説明

電子部品の接続用部品、その接続構造、その接続方法および電子装置

【課題】電子部品の接続に関し、接続部分の低抵抗化とともに、接続部の接続強度を高めること、接続作業の容易化、画一化を図ることにある。
【解決手段】外部端子(陽極端子4、陰極端子6)の凹部(円孔部16)に挿入される柱状部(20)とともに該柱状部にフランジ部(22)を備え、該フランジ部が前記外部端子に重ねられて前記外部端子に溶接された中間部材(リベット18)と、前記中間部材の前記柱状部に溶接され、他の電子部品の外部端子と連結される連結部材(バスバー19)とを備え、電子部品(コンデンサ2−1、2−2)の外部端子間の接続を行っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はたとえば、バスバー接続などの電子部品の接続技術に関し、コンデンサや電池などの電子部品の接続用部品、その接続構造、その接続方法および電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサ(たとえば、電気二重層キャパシタ、電解コンデンサ)や電池などの各電子部品では、複数の電子部品を直列、並列または直並列に接続し、その接続形態によって各電子部品が持つ機能の増強などにより使用目的に合致させることが行われている。たとえば、コンデンサでは直列化によって定格電圧を高め、その並列化によって容量を高めることが行われている。電池であっても同様の接続形態により必要な出力電圧や出力電流を得ている。
【0003】
このような接続に関し、特許文献1では、単電池を低損失で大電流を取り出すことができる電気的接続について記載され、特許文献2ではインバータ装置に用いられるコンデンサを平板状の導体によって接続することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−238498号公報
【特許文献2】特開平3−289346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コンデンサや電池などの電子部品では外部接続のための外部端子が備えられ、複数の電子部品間の接続には外部端子間を超音波溶接やねじなどを用いた電気的な接続が行われている。接続にはレーザ溶接や電子ビーム溶接を用いることも知られている。
【0006】
このような電子部品間の接続には、その接続部分での低抵抗化や接続強度が求められる。とりわけ車載用のコンデンサなどの電子部品にあっては、走行時の振動が電子部品の接続部分に作用する。このため、接続部分に振動が加わっても、抵抗変化を生じることなく、信頼性の高い固定強度が要求される。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、電子部品の接続に関し、接続部分の低抵抗化とともに、接続部の接続強度を高めることにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、電子部品の接続に関し、接続作業の容易化、画一化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の電子部品の接続用部品は、外部端子の凹部に挿入される柱状部とともに該柱状部にフランジ部を備え、該フランジ部が前記外部端子に重ねられて前記外部端子に溶接された中間部材と、前記中間部材の前記柱状部に溶接され、他の電子部品の外部端子と連結される連結部材とを備えている。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の電子部品の接続構造は、凹部を備える外部端子と、前記凹部に挿入される柱状部とともに該柱状部にフランジ部を備え、該フランジ部が前記外部端子に重ねられて前記外部端子に溶接された中間部材と、 前記中間部材の前記柱状部に溶接され、他の電子部品の外部端子と連結される連結部材とを備えている。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の電子部品の接続方法は、外部端子の凹部に中間部材の柱状部を挿入して前記柱状部のフランジ部を前記外部端子に重ね、前記フランジ部にレーザビームまたは電子ビームの照射により前記フランジ部と前記外部端子とを溶接し、前記中間部材の前記柱状部に連結部材を溶接し、該連結部材で他の電子部品の外部端子と連結する。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の電子装置は、外部端子に凹部を備える2以上の電子部品と、前記電子部品の前記外部端子の前記凹部に挿入される柱状部とともに該柱状部にフランジ部を備え、該フランジ部が前記外部端子に重ねられて前記外部端子に溶接された中間部材と、前記中間部材の前記柱状部に溶接され、他の電子部品の外部端子と連結される連結部材とを備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電子部品の接続用部品、その接続構造、その接続方法または電子装置によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0014】
(1) 接続部の低抵抗化とともに、高い接続強度を得ることができ、接続の信頼性を高めることができる。
【0015】
(2) 外部端子と中間部材との溶接、中間部材と連結部材との溶接により、これら2段階の溶接によって固定強度が高められ、接続部の低抵抗化が図られる。
【0016】
(3) 中間部材の柱状部にあるフランジ部で溶接するので、溶融金属をフランジ部のテーパ面部側に吸収できる接続構造が得られ、フランジ部に重ねられる連結部材の安定化など、信頼性の高い接続構造を実現できる。
【0017】
(4) 中間部材の設置および溶接、連結部材による連結および溶接により、位置決めや溶接などの接続作業の容易化とともに、接続の画一化を図ることができる。
【0018】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態に係るコンデンサ装置およびその接続構造の一例を示す図である。
【図2】コンデンサおよび接続用部品を示す分解斜視図である。
【図3】溶接方法の一例を示す図である。
【図4】第2の実施の形態に係るコンデンサ装置およびその接続構造の一例を示す図である。
【図5】コンデンサおよび接続用部品を示す分解斜視図である。
【図6】溶接方法の一例を示す図である。
【図7】他の実施の形態に係る中間部材および溶接方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1の実施の形態〕
【0021】
図1は第1の実施の形態に係るコンデンサ装置およびその接続構造の一例を示し、(A)はその平面構成、(B)は(A)のIB−IB線断面を示している。
【0022】
図1の(A)および(B)に示すコンデンサ装置2は本発明の電子部品の接続用部品および電子装置の一例である。このコンデンサ装置2には2以上の電子部品の一例として二つの電気二重層コンデンサ(以下「コンデンサ」と称する)2−1、2−2を示している。一例である各コンデンサ2−1、2−2は同一定格および同一形状である。各コンデンサ2−1、2−2には外部端子として陽極端子4、陰極端子6が備えられ、これら陽極端子4、陰極端子6は、外装ケース10を封口する封口部材8に設置されている。封口部材8には、硬質性の絶縁板12と、柔軟性の封止部14とを備えている。陽極端子4および陰極端子6はインサート成形によって絶縁板12に固定されて絶縁されている。絶縁板12の縁部に設置された封止部14にはカーリング処理によって加締められた外装ケース10の縁部を食い込ませている。
【0023】
各陽極端子4、陰極端子6はアルミニウム、銅、真鍮などの導電性の良い金属で形成され、封口部材8から露出した部分は円柱状である。各陽極端子4、陰極端子6には凹部として円孔部16が形成されている。
【0024】
各コンデンサ2−1、2−2・・・間の接続用部品の中間部材としてリベット18と、バスバー19が用いられている。各陽極端子4および陰極端子6の各円孔部16にはリベット18の柱状部20が挿入されて立設され、柱状部20に設けられたフランジ部22が陽極端子4および陰極端子6の頂部に重ねられている。各フランジ部22は重ねられた陽極端子4または陰極端子6の頂部に溶接されている。この溶接にはレーザ溶接または電子ビーム溶接が用いられる。
【0025】
陽極端子4および陰極端子6の円孔部16から突出する柱状部20には連結部材としてバスバー19が設置される。つまり、バスバー19は、その貫通孔26(図2)に柱状部20が挿入されてリベット18のフランジ部22に重ねられている。バスバー19と陽極端子4上の柱状部20、バスバー19と陰極端子6上の柱状部20がそれぞれ溶接されている。この溶接には既述のレーザ溶接または電子ビーム溶接が用いられる。
【0026】
各バスバー19は、コンデンサ2−1、2−2を直列に連結する連結部材の一例である。この実施の形態では、各コンデンサ2−1、2−2の間に所定幅W0を設定し、コンデンサ2−1の陽極端子4と、コンデンサ2−2の陰極端子6とを接続するに必要な長さを持ち、必要な強度や電流容量を考慮した幅を備えている。
【0027】
斯かる構成ではコンデンサ2−1、2−2を含む複数のコンデンサがバスバー19によって直列に接続されている。これらの接続には、リベット18とバスバー19とが用いられ、リベット18側の溶接と、リベット18とバスバー19との溶接により、二つの溶接部分を備えており、接続部が堅牢化され、接続強度が高められている。
【0028】
次に、図2はコンデンサ2−1の陽極端子4(陰極端子6)、リベット18およびバスバー19を示している。
【0029】
陽極端子4(または陰極端子6)には円孔部16が備えられている。これに対し、リベット18はたとえば、同径の柱状部20を備え、この柱状部20の中間部には環状のフランジ部22が形成されている。このフランジ部22は、柱状部20に溶接により取り付けてもよいし、アルミニウムや銅などの金属部材を柱状部20とともに切削などの他の加工方法で形成してもよい。
【0030】
ここで、陽極端子4(または陰極端子6)の直径をφ1、円孔部16の直径をφ2、柱状部20の直径をφ3、フランジ部22の直径をφ4とすれば、円孔部16に挿入される柱状部20の直径φ3は、円孔部16の直径φ2に対し、φ2>φ3の大小関係であり、フランジ部22の直径φ4は、φ4<φ1の大小関係である。
【0031】
陽極端子4(または陰極端子6)には平坦な頂面部28が形成され、この頂面部28の幅をW1とすると、このW1は、
W1=(φ1−φ2)/2 ・・・(1)
であるのに対し、フランジ部22の幅をW2とすると、このW2は、
W2=(φ4−φ3)/2 ・・・(2)
である。これらW1、W2は、W1≧W2に設定され、フランジ部22が陽極端子4(または陰極端子6)の頂面部28に載置可能に設定されている。
【0032】
柱状部20の全長(全高さ)をhm、フランジ部22の最厚部の厚みをD1、陽極端子4(または陰極端子6)の円孔部16に挿入される下側柱状部20aの高さをh1、フランジ部22の上面側に突出する上側柱状部20bの高さをh2とすると、柱状部20の全長hmは、
hm=h1+D1+h2 ・・・(3)
である。
【0033】
円孔部16の深さをL1とすれば、この深さL1に対し、ボトム側柱状部20aの高さh1は、
h1<L1 ・・・(4)
に設定され、柱状部20が円孔部16に挿入され、かつフランジ部22が陽極端子4(または陰極端子6)の頂面部28に載置される。
【0034】
フランジ部22は、陽極端子4(または陰極端子6)の頂面部28に支持される支持面部30と、バスバー19を載置する載置面部32と、載置面部32から周縁側に下降する円錐状のテーパ面部34とを備えている。支持面部30は、頂面部28と同様に平坦面であり、この支持面部30の幅はフランジ部22の幅W2に等しい。載置面部32は、上側柱状部20b側に形成され、支持面部30と平行な平坦面であり、この載置面部32の幅をW3とすると、幅W3は、フランジ部22の幅W2からテーパ面部34の幅W4を減算した値である。つまり、幅W3は、
W3=W2−W4 ・・・(5)
である。
【0035】
フランジ部22の載置面部32の厚みをD1、フランジ部22の最外周縁の厚みをD2、テーパ面部34の傾斜角度をθとすると、
tanθ=(D1−D2)/W4
=(D1−D2)/(W2−W3) ・・・(6)
であり、傾斜角度θは、
θ=tan-1{W4/(D1−D2)}
=tan-1{(W2−W3)/(D1−D2)} ・・・(7)
である。そして、テーパ面部34のテーパ長L2は、
L2=(W2−W3)/cosθ ・・・(8)
となる。このテーパ面部34のテーパ長L2がレーザビームまたは電子ビームの照射範囲であり、溶接範囲である。また、テーパ面部34の傾斜角度θにより、テーパ面部34と載置面部32に載置されるバスバー19の下面側との間に隙間35が形成されている。この隙間35でフランジ部22の溶融金属を収容でき、バスバー19の水平度維持に寄与する。
【0036】
そして、バスバー19は一対の貫通孔26を備えており、この貫通孔26の中心間隔をW5とすると、この中心間隔W5は、隣接するたとえば、コンデンサ2−1の陽極端子4(または陰極端子6)に設置されたリベット18と、コンデンサ2−2の陰極端子6(または陽極端子4)に設置されたリベット18の中心間隔に対応する。
【0037】
各貫通孔26の直径をφ5とすると、この直径φ5は陽極端子4(または陰極端子6)の円孔部16の直径φ2(=φ5)と同一とすればよい。斯かる構成とすれば、リベット18の上側柱状部20bにバスバー19を嵌合させることができる。
【0038】
また、バスバー19の長さL3は、
L3≧W5+φ5+W1 ・・・(9)
に設定すればよく、また、バスバー19の幅W6は、
W6≧φ1 ・・・(10)
に設定すれば、バスバー19で陽極端子4および陰極端子6を覆い、隣接するたとえば、コンデンサ2−1、2−2間の陽極端子4および陰極端子6を連結し、接続することができる。
【0039】
バスバー19の厚さをD3とすれば、このD3をリベット18の上側柱状部20bの高さh2に対し、h2≧D3とすれば、バスバー19の厚さD3内にリベット18が設置され、または、リベット18をバスバー19から僅かに突出させることができる。
【0040】
また、陽極端子4(または陰極端子6)の頂面部28に設置されたフランジ部22により、上側柱状部20bは陽極端子4(または陰極端子6)と同様に垂直に維持され、これにより、バスバー19は陽極端子4(または陰極端子6)と直交方向にすなわち、水平方向に維持することができる。
【0041】
つぎに、コンデンサ2−1、2−2の接続方法について、図3を参照する。図3の(A)はコンデンサ2−1、2−2などの陽極端子4(または陰極端子6)の頂面部28とリベット18のフランジ部22との溶接工程を示している。
【0042】
この溶接工程は、本発明の接続構造または接続方法の一例である。図3の(A)の溶接工程は全溶接工程のうち、陽極端子4(または陰極端子6)の頂面部28とリベット18との溶接工程である。
【0043】
リベット18のフランジ部22は、陽極端子4(または陰極端子6)の頂面部28に載置されているので、フランジ部22のテーパ面部34に対し、レーザ装置36からレーザビーム38を照射する。レーザ装置36は溶接装置の一例であり、溶接エネルギはレーザビーム38であってもよいし、図示しない電子ビームであってもよい。
【0044】
レーザビーム38の照射角度θはたとえば、14〔度〕に設定する。このレーザビーム38の照射範囲は既述の通りテーパ面部34の範囲である。これにより、フランジ部22から陽極端子4(または陰極端子6)の頂面部28に跨がってナゲット40が形成される。このナゲット40はレーザビーム38の照射により加熱溶融した金属部分で、この実施の形態では、陽極端子4(または陰極端子6)とフランジ部22との一体化部分である。レーザビーム38はフランジ部22を周回して照射されることにより、円環状のナゲット40が形成され、リベット18がフランジ部22を介して陽極端子4(または陰極端子6)に一体化し固定される。
【0045】
このレーザ溶接はテーパ面部34の範囲で行われるので、金属溶融部分はテーパ面部34の傾斜角度θ内に収まり、フランジ部22の載置面部32の平坦度を乱すことがない。つまり、平坦度が維持された載置面部32には図3の(B)に示すように、バスバー19が水平に設置され維持される。
【0046】
つぎに、図3の(B)は、バスバー19とリベット18の上側柱状部20bとの溶接工程を示している。
【0047】
陽極端子4(または陰極端子6)に固定されたリベット18の上側柱状部20bには図3の(B)に示すように、バスバー19が設置され、バスバー19は既述した通り水平に維持される。
【0048】
そこで、上側柱状部20bとバスバー19とに跨がってレーザ装置36からレーザビーム38を照射する。これにより、上側柱状部20bとバスバー19との間には両者間に跨がるナゲット42が形成され、このナゲット42は上側柱状部20bとバスバー19とがレーザビーム38により溶融し、一体化した部分である。レーザビーム38がリベット18の上側柱状部20bとバスバー19との接合部分(環状)に沿って照射されるので、リベット18の上側柱状部20bとバスバー19との間に跨がって形成されるナゲット42は円環状に形成される。これにより、リベット18とバスバー19とが接続される。したがって、各コンデンサ2−1、2−2は、リベット18およびバスバー19により直列に接続される。
【0049】
〔第1の実施の形態の効果〕
【0050】
この第1の実施の形態の効果は以下の通りである。
【0051】
(1) コンデンサ2−1、2−2の接続用部品であるリベット18およびバスバー19に関し、一例であるコンデンサ2−1、2−2間の接続にリベット18およびバスバー19を用いて堅牢な接続強度を実現できる。接続には、リベット18のフランジ部22と陽極端子4(または陰極端子6)との溶接、リベット18とバスバー19との溶接が用いられ、リベット18がバスバー19と陽極端子4(または陰極端子6)との間に介在し、接続部を補強するとともに、接続部の低抵抗化が図られている。
【0052】
リベット18の下側柱状部20aを外部端子の円孔部16に挿入してフランジ部22が外部端子の一例である陽極端子4(または陰極端子6)に溶接されているので、陽極端子4(または陰極端子6)と一体化されている。陽極端子4(または陰極端子6)に一体化されたリベット18にバスバー19が結合され、しかも、フランジ部22の溶接と異なる位置でバスバー19が溶接されている。溶接部位の干渉がなく、これにより両者の溶接による接続の信頼性を高めることができる。
【0053】
(2) コンデンサ2−1、2−2の接続構造に関し、既述のリベット18およびバスバー19を用いて接続が行われるので、既述した通り、接続強度を高くでき、接続部の低抵抗化を図ることができる。
【0054】
(3) コンデンサ2−1、2−2の接続方法に関し、この接続にはリベット18およびバスバー19が用いられ、これらの部品を用いて画一的且つ効率的な溶接処理により、コンデンサ2−1、2−2間の接続が得られる。
【0055】
リベット18のフランジ部22と陽極端子4(または陰極端子6)との溶接、リベット18とバスバー19との溶接は両者を干渉させることが無く段階的に行うことができ、溶接の信頼性を高め、接続強度の向上を図ることができ、接続部の低抵抗化を図ることができる。
【0056】
(4) コンデンサ装置2に関し、直列化されたコンデンサ2−1、2−2の接続強度の向上やその低抵抗化により、信頼性を向上させることができる。
【0057】
(5) 既述のように、2箇所のレーザ溶接または電子ビーム溶接により、接続部の固定強度や低抵抗化を実現できる。
【0058】
(6) フランジ部22にテーパ面部34を設けたので、溶接時の溶融による金属の膨らみをテーパ面部34で形成される隙間35に収納可能となるので、バスバー19の設置面の変動を防止でき、フランジ部22上の載置面部32にバスバー19を密接させて設置し、水平に維持することができる。
【0059】
(7) 接続対象である電子部品の一例である各コンデンサ2−1、2−2の陽極端子4や陰極端子6にリベット18を設置して溶接し、各コンデンサ2−1、2−2を隣接配置し、各リベット18にバスバー19を設置すれば、接続すべきコンデンサ2−1、2−2の位置決めを自動的に行え、位置決めや溶接などの接続作業の容易化とともに、接続の画一化を図ることができる。
【0060】
なお、上記実施の形態およびその効果では、接続対象としてコンデンサ2−1、2−2を例示しているが、コンデンサ装置2のコンデンサ連を構成するコンデンサ数およびその接続箇所は上記実施の形態に限定されない。
【0061】
また、テーパ面部34側のフランジ部22の厚みはたとえば、0.1〜1.0〔mm〕に設定すれば、レーザビーム38や電子ビームの照射によって接続強度の高い溶接をすることができる。
【0062】
〔第2の実施の形態〕
【0063】
図4は第2の実施の形態に係るコンデンサ、その接続構造の一例を示し、(A)はその平面構成、(B)は(A)のIVB −IVB 線断面を示している。
【0064】
この第2の実施の形態では、図4に示すように、第1の実施の形態と同様のリベット18が用いられている。これに対し、連結部材としてバスバー19と接続環44が用いられ、バスバー19には既述の貫通孔26に代え、バスバー19の長手方向に開放された貫通溝46(図5)が形成されている。
【0065】
バスバー19は、各貫通溝46に陽極端子4(または陰極端子6)に固定されたリベット18の上側柱状部20bを挿入することにより、隣接するコンデンサ2−1、2−2の陰極端子6(または陽極端子4)との間に取り付けられている。
【0066】
斯かる構成によっても、コンデンサ2−1、2−2を含む複数のコンデンサがバスバー19によって直列に接続され、斯かる実施の形態によっても陽極端子4(または陰極端子6)とリベット18の溶接と、リベット18とバスバー19との溶接により、二つの溶接部分を備えており、接続部分の堅牢化が図られ、強化されている。
【0067】
次に、図5は陽極端子4(または陰極端子6)に固定されたリベット18およびバスバー19を示している。
【0068】
図5に示すバスバー19には長方形状の金属部材が用いられ、この金属部材の両端に既述の貫通溝46が形成されている。バスバー19が長方形状であり、貫通溝46がバスバー19の端部側で開放されている点以外は第1の実施の形態のバスバー19と同様である。バスバー19の最長部の長さは図2に示すバスバー19と同様にL3であり、各貫通溝46の上側柱状部20bの中心位置に対応する中心間隔の幅はW5であり、貫通溝46の間隔も貫通孔26の直径φ5と同一である。
【0069】
このような貫通溝46を備えたバスバー19であっても、陽極端子4(または陰極端子6)に固定されたリベット18のフランジ部22の載置面部32に載置され、水平に維持することができる。
【0070】
そして、リベット18に重ねて設置されるバスバー19の上面にはリベット18の上側柱状部20bを突出させ、この上側柱状部20bに嵌合させた接続環44を設置する。接続環44は、上側柱状部20bの直径φ2に対応する直径φ6を持つ貫通孔48が形成されている。この貫通孔48は上側柱状部20bの直径φ2よりわずかに大きい直径φ6(>φ2)の円孔である。
【0071】
接続環44は、直径をφ7(>φ6)とすると、直径φ7と直径φ6とにより幅W7を備えている。この幅W7がリベット18の上側柱状部20bを中心にしてバスバー19を覆う範囲となる。
【0072】
このようなバスバー19および接続環44を用いたコンデンサ2−1、2−2の接続について、図6を参照する。図6はコンデンサ2−1、2−2などの陽極端子4(または陰極端子6)とバスバー19および接続環44との溶接工程を示している。
【0073】
第2の実施の形態において、リベット18の取付けおよび溶接は第1の実施の形態と同様であるので、その説明を割愛する。
【0074】
第2の実施の形態では、陽極端子4(または陰極端子6)に固定されたリベット18の上側柱状部20bに貫通溝46を勘合してバスバー19を設置する。バスバー19は、フランジ部22の載置面部32に載置され、これにより水平に維持される。バスバー19より突出するリベット18の上側柱状部20bに接続環44を勘合する。
【0075】
陽極端子4(または陰極端子6)とバスバー19上の接続環44とに跨がってレーザ装置36からレーザビーム38を照射する。陽極端子4(または陰極端子6)、リベット18の柱状部20bおよび接続環44にはレーザビーム照射により加熱され溶融した部分にナゲット50が形成される。レーザビーム38が接続環44と同心円状に照射されるので、断面U字形のナゲット50は環状に形成される。このナゲット50を媒介として陽極端子4(または陰極端子6)、リベット18の柱状部20bおよび接続環44が一体化される。
【0076】
〔第2の実施の形態の効果〕
【0077】
この第2の実施の形態の効果は以下の通りである。
【0078】
(1) この実施の形態では、バスバー19に貫通溝46を形成し、この貫通溝46の長さをL4とすれば、この長さL4は、
L4=(L3−W5)÷2 ・・・(11)
であるが、隣接するコンデンサ2−1、2−2の陽極端子4と陰極端子6との幅W5を確保するには、長さL4は、W5を短くして大きく設定すればよい。つまり、W5を短くし、その分だけ長さL4を大きくすれば、陽極端子4および陰極端子6に設置されたリベット18の上側柱状部20bを長さL4の貫通溝46に挿入して突出させ、バスバー19を設置することができる。このため、第1の実施の形態のように貫通孔26および上側柱状部20bの中心間隔を合致させる必要はなく、つまり、寸法上の精度が低くても設置が可能であり、設置の自由度が高くなる。
【0079】
(2) 接続環44の表面にレーザビーム38または電子ビームを照射できるので、レーザ照射面をフラット化でき、溶接の容易化が図られる。
【0080】
(3) その他、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0081】
〔他の実施の形態〕
【0082】
(1) 上記の実施の形態では、リベット18の柱状部20に備えたフランジ部22にテーパ面部34を備えているが、本発明は、テーパ面部34に限定されない。
【0083】
図7の(A)に示すように、フランジ部22が径小部52と径大部54とを備え、径小部52の上面を既述の載置面部32とし、径大部54の上面を既述のテーパ面部34に代えてレーザビーム38などの照射面部56とし、径大部54の下面を支持面部30としてもよい。この支持面部30により陽極端子4(または陰極端子6)にフランジ部22により支持されたリベット18の載置面部32にバスバー19が載置され、このバスバー19と照射面部56との間には隙間35が形成され、この隙間35にフランジ部22の溶接部分が収容される。
【0084】
斯かる構成とすれば、図7の(B)に示すように、陽極端子4(または陰極端子6)にリベット18のフランジ部22の径大部54が載置され、この径大部54の照射面部56にレーザ装置36からレーザビーム38を照射すれば、フランジ部22の径大部54と陽極端子4(または陰極端子6)とでナゲット40が形成され、フランジ部22の径大部54と陽極端子4(または陰極端子6)が溶接により一体化される。
【0085】
(2) 上記実施の形態では、電子装置の一例としてコンデンサ装置を例示し、接続対象である電子部品の一例としてコンデンサを例示したが、接続用部品を用いる接続対象、その接続方法または電子装置はコンデンサに限定されることはなく、電池などの各種の電子部品であってもよい。
【0086】
(3) 上記実施の形態では、溶接としてレーザ溶接、電子ビーム溶接を例示したが、抵抗溶接やスポット溶接など、各種の溶接を用いてもよい。
【0087】
(4) 上記実施の形態では各陽極端子4および陰極端子6にリベット18の下側柱状部20aを挿入する円孔部16がフラット凹部で形成されている。この円孔部16の内壁面にねじ部を備えてもよい。このねじ部より下側柱状部20aが小径であれば、円孔部16に容易に挿入することができる。この場合、下側柱状部20aにねじ部を備えることにより、既述の溶接に代えてねじによって陽極端子4および陰極端子6にリベット18を固定してもよく、さらに溶接を行ってもよい。
【0088】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の電子部品の接続用部品、その接続構造、その接続方法および電子装置は、コンデンサなどの複数の電子部品を接続することができ、接続部の接続強度の向上や、低抵抗化など、接続の信頼性を高めることができ、有用である。
【符号の説明】
【0090】
2 コンデンサ装置
2−1、2−2 電気二重層コンデンサ
4 陽極端子
6 陰極端子
8 封口部材
10 外装ケース
12 絶縁板
14 封止部
16 円孔部
18 リベット
19 バスバー
20 柱状部
20a 下側柱状部
20b 上側柱状部
22 フランジ部
26 貫通孔
28 頂面部
30 支持面部
32 載置面部
34 テーパ面部
35 隙間
36 レーザ装置
38 レーザビーム
40、42、50 ナゲット
44 接続環
46 貫通溝
48 貫通孔
52 径小部
54 径大部
56 照射面部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端子の凹部に挿入される柱状部とともに該柱状部にフランジ部を備え、該フランジ部が前記外部端子に重ねられて前記外部端子に溶接された中間部材と、
前記中間部材の前記柱状部に溶接され、他の電子部品の外部端子と連結される連結部材と、
を備えたことを特徴とする電子部品の接続用部品。
【請求項2】
前記中間部材の前記フランジ部と前記連結部材との間に隙間を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子部品の接続用部品。
【請求項3】
前記フランジ部に照射されたレーザビームまたは電子ビームにより前記フランジ部と前記外部端子とが溶接され、または前記中間部材の前記柱状部および前記連結部材に照射されたレーザビームまたは電子ビームにより、前記中間部材に溶接されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電子部品の接続用部品。
【請求項4】
凹部を備える外部端子と、
前記凹部に挿入される柱状部とともに該柱状部にフランジ部を備え、該フランジ部が前記外部端子に重ねられて前記外部端子に溶接された中間部材と、
前記中間部材の前記柱状部に溶接され、他の電子部品の外部端子と連結される連結部材と、
を備えることを特徴とする電子部品の接続構造。
【請求項5】
外部端子の凹部に中間部材の柱状部を挿入して前記柱状部のフランジ部を前記外部端子に重ね、
前記フランジ部にレーザビームまたは電子ビームの照射により前記フランジ部と前記外部端子とを溶接し、
前記中間部材の前記柱状部に連結部材を溶接し、該連結部材で他の電子部品の外部端子と連結する、
ことを特徴とする電子部品の接続方法。
【請求項6】
前記中間部材の前記柱状部に前記連結部材を設置して該連結部材および前記中間部材にレーザビームまたは電子ビームを照射し、前記連結部材と前記中間部材とを溶接することを特徴とする請求項5に記載の電子部品の接続方法。
【請求項7】
外部端子に凹部を備えた2以上の電子部品と、
前記電子部品の前記外部端子の前記凹部に挿入される柱状部とともに該柱状部にフランジ部を備え、該フランジ部が前記外部端子に重ねられて前記外部端子に溶接された中間部材と、
前記中間部材の前記柱状部に溶接され、他の電子部品の外部端子と連結される連結部材と、
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項8】
前記電子部品が電気二重層コンデンサまたは電解コンデンサのいずれか、または他の電子部品であることを特徴とする、請求項1、2または3のいずれかに記載の電子部品の接続用部品、請求項4に記載の電子部品の接続構造、請求項5または6に記載の電子部品の接続方法、または請求項7に記載の電子装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−110283(P2013−110283A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254565(P2011−254565)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000228578)日本ケミコン株式会社 (514)
【Fターム(参考)】