を第1筐体厚み方向に対して徐々に傾けるように姿勢を変化させる。
【0187】
よって第1ヒンジ部4は、第1ヒンジ一面15Aにおいて第1カム部15Gの部分(第1ヒンジ右側面15D寄りの中央部分)を保持部8の左側切欠部8AXの底面から徐々に離間させて、第1カム端面15GXの縁を当該左側切欠部8AXの底面に突き当てる。
【0188】
そして第1ヒンジ部4は、第1筐体2及び第2筐体3の開き角度の増加に応じて姿勢を変化させながら、保持部8の左側切欠部8AXの底面に対する第1カム端面15GXの縁の接触位置を当該底面の中央から第2筐体一面3A側へ変化させる。
【0189】
また第2ヒンジ部5は、この際、第2ヒンジ部長手方向を第1筐体厚み方向に対して徐々に傾けるように姿勢を変化させる。よって第2ヒンジ部5は、第2ヒンジ一面25Aにおいて第2カム部25Gの部分(第1ヒンジ左側面25C寄りの中央部分)を保持部8の右側切欠部8AYの底面から徐々に離間させて、第2カム端面25GXの縁を当該右側切欠部8AYの底面に突き当てる。
【0190】
そして第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の開き角度の増加に応じて姿勢を変化させながら、保持部8の右側切欠部8AYの底面に対する第2カム端面25GXの縁の接触位置を当該底面の中央から第2筐体一面3A側へ変化させる。
【0191】
これにより第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の開き角度が大きくなるほど、変位用切欠部3E内で保持部8と共に第2表示部9を第2筐体一端側に変位させて保持部一端面8AZを第1筐体一面2Aに近づける。
【0192】
そして第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3が例えば、「90」度の角度に開かれたとき(図27(A)及び(B))、保持部8の保持部一端面8AZを第1筐体一面2Aの第1筐体一端寄りから僅かに浮いた状態にする。
【0193】
ただし、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の開き角度が例えば「120」度よりも大きくなる(図28及び図29)と、保持部一端面8AZを第1筐体一面2Aと第1筐体一端面2Gとの角部に突き当てさせる。
【0194】
すなわち、保持部8は、第1筐体2及び第2筐体3が「120」度を越えてさらに開かれている間は、第1カム端面15GX及び第2カム端面25GXから僅かに浮いた状態となる。
【0195】
この際、保持部8は、第1筐体一面2Aの第1筐体一端寄りの縁に対する保持部一端面8AZの接触位置を第2筐体一面3A側へ変化させながら、第2表示部9と共に第2筐体一端側にさらに変位する。
【0196】
そして図30(A)及び(B)に示すように、第1ヒンジ部4は、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態では、第1ヒンジ部長手方向を第1筐体奥行方向及び第2筐体奥行方向と平行にするように姿勢を変化させる。
【0197】
よって第1ヒンジ部4は、この際、第1筐体2の第1筐体左側切欠部2E内から第2筐体3の第2筐体左側切欠部3F内に亘って位置して、第1カム端面15GXを保持部8の左側切欠部8AXの底面に突き当てる。
【0198】
また第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態では、第2ヒンジ部長手方向を第1筐体奥行方向及び第2筐体奥行方向と平行にするように姿勢を変化させる。
【0199】
よって第2ヒンジ部5は、この際、第1筐体2の第1筐体右側切欠部2F内から第2筐体3の第2筐体右側切欠部3G内に亘って位置して、第2カム端面25GXを保持部8の右側切欠部8AYの底面に突き当てる。
【0200】
これにより第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、変位用切欠部3E内で保持部8と共に第2表示部9を第2筐体他端側に目一杯変位させて、当該保持部8の保持部一端面8AZを第1筐体一端中央部の第1筐体一端面2Gに突き当てさせる。
【0201】
すなわち、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態において第1筐体一面2A及び第2筐体一面3Aが並べられると、第2表示面9Aを第1表示面6Aに近接させる。
【0202】
従って第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、このように第1筐体2及び第2筐体3の見開状態(図21(B))では、第1表示部6の第1表示面6Aと第2表示部9の第2表示面9Aとをあたかも1つの表示面のように配置することができる。
【0203】
そして保持部8は、この際、第2筐体一端側へ付勢された状態で、平坦な保持部一端面8AZを、第1筐体2の平坦な第1筐体一端面2Gに突き当てている。
【0204】
また第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、上述のように平坦な第1カム端面15GXを保持部8の左側切欠部8AXの平坦な底面に突き当てると共に、平坦な第2カム端面25GXを当該保持部8の右側切欠部8AYの平坦な底面に突き当てる。
【0205】
これにより第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3を見開状態にロック(固定)する。よって第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3が例えば、見開状態で持ち上げられても、当該第1筐体2及び第2筐体3の開き角度が容易には変化しないように見開状態を維持することができる。
【0206】
また保持部8は、第1筐体2及び第2筐体3が見開状態からさらに開かれると、保持部一端面8AZが第1筐体他面2Bと第1筐体一端面2Gとの角部に乗り上げて第1カム端面15GX及び第2カム端面25GXから浮いた状態となる。
【0207】
そして保持部8は、この際、第1筐体他面2Bと第1筐体一端面2Gとの角部に対する保持部一端面8AZの接触位置を第2筐体一面3A側へ変化させながら、変位用切欠部3E内で第2表示部9と共に第2筐体他端側に再び変位する。
【0208】
この際、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1ヒンジ部長手方向及び第2ヒンジ長手方向を第1筐体奥行方向に対して徐々に傾けて第1筐体厚み方向に近づけるように姿勢を変化させる。
【0209】
その結果、第1ヒンジ部4は、第1筐体2及び第2筐体3が例えば「240」度まで開かれると、第1ヒンジ他面15Bにおいて第1カム端面15GXの縁を、保持部8の左側切欠部8AXの底面において第2筐体他面3B寄りに突き当てる。
【0210】
そして第1ヒンジ部4は、第1筐体2及び第2筐体3の開き角度の増加に応じて姿勢を変化させる。よって第1ヒンジ部4は、保持部8の左側切欠部8AXの底面に対する第1カム端面15GXの縁の接触位置を、当該左側切欠部8AXの底面において第2筐体他面3B側から中央側へ変化させる。
【0211】
また第2ヒンジ部5は、第1筐体2に対する第2筐体3が例えば、「240」度まで開かれると、第2ヒンジ他面25Bにおいて第2カム端面25GXの縁を、保持部8の右側切欠部8AYの底面において第2筐体他面3B寄りに突き当てる。
【0212】
そして第2ヒンジ部5も、第1筐体2及び第2筐体3の開き角度の増加に応じて姿勢を変化させる。よって第2ヒンジ部5は、保持部8の右側切欠部8AYの底面に対する第2カム端面25GXの縁の接触位置を、当該右側切欠部8AYの底面において第2筐体他面3B側から中央側へ変化させる。
【0213】
これにより第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3が例えば、「270」度の角度に開かれたとき、保持部8の保持部一端面8AZを第1筐体他面2Bの第1筐体一端寄りから僅かに浮いた状態にする。
【0214】
そして第1ヒンジ部4は、第1筐体2及び第2筐体3の開き角度の増加に応じてさらに姿勢を変化させると、保持部8の左側切欠部8AXの底面に対する第1カム端面15GXの縁の接触位置を当該底面の中央側にさらに変化させる。
【0215】
また第2ヒンジ部5は、この際、第1筐体2及び第2筐体3の開き角度の増加に応じてさらに姿勢を変化させながら、保持部8の右側切欠部8AYの底面に対する第2カム端面25GXの縁の接触位置を当該底面の中央側にさらに変化させる。
【0216】
これにより第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の開き角度が大きくなるほど、変位用切欠部3E内で保持部8と共に第2表示部9を第2筐体他端側に変位させて保持部一端面8AZを第1筐体他面2Aから離間させる。
【0217】
このようにして第1ヒンジ部4は、第1筐体2及び第2筐体3の開き角度の増加に応じて、第1ヒンジ他面15Bにおいて第1カム部15Gの部分(すなわち、第1ヒンジ右側面15D寄りの中央部分)を保持部8の左側切欠部8AXの底面に徐々に近づける。
【0218】
また第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の開き角度の増加に応じて、第2ヒンジ他面25Bにおいて第2カム部25Gの部分(すなわち、第1ヒンジ左側面25C寄りの中央部分)を保持部8の右側切欠部8AYの底面に徐々に近づける。
【0219】
そして第1ヒンジ部4は、第1筐体2及び第2筐体3の背中合状態では、第1ヒンジ部長手方向を、第1筐体厚み方向(及び第2筐体厚み方向)と平行にして第1筐体2の第1筐体左側切欠部2E内から第2筐体3の第2筐体左側切欠部3F内に亘って位置する。
【0220】
よって第1ヒンジ部4は、この際、第1ヒンジ他面15Bにおいて第1カム部15Gの部分(すなわち、第1ヒンジ右側面15D寄りの中央から第1カム端面15GXの縁までの部分)を保持部8の左側切欠部8AXの底面に突き当てる。
【0221】
また第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の背中合状態では、第2ヒンジ部長手方向を第1筐体厚み方向(及び第2筐体厚み方向)と平行にして第1筐体2の第1筐体右側切欠部2F内から第2筐体3の第2筐体右側切欠部3G内に亘って位置する。
【0222】
よって第2ヒンジ部5は、この際、第2ヒンジ他面25Bにおいて第2カム部25Gの部分(すなわち、第1ヒンジ左側面25C寄りの中央から第2カム端面25GXの縁までの部分)を保持部8の右側切欠部8AYの底面に突き当てる。
【0223】
これにより第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、保持部8の保持部一端面8AZを筐体厚みの1/2の距離だけ、第2筐体他端側に位置させるように、変位用切欠部3E内で当該保持部8と共に第2表示部9を第2筐体他端側に変位させる。
【0224】
すなわち、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3の背中合状態では、平面状の第1筐体一端面2Gと、平面状の保持部一端面8AZとを離して位置させる。
【0225】
従って第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第3筐体3を背中合状態から第1筐体一端面2Gの縁と、保持部一端面8AZの縁とが何ら引っ掛かることなく閉じさせることができる。
【0226】
すなわち、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5は、第1筐体2及び第2筐体3が背中合状態から閉じられるように操作されると、上述とは逆の手順で姿勢を変化させながら保持部8を第2表示部9と共に変位させて、最終的に折畳状態に戻すことができる。
【0227】
[1−3.実施の形態の動作及び効果]
以上の構成において、電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3を、第1筐体一端部に設けられた第1回動軸16及び26と、第2筐体一端部に設けられた第2回動軸17及び27とを有する第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5を介して開閉可能に連結する。
【0228】
そして電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3の折畳状態及び背中合状態では、第2筐体3の第2筐体一面3Aに設けられた第2表示部9を第2筐体他端側へ変位させ、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態では、第2表示部9を第2筐体一端側へ変位させる。
【0229】
従って電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態で第1筐体一面2A内の第1表示面6A及び第2筐体一面3A内の第2表示面9Aが目視される場合、当該第1表示面6A及び第2表示面9A上での視線の移動量を小さくすることができる。
【0230】
よって電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態で第1筐体一面2A内の第1表示面6A及び第2筐体一面3A内の第2表示面9Aが目視される場合、目の疲れを低減させることができる。
【0231】
以上の構成によれば、電子機器1において第1筐体2及び第2筐体3を、第1筐体一端部に設けられた第1回動軸16及び26と、第2筐体一端部に設けられた第2回動軸17及び27とを有する第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5を介して折畳状態から背中合状態までの範囲で開閉可能に連結し、第1筐体2及び第2筐体3の折畳状態及び背中合状態では、第2筐体一面3Aに設けられた第2表示部9を第2筐体他端側に変位させ、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態では、当該第2表示部9を第2筐体一端側へ変位させるようにした。これにより電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態で第1筐体一面2A内の第1表示面6A及び第2筐体一面3A内の第2表示面9Aが目視される場合に視線の移動量を小さくして目の疲れを低減させることができる。従って電子機器1は、使い勝手を向上させることができる。
【0232】
また電子機器1では、第1筐体2の第1筐体一端部及び第2筐体3の第2筐体一端部において第1筐体左側面2C及び第2筐体左側面3C寄り及び第1筐体右側面2D及び第2筐体右側面3D寄りに第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5を設けるようにした。これに加え電子機器1では、第2筐体3の第2筐体一面3Aの中央部に第2表示部9を設けるようにした。
【0233】
これにより電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態において第2表示部9を第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5に遮らせずに第2筐体一端側へ変位させることができる。
【0234】
このため電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態において第2表示部9の第2表示面一端を、第1筐体一面2Aに設けられた第1表示部6の第1表示面一端に近接させることができる。
【0235】
よって電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態において第1表示面6A及び第2表示面9A上での視線の移動量を大幅に小さくして目の疲れを格段的に低減させることができる。
【0236】
さらに電子機器1では、第1筐体2及び第2筐体3の厚みと、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5の厚みとが等しく選定されている。そして電子機器1では、第1筐体2及び第2筐体3に対し第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5を、見開状態において第1筐体一面2A及び第2筐体一面3Aと、第1筐体他面2B及び第2筐体他面3Bとから突出しないように設けるようにした。
【0237】
これにより電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3が見開状態に開かれた場合、当該第1筐体2及び第2筐体3全体を1枚の板状の筐体とすることができる。
【0238】
そして電子機器1は、この際、第1筐体2及び第2筐体3において第1筐体一面2A及び第2筐体一面3Aからなる1つの大きな面の中央部に第1表示面6A及び第2表示面9Aをあたかも1つの大型の表示面のように配置して使用させることができる。
【0239】
さらに電子機器1では、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5において第1回動軸16、26及び第2回動軸17、27を第1プーリ18、28及び第2プーリ19、29等と共に第1ヒンジケース15及び第2ヒンジケース25に収納するようにした。
【0240】
従って電子機器1は、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5において第1回動軸16、26及び第2回動軸17、27並びに第1プーリ18、28及び第2プーリ19、29等を埃等から保護して常に最適な状態で機能させることができる。
【0241】
さらに電子機器1では、第2筐体3の第2筐体一面3Aに設けられた第2表示部9をばねにより第2筐体一端側へ付勢するようにした。さらにまた電子機器1では、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5の第1ヒンジケース15及び第2ヒンジケース25に第1カム部15G及び第2カム部25Gを設けるようにした。
【0242】
そして電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3の開閉に応じて、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5の姿勢を変化させて第1カム部15G及び第2カム部25Gにより、第2表示部9を第2筐体他端側へ変位させ、また第2筐体一端側へ変位させるようにした。
【0243】
従って電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3を開閉させるだけの簡易な操作で、第2表示部9を折畳状態及び背中合状態では第2筐体他端側へ容易に変位させ、見開状態では第2筐体一端側へ容易に変位させることができる。
【0244】
ただし電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3を見開状態から折り畳むために閉じ始めるときには、保持部8の保持部一端面8AZを第1筐体一面2Aと第1筐体一端面2Gとの角部に乗り上げさせて第2表示部9を第2筐体他端側へ変位させる。
【0245】
すなわち、電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3を見開状態から閉じるとき、第1カム部15G及び第2カム部25Gを利用せずに、第1筐体一面2Aと第1筐体一端面2Gとの角部を利用して保持部8と共に第2表示部9を第2筐体他端側へ変位させる。
【0246】
また電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3を見開状態から背中合わせのためにさらに開き始めるときには、保持部8の保持部一端面8AZを第1筐体他面2Bと第1筐体一端面2Gとの角部に乗り上げさせて第2表示部9を第2筐体他端側へ変位させる。
【0247】
すなわち、電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3を見開状態からさらに開くとき、第1カム部15G及び第2カム部25Gを利用せずに、第1筐体他面2Bと第1筐体一端面2Gとの角部を利用して保持部8と共に第2表示部9を第2筐体他端側へ変位させる。
【0248】
よって電子機器1は、それぞれ平坦な第1カム端面15GX及び第2カム端面25GXと保持部8の左側切欠部8AXの底面及び右側切欠部8AYの底面との摩擦係数が大きい場合でも、第2表示部9を確実に変位させることができる。
【0249】
すなわち、電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3を見開状態から閉じ始めたときや開き始めたときに、第1カム端面15GX及び第2カム端面25GXと保持部8の左側切欠部8AXの底面及び右側切欠部8AYの底面とが噛み合うことを回避して、当該保持部8と共に第2表示部9を第2筐体他端側へ確実に変位させることができる。
【0250】
よって電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3の開閉に応じて、第2表示部9を第2筐体一端側及び第2筐体他端側へ容易にかつ的確に変位させることができる。
【0251】
さらに電子機器1は、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5において第1回動軸16、26の一端及び第2回動軸17、27の一端に固定した第1プーリ18、28及び第2プーリ19、29にワイヤ20、30を八の字状に掛けるようにした。
【0252】
従って電子機器1は、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5を極力小型化することができる。その結果、電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3を、第1左側軸形成部2Hと第2左側軸形成部3Hを近接させると共に、第1右側軸形成部2Jと第2右側軸形成部3Jとを近接させて折畳状態から背中合状態までの間で自由に開閉させることができる。
【0253】
このように電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3の折畳状態では、全体を小型化して容易に持ち運ばせることができる。そして電子機器1は、この際、第1表示面6A及び第2表示面9Aを外部から隠蔽して保護し得ると共に、第1タッチパネル7及び第2タッチパネル10が誤操作されることを防止することができる。
【0254】
また電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3が見開状態では、第1表示面6A及び第2表示面9Aを面一とし、かつ近接させて、あたかも1つの大きな表示面として1又は複数の画像を表示することができる。そして電子機器1は、この際、あたかも1つの大きな表示面上でタッチ操作させることができる。
【0255】
さらに電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3の背中合状態でも、全体を小型化して容易に持ち運ばせることができる。そして電子機器1は、この際、例えば、持ち運び途中でも第1表示面6A及び第2表示面9Aを露出させて種々の画像を表示し得ると共に、その第1表示面6A及び第2表示面9A上でタッチ操作させることもできる。
【0256】
このようにして電子機器1は、第1筐体2及び第2筐体3の折畳状態から背中合状態までの状態遷移と、見開状態での第1表示面6Aと第2表示面9Aとの近接配置とを、第1筐体2及び第2筐体3を開閉する1つの動作で容易に実現することができる。
【0257】
<2.変形例>
[2−1 変形例1]
なお上述した実施の形態においては、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5の第1カム端面15GX及び第2カム端面25GXと、保持部8の左側切欠部8AXの底面及び右側切欠部8AYの底面とを平坦に形成するようにした場合について述べた。
【0258】
しかしながら本発明は、これに限らず、図31に示すように、第1ヒンジ部40及び第2ヒンジ部41の第1カム端面40A及び第2カム端面41Aを凸状に形成するようにしても良い。
【0259】
また本発明は、第1カム端面40A及び第2カム端面41Aの形状に合せて、保持部42の左側切欠部42Aの底面及び右側切欠部42Bの底面を凹状に形成するようにしても良い。
【0260】
本発明は、かかる構成によれば、第1筐体2及び第2筐体3を見開状態から閉じ始めるとき、第1カム端面40A及び第2カム端面41Aの中央の凸部を、保持部42の左側切欠部42Aの底面及び右側切欠部42Bの底面の端の凸部に突き当てることができる。
【0261】
すなわち、本発明は、第1筐体2及び第2筐体3を見開状態から閉じるとき、保持部42の保持部一端面42Cを第1筐体一面2Aと第1筐体一端面2Gとの角部に乗り上げさせることなく、第1カム端面40A及び第2カム端面41Aのみを利用して当該保持部42と共に第2表示部9を第2筐体他端側へ変位させることができる。
【0262】
また本発明は、第1筐体2及び第2筐体3を見開状態からさらに開き始めるときにも、第1カム端面40A及び第2カム端面41Aの中央の凸部を、保持部42の左側切欠部42Aの底面及び右側切欠部42Bの底面の端の凸部に突き当てることができる。
【0263】
すなわち、本発明は、第1筐体2及び第2筐体3を見開状態からさらに開くときにも、保持部42の保持部一端面42Cを第1筐体一面2Aと第1筐体一端面2Gとの角部に乗り上げさせることなく、第1カム端面40A及び第2カム端面41Aのみを利用して当該保持部42と共に第2表示部9を第2筐体他端側へ変位させることができる。
【0264】
言い換えると、本発明は、かかる構成により、第1筐体他面2Bと第1筐体一端面2Gとの角部は利用せずに、第1カム端面40A及び第2カム端面41Aを利用して、第1筐体2及び第2筐体3の開閉に応じて第2表示部9を第2筐体一端側及び第2筐体他端側へ容易にかつ的確に変位させることができる。
【0265】
[2−2 変形例2]
また上述した実施の形態においては、第1筐体2の第1筐体一面2Aに第1表示部6を設けるようにした場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、第1筐体2の第1筐体一面2Aに複数の操作キーを配置して当該第1筐体2をキーボードとして機能させるようにしても良い。
【0266】
本発明は、かかる構成によっても上述した実施の形態の場合と同様に、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態で第1筐体一面2A内の複数の操作キー及び第2筐体一面3A内の第2表示面9Aが目視される場合に視線の移動量を小さくすることができる。
【0267】
従って本発明は、かかる構成によっても、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態で第1筐体一面2A内の複数の操作キー及び第2筐体一面3A内の第2表示面9Aが目視される場合の目の疲れを低減させ、かくして使い勝手を向上させることができる。
【0268】
[2−3 変形例3]
さらに上述した実施の形態においては、第1筐体2及び第2筐体3を2個の第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5を介して開閉可能に連結するようにした場合について述べた。
【0269】
しかしながら本発明は、これに限らず、第1筐体2及び第2筐体3を1個のヒンジ部を介して開閉可能に連結するようにしても良い。そして本発明は、かかる構成の場合、例えば、第1筐体一端部及び第2筐体一端部の第1筐体左側面2C及び第2筐体左側面3Cと、第1筐体右側面2D及び第2筐体右側面3Dとの一方寄りにヒンジ部を設けるようにしても良い。
【0270】
[2−4 変形例4]
さらに上述した実施の形態においては、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5の配置用に第1筐体一端部において第1筐体左側面2C寄りに第1筐体左側切欠部2Eを形成すると共に、第1筐体右側面2D寄りに第1筐体右側切欠部2Fを形成するようにした。
【0271】
また上述した実施の形態においては、第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5の配置用に第2筐体一端部において第2筐体左側面3C寄りに第2筐体左側切欠部3Fを形成すると共に、第2筐体右側面3D寄りに第2筐体右側切欠部3Gを形成するようにした場合について述べた。
【0272】
しかしながら本発明は、これに限らず、第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部の配置用に第1筐体において第1筐体左側面の第1筐体一端部に左側切欠部を形成すると共に、第1筐体右側面の第1筐体一端部に右側切欠部を形成する。
【0273】
また本発明は、第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部の配置用に第2筐体において第2筐体左側面の第2筐体一端部に左側切欠部を形成すると共に、第2筐体右側面の第2筐体一端部に右側切欠部を形成する。
【0274】
そして本発明は、第1筐体において第1筐体左側面の左側切欠部の内壁に第1筐体幅方向と平行に第1回動軸を設けると共に、第1筐体右側面の右側切欠部の内壁に第1筐体幅方向と平行に第2回動軸を設ける。
【0275】
また本発明は、第2筐体において第2筐体左側面の左側切欠部の内壁に第2筐体幅方向と平行に第1回動軸を設けると共に、第2筐体右側面の右側切欠部の内壁に第2筐体幅方向と平行に第2回動軸を設ける。
【0276】
これにより本発明は、第1筐体左側面の左側切欠部及び第2筐体左側面の左側切欠部に亘って、第1回動軸及び第2回動軸を有する第1ヒンジ部を配置する。
【0277】
また本発明は、第1筐体右側面の右側切欠部及び第2筐体右側面の右側切欠部に亘って、第1回動軸及び第2回動軸を有する第2ヒンジ部を配置する。このようにして本発明は、第1筐体及び第2筐体を、第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部を介して開閉可能に連結するようにしても良い。
【0278】
本発明は、かかる構成の場合、第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部に上述と同様に第1カム部及び第2カム部を設けることもできる。そして本発明は、かかる構成の場合、上述した実施の形態に比べて、第1筐体及び第2筐体の幅を狭め、又は保持部の幅を広げることで、第1カム部及び第2カム部により保持部と共に第2表示部を変位させることができる。
【0279】
[2−5 変形例5]
さらに上述した実施の形態においては、本発明の電子機器を、図1乃至図31について上述した電子機器1に適用するようにした場合について述べた。
【0280】
しかしながら本発明は、これに限らず、電子機器を、折畳型のPDA(Personal Digital Assistance)や折畳型のパーソナルコンピュータ(すなわち、ノートブック型のコンピュータ)、折畳型の携帯電話機、折畳型の携帯ゲーム機器に適用することができる。
【0281】
すなわち、本発明は、表示部又は操作部が設けられた第1筐体と、表示部が設けられた第2筐体とをヒンジ部を介して回動自在に連結して形成される電子機器のように、この他種々の構成の折畳型の電子機器に広く適用することができる。
【0282】
[2−6 変形例6]
さらに上述した実施の形態においては、第1筐体として、図1乃至図31について上述した略偏平矩形状の第1筐体2を適用するようにした場合について述べた。
【0283】
しかしながら本発明は、これに限らず、一面及び他面がレーストラック形状や楕円形状、台形状に形成された第1筐体や、第2筐体とは厚みの異なる第1筐体等のように、この他種々の構成の第1筐体を広く適用することができる。
【0284】
[2−7 変形例7]
さらに上述した実施の形態においては、第2筐体として、図1乃至図31について上述した略偏平矩形状の第2筐体3を適用するようにした場合について述べた。
【0285】
しかしながら本発明は、これに限らず、一面及び他面がレーストラック形状や楕円形状、台形状に形成された第2筐体や、第1筐体とは厚みの異なる第2筐体等のように、この他種々の構成の第2筐体を広く適用することができる。
【0286】
[2−8 変形例8]
さらに上述した実施の形態においては、第1筐体の第1筐体一端部に設けられた第1回動軸と、第2筐体の第2筐体一端部に設けられた第2回動軸とを有し、第1回動軸及び第2回動軸を介して第1筐体及び第2筐体を折畳状態から背中合状態までの範囲で開閉可能に連結するヒンジ部として、図1乃至図31について上述した第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5を適用するようにした場合について述べた。
【0287】
しかしながら本発明は、これに限らず、第1筐体2及び第2筐体3の一方の側面側にのみ設けられたヒンジ部や、ヒンジケースを有さず、第1及び第2回動軸16、26及び17、27を第1及び第2プーリ18、28及び19、29と共に露出させたヒンジ部を適用することができる。
【0288】
また本発明は、第1及び第2回動軸の一端各々に固定された少なくとも2個の歯車を有し、当該少なくとも2個の歯車を直接又は他の偶数個の歯車を介して歯合させて第1及び第2回動軸を反対方向に回動させるヒンジ部等のように、この他種々の構成のヒンジ部を広く適用することができる。
【0289】
[2−9 変形例9]
さらに上述した実施の形態においては、第2筐体の第2筐体一面に設けられた表示部として、図1乃至図31について上述した第2表示部9を適用するようにした場合について述べた。
【0290】
しかしながら本発明は、これに限らず、タッチパネルと一体化された表示パネルや、シート状の表示部等のように、この他種々の構成の表示部を広く適用することができる。
【0291】
[2−10 変形例10]
さらに上述した実施の形態においては、第1筐体及び第2筐体の折畳状態及び背中合状態では、表示部を第2筐体の第2筐体他端側に変位させ、第1筐体及び第2筐体の見開状態では、表示部を第2筐体一端側へ変位させる変位部として、図1乃至図31について上述した第1及び第2ヒンジ部4及び5の第1及び第2ヒンジケース15及び25に設けられた第1及び第2カム部15G及び25Gを適用するようにした場合について述べた。
【0292】
しかしながら本発明は、これに限らず、第2筐体2に設けられた第2表示部9を第2筐体一端側に付勢するばねと、第1及び第2プーリ18、28及び19、29の一方と第2表示部9において第2筐体他端側の端部とをつなぐワイヤとから構成された変位部等のように、この他種々の構成の変位部を適用することができる。
【0293】
ところで、本発明は、変位部をばねとワイヤとから構成する場合、第1筐体2及び第2筐体3の見開状態では、ワイヤを撓ませてばねにより第2表示部9を第2筐体一端側や付勢して変位させる。
【0294】
また本発明は、変位部をばねとワイヤとから構成する場合、第1筐体2及び第2筐体3の折畳状態及び背中合せ状態では、第1及び第2プーリ18、28及び19、29の一方によりワイヤを所定量だけ巻き取って第2表示部9を第2筐体他端側に変位させる。
【0295】
すなわち、本発明は、このように変位部をばねとワイヤとから構成した場合でも、上述した実施の形態と同様に、第1筐体2及び第2筐体3の開閉に応じて第2表示部9を変位させることができる。
【0296】
[2−11 変形例11]
さらに上述した実施の形態においては、第1筐体及び第2筐体の厚みと等しい厚みを有し、第1回動軸及び第2回動軸を収納するヒンジケースとして、図1乃至図31について上述した第1及び第2ヒンジケース15及び25を適用するようにした場合について述べた。
【0297】
しかしながら本発明は、これに限らず、カム部を除いて形成されたヒンジケース等のように、この他種々の構成のヒンジケースを広く適用することができる。
【0298】
[2−12 変形例12]
さらに上述した実施の形態においては、第1筐体の第1筐体一面の中央部に設けられた表示部として、図1乃至図31について上述した第1表示部6を適用するようにした場合について述べた。
【0299】
しかしながら本発明は、これに限らず、タッチパネルと一体化された表示パネルや、シート状の表示部等のように、この他種々の構成の表示部を広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0300】
本発明は、折畳型の携帯端末や折畳型のパーソナルコンピュータ、折畳型の携帯電話機、折畳型の携帯ゲーム機器等の電子機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0301】
1……電子機器、2……第1筐体、2E……第1筐体左側切欠部、2F……第1筐体右側切欠部、2G……第1筐体一端面、2H……第1左側軸形成部、2J……第1右側軸形成部、3……第2筐体、3E……変位用切欠部、3F……第2筐体左側切欠部、3G……第2筐体右側切欠部、3H……第2左側軸形成部、3J……第2右側軸形成部、4、40……第1ヒンジ部、5、41……第2ヒンジ部、6……第1表示部、6A……第1表示面、7……第1タッチパネル、8、42……保持部、8AX、42A……左側切欠部、8AY、42B……右側切欠部、8AZ、42C……保持部一端面、9……第2表示部、9A……第2表示面、10……第2タッチパネル、15……第1ヒンジケース、15G……第1カム部、15GX、40A……第1カム端面、16、26……第1回動軸、17、27……第2回動軸、18、28……第1プーリ、19、29……第2プーリ、20、30……ワイヤ、25……第2ヒンジケース、25G……第2カム部、25GX、41A……第2カム端面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
第2筐体と、
上記第1筐体の第1筐体一端部に設けられた第1回動軸と、上記第2筐体の第2筐体一端部に設けられた第2回動軸とを有し、上記第1回動軸及び上記第2回動軸を介して上記第1筐体及び上記第2筐体を折畳状態から背中合状態までの範囲で開閉可能に連結するヒンジ部と、
上記第2筐体の第2筐体一面に設けられた表示部と、
上記第1筐体及び上記第2筐体の上記折畳状態及び上記背中合状態では、上記表示部を上記第2筐体の第2筐体他端側に変位させ、上記第1筐体及び上記第2筐体の見開状態では、上記表示部を上記第2筐体一端側へ変位させる変位部と
を具える電子機器。
【請求項2】
上記ヒンジ部は、
上記第1筐体の上記第1筐体一端部において第1筐体側面寄りに設けられた上記第1回動軸と、上記第2筐体の上記第2筐体一端部において第2筐体側面寄りに設けられた上記第2回動軸とを有し、
上記表示部は、
上記第2筐体の上記第2筐体一面の中央部に設けられた
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
上記第1筐体及び上記第2筐体は、
等しい厚みを有し、
上記ヒンジ部は、
上記第1筐体及び上記第2筐体の上記厚みと等しい厚みを有し、上記第1筐体及び上記第2筐体の開閉に応じて姿勢を変化させ、上記第1筐体及び上記第2筐体の上記見開状態では、第1筐体一面及び上記第2筐体一面と、第1筐体他面及び第2筐体他面とから突出しないように設けられた
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
上記ヒンジ部は、
上記第1筐体及び上記第2筐体の上記厚みと等しい上記厚みを有し、上記第1回動軸及び上記第2回動軸を収納するヒンジケース
を具える請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
上記表示部を上記第2筐体一端側へ付勢するばね
を具え、
上記変位部は、
上記ばねにより上記第2筐体一端側へ付勢された上記表示部を、上記第1筐体及び上記第2筐体の開閉に応じて変位させるように上記ヒンジ部の上記ヒンジケースに設けられたカム部でなる
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
上記ヒンジ部は、
上記ヒンジケースに収納され、上記第1回動軸に固定された第1プーリと、
上記ヒンジケースに収納され、上記第2回動軸に固定された第2プーリと、
上記ヒンジケースに収納され、上記第1プーリの側面から上記第2プーリの側面に亘り八の字状に掛けられたワイヤと
を具える請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
上記第1筐体の上記第1筐体一面の中央部に設けられた表示部
を具える請求項6に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−57662(P2012−57662A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199346(P2010−199346)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】