説明

電子装置およびその製造方法

【課題】スタンドを備えた電子装置の背面ケースの着脱を容易化することにある。
【解決手段】筐体(4)に設置されたシャーシ(本体シャーシ10)にスタンド(14)を取り付け、シャーシ(本体シャーシ10)の背面側を覆う背面ケース(8)に前記スタンド(14)を挿通させる切欠き(切欠き部30)を備え、スタンド(14)と無関係に背面ケース(8)の着脱を可能にしている。さらに、前記シャーシ(本体シャーシ10)または前記スタンドに備えられ、前記背面カバーの前記切欠きを塞ぐカバー(背面カバー32)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面型ディスプレィ装置や平面型パーソナルコンピュータなど、スタンドを備える電子装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装置筐体に背面側から突出するスタンドを備え、このスタンドによって支持する平面型の電子装置が普及している。
【0003】
このような平面型の電子装置について、特許文献1には、前面ケースの後部にディスプレイパネルユニットが取り付けられ、このユニットの後部に取り付けられた背面ケースにスタンド4を取り付ける構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−8252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、筐体に設置されるスタンドが背面ケースと一体に固定される構造では、筐体から背面ケースを外す際に、スタンドを取り外すことが必要である。筐体に設置されたシャーシ上にある回路の調整や、メンテナンスの際、シャーシを筐体から露出させるには、背面ケースの取外しが必要となる。その際、スタンドの取外しが必要であり、取外し部材の点数が多く、手間がかかる。組立て性やメンテナンス性が悪いという課題がある。
【0006】
そこで、本開示の電子装置およびその製造方法は、スタンドを備えた電子装置の背面ケースの着脱を容易化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の電子装置およびその製造方法は、筐体に設置されたシャーシにスタンドを取り付け、シャーシの背面側を覆う背面ケースに前記スタンドを挿通させる切欠きを備え、スタンドと無関係に背面ケースの着脱を可能にしている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電子装置およびその製造方法によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0009】
(1) シャーシに取り付けられたスタンドに関係なく、背面ケースを着脱でき、電子装置の組立て性やメンテナンス性を高めることができる。
【0010】
(2) 背面ケースの着脱に際し、スタンドの取外しが不要であるから、スタンドの着脱の手数が不要であるとともに、スタンドの取り付け強度を低下させることがない。
【0011】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係る電子装置の背面ケースの着脱を示す図である。
【図2】電子装置の組立て工程の一例を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態に係るパーソナルコンピュータを示す図である。
【図4】パーソナルコンピュータの背面を示す図である。
【図5】パーソナルコンピュータの側面を示す図である。
【図6】図4のVI−VI線で切断し前面ケース側を省略した切断面を示す断面図である。
【図7】パーソナルコンピュータから外された背面ケースを示す斜視図である。
【図8】第1の着脱機構による着脱を示す断面図である。
【図9】第2の着脱機構による着脱を示す断面図である。
【図10】背面ケースが外された筐体の内部を示す斜視図である。
【図11】シールドパネルが外された筐体の内部を示す斜視図である。
【図12】本体シャーシから外されたシールドパネルを示す斜視図である。
【図13】背面カバーおよびシールドパネルの一部を示す斜視図である。
【図14】背面カバーが外されスタンドが切り欠いてシールドパネルを示す斜視図である。
【図15】スタンドおよび背面カバーが外されたシールドパネルを示す斜視図である。
【図16】スタンドおよびシールドパネルの一部を示す斜視図である。
【図17】スタンドおよびシールドパネルの一部を背面側から示す斜視図である。
【図18】パーソナルコンピュータの組立て工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1の実施の形態〕
【0014】
第1の実施の形態の電子装置について、図1を参照する。図1は電子装置の一例を示している。図1に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0015】
図1に示す電子装置2は本開示の電子装置の一例である。この電子装置2は、平板型の筐体4を備え、この筐体4を立設させるスタンド構造を備えている。この筐体4は、前面ケース6と背面ケース8を備えている。この筐体4には前面ケース6に固定された本体シャーシ10が収納されている。
【0016】
この本体シャーシ10にはスタンド支持部12とともにスタンド14が取り付けられている。スタンド支持部12はスタンド14の支持部材であるとともに、本体シャーシ10にスタンド14を固定するための固定部材でもある。また、このスタンド支持部12は、本体シャーシ10に実装されるハードディスクドライブ(Hard Disk Drive :HDD)ユニットなどの実装部品のシールド部材で構成してもよい。また、このスタンド支持部12を省略し、本体シャーシ10にスタンド14を直接固定してもよい。
【0017】
このスタンド14とスタンド支持部12との間にはヒンジ部16が備えられ、このヒンジ部16を回転中心に前後方向にスタンド14が回動可能である。スタンド14の傾斜角度θ1 により、筐体4の傾斜角度θ2 を調節することができる。
【0018】
背面ケース8は前面ケース6に設置されている本体シャーシ10の背面側を覆う遮蔽部材であり、本体シャーシ10上のスタンド14と無関係に着脱される。この着脱のため、前面ケース6と背面ケース8との間には第1および第2の着脱機構18A、18Bが設けられている。一例としての着脱機構18Aでは、前面ケース6の上縁に形成された複数の係合凹部20と、背面ケース8の上縁側に備えた鉤部22とで構成されている。また、着脱機構18Bでは、本体シャーシ10の下縁に形成された複数のねじ孔24と、背面ケース8の下縁側に備えた貫通孔26と、この貫通孔26を貫通してねじ孔24に取り付けられる固定ねじ28とで構成されている。
【0019】
これら二つの着脱機構18A、18Bにより前面ケース6と着脱される背面ケース8には、切欠き部30が形成されている。この切欠き部30は本体シャーシ10上にあるスタンド14を挿通させることができる形状および切欠面積を有する。また、背面ケース8を前面ケース6に合体させた状態では、この切欠き部30からスタンド14が突出し、スタンド機能を果たす。そして、背面ケース8の切欠き部30を塞ぐ背面カバー32が備えられ、この背面カバー32がスタンド支持部12に取り付けられている。
【0020】
斯かる構成では、背面ケース8と前面ケース6および本体シャーシ10との着脱を着脱機構18A、18Bにより行うことができる。すなわち、スタンド14を本体シャーシ10から外すことなくつまり、スタンド14と分離し、単体である背面ケース8のみを着脱することができる。
【0021】
背面ケース8が前面ケース6および本体シャーシ10に取り付けられた状態では、背面ケース8の切欠き部30がスタンド14の下側にある背面カバー32で塞がれるので、切欠き部30から筐体4の内部を露出させることもない。背面カバー32により、切欠き部30の内部が防護されている。
【0022】
次に、この電子装置2の製造について、図2を参照する。図2は製造工程の一例を示している。
【0023】
図2に示す組立て手順は、本開示の電子装置の製造方法の一例である。この組立手順では、筐体4に前面ケース6を取り付け、筐体4内にLCD(Liquid Crystal Display)ユニットなどを実装し、本体シャーシ10を取り付ける(ステップS11)。この本体シャーシ10にスタンド支持部12を取り付ける(ステップS12)。このスタンド組立てでは、スタンド支持部12にはスタンド14を予め固定してもよいし、本体シャーシ10に取り付けられたスタンド支持部12にスタンド14を固定してもよい。
【0024】
筐体4には前面ケース6と着脱機構18A、18Bにより着脱可能な背面ケース8を用意し、この背面ケース8にはスタンド14を挿通可能な切欠き部30を形成する。この切欠き部30を備える背面ケース8の切欠き部30に本体シャーシ10上にあるスタンド14挿通させ、背面ケース8を取り付ける(ステップS13)。
【0025】
この背面ケース8の取付けには、先に着脱機構18Aの係合を行う(ステップS14)。すなわち、前面ケース6にある各係合凹部20に背面ケース8にある各鉤部22を挿入し、両者を係合させる。この係合により、前面ケース6側にある本体シャーシ10のねじ孔24に背面ケース8側の貫通孔26を合わせ、貫通孔26側から差し込んだ固定ねじ28で背面ケース8と本体シャーシ10とを固定する(ステップS14)。
【0026】
このように、背面ケース8は本体シャーシ10側に固定されているスタンド14と分離し、スタンド14と無関係に着脱することができる。このため、スタンド14が本体シャーシ10つまり、本体構造部品と一体化され、背面ケース8と分離して組み立てられるので、組立て工程を省略して工数削減を図ることができる。つまり、スタンド14と背面ケース8とが分離、独立した取付け構造を備えたことにより、電子装置2の組立て性やメンテナンス性が高められている。
【0027】
背面ケース8やスタンド14の分解は上記組立て手順と逆に行えばよく、組立工数の削減と同様に分解工数を削減でき、筐体4内の部品交換などのメンテナンス性の容易化、迅速化を図ることができる。
【0028】
〔第2の実施の形態〕
【0029】
第2の実施の形態に係るパーソナルコンピュータについて、図3を参照する。図3はパーソナルコンピュータの前面を示している。図3に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図3において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0030】
図3に示すパーソナルコンピュータ42(以下単に「PC42」と称する。)は、本開示の電子装置の一例である。このPC42は、筐体4、前側に一対のスタンド44と後側にスタンド14とを備えている。筐体4の前面側には画面を露出させ、画像を表示する表示部48が備えられている。表示部48はたとえば、既述のLCDユニットで構成され、また、プラズマディスプレイであってもよい。前側のスタンド44は一対で構成されて筐体4の左右側部に設けられている。スタンド14は筐体4の背面側に設置され、支持座面はスタンド44より広く形成されている。これにより、筐体4は一対のスタンド44と単一のスタンド14の3点で安定して支持され、立設される。
【0031】
このPC42の背面構成について、図4を参照する。図4はPC42の背面を示している。
【0032】
筐体4の背面には図4に示すように、背面ケース8が設置され、この背面ケース8は既述の着脱機構18A、18B(図1)により着脱可能に固定されている。着脱機構18Bには固定ねじ28が用いられている。この背面ケース8には中央下部に切欠部30が形成され、この切欠部30からスタンド14を突出させている。スタンド14は、筐体4内に設置された本体シャーシ10(図1)に強固に固定されている。本体シャーシ10に固定されているスタンド14と、既述の通り背面ケース8とは分離されて構成されている。したがって、本体シャーシ10に対するスタンド14の組立てと、筐体4に対する背面ケース8の組立てを別個に行うことができる。
【0033】
このPC42の側面構成について、図5および図6を参照する。図5はPC42の側面を示している。
【0034】
筐体4の背面ケース8から突出したスタンド14の基部にはヒンジ部16が備えられ、このヒンジ部16によりスタンド14と筐体4との傾斜角度θ1 を調節することができる。この傾斜角度θ1 の調節により、表示部48の鉛直線に対する傾斜角度θ2 を調整することができる。
【0035】
図6は、図4のVI−VI線で切断されたPC42の断面を前面ケース6側の構成およびスタンド44の構成を省略して示している。筐体4の内部には、本体シャーシ10が設置され、この本体シャーシ10にはスタンド14を固定するシールドパネル46が取り付けられている。このシールドパネル46は、既述のスタンド支持部12(図1)の一例である。このシールドパネル46には、スタンド14が取り付けられるスタンド取付け部52が備えられ、このスタンド取付け部52にはスタンド14のヒンジ部16が取り付けられている。スタンド14は、合成樹脂の成形体である前面部材54と背面部材56とを接合し、中間に操作用の窓部58が形成されている。
【0036】
この背面ケース8について、図7を参照する。図7は背面ケース8を背面から見て示している。
【0037】
この背面ケース8は図7に示すように、合成樹脂の成形体であり、筐体4の前面ケースに当接されるケース本体60が備えられている。このケース本体60には後方に突出した膨出部62が備えられている。膨出部62はケース本体60から段差を設けて段階的に後方に突出させており、背面ケース8の補強部を構成するとともに、本体シャーシ10に実装される部品の防護機能を果たす。この背面ケース8には既述の切欠き部30が膨出部62の中央から下縁部に亘って形成されている。切欠き部30の上縁には膨出部62の平面から垂直に立ち上がるフランジ部64が形成されている。このフランジ部64は、スタンド14のヒンジ部16の防護壁を構成している。
【0038】
この背面ケース8の第1の着脱機構18Aについて、図8を参照する。図8は第1の着脱機構18Aの着脱前後を示している。
【0039】
この着脱機構18Aは、図8の(A)に示すように、筐体4の前面ケース6の上縁内面部に形成された突部21と、この突部21の内側に係合する突部23とで構成されている。突部23は前面ケース6内に嵌合させる背面ケース8の上縁に形成されている。
【0040】
斯かる構成では、前面ケース6の突部21に背面ケース8の突部23を位置決めし、図8の(A)に示す状態から両者を合致させる。そして、合成樹脂の成形体である前面ケース6および背面ケース8が持つ弾性を利用し、図8の(B)に示すように、両者を噛み合わせ、結合することができる。
【0041】
この背面ケース8の第2の着脱機構18Bについて、図9を参照する。図9は第2の着脱機構18Bの着脱前後を示している。
【0042】
この着脱機構18Bは、図9の(A)に示すように、前面ケース6に設置された本体シャーシ10の下縁側にシャーシ部材を折り返して固定部66が形成されている。この固定部66には既述の複数のねじ孔24が形成されている。背面ケース8およびシールドパネル46にはねじ孔24に対応する既述の貫通孔26が形成されている。背面ケース8側の貫通孔26は、背面ケース8の下縁部に突出形成された防護壁67によって包囲されることにより防護されている。
【0043】
斯かる構成では、前面ケース6側にある本体シャーシ10のねじ孔24と背面ケース8の貫通孔26とを位置決めし、図9の(A)に示す状態から両者を合致させる。そして、背面ケース8の貫通孔26から固定ねじ28を本体シャーシ10のねじ孔24に到達させ、図9の(B)に示すように、固定ねじ28をねじ込めば、本体シャーシ10と背面ケース8とを固定できる。
【0044】
このような着脱機構18Bによると既述の着脱機構18A(図8)とにより、背面ケース8を筐体4として構成させ、前面ケース6および本体シャーシ10に対し、本体シャーシ10側のスタンド14に関係なく、着脱可能に取り付けることができる。
【0045】
この背面ケース8を外したPC42について、図10を参照する。図10は背面ケース8を外したPC42の背面側を示している。
【0046】
PC42から背面ケース8を外すと、図10に示すように、筐体4内を露出させることができる。この筐体4内には、本体シャーシ10、本体シャーシ10上にあるシールドパネル46およびスタンド14が設置されている。
【0047】
スタンド14はシールドパネル46に取り付けられており、このシールドパネル46は本体シャーシ10に複数の固定ねじ68によって固定されている。シールドパネル46には固定ねじ68を貫通させるための複数の貫通孔70が形成されている。したがって、シールドパネル46は、固定ねじ68により本体シャーシ10に対して着脱することができる。
【0048】
このシールドパネル46を外したPC42の内部について、図11を参照する。図11はシールドパネル46を外したPC42の内部を示している。
【0049】
本体シャーシ10には一対の支持パネル72A、72Bが平行に配置されて固定されている。この支持パネル72A、72Bの間隔内にはHDDユニット74がブラケット76とともに固定されている。各支持パネル72A、72Bの固定部78にはねじ孔80が形成され、このねじ孔80に既述のシールドパネル46の貫通孔70を合わせ、固定ねじ68(図10)によってシールドパネル46が固定される。
【0050】
PC42から外されたシールドパネル46について、図12を参照する。図12はシールドパネル46を示している。
【0051】
シールドパネル46には、上縁にアーム部82、下縁に支持部84、側縁に脚部86が形成されている。アーム部82および支持部84は本体シャーシ10に係合し、脚部86が本体シャーシ10の面部に載置される。したがって、シールドパネル46は、本体シャーシ10上の支持パネル72A、72Bに固定されるとともに、アーム部82、支持部84および脚部86によっても支持され、本体シャーシ10と平行に維持される。
【0052】
このシールドパネル46にはスタンド14が固定されるとともに、このスタンド14の下側には背面ケース8の切欠き部56を塞ぐ背面カバー32が取り付けられている。この背面カバー32は合成樹脂製の弾性を備えた成形体であり、両縁部に複数の固定部88が形成されている。各固定部88は固定ねじ90によりシールドパネル46に着脱可能に固定されている。
【0053】
このようにシールドパネル46はスタンド14および背面カバー32が一体化されるので、これらを一体化部品として扱うことができる。このため、搬送する部品単位を少なくでき、搬送形態を簡略化できる。
【0054】
このシールドパネル46から外された背面カバー32について、図13を参照する。図13は背面カバー32を示している。
【0055】
この背面カバー32は図13に示すように、背面ケース8の切欠き部30(図7)に対応した平面形状であるとともに、屈曲部92を備えている。この屈曲部92は筐体4の縁部に係合する係合部94を備えている。この屈曲部92と固定部88を備えた本体部96との間には平坦部98が形成され、この平坦部98にはケーブル挿通孔100が形成されており、筐体4の内部回路からケーブルを挿通させることができる。各固定部88が固定ねじ90を貫通する貫通孔102が形成されている。
【0056】
この背面カバー32はシールドパネル46に固定され、このシールドパネル46には固定部88を固定するためのねじ孔103が形成されている。したがって、シールドパネル46には背面カバー32が固定ねじ90により、着脱可能に取り付けられる。
【0057】
この背面カバー32を外したシールドパネル46について、図14を参照する。図14は背面カバー32を外し、スタンド14の一部を切り欠いてシールドパネル46を示している。
【0058】
このシールドパネル46には既述のスタンド取付け部52が設けられ、このスタンド取付け部52にはスタンド14のブラケット106がシールドパネル46の裏側から挿通させた固定ねじ108によって固定されている。この実施の形態では、スタンド14がシールドパネル46の裏面側から着脱することができる。したがって、背面カバー32を外しても、スタンド14を固定する固定ねじ108の頭部がシールドパネル46で覆われているので、固定ねじ108を操作することができないので、安全性が保たれる。
【0059】
このスタンド14が外されたシールドパネル46について、図15を参照する。図15はスタンド14を除いたシールドパネル46を示している。
【0060】
シールドパネル46に設けられたスタンド取付け部52には、スタンド14のブラケット106を配置する位置決め部110が凹部によって形成されている。この位置決め部110には、スタンド取付け部52のねじ孔103(図15)に対応する複数の貫通孔114が形成されている。各貫通孔114には既述の固定ねじ108を挿通させる。
【0061】
このスタンド14について、図16および図17を参照する。図16および図17はスタンド14の表裏面の固定構造を示している。
【0062】
スタンド14は、図16および図17に示すように、平板状の脚部116と、ヒンジ部16と、一対のブラケット106を備えている。脚部116はブラケット106によってシールドパネル46に固定され、筐体4を設置面に支持する部材である。この脚部116の着座部118にはストッパ120が形成されている。このストッパ120には前側スタンド44に実装されているゴム脚に対して比較的摩擦係数の低い物質が用いられ、前側スタンド44を摩擦によって停止させ、後側のスタンド14が前後に可動可能に設定されている。この脚部116には既述の窓部58が形成されている。この窓部58によれば、装置背面から出るコネクタケーブル類を挿通させることができ、そのケーブル類がばらけて乱雑になるのを防止することができる。
【0063】
各ブラケット106には、図17に示すように、既述のシールドパネル46のスタンド取付け部52の背面から挿通させた固定ねじ108を取り付けるねじ孔122が形成されている。したがって、スタンド14は、シールドパネル46の背面側からブラケット106に固定ねじ108をねじ込んで、着脱可能に取り付けることができる。
【0064】
次に、このPC42の組立てについて、図18を参照する。図18は組立て工程の一例を示している。
【0065】
この組立て工程は、本開示の電子装置の製造方法の一例である。この組立て工程では、図18に示すように、筐体4の前面ケース6側の組立てを行い(ステップS21)、前面ケース6の内側に本体シャーシ10を取り付ける(ステップS22)。
【0066】
シールドパネル46には予めスタンド14が取り付けられ(ステップS23)、単一の部品として構成される。この場合、背面カバー32もシールドパネル46に固定し、背面ケース8の切欠き部30を塞ぐ準備をする。そして、スタンド14を備えたシールドパネル46は本体シャーシ10に取り付ける(ステップS24)。
【0067】
スタンド14を備えたシールドパネル46が筐体4に組み込まれた後、既述の着脱機構18A、18Bにより背面ケース8の取り付けを行い(ステップS25)、PC42を完成する。
【0068】
このようなPC42では、背面ケース8をスタンド14と別個に、スタンド14と独立した部材として着脱できる。このため、組立てに際しては、予めスタンド14をシールドパネル46に固定し、シールドパネル46の一部の部品として扱い、運搬することができる。この点は背面カバー32についても同様である。
【0069】
PC42の部品交換などの修理にあっては、背面ケース8をスタンド14と別個に着脱し、本体シャーシ10からシールドパネル46を外すことにより、つまりスタンド14の着脱を有することなく、筐体4内部の実装部品に到達することができる。
【0070】
スタンド14は相当な重量を持つ筐体4の支持部材であって、できる限り着脱対象から外すことが好ましいが、この実施の形態では、シールドパネル46を外すことにより、スタンド14の着脱を伴うことなく、部品交換などのメンテナンスが行える。
【0071】
以上説明したように、この実施の形態では、PC42の組立て性およびメンテナンス性を高めることができ、しかも、スタンド14を独立部品ではなく、シールドパネル46と一体化して扱うことができ、取り扱い単位としての部品点数を削減できる。つまり、シールドパネル46にスタンド14を実装して単一部品として搬送でき、スタンド14を個別に搬送する場合に比較し、スタンド14の搬送分の輸送およびそのコストの低減を図ることができる。
【0072】
〔他の実施の形態〕
【0073】
(1) 上記実施の形態では、電子装置2の一例としてPC42を例示したが、これに限定されない。本発明は、テレビジョン受像機、ディスプレイ装置、電子掲示板、電子ゲーム機など、偏平形で縦置きの各種の電子機器に適用できる。
【0074】
(2) 上記実施の形態では、筐体4の背面側に単一のスタンド14を備えた構成を例示したが、複数のスタンドを構成する場合にも適用でき、単一のスタンド14に限定されない。
【0075】
(3) 上記第2の実施の形態では、着脱機構18Aについて、突部21、23を用いた両者の着脱を例示したが、ねじ固定構造でもよく、鉤部と溝部との係合でもよい。
【0076】
(4) 上記第2の実施の形態では、着脱機構18Bについて、ねじ固定構造を例示したが、既述の突部21、23を用いた両者の着脱でもよく、鉤部と溝部との係合でもよい。
【0077】
(5) 上記実施の形態では、スタンド14をシールドパネル46に取り付けているが、本体シャーシ10に直結した構造であってもよい。
【0078】
(6) 上記実施の形態では、背面ケース8の切欠き部30を塞ぐ背面カバー32をスタンド支持部12やシールドパネル46に取り付けているが、スタンド14側に取り付けてもよい。
【0079】
以上説明したように、電子装置およびその製造方法の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0080】
2 電子装置
4 筐体
6 前面ケース
8 背面ケース
10 本体シャーシ
12 スタンド支持部
14 スタンド
18A、18B 着脱機構
46 シールドパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に設置されたシャーシに取り付けられ、前記筐体の背面側に突出するスタンドと、
前記筐体の背面側に着脱可能に設置されて前記シャーシを覆うとともに、前記スタンドを挿通させる切欠きを備えた背面ケースと、
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
さらに、前記シャーシまたは前記スタンドに備えられ、前記背面ケースの前記切欠きを塞ぐカバーと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
さらに、前記筐体の前面側に画面を露出する表示部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
筐体に設置されるシャーシまたは前記筐体に設置されたシャーシにスタンドを取り付け、
前記スタンドを切欠きに挿通させて背面ケースを前記筐体の背面側に取り付ける、
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項5】
さらに、前記シャーシまたは前記スタンドに前記背面ケースの前記切欠きを塞ぐカバーを取り付ける、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−230976(P2012−230976A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97527(P2011−97527)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】